文中の将来に関する事項は、当事業年度末において当社が判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は企業ミッションとして「『必要必在』と『生活提案』で、地域社会の喜びと夢を共創する」を掲げております。
そして将来当社が目指すべき姿(ビジョン)である「国内Nо.1の“Living Space Innovator”企業となる」を実現するため、2023年6月期から2025年6月期までの中期経営計画を策定いたしました。この中期経営計画の基本方針に基づく施策実行のため私たち従業員は、5か条の行動指針を遵守し、ミッション、ビジョンの実現に向けて業務に取り組んでおります。
<基本方針>
<行動指針(5か条)>
また、当事業年度の基本方針に「原点回帰と新しい企業文化の創造」を掲げました。これは、初心に帰り基本に忠実に行動するとともに、会社としての新たな価値観(VALUE)を共有していくという考えに基づくもので、創業者の想いを基本方針に込めております。
(2) 中長期的な経営戦略及び対処すべき課題等
当事業年度の基本方針「原点回帰と新しい企業文化の創造」を具現化するため3つの主要テーマを策定、これらを対処すべき課題と位置付け、課題解決に向けて様々な施策に取り組んでおります。
①「人への投資」
将来にわたる採用難や人財の確保に適切に対処するため、安心して働くことができる職場環境の整備等が、社員の働きがいやモチベーションの向上につながります。それらにより優秀な人財の安定的確保や地域社会・お客様からの支持の拡大につながり、そして企業価値の向上に資する一連の循環を生み出すことができます。
この好循環を生み出すため、安心して長く働ける職場環境の整備、給与・福利厚生面の処遇や教育体制の充実、事業活動への公平なチャレンジ機会の創出等が非常に重要であり、制度の見直し等を順次進めております。
②「同質化競争からの脱却」
新たな「出店戦略」と「商品戦略」の2つの戦略を実行することで、同業他店舗との差別化を図り同質化競争からの脱却を目指します。
「出店戦略」では、プロユースの職人の店「本田屋」の出店を推進するため、居抜き物件を活用した効率的でスピーディーな出店計画を実行、当事業年度は、2024年2月の宇都宮元今泉店(栃木県宇都宮市)、同年6月の立川幸町店(東京都立川市)を出店しており、引き続き本田屋の出店を進めてまいります。
「商品戦略」では、専門店の出店と合わせ、既存ホームセンターでの「本田屋のインショップ化」を推進いたします。当事業年度は、荒川沖店、守谷店、君津店、小山駅前店の4店舗で実施いたしました。引き続き、専門性の高い本田屋のノウハウをとりいれることで、既存店の資材・プロ用品売場を増強いたします。
また、店舗を出店している地域の活性化に資する様々なイベントの開催や広い敷地を生かしたテナントの誘致等により既存店の強化を図っております。
③「持続可能で豊かな社会実現に貢献」
豊かな未来と脱炭素社会を実現するため、「環境負荷の少ない店舗づくり」を目指し、自社店舗での太陽光発電・蓄電池システムによる再生可能エネルギーの利用を推進、またサステナブル商材も積極的に投入いたします。
地域社会との連携では、台風や地震等の自然災害に備え当社が出店している地方自治体との災害時の災害協定等の締結のほか、地域活性化・防災のための共催イベントの開催等により地域社会貢献活動を推進してまいります。
また、当社は2025年度の基本方針として、「ジョイフル本田のファンをつくる!!」を掲げました。私たちの商売の原点はお客様の「不の解消」によって生まれる「驚き」や「感動」、「発見」といった付加価値の提供であり、これはリアル店舗の使命であると考えております。
これまで私たちが大事にしてきた価値観「お客さまの喜びが私たち(企業)の喜び」に基づき創造的に「不」を見つけ、その解消方法を考え、提供してまいります。
全社員がこのことを強く意識し、さらなる成長を継続することで、企業価値を高めてまいります。
当社は、サステナビリティ基本方針に基づき、サステナビリティを巡る様々な課題への対応が経営上の重要な課題であると認識し、それらを経営に取り込むことにより「持続可能な社会の実現」と「当社の持続的な成長」を目指しております。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末において当社が判断したものであります。
サステナビリティ基本方針
・企業活動によって生じる環境への負荷の低減に取り組み、地球環境への配慮と循環型社会の構築を目指します。
・地域社会への参画を通じて、地域の皆さまのより豊かな生活環境づくりに貢献します。
・安心・安全な商品・サービスを提供し、社会からの信頼を築きます。
・個人の人権や多様な価値観を尊重するとともに、働きがいのある職場環境の実現に努めます。
・すべての法令等および社会規範を遵守し、公正で誠実な企業活動を行います。
当社は、サステナビリティ基本方針の下、社会的課題における循環型社会の構築に向けた気候変動に関する取り組みや、人権や多様な価値観を尊重し働きがいのある職場環境の醸成等に関する戦略・計画の策定、目標とすべき指標の設定等について検討を行うとともに、実施状況のモニタリング等を行う機関としてリスク・コンプライアンス委員会、サステナビリティ委員会を設置しています。
代表取締役社長は、業務執行の最高意思決定機関である経営会議の議長に就任しているとともに、リスク・コンプライアンス委員会、サステナビリティ委員会の委員長も担っており、リスク・コンプライアンスおよびサステナビリティ課題への対応を経営判断として評価・管理する上で、重要な責務を負っています。
経営会議およびリスク・コンプライアンス委員会、サステナビリティ委員会で協議・決議された内容は、四半期ごとに取締役会に報告しております。
取締役会は、報告をもとにリスクおよび機会に対する取り組みに関し、進捗管理・目標達成状況の監督と対応策の承認および必要な助言を行っております。
<組織体制図(2024年6月20日現在)>

② リスク管理
当社は、リスクマネジメント部が主体となり、各部署と連携し、リスク・コンプライアンスおよびサステナビリティに関連するリスクと機会についてリスクマトリクスを作成、その機動的な見直しにより網羅的に抽出し評価・識別しております。評価・識別については、事業への影響度を勘案し、重要なリスクと機会を特定しており、特定したリスクについては、リスク管理規程に基づき管理しております。
気候変動に関するリスクおよび機会に対しては、リスク・コンプライアンス委員会と連携したGX推進チームが事業への影響を把握するため幅広く情報収集・分析を実施しております。今後は、シナリオ分析で抽出した移行リスク、物理的リスク、および機会をより詳細に分析し、重要と評価された項目については、企業のリスクおよび機会として捉え、サステナビリティ委員会を中心にリスク・コンプライアンス委員会等と連携し対応してまいります。
人的資本に関するリスクおよび機会に対しては、リスク・コンプライアンス委員会において、リスクと機会の特定や取締役会への報告を行っており、特定された人的資本リスクと機会について、リスク・コンプライアンス委員会において施策の検討や進捗状況のモニタリングを行っております。また、様々な窓口を開設して、人的リスクと機会の両面から直接的な情報の収集を行い、リスク低減と機会の活用に向けて取り組んでおります。
当社はTCFD提言への取り組みとして、より豊かな未来のため「環境負荷の少ない店舗づくり」や「商品を通じた環境活動の推進」などに取り組み、店舗での商品やサービスの提供のみならず、地域社会を豊かにするための幅広い活動を行っております。
TCFD※1の提言は、気候変動に関する「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の開示を推奨しており、当社はこの提言に沿った情報開示を進めてまいります。また気候変動が事業に与える影響(リスクと機会)についての分析をもとにリスクの低減および機会の獲得に向けた対策に取り組んでまいります。
なお、2023年6月には、TCFD提言への賛同を表明しました。
※1 TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)…気候関連財務情報開示タスクフォース
① ガバナンス
気候変動に関するガバナンスは、前述のサステナビリティ課題全般のガバナンスに組み込まれております。
② 戦略
TCFD提言では「戦略」の項目において「2℃以下シナリオを含む様々な気候関連シナリオに基づく検討」を行うことを推奨しております。
本提言に基づき、シナリオ分析においては、パリ協定の目標であり移行面で影響がより顕著に顕在化する2℃以下(1.5℃/2℃)シナリオと、物理面での影響がより顕著に顕在化する4℃シナリオの2つを選択し、IEA※2が発行しているWEO※3等のデータをもとに、2050年における財務への影響について定性的に評価しております。
※2 IEA(International Energy Agency)…国際エネルギー機関
※3 WEO(World Energy Outlook)…世界エネルギー見通し
2℃以下シナリオの世界
脱炭素社会に向けた規制強化や抜本的な技術革新が進み、社会が変化することで気温上昇が持続可能な範囲で収まるシナリオ
(1.5℃ IEA「Net-Zero Emissions by 2050 Scenario」を参照)
(2℃ IEA「Announced Pledges Case」を参照)
4℃シナリオの世界
脱炭素社会に向けて既存政策以外有効な対策が打ち出されず、気温上昇が継続し、異常気象や自然災害が激甚化するシナリオ
(IEA「Stated Policies Scenario」を参照)
リスク・機会及び財務インパクト評価
2℃以下シナリオ
4℃シナリオ
※4 時間軸は以下のように定義
短期:2025年頃
中期:2030年頃
長期:2050年頃
各シナリオにおける影響と対策・方針
2℃以下シナリオ
※5 CPPA(Corporate Power Purchase Agreement)…企業や自治体などの法人が発電事業者から電力を長期に購入する契約
※6 GX Store…カーボンマイナスを目指す次世代店舗
(※GX Storeは株式会社アイ・グリッド・ソリューションズの登録商標)
4℃シナリオ
③ リスク管理
気候変動に関するリスク管理は、前述のサステナビリティ課題全般のリスク管理に組み込まれております。
④ 指標と目標
温室効果ガス(GHG)排出量を指標としScope1,2に関して2013年度比で2025年に43%削減、2030年に51%削減、さらに2050年までにカーボンニュートラルを目標としております。また、GHG排出量の算定においては、当事業年度中に社内外データ収集の仕組みの構築、算定システムの導入により、Scope3の把握、早期集計・開示を可能にする体制を整備しております。
なお、2025年度目標につきましては、当事業年度中に1年前倒しで目標を達成しており、引き続き2030年度の目標達成、2050年度のカーボンニュートラルを目指し、各施策の取り組みを推進してまいります。
実績
※ 算定期間は7月~翌年6月
※ Scope3排出量は、算定期間拡大により増加する可能性あり
目標
① ガバナンス
人的資本に関するガバナンスは、前述のサステナビリティ課題全般のガバナンスに組み込まれております。
② 戦略
当社における、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。
人材育成方針
・社員の働く環境に配慮し、社員を個人として尊重し、一人ひとりの能力・適性や意思を重視した配置・異動・昇進を行います。
当社は、ミッション「『必要必在』と『生活提案』で地域社会の喜びと夢を共創する」等の経営理念に基づき、「人事ポリシー」を制定し、中長期的な視点をもって人材育成に取り組んでおります。急激なスピードで求められている働き方の改革や異業種を含めた企業間競争の激化等の当社を取り巻く社会環境の変化に対応するためには、お客様に満足や喜びを提供するプロフェッショナル集団として、より一層の成長を遂げていかなければなりません。社員が自らの力のみならず、協働者の知識・技術やスキルを総合的に生かしてお客様に満足や喜びを提供できる人となり、チームプレーを通じて組織としての成果をあげていくことができるよう、社員には「自ら考え行動できる人材」としての成長を求め、そのための機会を「未来志向で変化に挑戦する」という行動指針の実践を通じて提供し、プロフェッショナル集団としての人材育成に取り組んでおります。
<人事ポリシー>
(コミュニケーション重視と合理性・公正性・透明性の追求)
1.社員とのコミュニケーションを重視し、合理性や公正性そして透明性を追求した人事制度の構築・運用を行うことで、社員への説明責任を誠実にはたしていく
(「職群」を基軸とした人事管理)
2.人事制度の構築と運用にあたっては、業務内容や責任権限の度合い、また期待される役割や貢献のあり方の違いによって社員を類別した「職群制度」を基軸とし、各職群の定義を明確にしたうえで、各職群に相応しい評価、処遇、育成を行っていく
(個の尊重と能力・適性の重視)
3.社員の働く環境に配慮し、社員を個人として尊重し、一人ひとりの能力・適性や意思を重視した配置・異動・昇進を行っていく
(成長機会の提供)
4.社員には「自ら考え行動できる人材」としての成長を求め、そのための機会を「未来志向で変化に挑戦する」という行動指針の実践を通じて提供していく
(職責基準の給与決定)
5.公正性の高い処遇を実現するために、社員各人が担っている職責の大きさとその職責の遂行度を基準とした給与決定を行っていく
(付加価値および経営成果の配分)
6.「人件費の源泉は付加価値である」との考え方のもと、総額人件費は付加価値の大きさによって決定するとともに、「経営成果配分」の考え方のもと、目標を上回る利益があった場合は、その一定割合を社員に配分する
(業績貢献度に応じた賞与決定)
7.社員にはみな「利益創出への貢献」を求め、賞与支給にあたっては、各人の業績貢献度に応じて報いることを基本としていく
(働きがいを高める施策の実行)
8.社員の働きがいの状況については定期的に把握し、働きがいを高めるための施策を不断に考え実行していく
社内環境整備方針
・社員とのコミュニケーションを重視し、合理性や公平性、透明性を追求した人事制度の構築と運用を行うこと、また、社員の働きがいの状況について、定期的に把握し、働きがいを高めるための施策を不断に考え実行します。
当社は、人材育成方針に沿った取り組みを進めるとともに、個人の人権や多様な価値観を尊重し、働きがいのある職場環境の実現に努め、中核人材の育成および女性・中途採用者が能力を十分に発揮できる環境の整備を推進しております。人事制度の構築と運用にあたっては、コミュニケーション重視と合理性・公正性・透明性を追求し、『職群制度』を基軸とした人事管理を行っていくことで、制度の一貫性や整合性、安定性や継続性を担保し、社員の経営に対する信頼を高めてまいります。また、OJTトレーナーを要所に配置し若手社員の育成、売場運営に必要不可欠な知識・技術等を習得するための多様な研修制度と組み合わせ、人的資本の強化を図っております。プロフェッショナル集団であるためには、社員一人ひとりが働きがいをもち、仕事と会社に誇りや魅力を感じていることが欠かせないため、経営層や管理職は、メンバー全員の力を総合的に生かして業績目標を達成していくことを実践し組織としての成果を上げ、働きがいのある職場環境の実現に努めてまいります。
当社では、テレワーク勤務を採用しております。対象者にはモバイル端末を積極的に貸与することにより、業務効率化や通勤の負担軽減、育児や介護と仕事の両立の一助となるなど、社員にとっての仕事と生活の調和を図るための改善に取り組んでおります。アフターコロナにおいては、一部オフィス回帰の動向もみられるものの、社員それぞれがテレワーク勤務のメリット・デメリットを理解し、また、個別の事情に対応できる働き方として継続してまいります。
これらの取組みを通じて、社員の働き方の選択肢を広げ、個人の能力を十分に発揮できる環境を整備して、社員からの信頼の向上につなげていくとともに、働きがいの状況について定期的に確認することを通じて、働きがいを高めるための施策を不断に考え実行してまいります。
<人材の多様性の確保を含む人材の育成・社内環境整備に向けた取り組み>
当社のミッションである「『必要必在』と『生活提案』で地域社会の喜びと夢を共創する」を実現するために、個人の人権や多様な価値観を尊重するとともに、働きがいのある職場環境の実現に努めております。具体的には以下の環境を整備しております。
(イ)女性の活躍推進
近年、多くの女性社員が活躍をしておりますが、当社の女性管理職は、現在、4名(1.9%)であり、女性管理職の登用は積極的に取り組む必要があります。ゆえに、管理職に対する自主的かつ測定可能な目標を設定するのではなく、女性管理職の増加・推進のための社内環境を整備することが重要であると考えております。そのため、2021年より、女性活躍推進委員会(現ダイバーシティ推進委員会)を発足させ、問題点を抽出するとともに、改善策を提案し、あるべき姿に向けての実行施策を継続することで、複数人の女性管理職を登用していきたいと考えております。
ダイバーシティ推進委員会
2022年6月期に発足した「働き方改革プロジェクト」を発展的に拡大し、2023年11月よりダイバーシティ推進委員会として組織化しております。現場の問題点を多角的に取り上げ、解決を目指すことで、働きやすさと仕事のやりがいをより実感できる会社にしていく狙いです。女性活躍を推進するのみならず、新入社員から中堅層まで年齢・性別や正規・非正規を問わず、能力をいかんなく発揮できるような組織風土を目指します。
※ 女性活躍推進法に基づく情報・行動計画は、以下のウェブサイトで開示しております。
https://positive-ryouritsu.mhlw.go.jp
(上記の「女性の活躍・両立支援総合サイト」にアクセスいただき、企業名「ジョイフル本田」を入力・検索し、「データベース」を選択のうえ、「女性の活躍推進企業データベースサイト」の「働きがいに関する実績(女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供)」「働きやすさに関する実績(職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備)」「その他関連する取組」の情報をご確認くださいますようお願い申し上げます。)
(ロ)中途採用者の管理職への登用
2023年6月期においては、2名を管理職として採用しております。また、2024年6月期は、3名を採用しました。現在、管理職に占める中途採用の割合は、47.8%となっております。
(ハ)研修制度
当社は、新入社員研修等を定期的に実施するとともに、研修用資料としての業務マニュアル、売場運営に必要不可欠な知識・技術を習得するための動画マニュアルを店舗に配信しております。また、本社に専任のOJTトレーナーを配置することで、組織的にOJTを推進するとともに、店舗においては兼任のOJT担当者を配置し、メンター的な役割を担うことで、人的資本強化に努めております。なお、2024年6月期における研修実績は以下のとおりです。
研修実績
※ 研修実績は知識・技術研修を除く
(ニ)評価制度
当社のはたすべき使命はミッションである、「『必要必在』と『生活提案』で地域社会の喜びと夢を共創する」ことであります。当社の目指す姿であるビジョンに到達するために、ミッションから派生した価値観である行動指針(5か条)が大切であると考えており、その行動指針(5か条)を当社が社員に求める行動特性として評価項目にすることにより、社員の成長、企業の価値向上ひいては、地域のみなさまへの貢献につながるものと考えております。
<行動指針(5か条)>
1.お客様基点で全てを発想する
2.お客様の“不”の解消を続ける
3.未来志向で変化に挑戦する
4.常に謙虚な気持ちで感謝を忘れない
5.倫理・道徳を重視し、共に成長する
(ホ)仕事と家庭の両立支援
社員が子育てと仕事を両立させることができる環境をつくることによって、心理的安全性を高め、すべての社員がその能力を発揮できるよう様々な取り組みを行っております。男性の育児休業等・育児目的休暇取得率は、91.6%(2024年6月期)となっております。また、当社では、育児短時間勤務期間の延長など仕事と育児の両立のための制度を、法定を上回る水準で整備するとともに、男性の育児参加を促進する特別休暇制度を創設するなど、社員それぞれのライフスタイルに応じて、最大限能力を発揮できるよう、仕事と家庭生活の両立支援のための環境整備に取り組んでおります。2022年8月には、その取り組みや育児関連制度などの実績が認められ、「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣の認定(くるみん認定)を受けております。
※ 次世代育成支援対策推進法に基づく情報・行動計画は、以下のウェブサイトで開示しております。
https://positive-ryouritsu.mhlw.go.jp
(上記の「女性の活躍・両立支援総合サイト」にアクセスいただき、企業名「ジョイフル本田」を入力・検索し、「両立ひろば」を選択のうえ、「一般事業主行動計画公表サイト」の「企業データ詳細」の情報をご確認くださいますようお願い申し上げます。)
(ヘ)働きがい調査の実施
当社の「人事ポリシー」にありますとおり、「働きがいの状況については定期的に把握し、働きがいを高めるための施策を不断に考え実行していく」との考えのもと、毎年「働きがい調査」を実施しております。働きがいのある会社とは、会社や経営者と社員との間に「信頼」があり、一人ひとりの能力が最大限に生かされ、働く楽しさが実感できる企業であると考えております。そして毎年、「信頼」について、現在の状況を知ることで、先々の目指す姿である「国内No.1の“Living Space Innovator”企業となる」への道程を確認することが何より大切であると認識しております。また、働きがい調査は、過半数が社外取締役で構成され、社外取締役を委員長とする任意の報酬委員会が期初に承認する業務執行取締役および執行役員の目標(業績評価)に組み入れております。
(ト)健康経営の推進
「健康づくり推進事業所認定証」を取得
当社は、個人の人権や多様な価値観を尊重するとともに、働きがいのある職場環境の実現に努めており、社員一人ひとりの健康づくりの推進に取り組んでおります。また、2023年1月には、全国健康保険協会茨城支部より、当社の社員に対する健康管理、および健康経営への取り組みが積極的であるとの評価をいただき、「健康づくり推進事業所」の認定を受けております。
(チ)多様な働き方の推進
当社は、本人の病気および家族の介護等により転勤が困難となった社員や、諸事情により地域を限定して勤務を希望する社員がいる場合、エリアを限定して勤務することができる制度(エリア社員制度)を設けており、様々な働き方をサポートしております。また、テレワーク勤務を採用しており、オフィスでの勤務に比べて、働く時間や場所を柔軟に活用することが可能となっております。通勤時間の短縮および心身の負担の軽減、仕事に集中できる環境による業務効率化やそれに伴う時間外労働の削減、育児や介護と仕事の両立の一助となることも期待されることから、社員にとっての仕事と生活の調和を図る目的で導入しております。
(リ)「奨学金返還支援制度」の導入
当社は、社員が返済する奨学金の一部を会社が代理返還する「奨学金返還支援制度」(注)を導入し、運用を開始しております。本制度は、奨学金返済を行う社員の経済的・心理的負担を軽減することにより、安心して業務に専念できるとともに、自身のキャリアプラン・ライフプランを柔軟に描くことができる環境を整備すること、また、優秀な人材の確保や社員定着率の向上により当社の企業価値向上に資することを目的としております。
(注)返還義務のある奨学金の貸与を受け就学し、かつ、学校卒業から5年目までである正社員(新卒・中途採用・正社員登用者)を対象に、合計支援額上限120万円(1回あたり24万円を上限、最大5回まで)の返還を支援する制度。
(ヌ)時給制社員の再雇用年齢上限の延長および60歳以降の昇給制度の導入
当社は、時給制社員の再雇用年齢の上限を、現行の「満70歳の誕生日」から、「満75歳の誕生日以降最初に到来する3月15日」に延長いたしました。当社には、有益な技能を有する65歳を超える方が多数在籍しており、健康面においても不安がなく、気力溢れる有能な人材の社外への流出を防ぐこと、継続して当社での勤務を選択していただき能力を発揮していただく下地を作ることを目的としております。また、60歳以降の時給制社員も評価によって昇給ができる制度を導入し、運用を開始しております。
③ リスク管理
人的資本に関するリスク管理は、前述のサステナビリティ課題全般のリスク管理に組み込まれております。
④ 指標と目標
当社では、上記「①人的資本に関する戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
(注) 1.「有期労働者等」には、時給制社員および日勤社員を含めております。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末において当社が判断したものであります。
当社の出店地域においては、当社と同様の商品を取扱う他社の店舗が多数存在しており、今後も新店出店や業界の垣根を越えた他業態の参入、顧客確保へのデジタル戦略などによる競争が激化していくことが予想されます。これらにより、当社の業績および財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
他社との差別化を図る取り組みとして、企業ミッションに掲げる「『必要必在』と『生活提案』で、地域社会の喜びと夢を共創する」を具現化するため、専門性の高い資材・素材・工具等の積極的投入、各商品グループの品揃えの増強、EDLP(エブリデイ・ロープライス)商品の拡充、お客様に安心してお買い物を楽しんでいただける価格設定、海外直輸入商材の拡充、当社独自のプレミアム商品の企画・開発、新生活空間の提案を行い、発見のある魅力的な売り場づくりに取り組んでおります。
当社の店舗出店に際しては、「大規模小売店舗立地法」「都市計画法」「建築基準法」等様々な法令に基づく規制を受けております。これらの法令の改正や各都道府県等が定めた規制の変更に伴い、新規出店の開発期間が長期化した場合や、既存店舗の改装等が困難となった場合には、当社の業績および財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社としては、新規出店や大規模改装の際には、当該店舗における大規模小売店舗立地法等の法令規制の状況を把握するとともに、各行政機関と十分に協議した上で、現実的な出店計画を策定しております。
当社は、季節商品(冷暖房用品、アウトドア用品、園芸用品等)を数多く取り扱っております。このため、冷夏や暖冬、長雨、猛暑、厳冬等の天候変動により、来店客数や季節商品の需要動向が著しく変動するなど、当社の業績および財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクに対応するため、天候予測等に基づき商品のラインナップや販売商品の管理を徹底し販促強化に努めております。
また近年、発生頻度が高まっている局所的豪雨や大型台風、震災等による自然災害や事故・火災等の予期せぬ事態が発生し、事業活動に重大な支障が生じた場合にも当社の業績および財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
これらに対しては、火災保険や地震保険等に加入し、自然災害による損失リスクに備えると共に、緊急時の対応等を定めた事業継続計画(以下、BCPといいます。)マニュアルを策定、有事の際に迅速に災害対策本部を設置し、スマートフォン等を活用した安否確認サービスの活用により、災害状況の把握や従業員やその家族の安否確認等に努めております。
また、災害時を含め、お客様と従業員の安全が確保できる状況においては、可能な限り営業を継続し、地域インフラ等の復旧に役立てるよう努めております。
さらには、大規模自然災害や感染症拡大の影響による資金管理のため、取引金融機関に対してBCP対応資金として利用する資金調達枠(当座貸越枠)を設定しております。
コロナウイルス感染症のような感染症や疫病が拡大すれば景況感・雇用環境の悪化につながり、当社の業績および財務状況等に大きな影響を及ぼす可能性があります。当社としては、政府や各自治体の指針を順守し、お客様と従業員の安全を第一に考えて、安心してお買い物ができる環境づくりに努めてまいります。
①出店に伴う投資について
売場面積5万㎡規模の超大型店、売場面積3万㎡規模の大型店の出店に際しては、1店舗当たりの事業投資額が大きく、また出店した地域での店舗の認知度向上、安定した売上の確保までには相応の期間を要することから、当社の業績および財務状況に大きく影響を及ぼす可能性があります。
当社としては、綿密な事業投資計画の策定による業績への影響等について十分な検証を実施しております。また、初期投資が比較的少ない居抜き物件の再開発による出店についても推進しております。
②固定資産の減損について
当社は「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しており、今後地域の経済状況の変化等の事由により店舗の収益性が悪化した場合や保有資産の市場価値が著しく下落した場合等に減損処理を実施することがあり、これにより当社の業績および財務状況に大きく影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクに対応するため、当社の強みを伸ばし他社との同質化からの脱却、ホームセンター事業とリフォーム事業の融合、カーボンニュートラルの推進などに取り組み、収益の拡大と経費増大の抑制に努めてまいります。
③商品に関する法的規制について
当社は多種多様な商品を取り扱っており、それぞれの商品の特性や仕様に応じた法的規制を受けております。法令の改正等により商品の取り扱い自体が、困難となる場合や管理コストが増加することが予想されます。
これらにより商品の品揃えが不十分となり、業績および財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社としては、関係官庁および取引先等からの情報収集を綿密に実施し、コンプライアンスの周知と徹底を図り法令を遵守してまいります。
④商品調達と価格変動について
当社の仕入れルートに支障が生じて、商品調達ができなくなる場合や原材料等が価格変動の影響を受ける商品、為替相場の変動や海外情勢等の外的要因により仕入価格が高騰する商品等があり、これらの仕入価格の変動が生じた場合には、当社の業績および財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクに対応するため、複数の取引先、仕入先を確保し商品調達への支障を抑えるように努めております。
⑤システム障害について
当社は発注、入荷検品、仕入、売上等を基幹システムで処理しているため、ネットワーク障害、コンピューターウイルス、自然災害、人為的ミス等によるシステム障害が発生した場合やサイバー攻撃、不正アクセス、委託先の管理不備等により、重要情報の外部流出やサービスの大規模停止などのリスクが顕在化した場合、社会的信用の失墜のほか被害の規模によっては当社の業績および財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
これらのシステム障害時における代替業務運用構築に関して主要システムのサーバーを大手ベンダーのデータセンターにアウトソーシングし、リスク分散を図っております。サイバー攻撃等に対しては情報セキュリティー体制の整備を行うとともに、従業員の教育によりセキュリティー意識の向上をより一層進めてまいります。また、それらにより発生しうる損害賠償に備えるためにサイバー保険に加入しております。
⑥個人情報の保護について
当社が関与するシステムから個人情報の流失が発生した場合、当社の社会的信用の低下、損害賠償義務の発生など、当社の業績および財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクに対応するため、個人情報保護規程に基づき、情報管理の徹底と従業員やパートタイマーへの個人情報管理に関する教育を実施しております。
①財政状態及び経営成績の状況
当事業年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴う個人消費や旺盛なインバウンド需要により経済活動の正常化が進む一方、原材料・エネルギー価格の高騰等による物価上昇の影響から消費活動の停滞も懸念され、依然として先行き不透明な状況が続いております。
このような経営環境の下、当社は当事業年度の基本方針に「原点回帰と新しい企業文化の創造」を掲げ、初心に帰り基本に忠実に行動するとともに、会社としての新たな価値観(VALUE)を共有していくため、以下の3つの主要テーマの実行に取り組んでまいりました。
・「人への投資」
・「同質化競争からの脱却」
・「持続可能で豊かな社会実現に貢献」
「人への投資」においては、安心して長く働くことができる職場環境の整備や給与・福利厚生面の処遇の充実により、社員の働きがいやモチベーションが向上、これらが優秀な人財の安定的な確保やお客様、お取引先様、地域社会の支持の拡大につながり、さらには企業価値の向上に資する取り組みを行っております。具体的には以下の内容を実施いたしました。
・正社員の月額基本給のベースアップ
・正社員の「奨学金返還支援制度」の導入
・正社員の年間休日数を継続的に増加
・時給制社員の再雇用年齢を現行の70歳から75歳に延長
・時給制社員の60歳以降の昇給制度の導入
・職群転換の実施(時給制社員から正社員への登用)
・時給制社員に有給特別休暇「リフレッシュ休暇」を新設
・社員が自分らしく働ける「多様性を尊重した職場」の実現を目指して、社内の身だしなみルールの変更
また、ダイバーシティ推進の社外プロジェクトとして、女性社員が中心となり企画運営に携わったPOP-UPストア「JOYFUL Petit」(生活雑貨・グリーン・防災用品等販売)を株式会社丸井が運営する千葉県柏市の商業施設「柏モディ」に出店いたしました。この取り組みは、誰もが新たな事業活動にチャレンジできる機会を創出することになり、全社員がやりがいを持って働ける職場環境の醸成にもつながっております。
さらに店舗業務の効率化、生産性の向上に向けてDXを推進、セミセルフレジに続き、フルセルフレジやキャッシュレス決済専用レジを導入するなど、お客様の利便性の向上に努めました。このほか、棚卸業務を外注することで、社員が営業に専念する体制を整えました。
これらの取り組みにより、働きがい調査では、前事業年度を上回るスコアを記録することができました。
「同質化競争からの脱却」においては、「職人の店」をコンセプトとしたプロユース向け専門店「本田屋」の出店を加速、2024年2月に栃木県宇都宮市に宇都宮元今泉店、同年6月には東京都立川市に立川幸町店を出店いたしました。両店舗とも居抜き物件を活用し、出店費用を抑えつつ出店までの期間を短縮することで、効率的でスピード感のある出店戦略を実現、今後も既存のホームセンターとドミナントを形成しながら、専門店の出店を推進してまいります。
また、専門店の出店と合わせ、既存ホームセンターでの「本田屋のインショップ化」を推進、本田屋のノウハウをとりいれることで、既存店の資材・プロ用品売場を増強いたしました。当事業年度は、荒川沖店、守谷店、小山駅前店、君津店の4店舗が完了しております。その他の商品グループの各売場でも、高付加価値商品や専門性の高い商品を継続的に導入することで新たなニーズや提案を創出することにつながっております。
さらに新カテゴリーのサービスとして、戸建住宅や新築マンション等の傷のリペア(修理・修繕)事業を営む「有限会社和工房」を子会社化、お客様の住まいに関する困りごとにも幅広く対応することが可能となり、当社のリフォーム事業との融合を図り、シナジー効果の発揮に努めてまいります。
「持続可能で豊かな社会実現に貢献」においては、豊かな未来と脱炭素社会を目指し「環境負荷の少ない店舗づくり」に注力しており、自社店舗でのPPA(注)を活用した太陽光発電・蓄電池システムによる再生可能エネルギーの利用を推進、カーボンニュートラルの実現に向けて取り組みを強化するとともに、森林認証製品をはじめとした環境に配慮したサステナブル商材についても積極的に投入しております。
地域の活性化に向けた取り組みとしては、地方自治体、地元民間企業と連携し、地域のお客様とのコミュニケーションの場として共催イベントを開催しております。また、茨城県に本拠地を構えるプロバスケットボールリーグB.LEAGUEに所属する「茨城ロボッツ」とのスポンサー契約を締結、地域の皆様と一緒に「茨城ロボッツ」を応援するとともに、スポーツを通じた次世代育成と地域社会貢献活動を積極的に推進しております。このほか、集中豪雨等の自然災害に備え災害協定の締結を推進しており、当事業年度は、埼玉県幸手市(2024年3月13日)、群馬県吉岡町(2024年3月21日)とそれぞれ災害時の包括連携協定等を締結、本件により18の自治体と計20件の協定を締結いたしました。
(注)当社店舗の屋根などのスペースを利用し太陽光発電事業者が太陽光発電設備の設置・管理を行う事業モデル
これらの施策に取り組んでまいりました結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
(イ) 財政状態
当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べ12億37百万円減少し、1,596億89百万円となりました。
当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べ28億88百万円減少し、387億10百万円となりました。
当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べ16億50百万円増加し、1,209億79百万円となりました。
(ロ) 経営成績
当事業年度の売上高は1,268億94百万円(前事業年度比2.9%増)、営業利益は105億68百万円(前事業年度比4.8%減)、経常利益は116億45百万円(前事業年度比4.9%減)、当期純利益は90億91百万円(前事業年度比6.6%増)となりました。
なお、主要分野別および商品グループ別の売上状況は以下のとおりとなっております。
(主要分野別および商品グループ別の売上状況)
(a)「住まい」に関する分野
原材料の価格高騰や取得費用の増加に伴う住宅着工件数減少の影響により、木材・建築資材の売上が伸び悩みましたが、2023年4月にオープンした超大型店舗「ジョイホン吉岡店」や、職人向けの単独専門店「本田屋」を当事業年度に2店舗新たにオープンした効果、さらには既存ホームセンターでの「本田屋のインショップ化」の効果もあり、ブランド安全靴やファン付き作業着は引き続き好調に推移しました。一方で夏の猛暑の影響によりガーデン部門で花苗等の販売が、さらには暖冬の影響により暖房器具等の冬物季節用品が低調に推移しました。
以上の結果、当事業年度における「住まい」に関する分野の売上高は、720億95百万円(前事業年度比1.9%増)となりました。
(b)「生活」に関する分野
2023年5月から新型コロナウイルス感染症が5類へ移行したことにより、外出機会が増え行楽用品の需要が完全ではないものの回復しました。また、同年4月から自転車用ヘルメットが努力義務化され、サイクル用品の動向が良くなりました。ペット関連では犬猫譲渡会を継続開催し、フードやアクセサリーの販売につながっています。中でも、フードは機能性や自然素材を利用した高付加価値品の販売が好調に推移しました。さらに、防災意識の高まりにより、防災食や水等の備蓄品、ポータブル電源や簡易トイレといった防災用品の販売が好調に推移しました。
以上の結果、当事業年度における「生活」に関する分野の売上高は、547億99百万円(前事業年度比4.1%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前事業年度末に比べ75億64百万円減少し274億19百万円(同比21.6%減)となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は、以下のとおりであります。
営業活動の結果得られた資金は、126億72百万円の収入(前事業年度比29.2%増)となりました。これは主に税引前当期純利益129億78百万円、減価償却費36億56百万円、法人税等の支払額48億17百万円、未払消費税等の増加17億21百万円、棚卸資産の増加5億47百万円、売上債権の増加4億57百万円によるものであります。
投資活動の結果使用した資金は、90億59百万円の支出(前事業年度比17.1%増)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出85億98百万円、無形固定資産の取得による支出2億13百万円、有形固定資産の除却による支出2億2百万円によるものであります。
財務活動の結果使用した資金は、111億78百万円の支出(前事業年度比16.8%増)となりました。これは主に自己株式の取得による支出50億0百万円、長期借入金の返済による支出30億91百万円、配当金の支払額30億51百万円によるものであります。
仕入実績を主要分野別および商品グループ別に示すと、次のとおりであります。
(単位:百万円)
(注)当事業年度の②生活(c)その他のマイナス実績は、商品グループに組替できない仕入割戻によるものであります。
販売実績を主要分野別および商品グループ別に示すと、次のとおりであります。
(単位:百万円)
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末において判断したものであります。
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の報告金額および開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、主なものは以下のとおりであります。
・固定資産の減損会計
当社は、「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しております。損益報告などの企業内部情報と、経済環境や資産の市場価格など企業外部情報に基づき、資産または資産グループごとの減損の兆候を判定し、将来の経済環境や市場環境の変化を加味した上でその資産の帳簿価額の回収が見込めるかを考慮し、減損損失の認識を判定しております。減損損失を認識すべきと判断した場合には、資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損処理しております。回収可能価額の算定に当たっては、外部の情報源に基づく情報等を含む、財務諸表作成時において入手可能な情報や資料に基づき合理的に判断しておりますが、将来の不確実な経済条件の変動等により、将来キャッシュ・フローの見積額や回収可能価額の見直しが必要となった場合、翌事業年度以降の財務諸表において追加の減損損失が発生する可能性があります。
なお、財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(イ)財政状態
資産は、前事業年度末に比べ12億37百万円減少し、1,596億89百万円となりました。
これは主として、現金及び預金の減少75億64百万円、売掛金及び契約資産の増加4億57百万円、商品の増加5億89百万円、有形固定資産の増加51億93百万円によるものであります。
負債は、前事業年度末に比べ28億88百万円減少し、387億10百万円となりました。これは主として、長期借入金の減少29億32百万円、未払法人税等の減少12億80百万円、資産除去債務の減少11億69百万円、買掛金の増加7億24百万円、流動負債その他の増加17億48百万円によるものであります。なお、流動負債その他の増加の主な内訳は、未払消費税等の増加17億23百万円であります。
純資産は、前事業年度末に比べ16億50百万円増加し、1,209億79百万円となりました。これは主として、自己株式の取得49億99百万円、当期純利益90億91百万円の計上および剰余金の配当30億52百万円、その他有価証券評価差額金の増加5億25百万円によるものであります。
(ロ)経営成績
当事業年度においては、『原点回帰と新しい企業文化の創造』を経営の基本方針に掲げ、初心に帰り基本に忠実に行動するとともに、会社としての新たな価値観(VALUE)を共有していくため、「人への投資」、「同質化競争からの脱却」、「持続可能で豊かな社会実現に貢献」といった3つの主要テーマの実行に取り組んでまいりました。このうち「同質化競争からの脱却」では、「職人の店」をコンセプトとしたプロユース向け専門店「本田屋」の出店を加速し、2024年2月に宇都宮元今泉店(栃木県宇都宮市)を、同年6月に立川幸町店(東京都立川市)を出店しております。このほか、2023年4月にオープンしたジョイホン吉岡店(群馬県北群馬郡吉岡町)が売上高の増加に寄与しました。
以上の結果、売上高は、前事業年度に比べ35億32百万円増加し、1,268億94百万円(前事業年度比2.9%増)となりました。
売上総利益は、2023年4月にオープンしたジョイホン吉岡店(群馬県北群馬郡吉岡町)が寄与し、前事業年度に比べ5億59百万円増加し、405億74百万円(同比1.4%増)となりました。
営業利益は、人件費の増加や新店にかかる諸経費の発生等により、販売費及び一般管理費が増加したため、前事業年度に比べ5億27百万円減少し、105億68百万円(同比4.8%減)となりました。
経常利益は、営業外費用の増加により、前事業年度に比べ5億95百万円減少し、116億45百万円(同比4.9%減)となりました。
当期純利益は、資産除去債務戻入益の計上、減損損失の減少等により、前事業年度に比べ5億62百万円増加し、90億91百万円(同比6.6%増)となりました。
当社における資金需要の主なものは、運転資金(商品の仕入、販売費及び一般管理費の営業費用)および設備投資資金であります。
当社の資金の源泉は主として、営業活動によるキャッシュ・フローおよび金融機関からの借入による資金調達となります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。