文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は「関わる従業員、お客様、取引先様の幸せを実現する」ことを企業理念に掲げ、事業運営を行っております。その実現のために「コマースを進化させる」を事業目的とし、クラウドコマースプラットフォーム「ebisumart」をはじめとしたサービスの提供を行っております。
(2)経営環境及び経営戦略等
当社は、クラウドコマースプラットフォーム事業という単一の事業で成長してまいりましたが、EC関連サービスが多様化かつ複雑化する近況を鑑み、今後はサービス領域を拡大し「ECビジネス成長支援事業」および「データの統合及び活用を目的とした新事業」を新たに展開し、EC事業者の幅広いニーズに応えていくために、収益手段の多様化を図ってまいります。伴って、2024年5月期には新たに開始する事業への投資も積極的に行っていく予定です。
従来より注力してまいりました「クラウドコマースプラットフォーム事業」においては、既存顧客の満足度向上および新規顧客の開拓を図るため、組織改編等により営業部門を強化することでシステム受託開発売上の新規獲得並びに運用保守売上の積み上げに努めてまいります。また、「ebisumart」をより信頼性の高いECプラットフォームとするため、情報セキュリティマネジメントシステムISO/IEC27001の認証取得やクレジットカード業界における国際セキュリティ基準であるPCI-DSSへの準拠証明もの取得も継続して行ってまいります。さらに、EC市場拡大と弊社既存顧客の成長を見越し、EC流通総額が更に大きい大規模顧客層をターゲットにした、ハイスペックの新たなクラウドコマースプラットフォームのサービス提供を開始し、これにより小規模事業者から大規模事業者まで幅広い顧客層をカバーすることが可能となり、カスタマイズ可能なクラウドEC市場における更なるシェアの拡大に努めてまいります。
本格的に開始する「ECビジネス成長支援事業」においては、ECモールおよび全ての自社ECサイトを運営する事業者様を対象とした、EC事業の成長を戦略立案から実務まで一気通貫で支援するサービス「ebisu growth」を展開し、収益手段の多様化とともに新たな顧客層へのアプローチを図ってまいります。
また、「データの統合及び活用を目的とした事業」として、EC事業者の基幹システムと各販売チャネル、タッチポイントを繋ぎ、リアルとECデータの統合及び活用を可能とするためのプラットフォームの開発及びサービスの構築も進めており、継続して新サービスの構築・展開に注力してまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は経営指標としてシステム受託開発の受注金額及びシステム運用保守のARPU(顧客単価)を重要な経営指標と位置付けております。各業種の上位企業をターゲットとして事業活動を行うことでGMV(流通総額)の最大化を図り、併せて利用顧客のARPUを着実に積み上げることで売上高及び利益の安定的な成長を実現し、継続的な企業価値の向上を目指します。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
優先的に対処すべき事業上の課題は以下のとおりです。優先的に対処すべき財務上の課題はありませんが、今後の事業拡大に備え営業キャッシュ・フローの改善等により財務体質の強化を図ってまいります。
1)クラウドコマースプラットフォーム事業
①オープンプラットフォーム化の推進
APIを公開し、当社のパートナー企業が広く「ebisumart」のカスタマイズに参加できる環境を整備することにより、パートナー開拓を通じた事業規模の拡大を進めてまいります。
また、パートナー企業に対しパートナープログラム「ebisumart ecosystem」を展開することで、オープンプラットフォームとしての地位を明確化し、パートナー企業との連携を強固なものとすることにより顧客に対するサービス内容の向上を図ってまいります。
②顧客満足度の向上
a.サポートサイトの充実
顧客向けサポートサイトの更なる充実を図り、マニュアルや各種説明資料、Q&Aコンテンツの拡充を通じて、わかりやすさを改善してまいります。
b.標準・オプション機能の追加開発
ECサイト構築プラットフォームという特性から、他社サービスと比較をして機能的な優位性を維持する必要があります。顧客ニーズを注意深く収集し、他社システムに対する優位性を確保すべく機能の開発を積極的に行い、標準機能又はオプション機能(有償)として提供してまいります。
c.ハイスペックの新たなクラウドコマースプラットフォームの提供
EC市場拡大と既存顧客の成長を見越し、従来に比べEC流通総額の大きい顧客層に対応可能なハイスペックのクラウドコマースプラットフォーム「ebisu commerce」の提供を開始し、新たな顧客層の獲得により、引き続きクラウド型ECプラットフォーム市場においてシェアの拡大に努めてまいります。
d.品質改善・セキュリティ対策
さらなるプログラムの品質向上を目指し、品質管理体制の強化、自動テストの導入などを実施し安定稼働とパフォーマンスの向上を目指します。また、引き続きISO/IEC27001の認証、PCI-DSSへの準拠継続を含め、セキュリティ面の強化にも積極的に取り組んでまいります。
e.カスタマーサクセスの強化
「ebisumart」を利用頂いている既存顧客のEC売上向上及びユーザビリティの向上を目的とした助言・提案を行う体制を強化し、売上拡大に繋げてまいります。
③営業力の強化
a.パートナーネットワークの構築
「ebisumart」の販売代理店となるセールスパートナー、「ebisumart」を利用したSI(システムインテグレーション)を行うソリューションパートナー、「ebisumart」を自社ブランドで提供するOEMパートナー、当社が受託したシステムの開発や当社サービスを用いたECサイトのデザインを委託するアウトソースパートナー、「ebisumart」向けのアプリケーションを開発するアプリケーションパートナーの開拓を引き続き行い、当社サービスの普及拡大を推進してまいります。また、新サービス「ebisumart zero」を拡販するために、各パートナーと協力体制を構築し、幅広い顧客層にアプローチしてまいります。
b.ブランディング・広告販売の強化
当社サービスの知名度をさらに高めるため、引き続き積極的なセールスプロモーション及びPRを行い、ブランド力の向上に努めてまいります。
c.人材の確保・育成について
当社はインターネットを通じたコンピュータサービスの提供を行っており、全てのサービスが直接的に人の手で構築運用されております。そういった環境の中で高度なシステムエンジニアリング及びコンタクトセンターサービスを提供する必要があり、有能な人材の採用及び継続的な教育は経営上の最重要課題として位置付けております。
d.顧客ニーズの収集体制強化
従来よりECコンシェルジュという専任のサポートスタッフによるコンタクトセンター運用を通じ、顧客満足度の向上を図ってまいりましたが、更なる顧客満足度の向上のためカスタマーサクセスチームを設置し、主体的に顧客のニーズを収集できる体制を構築いたしました。今後は収集した情報を基に顧客満足度及び品質の向上を図ってまいります。
e.エンジニアの強化
顧客のサイト新規オープン並びに運用後の修正作業について、アウトソースパートナーへの開発委託を積極的に推進する一方で、引き続きコアプロダクトは品質及びスピードを重視し社内で開発を行っていくため、継続的なエンジニアの採用及び教育を推進してまいります。
④収益力の強化
a.ストック収益の拡大
当社は収益力を強化するために、ストック収益であるシステム運用保守売上を最大化するため、新規店舗の獲得に努めてまいります。
b.プロジェクト・マネジメントの強化
現在比較的大規模のプロジェクトが増えており、不採算案件の発生は収益を大きく毀損することになるため、プロジェクト・マネジメントの強化を図り、不採算案件を発生させない取り組みを強化してまいります。
2)ECビジネス成長支援事業
①「ebisu growth」サービスの拡販
ECモールおよび全ての自社ECサイトを運営する事業者様を対象とした、EC事業の成長を戦略立案から実務まで一気通貫で支援するサービス「ebisu growth」について、リード獲得の多角化から、より多くの見込み顧客へアプローチすることで更なる拡販に努めてまいります。
②販売チャネルの拡大
BtoBマーケティングの強化と営業人員の増強からダイレクトセールスに注力するととも
に、各領域で実績のあるパートナーと協業を進め更なる拡販に努めてまいります。
3)データの統合及び活用を目的とした新事業の構築
EC事業者の基幹システムと各販売チャネル、タッチポイントを繋ぎ、リアルとECデータの統合及び活用を可能とする「データ利活用プラットフォーム」を用いた新サービスの提供を開始いたします。事業規模の大小に関わらず事業のデジタル化を推進する際に必要となるデータの統合及び活用というニーズに応えるサービスとして、既存・新規のクライアント問わず積極的にアプローチしてまいります。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社は、経営の効率化を図ると共に、透明性及び客観性を高め、健全な事業活動を行っていくことで企業価値を継続的に高められると考えており、その実現のために内部統制の仕組、コンプライアンス体制及びリスク管理体制を強化し、コーポレート・ガバナンスを充実させることが重要な経営課題であると認識しております。
詳細は、「
また、継続的に企業価値を高めていくために、当社の成長段階に応じた有能な人材の確保・育成を含む人材への積極的な投資が不可欠であり、重要な経営課題として認識しております。
(2)戦略
(3)リスク管理
当社は、リスク回避及びリスク顕在化時の損害の最小化を目的に、「リスク管理規程」を定めるほか、毎年従業員に交付する社員手帳に災害やトラブル発生時の対応手順を明記するなど社内への周知徹底を図っております。また、代表取締役直轄の内部監査担当が主導し、年1回外部要因及び内部要因に基づく全社的リスクを特定するとともに、各セクションの責任者を交えて網羅的に分析と評価を行っており、各リスクの洗い出し及び対応方針の策定を行っております。各リスクの評価に変更があった場合には、マネージャー会議にて報告するとともに、特にリスクが高いと判断された項目については、対応方針を全社共有し、重点的に対応を行っております。また、当社にとって重要である情報セキュリティ及び品質リスクについては、各専門委員会を設けて月次で協議し、監視及び改善活動を行っております。また、知的財産権の保護についても重要な課題であると認識しており、新たな発明時の特許取得やサービスの新規開始時における商標登録などを適切に実施し、権利の保全を適切に行っております。
(4)指標及び目標
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指標 |
目標 |
実績(当事業年度) |
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本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示をしております。当社は、これらのリスク発生の可能性を十分に認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社の株式に関する投資判断は、本項及び本書の本項以外の記載内容も併せて慎重に検討したうえで行われる必要があると考えております。
なお、文中の将来に関する事項につきましては、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(1)市場及び事業環境に関するリスク
①EC市場の動向
当社はECサイト構築を主たる事業としていることから、BtoB及びBtoCのEC市場のさらなる増大(流通総額の増大)が成長の基本的な条件と考えております。
経済産業省が2022年8月に公表した「令和3年度電子商取引に関する市場調査」によると、日本国内のBtoB及びBtoCのEC化率は増加傾向にあり、商取引の電子化が引き続き発展しておりますが、セキュリティの脅威や法規制、その他予期せぬ要因等によって、EC市場が順調に成長しない場合または、インターネット市場そのものが成長しない場合は、当社の業績に影響を与える可能性があります。
②技術革新について
インターネットにおいては絶え間なく技術革新が起こっており、当社が属するサービス分野でも新しい技術やデバイスを利用したシステムが登場し続けております。これら新しいシステムは、従来は不可能であった機能や、より高度な機能を実装したサービスとして提供することが可能であります。
当社では、常に最新の技術動向へ目を向け、新機能の開発や新サービスの提供に新しい技術等を積極的に導入することにより、当サービスの技術的優位性を維持する努力をしております。
しかしながら、インターネットの技術革新に追随しながら新機能や新サービスを提供し続けるためには、それを可能にする従業員の確保や育成など、開発体制の強化と維持を欠かすことができず、何らかの要因により当社がそれに耐えうる開発体制の強化と維持が困難になる場合は、技術的優位性を発揮できなくなり、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
③ソフトウエアの減損について
当社は固定資産の減損に係る会計基準を適用しております。当社は新たに開発した機能等を無形固定資産に計上しておりますが、将来、技術革新や市場動向の変化等により技術の陳腐化やサービスの販売鈍化が発生することで経営環境が著しく悪化し、収益性の低下等減損の兆候が認められ、減損損失を認識すべきであると判定された場合、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、開発した機能等に資産性が無いと判断された場合、資産計上は認められず、一括費用処理することとなり、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、第20期(自 2022年6月1日 至 2023年5月31日)に資産計上いたしましたハイエンド層向けの新しいプラットフォームを提供していくにあたり、受注状況が事前に策定した事業計画と著しく乖離するなどし、投資に対する回収可能性が低く、減損損失を認識すべきであると判定された場合、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)事業内容及び当社サービスに関するリスク
①特定のサービスへの依存について
当社はクラウドコマースプラットフォーム「ebisumart」の運用をしており、主たる収益はECサイトの新規構築時の構築収入(フロー)及び、サービス運用に伴う課金収入(ストック)であります。当事業年度における売上高のほとんどは、構築収入及びサービス課金収入に依存しております。今後、新たな技術革新、社会情勢の変化、法的規制の導入や予期せぬ事象の発生等により、サービスの競争力の低下による獲得店舗数の減少や、サービス運営が困難となった場合には、当社の事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②競合との競争激化によるリスク
当社サービスの技術的な側面からみた参入障壁は、著しく高いものとは言えず、したがって、資金力、ブランド力を有する大手企業をはじめとする競合他社が参入し、類似サービスを提供する事業者の増加が予想されます。当社といたしましてはAPIを公開してパートナー企業が参加しやすい環境を構築することで業界での地位確立に努めておりますが、価格競争など市場競争が一層激化し、サービス価格の引き下げを強いられる、または市場シェアが低下するなどにより、業績に悪影響を与える可能性があります。あるいは、全く新しい発想や技術を活用した競合サービスが登場し、かつそれが市場に支持されることにより、当社サービスの相対的な優位性が低下した場合、当社の事業及び業績に悪影響を与える可能性があります。
③SLA(サービスレベルアグリーメント)賠償適用によるリスク
当社は、当社サービスの月間の稼働時間及び一定時間あたりの処理速度(一定時間あたりのアクセス数)等の技術的なサービス提供能力について、顧客に対して一定の保証水準を設けており、「利用規約」に定め、あらかじめこれを提示しております。当社は、SLAに定める保証水準を達成できなかった場合には、SLAの賠償条項に基づき、月次利用料金の範囲内で利用料金を減額しなければならず、かかる減額が多額になった場合には、当社の業績に影響を与える可能性があります。
④システム受託開発売上について
当社の売上のうち、システム受託開発に関する売上につきましては、プロジェクト・マネジメント制を採用しシステムの導入から運用保守まで一貫して1つのチームが対応することによりきめ細かな対応を行うよう努めておりますが、顧客の要望による仕様変更やトラブル等により納期が遅れた場合、売上の計上が遅れ、当社の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、顧客の要望と当社の認識に著しい差異があった場合に、大幅な仕様変更等が必要になることがあり、利益率の低下につながる可能性があります。
(3)システム障害に関するリスク
①システム障害・通信トラブルについて
当社の事業では、サービスの安定的な提供を維持するため、外部の提供するクラウドサービスを通じて当社サービスを提供しております。
当社は、外部のクラウドサービスを、地震、落雷、火災等の災害に対して十分な耐性を有すると判断される施設に限定し、慎重に検討した上で選定しております。
しかしながら、自然災害、火災、コンピュータウィルス、通信トラブル、第三者による不正行為、サーバーへの過剰負荷、人為的ミス等あらゆる原因によりサーバー及びシステムが正常に稼働できなくなった場合、あるいは当社が過去に蓄積してきた商品及び価格情報が消失した場合、当社のサービスが停止する可能性があります。
上記の理由により当社のサービスが停止した場合には、当社の事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②プログラム不良によるリスク
開発したプログラムの不具合を原因として、システムに動作不良等が発生し、当社の提供するサービスが中断または停止する可能性があります。
当社では、システムの開発にあたり、綿密な開発計画の策定からテストの実施まで十分な管理を行っており、可能な限りこのような事態の発生を未然に防ぐための開発体制の構築に努めております。
しかしながら、このような事態が頻繁に発生した場合には、当サービスに対する信頼性が失われ、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
③特定のサーバーへの依存によるリスク
当社のサービスにおいては、AWS(Amazon Web Services,Inc.)をデータセンターとして利用しており、第21期(自 2023年6月1日 至 2024年5月31日)におけるAWSに対するサーバー費用は257,613千円でありますが、今後も事業拡大に伴いサーバー費用が増加することが想定されます。障害が生じ代替手段の構築ができずに、サービスが長時間にわたり中断する等の事象が発生した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、AWSの費用はドル建てでの算出であるため、為替の著しい変動によっては、当社の経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(4)法的規制及び知的財産等に関するリスク
①法的規制について
当社がサービスを提供する場合、又はサービス提供の全部又は一部を他の事業者に委託する場合に、深く関与する法律の一例として、以下のような法律があります。
「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」
「特定商取引に関する法律」
「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」
「個人情報の保護に関する法律」
「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」
「下請代金支払遅延等防止法」
当社は、これらの法律を遵守するために必要な社内体制の整備、当社サービスの利用規約の整備等を行っておりますが、法律改正等により当社の整備状況に不足が生じ、または当社が受ける規制や責任の範囲が拡大した場合、その後の当社事業及び業績に影響を与える可能性があります。
②個人情報の取り扱いについて
当社サービス内に格納された顧客が保有する個人情報等のデータについては、その閲覧、編集、削除等の一切の管理を顧客が自ら行うものとし、当社は、これらの情報資産を安全にかつ効率的に管理するためのプラットフォームを顧客に提供するのみで、当社が自ら顧客のデータの閲覧、編集、削除等の管理を行うことはありません。
しかしながら、当社は、あらかじめ顧客の同意を得て、その依頼に基づき、一時的に顧客保有の個人情報等を預かり、編集等を行うことがあります。
当社は個人情報の取扱いに関する重要性、危険性を十分に認識し、個人情報の適切な管理を実現するために、「個人情報保護規程」を整備しております。さらに、当社のホームページに「個人情報保護方針」を公開し、これら規程及び方針に準拠した行動指針やガイドラインを制定するとともに、役職員への教育、研修を通じて、個人情報を適正に管理する体制の構築に注力しております。
なお、当社は、2015年8月にISO/IEC27001の認証を取得しており、その後継続して更新しておりますが、個人情報の収集や管理の過程等において、不測の事態により個人情報の漏洩等が発生した場合、当社への多額の損害賠償請求やISO/IEC27001認証取消処分または罰金等が課されるなど、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
③情報セキュリティ対策の不備によるリスク
当社は、当サービスを提供することで、顧客が保有する多くの情報資産を安全かつ効率的に管理することができるプラットフォームを提供しております。
また当社も事業運営に必要なさまざまな情報資産を保有しており、情報資産を安全に管理することは、重要な経営課題として認識し、適切なセキュリティ対策を講じるよう努めております。
当社では、情報セキュリティマネジメントシステムの整備を進めており、適切な情報セキュリティの実現を図っております。
しかしながら、当社の予測を超える当社サービスへの不正アクセス、データの盗難、紛失等により、または情報セキュリティ対策の不備により、情報資産の漏洩、紛失、改竄等があった場合、当社への多額の損害賠償請求や認証資格の取消処分または罰金等が課される可能性があり、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
④知的財産権について
当社は、知的財産権の保護をコンプライアンスの観点から重要な課題であると認識しており、専門家と連携して可能な範囲で調査対応を行っております。伴って、競争力の源泉としての知的財産への投資・活用がサスティナブルな価値創造につながると考え、現在までに3件の特許を取得しております。今後においても、知的財産の活用は、他社との差別化、価格決定力の維持・強化にもつながると考え、新たな発明がなされた際には特許の取得を検討してまいります。また、新たなサービスの開始時やプロダクトの完成時には商標登録を適時行い、権利保全を行っております。
当社が提供する「ebisumart」の一部について第三者が所有権を有するソフトウエアを使用しておりますが、当該第三者との間で使用許諾に係る覚書を締結しており、第三者の特許権、著作権等の知的財産権の侵害は無いと認識しております。しかしながら、ソフトウエア開発事業において第三者の知的財産権の完全な把握は困難であり、当社の事業領域に関連する知的財産権について第三者の特許取得が認められた場合、あるいは将来特許取得が認められた場合、当社の事業遂行の必要上これらの特許権者に対して使用料を負担する等の対応を余儀なくされる可能性があります。この場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)プラットフォーム開発に係る投資によるリスク
当社では、新機能の開発及び新サービスの提供を目的として、積極的にクラウドコマースプラットフォーム「ebisumart」に係る開発活動を実施し、新たに開発した機能等を無形固定資産に計上しております。当社は、常に最新の技術動向へ目を向け、新機能の開発や新サービスの提供に新しい技術等を積極的に導入しているため、資産計上に当たっては、開発計画策定時に、新たに開発しようとする機能等が技術的に実現可能であり、顧客への提供が確実であると見込まれることが重要と認識しております。そのため、開発計画を取締役会等で承認するとともに、開発計画に従って開発作業が進捗しているか、開発中の大幅な修正費用等が発生していないかを適時確認し、資産計上が適切に行われているかを検証しております。
しかしながら、予測不能な外部環境の変化や開発体制・開発方針の変更により、想定していた資産計上がなされない可能性があり、この場合、当社の業績に影響を与える可能性があります。
(6)事業運営体制に係わるリスク
①特定の人物への依存について
当社の創業者であり大株主でもある代表取締役社長兼CEO蕪木 登は、当社の強みである事業の創出やノウハウを蓄積しており、事業の推進において重要な役割を果たしております。
当社は、同氏に過度に依存しない経営体制の構築を目指し、幹部人材の育成及び強化を進めております。しかしながら、何らかの理由により同氏が当社の業務執行ができない事態となった場合には、当社の業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
②人材の確保及び育成
当社において優秀な人材の確保、育成及び定着は今後の業容拡大のための重要課題であります。新入社員及び中途入社社員に対する研修の実施をはじめ、リーダー層となる中堅社員への幹部教育を通じ、将来を担う優秀な人材の確保・育成に努め、社内研修等を通じて役職員間のコミュニケーションを図ることで、定着率の向上を図っております。しかしながら、これらの施策が効果的である保証はなく、必要な人材を採用できない場合、また採用し育成した役職員が当社の事業に寄与しなかった場合、あるいは育成した役職員が社外流出した場合には、優秀な人材の確保に支障をきたし、当社の事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)その他リスク
①新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社は、従業員に対するインセンティブを目的として、新株予約権を付与しております。
これらの新株予約権が行使された場合には、当社の1株当たりの株式価値が希薄化することになり、将来における株価へ影響を及ぼす可能性があります。また、当社では今後も新株予約権の付与を行う可能性があり、この場合、さらに1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。
なお、本書提出日現在における新株予約権による潜在株式数は35,700株(発行済株式総数4,124,400株の0.9%)であります。
②配当政策について
当社では、利益配分につきましては、経営成績及び財政状態を勘案して、株主への利益配当を実現することを基本方針としております。しかしながら、当社は本書提出日現在成長過程にあり、将来の事業展開と財務体質強化のために必要な内部留保の確保を優先して、創業以来無配当としてまいりました。
現在は、内部留保の充実に努めておりますが、将来的には、経営成績及び財政状態を勘案しながら株主への利益の配当を検討する方針であります。ただし、配当実施の可能性及びその実施時期等については、現時点において未定であります。
③新型コロナウイルスの影響について
新型コロナウイルスの影響については、5類感染症への移行にともない経済活動も徐々に回復しておりますが、新たな変異ウイルスによる感染拡大等により、当社の事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。具体的には、当社の顧客であるEC事業者の業績が悪化し、顧客の経営方針の変更等で商談中の案件が失注となる可能性があり、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態の状況
(資産)
当事業年度末の資産合計は、前事業年度末と比べ95,034千円増加し、1,799,825千円となりました。主な要因は、売上高の増加に伴い売掛金及び契約資産が133,786千円増加したこと、ソフトウエアが40,062千円減少したこと等によるものであります。
(負債)
当事業年度末の負債合計は、前事業年度末と比べ178,074千円増加し、764,058千円となりました。主な要因は、運転資金の借り入れにより短期借入金が150,000千円増加したこと等によるものであります。
(純資産)
当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末と比べ83,040千円減少し、1,035,766千円となりました。主な要因は、自己株式を46,980千円取得したこと、当期純損失31,766千円を計上したこと等によるものであります。この結果、自己資本比率は57.6%(前事業年度末は65.4%)となりました。
②経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する中で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が継続することが期待されています。一方で、世界的な金融引き締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが国内の景気を下押しするリスクがあります。また、物価の上昇や為替の著しい変動による過度な円安等は経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があり、金融資本市場の変動には引き続き十分注意する必要があります。
当社が関わる国内電子商取引市場は、経済産業省が2023年8月に公表した「令和4年度電子商取引に関する市場調査」によるとBtoB、BtoC共にEC化率と市場規模が引き続き増加傾向にあり、商取引の電子化が継続して発展しています。一方で、業界におけるエンジニアの数が不足しており、当社におきましてもエンジニアの確保は重要な経営課題のひとつとなっております。また、各ECサービスにおいては、一層の機能の充実や利便性の拡充、セキュリティ面での安全性強化が求められております。
当社は、クラウドコマースプラットフォーム事業という単一の事業で成長してまいりましたが、EC関連サービスが多様化かつ複雑化する近況を鑑み、2024年5月期からはサービス領域を拡大し「ECビジネス成長支援事業」及び「データの統合及び活用を目的とした事業」を新たに展開し、EC事業者の幅広いニーズに応えていくために、収益手段の多様化を図っております。伴って、新たに開始する事業への投資も積極的に行っております。
事業セグメント別の状況は、以下のとおりであります。
<クラウドコマースプラットフォーム事業>
従来より注力してまいりました「クラウドコマースプラットフォーム事業」においては、既存顧客の満足度向上及び新規顧客の開拓を図るため、組織改編等により営業部門を強化することでシステム受託開発売上の新規獲得並びに運用保守売上の積み上げに努めてまいりました。また、「ebisumart」をより信頼性の高いECプラットフォームとするため、情報セキュリティマネジメントシステムISO/IEC27001の認証取得やクレジットカード業界における国際セキュリティ基準であるPCI-DSSへの準拠証明の取得も継続してまいりました。さらに、EC市場拡大と弊社既存顧客の成長を見越し、EC流通総額が更に大きい大規模顧客層をターゲットにした、ハイスペックの新たなクラウドコマースプラットフォーム「ebisu commerce」のサービス提供を2023年8月より開始し、これにより大規模事業者まで幅広い顧客層をカバーすることが可能となっております。
このような状況の中、システム運用保守売上については、既存店舗の流通総額及びPV数が引き続き堅調に推移し、当初計画通りに推移した一方で、システム受託開発売上につきましては、第3四半期以降受注状況は改善しているものの、今期の前半における低迷が響き、売上高は当初計画を下回って推移しました。この結果、クラウドコマースプラットフォーム事業の売上高は2,488,666千円(前年同期比0.1%増)、セグメント利益は519,612千円(前年同期比1.9%減)となりました。
<ECビジネス成長支援事業>
2024年5月期より本格的に開始しました「ECビジネス成長支援事業」においては、ECモール及び全ての自社ECサイトを運営する事業者様を対象とした、EC事業の成長を戦略立案から実務まで一気通貫で支援するサービス「ebisu growth」をパートナー企業と連携して展開し、収益手段の多様化とともに新たな顧客層へのアプローチを図ってまいりました。その結果、売上高は106,667千円を計上することができましたが、一方で、リード獲得のためのマーケティング費用及び広告宣伝費、営業活動費用が発生しセグメント損失は30,365千円となりました。
<データの統合及び活用を目的とした事業>
データの統合及び活用を目的とした事業においては、EC事業者の基幹システムと各販売チャネル、タッチポイントを繋ぎ、リアルとECデータの統合及び活用を可能とするためのプラットフォームの開発及びサービスの構築を進めております。現在サービス構築中であるため、売上は発生しておらず、サービスの構築費用のみ発生している状況であり、セグメント損失は23,520千円となりました。
なお、各報告セグメントに配分していない一般管理費等の全社費用は490,657千円となりました。
以上の結果、当事業年度の売上高は2,595,333千円(前年同期比4.3%増)、営業損失は24,931千円(前年同期は営業利益53,336千円)、経常損失は28,705千円(前年同期は経常利益46,949千円)、当期純損失は31,766千円(前年同期は当期純利益22,091千円)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末と比べ4,491千円増加し、306,424千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローは50,278千円の収入(前事業年度は130,013千円の収入)となりました。これは主に減価償却費を184,156千円計上したこと、売上債権が126,732千円増加したこと、税引前当期純損失30,534千円を計上したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動によるキャッシュ・フローは144,513千円の支出(前事業年度は392,449千円の支出)となりました。これは主にサービス充実を目的とした無形固定資産(自社利用ソフトウエア)の取得による支出145,682千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動によるキャッシュ・フローは98,726千円の収入(前事業年度は188,327千円の収入)となりました。これは主に短期借入金が150,000千円増加したこと、自己株式を46,980千円取得したこと等によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当事業年度における生産実績は、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
売上の計上区分 |
当事業年度 (自 2023年6月1日 至 2024年5月31日) |
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金額(千円) |
前年同期比(%) |
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クラウドコマースプラットフォーム事業 |
システム受託開発 |
545,495 |
115.9 |
(注)1.クラウドコマースプラットフォーム事業のシステム運用保守及びその他、ECビジネス成長支援事業に関しましては、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
2.金額は製造原価によっております。
b.受注実績
当事業年度における受注実績は、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
売上の計上区分 |
当事業年度 (自 2023年6月1日 至 2024年5月31日) |
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受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高 (千円) |
前年同期比(%) |
||
|
クラウドコマースプラットフォーム事業 |
システム受託開発 |
999,101 |
109.7 |
377,084 |
131.6 |
(注)1.クラウドコマースプラットフォーム事業のシステム運用保守及びその他、ECビジネス成長支援事業に関しましては、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
2.受注高の増加理由は開発人員の増加により受注可能額が増加したためであります。
c.販売実績
当事業年度における販売実績を売上の計上区分別に示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
売上の計上区分 |
当事業年度 (自 2023年6月1日 至 2024年5月31日) |
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金額(千円) |
前年同期比(%) |
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クラウドコマースプラットフォーム事業 |
システム受託開発 システム運用保守 その他 |
886,394 1,578,967 23,303 |
98.1 103.8 37.5 |
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ECビジネス成長支援事業 |
EC支援サービス その他 |
99,321 7,345 |
- - |
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合計 |
2,595,333 |
104.3 |
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(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額ならびに開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては過去の実績や現状等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる可能性があります。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しておりますが、見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
a.繰延税金資産について
当社は、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断したうえで繰延税金資産を計上しております。将来の課税所得に関する予測は、過去の実績等に基づいており、経営環境の変化や税制の変更等によって、課税所得の見積りの変更が必要となる場合には、繰延税金資産の計上額が変動する可能性があります。
b.ソフトウエアの会計処理について
当社は、将来の収益獲得または費用削減の効果につながるソフトウエアを開発する場合に、その開発にかかるコストをソフトウエアとして無形固定資産に計上する場合があります。
その場合、見込収益獲得期間または費用削減期間に基づく定額法(5年)により減価償却を実施しております。ただし、当該ソフトウエアの陳腐化や有効性の低下等により、見込んでいた効果が得られないことが明らかになった場合には、費用または損失を計上する可能性があります。
c.受注損失引当金について
当社は、システム受託開発案件のソフトウエアに関して、開発原価総額が受注契約金額を超える可能性が高く、かつその金額を合理的に見積ることができる場合には、その超過すると見込まれる額のうち、当該開発案件に関して既に計上された損益の金額を控除した残額を、損失が見込まれた期の損失として計上し、受注損失引当金を計上しております。
d.履行義務の充足に係る進捗度の見積りによる収益認識
当社は、システム受託開発売上について、開発期間がごく短いものを除き、履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識しております。なお、履行義務の進捗度の見積りの方法は、社内で実施したカスタマイズ作業については、見積総工数に対する実際工数の割合、またアウトソースパートナーへ委託したカスタマイズ作業については、開発を委託した機能のうち、完成した機能の割合により算出しています。
システム受託開発の履行義務の充足に係る進捗度の見積りについては、当初予見ができなかった事象の発生等により、当初見積りに変動が生じる場合があることから、翌事業年度の財務諸表において認識する収益に影響を及ぼす可能性があります。
②経営成績の分析
a.売上高
当事業年度の売上高は、前事業年度に比べ108,154千円増加し、2,595,333千円(前年同期比4.3%増)となりました。これは主に電子商取引の需要増に伴う取引増加により、システム運用保守売上が1,578,967千円(前年同期比3.8%増)となったことによるものであります。
b.売上原価、売上総利益
当事業年度における売上原価は事業規模拡大に伴い、前事業年度に比べ132,896千円増加し、1,656,690千円(前年同期比8.7%増)となりました。これはebisu commerceの償却開始による減価償却費が増加したこと等によるものであります。この結果、売上総利益は前年同期比に比べ24,741千円減少し、938,643千円(前年同期比2.6%減)となりました。
c.販売費及び一般管理費、営業利益
当事業年度における販売費及び一般管理費は、従業員数増加に伴う人件費、マーケティング活動強化に伴う広告宣伝費の増加等により前事業年度に比べ53,526千円増加し、963,575千円(前年同期比5.9%増)となりました。
この結果、営業損失は24,931千円(前年同期は営業利益53,336千円)となりました。
d.営業外損益、経常利益
当事業年度における営業外収益は、前事業年度に比べ1,069千円減少し、681千円(前年同期比61.1%減)となりました。
当事業年度における営業外費用は、前事業年度に比べ3,681千円減少し、4,455千円(前年同期比45.2%減)となりました。
この結果、営業外損益は3,774千円の損失となり、経常損失は28,705千円(前年同期は経常利益46,949千円)となりました。
e.特別損益、当期純利益
当事業年度において特別利益の計上はなく、特別損失として固定資産除却損1,828千円を計上しました。この結果、税引前当期純損失は30,534千円(前年同期は税引前当期純利益37,811千円)となりました。また、法人税等1,232千円を計上した結果、当期純損失は31,766千円(前年同期は当期純利益22,091千円)となりました。
③財政状態の分析
財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ①財政状態の状況」をご参照ください。
④キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
⑤経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社は常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制の強化、優秀な人材の確保、市場のニーズにあったサービスの展開等により、当社の経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。
⑥資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社の運転資金需要のうち主なものには、人件費、支払手数料、広告宣伝費等があります。運転資金は、主として内部資金及び借入により調達しております。
当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は306,424千円であり、当社の事業を推進していく上で十分な流動性を確保していると考えております。
⑦経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、システム受託開発の受注金額及びシステム運用保守のARPU(顧客単価)を重要な経営指標と位置付けております。システム受託開発の受注金額の多寡は、後のシステム運用保守につながる重要な要素であり、システム運用保守のARPU(顧客単価)は「ebisumart」の顧客規模を計る重要な指標として認識しております。当事業年度においては、受注金額が999,101千円と伸長し、月間平均ARPUも360千円と継続して増加した結果、売上高も堅調に推移いたしました。また、クラウドコマースプラットフォーム「ebisumart」の価値を計る指標としてGMV(流通総額)を参考としており、当事業年度末で149,700,609千円と増加しております。当該目標の達成状況に関して一定の評価をしておりますが、今後も株主価値向上のための経営施策を実施してまいります。
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区分 |
システム受託開発の 受注金額 |
システム運用保守の 月間平均ARPU(千円) |
GMV(千円) (1店舗あたりGMV) |
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2020年5月期 |
739,800 |
250 |
110,180,238 (305,631) |
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2021年5月期 |
932,483 |
261 |
127,700,886 (332,554) |
|
2022年5月期 |
999,830 |
292 |
137,030,875 (354,084) |
|
2023年5月期 |
910,725 |
336 |
148,131,480 (391,882) |
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2024年5月期 |
999,101 |
360 |
149,700,609 (410,139) |
(注)1.1店舗当たりGMVは、各期のGMV÷期中平均店舗数で算出しております。
2.月間平均ARPUは、システム運用保守売上高÷期中平均店舗数÷12で算出しております。
該当事項はありません。
当社では、提供するソフトウエアの機能拡張や改善改良、またプロダクトの競争力向上につながる研究開発活動を継続的に行っております。セグメント別の研究開発活動の概要は以下のとおりです。
(クラウドコマースプラットフォーム事業)
当事業年度における、研究開発活動の金額は
(ECビジネス成長支援事業)
当セグメントは研究開発活動を行っておりません。
(データの統合及び活用を目的とした事業)
当事業年度における、研究開発活動の金額は