独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書

 

 

 

 

 

2024年6月20日

ヤスハラケミカル株式会社

 

 

 

 

 

取締役会

御中

 

 

 

有限責任監査法人トーマツ

 

 

広  島  事  務  所

 

 

 

指定有限責任社員

業務執行社員

 

公認会計士

宮本 芳樹

 

 

指定有限責任社員

業務執行社員

 

公認会計士

吉田 秀敏

 

 

 

 

 

<財務諸表監査>

監査意見

 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられているヤスハラケミカル株式会社の2023年4月1日から2024年3月31日までの第66期事業年度の財務諸表、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、キャッシュ・フロー計算書、重要な会計方針、その他の注記及び附属明細表について監査を行った。

 当監査法人は、上記の財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、ヤスハラケミカル株式会社の2024年3月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する事業年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

 

監査意見の根拠

 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

 

監査上の主要な検討事項

 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。

 

 

 

棚卸資産の評価

監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由

監査上の対応

会社は、天然由来のテルペン類を主要原材料とする化学品メーカーである。会社の業績は、テルペン類の価格変動により大きく影響を受けるが、テルペン類の全量を輸入に頼っており、国際市況や為替相場による価格変動リスクが存在することから、相当量のテルペン類を備蓄することが、経営上の重要な課題である。そこで、会社は、国際市況等を精査して価格や備蓄量を勘案しながら最適な調達を行うことを基本方針としている。

2024年3月末時点における棚卸資産残高は11,381百万円、うち原材料残高は6,678百万円となり、棚卸資産が総資産の42%、うち原材料が総資産の25%を占めている。

原材料価格・エネルギー価格の高騰、円安の進行などにより棚卸資産の評価単価が上昇する局面において、他社製品との競合等から、当該上昇分を販売価格に転嫁できない場合は、収益性が悪化し、棚卸資産の評価減が生じる可能性が高まる。なお、当事業年度において棚卸資産評価損を38百万円計上している。

【注記事項】(重要な会計上の見積り)1.棚卸資産の評価に記載のとおり、会社は、直近月の販売単価から、見積販売直接経費及び見積追加製造原価を控除した金額を正味売却価額と見積もっており、当該正味売却価額が製品、仕掛品、原材料それぞれの単価よりも下落しているものについて、その差額を当事業年度の費用として処理している。これらの正味売却価額の見積りに用いた仮定には不確実性がある。

 棚卸資産残高は、会社の業績に大きく影響を与える重要な項目であり、総資産に占める割合も大きく、棚卸資産の評価が適切になされなかった場合、財務諸表へ重要な影響を及ぼすことになる。以上から、棚卸資産の評価を監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。

 当監査法人は、棚卸資産の評価を検討するに当たり、主として以下の監査手続を実施した。

・棚卸資産の評価に関連する内部統制の理解

棚卸資産の評価に関連する内部統制を理解した。特に、正味売却価額の見積りに関する統制に焦点を当てた。

・棚卸資産評価資料の正確性の検討

正味売却価額算定の基礎となっている販売平均単価について、販売実績データと整合しているかどうか検討した。

 また、見積販売直接経費及び見積追加製造原価について、実績原価と整合しているかどうか検討した。

・対象資産の網羅性の検討

棚卸資産の評価減の要否について、保有する棚卸資産が網羅的に検討対象とされているかどうか棚卸資産明細と照合した。

・正味売却価額の見積りの遡及的検討

過年度における正味売却価額の見積りとその後の販売価額及び実績製造原価とを比較し、差異原因について検討した。

・棚卸資産評価損の計上額の検討

棚卸資産評価損の計上額について、棚卸資産評価資料と照合した。

 

 

 

 

固定資産の評価

監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由

監査上の対応

会社は、「テルペン化学製品事業」、「ホットメルト接着剤事業」及び「ラミネート品事業」という複数の事業を行う化学品メーカーである。

会社が関係する粘着・接着・香料・電子材料・ラミネート業界においては、継続的な原材料価格やエネルギー価格の高騰による製品コストの上昇、製品の価格競争等により、厳しい経営環境が続いている。

このような経営環境のなか会社は、【注記事項】(損益計算書関係)減損損失に記載のとおり、2023年8月に行ったホットメルト生産拠点の鵜飼工場への統合後の期間において原材料価格高騰の長期化に加え、ホットメルト事業の主力市場が大きく停滞した結果、ホットメルト事業における生産設備等について619百万円の減損損失を特別損失に計上している。

また、【注記事項】(重要な会計上の見積り)2.固定資産の評価に記載のとおり、会社は、当事業年度において、有形固定資産を4,868百万円、無形固定資産を317百万円計上している。

会社は、継続的に収支の把握を行っている管理会計上の区分(工場単位・事業セグメント単位)で資産をグルーピングし、減損の兆候の判定を行い、減損の兆候を識別した場合、割引前将来キャッシュ・フローを見積り、割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額している。

割引前将来キャッシュ・フローの見積りの基礎となる事業計画においては、資源価格上昇に伴う原材料価格の上昇が売上総利益率に影響を及ぼす可能性があるが、会社は原材料価格の上昇を一定程度販売価格に転嫁できるものと仮定しており、こうした仮定には不確実性がある。

固定資産残高は、会社の業績に大きく影響を与える重要な項目であり、総資産に占める割合も大きく、固定資産の減損が適切になされなかった場合、財務諸表へ重要な影響を及ぼすことになる。以上から、固定資産の評価を監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。

当監査法人は、固定資産の評価を検討するに当たり、主として以下の監査手続を実施した。

・固定資産の評価に関連する内部統制の理解

固定資産の評価に関連する内部統制を理解した。特に、管理会計上の区分における収支の把握と、事業計画に関する統制に焦点を当てた。

・固定資産の減損検討資料の正確性の検討

固定資産の減損判定の基礎となっている工場単位または事業セグメント単位の収支の集計について、販売実績データと整合しているかどうか、工場単位または事業セグメント単位に配賦すべき販売費及び一般管理費が、関与先の方針に従って配賦されているかどうか検討した。

・事業計画の妥当性の検討

過年度の事業計画と実績値を比較し、経営者の見積りの信頼性の程度や不確実性の程度を検討した。当事業年度において減損損失を計上したホットメルト事業を含め、事業計画における海外マーケットに関する予測、原材料価格の高騰の製品価格への転嫁などの重要な仮定の妥当性について経営者等への質問を実施して検討した。

・減損損失の計上額の検討

正味売却価額の基礎となった不動産鑑定評価額については、当監査法人の不動産評価の専門家を関与させ、不動産鑑定評価書の閲覧及び不動産鑑定評価額の前提条件や採用した評価手法、評価額決定に至る判断過程を把握するとともに、公的評価水準、周辺の取引事例水準等の利用可能な外部データとの比較に基づき、会社が利用した外部の不動産鑑定士による不動産鑑定評価額の妥当性について検討した。

 

その他の記載内容

 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、財務諸表及びその監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査等委員会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

 当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。

 財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。

 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。

 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。

 

財務諸表に対する経営者及び監査等委員会の責任

 経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。

 財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。

 監査等委員会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

 

財務諸表監査における監査人の責任

 監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。

 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。

・ 財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。

・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。

・ 経営者が継続企業を前提として財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する財務諸表の注記事項が適切でない場合は、財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。

・ 財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた財務諸表の表示、構成及び内容、並びに財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。

監査人は、監査等委員会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

監査人は、監査等委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。

監査人は、監査等委員会と協議した事項のうち、当事業年度の財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。

 

<内部統制監査>

監査意見

当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第2項の規定に基づく監査証明を行うため、ヤスハラケミカル株式会社の2024年3月31日現在の内部統制報告書について監査を行った。

当監査法人は、ヤスハラケミカル株式会社が2024年3月31日現在の財務報告に係る内部統制は有効であると表示した上記の内部統制報告書が、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して、財務報告に係る内部統制の評価結果について、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

 

監査意見の根拠

当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に準拠して内部統制監査を行った。財務報告に係る内部統制の監査の基準における当監査法人の責任は、「内部統制監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

 

内部統制報告書に対する経営者及び監査等委員会の責任

経営者の責任は、財務報告に係る内部統制を整備及び運用し、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して内部統制報告書を作成し適正に表示することにある。

監査等委員会の責任は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用状況を監視、検証することにある。

なお、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性がある。

 

内部統制監査における監査人の責任

監査人の責任は、監査人が実施した内部統制監査に基づいて、内部統制報告書に重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、内部統制監査報告書において独立の立場から内部統制報告書に対する意見を表明することにある。

監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果について監査証拠を入手するための監査手続を実施する。内部統制監査の監査手続は、監査人の判断により、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性に基づいて選択及び適用される。

・ 財務報告に係る内部統制の評価範囲、評価手続及び評価結果について経営者が行った記載を含め、全体としての内部統制報告書の表示を検討する。

・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人は、内部統制報告書の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。

監査人は、監査等委員会に対して、計画した内部統制監査の範囲とその実施時期、内部統制監査の実施結果、識別した内部統制の開示すべき重要な不備、その是正結果、及び内部統制の監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

監査人は、監査等委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。

 

<報酬関連情報>

当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等(3)【監査の状況】に記載されている。

 

利害関係

会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。

以 上

 

 

(注)1.上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。

2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。

 

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