第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

(1)会社の経営方針

 当社は、本社を福岡市に構えながら、学術研究機関や企業の先端技術分野の研究開発に高い専門性と提案力を武器に伴走し、そこで得た先進技術の実績と知見を、DXの拡張余地が大きい全国の大学・自治体や地域の中核企業を中心に社会に展開する流れを推進することで、社会全体のDX推進に貢献しております。

 

(2)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略

 当社が主戦場とするIT分野では、技術進展や少子高齢化が進む中、今後IT人材の不足がますます深刻化し、2030年には45万人程度までIT人材の不足規模が拡大するとの推計結果が出ております。(出所経済産業省委託事業「IT人材需給に関する調査」)

 更に、DXのトレンドが進展する中、生産性の向上や業務の効率化を目的にクラウドファースト戦略を実行する企業が増えるほか、働き方改革の一環として「テレワークの導入」「デジタルビジネスの強化」などの業務課題を解決するためにパブリッククラウド(注)サービスを活用する企業も増加しております。2022年の国内パブリッククラウドサービス市場規模は前年比29.8%増の2兆1,594億円となると見込まれており、また、2021年~2026年の年間平均成長率は20.8%で推移して、2026年の市場規模は2021年比2.6倍の4兆2,795億円になると予測されております。(出所:IDCJapan株式会社「国内パブリッククラウドサービス市場 産業分野別予測、2021年~2026年」)

 加えて、2021年度のAIビジネス国内市場は1兆1,608億円となっており、実証実験から本格導入に移行する企業が増加したことで市場が大きく伸長しました。AIビジネスの国内市場は年平均8.5%の成長が予測され、2027年度に1兆9,787億円になると予測されております。(出所:株式会社富士キメラ総研「2022 人工知能ビジネス総調査」)

 このような環境の下、当社は、クラウドやAI・IoTといった複数の技術を組み合わせて、クライアントの様々なDX課題に最初から最後まで寄り添うサポート力を備えた独自の企業として市場にポジションを確立していくため、対応技術分野及びコンサルティング領域の拡大を推し進めてまいります。具体的には、以下の事項に注力してまいります。

 

①学術・研究機関へのクラウドソリューション提供拡大

 日本初のAWSパブリックセクターパートナーとして様々な学術・研究機関へのクラウドソリューションの提供を行っております。

旧帝国大学で初めてクラウド導入をした九州大学をはじめ、多くの学術・研究機関様へクラウドソリューションを提供しており、AWSのパブリックセクターチームとの連携をしながら、国内の公共分野のクラウドインテグレーション、AI、IoT、量子コンピュータなど新たな技術領域の社会実装を支援しております。

文部科学省の令和5年度学術情報基盤実態調査の結果によると我が国の大学におけるクラウド利用は全大学で95.4%となっているとされており、クラウドは大半の大学で利用されている状況です。しかしながら、その利用方法は、電子メール、ホームページ等の管理運営基盤(95.6%)、eラーニング、遠隔講義等の教育・学習基盤(84.3%)が大半で、研究データ管理、高性能計算機等の研究基盤は19.5%に留まっています。当社は、これまでの実績を基にクラウド化の進捗が低い研究基盤のクラウド化、クラウド上での先端技術研究の実装を積極的に支援していきます。

 

  ②先進技術の社会実装支援拡大

 生成AI技術の急速な社会普及もあり、今後、DXはシステムの刷新からデータ活用に主戦場が移るものと想定されます。そのため、データ活用の前提となるクラウドインフラの豊富な開発実績、様々な産業へのAI・IoTなどの先進技術を活用したソリューション提供実績を背景に、クライアントのDX課題をワンストップ(一気通貫)で伴走支援する当社のサービス特徴への需要の高まりが見込まれることから、先進技術の社会実装支援を牽引するデータ人材の育成と拡充を推進するとともに、当該サービスの拡大による事業全体の高付加価値化を目指していきます。

 

  ③セールス・マーケティング人材の拡充

   これまでの当社は、エンジニア主体で事業成長をしてまいりました。今後の更なる成長に向けて、セールス・マーケティング等に携わる人材の拡充を行い、当社の技術力が生み出す社会への提供価値を最大化するための機能強化を推進してまいります。また、当該拡充を通じて主戦場である日本国内の売上拡大のみならず、海外市場の開拓にも注力してまいります。

 

  ④M&A等の戦略的提携

 今後の持続的な事業成長に取り組むとともに、非連続な成長、拡大を目指し、M&Aや戦略的提携による競争力の強化や新たな技術の獲得、事業ポートフォリオの多様化等に取り組み、企業基盤の強化に努めることが重要であると考えております。既存リレーションの活用および仲介業者等との連携によるソーシングの実現体制の整備進め、新たなエリアへの進出や事業機会創出に向けた戦略的提携を推進してまいります。

 

(3)目標とする経営指標

 当社は、更なる事業の拡大及び収益性の向上を特に表す指標として、営業利益成長率を重視しております。また、営業利益成長率を高める上で、①継続的にDX支援を推進することで向上する「顧客平均単価」、②社会全体のDXを推進することで向上する「新規取引顧客数」の2つの経営指標も重視し、中期的な事業拡大と収益性向上により企業価値の向上と株主価値の向上を図ってまいります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

1.新技術への対応

 当社が属するIT業界では、技術革新が絶え間なく行われております。このような事業環境の下で当社が継続的に事業を拡大していくためには、新技術に適時に対応していく必要があると認識しており、新技術及び新サービスの開発に継続的に取り組んでまいります。

 

2.優秀人材の確保と育成

 IT人材が不足している中、常に学び続ける姿勢を有する人材の確保が事業の発展、成長に欠かせない重要課題であります。当社では、通常の採用活動に加え社員紹介制度のリファラル採用の強化や、新卒・中途入社者向けのOJT教育や勉強会などを積極的に行っております。また、クライアントのDXを推進するクラウド技術・AI等の先進技術の受託開発型サービスと、自社運営のプロダクトサービスを提供していることは、エンジニアの技術領域の拡大に寄与しており、優秀なエンジニアの採用及び育成において優位性のあることだと認識しております。

 人材の確保と同時に、社員の能力開発・向上のための研修参加や資格取得費用の会社負担、認定資格取得時の報奨金制度を整備し、社員の能力を最大限に引き出す仕組みづくりを進めております。さらに、人事評価制度の継続的改善運用を行い、社員の長期的な成長支援や魅力ある報酬体系の維持・向上に努めております。

 また、当社は、リモートワーク、コアタイムなしのフルフレックス、時短勤務制度の導入など働き方の多様性に対応した施策を積極的に推進しています。一方で、一定割合の出社も推奨しており、同じ場所でともに働くことによる効率の向上や、仕事の垣根を越えた人材の交流、社員同士のコミュニケーション活性化を図っております。全社員がそれぞれのワークライフバランスを実現し、働きやすい環境を整えることによって、次世代を担う優秀な人材の育成、定着に繋げてまいります。

 

3.サービスの高付加価値化、利益率の向上

 当社は、成長戦略を着実に実行していくことで売上高の安定的高成長を実現するとともに、営業利益率の向上を図ることが課題であると認識しております。採用力強化により、技術者人材を増員すると同時に、対応技術分野やコンサルティング領域の拡大等により、付加価値の高いサービスを提供し受注単価の向上に努めることで、売上高の向上を図ってまいります。また、開発プロセスの継続的な改善、社内における技術の共有や教育訓練等を実施し、より強固な開発体制の構築に努め、IT技術で社会課題を解決していきたいと考えております。

 

4.競争優位性の確保

 今後も成長を持続していくためには他社との差別化が急務であり、サービスの優位性を高めるための機能強化・追加が必要不可欠であると認識しております。当社は、特定分野・技術に固執せずに、新しい技術分野にも取り組みながら、幅広い技術分野を網羅し、最適なものを組み合わせてサービスを提供することを重視しております。IoT、AI、クラウドに加えて、量子コンピュータ等の先端技術、Web、モバイル、ビッグデータ解析、優れた顧客体験を実現するUI/UXのノウハウ等の様々な技術・知見に、アジャイル開発等の開発手法を用いることにより、顧客ニーズに柔軟に対応できることが当社の事業展開上の強みとなっていると認識しております。今後も当社の付加価値を上げる取り組みを実施してまいります。

 

5.コーポレート・ガバナンス体制及び内部管理体制の強化

当社は、今後もより一層の事業拡大及び成長を見込んでおります。そのため、事業拡大・成長に応じた内部管理体制の強化が重要な課題であると認識しております。経営の公正性・透明性を確保すべく、コーポレート・ガバナンスを強化し、適切な内部統制システムの構築を図ってまいります。

 

6.健全な財務基盤の構築

財務基盤の健全性を維持しながら、優秀な人材の採用及び育成、事業開発及び研究開発活動など、今後の事業拡大に向けた投資資金需要に対応すべく、事業資金を安定的に確保することが必要不可欠であると考えております。今後の資金調達手段としては、主に金融機関からの借入、エクイティファイナンスを検討しております。

 

(注)パブリッククラウド

広く一般のユーザーや企業向けにクラウドコンピューティング環境をインターネット経由で提供するサービスのことをいいます。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次の通りです。なお、特に記載のない限り、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものです。

人口問題や気候変動、災害リスクの高まりなど、社会を取り巻く環境の変化に加えて、ITの進化・普及によって企業活動から個人の消費・生活スタイルに至るまで社会トレンドがめまぐるしく変化する中で、企業が対応しなければならない社会課題やニーズは複雑化・多様化しています。

このような環境の下、当社は、ITの進化・普及による社会の変化の局面を更なる成長の機会と捉え、サステナブルな社会の実現に向けて、テクノロジーカンパニーとして様々な技術を活用し、DXの推進を通じて社会課題の解決・地球環境の保護に貢献することでクライアントとともに成長する、長期的な視点でのサステナビリティ経営を推進していきます。

 

(1) ガバナンス

取締役会は、サステナビリティを巡る課題について議論し、監督を行う責任と権限を有しております。広範なサステナビリティに関する課題に積極的かつ適切に対応するため、重要課題であるマテリアリティの特定、サステナビリティ関連のリスク及び機会を識別し、管理するための統制について審議し、方針等の決定を行ってまいります。

更に、サステナビリティ経営の推進に向けて、本社機能の最適化による経営基盤の整備について、人権・労働、コンプライアンス、リスクマネジメントの領域ごとに、衛生委員会及びリスク・コンプライアンス委員会にて協議・推進を行い、取締役会がこれらの活動を監督し、監査役会は、独立した立場から意見を行うこととしております。また、必要に応じて外部有識者の知見を得ながら、今後の外部環境の変化に対応し、全社的なサステナビリティ経営を推進してまいります。

 

(2) 戦略

当社は、Mission(存在意義)を「人に多様な道を 世の中に爪跡を」と掲げ、テクノロジーカンパニーとして様々な技術の活用を通じて、クライアントのDXを推進することで社会課題の解決に貢献し、事業を拡大してきました。当社が属するIT業界では、技術革新が絶え間なく行われております。このような事業環境の下で当社が継続的に事業を拡大していくためには、新技術に適時対応していく必要があると認識しており、新技術及び新サービスの開発に継続的に取り組んでおります。

今後、より一層のDX推進を行うために、株主・クライアント・従業員をはじめとするすべてのステークホルダーとともに、DX推進による社会課題の解決や持続可能な社会の構築に一層貢献することが重要と考えております。

当社は、上記事項の達成に向け、事業活動の中心は「人」であると考え、求める人材像を以下のように定め、一人一人の成長と組織の成長が連動し相乗効果を発揮することを目指しております。

「自立」:自立した姿勢で、常に前向きに物事に取り組み、最後までやり遂げる人材

「個性」:自らの強みや可能性を信じ、本質を追求し周りに影響を与える人材

「協働」:相互に繋がり、お互い助け合うことができる人材

 

① 人材育成

当社の競争力の源泉は、変化の激しいIT業界において、技術トレンドや社会ニーズをキャッチアップし続けることで「新技術に取り組む土壌」を形成し、その新技術と既存の技術を複合的に連携させる「技術結合力」、それを様々な業界などに展開する「展開力」で構成されております。

 


 

これらの優位性を維持・向上し続けるため、創業当初より、社員への新技術探求を奨励する仕組みを設け、新しい分野へ積極的に取り組むことを会社として後押しすることで、新技術に常に目を向け、チャレンジする文化を醸成してまいりました。これらを通じて会得した新技術を、より多くの業界・業種のクライアントのDX推進に繋げる「展開力」強化のために、技術に精通したセールス・マーケティング人材の育成も並行して推進してまいります。

 

② 個性の尊重

当社は、「個性をかき集めて、驚きの角度から世の中をアップデートしつづける」をVision(あるべき姿)として掲げております。これに基づき、年齢や性別、国籍等を問わず、多様な人材が様々な視点や価値観から議論を重ねることで、クライアントや社会が抱える多様な課題に対する最適なソリューションを提供しつづける企業でありたいと考えております。

そのため、事業活動において「人」が最も重要な要素であると認識し、社員の自己実現を促進するためのワークショップ等を行っており、社員一人ひとりが個性を尊重し、組織として最大限の価値発揮ができる風土を醸成しております。これらの取り組みの結果、社員それぞれの得意分野に関する自発的な勉強会が開催されるなど、個々の能力開発に繋がる機会が創出されております。また、採用においても特定のスキルや属性だけではなく、熱意や好奇心といった個性にも注目し選考を行うことにより、上記企業カルチャーの実現を目指しております。

 

 

③ 働きやすい環境づくり 

働き方に対する多様なニーズに対応すべく、サステナビリティ経営の根幹となる人材の確保・定着に向けて、当社ではリモートワークやフルフレックス制度の導入、育休取得の推進など、個人のワークライフバランスの実現を推進しております。加えて、社員の心理的安全性を担保するため、内部通報制度の制定、ハラスメントに関する研修の定期的な実施や、社員からの相談に迅速かつ適切に対応するための相談窓口を社内・社外に設置しております。

なお、働きやすさの指標として、当社で働く社員が自身の友人や知人を紹介したい会社であるかを、リファラル採用比率(当期のリファラル採用数を採用総数で除したもの)により評価しております。

 

④ 情報管理体制への配慮

当社は、クラウドやAIを活用しサービスを提供しています。これらのサービスは特性上、サイバー攻撃やプライバシー侵害に関する脅威への対策が重要であると認識しております。

サステナビリティ経営を推進するため、当社は、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)認証及びプライバシーマーク認証を取得し、各種情報の管理体制を整備するとともに、情報管理に関する社内規則等の整備や情報セキュリティ研修を定期的に実施しております。

昨今における外部からの不正アクセス、システム運用における人的過失、従業員の故意等による機密情報や個人情報の漏洩、消失、改竄又は不正利用等の、組織を取り巻くセキュリティリスクの拡大に対応すべく、外部専門家の助言により知見を深めるなど、常に情報管理体制のアップデートを行ってまいります。

 

 

(3) リスク管理

当社は、サステナビリティに関するリスクを含めた全社的な視点でのリスクマネジメントについて、取締役会の直轄組織としてリスク・コンプライアンス委員会を設置し、リスクマネジメントに向けた具体的なアクションプランの検討や、リスク発生時に迅速に対応を行う体制を整備しています。優先的に対応すべきリスクの特定に関しては、当社に与える財務的影響、当社の事業活動が社会・環境に与える影響及び発生可能性を踏まえて行われ、当委員会を通じたリスク対応状況の内容は取締役会へ報告されます。

当社におけるリスク管理の詳細については、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3事業等のリスク」をご参照ください。

 

(4) 指標及び目標

前述の戦略に基づく人材育成の方針及び環境の整備に沿った当社の取り組みに関する指標と実績は以下の通りです。なお、本報告書提出日現在において、当該指標についての目標は設定しておりません。

 

戦略

指標

20期

21期

個性の尊重と多様性の拡充

年代別

20代

39.6%

36.8%

30代

48.4%

48.1%

40代

11.0%

14.2%

50代

1.0%

0.9%

60代以上

0.0%

0.0%

男女別

男性

71.4%

73.6%

女性

28.6%

26.4%

外国籍社員の割合

7.7%

5.7%

女性の管理職比率

10.0%

11.1%

男女賃金格差

78.0%

76.5%

働きやすい環境づくり

リファラル採用の占める割合

18.8%

29.2%

入社3年以内離職率

新卒

0.0%

15.4%

中途

6.1%

13.2%

育休取得率

男性

80.0%

125.0%

女性

100.0%

 

※ 女性の育休取得率の「―」については、女性の対象者がいないため算出できないことを示しております。

 

 

3 【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。

  当社は、これらリスク要因を認識した上で、その発生自体の回避、あるいは発生した場合の対応に努める方針でありますが、これらはすべてのリスクを網羅したものではなく、予見しがたいリスク要因も存在するため、投資判断については、本項以外の記載内容もあわせて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

1.事業環境に関するリスク

 

(1) クラウド市場の動向について

リスクの内容

当社がクラウドインテグレーションサービスを展開するクラウド市場は、ICTを活用した業務の効率化に対する企業の期待やクラウドに対する注目度の高まりに伴って急速に成長しております。当社は、今後もこの成長傾向は持続すると予測しており、クラウド事業の多角化を積極的に展開していく計画であります。
しかしながら、経済情勢や景気動向の悪化等により、企業の情報化投資が低迷するような場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 

発生可能性

影響度

対応策

当社においては、AWSリセール、MSPを強化し、ストックビジネス拡大を進めることで、収益基盤の強化に努め、持続的な成長と企業価値の向上に努めています。

 

 

(2) 製品・サービスの関連性について

リスクの内容

当社は、クラウドインテグレーションサービスにおいてクラウド環境の設計・構築やアプリケーション開発を行うため、その基盤となるクラウドインフラを広げるための主な手段としてAWSリセールサービスをクライアントに提供しております。 
そのため、Amazon Web Services, Inc.の事業停止や代替サービス又は技術の登場等によりAWSリセールの成長が鈍化した場合、クラウドネイティブインテグレーションにおける開発サービス及び開発したアプリケーション等のMSPサービスの売上高の成長が鈍化し、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

発生可能性

影響度

対応策

当社は、AzureやGCPなど他のパブリッククラウドの活用に取り組み、複数のクラウドサービスを組み合わせて最適な環境を実現するマルチクラウド化を推進するとともに、新技術への対応を行うために優秀な人材の確保に取り組んでおります。

 

 

(3) AWSへの依存について

リスクの内容

当社は、クラウドインテグレーターとして、AWSのリセール及びその周辺ビジネスの拡大により売上高の持続的成長を実現してまいりました。従いまして、当社の成長はAWSの市場拡大に大きく依存しております。
当社は、AWSを含めたパブリッククラウドの市場規模は継続的に拡大していくものと認識しており、近年においては、AWSは事業ポートフォリオをIaaS(注1)からPaaS(注2)まで広げ、今後も更なる成長と市場の拡大が見込まれると考えております。
しかしながら、AWSの市場規模が縮小する場合やAmazon Web Services, Inc.の経営戦略に変更がある場合等には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

発生可能性

影響度

対応策

AWSの市場が急速に縮小する可能性は低いと考えられますが、AWSの市場動向、Amazon Web Services, Inc.の経営戦略について情報収集を行い、適切な経営判断ができるよう努めていきます。また、顧客の要望に応じて、AWS以外のクラウドサービスへの対応も進めます。

 

 

(4) Amazon Web Services, Inc.との契約について

リスクの内容

当社のAWSリセールについては、Amazon Web Services, Inc.とのSPA契約に基づいて行われております。当該契約は、当社又は同社のいずれかが解除事由への抵触を理由に解除を申し出た場合のほか、理由の如何に関わらず事前に解除を申し出た場合を除いて、継続するものとされております。
現時点では当該契約の解除事由に該当する事実は生じておらず、良好な関係を築いておりますが、今後当社が解除事由に抵触したこと等を理由に契約を解除された場合には、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

発生可能性

影響度

対応策

当社は、Amazon Web Services, Inc.からアドバンストパートナー、パブリックセクターパートナーとしても認定されており、今後も、Amazon Web Services, Inc.との関係性が良好なものとなるように努めていく所存です。
また、必要に応じて、AzureやGCPなど他のパブリッククラウドの活用にも取り組んでまいります。

 

 

(5) 業績変動の可能性について

リスクの内容

当社は、クラウドネイティブインテグレーション及びデータインテグレーションサービスのうち、請負型のプロジェクトについて、契約における取引開始日から完全に履行義務を充足すると見込まれる時点までの期間がごく短いプロジェクトについては、クライアントの検収に基づき売上高を計上しております。請負型の案件は、クライアントの年度末に検収時期が集中する傾向にあるため、12月~3月に売上高及び利益が増加する傾向にあり、プロジェクトの進捗や検収の遅延等により、第3四半期までに見込んでいた売上高及び利益が翌四半期にずれ込む場合には、当社の各四半期の業績に変動が生じる可能性があります。
また、プロジェクトは想定される工数や難易度を基に見積りを作成し受注をしておりますが、見積り作成時に想定されなかったクライアントとの認識の相違等により、工数が大幅に増加し、プロジェクトの採算が悪化する場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

発生可能性

影響度

対応策

当社は、プロジェクトの開発進捗についてクライアントと綿密にコミュニケーションを取ることで進捗管理を徹底するとともに、クライアントとの認識の相違等により想定工数が大幅に乖離することがないように見積り工数の算定を行い、計画通りに売上高及び利益の計上ができるように努めております。

 

 

(6) 価格競争について

リスクの内容

当社が属するクラウド市場における価格競争は、競合企業の新規参入により、今後更に激しくなることが予測されます。低価格競争が更に進展し、競合他社との差別化が有効に図れず、当社が提供するサービスの売上高が想定通りに増加しない、又は利益水準が悪化する場合等には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

発生可能性

影響度

対応策

当社においては、技術力の強化、サービス品質の向上等により、競争力の維持に努めております。

 

 

 

(7) 技術革新への対応について

リスクの内容

当社が属するIT業界においては、市場及びクライアントニーズ、技術の変化が非常に速く、それに基づく新サービス等の開発・導入が相次いで生じております。特に、昨今はOpenAI社が開発するChatGPTをはじめとした生成系AIの技術進歩が一層進むことが予想されます。これらの技術の進歩は、社会的な構造の改革を伴い、当社が関わるテクノロジー分野にも大きな影響を及ぼすことが予想されます。よって、技術革新、又はそれに伴い変化するクライアントニーズを捉えた新サービスの開発、導入及び品質確保等にかかる対応が遅れた場合には、当社サービスの競争力が低下する可能性があります。加えて、技術革新に対応するために必要となる追加投資等の支出が拡大した場合には、採算悪化による利益の低下に繋がり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

発生可能性

影響度

対応策

当社においては、このような変化を迅速にキャッチアップすべく、最新の技術動向等を注視し、最新の技術情報の収集とノウハウの習得に積極的に取り組んでおります。

 

 

(8) 為替相場の変動について

リスクの内容

当社のAWSリセールにおいて、当社とAmazon Web Services, Inc.との取引にかかるAWS月額利用料は、米ドル建てで計算されます。当社とクライアントとの契約の多くは従量課金の形態をとっており、日本円に換算後の利用料に対して当社の手数料率を加算した請求となっているため、当社において為替リスクは生じないこととなっております。
しかしながら、一部のクライアントとの契約においては、あらかじめ設定した固定の為替レートに基づく請求を行うため当社において為替リスクが生じ、その結果、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

発生可能性

影響度

対応策

一部の固定の為替レートを使用するクライアントとの契約については、一定のリスクを想定した為替レートを用いておりますが、実勢為替レートが契約時の想定よりも大幅に乖離した場合には為替レートを見直すことができることとしており、為替リスクによる損失を最小限に留めるための対策を講じております。

 

 

(9) 法的規制について

リスクの内容

当社は、一部のサービス提供に必要なことから、電気通信事業法上の電気通信事業者として届出を行い、受理されております。現在において、当社の事業に対する同法による規制強化等が行われるという認識はありませんが、社会情勢の変化等により当社の事業運営を制約する規制強化等が行われる可能性は否定できません。万が一、かかる規制の強化がなされた場合には、当社の事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
また、近年、インターネット関連事業を規制する法令は度々変更・追加がなされており、今後新たな法令等の規制がなされた場合には、当社の事業運営に影響を及ぼす可能性があります。

発生可能性

影響度

対応策

当社においては、法令改正の動向などの情報収集を適宜行い、適時に対応できるようにすることによりリスクの軽減を図っております。

 

 

 

2.事業運営に関するリスク

(1) サービスにおける不具合・瑕疵等について

リスクの内容

当社が提供するサービスの納品・検収完了後において、重大な不具合・瑕疵等が発見された場合には、当社に対する信頼性を著しく毀損する可能性があり、取引先からの信用を失うとともに、不具合・瑕疵等に対する対応費用の発生、損害賠償責任の発生等により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

発生可能性

影響度

対応策

当社においては、クラウドインテグレーション及びデータインテグレーションサービスの提供・開発過程における提供・開発手順の標準化等により、不具合・瑕疵の発生防止に努めるとともに、「ISO /IEC 27001:2013」、sigfyサービスについて「ISO /IEC 27017:2015」を取得し、情報セキュリティマネジメントの品質維持・向上に努めております。

 

 

(2) 通信回線等の外部依存について

リスクの内容

当社が提供するサービスは、クライアントからAWSまでの接続サービス等の提供にあたり、通信キャリアから通信回線を調達しております。通信キャリアの提供する電気通信サービスに障害が生じ、代替手段の調達ができずに、サービスが長時間にわたり中断するなどの事象が発生した場合には、サービス提供完了時期がずれ込むことで、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

発生可能性

影響度

対応策

当社においては、障害に対して迅速に対応するべく、日次のシステム監視及び障害検出に関して、管理体制を強化し、障害発生の早期発見及び障害発生時の影響極小化のための体制を整えております。

 

 

(3) サービス中断の可能性について

リスクの内容

当社が提供するクラウドサービスは、地震等の自然災害、電力不足、停電、通信障害、テロ等の予見し難い事由により、停止あるいは遅延等の影響を受ける可能性があります。
また、コンピュータクラッキング、コンピュータウイルス、人的過失及びクライアント等の偶発的あるいは故意による行為等に起因するサービスの中断も、当社のサービスの提供を妨げる可能性があります。サービスの提供が中断し、当社の信用失墜又は事業機会の逸失が生じた場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

発生可能性

影響度

対応策

当社においては、社内周知徹底や運用テストの実施に継続的に取り組み、リモートワーク環境の整備などの事前準備を整えておくことにより、有事の際の影響を最小限に留めるよう努めております。また、システム障害によるサービス提供を中断する事態を回避するため、バックアップ回線による業務復旧体制の構築など、BCP(事業継続計画)の構築を推進しております。

 

 

(4) システム障害の発生について

リスクの内容

当社は、パブリッククラウドを活用したサービスを提供しておりますが、AWSが提供する各種サービスを提供するためには、インターネットの利用が不可欠な状態にあります。そのため、設備・システム上の問題、第三者によるサイバー攻撃、ハッキングその他不正アクセスなどが発生し、AWS自体にシステム障害が起きる場合には、これに起因して各種サービスの中断や品質低下により、当社の機会損失、顧客への損害の発生、サービスに対する信用性の低下等を招くことで、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

発生可能性

影響度

対応策

当社においては、こうした障害によるサービスの中断や品質低下を避けるため、システム構成の冗長化、拡張性のある設計といった対策を行っております。
また、AWS全体に障害が発生する場合にも備え、AzureやGCPなど他のパブリッククラウドの活用に取り組み、複数のクラウドサービスを組み合わせて最適な環境を実現するマルチクラウド化を推進することで、システムの強化を図っております。

 

 

 

(5) 特定人物への依存について

リスクの内容

当社は、創業取締役である2名(納富貞嘉・濱﨑陽一郎)が中心となり当社の経営を行ってまいりました。両名は、当社の経営方針・経営戦略の策定やその実行において重要な役割を果たしております。今後何らかの理由でいずれかが当社の業務を遂行することが困難になった時点で、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

発生可能性

影響度

対応策

当社においては、両名に過度な依存をしない経営体制を構築すべく、幹部社員への情報共有や権限委譲等に努めております。

 

 

(6) 優秀な人的資源の確保について

リスクの内容

当社の提供するサービスは、当社の技術本部を中心とした従業員による継続した役務に依存しております。当社の事業拡大に伴い、優秀な経営陣及び従業員を内部育成し、技術・営業・企画及び管理面において適切な人材を適切な時期に確保又は維持できなかった場合や、必要以上の人員数採用により労務費用を適切にコントロールすることができなかった場合、労働市場において想定よりも人件費が高騰した場合には、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

発生可能性

影響度

対応策

当社においては、様々な採用チャネルを活用して多様な人材の確保に努めるとともに、教育制度の充実等による適切な人材育成に努めております。
また、魅力的な報酬制度や公正な人事評価制度の構築、リモートワークの推進をはじめとした働きやすい労働環境の整備等、従業員の働きがいを維持・向上させるための取り組みを実施しております。

 

 

(7) 知的財産権について

リスクの内容

当社はこれまで、第三者の知的財産権を侵害したとして損害賠償や使用差し止めの請求を受けたことはなく、知的財産権の侵害を行っていないものと認識しております。当社は、第三者の特許権その他の知的財産権を侵害しないよう細心の注意を払っておりますが、万が一、第三者の知的財産権を侵害した場合には、損害賠償の負担が生じる可能性があります。
当社が属するDX市場において知的財産権の状況を完全に把握することは困難であり、当社の事業に関連する知的財産権について第三者の特許取得が認められた場合、あるいは将来特許取得が認められた場合、当社の事業遂行の必要上これらの特許権者に対してライセンス料を負担するなどの対応を余儀無くされる可能性があります。このような損害賠償及びライセンス料の多額の負担が生じた場合、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

発生可能性

影響度

対応策

当社においては、社内担当部門で慎重に調査を行うとともに、必要に応じて専門家と連携を取り調査可能な範囲で対応を行うことでリスクの軽減を図っております。

 

 

(8) 情報管理体制について

リスクの内容

当社は、AWSの導入や運用、又はクラウドサービス提供の過程において、クライアントの機密情報やユーザーの個人情報を取り扱う可能性がありますが、外部からの不正アクセス、システム運用における人的過失、従業員の故意等による機密情報や個人情報の漏洩、消失、改竄又は不正利用等が発生し、当社がそのような事態に適切に対応できず信用失墜又は損害賠償による損失や不正利用による想定外の通信料負担の発生等が生じた場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

発生可能性

影響度

対応策

当社においては、システム上のセキュリティ対策やアクセス権限管理の徹底に加え、2018年12月に情報セキュリティマネジメントシステム「ISO /IEC 27001:2013」、2024年2月にISMSクラウドセキュリティ認証「ISO /IEC 27017:2015」の認証を取得し、当該公的認証に準拠した規程・マニュアルの整備、運用等を行うことで、情報管理体制の強化に努めております。また、従業員に対する継続的な研修教育を行ってまいります。

 

 

 

(9) 新規事業展開について

リスクの内容

当社は、更なる事業成長と収益源の多様化を進めるため、積極的に新規事業開発に取り組む必要があると考えております。新規事業の展開にあたっては、市場規模及び当社シェアの推定による収益化の可能性や技術的な実現可能性などを十分吟味し、事業分野の選定及び計画立案を行ってまいります。
しかしながら、新規事業に伴うリスクを十分に調査や検証した上で実行する方針ではあるものの、投資時点や事業展開の開始時点で想定されなかった事象が起こる可能性があり、当初想定した効果や利益が実現されない可能性もあります。そのような場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

発生可能性

影響度

対応策

当社は、新規事業の概況や市場動向を注視しながら、適切なタイミングで事業の再編や構造改革を実施するように努めてまいります。

 

 

(10) 特定の取引先への売上高占有率の上昇について

リスクの内容

当社の2024年6月期における売上高について、当社の主要取引先である株式会社まちのわ、株式会社内田洋行の2社が占める割合は3割超となっております。当社は当該2社に対して、同社が提供するサービスで必要となるシステムの開発に加え、適切なクラウド環境を維持するためのメンテナンスおよびリセールサービスの提供を行っております。

当該2社とは良好な関係を築いており、現時点において取引関係に支障を来たす事象は生じておりませんが、万が一、契約関係が終了した場合には、当社の経営成績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

発生可能性

影響度

対応策

当社は、今後も該当する得意先との関係強化を図り、安定的な営業取引を含めて良好な関係維持をできるよう努めるとともに、他の取引先の売上高を拡大することで顧客ポートフォリオの分散を進めます。

 

 

3.その他

(1) 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

リスクの内容

当社は、当社の役員及び従業員に対するインセンティブを目的とし、新株予約権を付与しております。また、今後においても新株予約権を活用したインセンティブプランを活用していく方針であります。これらの新株予約権が権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。

発生可能性

影響度

対応策

当社は、既存株主の株式価値及び議決権割合の過度な希薄化が生じないよう、適切なインセンティブプランの活用について検討していく所存であります。なお、当事業年度末時点でこれらの新株予約権による潜在株式数は38,900株であり、発行済株式総数1,270,100株の3.06%に相当しております。

 

 

(2) 風評リスクについて

リスクの内容

当社は、高品質のサービスの提供に努めるとともに、役員及び従業員に対する法令等の遵守浸透や情報管理に対する意識の徹底を行い、経営の健全性、効率性及び透明性の確保を図っております。しかしながら、当社のサービスや役員及び従業員に対して意図的に根拠のない噂や悪意を持った評判等を流布された場合には、当社の社会的信用、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

発生可能性

影響度

対応策

当社は、引き続き高品質のサービス提供に努め、顧客と良好な関係を構築していく所存ですが、万が一、当該リスクが顕在化した場合には、速やかに削除要請等を行うとともに、顧問弁護士等と連携して警察への通報等も含めたしかるべき措置をとり、被害の回復へ向けた対応を行う所存です。

 

 

 

(3) 調達資金の使途について

リスクの内容

株式上場時の公募増資による調達資金の使途については、人員体制強化費用や広告宣伝費など、事業拡大に向けた投資に充当する予定です。
しかしながら、当社が属する業界において急速に事業環境が変化することも考えられ、現時点における資金使途計画以外の使途へ資金を充当する可能性があります。また、当初の計画に沿って資金を使用した場合においても、当社において想定した投資効果が得られない可能性があり、当社の事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

発生可能性

影響度

対応策

当社は、充分な資金計画を検討したうえで、事業展開の有効的な投資に努めてまいります。なお、資金使途に変更が生じた場合には、その旨を開示いたします。

 

(注1)IaaS

 Infrastructure as a Serviceの略で、仮想サーバやストレージなどの「インフラ」をインターネット経由で提供します。

(注2)PaaS

 Platform as a Serviceの略で、アプリケーションの開発・実行環境などの「プラットフォーム」をインターネット経由で提供します。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当社の財政状況、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

① 財政状態の状況

(資産)

流動資産は1,217,418千円となり、前事業年度末に比べ95,602千円増加しました。これは主に、現金及び預金が71,586千円減少した一方で、売掛金が55,922千円、長期開発案件の進捗により契約資産が58,524千円、仕掛品が27,222千円増加したことによるものであります。

固定資産は220,502千円となり、前事業年度末に比べ109,935千円増加しました。これは主に、本社オフィスの拡張及びサテライトオフィスの開設等により建物(純額)が55,429千円増加したことによるものであります。

 

(負債)

 流動負債は442,185千円となり、前事業年度末に比べ63,765千円増加しました。これは主に買掛金が49,730千円増加したことによるものであります。

固定負債は28,642千円となり、前事業年度末に比べ26,286千円減少しました。これは主に長期借入金が40,016千円減少したことによるものであります。

 

(純資産)

純資産は967,092千円となり、前事業年度末に比べ168,058千円増加しました。これは主に繰越利益剰余金が154,986千円増加したことによるものであります。

 

② 経営成績の状況

 当事業年度(自2023年7月1日至2024年6月30日)における我が国の経済は、急激な円安進行および東欧や中東における紛争の影響による資源価格の高騰に加え、欧米先進諸国を中心としたインフレの継続と金融引き締め等により、景気動向は緩やかに持ち直しつつも先行き不透明な状況で推移してきました。

 このような経済環境の中、当社を取り巻く国内IT市場においては、従前からの生産性向上や競争力強化を目的としたDXの需要に加え、生成AIの活用可能性に対する企業の需要及び社会的関心が高まっており、テクノロジーの活用による新たな価値創造に向けたデジタル化の流れがより力強いものとなっております。

 当社の事業においては、旺盛なDX需要を受け、クラウドインテグレーションサービスにおけるクラウドインフラ構築の取引が拡大していること等を背景に、当事業年度において、過去最高の売上高及び利益を実現しております。また、ChatGPTを活用した当社プロダクトの機能向上、クライアントが持つデータを基にしたオリジナルの生成AIアプリケーションの開発事例など、今後拡大が見込まれる生成AI技術の事業活用を迅速に開始しております。

 これらの結果、当事業年度の業績は、売上高は1,798,412千円(前期比17.4%増)、売上総利益は666,343千円(前期比26.5%増)、営業利益は207,117千円(前期比28.9%増)、経常利益は211,483千円(前期比42.6%増)、当期純利益は154,986千円(前期比52.2%増)となりました。

 なお、当社はDX事業の単一セグメントのため、セグメントごとの記載はしておりませんが、サービス別の業績の概要は以下の通りであります。

 

① クラウドインテグレーション

 AWSによるサーバインフラの構築・運用から、AWSのマネージドサービスを活かしたシステム開発を行う事業です。クラウドインテグレーションは、クラウドネイティブインテグレーション、リセール、MSPの3つのサービスで構成されており、クラウドインテグレーション全体の売上高は1,304,993千円(前期比12.6%増)となりました。

 各サービスの概況は以下の通りです。

 

①-1 クラウドネイティブインテグレーション

 当社が長年培ってきたソフトウェア開発力に、AWSのマネージドサービスを活かした開発環境を掛け合わせることで、信頼性と開発効率を両立したシステム開発を提供しております。

 既存案件の追加開発による拡大に加え、クラウド需要の加速に伴い新規契約も堅調に増加した結果、売上高は828,128千円(前期比34.5%増)となりました。

 

①-2 リセール

 AWSの専門的な知識と、様々な開発経験及び知見に基づく提案力を掛け合わせ、クライアントニーズに細かく対応したクラウド環境を提供しております。

 当事業年度においては、急速な円安進行に伴い、エンドユーザーが負担するAWS利用料が連動して増加したため、主に大口顧客におけるAWSのボリュームを抑制する調整が入った結果、売上高は335,843千円(前期比18.3%減)となりました。

 

①-3 MSP

 クラウド技術と当社が独自に開発した死活監視ツールや運用監視ツールを組み合わせることで、安定したインフラ運用を効率的に実現するサービスを提供しております。

 MSPは、納品するシステム規模が拡大したことに伴う単価向上の趨勢を踏まえた結果、売上高は141,021千円(前期比6.8%増)となりました。

 

② データインテグレーション

 AIやIoTなどの先進技術を駆使してデータの収集や解析を高度に行い、さらにクラウド技術も組み合わせることで、様々なクライアントの業務効率化や業務付加価値の向上をトータルでサポートしております。

 IoTシステム開発やAI/ビッグデータ解析への需要の高まりを背景に、取引数が順調に拡大した結果、売上高は373,951千円(前期比35.2%増)となりました。

 

③ その他(自社プロダクト等)

 クライアントの要望に合わせて開発したシステムから、汎用性の高いものをサービス化して提供しております。現在は、360度評価特化型人事評価サービスツールである「360(さんろくまる)」、主に学校や保育園向けの連絡網サービスである「sigfy」を展開しております。

 案件大型化による顧客単価の伸長及び顧客数の増加などの結果、売上高は119,466千円(前期比23.1%増)となりました。

 

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度から71,586千円減少し、776,362千円となりました。当事業年度末における各キャッシュ・フローの状況と、その主な要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により獲得した資金は56,675千円(前年同期は115,499千円の獲得)となりました。

 これは、クラウドネイティブインテグレーションサービスの売上規模拡大に伴う売上債権及び契約資産の増加額114,447千円、法人税等の支払額76,750千円等による減少があった一方で、売上規模拡大による税引前当期純利益211,483千円、仕入債務の増加額49,730千円等による増加があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により支出した資金104,672千円(前年同期は10,776千円の支出)となりました。

 これは、本社オフィスの拡張及びサテライトオフィスの開設等に伴う有形固定資産の取得による支出63,947千円、AI教習所株式会社への出資に伴う投資有価証券の取得による支出21,000千円等があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により支出した資金は23,590千円(前年同期は352,010千円の獲得)となりました。

 これは、長期借入金の返済による支出36,663千円等があったことによるものであります。

 

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当社の事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

b. 受注実績

当社の事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

c. 販売実績

当事業年度における販売実績をサービス区分別に示すと、次の通りであります。なお、当社は、DX事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

サービス区分の名称

金額(千円)

前期比(%)

クラウドインテグレーション

1,304,993

12.6

データインテグレーション

373,951

35.2

その他

119,466

23.1

合計

1,798,412

17.4

 

(注)最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は以下の通りであります。

 

相手先

前事業年度

当事業年度

(自 2022年7月1日

(自 2023年7月1日

  至 2023年6月30日

  至 2024年6月30日

金額

(千円)

割合(%)

金額

(千円)

割合(%)

株式会社まちのわ

270,960

17.7

451,531

25.1

株式会社内田洋行

256,873

16.8

234,755

13.1

 

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討は次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたりまして、採用した会計方針及びその運用方法並びに見積りの評価については、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果は様々な要因により大きく異なる可能性があります。

 

② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上高)

当事業年度においては、DX市場が拡大している中、お客様のDX化をともに考えるコンサルティング、システムの設計、開発、運用までの一貫したソリューションを行うことにより、売上高を順調に伸ばすことができました。特に、クラウド需要により大手企業との大・中規模契約の継続等により売上が増加し、売上高は1,798,412千円(前期比17.4%増)となりました。

 

(売上原価、売上総利益)

当事業年度における売上原価は、エンジニアの採用加速に伴う人件費の増加、及び、クラウド使用拡大に伴うAWSクラウド利用料の増加により、1,132,068千円(前期比12.6%増)となりました。以上の結果、売上総利益は666,343千円(前期比26.5%増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

当事業年度における販売費及び一般管理費は、事業拡大に伴う体制強化にかかる費用等の増加により、459,226千円(前期比25.5%増)となりました。以上の結果、営業利益は207,117千円(前期比28.9%増)となりました。

 

(営業外収益・営業外費用、経常利益)

当事業年度の営業外収益は、補助金収入等により、4,992千円(前期比322.4%増)となりました。営業外費用については、支払利息等により、626千円(前期比95.4%減)となりました。以上の結果、経常利益は211,483千円(前期比42.6%増)となりました。

 

(特別利益・特別損失、当期純利益)

当事業年度は特別利益、特別損失は発生しておりません。また、当事業年度の法人税等合計は56,496千円(前期比21.6%増)となりました。以上の結果、当期純利益は154,986千円(前期比52.2%増)となりました。

 

 

③ 資本の財源及び資金の流動性

当社のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載の通りであります。当社の資金需要は、事業規模拡大に向けた、主に人件費や採用費などの投資資金であります。財政状態等を勘案しながら必要に応じて金融機関からの借入による資金調達を行いますが、翌年度における借入計画はありません。

なお、当事業年度末における有利子負債(借入金)残高は43,349千円であり、現金及び現金同等物の残高は776,362千円であります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

 

相手先の名称

国名

契約の名称

契約締結日

契約内容

契約期間

Amazon Web Services, Inc.

アメリカ合衆国

AWS Solution Provider Addendum

2019年3月28日

AWSのソリューション販売契約

契約期間は定められておりません。

AI教習所株式会社

日本

業務提携契約書

2024年5月1日

先進技術を活用したDX推進により、自動車運転教習所業界の事業発展に貢献していくことを目的とした業務提携契約

2024年5月1日より1年間(自動更新)

 

 

6 【研究開発活動】

当事業年度の研究開発費の総額は、4,525千円となっております。主な活動は、衛星データを活用した農作物生産量予想モデルの構築に向けた開発であります。当社は単一セグメントでありますので、セグメント別の記載を省略しております。