文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「独創的な商品を開発し、新たな文化の創造をもって社会に貢献する」ことを経営理念としており、この理念に基づき、「顧客」、「社員」、「株主」、「社会」への責任を明確にした行動指針のもとに事業活動を営んでおります。
また、創業以来、もの作りに情熱を捧げるメーカーとして、法人から個人までの幅広いニーズを捉え、顧客満足を追求した商品開発とサービスの提供を行ってまいりました。今後も、「快適な情報活用環境を創造する」ことを企業ドメインとして、積極的に活動してまいります。具体的な経営方針は以下のとおりであります。
①当社は、「テプラ」を中心とした電子製品と事務用・個人用のファイルを中心としたステーショナリーの2本立ての事業を今後も拡大し、さらなる成長を目指します。
②企業ドメインをもとに新たな事業開発を進め、今後のさらなる収益力向上に努めます。
③当社は、環境に優しい製品設計・生産から企業経営全般に至るまで、環境保全を経営の重要課題として位置付けております。
④当社グループとして、コンプライアンスとCSRを重視した企業経営を行います。
(2) 経営環境
当社グループを取り巻く経営環境としては、文具事務用品事業においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による働き方・暮らし方の変化によってペーパーレス化、デジタル化が進行する中、ファイル依存の収益構造からの脱却が課題となっております。
インテリアライフスタイル事業においては、㈱ぼん家具と㈱ラドンナ、㈱アスカ商会がテレワーク需要の高まりやEC市場の伸長により、業績を伸ばしております。さらにM&Aにより事業の拡大にも継続的に取り組んでおり、2021年11月にグループ入りした生活家電・雑貨・ルームフレグランス等の企画・販売等のライフオンプロダクツ㈱が当連結会計年度より当社の連結業績に寄与しております。
新型コロナウイルス感染症の先行きは、依然として不透明なところもありますが、在宅勤務等のテレワークといった新しい働き方によるオフィス市場の変化や、新しい生活様式による巣ごもり需要といった個人の消費活動の変化は今後も続くと予想されます。
このような環境のもと、当社グループは第10次中期経営計画の達成に向けて、課題に取り組んでまいります。
(3) 目標とする経営指標
当社グループは、2024年6月期を最終年度とする第10次中期経営計画において、売上高 480億円、経常利益 34億円、経常利益率 7.0%、自己資本当期純利益率(ROE) 9.0%を目標としております。
(4) 会社の中長期的な経営戦略と対処すべき課題
当社の経営理念およびサステナビリティ(持続可能性)の考え方に基づき、ESGの観点から当社の事業活動と社会課題の関連性が高い4つの項目、「独創的な商品の開発による社会貢献」「環境への配慮」「多様な人材の活躍推進」「ガバナンスの充実」をマテリアリティ(重要課題)として特定しております。マテリアリティ(重要課題)の解決を通して、持続可能な社会の実現と更なる企業価値の向上を目指してまいります。
新型コロナウイルス感染症の影響によって生じた事業環境の変化は、今後も継続すると予想されます。ペーパーレス化・デジタル化が進行する中、ファイル依存の収益構造から脱却を図る一方で、新しい働き方・暮らし方やEC市場の拡大を事業成長の機会ととらえております。
当中期経営計画期間(2022年6月期から2024年6月期)において、当社グループが保有している柔軟な開発体制と独創的で多彩な商品群、多様な販売チャネルといった経営資源を最大限に活用し、グループ経営を推進することで、アフターコロナに向けて経営基盤を固め、持続的な成長を目指します。方針として「成長分野への注力」と「基盤事業の更なる強化」を掲げ、以下の施策を実行いたします。また、サステナブル(持続可能)な社会の実現を重点目標として、ESGの取り組みを進めてまいります。
① 成長分野への注力
「衛生・健康用品」においては、新型コロナウイルス感染症拡大で激変した新しい生活様式に対応した製品の企画・開発を積極的に行います。「オフィス・生活環境用品」は、テレワーク・おうち時間向けに当社のブランド力、営業力、調達・開発力を活かして新たな商品ラインアップを市場に提供してまいります。「デジタル文具」については、ワークスタイルの変化に合わせて、当社独自の発想に基づく新製品の拡充により、新たな顧客の獲得と市場の創造を目指します。「女子文具」は、ステーショナリーの領域にとどまらず、雑貨を含めてより広い商品展開を行い、ターゲット層への訴求を高めてまいります。「インテリアライフスタイル事業」に関しては、㈱ぼん家具・㈱ラドンナ・㈱アスカ商会、および2021年11月よりグループ入りしたライフオンプロダクツ㈱において更なるグループシナジーを発揮し、事業の成長スピードを加速させます。「海外事業」は、アジア市場に加え、欧米の市場にもこれまで以上に力を入れることとし、Japan Qualityのキッチン家電や女子文具のグローバル展開を図ります。「EC事業」は今後も成長が見込まれる市場であり、効果的なマーケティングや取扱品目の増加により売上の飛躍的な拡大を目指します。
また、「M&A」を事業領域拡大の重要な手段と考えており、積極的な投資により事業ポートフォリオを拡充してまいります。
② 基盤事業の更なる強化
「テプラ」については、ラベリング需要の掘り起こしにより、今までテプラを使っていなかった層の獲得に取り組み、市場・チャネルの開拓に努めます。「ステーショナリー」に関しては、既存カテゴリーの強化と新規カテゴリーへの参入を両輪で進めるとともに、生産系海外グループ会社において文具以外の生産技術を導入し、生産品目を拡大して商品展開を広げてまいります。
当社グループは、サステナビリティ(持続可能性)の向上を推進するため、「キングジムグループ サステナビリティ基本方針」を策定いたしました。この基本方針に基づき、仕事と暮らしを便利で快適にする商品・サービスを通じて、社会に貢献し、それらの商品について地球環境に配慮した調達・設計・開発を行います。また、多様な人材が自分らしく働くことのできる職場環境や健全なガバナンスの構築により一層取り組んでまいります。
当社は、当社グループの事業活動に影響を与える可能性のあるリスクを洗い出し、リスク項目ごとに所管部を定めて常時リスクを管理しております。各所管部は、担当するリスクの危険度をモニタリングし、経営上重要と思われる事象が発生するおそれが生じた場合は、直ちに担当役員を通じてリスクマネジメント委員会に報告するとともに、リスクマネジメント委員会が対応策を協議・承認しております。各所管部は、毎年1回、リスクの発生回避、対策、管理状況等を取締役会へ報告しております。また、リスク項目については、当社グループの事業活動を取り巻く環境の変化、影響度合いや発生頻度に応じて見直しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 研究開発投資
当社グループの事業環境は、デジタル化の進展に伴うペーパーレス化により、主力のファイル市場の縮小が見込まれています。そのため、新規商品の開発および文具事務用品事業におけるキングファイル、テプラと並ぶ第3の柱の構築のための新規事業と次世代商品の開発に積極的に投資をしてまいりますが、これらすべての開発投資によって常に十分な成果を得られるとは限らず、その結果によっては当社グループの業績に影響を与える可能性があります。なお、商品開発においては、新しい生活様式等の市場ニーズを捉えるとともに、プラスチック廃棄物等の環境問題にも配慮してまいります。
(2) 知的財産の保護
当社グループは、第三者の知的財産権を侵害しないように、また当社グループの知的財産権が第三者に侵害されないように、知的財産権保護のための体制を整備しております。しかし、第三者から知的財産権の侵害を理由とする訴訟が提起されたり、第三者から知的財産権の侵害をうけたりする可能性もあります。このような事態は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(3) 製造物責任
当社グループは、定められた品質管理基準に従って管理体制を確立し実施しております。しかし、予期せぬ欠陥が生じ顧客に損害が発生した場合には、顧客の信頼を喪失する可能性があり、また、製造物責任保険に加入しておりますが、保険で賠償額をカバーできない可能性もあるため、このような事態が生じた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(4) 原材料等の価格変動
当社グループの製品は、主な原材料として合成樹脂、紙、鋼板、半導体等を使用しており、これらは原油価格の市況や、世界的な需給バランスの乱れによる原料不足により、価格が大きく変動する場合があります。原油価格や原材料価格が予期せず急激に高騰し、原材料の安定的な調達が困難となった場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(5) 海外情勢
当社グループの製品は、主に海外で生産を行っております。調達先については特定の国や地域に集中せず分散化を図っておりますが、海外における経済情勢の変動や政治情勢の変動、戦争やテロ、新型コロナウイルス感染拡大防止のためのロックダウンによる操業禁止等により、部品の調達や製造が困難になり、当社グループ製品の安定的供給に支障をきたし、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、海外の販売において、新型コロナウイルス感染拡大に応じた各国の行動規制により、営業活動に引き続き支障が発生する可能性があります。また、経済復調の程度に差があることから、東南アジア圏における販売状況は依然芳しくないことが予想されます。
(6) 為替変動
当社グループは、製品および原材料等の輸出入において、一部外貨建取引を行っております。また、外貨建債権債務を保有しております。為替変動のリスクを軽減するため、為替予約取引等を行っておりますが、大幅な為替変動は当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(7) 棚卸資産
当社グループでは、需要予測に基づいた生産計画等を行い、適切な在庫管理に努めています。しかしながら、市場環境の変化や販売見込みの相違により、販売実績が当初の予測を大きく下回る結果となる場合もあります。陳腐化等による価値の大幅な減少や、収益性低下により、正味売却価額が取得原価よりも下落した場合、棚卸資産の評価損を計上することとなり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(8) M&A
当社グループは、M&Aを事業拡大の一つの手段と考えて、当社グループの成長戦略に十分貢献することができる案件、当社の既存ビジネスとのシナジー効果が期待できる案件を中心に鋭意検討しております。M&Aにあたっては、対象企業の主力商品および事業の競争力、強みと弱み、財務内容、契約関係、特許等の訴訟関係等について詳細な事前調査を行い、決定しております。しかしながら、事前調査で把握できなかった偶発債務や未認識債務等が存在した場合や、市場環境の変化等により事業の展開が計画通りに進まなかった場合には、対象企業の投資価値の減損処理を行う等、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(9) 情報セキュリティ
当社グループは、重要な情報の紛失、個人情報・機密情報漏洩等の防止の為、情報セキュリティ対策として、アンチウイルスソフトの導入および情報セキュリティのための社員教育・啓蒙活動を実施しております。しかしながら、外部からのサイバー攻撃や不正アクセス、ソフトウェアや情報機器の欠陥によって、内部情報の流出、改ざん等のリスクがあります。このような事象が発生した場合、事業活動に支障をきたし、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(10) 自然災害
当社グループは、国内外を問わず、地震、台風等大規模な災害が発生した場合に備え緊急時の対応を整備しておりますが、想定範囲を超えた自然災害が発生した場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、これらの復旧にも多大の費用を要する可能性があります。
(11) 新型コロナウイルス感染症
当社グループは、お客様や従業員の安全を最優先とし、テレワークの推進、時差勤務の推奨、WEB会議の積極的な活用、手指消毒の徹底やソーシャルディスタンスの確保等の感染予防策を取りながら事業運営を行っております。また、ワクチンの職域接種も実施しております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響が長期化、深刻化した場合、国内外サプライチェーンの停滞、経済情勢の低迷によって、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度の期首から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。)等を適用しております。当連結会計年度に係る各数値については、当該会計基準等を適用した後の数値となっております。当該会計基準等の適用が財政状態及び経営成績等に与える影響の詳細については、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)連結財務諸表 注記事項」の(会計方針の変更)と(セグメント情報等)をご参照ください。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による経済活動縮小から正常化に向かう動きを見せつつありますが、ウクライナ情勢等による不透明感も相まって、依然として厳しい状況が続いております。
このような状況のもと、当社グループは継続した感染予防策をとることでお客様や従業員の安全を図りつつ、第10次中期経営計画(2022年6月期から2024年6月期)の目標達成に向けた取り組みを実行してまいりました。
「テプラ」や「ファイル」といった基盤事業のさらなる強化を図りつつ、インテリアライフスタイル事業や衛生・健康用品の拡販、M&Aによる事業領域拡大に注力しております。第2四半期連結会計期間では、インテリアライフスタイル事業の飛躍的な拡大を実現するべく、ライフオンプロダクツ㈱を子会社化いたしました。同社は、生活家電や雑貨、ルームフレグランス等の各種商品の企画・販売等を行っております。同社と、商品調達・品質管理を共同で行うことによる効率化に加え、グループ内の海外を含む販路を相互に活用した売上拡大を図ってまいります。また、当社グループでは、コーポレートメッセージ「おどろき、快適、仕事と暮らし」を策定いたしました。これまで事業の中心としていたビジネスシーンに加え、暮らしにおいても、おどろきと快適さを提供してまいります。当連結会計年度の業績につきましては、半導体不足に伴う「テプラ」の品切れや生産国のロックダウンによるファイルの品切れの影響が長引き、大幅な販売減はありましたが、第3四半期連結会計期間から連結対象となったライフオンプロダクツ㈱の売上寄与により、売上高は 366億3,651万円(前連結会計年度比 0.9%増)となりました。利益面では、急激な円安や原材料価格・物流費等の高騰に伴う売上原価率や販売管理費率の上昇により、営業利益は 10億760万円(前連結会計年度比 58.3%減)、経常利益は 13億3,859万円(前連結会計年度比 51.4%減)、販売物流システム再構築プロジェクトにおける要件定義の見直しにより、特別損失1億500万円を計上したこともあり、親会社株主に帰属する当期純利益は 7億8,878万円(前連結会計年度比 59.8%減)となりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
・文具事務用品事業
電子製品におきましては、基盤事業のさらなる強化として、「テプラ」におきましては、最上位モデルとなる「SR-R980」を発売いたしました。また、衛生・健康用品では、室内のCO2濃度を表示できる「卓上CO2モニター」、ライトとブザーで換気のタイミングをお知らせする「換気を促すCO2モニター」、大きな表示で見やすい「ザラージCO2モニター」を発売いたしました。オフィス・生活環境用品では、音響設備が不要なスピーカーとマイクが一体型となった拡声器「スピーカー付きマイク」が、学校や公共施設の備品として好評を博しています。ウインセス㈱では、好調な半導体工場や製薬会社向けのクリーンルーム用手袋が売上に貢献しました。
ステーショナリーにおきましては、表紙に差し込むだけで複数のクリアーホルダーをまとめて収納・閲覧ができる「ホルサッククリアーホルダーファイル」や、書類をホチキス留めされた感覚でナナメにめくれる書類収納用品「ナナメクリファイル」「ナナメクリホルダー」、自立するクリアーファイル「ジリッツ」のサイドインタイプなど、新機能を追求した製品の発売により、需要の拡大を図りました。また、原材料費や物流費の高騰が続いている中、2021年12月より一部商品の価格改定を行い、収益の確保に努めております。成長分野への注力としては、雑貨・家庭用品や新しい働き方・暮らし方に向けた新製品の投入に軸足を置いております。女子文具のブランド「HITOTOKI(ヒトトキ)」シリーズとして、マスキングテープ「KITTA」「SODA」の新製品や、“手帳のように使える”ノート「HITOTOKI NOTE」を発売いたしました。
しかしながら、「テプラ」やファイルの品切れの影響により、売上高は 260億6,074万円(前連結会計年度比 5.9%減)、急激な円安や原材料価格・物流費の高騰により、営業利益は、5億2,671万円(前連結会計年度比 67.7%減)となりました。
・インテリアライフスタイル事業
㈱ぼん家具では、楽天スーパーセールや超PayPay祭といったECモールのセール企画を活用し、収納用品を中心に売上を伸ばしました。㈱ラドンナでは、主力のキッチン家電が引き続き好調に推移し、販売面ではEC店舗の新規開拓も進み、売上が伸長しています。㈱アスカ商会では、主力の花類がブライダル需要の復調やフォトスタジオなどの装飾関連で売上を回復しました。また、オフィス装飾需要の取り込みに成功したグリーン・観葉類も引き続き好調でした。2021年11月よりグループ入りしたライフオンプロダクツ㈱では、均一系店舗への販売強化を行い、新たに美容家電を受託するなど大きな成果を上げることができました。
この結果、前期好調であった㈱ぼん家具の反動減はあったものの、㈱ラドンナと㈱アスカ商会は増収となったことに加え、グループ入りしたライフオンプロダクツ㈱の加算もあり、売上高は 105億7,577万円(前連結会計年度比 22.6%増)、急激な円安や仕入価格の上昇による売上原価率の上昇や、ライフオンプロダクツ株式取得費用の計上等による販売費及び一般管理費の増加により、営業利益は4億6,279万円(前連結会計年度比 39.3%減)となりました。
また、財政状態の状況については、次のとおりであります。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比較して 29億4,694万円増加し、335億1,218万円となりました。これは主に、現金及び預金が減少した一方で、商品及び製品や第2四半期連結会計期間におけるライフオンプロダクツ㈱の株式取得によるのれんの増加等によるものであります。
負債は、前連結会計年度末と比較して 28億3,321万円増加し、92億8,026万円となりました。これは主に、ライフオンプロダクツ㈱の株式取得のための資金需要、および運転資金需要等として短期借入金と長期借入金が増加したこと等によるものであります。
純資産は、前連結会計年度末と比較して 1億1,373万円増加し、242億3,191万円となりました。これは主に、その他有価証券評価差額金が減少した一方で、利益剰余金や為替換算調整勘定が増加したこと等によるものであります。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して 13億9,553万円減少し、56億3,738万円(前連結会計年度比 19.8%減)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は、12億7,830万円(前連結会計年度は 31億800万円の資金獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益 12億2,457万円や減価償却費6億5,896万円等があった一方、棚卸資産の増加額 13億423万円や法人税等の支払額 10億4,014万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ 30億8,670万円増加し、35億7,878万円となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入6億1,321万円があった一方、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出 27億7,384万円や定期預金の預入による支出6億3,220万円、有形固定資産の取得による支出5億853万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べ 45億8,897万円増加し、32億664万円となりました。これは主に、配当金の支払額7億6,775万円があった一方、長期借入れによる収入 30億円や短期借入金の純増額 10億円等によるものであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。なお、文具事務用品のみ生産活動を行っております。
(注) 金額は標準出荷価格で表示しております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 当社および連結子会社においては、大部分は見込生産であり、特注品のみ受注生産であります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
イ.売上高
「第2[事業の状況] 3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
ロ.売上原価、販売費及び一般管理費
当連結会計年度の売上原価につきましては、急激な円安や原材料価格の高騰により、売上原価率は 63.2%となり、前連結会計年度の売上原価率 60.2%より 3.0ポイントの上昇となりました。
販売費及び一般管理費につきましては、物流費等の高騰により売上高に対する割合は 34.0%となり、前連結会計年度の 33.1%より 0.9ポイントの上昇となりました。
ハ.営業利益
当連結会計年度の営業利益につきましては、売上高は増加しましたが、売上原価率と販売管理費率の上昇により 10億760万円(前連結会計年度比 58.3%減)となりました。
ニ.親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、特別損失1億1,557万円を計上したことにより、7億8,878万円(前連結会計年度比 59.8%減)となりました。
② 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2[事業の状況] 2[事業等のリスク]」をご参照ください。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源および資金の流動性に係る情報
イ.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
「第2[事業の状況] 3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
ロ.資本の財源および資金の流動性に係る情報
当社グループの主な資金需要は、原材料調達や製品の製造費用、商品仕入費用、販売費及び一般管理費等の運転資金、企業価値向上を目的とした各種設備投資資金、また、事業拡大の一つの手段として実施しているM&Aのための資金等であります。これらは、自己資金、借入金により調達しております。
④ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。
詳細につきましては、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」をご参照ください。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りのうち、特に重要なものは以下のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症による今後の影響等を含む仮定に関する情報は、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。
(棚卸資産)
「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」をご参照ください。
(固定資産の減損)
当社グループは、原則として継続的に収支の把握を行っている管理会計上の区分を考慮し資産のグルーピングを行い、遊休資産については個別に資産のグルーピングを行っております。固定資産のうち減損の兆候がある資産または資産グループについて、この検討は一定の仮定に基づき見積もった割引前将来キャッシュ・フロー等を基に行っております。対象となる資産または資産グループの帳簿価額に減損が生じていると判断した場合、その帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上します。
減損の兆候の把握、減損損失の認識および測定にあたっては、将来キャッシュ・フロー等の見積りやその前提となる仮定を用いており、今後、経営環境等の変化により前提条件や仮定に変動が生じた場合には、固定資産の減損処理に影響を及ぼす可能性があります。
(繰延税金資産の回収可能性)
繰延税金資産については、将来の利益計画に基づく課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断した上で計上しております。市場環境の変化等により、課税所得の見積額が減少した場合は、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。
⑤ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2024年6月期を最終年度とする第10次中期経営計画において、「成長分野への注力」と「基盤事業の更なる強化」の方針に基づき、売上高 480億円、経常利益 34億円、経常利益率 7.0%、自己資本当期純利益率(ROE) 9.0%を目標としております。
初年度である当連結会計年度においては、売上高 366億円、経常利益 13億円、経常利益率 3.7%、自己資本当期純利益率(ROE) 3.3%となりました。
なお、経営者の問題認識、今後の方針については、「第2[事業の状況] 1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等] (4)会社の中長期的な経営戦略と対処すべき課題」をご参照ください。
該当事項はありません。
当連結会計年度の研究開発活動につきましては、コロナ禍における「新しい生活様式」に対応した商品、トレンドを取り入れたシリーズ商品や機能性・デザイン性に優れた商品のラインアップ強化などを行い、当連結会計年度は研究開発活動に対して総額
当連結会計年度中の主な新製品開発の成果は、次のとおりであります。
(1) 文具事務用品事業
① 電子製品
ラベルライター関連では、ビジネス向け「テプラ」PRO最上位モデルであるラベルライター「テプラ」PRO SR-R980を開発いたしました。テープの種類を自動で識別し、テープに合わせた印刷フォームの呼び出しや、最適な印刷設定で印刷をすることができ、高精細大型ヘッドにより、文字を大きくハッキリ印字できるようになりました。
デジタル文具では、ブギーボードにシリーズ初のインテリアモデルとして「ブギーボード」BB-15を開発いたしました。外枠が細く筆記面積が大きい正方形のシンプルなフォルムで、インテリアにも馴染みます。また、付属スタイラスのマグネット部分を本体に近づけるだけで画面を消去でき、壁にかけたままでもスムーズに操作可能です。
衛生用品では、空間の二酸化炭素の濃度を検知して換気のタイミングをお知らせするCO2モニターシリーズ3アイテムを開発いたしました。「卓上CO2モニター」「換気を促すCO2モニター」はコンパクト設計でCO2濃度をわかりやすく表示し、換気のタイミングをお知らせします。また、「ザラージCO2モニター」は大型のモニターで離れたところからもCO2濃度が確認しやすく、人の集まる場所での使用に適しています。
ウインセス㈱では、カラー綿手袋、サポーター、帆布製アウトドア用品を開発いたしました。
② ステーショナリー
チャック付きポケットで水や汚れ、脱落から収納物を守る「クリアーファイル チャックタイプ」、バラバラになりやすいクリアーホルダーをひとまとめにできるファイル「ホルサック」、ホチキス留めの感覚で書類をナナメにめくれる「ナナメクリファイル」「ナナメクリホルダー」を新たに開発し、機能性ファイルのラインアップ拡充を行いました。
女子文具シリーズブランド「HITOTOKI(ヒトトキ)」の新たな商品として、“手帳として使えるノート”「HITOTOKI NOTE」を発売いたしました。これまで参入していなかった手帳市場獲得に向け、ラインアップ拡充を進めております。
新たな需要獲得のため、従来手掛けていなかった商品ジャンルにも積極的に取り組んでいます。特に「バッグ・ポーチ」「収納用品」には力を入れており、「バッグ・ポーチ」では、小物と書類をまとめて持ち運べる収納ケース「ロッツ」、スマホにつける小さな財布「ウォレカ」、フラットに折りたためるトートバック「フラットート」を新たに開発いたしました。外出中に出るごみをすぐに捨てられるごみ箱ポーチ「ホルポ」は、衛生意識の高まりや、公共の場所でのゴミ箱撤去の影響を受けて大きな話題となりました。
文具事務用品事業に係る研究開発費は
(2) インテリアライフスタイル事業
インテリアライフスタイル事業の研究活動は、㈱ぼん家具では、主力商品の収納商品において、キッチン、玄関、リビングなどのそれぞれの場所に最適な商品の企画開発に取り組みました。㈱ラドンナでは、Toffyシリーズのキッチン家電の開発に力を入れ、「ハーフホットサンドメーカー」などの商品を企画開発いたしました。㈱アスカ商会では、完成品ドライフラワー「SOMU」の企画開発を行い、ラインアップの拡充を図りました。ライフオンプロダクツ㈱ではマスク内の空気を循環する「マスクエアーファン」を改良し、風量と使用時間をアップした「マスキュレーター」を企画開発いたしました。
インテリアライフスタイル事業に係る研究開発費は