第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社は、「ゲームをより楽しめる世界を創る」という経営理念のもと、2013年6月に設立いたしました。本当に知りたいゲームの情報が得られる場所が存在すればもっとゲームを楽しめるようになるという想いから、2013年9月にゲーム攻略情報メディアとしてウェブサイト「GameWith」をリリースいたしました。「GameWith」では現在、ゲーム攻略情報だけでなく、新作ゲームの紹介記事等を提供しており、ゲーマーにとって欠かせないインフラとなりつつあります。直近では、eスポーツや新規事業であるNFTゲーム、回線事業が大きく成長してきております。これらの新規領域について、中長期的にメディア事業に次ぐ第2第3の柱とするべく、現在注力しております。

当社グループの事業は、主に、ゲーム情報等の提供を行うメディア事業およびeスポーツ・エンタメ事業、ならびにゲームに関連する新規事業を展開しております。

 

(2) 経営環境

日本国内のインターネット普及率は毎年増加しており、2023年のインターネット普及率は86.2%(注1)となっております。これに伴い、インターネット広告費は、2013年は9,381億円であったものが、2023年では前年比7.8%増の3兆3,330億円となっております。とりわけインターネット広告媒体費は、2013年は7,203億円であったものが、2023年では前年比8.3%増の2兆6,870億円と成長しております(注2)。

なお、新型コロナウイルス感染症の拡大によって当社グループの経営環境に対して、自宅でゲームを楽しむ人が増加し当社グループのメディアの閲覧数が上昇した一方、多くの企業が広告出稿を控え広告単価が下落する等の影響が出ておりましたが、現在はほぼコロナ前の水準に回復しております。

また、当社はメディア事業に留まらず、ゲームに関する様々な事業を展開しておりますが、国内のゲーム市場規模は、2013年は1兆1,448億円であったものが、2022年では2兆316億円と成長しております(注3)。

(注1) 総務省「令和5年通信利用動向調査」

(注2) 株式会社電通「2013年 日本の広告費」、「2023年 日本の広告費」

(注3) 株式会社角川アスキー総合研究所「ファミ通ゲーム白書2023」

 

(3) 経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループが経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標として、売上高及び営業利益を重視しております。

 

(4) 事業戦略方針

当連結会計年度においては、eスポーツや新規事業といった新規領域においては順調に成長している一方で、利益の源泉であるメディア事業において、後半にかけて外部環境の影響等を受け収益が減少するなど、GameWithグループとしても厳しい年度となりました。このような状況のもと、本格的なグローバル進出によるメディア事業の再成長と、新規領域におけるメディアに次ぐ第2、第3の柱の創出を目標に掲げた、中期経営計画および中期事業戦略を策定し、各セグメントの中長期的な成長を目指すことに注力してまいります。各セグメントの詳細については、以下の通りでございます。

 

① メディア

メディアについては、ゲーム業界において好調を維持している家庭用ゲームやPCゲーム領域に引き続き注力するのみならず、直近でニーズが高まっているDiscordを活用したゲーマーコミュニティ運営や、国内No.1ゲームメディアとしてのゲーマーへのリーチやメディアを運営するゲームに関するノウハウを持った従業員等のゲーマーアセットを活用した新規ビジネス等を展開することで、マネタイズ方法を拡充してまいります。

メディア領域における中期経営計画の骨子としては、国内と比較してPV単価が高い水準にある英語圏を始めとしたグローバル展開を柱に据えて注力することで、さらなる事業規模の拡大を目指してまいります。英語版GameWithについては、英語での記事提供の体制が日本語のGameWithと比較して弱いため、メディアにおけるタイトルカバレッジが少ないことが課題となっております。そのため、英語での記事作成人材に積極的に投資し、記事を量産することでタイトルカバレッジを一気に拡大してまいります。その結果、検索でも上位に表示されるようになり、PV数が急増していくという国内メディアでの成功の再現を狙うという戦略を考えております。また、シェアが向上し、PV数が増えることでメディア価値が向上することに伴い、タイアップ記事等、事業を横展開してまいります。さらに、資本業務提携関係にある株式会社デジタルハーツホールディングスの子会社であるDIGITAL HEARTS Seoul Co., Ltd.とのパートナーシップ締結による韓国市場への進出等、英語圏以外においてもグローバル展開を拡大していく予定です。

長期的なトレンドとしては、AI技術の向上により、ゲーム攻略の提供方法が拡大していくことを見込んでおり、当社グループとしても積極的に対応していく予定です。現在のゲーム攻略における情報発信については、ユーザー自身が知りたいと思った情報を検索し、検索エンジンを通して流入したユーザーに対してWebメディアを介して情報を提供するという発信方法になっております。一方で将来のゲーム攻略としては、AIを活用してユーザーのゲーム進捗を解析することで、ユーザーが検索せずともリアルタイムで攻略情報を提案できる世界を想定しております。このような世界を目指して投資を行っていき、Webメディアという形態にとらわれず、従来の検索からの流入でPV数を稼ぐというモデル以外の方法を長期的には目指してまいります。

 

② eスポーツ・エンタメ

eスポーツ領域については、五輪採用に向けて、政府によるeスポーツ強化支援や日本eスポーツ連合(JeSU)の日本オリンピック委員会(JOC)への準加盟のニュースが話題になるなど、今後も市場規模は増加していくと期待されており、当社グループとしても注力領域としてさらなる事業展開を図ってまいります。eスポーツ領域におけるマネタイズ方法としては、スポンサー収入、大会賞金、支援金、グッズ販売、動画配信収益、イベント・タイアップなど多岐に渡りますが、不安定な部分も多く、マネタイズという意味ではまだ黎明期にあると考えております。そのため、将来市場が成熟した際に国内のみならず世界トップクラスのeスポーツチームとしての地位を確立していることが重要と考えており、その種まき段階として、中期経営計画においても戦略的に投資を行う領域として定めております。

競技シーンにおいては、世界で注目されているゲームタイトルである「VALORANT」部門を中心に、環境整備による既存戦力の強化や新規戦力の拡充等を実施することでチーム価値向上に努め、「世界で勝てる」チームを目指す方針です。また、近年eスポーツ領域において重要なマネタイズポイントであるインフルエンサービジネスの強化についても課題であり、有名ストリーマーの獲得にも注力することで、ファンの裾野を広げて強さと人気の両方を兼ね備えるチームを目指してまいります。さらに、BtoBビジネスにおける強みを活かして、企業や地方自治体との取り組みによる地方創生等についても注力し、各方面で様々な接点を作ってまいります。

これらの取り組みを行う上で、先行して戦略的に投資を推進していくことで、eスポーツ市場が成熟し、マネタイズポイントが拡大していった際に、トップチームとしての地位が確立されていることを目指しており、中長期的に大きな収益を生み出す領域になると考えております。

 

③ その他

その他について、今後も企業理念の達成に向けてゲームに関する様々な事業を展開していく予定ですが、現在は特に事業が立ちあがり成長フェーズに入ったNFTゲームと光回線事業を中心に中期経営計画を定めております。

NFTゲーム領域については、株式会社Kyuzanよりプロモーション等の受託をしているNFTゲーム「EGGRYPTO」が4周年を迎え、カジュアルなゲームにNFT要素を加え、ガチャ課金収入でマネタイズをするというビジネスモデルにおける運用ノウハウが確立されてまいりました。今後も「EGGRYPTO」については展開を続けてまいりますが、今後はこのビジネスモデルを活用した新作タイトルの開発も進めてまいります。すでに発表している「EGGRYPTO X」のみならず、シューティング系のeスポーツタイトルにおいて重要となる「AIM力(銃の照準を狙いに合わせる力)」を鍛えるAIMトレーニングソフトにゲーム要素とNFT要素を加えて開発予定の「AIMNOVA」といった新作ゲームの開発を開始しており、2026年5月期のリリースを予定しております。

光回線事業については、2022年6月に資本業務提携を結んだアルテリア・ネットワークス株式会社との連携により、高品質な通信サービスを提供することに成功しており、多くのユーザーに安定性を実感していただいております。プロモーションやインセンティブばかりに頼らずユーザー目線でクオリティの高いインフラを提供することで、ニッチ市場にも関わらず順調に成長しております。ユーザーが積みあがれば積みあがるほど利益が大きくなっていくビジネスモデルであり、今後もユーザー獲得に注力し、新たなプロモーション戦略を展開してまいります。直近では、eスポーツチームや高校のeスポーツ部等との連携等を行うことで知名度向上を図っております。

 

(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題

① 新規事業の展開と新たな収益モデルの構築について

当社グループは、ゲーム情報メディアの運営を行っておりますが、当社グループが今後も継続的に成長していくためには、常にユーザーのニーズを把握し、新規コンテンツや周辺事業の展開を図ることにより、コンテンツを充実させ、かつ新たな収益モデルの構築に取り組むことが重要な課題と認識しております。

そのためには、既存コンテンツの拡充だけでなく、企業理念の実現に向けた新たな収益モデルを構築し、積極的にその拡充を図る必要があります。現在、eスポーツ、NFT、回線事業などの領域に関する新規事業を開始しており、新たな収益モデルの構築に取り組んでおります。

 

② 人材の確保及び組織力の強化について

当社グループは、今後の継続的な成長のためには、人材の確保と社員育成が重要な課題と認識しております。引き続き積極的な採用活動と社内研修体制の強化及び社員が働きやすい環境を整備することで人材の確保及び組織力の強化に取り組んでまいります。

 

③ 内部管理体制の強化について

当社グループがユーザーに安定したサービスを提供し、継続的に成長し続けるためには、内部統制システムの強化が必要であると認識しております。そのため、事業等のリスクを適切に把握及び対処し、コンプライアンスを重視した経営管理体制に重点をおくことで、引き続き内部管理体制の強化に取り組んでまいります。

 

④ セキュリティシステム及び保守管理体制について

当社グループが展開する事業は、システムのセキュリティ及び保守管理体制の整備が重要であり、常にこれらの充実が重要な課題であると認識しております。今後も市場環境の変化に対応したセキュリティの維持及び保守管理体制の整備を進める方針です。

 

⑤ サービスの健全性と安全性の維持について

当社グループは、利用者が安心して利用できるサービスを提供することが、信頼性の向上及び事業の発展に寄与するものと考えております。これは当社グループが運営するゲーム情報メディアが、単なる情報メディアとしてではなく、ユーザー同士のコミュニケーションの場にもなっている点や、その他のサービスにおいてもユーザー接点が多いことから、当社グループとしてはその健全性と安全性に取り組むことが不可欠であると認識しています。具体的には、個人情報保護等の法令遵守に取り組むだけでなく、サイト自体の安全性を高め、利用規約の徹底やサイトパトロール等の体制強化のためにカスタマーサポート担当を定める等、監視、サービスの健全性の維持に引き続き取り組んでまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティに対する基本方針

当社は、「ゲームをより楽しめる世界を創る」という経営理念に基づき、企業も社会の一員という考え方のもと、持続可能な社会づくりに貢献することを重要な経営課題として捉えております。ゲームは人々の生活を豊かにし、個人を輝かせる力を持っています。ゲームで人がつながることや、ゲームを仕事にする機会も増えてきており、さらにゲームのテクノロジーは日々進化し続け、ゲームがエンターテインメントの枠を超えて、医療や福祉・教育・都市開発・組織づくりなどにも拡がり、社会の基盤になることも考えられます。私たちは常に生活者や社会を起点にサービスを提供し、ゲームを通じてより良い社会をつくることを目標としてまいります。

 

(2) ガバナンス

当社では様々な社会課題の解決に貢献し、持続可能な社会づくりに資すること、および当社グループ全体の企業価値向上を目指し、サステナビリティに関する経営戦略を牽引するため2023年12月にサステナビリティ推進委員会を設置いたしました。

同委員会は、管理部門に属する部署を管掌する取締役を委員長として、その他各部門の有志を委員として構成し、原則月に1回開催します。当社のSDGsの取り組みを含めたサステナビリティに関する各種方針の策定・協議及び実際の活動の推進を行うとともに、戦略や施策、活動内容やリスクの評価・監督を目的として、適切な時期毎に活動内容を取締役会に報告することで監督される体制を構築し、必要に応じて適切な指示を受けております。

なお、特に重要な事項については取締役会において、社外取締役を含めて議論をする機会を設けております。

 

(3) リスク管理

①当社は、リスク管理を経営上の重要な活動として認識しており、個別のリスクを認識・識別し、評価及び管理するためリスク管理規程を制定しております。当社では、サステナビリティに関連するリスクを含め、各種リスクを同規程に基づき把握及び管理することとし、必要に応じて代表取締役社長を委員長とするコンプライアンス委員会にて、重要なリスクの分析や対応策についての議論を行い、定期的に取締役会へ報告しております。

②市況変化の速いエンターテインメントの領域で事業活動を継続するためには、様々な新しい取り組みを実施し企業成長を促す必要があるとの考えから、取り組みを実現する上で発生するリスクについて、適切に管理することが重要であると認識しております。その中でも、情報セキュリティに関するリスクや法務リスク等を重要なリスクと捉え、これらのリスクを未然に防ぐための対応策や管理体制について担当部署による施策の立案を進めております。従業員の育成の観点では、当社グループの従業員全員を対象として業務上のリスク等に関する知見を養うため、当社独自のeラーニングによる専門講座を開設し、知識の習得を行っております。

 

(4) 戦略

(サステナビリティ全般)

当社はゲームを通じてSDGsの達成および社会課題の解決に貢献し、すべての生活者が輝く、より良い世界の実現を目指します。

私たちはサステナブルな事業成長のため重点的に取り組むテーマを“3つのWith”として定めております。

 

・With Consumer(生活者)

変化する生活様式に対応し、ゲームを通じてあらゆる人々につながりや豊かな感動体験を提供することで、新たな価値創造を目指します。

 

・With Society(社会)

未来を担う子どもたちのため、次世代の人材や持続可能な産業を育み、誰も取り残すことのない循環型社会の構築を目指します。

 

・With Work(働き方)

持続可能な経済成長とディーセント・ワークの実現のため、個人の能力を最大限発揮して社会に貢献できる環境づくりを目指します。

 

(サステナビリティに関する重点的な取り組み)

・サステナビリティ推進委員会の設置と活動実施

当社グループ全体のサステナビリティに関する経営戦略を牽引するため、2023年12月にサステナビリティ推進委員会を設置いたしました。様々な社会課題の解決及び持続可能な社会づくりに貢献し、当社グループ全体の企業価値向上を目指すことを目標とし、原則月に1回委員会を開催し、サステナビリティ推進活動の全体計画の立案、検討、施策のモニタリング、活動報告などを行っております。

 

・小学校での特別授業実施

当社の取り組みを知っていただくと共に、次世代の子どもたちに「好きを仕事にする」ために、自分の好きなことや趣味をイメージし、その実現にむけてどのような考え方を持つことが必要か、また好奇心が持つ重要性と沢山の物事を知ることによって自分の将来の選択肢や可能性をどれだけ広げることができるかということを一緒に考える特別授業を実施いたしました。

 

・大学での特別講義実施

ビジネスの先端的な動向や課題について、企業活動や産業の展開との関連性から学ぶ特別講義を実施いたしました。講義には付属高校の学生も多数自主的に参加され、当社のビジネスモデルや重要視している価値観を交えながら、近い将来を担う学生たちに仕事の楽しさや働きがい、並びにゲーム市場の世界的な広がりやeスポーツの将来的な可能性などをお伝えいたしました。

 

・サービスサイトの広告掲載に関する運用基準

当社はサービスサイトに掲載する広告の掲載可否について、厳正に審査をすることを目的として、広告掲載可否に関するマニュアルを定めております。法令に違反する広告は当然として、違反の恐れがあるものや公序良俗に反する恐れがあるもの、その他見る人に不快感などを与える恐れがある広告は掲載しない方針としており、基準を逸脱するような広告を排除することで、ユーザーに安心してご利用いただけるゲームメディアを目指しております。

 

(人的資本)

①人材育成方針

当社は創業以来、企業活動の源泉は従業員にあるという基本方針のもと、様々な角度から「人」に対して積極的な投資を行っております。

人材の育成につきましては従業員の成長を中長期的に支援するため各種研修の充実を図っております。職種ごとに必要な知識やスキル、コンプライアンスやマネジメント等を学ぶ様々な研修をオンライン、オフライン双方で実施しており、各従業員が自身のキャリアやスキルアップに自信を持って、将来に渡って安心して働き続けられる人事施策を取り入れております。

また、多様な人材が活躍できる環境を作る中で、育成においても性別等を問わず様々な選択肢を創出しております。管理職としての登用を前提としたゼネラリストとして活躍するコースの他、高い専門性を発揮してスペシャリストとして活躍するコースも設け、従業員それぞれの適正に応じて能力を発揮できるキャリアパスを備えております。

 

②社内環境整備方針

当社は従業員が安心して働ける環境を提供することが従業員のパフォーマンス、モチベーションを最大化するために重要であると考えております。事業が継続的に成長していくためには多様な視点や考え方を取り入れる必要があり、雇用や処遇にあたっては人種、性別、年齢、障害、国籍などの属性に関係なく、差別やハラスメント等を受けずに各従業員が自身の能力に基づいて活躍できる環境を提供できるよう努めております。

また、各従業員が抱える様々な問題に対応できるように柔軟な働き方の導入を進めております。当社はリモートワークをメインとする働き方を推進する一方で、コミュニケーションを取りやすいオフィス環境を整えることで、働き方に応じてオフィス勤務も選択できるハイブリッド勤務を実施する等、ワークライフバランスの向上への取り組みを推進することで、働きやすい職場環境の整備に努めております。

 

(人的資本に関する重点的な取り組み)

・健康経営に関する取り組み

当社は、従業員の心身の健康を守ることを経営の最重要課題に位置付けております。法定の衛生委員会では従業員の残業時間の分析等を当社産業医を交えて行い、必要に応じて従業員と産業医との面談を行っております。衛生委員会の活動については代表取締役を委員長とするコンプライアンス委員会にて報告をし、取締役及び常勤監査役からの監督を受ける体制を整えております。

 

・産前産後休業、育児介護休業取得

従業員が出産、育児、介護等が理由で働きづらくならないよう、休業、休暇、短時間勤務や深夜、時間外労働の制限等の柔軟な働き方を整備しております。特に、男性労働者の育児休業取得にあたっては個別に説明会を開催し、多様な取得方法を従業員と共に検討することで高い取得率を維持しております。

※当事業年度の男性労働者の育児休業取得率は75%です。

 

・エンゲージメントサーベイの実施

全社の課題を正確に把握し、会社と従業員間の定期的なコミュニケーションの確立・強化を目的として、全社員を対象としたエンゲージメントサーベイを実施しております。サーベイは四半期毎に実施し、年間では平均80%以上の従業員から回答を得られております。サーベイの結果を定量的に集計し、各部門のエンゲージメントの数値を分析することで、従業員のモチベーション向上に資する取り組みを企画・実行しております。

 

・各種研修の実施

従業員のスキルアップ、役職者への昇格を目的とした能力開発研修を随時実施しております。職種や役職ごとに必要な知識やスキル、コンプライアンスやマネジメント等を学ぶことで、従業員の成長、生産性向上に資するとともに、集合研修を行うことによる組織活性化を図っております。

 

(5)指標及び目標

当社は、サステナビリティに関する戦略において多様性の確保、多様な働き方の促進を重要視しております。様々な属性の従業員が長期的に活躍できる雇用環境を整備することを重要課題とするため、人的資本における指標と目標を以下表のとおり設定しております。

指標

目標()

当事業年度

実績(%)

男性労働者の育児休業取得率

80

75

年次有給休暇取得率

65

63.8

障がい者雇用率

2.5

2.4

管理職に占める女性労働者の割合

10

3.6

 

(注) 上記の「指標及び目標」については、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに具体的な取り組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。

 

 

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のようなものがあります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避、発生した場合の対応に努める方針であります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性のある全てのリスクを網羅するものではありません。

 

(1) 事業環境に関するリスクについて

① スマートフォンゲーム市場について

わが国のモバイルインターネットの利用環境につき、東京地区におけるスマートフォン所有率は、2011年度では16.5%であったものが、2023年度では97.4%となっております(注1)。また、スマートフォンの主たるコンテンツである国内のスマートフォンゲームの市場規模も、2011年度では480億円であったものが、2022年度には1兆2,129億円まで拡大しております(注2)。

しかしながら、新たな法的規制の導入、技術革新、スマートフォンの普及減退、ゲーム開発事業者の動向等により、市場の成長が大きく鈍化した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

(注1) 株式会社博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所「メディア定点調査」

(注2) 株式会社角川アスキー総合研究所「ファミ通モバイルゲーム白書2023」

 

② インターネット広告市場について

当社グループは、メディア事業を主たる事業としており、インターネットの更なる利用拡大と環境整備が、事業の継続的発展に不可欠であると考えております。日本国内のインターネット普及率は毎年増加しており、2023年のインターネット普及率は86.2%(注3)となっております。これに伴い、インターネット広告費は、2013年は9,381億円であったものが、2023年では前年比7.8%増の3兆3,330億円となっております。とりわけインターネット広告媒体費は、2013年は7,203億円であったものが、2023年では前年比8.3%増の2兆6,870億円と成長しております(注4)。

しかしながら、広告市場は景気動向の影響を受けやすいため、今後急激な景気動向の変化が生じた場合には、インターネット広告を含む広告需要に影響を及ぼす可能性があります。また、他の広告媒体の拡大や過度な競争等により、インターネット広告の媒体としての価値が低下し、インターネット広告市場が順調に拡大しない場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

(注3) 総務省「令和5年通信利用動向調査」

(注4) 株式会社電通「2013年 日本の広告費」、「2023年 日本の広告費」

 

③ 競合について

当社グループは、メディア事業において、ゲームの攻略情報を中心とした各種コンテンツを提供しております。以前は競合他社が多数存在しているほか、参入障壁も高くないことから新規事業者の参入が相次いでおりましたが、現在は競争の結果、比較的落ち着いております。当社グループでは、特に情報の質にこだわり、他社との差別化を図っております。

しかしながら、今後競合他社との競争が激化し、ユーザーの流出等が生じた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。当社グループとしては、メディア事業のみに依存するのではなく、ゲームに関する様々な事業に進出することで、競合との差別化を図っております。

 

④ アルテリア・ネットワークス株式会社との資本・業務提携について

アルテリア・ネットワークス株式会社(以下、「アルテリア・ネットワークス」という)は、議決権の21.1%を保有するその他の関係会社に該当しております。また、当社はアルテリア・ネットワークスの持分法適用関連会社となり、当社の取締役である小林徹氏はアルテリア・ネットワークスから招聘しております。

当社とアルテリア・ネットワークスは、資本業務提携契約を締結し、同契約に基づき業務提携を開始しております。なお、アルテリア・ネットワークスとの取引については、他の企業の取引条件との比較等により取引条件の適正性等を確保する方針です。

当社グループの経営方針、事業展開等の重要事項の意思決定において、現状、アルテリア・ネットワークスに対して事前承認を要する事項はなく、独立性・自律性は保たれていると認識しております。また、アルテリア・ネットワークスは当社株式を中長期にわたって保有する意向であると認識しております。しかしながら、将来において、アルテリア・ネットワークスにおける当社株式の保有比率に大きな変動があった場合、あるいはアルテリア・ネットワークスの事業戦略が変更された場合やアルテリア・ネットワークスとの業務提携が成功しなかった場合等には、当社株式の流動性及び株価形成、並びに当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの経営その他の事項に関するアルテリア・ネットワークスの利益は、他の株主の利益とは異なる可能性があります。

 

(2) 事業内容に関するリスクについて

① ユーザーの嗜好の変化及び新規事業の展開について

当社グループは、ゲーム情報メディア「GameWith」等の運営を行っておりますが、当社グループが今後継続的に成長していくためには、常にユーザーのニーズを把握し、新規コンテンツや周辺事業の展開を図ることにより、コンテンツの充実、ユーザー数またはPV数を増加させ、併せて新しい収益モデルの構築に取り組むことが重要な課題と認識しております。そのためには、既存コンテンツの拡充だけでなく、高いシナジーが見込まれる領域を選別し、積極的にその拡大を図っていく必要があります。現在、eスポーツ、NFT、回線事業などの領域に関する新規事業を開始しており、新たな収益モデルの構築に取り組んでおります。

しかしながら、トレンドやユーザーの嗜好の変化に応じたサービスを提供できない場合、または対応が遅れた場合、ユーザーの流出等が生じ、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

また、新規事業の展開を行っていくうえで、必要な人材の確保、システム投資、広告宣伝費等の追加的な支出が発生する可能性があります。さらに、当社グループを取り巻く環境の変化や、新規事業に係る不確定要素の存在等により、当初の計画通りに結果が得られない場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります

 

② システムトラブルについて

当社グループは、ゲーム情報メディア「GameWith」等において、ユーザーに対して安定的にサービスを提供するために、コンピュータシステムを構築しています。当社グループは運営サイトにおけるシステムトラブルの発生可能性を低減させるために、安定運用のためのシステム強化、セキュリティ対策及びサーバーの分散化等の対策を行っております。

しかしながら、地震、津波などの自然災害、火災、事故、停電などの予期せぬ事象の発生によって、当社グループの設備または通信ネットワークに障害が発生した場合は、当社グループの事業活動が不可能になります。また当社グループもしくはインターネット・サービス・プロバイダーのサーバーが何らかの原因によって作動不能になる、または外部からの不正アクセス犯罪等によりネットワーク障害が発生する可能性があります。これらの障害が発生した場合には、当社グループの事業及び業績、さらに企業としての社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ ウェブサイト、アプリ内の安全性及び健全性の維持について

当社グループでは、当社グループのサイト内に掲示板を設け、ユーザー同士の交流の場を提供しており、不特定多数の利用者同士が独自にコミュニケーションを図っております。そのため、当該掲示板には好意的な内容だけでなく、公序良俗に反する内容、誹謗中傷等の悪意的な内容や、他社の知的財産権、名誉、プライバシー、その他の権利等の侵害、その他不適切な投稿がなされる危険性があります。当社グループにおきましては、ウェブサイト等の禁止事項を利用規約に明記するとともに、利用規約に基づいた利用がされていることを確認するためにカスタマーサポート体制を整備し、定期的に書き込みの内容を確認しております。なお、利用規約に違反した利用者に対してはカスタマーサポートから改善要請等を行っております。また、当社グループが不適切であると判断した場合には原則として書き込みの削除及びユーザーの利用制限を行っております。

しかしながら、急激なユーザーの増加等により、不適切な投稿を当社グループが発見できなかった場合、または発見が遅れた場合には、ユーザーからの信頼の低下、さらに企業としての社会的信頼性の毀損により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

④ 広告掲載記事について

当社グループが運営するゲーム情報メディア「GameWith」等に掲載される広告は、広告代理店等が内容を精査するとともに、当社グループ独自の広告掲載基準による確認を実施し、法令違反や公序良俗に反する広告の排除に努めております。

しかしながら、人為的な要因等により当社グループが掲載した広告に瑕疵があった場合、当社グループの社会的信頼性の毀損により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑤ 特定取引先への集中について

当社グループにおきましては、現在は解消傾向にあるものの、過去において特定の取引先への売上高が総売上高に占める割合が大きかったことから、与信管理規程を設け、与信管理体制の構築・運用を行っており、また、既存取引先との関係を維持しつつ、新規取引先の獲得にも注力していくことを継続的に行い、特定の取引先への集中度をより低減させていく方針であります。

しかしながら、当該特定取引先の事業戦略の変化等、何らかの理由により、取引金額が大きく減少した場合または当該特定取引先を喪失した場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑥ 攻略情報における特定のゲームタイトルへの依存について

当社グループが運営するゲーム情報メディア「GameWith」においては、株式会社ミクシィが提供しているスマートフォンゲームアプリ「モンスターストライク(モンスト)」等の特定のゲームタイトルに関するコンテンツ提供及びそれに係るPV数の占める割合が高くなっておりましたが、以前と比較して解消されております。また、ゲームタイトルごとにイベントが開催され、イベント開催中は通常時よりPV数が多くなる傾向があります。一方で、直近では家庭用ゲームによるPV数が増加しており、ヒットタイトルの発売時期にPV数が集中しやすい傾向にあります。

当社グループでは取り扱いゲームタイトルの分散化及びユーザーの嗜好に合ったコンテンツ選びを図っておりますが、トレンドやユーザーの嗜好の変化に応じたサービスを提供できない場合、もしくは対応が遅れた場合、または、ゲーム会社の都合によりイベントが中止される、リリースや発売が中止、延期される等ゲーム会社の事業活動・施策の影響によっては、ユーザーの流出またはPV数の減少等が生じ、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑦ プラットフォーム事業者の仕様変更について

当社グループでは、ゲーム情報メディア「GameWith」等への集客を高めるために取り扱うゲームに関連したSEO(※)を実施しております。

そのため、検索エンジンの仕様が変更された場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

(※) SEOとは、Search Engine Optimizationの略で、検索エンジン最適化のことであります。

 

(3) 組織体制について

① 社歴が浅いことについて

当社は2013年6月に設立された社歴の浅い会社であるため、期間業績比較を行うために十分な期間の財務情報を得られず、過年度の業績のみでは今後の業績を判断する情報として不十分な可能性があります。

 

② 特定人物への依存について

当社の代表取締役社長である今泉卓也は、当社の創業者であり、設立以来、最高経営責任者として経営方針や事業戦略の立案・決定及び事業推進において重要な役割を果たしております。

当社では、業務担当執行役員及び部室長を配置する等、同氏に過度に依存しない経営体制の構築を進めておりますが、何らかの理由により、同氏が当社の業務を継続することが困難となった場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

③ 小規模組織に伴うリスク及び人材の確保・育成について

当社グループは従業員数(契約社員、臨時従業員含む)が、231名(2024年5月31日現在)と小規模組織であり、内部管理体制は相互牽制を中心としたものとなっております。今後、事業を拡大していくうえで、人員の確保及び内部管理体制の強化を図っていく予定であります。

また、当社グループの求める人材、特に当社オリジナルの記事を作成するライター等の確保が十分になされない場合や人材流出により必要な人材が確保できなくなった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(4) 法的規制について

① インターネット関連事業における法的規制

当社グループがインターネット上で運営しているメディア事業においては各種法的規制を受けており、具体的には、「電気通信事業法」、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダ責任制限法)」、「特定商取引に関する法律」、「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」等といった法的規制の対象となっております。当社グループでは、上記を含む各種法的規制に関して、法令遵守体制の整備・強化、社員教育を行っております。

しかしながら、今後インターネット関連事業者を対象とした法的規制の制定または改正がなされることで、当社グループの業務の一部が制約を受ける場合、または新たな対応を余儀なくされる場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

② 個人情報の取扱いについて

当社グループは、ゲーム情報メディア「GameWith」等を通じて、一部個人情報を保有しております。当社グループは、外部サーバーを利用して当該個人情報を保護するとともに、個人情報等管理規程等を制定し、個人情報の取扱いに関する業務フローを定めて厳格に管理を行っております。また、従業員に対して個人情報保護に係る継続的な啓蒙活動を行うことで、個人情報の保護に積極的に取り組んでおります。

しかしながら、個人情報が外部へ流出した場合には、当社グループに損害賠償を含む法的責任を追及される可能性があるほか、当社グループの社会的信頼性が毀損してしまうことにより、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

③ 知的財産権に係る方針について

当社グループは、運営するサイトの名称につき、商標登録を行っており、今後展開を検討しているサービスを含めて、商標権の取得を目指す方針であります。当社グループの保有する知的財産の保護につき、侵害されないよう細心の注意を払っておりますが、侵害されている恐れが生じた場合には顧問弁護士等と連携し、必要な措置を講じてまいります。また、商標権等の知的財産権の取得にあたり、その検討段階において、十分な検証を行い、ゲームパブリッシャーが有するコンテンツ等他社の知的財産権を侵害しないよう慎重に対応してまいります。

しかしながら、当社グループの知的財産権の侵害を把握しきれない場合や、侵害に対して適切な措置をとることが出来ない場合、または当社グループのサービスを表す商標権等が当社グループ以外の第三者に先に取得され、当社グループの競争力の減退や、何らかの法的措置等が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(5) その他のリスクについて

① 配当政策について

当社グループは、設立以来配当を実施した実績はありませんが、株主に対する利益還元を重要な経営課題であると認識し、事業基盤の整備状況、業績や財政状態などを総合的に勘案のうえ配当の実施の検討を行う予定であります。当面は、事業基盤の整備及び成長投資を優先することが株主価値の最大化に資するとの考えから、その原資となる内部留保の充実を基本方針とさせていただく所存であり、現時点において、今後の配当実施の可能性及び実施時期等については未定であります。

 

② 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

当社グループは、当社取締役、従業員に対するインセンティブを目的とし、新株予約権を付与しております。これらの新株予約権が権利行使された場合には、既存株主の保有株式の価値が希薄化する可能性があります。

当連結会計年度末日現在での新株予約権による潜在株式数は98,700株であり、発行済株式総数18,348,200株の0.5%に相当しております。

 

③ のれんの減損に係るリスク

当社グループは、M&Aに伴い発生した相当額ののれんを連結貸借対照表に計上しております。当該資産につきましては、事業価値及びシナジー効果が発現された結果得られる将来の収益力を適切に反映したものと考えておりますが、景気変動等の影響により収益性が低下した場合には、減損損失計上により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

④ 繰延税金資産の回収可能性に係るリスク

当社グループは、将来の課税所得に関する予測・仮定に基づき、繰延税金資産の回収可能性の判断を行っておりますが、将来の課税所得の予測・仮定が変更され、繰延税金資産の一部または全部が回収できないと判断された場合、繰延税金資産は減額され、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、近頃の足踏みもみられますが、緩やかに回復しており、先行きについても、雇用・所得環境が改善する下で、緩やかな回復が続くことが期待されております。ただし、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっております。また、物価上昇、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある等、依然として先行き不透明な状況が続いております。

このような環境のもと、当社グループは、「ゲームをより楽しめる世界を創る」を企業理念に掲げ、ゲームに関する様々な事業を展開し、当社グループの事業成長に注力してまいりました。多くのユーザーから支持を集めるゲーム情報メディア「GameWith」の運営を中心としたメディア事業は堅調に成長し、利益を生み出しております。また、今後も市場規模の拡大が見込めるeスポーツ、現在注目を集めているNFT領域やeスポーツ向けの光回線事業等については、積極的に経営資源を投下することで、事業として成長しております。

一方で、当期の第2四半期以降、メディア事業において、スマホゲームの新作リリース本数及び広告費の減少といった外部環境の影響を受け、当初の想定よりも売上高が減少しておりました。さらに、広告単価が年明けから大きく下落した影響により、売上高及び利益が減少いたしました。その結果、売上高、営業利益、経常利益について、期初計画より下回る見込みとなりました。

また、子会社である株式会社DetonatioNにおいては、運営するeスポーツチーム「DetonatioN FocusMe」におけるVALORANT部門のライアットゲームズとのパートナーシップ締結やeスポーツチーム「Crazy Raccoon」との業務提携等、子会社化を行った当初とは大きく状況が変化しており、投資機会も大幅に増えている状況です。そのため、将来的な企業価値最大化を目的に、チーム強化のための投資を優先する方向で、改めて利益計画の見直しを行いました。その結果として、短期的な利益については減少し、第3四半期にのれんや固定資産等に係る減損損失等を計上しております。なお、当該減損損失には既に将来取得することが決まっている株式によって生じるのれんも含まれております。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は3,497百万円(前期比0.4%減)、営業利益は67百万円(同80.1%減)、経常利益は45百万円(同85.4%減)、親会社株主に帰属する当期純損失は347百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益179百万円)となりました。

 

セグメント別の業績は以下のとおりでございます。

なお、顧客との契約から生じる収益を分解した情報として、従来は「ゲーム攻略」、「ゲーム紹介」、「動画配信」に区分しておりましたが、市場環境の変化に適応した注力事業の変化をより正確な情報として提供するため、また、より詳細な事業ごとの収益性を明確にするため、当連結会計年度より、「メディア広告」、「メディアソリューション」、「eスポーツクライアント」、「eスポーツファンビジネス」の区分に変更しております。

 

1)メディア

メディア事業においては、主に多くのユーザーから支持を集めるゲーム情報メディア「GameWith」等の企画・運営を行っております。ゲームを有利に進めるための攻略情報やゲームを見つけるための紹介情報等のコンテンツを、主にWebサイトの利用者に提供し、そこに表示される広告枠を販売すること等により収益を得ております。

コンテンツ作成においては、コンテンツ作成に特化した組織の運営や、全国どこでもリモートライターとしてゲームを仕事にできる「ゲームプレイワーカー」の活用等を行うことで、より質の高い記事を迅速に提供できる仕組みを構築しております。PV(ページビュー)数が見込めるヒットタイトルについては攻略サイト運営によりトラフィックを生み出すことで、複数の広告主が入札を行い、広告枠を獲得するモデルである「メディア広告」による収益を得ると同時に、主にゲーム会社向けに有料攻略サイト運営やゲーム紹介記事作成等の多様な商材を直接提供することで、メディア価値を活かした「メディアソリューション」による収益を得ております。

当連結会計年度においては、モバイルゲームの市場成長が以前と比較して鈍化している中、家庭用ゲームやPCゲームにおけるPV数獲得は引き続き好調のため、全体として堅調に推移している一方で、長期で運用をしているモバイルゲームにおけるPV数が下落傾向にあり今後もその傾向が続く可能性がございます。PV単価については前半好調を維持しておりましたが、年明けから急落したことで「メディア広告」による収益が影響を受けました。年明けから徐々に回復傾向にございますが、今後も広告市況の状況に注視していく必要がございます。「メディアソリューション」による収益においては、家庭用ゲーム領域へのアタック強化と、顧客に対するトータルソリューションの提案による案件あたりの単価増を目指し、戦略に基づいた新規商材の開発や営業体制の構築を急ピッチで行ってまいりました。しかしながらモバイルゲームを中心として新作タイトルのリリース数や投下する広告費が想定以上に減少しており、前期比で減少しております。

以上の結果、当セグメントの売上高は2,275百万円(前期比6.8%減)、営業利益は907百万円(同14.4%減)となりました。

 

2)eスポーツ・エンタメ

eスポーツ・エンタメ事業においては、主にゲーム実況を中心としたストリーマー等のクリエイターマネジメントとeスポーツチームの運営を行っております。

直近で注力しているeスポーツについては、国内屈指のeスポーツチーム「DetonatioN FocusMe(以下、「DFM」という)」をグループに抱えており、有力な選手をスカウトし固定報酬や練習環境、チームマネジメント等を提供することで、世界で戦えるかつ人気のあるeスポーツチームを運営することに注力しております。こういった点に経営資源を投下しチームの価値を上げることで、大会賞金だけでなく、大手企業を含んだ様々な業界のクライアントによるスポンサー収益やイベント開催、eスポーツタイトルのパブリッシャーによる支援金などの「eスポーツクライアント」による収益を得ております。また、選手やストリーマー、チームのファンに向けたグッズ販売やファンクラブ運営、動画配信などの「eスポーツファンビジネス」による収益など、多様な方法で収益を得ております。

当連結会計年度においては、前年に計上していた世界大会出場に伴う賞金等が今期は発生しなかった点や、VALORANT部門におけるデジタルグッズ収益が来期にずれこんだ影響により、前期比で売上高が減少しておりますが、一時的な期ズレの影響が大きく、今後も継続的に成長していくことを見込んでおります。

また、2023年11月18日には、国内でトップクラスの人気を誇るeスポーツチーム「Crazy Raccoon(以下、「CR」という)」との包括的業務提携契約の締結を発表いたしました。CRの持つインフルエンサービジネスのノウハウやアートディレクションスキルを活用することによるDFM及び当社グループのeスポーツ事業のさらなる持続的な成長及び国内トップレベルのプロeスポーツチーム同士が連携することによる日本のeスポーツ業界のさらなる発展を目的に、主にDFMのVALORANT部門における広報、動画作成、オンラインウォッチパーティ・イベント、グッズ制作・販売等のインフルエンサービジネス拡大に係る業務全般について、それぞれのノウハウや既存のアセットを活用した業務連携を行ってまいります。

以上の結果、当セグメントの売上高は828百万円(前期比4.8%減)、営業損失は254百万円(前期は営業損失200百万円)となりました。

 

3)その他

その他においては、新規事業として、企業理念である「ゲームをより楽しめる世界を創る」を実現するため、ゲームに関する様々な事業を行っております。現状は、NFT事業とeスポーツに特化した光回線事業の主に2つに注力しております。

NFT事業については、投資先の株式会社Kyuzanよりプロモーション等の受託をしているNFTゲーム「EGGRYPTO」が成長しております。また、初心者でもNFTゲームを楽しむことができる情報を提供するNFTゲーム専門メディア「GameWith NFT」を運営しております。メディア運用で培ったノウハウやブランドを活かし、NFTゲームの発展と普及に貢献することを目指しております。

光回線事業については、eスポーツを楽しむユーザーが拡大している中、eスポーツで勝つために必要となる高速で低遅延のインターネット回線の需要を見込み、ゲームを知り尽くしたGameWithによる、信頼性のある光回線を提供しております。資本業務提携先であるアルテリア・ネットワークス株式会社のインターネット接続サービス、ノウハウを利用して運用することで、最大限のパフォーマンスを実現しております。2024年2月には、全国の学校向けにeスポーツ部専用「GameWith光eスポーツ部応援プラン」の提供を開始するなど、様々な取り組みを実施しております。

当連結会計年度においては、リリース4周年を迎えアプリの累計ダウンロード数が150万を超えるNFTゲーム「EGGRYPTO」について、売上高は継続して成長しており、今後新たなNFTゲームについても開発を開始いたします。光回線事業については、引き続き新規ユーザー獲得のためプロモーションを積極的に実施しており、ゲーマー向け回線というニッチ市場にも関わらず、順調に申込者を獲得し売上高も急成長しております。

以上の結果、当セグメントの売上高は393百万円(前期比95.9%増)、営業損失は202百万円(前期は営業損失207百万円)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ363百万円減少し、2,828百万円となりました。

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は141百万円(前連結会計年度は188百万円の収入)となりました。これは主に、増加要因として減損損失268百万円、のれん償却費101百万円、売上債権の減少65百万円が、減少要因として税金等調整前当期純損失251百万円、法人税等の支払額146百万円が発生したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果支出した資金は113百万円(前連結会計年度は132百万円の支出)となりました。これは主に、減少要因として投資有価証券の取得による支出49百万円、子会社株式の取得による支出56百万円が発生したことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果支出した資金は394百万円(前連結会計年度は423百万円の支出)となりました。これは、減少要因として長期借入金の返済による支出294百万円、自己株式の取得による支出99百万円が発生したことによるものであります。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

b.受注実績

当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

c.販売実績

当社グループの販売実績は、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年6月1日

至 2024年5月31日)

販売高(百万円)

前期比(%)

メディア事業

2,275

93.2

eスポーツ・エンタメ事業

828

95.2

その他

393

195.9

合計

3,497

99.6

 

(注) 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度

(自 2022年6月1日

至 2023年5月31日)

当連結会計年度

(自 2023年6月1日

至 2024年5月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

株式会社サイバーエージェント

370

10.6

 

※ 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績のうち、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先につきましては記載を省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成には、資産及び負債、収益及び費用に影響を与える見積りを必要とする箇所がございます。これらの見積りにつきましては、経営者が過去の実績や取引状況等を勘案し、会計基準の範囲内でかつ合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果と異なる可能性があることにご留意下さい。

なお、当社グループの連結財務諸表に影響を及ぼす可能性がある主な見積りとして、以下の会計処理があります。

(のれん)

当社グループは、のれんについてその効果の発現する期間を見積り、その期間で均等償却しております。また、その資産性について子会社の業績や事業計画を基に毎期検討しており、将来において当初想定した収益が見込めなくなり、減損の必要性を認識した場合には、当該連結会計年度においてのれんの減損処理を行う可能性があります。

 

(繰延税金資産)

当社グループは、連結貸借対照表上の資産・負債の計上額と課税所得の計算上の資産・負債との一時差異に関して法定実効税率を用いて繰延税金資産及び繰延税金負債を計上しております。また、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際しては、将来の課税所得を十分に検討し、合理的に見積っておりますが、将来の課税所得が予想を下回った場合は、繰延税金資産の修正が必要となる可能性があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等

1) 財政状態

(資産)

当連結会計年度末における総資産は3,884百万円となり、前連結会計年度末に比べ697百万円減少しました。これは主に、現金及び預金が363百万円、のれんが248百万円、売掛金及び契約資産が65百万円減少したことによるものであります。

 

(負債)

当連結会計年度末における負債は963百万円となり、前連結会計年度末に比べ258百万円減少しました。これは主に、契約損失引当金が56百万円、契約負債が48百万円増加し、長期借入金が260百万円、未払法人税等が70百万円、1年内返済予定の長期借入金が34百万円減少したことによるものであります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は2,920百万円となり、前連結会計年度末に比べ438百万円減少しました。これは主に、自己株式が99百万円、利益剰余金が347百万円減少したことによるものであります。

 

2) 経営成績

(売上高)

売上高は、3,497百万円(前期比0.4%減)となりました。詳細は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

(売上原価)

売上原価は、2,041百万円(前期比10.4%増)となりました。その主な内訳は、ゲーム攻略記事のライターに係る人件費等であります。

この結果、売上総利益は1,455百万円(前期比12.4%減)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

販売費及び一般管理費は、1,388百万円(前期比4.8%増)となりました。その主な内訳は、広告宣伝費、管理部門に係る人件費及びオフィス地代家賃等であります。

この結果、営業利益は67百万円(前期比80.1%減)となりました。

 

(営業外収益、営業外費用、経常利益)

営業外収益は4百万円、営業外費用は25百万円となりました。

この結果、経常利益は45百万円(前期比85.4%減)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

特別損失は297百万円となりました。その主な内訳は、子会社である株式会社DetonatioNののれん等に掛かる減損損失であります。また、法人税等(法人税等調整額を含む)は96百万円となりました。

この結果、親会社株主に帰属する当期純損失は347百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益179百万円)となりました。

 

3) キャッシュ・フローの分析

キャッシュ・フローの分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

c.資本の財源及び資金の流動性

当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、人件費、地代家賃、サーバ利用料等であり、財源については自己資金によっております。また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大と長期化に備えて、金融機関からの借入を行っております。

 

d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための指標として、売上高及び営業利益を使用しております。

それぞれの指標の当連結会計年度における達成度は以下のとおりであります。

 

指標

2024年5月期

目標

2024年5月期

実績

2024年5月期

達成度

売上高

3,500百万円

3,497百万円

99%

営業利益

60百万円

67百万円

111%

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。