第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績の状況

当中間連結会計期間(2024年1月1日~2024年6月30日)は、わが国においては、円安によるコスト負担の増加や個人消費の落ち込みなどにより、足踏み状態は見られるものの緩やかな回復基調にあり、海外経済においては、金融引き締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念、依然高い緊張状態にある地政学リスクのもとで推移しました。

エレクトロニクス業界は、IoT、AIの進展等への対応により先端分野への投資は堅調に推移し、従来分野においても需要が回復に転じる動きが見られました。電装化や自動運転への技術転換が進む車載関連は、概ね堅調に推移しました。在庫調整が一巡したと見られるパソコンやスマートフォンは力強さに欠けるものの緩やかながらも回復基調のなか推移しました。

当社グループの関係市場である電子基板・部品業界は、全般的にエレクトロニクス業界の影響を受け推移しました。
 このような環境のもと、当社グループは、2030年ビジョン「独創の技術で新たな価値を創造し、お客様とともに持続可能な社会の実現に挑戦する」の実現に向けた第一期である「Phase 1 中期経営計画(2022年度~2024年度)」を達成するため、「創造と改革」を指針に事業活動に取り組みました。特に、デジタル化やグリーン化に向け社会が変化・変革期にあるなか、高密度電子基板向け製品の開発、販売に注力いたしました。

その結果、当中間連結会計期間の売上高は88億82百万円(前年同期比26億84百万円43.3%増)となりました。販売費及び一般管理費は30億20百万円前年同期比2億12百万円7.6%増)となり、営業利益は23億62百万円(前年同期比15億24百万円181.8%増)、売上高営業利益率は26.6%となり、前年同期と比較し13.1ポイント改善しました。経常利益は26億41百万円(前年同期比16億37百万円163.3%増)となりました。税金等調整前中間純利益は26億37百万円(前年同期比10億88百万円70.3%増)となり、親会社株主に帰属する中間純利益は18億90百万円(前年同期比8億14百万円75.7%増)となりました。

売上高の内訳は、薬品売上高は83億84百万円(前年同期比22億99百万円37.8%増)、機械売上高は4億11百万円(前年同期比3億45百万円522.2%増)、資材売上高は81百万円(前年同期比37百万円86.0%増)、その他売上高は4百万円(前年同期比1百万円36.7%増)となりました。

海外売上高比率は61.4%となり、前年同期の62.5%に比べ1.1ポイント低下しました。なお、日本国内代理店経由で販売した海外顧客への売上を海外売上高比率に含めた場合は、76.3%(前年同期比0.8ポイント増)となります。

売上高については、為替の影響や関連する電子機器の生産が回復基調にあること、先端パッケージ基板向け製品需要が徐々に拡大するなかにあること等の影響を受け、中間連結会計期間で過去最高となりました。利益面でも、薬品の生産数量の増加やグローバル生産戦略における生産効率改善等による利益貢献もあり、大幅な増益となりました。

前年同期と比較した主要製品の売上動向としましては、全般的にエレクトロニクス業界の影響を受け増加しました。半導体を搭載するパッケージ基板向けに高いシェアを持つ超粗化系密着向上剤「CZシリーズ」は、関連する電子機器において在庫調整が一巡し、当社製品の需要が回復基調にあることや先端パッケージ基板向けの需要が徐々に拡大基調にあることを受け大きく増加し、ディスプレイ向け「EXEシリーズ」も、関連する電子機器の在庫調整一巡により、関連する当社製品需要に回復が見られ増加しました。ディスプレイ向け「SFシリーズ」は、関連する電子機器の生産動向を受け増加、多層電子基板向け密着向上剤「V-Bondシリーズ」では、車載基板向けが堅調に推移しました。

 

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

日本

日本では、生成AI向けなど先端パッケージ基板向け製品の需要は堅調に推移し、パソコンに関連する製品の需要にも回復の兆しが見られました。さらに、従来型サーバーにおいても昨年までの投資抑制が方向転換し、需要は復調に転じました。また、関連する電子機器の生産動向を受けディスプレイ向け薬品も増加しました。一方、日本代理店経由で販売している韓国向けにおいては、メモリー向けパッケージ基板は回復途上にあり、当社製品の需要に力強さは見られませんでした。その結果、当中間連結会計期間の売上高は35億45百万円(前年同期比11億22百万円46.3%増)、セグメント利益は17億3百万円(前年同期比14億57百万円594.2%増)となりました。

 

台湾

台湾では、従来型サーバーの投資回復や、スマートフォンの緩やかな回復によるパッケージ基板の需要により、当中間連結会計期間の売上高は16億74百万円(前年同期比4億68百万円38.9%増)、セグメント利益は2億48百万円(前年同期比1億50百万円153.1%増)となりました。

 

香港(香港、珠海)

香港(香港、珠海)では、スマートフォンや車載に関連する製品の需要が緩やかな回復基調にあり、当中間連結会計期間の売上高は10億66百万円(前年同期比3億45百万円48.0%増)、セグメント利益は2億21百万円(前年同期比1億29百万円140.1%増)となりました。

 

中国(蘇州)

中国(蘇州)では、サーバーやスマートフォンに関連する製品の需要に回復の兆しが見られ、当中間連結会計期間の売上高は17億2百万円(前年同期比5億74百万円50.9%増)、セグメント利益は3億6百万円(前年同期比2億51百万円459.8%増)となりました。

 

欧州

欧州では、顧客により需要動向に濃淡が見られるなか、当中間連結会計期間の売上高は5億32百万円(前年同期比96百万円22.1%増)、セグメント利益は24百万円(前年同期比8百万円50.9%増)となりました。

 

タイ

タイは、電子基板メーカーの東南アジアにおける設備投資が活発化するなか、主に多層基板向け製品の需要に回復の傾向が見られ、当中間連結会計期間の売上高は3億60百万円前年同期比76百万円27.0%増)、セグメント利益は33百万円前年同期比30百万円1,172.0%増)となりました。

 

(2) 財政状態の分析

資産は、現金及び預金や売上債権の増加等により、前連結会計年度に比べて27億45百万円増加し、314億10百万円となりました。

負債は、支払債務や未払法人税等の増加等により、前連結会計年度に比べて5億90百万円増加し、44億78百万円となりました。

純資産は、利益剰余金の増加や円安による為替換算調整勘定の増加等により、前連結会計年度に比べて21億55百万円増加し、269億32百万円となりました。

以上の結果、自己資本比率は85.7%となりました。

 

 

(3)キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は前連結会計年度末と比べて16億68百万円増加し、83億58百万円となりました。

 当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は19億89百万円(前年同期比11億94百万円増)となりました。これは主に税金等調整前中間純利益が26億37百万円、減価償却費が3億91百万円あったこと、および、法人税等の支払額が2億84百万円あったこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は79百万円(前年同期比6億71百万円減)となりました。これは主に定期預金の払戻による収入が純額で6億5百万円あったこと、有形固定資産の取得による支出が5億8百万円あったこと等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は4億83百万円(前年同期比9億20百万円減)となりました。これは主に配当金の支払いが4億72百万円あったこと等によるものであります。

 

 

(4) 事業上および財務上の対処すべき課題

当中間連結会計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。

なお、当社は財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。

会社の支配に関する基本方針
① 基本方針の考え方と内容

当社は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する目的を持って当社株式を大量に取得するための株式買付けが行われる場合は、これに対する諾否は、基本的には個々の株主の判断に基づいて行われるべきものと考えております。従って、経営支配権の移動による企業活動の活性化の意義または効果につきましても、何ら否定する立場にはありません。

しかしながら、もっぱら高値での売り抜け等不当な目的を持った買収者により会社買収が行われるような場合には、株主を始めとする各ステークホルダーの利益を守るため、企業価値の毀損の防止を図ることが当社取締役会の責務であると認識しております。このため、株式の大量取得を目的とする買付けまたは買収提案に際しては、買付者の事業計画の内容のほか、過去の投資行動等も考慮のうえ、その買付けまたは買収提案が当社の企業価値および株主共同の利益に与える影響を十分検討し、取締役会としての判断結果を株主に開示する必要があるものと考えております。

また、当社は当社株式の大量買付け等による具体的な脅威に備えての取組み(いわゆる「買収防衛策」)を予め定めることは行っておりません。ただし、株主から負託を受けた取締役会の責務において、当社株式の売買取引や株主異動の状況を注視し、株式の大量取得を企図する者が現れた場合には、社外専門家を交えて当該買収者の買収提案および事業計画等の評価を行い、その買収提案または買付行為が当社の企業価値ならびに株主共同の利益に反すると判断したときは、対抗措置の要否ならびにその具体的な内容を決定し、これを実施することがあります。

 

② 取組みの具体的な内容
ⅰ 会社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組み

当社では、上記基本方針の実現ならびに株主共同の利益に資するために次のような取組みを行っております。

(イ)中期経営計画の推進による企業価値の向上

a 世界主要市場における販売力の強化

b 最先端基板から汎用基板用途までの製品ラインナップの充実・強化

c 環境負荷低減によるビジネスチャンスの拡大

d 金属と樹脂の接合技術の磨き上げによる新事業分野の開拓等

e 連結ROEは、10%をベースに持続的改善を図る

(ロ)株主への積極的な利益還元、持続的成長のための中長期投資

a 連結配当性向30%を中期的目標として利益を積極的に株主還元

b 売上高の10%以上を研究開発費に先行投資

c 世界各市場の需要に即応し、世界同一品質を実現する生産設備投資等

ⅱ 基本方針に照らして不適切な者によって会社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み

当社は、株式の大量取得を企図する者に対しては、大量取得行為の是非を株主の皆様が適切に判断するための必要かつ十分な情報の提供を求め、併せて当社取締役会の意見等を開示し、株主の皆様の検討のための時間の確保に努めるなど、金融商品取引法、会社法その他関係法令の許容する範囲内において、適切な措置を講じてまいります。

 

 

③ 前号の取組みに関する取締役会の判断およびその理由

前号の各取組みにつきましては、当社の企業価値および株主共同の利益を持続的に向上させるために実施しているものでありますので、当社取締役会として、いずれも次の各要件に該当するものと判断しております。

ⅰ 第1号の基本方針に沿うものであること

ⅱ 株主共同の利益を損なうものではないこと

ⅲ 当社役員の地位の維持を目的とするものではないこと

 

(5) 研究開発活動

当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発活動は日本で行っており、その金額は、6億7百万円であります。

なお、当中間連結会計期間において当社の研究開発活動に重要な変更はありません。

 

3 【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。