当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「『働く』を豊かにする。」をミッションとして掲げており、デジタルマーケティング分野に特化して、グローバルな市場で事業展開を進めるGoogleやFacebookなどデジタルプラットフォーマーと呼ばれる企業が提供しているインターネット広告媒体やID認証等を活用した広告運用サービスやツールを提供することで顧客ビジネスの業務効率の改善をサポートしております。
(2)経営戦略等
当社グループは、2021年9月に純粋持株会社に移行し、合計7社の事業子会社が存在しております。これらは、インターネットにおける運用型広告代理事業を中心とするプロフェッショナルサービス事業、データフィード管理ツールやソーシャルログインシステム・ユーザーへのメッセージ配信ツール等を提供するSaaS事業、及び主にShopifyをプラットフォームとしてブランディング設計やサイト構築に加えShopifyアプリ等を提供するDX事業の3つの事業セグメントを事業領域として活動しております。当社グループは、各セグメントで提供するサービスを顧客である事業者に対して一体で提供し、顧客の成長を支援することにより、グループシナジーを最大限に図っていくことを主要な戦略としております。
プロフェッショナルサービス事業において大手企業を中心とした先進的な顧客のニーズにテイラーメイドで対応することで当社グループとしてのノウハウを蓄積し、当該知見をSaaS事業の各サービスの機能に適宜組み込んでいくことで幅広い顧客に対して高品質なサービスの提供が可能となっている一方で、データフィードにおいてはプロフェッショナルサービス事業の広告運用においてSaaS事業のサービスを利用するなど、両事業セグメントは相互補完関係にあります。
また、DX事業では、主にEC事業者を対象としてShopifyによるサイト構築の支援に加え、Shopifyアプリなどの開発・提供を行っており、SaaS事業で提供するサービスとの親和性も高いものとなっております。
2021年5月期より新たな事業セグメントとしてDX事業を設立し、EC事業者の販売促進・業務効率化支援に注力しており、案件規模に応じて、主にエンタプライズを対象としてブランディングやサイト構築から広告運用によるマーケティング支援を行うほか、潜在的顧客企業数の多いSMBを対象としてApp Unity参画企業との協業やShopifyアプリの提供によるEC支援を行ってまいります。
この方針の下、2020年10月に㈱リワイアを子会社として設立した後、2021年5月には国内環境に適合したShopifyアプリを提供する企業アライアンス「App Unity」を設立しました。さらに2021年10月にECビジネスのバックヤード業務を支援するツールを展開するシッピーノ㈱を連結子会社化(2022年4月にテープス㈱をシッピーノ㈱から新設分割により設立)し、2021年11月にShopifyアプリやオフショア開発拠点としてベトナム共和国にて「FEEDFORCE VIETNAM COMPANY LIMITED」を設立、2021年12月にEC事業者のブランディングからサイト構築を支援する㈱フラクタを連結子会社化(2023年6月に簡易株式交換により完全子会社化)しており、積極かつ集中的な投資を行いDX事業の規模拡大を行いました。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、ROE20%を維持しつつ、売上高5,000百万円、営業利益2,000百万円を達成することを中期目標として2025年5月期での達成を目指しておりました。しかしながら、主にDX事業の一部事業において収益性の悪化が見られたこと及びこれに対処するため事業縮小を行った結果、2025年5月期の業績予想を、売上高4,580百万円、営業利益1,800百万円としており中期目標に届かない見通しでありますが、引き続き将来の成長に向けた事業への投資を進めてまいります。
また、当社の経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、今後の顧客基盤の拡大を前提としているため、当社グループの各サービスにおける利用案件数を主要な指標として評価しております。現時点におけるこれらの指標は以下のとおりであり、各事業セグメントにおける多くのサービスにおいて利用案件数の増加が継続しております。
(サービス利用案件数推移)
|
|
2020年5月 |
2021年5月 |
2022年5月 |
2023年5月 |
2024年5月 |
|
プロフェッショナルサービス事業 |
|
|
|
|
|
|
Anagrams |
96 |
115 |
116 |
156 |
166 |
|
Feedmatic |
48 |
45 |
49 |
- |
- |
|
SaaS事業 |
|
|
|
|
|
|
EC Booster |
344 |
303 |
283 |
460 |
419 |
|
dfplus.io |
139 |
175 |
235 |
302 |
375 |
|
ソーシャルPLUS |
272 |
309 |
361 |
391 |
440 |
|
DX事業 |
|
|
|
|
|
|
FRACTA |
- |
- |
53 |
43 |
8 |
|
Shippinno |
- |
- |
495 |
435 |
417 |
|
Shopifyアプリ |
- |
- |
532 |
144 |
258 |
(4)経営環境
当連結会計年度における当社グループの主要な事業領域である国内インターネット広告市場の2023年の市場規模は、社会のデジタル化を背景に堅調に伸長し、前年比7.8%増の3.3兆円と過去最高を更新しました。総広告費における構成比は45.5%を占め、広告市場全体の成長をけん引しております(出典:株式会社電通「2023年日本の広告費」)。また、消費者向け電子商取引(BtoC-EC)市場は、経済産業省による2022年の調査「令和4年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)報告書」によると、国内のBtoC-EC市場の市場規模は前年比で2.0兆円、9.9%増の22.7兆円と引き続き拡大しています。物販系分野のBtoC-EC市場規模については、2022年において、伸長率は鈍化したものの前年比5.4%増の13.9兆円となり拡大傾向が継続しております。また、EC化率(全ての商取引市場規模に対する電子商取引市場規模の割合)が前年比0.4ポイント増の9.1%となるなど、BtoC-EC市場は依然として着実な成長を続けております。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 新規ビジネスの創出と顧客基盤の拡大
当社グループは、創業以来、デジタルマーケティング領域において様々な新規サービスを開発し、新たな収益機会を創造してまいりました。今後も競争優位性を確保し、長期的に成長し続ける組織であるためには、既存サービスの新規機能追加に加え、広告主である企業や広告媒体となるデジタルプラットフォーマー、更にはその先にいるエンドユーザーのニーズの変化を的確に捉え、新たなビジネスやサービスを創出することが極めて重要であると考えております。具体的には、デジタルプラットフォーマーが事業者向けに提供するサービスを中小規模事業者であっても、自社で保有するデータを活用して簡易かつ効果的に利用できるサービスの開発に注力していく方針であります。当社グループでは、デジタルプラットフォーマーをはじめとした様々な分野のパートナーと連携し顧客基盤の強化を図るとともに、デジタルマーケティング分野におけるDXを促進する新規ビジネスの創出に努めることで、将来の収益の柱を育てるべく尽力してまいります。
② グループ会社とのシナジーの最大化と市場の拡大
当社グループは、当社及び当社の連結子会社8社で構成されており、各社がデジタルマーケティング・Eコマース領域において、強みを活かした各種サービスを提供しております。今後は、運用型広告において「リスティング広告」、「ディスプレイ・動画広告」や「データフィード広告」など総合的なソリューションをワンストップで提供することに加え、Shopify構築支援やアプリ開発をグループ全体で取り組むことにより、シナジーの最大化と市場の拡大を目指してまいります。
③ 人材の確保と育成
当社グループが今後更なる事業を拡大していくためには、優秀な人材の確保と育成が必要不可欠であると考えております。特に、幅広い分野に精通した優秀なエンジニアの採用は、他社との獲得競争が激しさを増す昨今の状況に鑑みると、継続的な課題と認識しております。これらの課題に対処するために、当社グループは、知名度の向上、研修制度の強化、待遇及び福利厚生の充実を図り、優秀な人材が長期にわたってやりがいを感じて働くことができる職場環境の整備を進めるとともに、採用活動の柔軟化により適時な人材の確保と育成に努めてまいります。
④ 認知度の向上
当社グループは、これまで提供サービスの広告宣伝には注力しておらず、機能優位性とデジタルプラットフォーマーとの連携に拠る営業活動を通じて新しいマーケットの創出に取り組んできました。その結果、現在、幅広い業種、企業に当社グループサービスを導入頂き、継続的な取引による確固たる顧客基盤の構築を実現することができていると考えております。しかしながら、既存サービスの更なる拡大及び競合企業との差別化を図るためには、当社グループ及び当社サービスの認知度を向上させ、新規案件を獲得していくことが重要な課題であると認識しております。当社グループとしましては、費用対効果を慎重に検討の上、広告宣伝による販売促進活動に取り組み、認知度の向上を図ってまいります。
⑤ 内部管理体制の強化
当社グループが今後更なる業容拡大、継続的に成長するためには、リスク管理体制の強化と、確固たる内部管理体制構築を通じた業務の標準化及び効率化の徹底が重要であると考えております。当社グループとしましては、更なる内部管理体制の強化によって、より一層のコーポレート・ガバナンス機能の充実を図り、経営の公正性・透明性の確保及び企業価値の最大化に努めてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社グループのサステナビリティ経営への取り組みは、取締役会が全般的な方針の決定及び監督に対する責任と権限を有しており、グループ規模の拡大に伴い、企業モラルの維持・コンプライアンスや社会的責任への貢献など一層の高度なコーポレート・ガバナンス体制の構築に取り組んでおります。
(2)戦略
当社グループは、持続可能な社会に貢献するため、「『働く』を豊かにする。」というミッションを掲げ、企業の生産性を向上させるサービス・プロダクトづくりを通じて豊かな働き方を実現するべく事業活動を行っております。
また、当社グループにおいては事業の拡大に伴い人員が大幅に増加しており、人材の多様性の確保を含む人材の育成及び社内環境整備が重要課題となっております。
このため、グループ間での転籍や出向などを積極的に推進し、従業員等に様々な活躍の機会を提供しており、また、働き方においても、ライフステージの変化や労働に対する意識の多様化を踏まえて、地方在住やリモートワークの一定の許容など柔軟な対応をとっております。
(3)リスク管理
当社グループでは、リスク管理委員会を定期的に開催し、サステナビリティ関連のリスク及び機会を識別、評価し、必要に応じて取締役会やグループ内関係者に報告しております。
(4)指標及び目標
当社グループのうち主要な連結子会社であるアナグラム株式会社では、「(2) 戦略」において記載した社内環境整備に関する方針について、次の指標及び目標を掲げております。
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指標 |
目標 |
実績(当連結会計年度) |
|
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|
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|
月平均 |
1か月あたり |
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)インターネット広告市場について
当社グループはデジタルマーケティング関連サービスを主力事業としており、当社グループが属するインターネット広告市場は、利用者の増加、端末の普及、企業等の活動におけるインターネットの利用増加により急速に拡大を続けてまいりました。今後もこのような外部環境が継続していくものと考えており、当社グループにおいてデジタルマーケティング関連サービスを多角的に展開する予定です。
しかしながら、広告市場は企業の景気動向に敏感であり、景気の変動等による業況感の悪化や企業の広告戦略の変化などによる影響を受け易い状況にあるため、顧客企業における広告予算又は広告媒体別の予算配分方針に変更が生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)技術革新について
当社グループが事業展開しているデジタルマーケティング領域では、技術革新のスピードや顧客ニーズの変化が非常に早く、新しいテクノロジーや広告手法が次々と開発され、それに基づく新サービスが常に生み出されております。当社グループにおいても、優秀なエンジニアの採用・育成や創造的な職場環境の整備に加え、オープンな情報発信や技術勉強会等により最新の技術動向や環境変化を把握できる体制を構築することで、技術革新や顧客ニーズの変化に迅速に対応できるよう努めております。
しかしながら、何らかの理由により新たな技術やサービスへの対応が遅れた場合、又は当社グループのサービスもしくは使用している技術等が陳腐化した場合や顧客ニーズへの対応遅れが生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)法的規制について
現時点において、当社グループの主力事業であるデジタルマーケティング関連サービスに関して、事業継続に著しく影響を及ぼす法的規制はないものと認識しております。
しかしながら、インターネット利用の普及に伴って、個人の購買・閲覧履歴や属性データを活用した広告出稿手法に関する法的規制の在り方等については様々な問題提起がなされている状況にあり、今後インターネットの利用者及び事業者を規制対象とする法令、行政指導、その他の規制等が制定された場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)競合について
当社グループは、データフィードの提供及びこれを活用したインターネット広告運用の受託等をプロフェッショナルサービス事業として、Webブラウザを通じてプラットフォームがAPI等により提供する機能を活用したツールの提供をSaaS事業として、2020年5月期より新たに企業のデジタルトランスフォーメーションを支援するサービスをDX事業として事業展開しております。
しかしながら、いずれのセグメントにおいても競合他社が国内外に存在しており、現時点において競争上優位にあると考えられるサービスにおいても新規参入等により競争激化する可能性があることから、将来的に当社グループの提供するサービスにおいて優位性が保てなくなった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)特定媒体等への集中度の高さについて
当社グループは、取引先企業のニーズに応じてGoogle、Facebook、Yahoo!JAPAN 等が運営する広告媒体への広告配信を行っており、当社グループの広告出稿額に占めるこれら主要媒体の構成比が高い水準にあります。当社グループはこれらの各プラットフォーマーとの良好な関係を構築しており、新機能開発についても積極的に協議しており、更なる関係強化に努める方針です。また、LINEやShopifyをはじめ、他のプラットフォーマーとの関係強化にも取り組んでおり、リスクの逓減に努めております。
しかしながら、これら運営者側の広告掲載可否基準の変更や何らかの方針転換により、広告配信量が減少した場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)特定顧客への依存について
当社グループは、特にSaaS事業において中小規模の事業者に対しても導入が進んでおり、顧客基盤の偏在はみられませんが、広告運用サービスを提供するプロフェッショナルサービス事業においては、従来は特定の顧客からの売上依存度が高い状況にありました。最近は、人員増加を通じて組織を拡充しており多種の案件を同時に進行できる体制を構築しており、主要顧客の売上依存度は低下傾向にあります。今後も、各セグメントにおいて、既存顧客とサービスを通じた一層の関係強化に努めつつ、新規案件数の拡大による顧客基盤の強化を進め、特定の顧客への依存度を小さくする方針です。
しかしながら、今後多額の広告予算等を伴う大型プロジェクトを取り扱うこととなり、その後に顧客のビジネス環境の変化などにより広告費の急激な増減や突然の解約が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)情報セキュリティ管理体制について
当社グループは、「ソーシャルPLUS」において、LINE、Apple、Yahoo!JAPAN、Facebook、Google等のアカウント情報を活用して会員登録やWebサイトログインを容易にする仕組みをクラウドサービス(SaaS)として利用企業に提供しております。本サービスにあたっては利用環境をクラウドサービスとして提供するのみであり、当社ではこれらの個人情報を取扱っていませんが、役職員を対象とした個人情報の取扱いに関する社内研修の実施、社内でのアクセス権限の設定、アクセスログの保存、データセンターでの適切な情報管理等クラウドサービス提供者として常時情報セキュリティの確保に努めております。また、他の事業においてもインターネット上の多様なサービスのアカウントを作成・利用しつつ事業運営を行っております。
しかしながら、万一外部からの不正アクセスやその他想定外の事態の発生により情報の外部流出等が発生した場合やアカウントの不正利用により事業運営に支障をきたす場合には、当社への損害賠償の請求や当社グループの社会的信用を失うこと等が想定され、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)システムの安定性について
当社グループの運営するサービスは、基盤をインターネット通信網に依存しており、システムの安定的な稼働が業務執行上必要不可欠な事項となっております。そのため、当社グループでは継続的にシステムインフラの規模を増強するだけではなく、設備及びネットワークの監視や冗長化、定期的なデータのバックアップなど、システム障害の発生防止に努めております。
しかしながら、アクセスの急増、コンピュータウィルスや人的な破壊行為、ソフトウエアの不具合、地震や水害等の自然災害、その他予期せぬ重大な事象の発生によりシステムが停止し、収益機会の喪失を招く恐れがあります。このような事態が発生した場合には、サービスの停止に伴い当社グループが社会的信用を失うこと等が想定され、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)特定の人物への依存について
当社の代表取締役社長である塚田耕司は、当社の創業者であり、2006年の創業以来代表取締役を務めております。同氏は、当社創業前においてもWeb制作会社の経営を10年近く行ってきているなど経営経験が豊富であり、かつインターネット及びデジタルマーケティングに関する豊富な知識と経験を有していることから、経営戦略の構築やその実行に際して重要な役割を果たしております。
当社グループは、豊富な経験や知識を有する人材を経営メンバーとして招聘することで経営体制の強化を図るとともに、各事業部門のリーダーに権限委譲を適宜行っていくことで、同氏に過度に依存しない体制の整備を進めております。
しかしながら、現状では何らかの理由により同氏が当社の業務を行うことが困難となった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)知的財産権について
当社グループでは、「フィードフォース」、「アナグラム」、「ソーシャルPLUS」等の社名及びサービス名について商標登録を行っており、今後も知的財産権の保全に積極的に取り組む予定です。
しかしながら、当社グループの知的財産権が第三者に侵害された場合には、解決までに多くの時間及び費用がかかるなど、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、第三者の知的財産権侵害の可能性については、専門家と連携を取り調査可能な範囲で対応を行っておりますが、当社グループの事業領域において第三者が保有する知的財産権を完全に把握することは困難であり、当社グループが認識せずに他社の知的財産権を侵害してしまう可能性は否定できません。この場合、損害賠償請求、使用差止請求や当社グループの社会的信用を失うこと等が想定され、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)訴訟等の可能性について
当社グループは、顧客と契約を締結する際に、事前にトラブル時の責任範囲を限定的にするなど、過大な損害賠償の請求をされないようリスク管理を行っております。
しかしながら、契約時に想定していないトラブルの発生等取引先等との何らかの問題が生じた場合、これらに起因する損害賠償を請求される、あるいは訴訟を提起されるリスクがあります。かかる損害賠償の金額、訴訟の内容及び結果によっては、当社グループの社会的信用及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(12)新規事業について
当社グループは、今後も引き続き積極的に新サービスもしくは新規事業に取り組んでいく方針です。
しかしながら、新規事業においては、採算性に不透明な点が多く結果的に当初予想した収益が得られず不採算となった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(13)M&Aにおけるのれん等の減損リスクについて
当社グループでは、連結貸借対照表において企業結合により生じたのれん及び顧客関連資産を計上しております。これらの資産については、今後の事業計画との乖離等によって期待されるキャッシュ・フローが生み出されない場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度における当社グループの主要な事業領域である国内インターネット広告市場の2023年の市場規模は、社会のデジタル化を背景に堅調に伸長し、前年比7.8%増の3.3兆円と過去最高を更新しました。総広告費における構成比は45.5%を占め、広告市場全体の成長をけん引しております(出典:株式会社電通「2023年日本の広告費」)。
このような経済状況のもと、当社グループでは、グループ経営の機動性・柔軟性を高め事業拡大を実現する体制を構築するため持株会社体制へ移行し、前連結会計年度においては、連結子会社である株式会社フィードフォースのFeedmatic事業を同じく連結子会社であるアナグラム株式会社へ承継させる会社分割を行い、またIPOを含めた経営戦略の検討を始めたテープス株式会社を連結子会社から持分法適用関連会社へ異動し、それに加えてグループの経営資源を最大限に活用することを目的として、連結子会社であるシッピーノ株式会社の完全子会社化を行いました。当連結会計年度においては、連結子会社である株式会社フラクタを完全子会社化する組織再編を行い、このような組織体制のもとで、EC事業支援に関連するパートナー企業との事業連携を強化し、新規事業の開発を継続して推進してまいりました。
この結果、当連結会計年度の連結業績は下表の通りとなりました。
<連結業績> (単位:百万円)
|
|
2023年5月期(累計) |
2024年5月期(累計) |
増減額 |
増減率(%) |
|
売上高 |
3,966 |
4,229 |
262 |
6.6 |
|
EBITDA |
1,275 |
1,445 |
169 |
13.3 |
|
営業利益 |
1,029 |
1,237 |
208 |
20.2 |
|
経常利益 |
1,020 |
1,166 |
145 |
14.3 |
|
親会社株主に帰属する当期純利益 |
112 |
473 |
360 |
319.4 |
※EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却額(販売費及び一般管理費)
そのなかで、当社グループは「『働く』を豊かにする。~B2B領域でイノベーションを起こし続ける~」をミッションに掲げ、「プロフェッショナルサービス事業」、「SaaS事業」、「DX事業」の3セグメントにおいて事業を展開しております。
セグメント別の経営成績は、次の通りであります。
<セグメント区分について>
|
セグメント名 |
所属サービス、所属カンパニー |
詳細 |
|
プロフェッショナルサービス事業 |
「Anagrams」アナグラム㈱ 「DF PLUS」㈱フィードフォース |
デジタルマーケティングサービス (広告マーケティング支援、インターネット広告運用代行、データフィード構築運用) |
|
SaaS事業 |
「ソーシャルPLUS」㈱ソーシャルPLUS 「CRM PLUS on LINE」㈱ソーシャルPLUS 「EC Booster」㈱フィードフォース 「dfplus.io」㈱フィードフォース |
サブスクリプション型ツール提供サービス(ソーシャルログイン・メッセージ配信ツール、データフィード管理ツール、Googleへの商品掲載・広告運用自動化ツール) |
|
DX事業 |
「Omni Hub」㈱フィードフォース 「どこポイ」㈱リワイア 「Shippinno」シッピーノ㈱ 「FRACTA」㈱フラクタ |
EC事業支援サービス (Shopifyアプリ開発、EC構築支援サービス、ECの出荷・受注業務自動化ツール、ブランド戦略設計) |
<セグメント別業績> (単位:百万円)
|
|
|
2023年5月期(累計) |
2024年5月期(累計) |
増減額 |
増減率(%) |
|
プロフェッショナルサービス事業 |
売上高 営業損益 |
2,177 1,008 |
2,455 1,056 |
278 48 |
12.8 4.8 |
|
SaaS事業 |
売上高 営業損益 |
910 367 |
1,122 472 |
211 104 |
23.3 28.5 |
|
DX事業 |
売上高 営業損益 |
878 △347 |
650 △291 |
△227 55 |
△25.9 - |
|
合計 |
売上高 営業損益 |
3,966 1,029 |
4,229 1,237 |
262 208 |
6.6 20.2 |
<プロフェッショナルサービス事業>
プロフェッショナルサービス事業では、エンタープライズを中心とした企業に対し、運用型広告代行及びデータフィードマーケティング等のデジタルマーケティング支援を行っております。
前連結会計年度においては一部の主要顧客の解約及び広告予算減少の影響があったものの、当連結会計年度においては、インターネット広告需要の高まりを背景とした新規顧客の獲得及び既存顧客の広告予算の増加並びに広告運用コンサルタントの採用強化による運用体制強化により、前連結会計年度と比較し、増収増益となりました。
<SaaS事業>
SaaS事業では、エンタープライズからSMBまで幅広い企業に対し、セルフサービスで高度なマーケティングが実施できるツールとして、データフィード管理やソーシャルログインシステム等をSaaSにより提供しております。
当連結会計年度においては、主に「dfplus.io」とソーシャルPLUSにおける新規顧客の獲得及び既存顧客からの受注額増加に加え、LINEメッセージ配信サービスやShopifyアプリ「CRM PLUS on LINE」の需要が高く、順調に推移した結果、前連結会計年度と比較し、増収増益となりました。
<DX事業>
DX事業では、主にEC事業者を対象としてShopifyによるサイト構築含むブランディング支援に加え、Shopifyアプリなどの開発・提供を行っております。
当連結会計年度においては、Shopifyアプリによる収益の増加が順調に推移した一方、2023年6月に完全子会社化した株式会社フラクタにおいて新規受注の大幅な減少、プロジェクトの遅延による見直し等を行った結果、前連結会計年度と比較し、減収損失減少となりました。
なお、当連結会計年度において、株式会社フラクタに関連するのれんについて、将来の事業計画を見直した結果、のれんの未償却残高290百万円及びリース契約から7百万円を減損損失として特別損失に計上いたしました。また、当連結会計年度において、株式会社リワイアに関連するソフトウエアについて、将来の事業計画を見直した結果、ソフトウエアの未償却残高46百万円を減損損失として特別損失に計上いたしました。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末における総資産は、7,559百万円となり、前連結会計年度末に比べ440百万円増加いたしました。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産は、6,198百万円となり、前連結会計年度末に比べ949百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が926百万円、売掛金が28百万円それぞれ増加したことによるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産は、1,361百万円となり、前連結会計年度末に比べ509百万円減少いたしました。これは主にのれんが351百万円、顧客関連資産が109百万円、繰延税金資産が38百万円減少したことによるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債は、3,496百万円となり、前連結会計年度末に比べ954百万円増加いたしました。これは主に1年内返済予定の長期借入金が900百万円、短期借入金が66百万円増加したことによるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債は、1,172百万円となり、前連結会計年度末に比べ513百万円減少いたしました。これは長期借入金が470百万円、繰延税金負債が43百万円減少したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、2,889百万円となり、前連結会計年度末に比べ1百万円減少いたしました。これは主に利益剰余金が473百万円増加した一方で、資本剰余金が462百万円減少したことによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、3,522百万円(前連結会計年度比926百万円増)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、862百万円の収入(前連結会計年度は175百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上1,018百万円、減損損失344百万円及び法人税等の還付額153百万円があった一方、法人税等の支払額が664百万円あったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、74百万円の収入(前連結会計年度は115百万円の支出)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出48百万円があった一方で、投資有価証券の売却による収入95百万円及び敷金の回収による収入53百万円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、10百万円の支出(前連結会計年度は1,047百万円の支出)となりました。これは主に、短期借入金の純増額66百万円、長期借入れによる収入970百万円があった一方で、長期借入金の返済による支出570百万円及び自己株式の取得による支出483百万円があったことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.受注実績
当社グループは受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごと及びサービスごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年6月1日 至 2024年5月31日) |
前年同期比(%) |
|
プロフェッショナルサービス事業 |
|
|
|
Anagrams(百万円) |
2,369 |
114.4 |
|
その他(百万円) |
86 |
81.9 |
|
計(百万円) |
2,455 |
112.8 |
|
SaaS事業 |
|
|
|
EC Booster(百万円) |
55 |
107.7 |
|
dfplus.io(百万円) |
375 |
123.5 |
|
ソーシャルPLUS(百万円) |
691 |
124.6 |
|
計(百万円) |
1,122 |
123.3 |
|
DX事業 |
|
|
|
FRACTA(百万円) |
375 |
61.8 |
|
Shippinno(百万円) |
115 |
92.9 |
|
その他(百万円) |
159 |
108.8 |
|
計(百万円) |
650 |
74.1 |
|
合計(百万円) |
4,229 |
106.6 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10以上の相手先が存在しないため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(経営成績)
当連結会計年度の経営成績の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりであります。
各事業セグメントにおける個別サービスの成長を評価する客観的な指標として、「当社サービスの利用案件数」を把握しており、当該指標の推移は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりです。特にSaaS事業における各サービスでの利用案件数は、順調に増加しております。
なお、各セグメント及び各サービスにおける売上高及び損益の推移は、以下のとおりであり、特にSaaS事業において顧客基盤の拡大に伴い、損益面でも大幅に改善しております。
(年度推移)
|
|
第15期連結会計年度 (自 2019年6月1日 至 2020年5月31日) |
第16期連結会計年度 (自 2020年6月1日 至 2021年5月31日) |
第17期連結会計年度 (自 2021年6月1日 至 2022年5月31日) |
第18期連結会計年度 (自 2022年6月1日 至 2023年5月31日) |
第19期連結会計年度 (自 2023年6月1日 至 2024年5月31日) |
|
プロフェッショナルサービス事業 |
|
|
|
|
|
|
Anagrams 売上高(百万円) |
592 |
1,499 |
1,504 |
2,072 |
2,369 |
|
Feedmatic 売上高(百万円) |
269 |
295 |
328 |
- |
- |
|
その他 売上高(百万円) |
187 |
184 |
176 |
105 |
86 |
|
計(百万円) |
1,050 |
1,980 |
2,010 |
2,177 |
2,455 |
|
セグメント損益(百万円) |
373 |
791 |
878 |
1,008 |
1,056 |
|
SaaS事業 |
|
|
|
|
|
|
EC Booster 売上高(百万円) |
57 |
61 |
55 |
51 |
55 |
|
dfplus.io 売上高(百万円) |
127 |
173 |
226 |
304 |
375 |
|
ソーシャルPLUS 売上高(百万円) |
291 |
366 |
451 |
555 |
691 |
|
計(百万円) |
476 |
601 |
733 |
910 |
1,122 |
|
セグメント損益(百万円) |
42 |
154 |
300 |
367 |
472 |
|
DX事業 |
|
|
|
|
|
|
FRACTA 売上高(百万円) |
- |
- |
143 |
607 |
375 |
|
Shippinno 売上高(百万円) |
- |
- |
85 |
124 |
115 |
|
その他 売上高(百万円) |
- |
4 |
32 |
146 |
159 |
|
計(百万円) |
- |
4 |
261 |
878 |
650 |
|
セグメント損益(百万円) |
- |
△56 |
△249 |
△347 |
△291 |
|
全社 |
|
|
|
|
|
|
売上高(百万円) |
1,526 |
2,587 |
3,005 |
3,966 |
4,229 |
|
営業損益(百万円) |
415 |
889 |
930 |
1,029 |
1,237 |
(注)セグメント間取引については、相殺消去しております。
(財政状態)
当連結会計年度の財政状態の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況並びに資本の財源及び資金の流動性についての分析
当連結会計年度の現金及び現金同等物の残高並びにキャッシュ・フローの分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループにおける資本の財源及び資金の流動性については、運転資金の確保は自己資金及び金融機関からの借入によることを基本としており、将来の収益拡大が見込める開発投資や新規事業投資のために必要な資金の確保は自己資金を基本としております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に用いた会計上の見積り及び当該見積に用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。