文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは事業環境や顧客ニーズ、企業価値等のあらゆる変化に対応していくため、以下の5つの経営方針に沿って、課題解決に向けた戦略・施策を積極的に実施してまいります。
① 事業環境の変化に適応し、新領域へ挑戦
② 特化型SEの育成推進
③ サステナビリティ活動の強化
④ Trust relationship強化で、お客様の事業拡大への貢献
⑤ プライムビジネスの更なる拡大
(2)経営戦略等
当社グループは、2022年6月期から2024年6月期(当連結会計年度)の3ヵ年にわたる第6次中期経営計画「Acceleration of growth to 50th~(通称:アクセル50)」において、2022年6月期を基準に毎年10億円ずつ増収し、最終年度である2024年6月期に売上高230億円、営業利益17億円を達成することとしておりました。
最終年度にあたる2024年6月期の業績につきましては「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載のとおり、売上高・営業利益ともに目標を上回りました。
第6次中期経営計画の結果を踏まえて現在の事業環境等を勘案し、当社グループは2025年6月期(次連結会計年度)から2027年6月期の3ヵ年にわたる第7次中期経営計画「Become the strategic partner with IT(通称:BEIT50)」を策定いたしました。本計画では持続的な成長を目指して、事業環境や現状を勘案した上で、毎年の成長を目指します。具体的には、2025年6月期の計画を売上高270億円、営業利益20.5億円とし、これを基準に毎年売上高は15億円の増収、営業利益は1.5億円の増益を行い、最終年度である2027年6月期において、売上高は300億円、営業利益は23.5億円の達成を目標としてまいります。
(3)経営環境
我が国経済は、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されておりました。ただし、欧米における高い金利水準の継続や中国における不動産市場の停滞の継続に伴う影響など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっており、また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がありました。
当社グループの事業環境につきましては、顧客のソフトウェア関連の設備投資は緩やかに増加しております。引き続き中期経営計画に基づき今後の成長に向けた積極的な投資を行ってまいります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは経営方針に則り対処すべき課題を以下のとおり設け、その実現のための戦略・施策を実施してまいります。
①「事業環境の変化に適応し、新領域へ挑戦」についての課題
IT業界を取り巻く事業環境は日々変化を続けており、近年では生成AIやIoTをはじめ、企業がDXを実現するための新しい技術や仕組みが生み出され続けています。同時に社会のITへのニーズも旺盛かつ多様化しており、それらの需要に素早く対応することが、IT企業に求められています。これまでの企業固有なシステムの独自開発から、パッケージ製品や汎用的なサービスを活用してシステム構築するケースも増えております。労働市場においては、国内では人口減少・少子高齢化が進む中、業界内ではIT人材の需要が増加しており、その確保が困難になってきております。
当社グループにおきましては、これらのITニーズの変化を機会と捉え、得意とする独自開発を維持しつつ、パッケージ製品や汎用的なサービスへの対応に取り組んでまいります。また、IT人材の確保に対応するため、国内においては引き続き新卒・経験者の採用活動に尽力するとともに、海外のIT人材の活用に努めてまいります。
②「特化型SEの育成推進」についての課題
事業環境の変化に適応するためには、個々の技術者の技術力、プロジェクトマネジメント能力、業種業界に特化したノウハウや経験等を有する人材の育成が重要であります。
当社グループにおきましては、これらの能力に特化したスペシャリストの育成を推進するため、社員の能力に合わせたキャリアアップを推進し、個々のスキルアップを図ります。教育体制の強化に加え人材開発面への投資も行なってまいります。また、研究開発の成果やプロジェクトマネジメント等に関するナレッジを蓄積し、社員への共有を促進し、全社員の能力向上の効率化を図ります。
③「サステナビリティ活動の強化」についての課題
当社グループは、社員やお客様等、当社を取り巻くすべてのステークホルダーにより事業活動が成立すると考えております。また、長期的な視点で社会の持続可能性に配慮した、サステナビリティ経営を目指しこれまでもさまざまな取り組みを続けてまいりました。
このような状況の中、当社グループは今後もより一層、社会の持続可能性に配慮した企業活動を推進する所存です。事業活動として多種多様な領域へ情報技術を提供することにより人々の利便性向上を実現し、また、健康経営やダイバーシティ、CSR等の取り組みを強化することで当社に関わるすべてのステークホルダーのサステナビリティに貢献し、企業価値の向上を図ってまいります。
④「Trust relationship強化で、お客様の事業拡大への貢献」についての課題
当社グループは、各分野で付加価値の高い情報システムを提供することでお客様から信頼を獲得し、長く取引を継続していただくことをビジネスの基本としております。今後もこの関係性を維持強化したうえで、お客様の事業拡大により一層貢献できるパートナーを目指してまいります。また、システム開発のみならず、ソリューションやコンサルティング等の上位レイヤーから運用保守のレイヤーまで、幅広くワンストップでサービス提供することで、お客様との信頼関係をより一層強化してまいります。さらに、お客様のビジネスの変化にも対応するため、お客様の事業戦略を理解し、お客様の事業拡大に貢献できるよう努めてまいります。
⑤「プライムビジネスの更なる拡大」についての課題
当社グループは、プライム案件の受注拡大を推進し、取り組んでまいりました。その結果、製品・サービス、ソリューションの事業領域を一定量拡大することができましたが、更なる拡大を目指しています。
プライムビジネスの更なる拡大を図るため、事業変化への対応や特化型SEの育成を通じて、お客様からの受注拡大を推進してまいります。製品・サービス、ソリューションにおきましては、新たな製品開発のための投資や、展示会への出展や販促等のPR活動を強化し拡販を図るほか、業務提携先との連携による海外マーケットへの進出をより一層推進してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、特に記載のない限り文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社グループは、「情報技術で人と社会にやさしい未来を創造します」という企業理念を掲げ、持続可能な未来社会の実現への貢献を進めております。ガバナンス体制としては、サステナビリティ委員会を設置しサステナビリティに関する課題の特定を行っております。環境、労働と人権、倫理、持続可能な資源調達の4つのテーマを軸とし、それぞれ対応する部門が主管となり活動しています。
主管部門が各テーマにおける課題をサステナビリティ委員会へ付議し、サステナビリティ委員会は付議された課題に対して対策検討を行い、主管部門へ方針を示します。また、取締役会へ報告を行います。
内部統制委員会では、リスク・戦略についての議論・意思決定を行い、取締役会へ付議・報告を行います。サステナビリティ委員会と内部統制委員会では互いに全社リスクを共有し、整合を保ちます。
当連結会計年度においては、サステナビリティ委員会を計4回実施いたしました。
(2)リスク管理
当社では、取締役会と内部統制委員会にて企業価値を形成する有形・無形の資産や、企業価値を増大するための戦略を脅かすビジネスリスクを適切に管理するため「リスク管理規程」を定めております。事業活動に伴う重大なリスクの顕在化を防ぎ、万一リスクが顕在化した場合でも被害を最小限にとどめることで企業価値の維持・向上を図っております。
当社リスクの詳細は、「
(3)気候変動
① 戦略・指標及び目標
当社では、地球環境の保全を基本理念とした「環境方針」を定め、企業活動のあらゆる面で環境に配慮した活動を積極的に推進しております。環境負荷の低減と汚染予防として「紙、電力などの使用量の削減」「リサイクルの推進による廃棄物の削減」「業務を通じた環境負荷削減」といった活動を行っております。
環境方針に基づいて活動するために、「環境マネジメントシステム」を確立し、実施・維持・改善を行っております。
また、気候関連リスクを管理するために、温室効果ガス(GHG)排出量の測定と、削減目標を設定しており、Scope1+2+3においては2050年までに100%削減を目標としております。
Scope1+2における中期目標として2018年4月から2019年3月の1年を基準年とし2030年までに46%減を目標に掲げております。なお、2018年と過去3年間のCO2排出量と2018年と比較した削減率は下記のとおりであります。
|
|
(基準年) 2018年 |
2021年 |
2022年 |
2023年 |
|
CO2排出量(t-CO2) |
|
|
|
|
|
削減率(%) |
- |
21 |
27 |
26 |
(注)当社単体の実績を記載しております。
(4)人的資本
① 戦略・指標及び目標
当社では、経営理念の一つに「社員の能力発現や自己実現への挑戦を支援します」を掲げております。企業において社員は財産であり、社員及び協働者の健康に配慮した安全で働きやすい環境を整備するとともに、多様な人格や個性を尊重する気風を醸成し豊かな人間関係の形成に努めております。
a.ワークライフバランス
当社では、「仕事」と「生活」において双方の目的や共通点を見出し「協調」させることがワークライフバランスと考えており、制度を整備し良い風土を醸成していくように取り組んでおります。
イ 次世代育成支援対策推進法に基づく目標
目標 男性の育児参加を促進する
従来からある当社独自の両立支援制度を見直しており、男性育児参加の風土醸成及び育児と仕事の両立と男性育児参加の重要性を伝える機会の創出を行っております。
ロ 女性活躍推進法に基づく目標
目標1 管理職に占める女性割合を20%以上とする
女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供を目的とし、「管理職候補者の計画的育成」「キャリアアップへの意識啓発、キャリア意識の醸成を目的とした研修の実施」を実施しております。
女性管理職の割合は「
目標2 希望する社員の育児休業取得率
当連結会計年度の実績は以下のとおりであります。
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|
|
|
|
|
(注)当社単体の実績を記載しております。
b.健康経営
イ 健康経営 方針
|
企業理念である「情報技術で人と社会にやさしい未来を創造します」には、その達成のための基盤として、社員の健康が重要かつ不可欠であることから、会社をあげて、健康保持・増進をサポートする「健康経営」に取り組みます。
当社は健康経営を通じて、働きがいや生きがいを感じて仕事に取り組める『職場環境づくり』や定期健康診断などの定量的数値データから『健康課題の改善』を図るなど、社員が心身ともに健康で明るくハツラツと働ける会社を目指します。 |
|
ロ 健康経営 推進体制図
総務人事部の総務課/人事課、ダイバーシティ推進課、産業保健推進課が主体となり、外部機関や社員会、安全衛生委員会と連携をとり社員の健康維持・増進をサポートしております。
ハ 取り組み内容
当社の健康経営では、更なる心身の健康と、健康活動に結びつく知識や思考の醸成を目的とし、5本の柱として「豊かな睡眠」「健康を促進する運動」「生活習慣病等の予防につながる栄養バランス」「ストレス解消の促進」「煙のない環境づくり」にフォーカスし、取り組みを進めております。また、その中で新たな健康指標の策定を実施し、必要な項目については追加で取り組んでおります。
c.社員エンゲージメントサーベイの実施
当社では、エンゲージメントサーベイ(社員の期待と満足のギャップの調査)を行い、組織状態の可視化を行っております。その結果より、改善に注力すべきポイントを抽出し、より良い会社づくりに向けて様々な施策を検討、実施しております。
目標及び結果は以下のとおりであります。平均スコア値は50.0であります。
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|
2021年 |
2022年 |
2023年 |
2024年 |
||
|
8月 |
2月 |
8月 |
2月 |
8月 |
2月 |
|
|
目標 |
- |
45.0 |
48.0 |
50.0 |
51.0 |
52.0 |
|
結果 |
43.6 |
46.1 |
49.8 |
50.2 |
49.8 |
50.5 |
(注)当社単体の実績・目標を記載しております。
d.評価制度
当社の評価制度は「社員が安心して働ける会社」、「優秀な人材が早期登用され活躍ができる会社」を実現することを念頭においた制度となっております。下位等級は年功序列型とし、一定の等級まで安定的に処遇が上がりやすくなっております。一方、上位等級からは「能力&成果型」とし、より能力及び成果に応じて昇格する仕組みになっているため、成果に応じてスピーディに昇格できるようになっております。
e.特化型SEの創出
当社グループは、経営方針として「特化型SEの育成推進」を掲げております。事業環境の変化に対応するため、人材開発と研究開発に投資を行い、実プロジェクトでの経験値向上効果を高め特化型SEの創出を行っております。
イ 教育
当社では、各事業部に教育責任者を配置したうえで、人材開発・事業支援室が中心となり教育を推進しております。階層別研修と目的別研修の2つの教育体系をとっております。
階層別研修では、新入社員に始まり入社2年目以降の中堅社員、ユニットリーダーなどの監督者、課長・部長などの管理者、そして経営幹部に至るまで、各階層によって求められる技術や知識を体系的に学べる研修を実施しております。
目的別研修では、最新の開発技術やプロジェクトマネジメント手法の習得や資格取得など業務に特化した各種研修を実施しております。
また、社員自身の自己研鑽として「社員全員が四半期に1件以上の研修を受講する」ことを目標に掲げております。
当連結会計年度における四半期ごとの研修受講率は以下のとおりであります。
|
|
1Q |
2Q |
3Q |
4Q |
|
研修受講率(%) |
50 |
48 |
53 |
38 |
(注)当社単体の実績を記載しております。
ロ 資格取得推進
社員の技術力の向上、資格取得による技術力の見える化のため資格取得を推進しております。
IT基礎知識とIT技術力を強化するための独立行政法人情報処理推進機構(IPA)資格や各種ベンダー資格の取得と、マネジメント力とリーダー力を強化するためプロジェクトマネジメント資格の取得を推進しております。
資格取得の実績は以下のとおりであります。
|
2024年6月30日現在 |
||
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指標 |
実績 |
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1 |
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|
|
2 |
|
|
|
3 |
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(注)1 当社単体の実績を記載しております。
2 PMPはProject Management Professionalの略であり、PMI本部が認定しているプロジェクトマネジメントに関する国際資格となります。
3 資格保有率は、販売部門及び管理部門を除き算出しております。
本項においては当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると考えられる主要なリスクを記載しております。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社では、事業の推進によって生じ得るリスクの詳細を把握・分析しており、当該リスクへの対応については、「リスク管理規程」に定めております。また、重要リスクを掲げ、代表取締役社長を統括責任者、事業部長を責任者として自部門におけるリスク要因の洗い出し、及びその削除と軽減を図り、リスク管理体制の強化に努めております。
(1)特定顧客への依存リスク
当社グループの主要顧客はNTT/NTTデータグループと日立グループであります。当社グループは、主要なビジネスパートナーとして両グループと安定した取引を継続しており、2024年6月期の連結売上高に占める両グループの割合は38.7%となっております。
このため、両グループにおいて事業方針・外注政策に関する変化や業績悪化等が発生し当社グループとの取引額が減少した場合に、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
本リスクに対し、当社グループは中期経営計画の達成及び将来成長に向けて、顧客ポートフォリオの整理と重点顧客の明確化を継続して行っております。当連結会計年度においては、2024年6月期の連結売上高に占めるNTT/NTTデータグループと日立グループの割合は、前年度に対し3.5ポイント減少したものの、売上高は前年度に対し299百万円増加しました。両グループの売上高を拡大しつつ、その他の重点顧客の売上高をさらに拡大し、連結売上高に占める両グループの割合を減少させながら、全体の売上高を拡大していくことを目指しております。
(2)人材確保に関するリスク
当社グループが属する情報サービス産業全体における今般の人材不足及びその流動性の高まりにより、人材確保が計画どおりに進捗しない場合に、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
本リスクに対し、当社グループは経営方針「特化型SEの育成推進」等で従業員の採用や育成に注力しております。
(3)景気変動・顧客動向の変化に関するリスク
当社グループが属する情報サービス産業におけるソフトウェア開発の需要は景気の動向に大きく影響を受ける傾向があります。このため、国内外における経済動向の変化により景気が悪化し、顧客企業の情報化投資の需要が減退した場合に、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
本リスクに対し、当社グループは官公庁や金融、情報、製造、サービス、通信など、幅広い分野・業種へソリューションを提供することを強みとしていることから、国内外における経済動向の変化に対して特定の分野・業種に依存しない事業ポートフォリオを更に強化することにより、リスク分散に努めてまいります。
(4)技術革新・ビジネス革新等による市場喪失リスク
当社グループが属する情報サービス産業においては、新しい技術・ビジネスが急速に発展しております。予想を超える革新的な技術・ビジネスの進展に適切な対応ができない場合に、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
本リスクに対し、当社グループは先端技術や将来性のあるビジネス、ソリューションの創出に向けた調査・研究開発を積極的に推進しております。また、業務提携先である台湾の凌群電脳股份有限公司(SYSCOM)をはじめ、関係する海外企業とも連携しながら、最先端技術に関する情報収集や技術習得を積極的に行っております。
(5)情報セキュリティに係るリスク
当社グループが受託するシステム開発や提供するサービス、または自社にて利用する社内システム等においては、個人情報、顧客情報、及び公共性の高い情報を取り扱いますが、コンピュータウイルスの潜入や技術的、人為的な要因により情報の漏洩、破壊などを引き起こす可能性があり、これらの事故が現出した場合に、当社グループの企業価値が低下するとともに、業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
本リスクに対し、当社グループはプライバシーマークやISMSの認証を取得しているほか、情報セキュリティに対する社員の意識改革に取り組んでおります。また、全従業員及び協力会社の作業者に対して、定期的なセキュリティ教育を実施し、セキュリティ知識の定着、規範意識の向上に努めております。
(6)自然災害等に関するリスク、緊急性の物理的リスク
地震や風水害等の自然災害等が発生し、人材や事業所、機器等が被害を受け事業の継続が困難となった場合に、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
本リスクに対し、当社グループは「事業継続計画書(BCP)」を策定し、自然災害等の発生後にも事業を継続、または可能な限り迅速に事業を復旧するための体制を整備し、全従業員へ周知しております。
(7)為替変動リスク
当社グループは、海外に子会社の本店を持ち、日本国内および海外企業との取引を行っております。為替相場の変動は、円建てでの売上の低下やコストの上昇を招き、円建てで報告される当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
なお、現段階では取引額が少額であるため本件リスクに対するヘッジ手段となる取引は採用しておりません。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当連結会計年度(2023年7月1日~2024年6月30日)における我が国経済は、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されておりました。ただし、欧米における高い金利水準の継続や中国における不動産市場の停滞の継続に伴う影響など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっており、また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がありました。当社グループの事業環境につきましては、お客様のソフトウェア関連の設備投資は増加傾向で推移いたしました。
当社グループは、2022年6月期から2024年6月期の3ヵ年にわたる第6次中期経営計画「Acceleration of growth to 50th~(通称:アクセル50)」を掲げ、核である大手お客様向けシステム開発事業を継続しつつ、プライム事業、製品・サービス事業の拡大により、最終年度である2024年6月期に売上高230億円、営業利益17億円の達成を目標としておりました。
当中期経営計画の最終年度である当連結会計年度(2023年7月1日~2024年6月30日)の計画におきましては、2年目の計画を達成したこと、及び2023年7月よりグループ入りした日伸ソフトウエア株式会社が連結業績に寄与することとなるため、期初において計画の見直しを行い、売上高は253億円、営業利益は18.8億円を目指すこととしておりました。
以下の経営方針に基づいて、「アクセル50」の達成に向け活動いたしました。
a.事業環境の変化に適応し、新領域へ挑戦
b.特化型SEの育成推進
c.サステナビリティ活動の強化
d.Trust relationship強化で、お客様の事業拡大への貢献
e.プライムビジネスの更なる拡大
当連結会計年度における活動・成果は以下のとおりであります。
a.事業環境の変化に適応し、新領域へ挑戦
・バックオフィス業務のDX化を促進する新たなソリューション「OMFLOW(オーエムフロー)」をリリースし、お客様への導入に取り組みました。
・VRアプリやメタバース等の3DCGコンテンツの制作に活用可能なモーションキャプチャアプリ「everymo(エブリモ)」をリリースしました。
・お客様における生成AI、DXニーズに対応するため、SYSCOM社が開発したNeuroChain/NeuroCodieの日本国内への販売について業務提携し、AIソリューションへの取組みを一層強化いたしました。
b.特化型SEの育成推進
・DX推進に不可欠であるデータ利活用、AI技術等のスペシャリスト育成プログラムを継続して実施いたしました。
・資格取得支援制度を拡充し、社員が積極的に外部資格を取得できるように見直しました。
・リーダー層を対象として経営戦略や全社的な課題をテーマとした研修を実施し、広い視野を持つSEの育成に取り組みました。
c.サステナビリティ活動の強化
・ESG・環境影響を評価開示するプラットフォームであるEcoVadis、CDPへの回答を通じて、TCFDに準拠した情報開示と気候変動対策について取り組みを継続して実施いたしました。また、これらの取り組みにより各種スコアが向上しました。
・第一次産業に対するITによる問題解決について理解を深める目的で実施した社会活動により、神奈川県大井町から「おおいまちSDGsパートナー」に認定をいただきました。
・内閣府・中小企業庁などにより創設された「パートナーシップ構築宣言」の趣旨に賛同し、2023年6月期に登録したCIJとしてのパートナーシップ構築宣言を見直し公表いたしました。
d.Trust relationship強化で、お客様の事業拡大への貢献
・お客様との関係強化のための相互評価アンケートを配布し、お客様満足度の向上と信頼関係の深化に取り組みました。
・お客様、パートナー企業様との対面による会合を実施し、情報交換、コミュニケーション強化に取り組みました。
・自社及びパートナー企業様における労務費の上昇に対応し、これに伴い、お客様との間で適正な価格転嫁に関する取り組みを実施いたしました。
e.プライムビジネスの更なる拡大
・営業統括本部が持つ営業ノウハウの整備と共有により、システム開発受注のための営業力とお客様の問題解決を図る提案力を強化しました。
・全社の管理職級社員の営業コンピテンシーの調査、分析(診断)を行い、当社の営業パーソンとして強化すべき能力を明らかにしました。また、この調査結果をもとにした啓発点の明確化による営業力強化の取組みを開始いたしました。
・ホテル・旅館向け売掛金管理システム「ホテル売掛マイスター」について、販路の拡大を図るため、従来の直接販売に加えて販売代理店の活用に取り組みました。また、製品の知名度向上のため2024年7月よりTVCMを放映中です。
・社会福祉法人向け福祉総合システム「SWING」について、クラウドサービスへの移行が進む現況を踏まえ、クラウド移行・乗り換えキャンペーンを実施し、多くのお客様にご活用いただきました。
当連結会計年度における連結業績につきましては、公共分野、製造分野の受注が堅調に推移したこと、及び日伸ソフトウエア株式会社がグループ入りしたこと等により、売上高は25,733百万円(前期比12.6%増)となりました。利益につきましては、例年を上回るベースアップを実施したこと、及び日伸ソフトウエア株式会社のグループ入りに伴うのれん償却額が増加したものの、売上高の増収に伴い計画どおりに推移し、営業利益は1,964百万円(前期比7.4%増)、経常利益は1,993百万円(前期比8.4%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は連結子会社に係るのれん、固定資産等について減損損失を303百万円計上したことにより、948百万円(前期比17.0%減)となりました。
なお、減損損失を計上した理由は、一部の連結子会社において収益の伸長が当初の計画を下回ったことによります。当該子会社においては事業構造の見直しにより、生成AIの活用やDX推進のための活動における研究開発や製造をフィリピンの優秀人材が担い、当社グループのAIソリューション拡大に貢献してまいります。
当社グループの単一セグメントであります「システム開発及びシステム開発に関連するサービス(システム開発等)」の売上品目別の業績概況は、以下のとおりであります。
a.システム開発
公共分野、製造分野の受注が堅調に推移したこと、及び日伸ソフトウエア株式会社がグループ入りしたこと等により、増収となりました。
この結果、本売上品目の売上高は22,531百万円(前期比13.5%増)となりました。
b.コンサルテーション及び調査研究
公共分野、情報・通信分野における研究開発案件等の受注が堅調に推移したものの、一部技術支援案件の終了に伴い減収となりました。
この結果、本売上品目の売上高は1,004百万円(前期比3.1%減)となりました。
c.システム/パッケージ・インテグレーション・サービス
福祉総合システム、ホテル・旅館向け売掛金管理システムの受注が堅調に推移し、増収となりました。
この結果、本売上品目の売上高は746百万円(前期比8.1%増)となりました。
d.その他
運用保守、インフラ構築案件の受注が堅調に推移し、増収となりました。
この結果、本売上品目の売上高は1,450百万円(前期比14.0%増)となりました。
② 財政状態の分析
a.資産
流動資産は、前連結会計年度末に比べ199百万円減少し、14,265百万円となりました。主な要因は、売掛金が461百万円、契約資産が96百万円それぞれ増加したものの、現金及び預金が625百万円、有価証券が170百万円それぞれ減少したことによります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ920百万円増加し、4,232百万円となりました。主な要因は、投資有価証券が871百万円、のれんが82百万円それぞれ増加したことによります。
この結果、資産合計は、前連結会計年度末に比べ721百万円増加し、18,497百万円となりました。
b.負債
流動負債は、前連結会計年度末に比べ349百万円増加し、3,920百万円となりました。主な要因は、未払金が233百万円、買掛金が143百万円それぞれ増加したことによります。
固定負債は、前連結会計年度末から大きな変動はなく、67百万円となりました。
この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べ351百万円増加し、3,988百万円となりました。
c.純資産
純資産は、前連結会計年度末に比べ369百万円増加し、14,509百万円となりました。主な要因は、自己株式の取得等により自己株式が231百万円増加(純資産は減少)したものの、利益剰余金が405百万円増加したことによります。
③ キャッシュ・フローの状況
|
|
前連結会計年度 (2023年6月期) |
当連結会計年度 (2024年6月期) |
増減 |
|||
|
営業活動によるキャッシュ・フロー |
1,939 |
百万円 |
1,177 |
百万円 |
△761 |
百万円 |
|
投資活動によるキャッシュ・フロー |
1,730 |
百万円 |
△511 |
百万円 |
△2,242 |
百万円 |
|
財務活動によるキャッシュ・フロー |
△537 |
百万円 |
△893 |
百万円 |
△356 |
百万円 |
|
現金及び現金同等物の期末残高 |
9,185 |
百万円 |
8,958 |
百万円 |
△227 |
百万円 |
a.営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ761百万円収入が減少し、1,177百万円の収入となりました。主な収入内訳は、税金等調整前当期純利益1,690百万円、仕入債務の増加額72百万円であります。主な支出内訳は、法人税等の支払額1,042百万円、売上債権及び契約資産の増加額335百万円であります。
b.投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ2,242百万円支出が増加し、511百万円の支出となりました。主な支出内訳は、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出1,448百万円、投資有価証券の取得による支出800百万円であります。主な収入内訳は、定期預金の払戻による収入1,400百万円、有価証券の償還による収入570百万円であります。
c.財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ356百万円支出が増加し、893百万円の支出となりました。主な支出内訳は、配当金の支払額539百万円、自己株式の取得による支出303百万円であります。
これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ227百万円減少し、8,958百万円となりました。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
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2020年6月期 |
2021年6月期 |
2022年6月期 |
2023年6月期 |
2024年6月期 |
|
自己資本比率(%) |
81.9 |
80.6 |
82.4 |
79.5 |
78.4 |
|
時価ベースの自己資本比率 (%) |
88.5 |
83.7 |
86.9 |
135.2 |
143.6 |
|
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(倍) |
0.1 |
0.8 |
0.2 |
0.3 |
0.4 |
|
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
1,719.9 |
620.5 |
987.2 |
1,111.3 |
448.4 |
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
1 いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
3 キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
4 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としています。また、利払いにつきましては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を利用しております。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績は以下のとおりであります。
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セグメント及び売上品目の名称 |
生産高(千円) |
前期比(%) |
|
システム開発等 |
|
|
|
システム開発 |
18,072,324 |
14.4 |
|
コンサルテーション及び調査研究 |
790,056 |
△1.9 |
|
システム/パッケージ・インテグレーション・サービス |
502,897 |
4.0 |
|
その他 |
1,078,531 |
16.6 |
|
合計 |
20,443,810 |
13.5 |
(注) 上記金額は、製造原価によっております。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績は以下のとおりであります。
|
セグメント及び売上品目の名称 |
受注高(千円) |
前期比(%) |
受注残高(千円) |
前期比(%) |
|
システム開発等 |
|
|
|
|
|
システム開発 |
21,357,590 |
10.4 |
3,479,728 |
△25.2 |
|
コンサルテーション及び調査研究 |
1,134,592 |
18.1 |
305,858 |
73.7 |
|
システム/パッケージ・インテグ レーション・サービス |
715,503 |
△2.8 |
527,285 |
△5.6 |
|
その他 |
1,654,389 |
38.3 |
518,649 |
64.6 |
|
合計 |
24,862,077 |
11.8 |
4,831,520 |
△15.3 |
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績は以下のとおりであります。
|
セグメント及び売上品目の名称 |
販売高(千円) |
前期比(%) |
|
システム開発等 |
|
|
|
システム開発 |
22,531,176 |
13.5 |
|
コンサルテーション及び調査研究 |
1,004,854 |
△3.1 |
|
システム/パッケージ・インテグレーション・サービス |
746,525 |
8.1 |
|
その他 |
1,450,776 |
14.0 |
|
合計 |
25,733,333 |
12.6 |
(注) 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。なお、株式会社NTTデータの当連結会計年度については、当該割合が10%未満のため、記載を省略しております。
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相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
|
販売高(千円) |
割合(%) |
販売高(千円) |
割合(%) |
|
|
株式会社NTTデータ |
2,460,097 |
10.7 |
- |
- |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しており、その作成においては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は見積り特有の不確実性の存在により、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりでありますが、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の財政状態につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の分析」に記載したとおりであります。
当連結会計年度の経営成績の状況につきましては、以下のとおりであります。
a.売上高
当連結会計年度における売上高は25,733百万円となり、前連結会計年度(22,859百万円)と比較して2,873百万円の増加となりました。
なお、当社グループの売上品目別の業績概況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」をご参照ください。
b.営業利益
当連結会計年度における営業利益は1,964百万円となり、前連結会計年度(1,829百万円)と比較して134百万円の増加となりました。
c.営業外損益
当連結会計年度における営業外収益は61百万円となり、前連結会計年度(39百万円)と比較して大きな変動はありませんでした。
当連結会計年度における営業外費用は32百万円となり、前連結会計年度(30百万円)と比較して大きな変動はありませんでした。
d.経常利益
当連結会計年度における経常利益は1,993百万円となり、前連結会計年度(1,839百万円)と比較して154百万円の増加となりました。
e.特別損益
当連結会計年度における特別利益は保険解約返戻金及び投資有価証券売却益の発生等により5百万円となりました。
当連結会計年度における特別損失は減損損失及び投資有価証券売却損の発生等により309百万円となりました。
f.親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は948百万円となり、前連結会計年度(1,142百万円)と比較して194百万円の減少となりました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
当社グループの資金需要の主なものは、運転資金、設備投資及び研究開発投資であります。これらの資金需要は手元資金で賄うことを基本とし、一部短期的な運転資金を銀行からの借入により調達しております。
なお、当連結会計年度末の現金及び現金同等物残高は、十分な資金流動性を確保しているものと考えております。
該当事項はありません。
当連結会計年度におきまして、前期に引き続き3DCGを活用した知識継承・学習を実現するプラットフォームに関する研究開発を行いました。本研究開発の成果の一例としまして、全身の動きを3Dモーション化するモバイルモーションキャプチャアプリ「everymo(エブリモ)」を2024年1月にリリースしました。さらには、当社グループのDXやAIへの対応として、業務提携先が展開する革新的なAIソリューションである「NeuroChain」の日本市場への展開に向けた検証、及びネットワーク管理分野において新製品の品質保証や既存製品に対する機能追加開発を行いました。なお、当連結会計年度の研究開発費は