第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当第1四半期連結累計期間において、新たに事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績の状況

 当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、令和5年5月に新型コロナウイルス感染症(以下、「COVID-19」)の感染症法上の位置付けが第5類に移行し、感染予防のための行動制限が緩和されるなど経済活動に正常化が進んだものの、ウクライナ情勢の長期化等の地政学的リスク、為替変動及び物価上昇等が及ぼす景況感への懸念が残る不透明な状況が続いております。

 当社グループを取り巻く経営環境は、COVID-19関連検査の受託数が第8波以降大幅に減少している状況にあります。また、感染を懸念した患者の医療機関への受診控えは解消傾向にあるものの、COVID-19関連検査以外の受託検体検査数および調剤薬局の処方箋枚数は弱含みで推移しております。

 このような事業環境のもと、当社グループは、イノベーションを通して、人々の健康を支え、幸せでいい人生を送っていただける土台となることを目指し、新たな収益の柱の確立、ICTを活用し環境に配慮した事業構造への変革、人財育成、地域社会への貢献等、サステナビリティ経営に取り組んでまいりました。

 当第1四半期連結累計期間においては、COVID-19関連検査の大幅な減少及び薬価改定の影響により、売上高は10,638百万円(前年同期比8.0%減)、営業利益は249百万円(同63.3%減)、経常利益は303百万円(同60.6%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は124百万円(同71.9%減)となりました。

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 なお、ICT事業については、令和4年7月に株式会社メディサージュを立ち上げ、診療所向けクラウド型サービス「レセスタ」(※1)及びクラウド型電子カルテ「HAYATE/NEO」の販売及び普及が進展し、当社グループの新たな収益の柱として重要度が増したことから、従来の臨床検査事業からセグメントを分離しております。これに伴い当第1四半期連結会計期間から報告セグメントの区分を変更し、以下の前年同期比較については、前年同四半期の数値を変更後のセグメントに組み替えた数値で比較分析をしております。

(※1)レセプト情報を基にした適正な診療・医事業務支援サービス。

① 臨床検査事業

 臨床検査事業においては、COVID-19関連検査の売上は受託検査数が大幅に減少したことにより前年同期を著しく下回りました。一方、関連検査以外の検査につきましては、引き続き大都市圏を重点地域とした新規顧客の獲得に努めましたが、受託検査数は感染拡大前の水準には至りませんでした。

 体外診断用医薬品「MSI検査キット(FALCO)」(※2)につきましては、リンチ症候群診断補助における対象がん種の拡大が承認され、堅調に販売が推移しました。

(※2)キイトルーダ®(一般名:ペムブロリズマブ)の固形がん患者への適応判定、オプジーボ®(一般名:ニボルマブ)の結腸・直腸がん患者への適応判定、切除可能大腸がんにおける術後補助化学療法の選択及びリンチ症候群の診断の補助に用いる体外診断用医薬品の名称です。平成30年に世界で初めてのがん種横断的なコンパニオン診断薬として薬事承認を取得いたしました。令和3年8月には「治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸癌」に対するキイトルーダ®の適応判定補助に新たに保険適用される等、さらなる適応拡大を進めつつ、次世代がんゲノム医療の進展に寄与すべく販売強化に取り組んでおります。

 また、引き続き臨床検査の依頼・集配及び検査、報告の各過程をICT化すること等による抜本的な事業構造の改革を進め、顧客サービスの向上、環境負荷の低減に努めてまいりました。

 その結果、臨床検査事業の売上高は6,560百万円(前年同期比13.4%減)、営業利益は348百万円(同59.3%減)となりました。

 

② 調剤薬局事業

 調剤薬局事業においては、COVID-19による受診控えは緩和され、処方箋応需枚数は微増となりましたが、薬価改定の影響により処方箋単価は低下しました。調剤薬局店舗数は当第1四半期連結累計期間に2店舗閉局したことにより、当第1四半期連結会計期間末において当社グループが運営する調剤薬局等店舗総数は109店舗(フランチャイズ店7店舗含む)となっております。当社グループでは、かかりつけ薬剤師・薬局として求められる役割・機能を果たすとともに、高齢者施設及び在宅を中心とした地域医療との連携を進め、堅実な店舗の運営、既存店舗の処方箋応需の拡大に取り組んでまいりました。

 このような結果、売上高は3,887百万円(前年同期比0.1%減)、営業利益は55百万円(同691.7%増)となりました。

③ ICT事業

 ICT事業については、診療所向けクラウド型サービス「レセスタ」は順調に契約数を伸ばし、クラウド型電子カルテ「HAYATE/NEO」につきましても引き続き販売強化に努め、受注数を積上げました。

 その結果、ICT事業の売上高は190百万円(前年同期比85.7%増)、営業損失は8百万円となりました。

 

(2) 財政状態の状況

 当第1四半期連結会計期間末の財政状態につきましては、主に長期借入金の返済及び投資有価証券の取得により現金及び預金は減少しました。

 その結果、総資産は前連結会計年度末に比べ1,773百万円減少し、37,119百万円となりました。負債は、前連結会計年度末に比べ1,144百万円減少し、11,156百万円となりました。

 また、純資産は、主に配当金の支払いにより、前連結会計年度末に比べ628百万円減少し、25,963百万円となりました。

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(4) 研究開発活動

 該当事項はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

(資本業務提携契約に基づくBML株式に係る合意書の締結)

 当社は令和5年5月12日開催の取締役会において、令和5年3月10日付で株式会社ビー・エム・エル(以下「BML」といいます。)との間で締結した資本業務提携契約に基づき、資本業務提携関係を強化するため、当社がBML株式を取得することの合意書を両社の間で締結し、令和5年6月20日に本取得を完了しました。