第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当第3四半期連結累計期間において、当四半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項の発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

 

重要事象等に関する事項

 当社グループは、前連結会計年度において、当社グループの流動比率(=流動資産/流動負債)61%に加え、営業損失17億17百万円、経常損失15億48百万円、親会社株主に帰属する当期純損失19億96百万円であったことにより、営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失を4期連続で計上しております。当第3四半期連結累計期間においても、同様の状況が継続しております。

 これらのように当社グループには、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象又は状況が存在しております。

 このような事象又は状況を解消するために、当社グループでは2022年下期以降、「Reborn計画」における全方位的な構造改革の下で収益構造の改善及び資本の増強を喫緊の経営課題と捉えて取り組んでおります。

 まず収益構造の改善におきましては、店舗別の収益構造から強化店舗、撤退店舗を区分けし、経営資源の効率的な投下に向けて構造的体質改善を行います。更に既存ブランド事業の進化形態として多様なニーズに対応した新業態事業モデルであるReborn計画店舗の出店を拡大しております。サマンサタバサ事業においては、ブランド&デザインの一元管理を行うことによる、販売面での世代別マーケティングの強化に加えて、本革製品の構成比を高め、戦略的連携パートナー企業との協業を加速するなど、高品質商品を新たに開発してまいります。また、品質向上への取組とともに製造原価低減のために、点在していた中国の製造拠点をブランド別の2拠点に集約し、専用化ラインの契約と生産開始を行うとともに、ASEAN地域での生産拠点化にも取り組む一方、本革製品の構成比の向上に対応するため子会社工場を中心に国内での生産力の向上に努めてまいります。

 フィットハウス事業におきましては、これまでの郊外ロードサイド単店舗型の事業構造から、モール展開型の新たなReborn計画店舗業態を開発し、今下期よりテスト店舗をオープンの上、新たな業態店舗の成功に向けて具体的な施策を講じながら精度を高めてまいります。

 また、物流面におきましては、ロジスティクス改革を進めており、関東エリア5拠点に点在しておりました物流倉庫を、新物流センター(名称:「サマンサタバサグループロジテックセンター」)に移転統合することで、倉庫スペースの効率化や、店頭とセンターとの間のいわゆる「店着物流」の効率化を目途に新たな物流スキームの構築を図るなど、在庫効率の改善と物流経費の効率化を図り、対売上高物流費率の低減に努めてまいります。加えて新たなるパートナー企業との新市場の販売提携も進めることなどにより、業績を改善してまいります。

 一方で、当社の資産効率の向上と手元資金の確保を目途として、当社保有の有形固定資産の売却に関しまして、今後も適時に進めてまいります。

 これら事業構造改革を着実に実行するために、2022年9月より、社長直轄組織として経営企画室・IT戦略室を設置しバックオフィス機能の強化、各本部の責任者に執行役員を配置することにより、業務推進の責任体制、更には組織・人事改革を推し進めております。

 全社員が高いモチベーションを維持し、日々の業務に取り組める就労環境の改善整備を進めるとともに、行動指針である「3つの一手間かけた思いやり」を実行実現することで、お一人お一人のお客様をお迎えする環境をつくっております。

 また、財務面におきましては、2023年5月30日開催の当社定時株主総会にて株主の皆様からのご承認を受けまして、株式会社コナカ(当社親会社)を引受先とする18億円のA種種類株式の発行と減資等の実施、並びに有形固定資産の譲渡の実施により、資本増強と資本構成の最適化を図り、「Reborn計画」の確実な実行のための資金調達を行っております。更に、ご支援頂いております取引金融機関や親会社に対しましては、既存の借入金の返済期限の延長など、財務体質の改善に取り組んでまいります。

 しかしながら、これらの対応策は実施途上であり、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。

 なお、四半期連結財務諸表は継続企業を前提として作成しており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を四半期連結財務諸表に反映しておりません。

 

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

 ①経営成績の状況

 当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の5類感染症への移行、足元ではインバウンド需要が2019年(新型コロナ禍以前)を超える勢いであります。米欧では政策金利の高止まりから利下げ見通しへ転換しつつあります。一方日本においては、原材料価格やエネルギー価格の高騰に加え、人手不足に伴う人件費の上昇などにより国内物価も上昇基調にあり、今後はモノからサービス分野へ値上げが広がりを見せていくかなどが国内物価上昇の持続性のカギになりつつあります。

 当社グループが属するファッション・アパレル業界においては、社会経済活動の正常化が進んだことによる外出機会の増加が個人消費を拡大させる後押しとなりました。また円安によるインバウンド需要の回帰も見られるなどコロナ禍以前の消費水準にはまだ届かないものの消費の伸びが見られました。一方で、コロナ禍によって変容した人々のライフスタイルにより消費行動や消費構成が変化しており、販売チャネルの多様性が求められるなど、より一層の対応と工夫が求められる市場になりつつあります。

 このような状況のもと、当社グループは「心を一つに!一手間かけた思いやり」を行動規範として、全方位的な構造改革(Reborn計画)を推進しております。サマンサタバサ事業においては、新業態店舗であるReborn計画店舗の拡大を進めるとともに、ブランド&デザインの一元化をおこなうことで、販売面での世代別マーケティングの強化に加えて、高級素材を用いた本革製品の構成比を従来の15%前後から30%超に押上げ客単価の向上に奏功し、さらに戦略的ブランドパートナー企業との協業を加速し実店舗並びにECでの販売を拡大するなど、新たなる市場領域を通じて売上高向上に向けた諸施策を推進しております。また、製造原価低減への取組みとともに品質向上のために、点在していた中国の製造拠点をブランド別に2拠点に集約し、専用化ラインの契約と生産開始を行うとともに、ASEAN地域での生産拠点化にも取り組む一方、本革製品の構成比が急速に向上されたことに対応して子会社工場を中心に国内での生産力の向上に努めております。さらには高コスト化が大きな課題であった従来の配送管理と店着物流において、ロジスティクス総合化計画に取り組んでおり、従来の関東エリアの5拠点に点在していた物流倉庫を、新物流センター(名称:「サマンサタバサグループロジテックセンター」)に移転統合を行い、IT化で支援した保管と配送の効率化により大きく改善するとともに、「店着物流」の合理化と効率化を行い、2024年度問題も視野に入れて物流構成比の削減に取り組んでおります。

 フィットハウス事業におきましては、これまでの郊外ロードサイド単店舗型の事業構造から、ショッピングモール内での新たなReborn計画店舗業態を開発し、今下期よりテスト店舗でのゾーニング化とMDプランの実証実験を行いながら、業態開発店舗の出店を開始してまいります。

 以上の取組みにより、業績を改善してまいります。

 

 店舗展開につきまして、店舗数は下記のとおりであります。

 

ブランド事業別店舗数                                  (単位:店舗)

 

合計

内訳

(Reborn)

(バッグ)

(ジュエリー)

(アパレル)

(その他)

(海外)

前連結会計年度末

270

131

29

44

40

26

 (出店)

16

12

 (退店)

46

32

  (増減)

△30

12

△32

△7

△5

当第3四半期連結会計期間末

240

12

99

22

45

35

27

 当第3四半期連結累計期間末の店舗数は、国内バッグ事業で111店舗(内Reborn計画店舗12店舗)、海外バック事業で27店舗、ジュエリー事業で22店舗、アパレル事業で45店舗、その他事業で35店舗となります。期首270店舗から30店舗純減(内Reborn計画店舗への移行に伴う閉店は14店舗)し、総店舗数は240店舗となりました。

 この結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は166億45百万円(前年同期比8.8%減)、営業損失は9億10百万円(前年同期は14億61百万円の損失)となりました。

 営業外収益には受取利息14百万円、為替差益1億25百万円、不動産賃貸料71百万円、受取保険金39百万円などを、営業外費用には支払利息1億1百万円、2023年5月31日付A種種類株式の発行諸費用である株式交付費2億14百万円、浸水被害による商品廃棄損などを含むその他営業外費用47百万円などを計上した結果、経常損失は10億29百万円(前年同期は12億2百万円の損失)となりました。

 

 また、第3四半期連結累計期間において、特別利益に関係会社清算益41百万円を、特別損失に減損損失2億31百万円を、法人税、住民税及び事業税17百万円、法人税等調整額△1億29百万円を計上したことにより、親会社株主に帰属する四半期純損失は11億89百万円(前年同期は13億74百万円の損失)となりました。

 なお、当社グループは「ファッションブランドビジネス」の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を行っておりません。

 

 ②財政状態の分析

(資産)

 総資産は158億35百万円であり、前連結会計年度末と比較して5億19百万円減少しております。主な要因は、現金及び預金が9億84百万円減少に対し、売掛金が1億42百万円増加、商品及び製品が92百万円増加などによるものであります。

 

(負債)

 総負債は147億12百万円であり、前連結会計年度末と比較して11億62百万円減少しております。主な要因は、1年内返済予定の長期借入金が24億円減少、未払法人税等が1億99百万円減少、賞与引当金が1億20百万円減少した一方、長期借入金が13億円増加などによるものであります。

 

(純資産)

 純資産は11億22百万円であり、前連結会計年度末と比較して6億43百万円増加しております。主な要因は、2023年5月31日付A種種類株式の発行による18億円の資本増強の一方、親会社株主に帰属する四半期純損失11億89百万円の計上によるものであります。

 

(2) 経営方針・経営戦略等

  当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略について重要な変更はありません。

 

(3)事業上及び財務上の対処すべき課題

 1「事業等のリスク」(重要事象等に関する事項)に記載の継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象又は状況の解消は事業上及び財務上の対処すべき課題と認識しております。この状況を解消すべく、対応策を着実に進め、収益改善と財務基盤の安定化に努めてまいります。

 

(4)研究開発活動

 該当事項はありません。

 

 

3【経営上の重要な契約等】

(固定資産の譲渡)

当社は、2023年10月13日開催の取締役会において、同日付で当社所有の固定資産(土地及び建物)を譲渡することを決議いたしました。

(1)譲渡の理由

経営資源の有効活用のため、当社所有の固定資産を譲渡するものであります。

(2)譲渡資産の内容

所在地

静岡市清水区長崎南町

資産の概要

土地(宅地)、建物(鉄骨造合金メッキ鋼板葺3階建て)

譲渡価額

(譲渡先の意向により開示を控えさせていただきます)

帳簿価額

(譲渡先の意向により開示を控えさせていただきます)

譲渡益

391百万円

決済方法

銀行振込

(3)相手先の概要

譲渡先は、国内法人ではありますが、譲渡先の意向により開示を控えさせていただきます。

その他、当社と譲渡先の間には資本関係、人的関係、取引関係及び関連当事者として特記すべき事項はありません。

 

(4)譲渡日程

取締役会決議日

2023年10月13日

契約締結日

2023年10月13日

物件引渡期日(予定)

2024年2月29日

 

(親会社からの借入契約の変更覚書の締結)

当社は、当第3四半期連結会計期間において、親会社である株式会社コナカとの間で締結した2021年11月30日付金銭消費貸借契約書及び2022年7月29日付変更覚書について、主に以下の内容の変更に関する覚書を締結しております。

借入残高

1,300百万円

返済期限

返済期限を2025年10月31日に変更

 

(資金の借入)

当社は、2023年11月14日の取締役会において、資金の借入を行うことを決議いたしました。

(1)借入の理由

2023年年末から2024年年始の売上確保を目的とした商品仕入に関する仕入資金支払を目的として借入を実施するものであります。

(2)本件借入の概要

① 借入先

株式会社コナカ

② 借入金額

300百万円

③ 返済方法

期限一括

④ 借入実施日

2023年11月14日

⑤ 返済期限

2024年2月20日

⑥ 借入金利

変動金利(短期プライムレート)

⑦ 担保の有無

 

(シンジケートローン第五変更契約の締結)

当社は、当第3四半期連結会計期間において、2020年10月27日付の株式会社三井住友銀行をアレンジャーとするシンジケートローン契約について、主に以下の内容で第五変更契約を締結しております。

 トランシェA

借入残高

5,014百万円

返済期限

返済期限を2024年1月31日に変更

 トランシェB

借入残高

2,509百万円

返済期限

返済期限を2024年1月31日に変更

 トランシェC

借入残高

1,585百万円

返済期限

返済期限を2024年1月31日に変更

借入金の責務に関し財務制限条項が追加されております。詳細は「第4 経理の状況  1 四半期連結財務諸表 注記事項(追加情報)(財務制限条項)をご参照下さい。