第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当第2四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生はありません。また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 なお、為替相場における円安の進行や、ウクライナ及び中東の地政学的問題が及ぼすエネルギーコストの高騰等、今後の経済活動への新たな懸念事項も生じておりますが、当社グループの事業への直接的影響はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、賃上げへの動きや企業の高い投資意欲を背景に、雇用・所得環境は改善し、景気は回復基調が続いた一方、金融引き締めによる世界経済の減速懸念等により、先行き不透明な状況が続いております。

国内の情報サービス市場においては、デジタル技術を活用したビジネスプロセス及びビジネスモデルの変革、DX(デジタルトランスフォーメーション)の実現に向けて、引き続き企業のIT投資は旺盛なまま推移いたしました。IT・デジタル人材については依然として不足しており、需給差の拡大や賃金上昇の背景から、システムソフトウェアの開発単価は上昇傾向にある一方で、採用環境は厳しい状況となっております。

このような環境の下、DX向けソリューションである、クラウド構築、ビッグデータ分析、業務ワークフローの自動化(ServiceNow)により、顧客企業が提供する価値増強への支援を継続するとともに、2023年6月に立ち上げたコンサルティング事業においては、企業のDX戦略の策定、実行支援のニーズに対応しており、ITソリューションからコンサルティングまでワンストップで対応するサービスを提供してまいりました。また、2023年8月に発表したリブランディングの下、当社が次のステージに進むための社内向け施策に着手しております。当社の中長期的な成長を見据え、改めて当社の強みを再定義したリブランディングでは、新たに当社ブランドメッセージ「BEYOND THE RIGHT ANSWER. -正解以上の答えをだそう-」を策定し、コーポレートアイデンティティのリニューアルも実施いたしました。当社の価値の源泉である3つの強み「人を想う力」「技術を活かす力」「可能性を広げる力」と、当社が目指すこれからの”CNS”の姿を表現しております。

 

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[新コーポレートアイデンティティ]

 

以降でご説明する各既存事業の対前年同期増減率について、当社の事業は主に準委任契約による受託開発・システムコンサルティング等であるため人員数の増減が収益に影響を与える傾向にありますが、2024年5月期からの下記の新事業体制による人員異動の影響の算定は難しく、考慮しておりません。

●システム基盤事業を再編し、一部のリソースをデジタル革新推進事業、業務システムインテグレーション事業、コンサルティング事業へ移管

 ●ビッグデータ分析事業に属するリソースをコンサルティング事業へ移管

 

■成長戦略と施策の実践状況

当社グループは、DXによるビジネス変革デザインの拡大を成長戦略の中核に据え、前年度に続き、「1.事業基盤の強化」、「2.新たな顧客獲得による事業規模拡大」、「3.ソリューションの拡充による市場拡大」の実現に向けた各施策を推進しております。

なお、当社グループのマテリアリティに関連して、「DX推進のためのパートナー企業、アライアンス拡大、協業」、「最新のIT技術の活用」、「積極的な新卒採用と早期育成」、「ビジネスパートナーとの育成に関連する協業」、「全社参加のDXワークショップ」の5つの取り組みの実践状況も含めてご報告いたします。

 

①事業基盤の強化

 前連結会計年度に続き、今期も成長領域であるDX変革ビジネスの拡大を目的とした人材の増強及び育成に取り組んでおります。人材の増強は新卒採用に比重を置き、早期育成・若手登用による体制強化を行っており、より効率的・効果的な採用活動に向け、ダイレクトリクルーティング及びインターンシップの活用を進め、優秀な人材の囲い込みに努めております。人事部では入社前の研修やフォロー、社員交流イベントを充実させ内定承諾率の向上を図るとともに、入社後は人事部による集合研修後、配属現場でのOJT・フォローアップ研修を行っております。2024年度の新卒社員採用数はほぼ計画通りとなりました。中途採用に関しては、各事業部における募集要項を見直し、応募者数の増加を図るとともに入社後のミスマッチ防止を行っておりますが、ターゲット層の採用は厳しい状況となりました。下半期に向け、課題を洗い出し、今後の採用方針について再検討を進めております。

 育成については若手社員に注力し、従前の全体の組織力を「底上げ」する育成方針から、即戦力となる人材を育成する方針に転換し、「引上げ」視点を加えたカリキュラムへと見直しました。先述の集合研修において学んだビジネススキルを即実践できるようにすることで、当社社員が自分たちの強みである高い技術力を、より有効的に活かせることを目的としております。また、各事業部においても、それぞれの領域における最新技術情報のキャッチアップから技術研修の実施、資格取得を進めるとともに、対応可能な案件の幅を広げるために顧客のビジネスに係る業務知識の習得等に取り組み、エンジニアスキルを磨いております。

 

②新たな顧客獲得による事業規模拡大

当社が注力するデジタルワークフローを提供するServiceNowについては、主要取引先である株式会社NTTデータに加え、新規大手SIerとの取引を開始し、需要は未だ拡大傾向で推移しております。

システム基盤事業における独自サービス「U-Way」OCIシリーズは、オラクル社の注力パートナーとして、同社と連携してそれらサービスの販売を強化し、エンドユーザーからの直接案件の受注につなげております。また、ビッグデータ分析事業においてもこのたび、SAS社製品を活用した独自サービスを開発し、2023年11月にはSAS Institute Japan株式会社主催の「SAS Evolve」に登壇し紹介いたしました。今後SAS社と連携強化し、当該サービスの販路拡大を図ってまいります。

 

③ソリューションの拡充による市場拡大

 顧客にとってわかりやすく、かつ、タイムリーに効率よく提供することを目的に当社グループの主力ソリューションであるデジタル革新技術(ビッグデータ分析、業務ワークフローの自動化(ServiceNow)、クラウド構築)に関するノウハウの標準化・体系化、また、サービスメニューの整備、方法論のフレームワーク化を引き続き推進しております。システム基盤事業に続き、ビッグデータ分析事業においても、2024年1月より先述の当社独自サービス「U-Way Migration to SAS Viya構築支援サービス」の提供を開始いたします。本サービスは、SAS Institute Japanの分析プラットフォーム製品「SAS Viya4」の導入支援を目的としておりますが、SAS9からSAS Viya4への移行を対応するベンダーは少なく、今後同事業の収益に寄与することが期待される商材です。オラクル社のクラウドサービス「Oracle Cloud Infrastructure」の導入支援等を目的に開発したU-Way OCIシリーズとともに、販売強化してまいります。

 

■当四半期の状況

デジタル革新推進事業では、性能やデータベース移行に関するテクノロジーコンサルティング案件規模の維持、及び第1四半期連結会計期間にて新規に獲得した、キャッシュレス決済アプリケーション開発案件規模の拡大に伴うエンジニア増員、また、注力するServiceNowについては、ビジネスパートナーとして導入支援をともに推進してまいりました株式会社NTTデータ以外の顧客からも案件を獲得した結果、当第2四半期連結累計期間における当事業の売上高は、前年同期比24.6%増の884,942千円となりました。今期は、ServiceNow案件のさらなる受注拡大に向け、現在PremierであるServiceNowパートナー認定ランクのランクアップを目指しております。このため、一定の取り組み費用が発生しており、売上総利益率は、前年同期比2.5%減の23.0%となりました。

 

ビッグデータ分析事業では、新規案件の受注があったものの、新規顧客において計画していた案件の中止、既存顧客都合による案件規模縮小の影響により、当第2四半期連結累計期間における当事業の売上高は、前年同期比1.9%減の557,824千円となりました。

 

システム基盤事業では、第1四半期連結会計期間に獲得した既存顧客からの新規案件、また、当社独自サービス「U-Way」をフックに新規案件を獲得できたものの、組織再編による人員減少の影響をカバーするには至らず、当第2四半期連結累計期間における当事業の売上高は、前年同期比3.3%減の885,614千円となりました。なお、既存顧客への交渉による単価アップや「U-Way」OCIシリーズのサービスの寄与もあり、売上総利益率は、前年同期比1.9%増の24.3%となりました。

 

業務システムインテグレーション事業においては、第1四半期連結会計期間に続き、金融業界における法規制に対応する大型スクラッチ開発案件やシステム老朽化対応の案件が好調に推移しました。また、業務対応範囲も拡大したことで計画外のエンジニア増員があったこと、新規顧客からの新たな領域における技術に係る案件等も獲得できた結果、当第2四半期連結累計期間における当事業の売上高は、前年同期比19.5%増の777,697千円となりました。

 

コンサルティング事業については、既存事業において主にコンサルティング案件を対応していたエンジニアを移管しており、これら既存案件は順調に継続できた結果、当第2四半期連結累計期間における当事業の売上高は、190,860千円となりました。上半期は新規コンサルティング案件の獲得に向けて積極的な営業活動に取り組んだ結果、下半期から開始予定の生成AI関連及び業務運用支援案件を獲得することができました。また、地方自治体に対するデジタル戦略の実現を目指した民間視点での意見交換等も実施いたしました。

 

以上の結果、当第2四半期連結累計期間における当社グループの売上高は3,296,939千円(前年同期比15.9%増)となりました。第1四半期に続き認知度向上に向けたIR・PR活動を積極的に行ったことで当該費用は増加したものの、キャリア採用活動の見直しによるコスト削減等もあったことで販管費率は前年同期比で0.3ポイント減少し、営業利益は同20.2%増の323,209千円、経常利益は同18.8%増の337,637千円、親会社株主に帰属する当四半期純利益は同15.9%増の220,320円となりました。

 

なお、当社グループは単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。

 

財政状態は、次のとおりであります。

 

(資産)

当第2四半期連結会計期間末における総資産は4,621,530千円となり、前連結会計年度末と比較して74,351千円の増加となりました。これは主に、ソフトウエア仮勘定が34,985千円減少した一方で、現金及び預金が80,887千円、売掛金及び契約資産が21,680千円増加したことによるものです。

(負債)

当第2四半期連結会計期間末における負債合計は1,190,870千円となり、前連結会計年度末と比較して15,199千円の減少となりました。これは主に、未払法人税等が34,354千円増加した一方で、その他に表示されている未払金が57,905千円減少したことによるものです。

(純資産)

当第2四半期連結会計期間末における純資産合計は3,430,659千円となり、前連結会計年度末と比較して89,550千円の増加となりました。これは主に、配当により利益剰余金が130,770千円減少したものの、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上により利益剰余金が220,320千円増加したことによるものです。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して50,882千円増加し、2,634,056千円となりました。

 当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果による収入は220,318千円となりました。主な要因は売上債権の増加による減少額21,680千円、未払金の減少による減少額53,269千円、法人税等の支払額70,704千円等があった一方、税金等調整前四半期純利益323,872千円があったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果による支出は37,298千円となりました。主な要因は定期預金の預入による支出30,005千円、無形固定資産の取得による支出5,880千円等があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果による支出は132,137千円となりました。主な要因は配当金の支払額130,770千円等があったことによるものです。

 

(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(4)経営方針・経営戦略等

 当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(6)研究開発活動

 該当事項はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

 当第2四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。