第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、「独創的な商品を開発し、新たな文化の創造をもって社会に貢献する」ことを経営理念としており、この理念に基づき、「顧客」、「社員」、「株主」、「社会」への責任を明確にした行動指針のもとに事業活動を営んでおります。

また、創業以来、もの作りに情熱を捧げるメーカーとして、法人から個人までの幅広いニーズを捉え、顧客満足を追求した商品開発とサービスの提供を行ってまいりました。今後も、「快適な情報活用環境を創造する」ことを企業ドメインとして、積極的に活動してまいります。具体的な経営方針は以下のとおりであります。

①当社は、「テプラ」を中心とした電子製品と事務用・個人用のファイルを中心としたステーショナリーの2本立ての事業を今後も拡大し、さらなる成長を目指します。

②企業ドメインをもとに新たな事業開発を進め、今後のさらなる収益力向上に努めます。

③当社は、環境に優しい製品設計・生産から企業経営全般に至るまで、環境保全を経営の重要課題として位置付けております。

④当社グループとして、コンプライアンスとCSRを重視した企業経営を行います。

 

(2) 経営環境

当社グループを取り巻く経営環境としては、文具事務用品事業においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による働き方・暮らし方の変化によってペーパーレス化、デジタル化が進行することが予想され、さらなるファイル市場の縮小が見込まれており、ファイル依存の収益構造からの脱却が課題となっております。これに対して、M&Aにより事業の拡大にも継続的に取り組んでおり、2020年1月に子会社化した作業手袋等製造販売のウインセス㈱が当連結会計年度より当社の連結業績に寄与しております。

インテリアライフスタイル事業においては、㈱ぼん家具と㈱ラドンナ、㈱アスカ商会が巣ごもり需要やテレワーク需要の高まり、EC市場の伸長により業績が急伸しております。

新型コロナウイルス感染症の先行きは、依然として不透明なところもありますが、在宅勤務等のテレワークといった新しい働き方によるオフィス市場の変化や、新しい生活様式による巣ごもり需要といった個人の消費活動の変化は今後も続くと予想されます。

このような環境のもと、当社グループは第10次中期経営計画の達成に向けて、課題に取り組んでまいります。

 

(3) 目標とする経営指標

当社グループは、2024年6月期を最終年度とする第10次中期経営計画において、売上高 480億円、経常利益 34億円、経常利益率 7.0%、自己資本当期純利益率(ROE) 9.0%を目標としております。

 

 

(4) 会社の中長期的な経営戦略と対処すべき課題

当社グループは、2024年6月期を最終年度とする3ヶ年の第10次中期経営計画を策定いたしました。「成長分野への注力」と「基盤事業の更なる強化」の方針に基づき、当社グループが保有している柔軟な開発体制と独創的で多彩な商品群、多様な販売チャネルといった経営資源を最大限に活用し、グループ経営を推進することで、アフターコロナに向けて経営基盤を固め、持続的な成長を目指します。

① 成長分野への注力

 「衛生・健康用品」においては、新型コロナウイルス感染症の流行により激変した新しい生活様式に対応した製品の企画・開発を積極的に行います。「オフィス・生活環境用品」は、テレワーク・おうち時間向けに当社のブランド力、営業力、調達・開発力を活かして新たな商品ラインアップを市場に提供してまいります。「デジタル文具」については、ワークスタイルの変化に合わせて、当社独自の発想に基づく新製品の拡充により、新たな顧客の獲得と市場の創造を目指します。「女子文具」は、ステーショナリーの領域にとどまらず、雑貨を含めてより広い商品展開を行い、ターゲット層への訴求を高めてまいります。「インテリアライフスタイル事業」に関しては、㈱ぼん家具・㈱ラドンナ・㈱アスカ商会において更なるグループシナジーを発揮し、事業の成長スピードを加速させます。「海外事業」は、アジア市場に加え、欧米の市場にもこれまで以上に力を入れることとし、Japan Qualityのキッチン家電や女子文具のグローバル展開を図ります。「EC事業」は今後も成長が見込まれる市場であり、効果的なマーケティングや取扱品目の増加により売上の飛躍的な拡大を目指します。

 また、「M&A」を事業領域拡大の重要な手段と考えており、積極的な投資により事業ポートフォリオを拡充してまいります。

② 基盤事業の更なる強化

 「テプラ」については、ラベリング需要の掘り起こしにより、今までテプラを使っていなかった層の獲得に取り組み、市場・チャネルの開拓に努めます。「ステーショナリー」に関しては、既存カテゴリーの強化と新規カテゴリーへの参入を両輪で進めるとともに、生産系海外グループ会社において文具以外の生産技術を導入し、生産品目を拡大して商品展開を広げてまいります。
 当社グループは、サステナブル(持続可能)な社会の実現を達成すべき重点目標としてとらえ、暮らしとビジネスを便利で快適にする商品・サービスを通じて社会に貢献し、それらの商品について気候変動への影響を考慮して、地球環境に配慮した調達・設計・開発を行います。また、ダイバーシティや多様な働き方を推進し、働きがいを感じられる職場環境づくりにより一層取り組んでまいります。

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 研究開発投資

当社グループの事業環境は、デジタル化の進展に伴うペーパーレス化により、主力のファイル市場の縮小が見込まれています。そのため、新規商品の開発および文具事務用品事業におけるキングファイル、テプラと並ぶ第3の柱の構築のための新規事業と次世代商品の開発に積極的に投資をしてまいりますが、これら全ての開発投資によって常に十分な成果を得られるとは限らず、その結果によっては当社グループの業績に影響を与える可能性があります。なお、商品開発においては、新しい生活様式等の市場ニーズを捉えるとともに、プラスチック廃棄物等の環境問題にも配慮してまいります。

 

(2) 知的財産の保護

当社グループは、第三者の知的財産権を侵害しないように、また当社グループの知的財産権が第三者に侵害されないように、知的財産権保護のための体制を整備しております。しかし、第三者から知的財産権の侵害を理由とする訴訟が提起されたり、第三者から知的財産権の侵害をうけたりする可能性もあります。このような事態は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(3) 製造物責任

当社グループは、定められた品質管理基準に従って管理体制を確立し実施しております。しかし、予期せぬ欠陥が生じ顧客に損害が発生した場合には、顧客の信頼を喪失する可能性があり、また、製造物責任保険に加入しておりますが、保険で賠償額をカバーできない可能性もあるため、このような事態が生じた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(4) 海外情勢

当社グループの製品は、主に海外で生産を行っております。調達先については特定の国や地域に集中せず分散化を図っておりますが、海外における経済情勢の変動や政治情勢の変動、戦争やテロ、新型コロナウイルス感染拡大防止のためのロックダウンによる操業禁止などにより、部品の調達や製造が困難になり、当社グループ製品の安定的供給に支障をきたし、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、海外の販売において、コロナウイルス感染拡大度合い、ワクチン接種進捗度合いが各国において違うことにより、営業活動に引き続き支障が発生したり、経済復調の程度に差があることから、東南アジア圏における販売状況は依然芳しくないことが予想されます。

 

(5) 自然災害

当社グループは、国内海外問わず、地震、台風等大規模な災害が発生した場合に備え緊急時の対応を整備しておりますが、想定範囲を超えた自然災害が発生した場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、これらの復旧にも多大の費用を要する可能性があります。

 

(6) 為替変動

当社グループは、製品および原材料等の輸出入において、一部外貨建取引を行っております。また、外貨建債権債務を保有しております。為替変動のリスクを軽減するため、為替予約取引等を行っておりますが、大幅な為替変動は当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(7) たな卸資産

当社グループでは、需要予測に基づいた生産計画等を行い、適切な在庫管理に努めています。しかしながら、市場環境の変化や販売見込みの相違により、販売実績が当初の予測を大きく下回る結果となる場合もあります。陳腐化等による価値の大幅な減少や、収益性低下により、正味売却価額が取得原価よりも下落した場合、たな卸資産の評価損を計上することとなり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(8) M&A

当社グループは、M&Aを事業拡大の一つの手段と考えて、当社グループの成長戦略に十分貢献することが出来る案件、当社の既存ビジネスとのシナジー効果が期待できる案件を中心に鋭意検討しております。M&Aにあたっては、対象企業の主力商品および事業の競争力、強みと弱み、財務内容、契約関係、特許等の訴訟関係等について詳細な事前調査を行い、決定しております。しかしながら、事前調査で把握できなかった偶発債務や未認識債務等が存在した場合や、市場環境の変化等により事業の展開が計画通りに進まなかった場合には、対象企業の投資価値の減損処理を行う等、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(9) 情報セキュリティ

当社グループは、重要な情報の紛失、個人情報・機密情報漏洩等の防止の為、情報セキュリティ対策として、アンチウイルスソフトの導入および情報セキュリティのための社員教育・啓蒙活動を実施しております。しかしながら、外部からのサーバー攻撃や不正アクセス、ソフトウェアや情報機器の欠陥によって、内部情報の流出、改ざん等のリスクがあります。このような事象が発生した場合、事業活動に支障をきたし、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(10) 新型コロナウイルス感染症

当社グループでは、お客様や従業員の安全を最優先とし、テレワークの推進、時差勤務の推奨、WEB会議の積極的な活用、手指消毒の徹底やソーシャルディスタンスの確保等の感染予防策を取りながら事業運営を行っております。ワクチンの職域接種も実施しております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響が長期化、深刻化した場合、国内外サプライチェーンの停滞、経済情勢の低迷によって、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による国内外の経済活動の縮小により景気は急速に悪化し、極めて厳しい状況となりました。                
 このような状況のもと、当社は継続して感染予防策をとることでお客様や従業員の安全を図りつつ、販売活動においても、感染予防対策強化に貢献できるように衛生用品の新製品投入と販売強化に努めてまいりました。

この結果、当社において、自動手指消毒器の「テッテ」「アルサット」等の売上が伸長したほか、㈱ぼん家具や㈱ラドンナにおいて、巣ごもり需要により売上が好調に推移し、さらに、ウインセス㈱を連結の範囲に含めたことにより、当連結会計年度の業績につきましては、売上高は 363億1,907万円(前連結会計年度比 8.6%増)となりました。利益面では、売上高の増加に加え、売上原価率の低下、テレワークの推進による出張費ほか固定費の削減の一方で、運賃の増加やテレビCMの実施によって販管費は増加しましたが、売上高の増加により販管費率は改善し、営業利益は 24億1,680万円(前連結会計年度比 96.1%増)、経常利益は 27億5,545万円(前連結会計年度比 85.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は 19億6,334万円(前連結会計年度比 81.5%増)となりました。

 

セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。

・文具事務用品事業 

電子製品におきましては、衛生用品の販売強化として、販売好調な自動手指消毒器「テッテ」TE500の拡販を図ると共に、新たに大容量タイプとなるTE1000を発売し、6月にはテレビCMを実施いたしました。その他、ファイルで使用している素材を活用した「クリアーパーティション」や「フェイスシールド」各種、「マスクケース」等、感染症対策としてご活用いただける製品を発売し、拡販いたしました。主力の「テプラ」では、「テプラ」PRO初のスマートフォン専用モデルSR-MK1を発売いたしました。その他、“手書き”の良さを追求したデジタルノート「フリーノ」、環境騒音を低減する「デジタル耳せん」の完全ワイヤレス型MM3000等を発売いたしました。生活環境改善用品では、家庭での快適な生活をサポートする新ブランド「SPOT(スポット)」シリーズとして「ツールスタンド」と「スタックバスケット」や、人を感知すると音声が自動再生される「お知らせボイス」を発売いたしました。

ステーショナリーにおきましては、近年、女性をメインターゲットとした文具が注目を集めており、当社においても透明フィルム素材のマスキングテープ「SODA」や先端をフタマタにしたことで自立する「フタマタフセン」、手帳の立体的なデコレーションができる「ポップアップシール」、トレンドのニュアンスカラーを取り入れたファイルシリーズ「EMILy(エミリー)」等を発売いたしました。これらの製品は、大手販売店様の店頭でメイン陳列を行ってもらうなど多くの女性にPRできるように取り組んでまいりました。ウインセス㈱では、クリーンルーム用手袋の増産に注力し、半導体、製薬業界向けの商品を中心に拡販してまいりました。

この結果、電子製品の売上高が「テッテ」を中心に好調であり、また、ウインセス㈱が加わったこともあり、売上高は 276億9,037万円(前連結会計年度比 3.6%増)、営業利益は、売上原価率と販売費及び一般管理費率が前年同期に比べて減少したため、16億2,925万円(前連結会計年度比 33.9%増)となりました。

・インテリアライフスタイル事業

㈱ぼん家具では、巣ごもり需要やテレワーク需要の増加に応じて、収納用品やデスク・チェア用品を中心に拡販してまいりました。㈱ラドンナでは、今期集中的に取り組んだ家電量販店及びEC店舗の販路拡大により、更なる巣ごもり需要の高まりを捉えデジタル雑貨売上が続伸いたしました。キッチン家電に加え、2月に発売したオートソープディスペンサーも売上に寄与いたしました。㈱アスカ商会では、オフィス装飾需要に対応したグリーン・人工観葉商品の充実を図り、拡販してまいりました。

この結果、㈱ぼん家具や㈱ラドンナが巣ごもり需要によって売上高が好調であったため、売上高は 86億2,869万円(前連結会計年度比 28.4%増)、営業利益は売上高の大幅な増加と各種コスト削減努力により7億6,277万円(前連結会計年度は 474万円の営業損失)となりました。

 

 

また、財政状態の状況については、次のとおりであります。

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比較して 25億1,368万円増加し、305億6,523万円となりました。これは主に、関係会社株式が減少した一方で、現金及び預金や投資有価証券、商品及び製品の増加等によるものであります。

負債は、前連結会計年度末と比較して3億586万円増加し、64億4,705万円となりました。これは主に、未払法人税等や未払金が増加したこと等によるものであります。

純資産は、前連結会計年度末と比較して 22億782万円増加し、241億1,818万円となりました。これは主に、利益剰余金やその他有価証券評価差額金が増加したこと等によるものであります。

 

  ② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して 16億2,225万円増加し、70億3,292万円(前連結会計年度比 30.0%増)となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べ 11億1,831万円増加し、31億800万円となりました。これは主に、法人税等の支払額5億3,377万円やたな卸資産の増加額1億8,409万円等があった一方、税金等調整前当期純利益 27億1,873万円や減価償却費6億2,862万円等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ8億6,529万円減少し、4億9,208万円となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入4億6,067万円や保険積立金の解約による収入 9,466万円等による収入があった一方、定期預金の預入による支出6億48万円や有形固定資産の取得による支出2億9,695万円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、13億8,233万円(前連結会計年度は4億5,680万円の資金獲得)となりました。これは主に、配当金の支払額4億8,378万円や短期借入金の純減額8億5,000万円等によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

イ.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。なお、文具事務用品のみ生産活動を行っております。

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

文具事務用品事業

電子製品

18,794,534

108.4

ステーショナリー

9,850,949

90.3

合計

28,645,484

101.4

 

(注) 金額は標準出荷価格(消費税等抜き価格)で表示しております。

 

ロ.受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

文具事務用品事業
 ステーショナリー

1,209,150

84.3

17,016

91.8

 

(注)1.当社および連結子会社においては、大部分は見込生産であり、特注品のみ受注生産であります。

2.受注実績は、消費税等抜きで記載しております。

 

 

ハ.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

文具事務用品事業

電子製品

17,642,085

111.8

ステーショナリー

10,048,290

91.7

文具事務用品事業計

27,690,375

103.6

インテリアライフスタイル事業

8,628,695

128.4

合計

36,319,071

108.6

 

(注)1.販売実績は、消費税等抜きで記載しております。

2.主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

アスクル㈱

5,891,617

17.6

5,377,957

14.8

エコール流通グループ㈱

4,807,629

14.4

4,877,286

13.4

 

 

 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

  ① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 イ.売上高

「第2[事業の状況] 3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]   (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。

 ロ.売上原価、販売費及び一般管理費

当連結会計年度の売上原価につきましては、売上原価率は 60.2%となり、前連結会計年度の売上原価率 61.4%より 1.2ポイントの低下となりました。

販売費及び一般管理費につきましては、売上高の増加により売上高に対する割合は 33.1%となり、前連結会計年度の 34.9%より 1.8ポイントの低下となりました。

 ハ.営業利益

当連結会計年度の営業利益につきましては、売上高の増加と売上原価率の減少により 24億1,680万円(前連結会計年度比 96.1%増)となりました。

 ニ.親会社株主に帰属する当期純利益

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、 19億6,334万円(前連結会計年度比 81.5%増)となりました。

 

  ② 経営成績に重要な影響を与える要因について

    「第2[事業の状況] 2[事業等のリスク]」をご参照ください。

 

  ③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源および資金の流動性に係る情報

 イ.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

「第2[事業の状況] 3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 ロ.資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの主な資金需要は、原材料調達や製品の製造費用、商品仕入費用、販売費及び一般管理費等の運転資金、企業価値向上を目的とした各種設備投資資金、また、事業拡大の一つの手段として実施しているM&Aのための資金等であります。これらは、自己資金、借入金により調達しております。

 

  ④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。

詳細につきましては、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等]連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」をご参照ください。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りのうち、特に重要なものは以下のとおりであります。

なお、新型コロナウイルス感染症による今後の影響等を含む仮定に関する情報は、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等]追加情報」に記載しております。

 

(たな卸資産)

「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等]重要な会計上の見積り」をご参照ください。

 

(固定資産の減損)

当社グループは、原則として継続的に収支の把握を行っている管理会計上の区分を考慮し資産のグルーピングを行い、遊休資産については個別に資産のグルーピングを行っております。固定資産のうち減損の兆候がある資産または資産グループについて、この検討は一定の仮定に基づき見積もった割引前将来キャッシュ・フロー等を基に行っております。対象となる資産または資産グループの帳簿価額に減損が生じていると判断した場合、その帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上します。

減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては、将来キャッシュ・フロー等の見積りやその前提となる仮定を用いており、今後、経営環境等の変化により前提条件や仮定に変動が生じた場合には、固定資産の減損処理に影響を及ぼす可能性があります。

 

(繰延税金資産の回収可能性)

繰延税金資産については、将来の利益計画に基づく課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断した上で計上しております。市場環境の変化等により、課税所得の見積額が減少した場合は、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。

 

    ⑤ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

  当連結会計年度を最終年度とした第9次中期経営計画の達成状況は以下のとおりであります。

 

2021年6月期

2021年6月期

2021年6月期

当初計画

修正計画

実績

売上高(百万円)

        38,000

        35,000

        36,319

営業利益(百万円)

         2,100

         1,270

         2,416

経常利益(百万円)

         2,300

         1,490

         2,755

親会社株主に帰属する当期純利益(百万円)

         1,600

         1,030

         1,963

自己資本当期純利益率(ROE)(%)

           7.0

           4.7

           8.6

 

 また、当社グループは、2024年6月期を最終年度とする第10次中期経営計画を策定いたしました。「成長分野への注力」と「基盤事業のさらなる強化」の方針に基づき、売上高 480億円、経常利益 34億円、経常利益率 7.0%、自己資本当期純利益率(ROE) 9.0%を目標としております。

 

 なお、経営者の問題認識、今後の方針については、「第2[事業の状況] 1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等] (4)会社の中長期的な経営戦略と対処すべき課題」をご参照ください。

 

4 【経営上の重要な契約等】

契約会社名

相手方の名称

国名

契約品目

契約

締結日

契約内容

契約期間

㈱キングジム

ブラザー工業株式会社

日本

ラベルライター等

2016年

12月6日

特許実施許諾

2016年12月21日から

2021年12月31日まで

 

(注) 上記については対価として売上高の一定率の特許実施許諾料を支払っております。

 

 

5 【研究開発活動】

当連結会計年度の研究開発活動につきましては、コロナ禍における「新しい生活様式」に対応した商品、トレンドを取り入れたシリーズ商品や機能性・デザイン性に優れた商品のラインアップ強化などを行い、当連結会計年度は研究開発活動に対して総額 532,713千円を投入しました。

当連結会計年度中の主な新製品開発の成果は、次のとおりであります。

 

(1) 文具事務用品事業

① 電子製品

電子製品の研究活動は、ラベルライター「テプラ」事業につきましては、安定した需要の維持に加え、様々な使用シーンを提案することで用途の幅を広げ、さらなる売上の獲得に努めております。また、デジタル文具事業、オフィス環境改善用品事業につきましても、他社にはない独創的な商品を積極的に投入することで、新しい需要の創出に努めております。

ラベルライター関連では、専用アプリ「Hello」でラベルを作成するスマートフォン専用「テプラ」PRO“MARK” SR-MK1を開発いたしました。身近なスマートフォンで簡単にラベル作成ができる新しいスタイルで、新規ユーザー獲得に努めます。

デジタル文具では、A6サイズのコンパクトな電子メモパッド「ブギーボード」BB-14を開発いたしました。あわせて「ブギーボード」専用アプリ「Boogie Board SCAN」を開発し、無料配信を開始しました。

オフィス環境改善用品では、人感センサーで人を感知し、必要なメッセージを音声で伝える音声案内端末「お知らせボイス」を開発いたしました。

衛生用品では、手をかざすだけで自動でアルコール消毒液が噴射される自動手指消毒器「テッテ」で2019年2月に発売した容量0.5リットルのTE500に追加して容量1リットルのTE1000を開発いたしました。さらに除菌作用のある紫外線(UV-C)の照射によって、中に入れた物を除菌する「UV除菌ケース」の他、「各種パーティション」「マスク」「マスクケース」「フェイスシールド」などコロナ禍における感染拡大予防に関連する商品を開発いたしました。

ウインセス㈱ではタッチパネル対応の礼装用手袋やクリーン耐熱手袋を開発いたしました。

② ステーショナリー

ステーショナリーの研究活動は、働く女性をターゲットとし、大人かわいいニュアンスカラーを取り入れたファイルシリーズ「EMILy(エミリー)」、流行の蛍光PVC素材を使用した、ポップなカラーリングと透明感が楽しめるステーショナリーシリーズ「CHEERS!(チアーズ)」を開発いたしました。

また、レジ袋有料化を受け、芯材入りで素早くパタパタ開閉できるタイプと薄くて財布に入る紙幣サイズタイプの2種類のエコバッグ「パッタン コンビニエコバッグ」を開発いたしました。

女子文具につきましては、シリーズブランド「HITOTOKI(ヒトトキ)」のラインアップ拡充を行いました。人気の「KITTA」では初の透明タイプである「KITTA Clear」やダイカット、ホログラム箔、蛍光インクなどテープの仕様にこだわった「KITTA SPECIAL」、貼って剥がせる透明マスキングテープ「SODA」、立体的な見た目を楽しめる貼って剥がせるデコレーションシール「ポップアップシール」を開発いたしました。

さらに、新たな需要獲得のため、新しい分野にも積極的に取り組んでおり、先端がフタマタに分かれて貼り付けると自立する「フタマタフセン」や家庭での快適な生活をサポートする新ブランド「SPOT(スポット)」シリーズとして、レシートやはがきなどの紙類を収納でき、冷蔵庫などに吸盤で貼り付けられる「ハルファイル」を開発いたしました。

 

 文具事務用品事業に係る研究開発費は 495,162千円であります。

 

(2) インテリアライフスタイル事業

インテリアライフスタイル事業の研究活動は、㈱ぼん家具では、主力商品の収納商品について、キッチン、ランドリー、リビングなどシチュエーション別に企画開発し、ラインアップの拡充を図りました。㈱ラドンナでは、夏向け季節商材として「電動ふわふわかき氷器」「きらきら流しそうめん器」「ネックファン」などを企画開発いたしました。㈱アスカ商会では、人気のドライフラワー商品の企画開発を行い、ラインアップの拡充を図りました。

 

 インテリアライフスタイル事業に係る研究開発費は 37,551千円であります。