第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境および対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、2030年の未来を見据え、価値共創に向け2つの指針を定めております。

 

経営ビジョン

「TRY! NEXT JOURNEY ~新たな旅に踏み出そう~」

グリーンズグループ2030年CSR宣言

「環境にも人にも優しいホスピタリティあふれる企業」

 

 上記の経営ビジョン、CSR宣言の実現に向け、すべてのステークホルダーとの価値共創を実現してまいります。

 

 2024年6月期は、中期経営計画「GREENS JOURNEY 2025」の2年目でありましたが、最終年度となる2025年6月期の目標を売上高、各利益ともに1年前倒しで達成いたしました。そこで、2025年6月期は、今まで実行してきた施策の成果の最大化を図り、売上高46,800百万円、営業利益5,000百万円、経常利益4,400百万円、親会社株主に帰属する当期純利益3,600百万円と、さらなる高みを目指してまいります。

 

 

 中期経営計画「GREENS JOURNEY 2025」における重点戦略

 

 1.ブランド展開によるレジャーターゲット獲得強化

 2.ビジネス需要の取り組み強化

 3.バンケット機能の高度化と新たなる領域への進出

 4.着実な新店開発の実施

 5.競争力の源泉たる“人財”の確保・育成に向けた取り組み

 6.さらなるDX推進による業務効率化と新しい顧客体験の創造

 

 なお当社グループの報告セグメントは、ホテル事業の単一セグメントでありますが、サービス・出店戦略や、主要顧客・プロモーション等によりホテルブランドを「チョイスブランド」「オリジナルブランド」の2つに分け、運営しております。

 また、世界トップクラスのホテル軒数を有するチョイスホテルズインターナショナル社とのマスターフランチャイズ契約に基づき、中間料金帯のグローバルブランドとして日本全国展開に成功しており、今後も着実な新店開発とブランド価値向上を推進してまいります。

 ブランド別の内容、出店戦略、施設及びサービス、主要顧客ならびにプロモーション戦略、地域別店舗数につきましては、「第一部 企業情報 第1 企業の概況 3 事業の内容」をご覧ください。

 

(2)目標とする経営指標

 当社グループでは、中期経営計画「GREENS JOURNEY 2025」のもと、以下の経営指標の達成にむけ、重点戦略として「ブランド展開によるレジャーターゲット獲得強化」「ビジネス需要の取り組み強化」「バンケット機能の高度化と新たなる領域への進出」「着実な新店開発の実施」「競争力の源泉たる“人財”の確保・育成に向けた取り組み」「さらなるDX推進による業務効率化と新しい顧客体験の創造」への取り組みを開始しております。2025年6月期は、計画を確実に実現すると同時に、レジリエントな企業としてさらに成長を遂げるため、次の計画を策定する「進化」の年といたします。長引く国際情勢不安や物価高、いわゆる2024年問題などの影響によるコスト高等の外部環境における懸念はあるものの、宿泊需要は訪日外国人の増加により好況が続くと考えられます。当社としては、宿泊需要の拡大に伴い、更に客室単価を上昇させることで、コスト高の影響を吸収するだけでなく、さらなる成長のための原資といたします。

 

 

 

経営指標

2025年6月期

中期経営計画目標

2025年6月期予想

売上高

 372 億円

 468 億円

営業利益

 33 億円

 50 億円

営業利益率

 9.0 %

 10.7 %

経常利益

 31 億円

 44 億円

親会社株主に帰属する

当期純利益

 30 億円

 36 億円

自己資本比率

 40 %程度

 40 %程度

 

(3)優先的に対処すべき事業上および財務上の課題

 足元では、円安の影響によるインバウンドの増加や好調な輸出産業等により、緩やかに景気が回復しております。景気回復に向けた動きが進む一方で、長引くロシア・ウクライナ情勢や中東情勢による地政学リスクの高まり、世界的なインフレ抑制のための金融引き締めや中国経済の停滞等により、世界経済の不透明な状況が続いております。

 2024年6月期の売上高は、インバウンドの回復やレジャー需要の獲得、コロナ環境下で開業した新築やオペレーターチェンジ案件など中・高価格帯の客室割合の増加が需要回復とともに貢献したこと、既存店舗も含めた戦略的なレベニューマネジメントの強化により、各店舗と連携した戦略的な価格設定を行ったこと等が奏功し、過去最高を更新いたしました。また、営業利益・経常利益は、第4四半期におけるロードサイド型ホテル22物件の先行費用等が影響したものの、需要増加に対するレベニューマネジメントが大きく貢献し、売上高と同様に各利益も過去最高を更新いたしました。

 客室稼働率は、ほぼ例年並みの80%前後で推移し、客室単価は、レジャー需要の獲得によるツイン利用の増加や、レベニューマネジメントの確実な実施が貢献し、前期を大幅に上回り、2023年11月度には9,890円と過去最高を記録いたしました。

 

 中期経営計画の最終年度となる2025年6月期は、計画を確実に実現すると同時に、レジリエントな企業としてさらに成長を遂げるため、次の計画を策定する「進化」の年といたします。

 現在最も注力すべき領域は「人財」と捉えています。コロナ禍中は実施可能な取り組みが限られていましたが、業績が急回復したこともあり、下記3点に注力して取り組みます。

 

1.働く楽しさを実感し、ワクワクしながら成長できる企業風土を確立させます。

2.魅力のある処遇・制度を整え、事業規模の成長に必要な人員の確保に取り組みます。

3.スキルアップの機会の提供や教育環境の整備に取り組み、働く人たちの成長を会社の成長に繋げていきます。

 

さらには、コストパフォーマンスに対する意識への対応のため、価格に見合った価値を感じられる商品・サービスを提供していくために投資を行い、顧客満足の創造にも取り組みます。

 

(2025年6月期 単年重点戦略)

1.「働く楽しさ」を感じる風土の確立

2.事業拡大と運営安定化に向けたさらなる処遇改善と教育環境の整備

3.DXによる業務効率化と顧客満足の創造

4.顧客満足を高めるためのバリューアップ投資の強化

5.「コンフォートホテルERA」「Ascend Hotel Collection™」ブランドの更なるブランド力向上

6.ロードサイド事業モデルの構築

7.客室単価向上に向けた取り組みの継続実施

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 株式会社グリーンズは60年以上の歴史の中で、企業目的の1つである「地域社会への奉仕と貢献」の考えのもと、地域に密着した社会貢献活動や環境活動などを行ってまいりました。ホテル専業オペレーターとして全国展開を行っていく中で、「創業の地である三重県とのローカルな結びつき」と「チョイスホテルズインターナショナルとのグローバルな結びつき」を強みに、さらにその活動を拡大してまいりました。

 ホテル業として不可欠な「ホスピタリティ」をキーワードに、当社グループの強み・リソースを活かして、将来にわたって自然環境・社会・経済の価値を高め、持続可能性を実現するため、「環境」「コミュニティ」「人」を重点課題として、活動を推進しています。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社グループは、2018年より「CSR推進委員会」を設置し、CSR活動やSDGsについて推進してまいりました。2024年7月に、機能強化を目的に「サステナビリティ推進委員会」へと体制を変更し、CSR活動やSDGsを含むサステナビリティ課題について検討し、活動を推進しています。2026年6月期を始期とする次期中期経営計画の策定と併せて、より一層、サステナビリティ推進体制を強化してまいります。

 サステナビリティ推進委員会は、代表取締役社長を委員長とし、委員は全社内取締役等により構成されています。サステナビリティ推進委員会の下部委員会として、部門横断で委員を構成する「環境配慮委員会」「コミュニティ支援委員会」「人づくり委員会」が活動の検討及び推進を行い、サステナビリティ推進委員会はそれに対して、助言や承認、進捗確認等を行っています。

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(2)戦略

当社グループは、2019年にグリーンズグループ2030年CSR宣言「『環境にも人にも優しいホスピタリティあふれる企業』を目指します」を策定し、下記のテーマ及びマテリアリティ(重点課題)のもと、活動を推進しています。2024年7月より新たなサステナビリティ推進体制へと移行するとともに、2026年6月期を始期とする次期中期経営計画において、体制や機能の強化を図ってまいります。また、本CSR宣言、3つの下部委員会の方針に基づいて掲げるテーマに沿って、サステナビリティを推進してまいります。

①環境 (エネルギーと資源利用の最適化、環境や社会に配慮した調達、環境に配慮したサービスの提供)

②コミュニティ支援 (コラボレーションによる地域貢献、地域との連携を通じた、「食」におけるお客様の健康づくり)

③人 (多様な人材の活躍と平等な機会の提供、お客様が健康で実りある生活を送るための、心と体が元気になるサービスの提供)

テーマ

マテリアリティ(重点課題)

具体的な取り組み

環境

CO2排出量の削減

・再生可能エネルギーの導入

・省エネ機器の導入

・プラスチック製消耗品の使用量削減、プラスチックから環境へ配慮した素材への変更

ホテル業界において、世界基準の取り組みを日本で実施する

・チョイスホテルズインターナショナルがグローバルに推進する環境イニシアチブプログラム「Room to be Green」の基準準拠

環境配慮購買を推進し、持続可能な認証ラベル商品の取引を行う

・ホテル内で使用するティッシュペーパーやトイレットペーパー、洗剤等の、環境認証ラベル商品への切り替え

コミュニティ

<移>地域の活性化、地域ごとの魅力を発信する

・本社所在地である三重県産品の販売イベント参加による、三重県の魅力発信

・ホテルの朝食に、地産地消メニューを導入

<食>「食」の分野における当社事業・地元企業の活性化

・こどもの居場所づくりを目的とした、こども食堂の開催

・三重県内企業とのパートナーシップによる商品開発等の取り組み推進

・フードロスの取り組み

<住>自治体のニーズに応じて、安全に、安心して住み続けられる地域づくりに貢献する

・「かけこみステーションホテル」の登録

・店舗が所在する各自治体との災害協定締結

<人材開発・次世代育成>

・将来の観光分野やホテル業界を担う人材を育成するために、将来世代に対して教育を実施する

・アクティブシニア世代が長く生き生きと働けるような新しい働き方を提案・実現することで、観光分野の労働人口底上げに寄与する

・幼稚園、保育園での出張マナー講習実施

・小学生を対象とした、お仕事体験の検討

・中学生、高校生の職場体験及びSDGs講習の受け入れ

・特別支援学校へのマナー講師派遣

・パート社員の雇用上限年齢を80歳まで引き上げ

・シニア職種限定採用を実施

<健康経営・女性活躍推進>

現役世代の活躍を実現するために、健康に働ける職場環境を整備するとともに、女性が働きやすい環境を整備する

・従業員の健康増進施策の検討、施策実施

・従業員の運動機会提供の検討、施策実施

・従業員の食生活改機会となるイベントの実施

・女性が働きやすい制度の構築

・同業他社の女性社員との意見交換会への参加

<お客様の心と体が元気になるサービスの提供>

お客様が健康で実りある生活を送るために、心と体が元気になるサービスを提供する

・客室で手軽にできる体操の考案、推進

・こだわりの寝具開発および提供

・歩く習慣づくりのための企画の提供

 

 

(3)リスク管理

 当社グループでは、取締役会直轄で代表取締役が委員長を務める「リスク管理・コンプライアンス委員会」が、全社的なリスクについて、その特定、評価、報告等を行っています。「リスク管理・コンプライアンス委員会」は月に1回開催され、重要事項について、必要に応じて取締役会に報告しています。また、今後、「サステナビリティ推進委員会」において、サステナビリティに係るリスクや機会の抽出、対応策の検討・実行、並びに評価・改善を行い、PDCAサイクルを実施してまいります。

 また、当社グループは、取締役および使用人の職務の執行が法令および定款に適合し、かつ社会的責任および企業倫理を遵守するため、「グリーンズ企業目的」、「グリーンズ理念」、「グリーンズグループ倫理行動基準」、その他必要な諸規程等を制定し、より高い倫理基準をもって業務に取り組むとともに、適法かつ公正な企業活動の推進に努めます。

 その他当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性のある事項は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。

 

(4)気候変動

  「サステナビリティ推進委員会」の下部委員会である「環境配慮委員会」では、CO2排出量の削減に取り組んでいます。環境配慮委員会において、CO2排出量の削減目標の策定、及び取組施策の検討・実施を行っています。環境配慮委員会は月1回以上開催し、審議事項及び報告事項は、年4回開催するサステナビリティ推進委員会へ上程されます。

 

 ①戦略

  当社グループは、政府目標に準拠し、2030年度においてCO2排出量46%削減(2013年度比)という目標を掲げ、気候変動に関する取り組みを推進しています。当社グループに影響を与える気候関連のリスクと機会は、「移行リスク」においては、脱炭素の目標達成に向けた取り組みの加速によるコストの上昇や、開示の強化による法令違反のリスク等が想定されます。また、「物理的リスク」においては、異常気象による事業所等の被災や、それに伴う設備等の修繕費用のコスト上昇が想定されます。

  また、機会においては、気候変動に対する取り組み推進による、新たな顧客層の獲得等が想定されます。

 

 ②指標と目標

  当社グループは、政府目標に準拠し、2030年度においてCO2排出量46%削減(2013年度比)という目標を掲げています。2023年度(2023年4月~2024年3月)のCO2排出量は以下の通りです。なお、CO2排出量は、行政への報告にあわせて、行政年度にて算出しております。

 

  CO2排出量(稼働客室1室当たり):2013年度比21.9%削減(2013年度のCO2排出量:10.6kg-CO2)

2023年度(2023年4月~2024年3月)

8.2kg-CO2

 

 

(5)人的資本

  当社グループにおいては「人財」が競争力の源泉であり、当社グループで働く日々が「自由で」「一人一人が輝き」「ワクワク・成長実感のある」旅をしているような環境にすることを方針とすると同時に、その実現がホテル事業の強化・拡大に寄与すると考えております。これらの実現のために、2024年7月より、企業目的・理念や経営ビジョン、またそれらを踏まえて策定した、戦略目標の実現のために社員が心掛けるべき行動基準を明文化した「Greens Criteria」を導入いたしました。

 

 ①戦略

  当社グループにおいては、持続的な企業価値の向上には、人的資本への取組が最も重要であると考えています。すべての従業員が、最大限に力を発揮するために、「働きがい(ES)向上」「人材確保」「人材育成」を主テーマとして取り組んでいます。

 

<働きがい向上>

 働きがいについては、経営ビジョンになぞらえて、「従業員の当社で働く日々が、自由で、一人一人が輝き、ワクワク・成長実感のある、旅をしているような会社にする」を目標として、環境整備を進めています。中でも、独自の制度として、都道府県単位で勤務地を選べる「勤務地区分制度」においては、34.5%の社員が、全国勤務を希望しています。全国勤務者が安心して勤務できるよう「転勤一時金の拡充」「帰省旅費の支給」などを導入し、目標である40%達成を推進しています。

 また、「トラベラー制度」では、公募で選ばれた社員が全国の当社運営ホテルを1~2か月単位で勤務し、様々な仲間とふれあいながら経験を積んでいくことで「旅をしているような働き方」を体現しています。

 なお、ワークライフバランス向上策として、法定を超える育児支援制度(産前休暇や育児短時間勤務期間の延長)の導入や、産前・育休前の面談や復帰前後の面談、育休期間中の定期的な情報発信により、安心して仕事と育児を両立できるようにしています。

<人材確保>

 労働力人口の減少による人材不足が課題となる中、人材確保策としては、学卒社員対象のコース別採用の導入や、性別・採用区分・国籍・年齢に関係なく、様々な属性からの採用を強化しています。

 同時に、離職防止策として、定期面談の実施や、相談窓口の設置なども行い、定着の促進を図っています。

<人材育成>

 育成については、新本社にさまざまな研修に対応できるフロアを設置し新本社をまなびの発信拠点として、対面・WEBを使い分けながら、新入社員から経営層に至るまで、さまざまな教育機会を創出し、キャリアアップを支援する制度や、公的資格取得補助制度など自己啓発支援に取り組んでいます。

 

 ②指標と目標

  当社グループは、上記「a.戦略」に記載した取り組みに係る指標として、下記の指標を用いております。

テーマ

指標

目標

当連結会計年度の実績

働きがい向上

全国勤務の希望者

40

34.2

人材確保

定着率(3年以上在籍者率)

86.5

87.6

人材育成

公的資格取得新規取得件数

300

312

 

 その他の人的資本に関する管理・公表している主な指標は、下記の当社ウェブサイトにてご覧いただけます。

  https://www.kk-greens-recruit.com/data

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主な事項には、以下のようなものがあります。当社グループは、これらのリスクを十分に認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針です。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)売上高の状況に係るリスクについて

 当社グループは、日本国内を主たるマーケットとしてホテル事業を展開しておりますが、同事業における売上は、国内外の政治・経済情勢等による景気動向や天候・気象状況、災害の発生等、様々な要因により影響を受ける可能性があります。

 

①国内景気及び個人消費の動向について

 当社グループは、日本国内を主たるマーケットとしてホテル事業を展開しておりますが、同事業による売上は国内景気や個人消費の動向の影響を受けやすい傾向にあり、企業活動の停滞、雇用情勢の悪化、個人消費の低迷等による個人利用客及び法人・団体利用客の減少が、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

②訪日外国客の減少について

 当社グループの事業は、訪日外国客の増減により、大きな影響を受けます。訪日外国客数は、日本の経済情勢、為替相場の状況、外交政策による対日感情、自然災害、事故、疫病等の影響を受ける可能性があり、訪日外国客の減少により当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。

 

③競争激化について

当社グループの事業においては、競合ホテルの進出や民泊等、多様化する消費者のニーズに対応すべく宿泊サービスも多様化が進んでおり、業界内の競争は激化しております。

当社グループでは、レベニューマネジメントを活用したオペレーション等により、競争力の維持強化に努めておりますが、競合他社が新築又は改築・改装したホテルに対して競争力を維持強化するためには、当社グループのホテルについても改築・改装を含む多額の設備投資の負担が必要となります。また、こうした施策が有効に機能しない場合、価格引下げ等により営業収入が減少し、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

④業績の季節変動について

当社グループの事業は、夏季の宿泊者数が増加する一方で、冬季には減少する傾向があり、また冬季にはホテルの改装等、設備投資を実施することが多いことから、第3四半期連結会計期間に売上高及び営業利益が減少する傾向が生じております。

係る季節変動により、当社グループの一時点における業績は通期の業績の分析には十分な情報とならないことがあります。

 

⑤自然災害・事故・感染症の発生等について

当社グループの事業においては、「安心・安全」を重要課題と認識し、施設の安全対策の実施等安全管理には万全の注意を払っております。しかしながら、地震や台風などの自然災害、大規模な事故、テロ行為等が発生した場合、その対策費用の発生等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

また、新型コロナウイルス感染症や、新型インフルエンザ等の感染症が発生した場合、ホテルの休業や観光客の減少が懸念され、営業収益の減少や対策費用の発生等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

⑥収益構造について

当社グループの事業においては、営業コストの相当部分が人件費、減価償却費、ホテル土地建物の賃借料等の固定費で構成されているため、売上高の減少が、営業利益に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑦固定資産に係るリスクについて

当社グループは、店舗等に係る固定資産の一部を自己保有しておりますが、当該資産について、今後の各店舗の収益悪化や地価の下落にともなう減損損失の発生などにより、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(2)業務運営上のリスクについて

①風評について

 当社グループの事業は、お客様に直接サービスを提供しているため、法令違反、自然災害・事故・感染症等の発生、顧客情報をはじめとする情報漏えい、長時間勤務等の内部告発等が生じた場合を含め、当社グループのブランドイメージが損なわれた場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

②法的規制等について

当社グループの事業においては、旅館業法や食品衛生法等の法的規制を受けております。具体的には、旅館業法の事業経営の許可(旅館業法第3条)、食品衛生法の営業許可と施設基準等です。旅館業法においては、宿泊施設ごとに事業経営の許可を受けておりますが、各都道府県の条例にて換気、採光、照明、防湿及び清潔その他宿泊者の衛生に必要な措置、客室の有効面積等について定められており、これらに違反すると指導や罰金等の処分がなされる場合があります。また食品衛生法においては飲食店営業等の許可を受けておりますが、許可の更新を行うほか、食品衛生責任者の設置が必要となります。また不衛生な食品の販売が禁じられており、当該施設が調理し、提供した食事によって人の健康を害した場合、営業停止を含む行政指導がされる場合があります。

ホテル物件に関して、建築基準法(特定建築物)、消防法(防火対象物)、市町村の火災予防条例、建築物衛生法等の規制があり、営業上の規制については、廃掃法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)、食品リサイクル法、景品表示法、個人情報保護法、下請法等が該当します。建築基準法においては法に定める建築物の建築や改修を行う場合に申請、届け出が必要とされていますが、それらの手続きを経ずに建築等を行った場合においては使用停止、工事停止等の指導がされる場合があり、建築物の用途や構造違反があった場合には指導等がなされる場合があります。また消防法においては宿泊施設の規模に応じた防火管理者を選任し、消防計画の作成及び管轄消防署への届け出などが必要であり、これらに違反した場合、管轄の消防署より指導等を受ける場合があります。さらに防火対象物の用途や規模に応じた消防設備や避難設備等が必要で、設備の不備等があれば改修を行わなければなりません。そして火災の予防や消防活動の障害除去等が必要であり、これらの改修がされていない場合、指摘・指導・改善命令等がなされる場合があります。

当社グループは、これらの法規制の遵守に努めておりますが、現在の規制に重要な変更や新たな規制が設けられた場合には、規制を遵守するために必要な費用が増加する可能性があり、規制に対応できなかった場合は、許認可の取り消しなどにより当社グループの活動が制限される等、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

また、新たな会計基準や税制の導入・変更により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

③情報システム・情報管理について

当社グループでは、多くのITシステムを使用しておりますが、これらのシステムについて事故・災害、人為的ミス等により、その機能に重大な障害が発生した場合、当社グループの事業運営に重大な影響を与え、営業収益の減少または対策費用の発生により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 また、インターネットを経由した旅行代理店であるオンライントラベルエージェンシー(OTA)をはじめとする他の旅行業者や斡旋業者等他社のシステム障害による影響を受ける可能性があります。

 

④個人情報の漏えいについて

 当社グループでは、宿泊者名簿や宴会における顧客データ等個人情報を含むデータベースを管理しております。当社では、プライバシーマークを取得し、個人情報の管理に十分留意しておりますが、万一、個人情報の流出等の問題が発生した場合、当社グループへの損害賠償請求や信用の低下により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

 

⑤食中毒や食品管理について

当社グループでは、ホテルやレストラン、宴会場等で食事の提供を行っております。品質管理や食品衛生には十分注意しておりますが、食中毒事故が発生した場合は営業停止の処分を受けるほか、当社グループの信用やブランドイメージを毀損し、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。

また、当社グループ以外でも同業他社における産地偽装や、家畜伝染病の発生等の食の安全・安心に関する問題が発生した場合にも、当社グループの営業収益の減少や在庫の廃棄ロスの発生等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

⑥人材の確保及び育成について

 当社グループの事業では、一定数の従業員の確保が必須であり、少子高齢化により今後若年層の人材確保がさらに困難になることが予測され、最低賃金の引き上げや社会保障政策に伴う社会保険料料率の引き上げ等による人件費の上昇、人材不足による既存従業員へのしわ寄せによる長時間労働や、これに伴う離職率の増加、採用コストの増加等により、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦光熱費、食材価格、清掃外注費の高騰について

当社グループは、店舗において電気やガスを多く利用しており、ロシアおよびウクライナの情勢並びにそれに起因する原油価格等の上昇の今後の見通しは不透明でありますが、光熱費の高騰により当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。また、当社グループはホテルやレストラン、宴会場等でお客様に食事の提供を行っており、天候不順等による食材価格の高騰により当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

加えて、当社ではホテル運営における客室品質の維持のため、客室清掃の外注化を図っておりますが、清掃会社における人材不足等からの清掃委託費用の値上げにより、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

 なお、当社では、業務上のフローに基づき発生しうるリスクを防止するため取締役会の直属の機関としてリスク管理・コンプライアンス委員会を設置し、毎月1回以上の委員会を開催しております。同委員会は、コンプライアンス、財務報告、情報システム、事務手続き、店舗でのオペレーションなど、それぞれに関するリスクのほかその他会社の業務に関し発生しうるリスクに対し総合的かつ迅速に対応し、会社としてリスク管理・コンプライアンス上適切な判断が可能な体制整備をおこなっております。

 

(3)フランチャイズ契約について

当社グループでは、当社の連結子会社である株式会社チョイスホテルズジャパンが、チョイスホテルズライセンシング 2 B.V.(チョイスホテルズインターナショナル社の間接的な完全子会社)との間で日本における「マスターフランチャイズ契約」を締結し、また当社は株式会社チョイスホテルズジャパンとの「フランチャイズ契約」により、チョイスホテルズインターナショナル社が保有する商標(ブランド名称)を使用し多数のホテルを展開・運営を行っております。

チョイスホテルズインターナショナル社と当社グループでは、取引開始以降、長年にわたり良好な関係を維持しておりますが、当該「マスターフランチャイズ契約」には、一般的な解約事由の他、以下の解約事由が定められております。

本契約の契約期間においては、毎年12月31日を期日とする開発割当店舗数が定められており、当該割当店舗数を達成できなかった場合に解約事由に抵触いたします。ただし、開発不足分の店舗数に応じたフランチャイズ・フィーを相手方に支払うことで1年間の猶予が与えられます。

また、金融機関その他投資関連以外の第三者が株式会社チョイスホテルズジャパンの株式の20%を取得するか、当社の支配権を取得した場合に解約事由に抵触いたします。

加えて同業他社の代表者または代理人が当社もしくは株式会社チョイスホテルズジャパンの取締役に就任した場合にも解約事由に抵触いたします。

これらを含む本契約の解約事由に抵触した場合、当社グループはチョイスホテルズインターナショナル社が保有する商標(ブランド名称)を使用できなくなり、営業戦略の見直しやブランド変更に伴う諸費用の増加等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。なお、本書提出日現在において、当該解約事由には抵触しておりません。

また、本契約の期間満了後には新たなマスターフランチャイズ契約を締結する必要があり、契約締結の可否及び契約条件の見直し等により当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

 

(4)店舗に係る差入保証金について

当社グループは、店舗用物件の賃貸借契約締結の際に、賃貸人に保証金を差し入れる場合があります。差入保証金は契約期間満了等により賃貸借契約が終了した場合、原則全額が返還される契約となっております。

しかし、差入保証金は預託先の経済的破綻等により、その一部または全額が回収不能となる場合や、賃貸借契約に定められた契約期間満了前に中途解約を行った場合には返還されないことがあり、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(5)建物について

当社グループでは、ほとんどの物件を賃借によりホテルを運営しておりますが、当該建物の建築時の管理において、耐震偽装や建築データの改ざん等が明らかになった場合、当社グループへの信用やブランドイメージが毀損し、当該ホテルの閉店や客数の減少による損害や、ホテル運営から撤退する場合の費用等の発生も含め当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(6)M&Aが想定どおりのメリットをもたらさないリスクについて

当社グループは、中長期的な事業計画においてM&Aを成長戦略の一環として位置づけ、今後もその機会を追求してまいります。しかしながら、将来のM&Aについては、適切な買収対象があるとは限らず、適切な買収対象があった場合においても、当社グループにとって受入可能な条件で合意に達することができない可能性があり、また買収資金を調達できない可能性、必要な許認可が取得できない可能性、法令その他の理由による制約が存在する可能性があり、買収を実行できる保証はありません。当社グループは、近年、適切な買収対象の選定、M&Aの実行及び被買収事業の当社グループへの統合等につき経験を積み重ねておりますが、将来的なM&Aの成功は、以下のような様々な要因に左右されます。

・買収した事業の運営・商品・サービス・人材を当社の既存の事業運営・企業文化と統合させる能力

・当社グループにおける既存のリスク管理、内部統制及び報告に係る体制・手続きを被買収企業・事業に展開する能力

・被買収事業の商品・サービスが、当社グループの既存事業分野を補完する度合い

・被買収事業の商品・サービスに対する継続的な需要

・目標とする費用対効果を実現する能力

これらの結果、M&Aが想定どおりのメリットをもたらさなかった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(7)会計基準変更に伴うリスク

 当社グループは店舗にかかる資産の多くをオペレーティング・リース取引により調達しており、連結財務諸表上はオフバランス処理となっておりますが、リース会計基準等の変更により、オペレーティング・リース対象資産・負債をオンバランス処理することとなった場合には、リース契約残高相当額が計上されるため、自己資本比率が大幅に減少する可能性があります。

 また、当該リース店舗の収益性が悪化した場合、リース資産の減損損失が発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)当期の経営成績の概況

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

  a.当期の経営成績の状況

当連結会計年度(2023年7月1日から2024年6月30日まで)における我が国経済は、円安の影響によるインバウンドの増加や好調な輸出産業等により、緩やかに回復しています。一方で長引くロシア・ウクライナ情勢や中東情勢による地政学リスクの高まり、世界的なインフレ抑制のための金融引き締めや中国経済の停滞等による世界経済の不透明感等が日本経済に与える影響には、依然として留意が必要です。

2024年7月31日に観光庁が公表している最新の宿泊旅行統計調査(2024年5月第2次速報、2024年6月第1次速報)によりますと、好調なインバウンド需要により、2024年5月の延べ宿泊者数は5,390万人泊(前年同月比+5.0%、2019年同月比+4.9%)、6月は5,039万人泊(前年同月比+6.3%、2019年同月比+10.0%)と、前年及びコロナ禍以前の水準を上回っております

このような事業状況のもと、当社運営ホテルにおいては、客室稼働率を維持しつつ客室単価を向上するという方針に基づいた施策を推進し、通年の客室稼働率は前年並みの80%前後を維持し、各店舗を展開する地域の需要に応じたレベニューマネジメントの強化や、レジャー及びインバウンドの需要を確実に獲得することで客室単価の向上に注力し、客室単価は前年を大幅に上回る結果となりました。

当社グループにおいて宿泊特化型ホテルを中心に全国で展開している「チョイスブランド」では、2023年12月20日開業のコンフォートイン名古屋栄駅前(愛知県名古屋市)の当連結会計年度における売上高の貢献がありました。また、2023年7月1日に、世界最大級の独立系ホテルコレクションブランドである「Ascend Hotel Collection™」としての運営を開始したhotel around TAKAYAMA(岐阜県高山市)、「コンフォートホテル」の派生ブランド「コンフォートホテルERA」として2023年9月13日にリブランドしたコンフォートホテルERA京都東寺(京都府京都市)、同じく2023年9月20日にリブランドしたコンフォートホテルERA神戸三宮(兵庫県神戸市)は、当連結会計年度におけるレジャー需要の獲得に貢献しました。営業面においては、インバウンド需要が堅調な中、需要に応じたレベニューマネジメントの強化、及びレジャーやインバウンドによる需要の獲得のため、これらのブランドの訴求強化による販売促進により、客室稼働率は前年同期比2.6ポイント減の80.3%、客室単価は前年同期比17.8%増の9,777円、売上高は前年同期比12.4%増の34,499百万円となりました。

三重県・東海地方を中心に地域特性に合わせて宴会場等を併設したシティホテルや宿泊特化型ホテルを展開している「オリジナルブランド」及び「その他事業」においては、宴会や会議利用の需要回復と並行して、中期経営計画で掲げるバンケット機能の高度化の一環として推進しておりましたバンケットルームの増床及びリニューアルをいたしました。また、一部ホテルにおいて朝食メニューの見直しや、夕食サービス等を開始いたしました。一方で、建物賃貸借契約の満了に伴い、2024年3月18日に四日市シティホテル(三重県四日市市)、2024年5月13日にホテルエコノ金沢駅前(石川県金沢市)を閉店いたしました。営業面においては、長期宿泊を伴う設備工事やメンテナンス等のビジネス需要やスポーツ団体及びインバウンドの取り込みを推進し、各店舗地域の顧客動向や需要の状況に合わせたレベニューマネジメントによる販促強化を図った結果、客室稼働率は前年同期比0.2ポイント増の73.2%、客室単価は前年同期比6.3%増の6,719円となり、売上高は前年同期比12.4%増の6,469百万円となりました。

なお、当社グループ全体の客室稼働率は前年比1.9ポイント減の79.0%、客室単価は前年比16.5%増の9,229円、ホテル軒数は96店舗、客室数はチョイスブランド11,820室、オリジナルブランド2,636室の合計14,456室となっております。

この結果、当連結会計年度の業績は、売上高40,969百万円(前期比12.4%増)、営業利益5,019百万円(前期比35.8%増)、経常利益4,829百万円(前期比38.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は4,888百万円(前期比16.6%増)となりました。

(注)1.2023年7月1日付でhotel around TAKAYAMAが「Ascend Hotel Collection™」として運営を開始したことにより、「オリジナルブランド」から「チョイスブランド」に所属が変更となったため、ホテル軒数及び合計室数に変更はございませんが、ブランド別の売上高、客室稼働率、客室単価及び客室数に変動がございます。

2.文中記載の客室稼働率ならびに客室単価は、当連結会計年度における数値となります。月別の数値に関しましては当社ホームページに掲載しております。株式会社グリーンズ https://www.kk-greens.jp/

 

 

 b.当期の財政状態の状況

資産、負債及び純資産の状況

当連結会計年度末における資産につきましては26,614百万円(前連結会計年度末23,786百万円)と、2,827百万円増加いたしました。

うち流動資産は11,462百万円(同9,992百万円)と、1,470百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金の増加によるものであります。

固定資産は15,151百万円(同13,794百万円)と1,356百万円増加いたしました。これは主に差入保証金、繰延税金資産の増加によるものであります。

 

負債につきましては18,789百万円(同18,419百万円)と370百万円増加いたしました。

うち流動負債は8,649百万円(同7,467百万円)と1,181百万円増加いたしました。これは主に未払費用及び未払消費税等の増加によるものであります。

固定負債は10,139百万円(同10,951百万円)と811百万円減少いたしました。これは主に長期借入金の減少によるものであります。

 

純資産につきましては7,824百万円(同5,367百万円)と、2,456百万円増加いたしました。これは主にA種優先株式の取得及び消却による資本剰余金の減少、利益剰余金の増加によるものであります。この結果、自己資本比率は29.4%となりました。

 

 ②当期のキャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べて992百万円増加し、7,720百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、獲得した資金は6,013百万円となりました。収入の主な内訳は税金等調整前当期純利益4,603百万円、減価償却費536百万円、未払費用の増加額767百万円であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、使用した資金は1,658百万円となりました。収入の主な内訳は差入保証金の回収による収入80百万円、支出の主な内訳は有形固定資産の取得による支出590百万円、長期前払費用の取得による支出691百万円、差入保証金の差入による支出365百万円であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、使用した資金は3,362百万円となりました。支出の主な内訳は自己株式の取得による支出2,080百万円、長期借入金の返済による支出821百万円であります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 該当事項はありません。

 

b.受注実績

 該当事項はありません。

 

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。なお、当社グループはホテル事業の単一セグメントであるため、ブランド別に記載しております。

事業部門の名称

当連結会計年度

(自 2023年7月1日

  至 2024年6月30日)

前年同期比(%)

チョイスブランド(百万円)

34,499

112.4

オリジナルブランド及びその他の事業

(百万円)

6,469

112.4

合    計(百万円)

40,969

112.4

(注) 1.事業部門間の取引については相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や取引状況等を勘案し、会計基準の範囲内かつ合理的と考えられる見積り及び判断を行っている部分があり、その結果を資産・負債及び収益・費用の数値に反映しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1)財政状態

(資産合計)

当連結会計年度末における資産につきましては26,614百万円(前連結会計年度末23,786百万円)と、2,827百万円増加いたしました。

うち流動資産は11,462百万円(同9,992百万円)と、1,470百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金の増加によるものであります。

固定資産は15,151百万円(同13,794百万円)と1,356百万円増加いたしました。これは主に差入保証金、繰延税金資産の増加によるものであります。

 

(負債合計)

負債につきましては18,789百万円(同18,419百万円)と370百万円増加いたしました。

うち流動負債は8,649百万円(同7,467百万円)と1,181百万円増加いたしました。これは主に未払費用及び未払消費税等の増加によるものであります。

固定負債は10,139百万円(同10,951百万円)と811百万円減少いたしました。これは主に長期借入金の減少によるものであります。

 

(純資産合計)

純資産につきましては7,824百万円(同5,367百万円)と、2,456百万円増加いたしました。これは主にA種優先株式の取得及び消却による資本剰余金の減少、利益剰余金の増加によるものであります。この結果、自己資本比率は29.4%となりました。

 

 

2)経営成績

(売上高)

当連結会計年度の売上高は40,969百万円(前期比12.4%増)となりました。比較的客室単価の高い都市等への出店割合が増加したことや全国旅行支援の影響等により、コロナ禍以前及び前年を大幅に上回り、収支が大きく改善したことによるものであります。

(売上原価、販売費及び一般管理費)

売上高の増加等により売上原価は27,520百万円(前期比4.5%増)、販売費及び一般管理費は8,429百万円(前期比31.6%増)となりました。

(営業利益)

売上の増加により、営業利益は5,019百万円(前期比35.8%増)となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

親会社株主に帰属する当期純利益は4,888百万円(前期比16.6%増)となりました。

 

3)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)当期の経営成績の概況 ②当期のキャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.資本の財源及び資金の流動性

当社グループは、自己資本の増強及び財務基盤の安定化は重要な課題であると認識しております。アフターコロナにおける成長軌道回帰の実現に必要な投資資金の確保も視野に、資本性のある資金を調達することが必要であるとの考えから、2021年10月19日に、DBJ飲食・宿泊支援ファンド投資事業有限責任組合を割当先とする第三者割当によるA種優先株式及び近畿中部広域復興支援投資事業有限責任組合を割当先とする第三者割当によるB種優先株式を発行し、6,000百万円及び500百万円の資金調達を行いました。

その後、当社が推進してきた構造改革におけるコスト削減の取り組み及び商品力強化や販売機会の創出に加え、新型コロナウイルス感染症収束後の経済の正常化及びインバウンド需要や国内レジャー需要の回復などもあり、当社の収益力及び自己資本は着実に回復したため、2023年8月14日にB種優先株式の全株式に対する取得請求権が行使され、2024年6月28日にA種優先株式2,000株(額面金額2,000百万円)の一部償還を実施しております。

また既存借入の借換えを含む運転資金として、総額13,000百万円のシンジケートローン契約(3,000百万円の資本的劣後ローンを含む)、500百万円の資本的劣後ローン契約を締結しております。

5【経営上の重要な契約等】

(提出会社)

1.シンジケートローン契約

 2021年3月26日に締結したシンジケートローン及び資本的劣後ローンの返済期日が2023年3月に到来したため、契約金額及び最終返済期日を見直し、2023年3月28日に総額13,000百万円(うち3,000百万円は資本的劣後ローン)にて契約を更新しました。

 

 トランシェA

 トランシェB

 トランシェC

形態

 ファシリティ貸付

(シンジケーション方式コミットメントライン)

 資本的劣後ローン貸付

(シンジケーション方式タームローン)

 タームローン

(シンジケーション方式タームローン)

契約金額

 7,000百万円

 3,000百万円

 3,000百万円

借入日

 2023年3月31日(コミットメント開始日)

 2021年3月31日

 2023年3月31日

最終返済期日

 2025年3月31日(コミットメント終了日)

 2028年3月31日

 2028年12月28日

資金使途

 既存借入の借換えを含む運転資金

借入先

 アレンジャー:株式会社三菱UFJ銀行

参加金融機関:株式会社三菱UFJ銀行、

株式会社三井住友銀行、株式会社みずほ銀行、

株式会社百五銀行、株式会社第三十三銀行、

株式会社商工組合中央金庫

(注)トランシェBにつきましては、契約の見直しはありません。

 

2.チョイスブランドにおけるフランチャイズ契約

(1)マスターフランチャイズ契約

当社の連結子会社である株式会社チョイスホテルズジャパンは、チョイスホテルズインターナショナル社の間接的な完全子会社であるチョイスホテルズライセンシング 2 B.V.との間に次の「マスターフランチャイズ契約」を締結しております。

契約締結日

2003年11月4日

契約の名称

マスターフランチャイズ契約書

契約会社名

株式会社チョイスホテルズジャパン

相手先

チョイスホテルズライセンシング 2 B.V.(オランダ)

契約期間

自2004年1月1日

至2033年12月31日

契約の概要

以下の権利とマスターライセンスを株式会社チョイスホテルズジャパンに許諾すること

① 第三者に対し、日本国内でフランチャイズホテルを設置及び運営するライセンスを付与するために最善の努力をすること

② ①に関連する場合に限り商標及び本件システムを使用すること

 

対価:

フランチャイズ契約締結の際、1店舗毎に支払うイニシャル・フィー、ホテルの前月の売上高に応じて支払うロイヤリティ・フィー、広告宣伝活動及び販売促進に関する費用としてマーケティング・フィーを支払う

 

解約条件:

一般的な解約条件の他、以下の事由による。

① 毎年12月31日を期日とする開発割当店舗数が定められており、当該割当店舗数を達成できなかった場合。ただし、開発不足分の店舗数に応じたフランチャイズ・フィーを相手方に支払うことで1年間の猶予が与えられる。

② 金融機関その他投資関連以外の第三者が株式会社チョイスホテルズジャパンの株式の20%を取得するか、当社の支配権を取得した場合

③ 同業他社の代表者または代理人が当社もしくは株式会社チョイスホテルズジャパンの取締役に就任した場合

(注)1.本書提出日現在において、上記解約事由のいずれにも抵触しておりません。

2.契約期間については2019年9月に2024年1月1日から2033年12月31日までの契約期間の延長に関する契約を締結しております。

 

(2)フランチャイズ契約

当社は当社の連結子会社である株式会社チョイスホテルズジャパンとの間に次の「フランチャイズ契約」を締結しております。

契約締結日

店舗による(対象店舗数:96店舗)

契約の名称

フランチャイズ契約書

契約会社名

株式会社グリーンズ

相手先

株式会社チョイスホテルズジャパン

契約期間

店舗毎に契約締結日から10年間

契約の概要

当社の連結子会社である株式会社チョイスホテルズジャパンから、チョイスホテルズインターナショナル社が保有する商標(ブランド名称)を使用してホテルを営業する許諾を得るフランチャイズ契約

 

対価:

フランチャイズ契約締結の際、1店舗毎に支払うイニシャル・フィー、ホテルの前月の売上高に応じて支払うロイヤリティ・フィー、広告宣伝活動及び販売促進に関する費用としてマーケティング・フィー、予約システムの利用料としてリザベーション・フィー、旅行会社への手数料支払代行費用としてトラベルエージェント・プロセシング・フィーを支払う

 

3.第三者割当による優先株式の発行

 当社は、2021年9月27日開催の第58回定時株主総会(以下「本定時株主総会」といいます。)において、第三者割当によるA種優先株式およびB種優先株式を発行すること、並びにA種優先株式およびB種優先株式に関する規定の新設等に係る定款の一部変更を行うこと、本第三者割当増資、2021年10月19日を効力発生日として、本第三者割当増資後の資本金および資本準備金の額を減少し、その他資本剰余金へ振り替えることに係る各議案を付議することを決議いたしました。これを受けて、同日付で当社は割当先との間で投資契約を締結しております。本定時株主総会において各議案が承認可決され、2021年10月19日に振込が完了しております。

 なお、近畿中部広域復興支援投資事業有限責任組合を引受人とするB種優先株式の発行に関し、近畿中部広域復興支援ファンドとの間で締結した株式投資契約について、アフターコロナの中、全国旅行支援やインバウンド需要の回復等もあり、客室稼働率及び客室単価はコロナ禍以前の水準を大幅に上回り、当社業績は堅調に回復したことから、将来の配当負担の軽減を目的に、2023年8月14日、B種優先株式を償還(普通株式への転換)する内容で本投資契約の一部を変更する変更覚書を締結いたしました。

 また、当社は、2023年10月13日開催の取締役会において、会社法178条の規定に基づいた自己株式(2021年10月19日に第三者割当の方法で発行したB種優先株式)を消却することを決議し、消却いたしました。

 A種優先株式の内容は、「4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (1)株式の総数等 ②発行済株式」に記載のとおりであります。また、A種優先株式の割当先は以下の通りです。

 

株式の種類

割当先

払込期日

株数

金額

A種優先株式

DBJ飲食・宿泊支援ファンド投資事業有限責任組合

2021年10月19日

4,000株

4,000百万円

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。