当第1四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、エネルギー価格の高騰や円安の悪影響を受けたものの緩やかな回復基調となりました。宿泊・飲食サービス業においては国内旅行とインバウンド需要の急回復により景況感が大きく改善しましたが、それ以外の業種には大きな変化は見られず推移しました。
産業界では、経営環境の先行きを見据えながら、事業成長のための重要戦略としてDX推進が位置付けられ取り組みが進んでいます。IT投資の内容は、従来型の効率化投資からビジネスモデルの変革を目的としたバリューアップ投資へと急速にシフトしています。
現在、当社では中期経営計画(2021年度~2023年度)の下、事業構造改革として「サービスシフト」に取り組んでおり、「クラウドサービス」事業を拡大させています。この「サービスシフト」の取り組みは、お客様が必要なサービスを必要なタイミングで必要な分だけ利用することを可能にし、利便性の向上につながります。そして、同時に、これは当社とお客様とのつながり方を変えることになります。当社としては、このつながり方の変化を活かしたカスタマーサクセス活動により、お客様との間で長期的かつ深い関係を構築し、顧客価値の最大化を図っています。
そして、この「サービスシフト」の推進力が、これまで培ってきた「データマネジメント」「サービスマネジメント」「プロセスマネジメント」の3つの「ITマネジメント力」に関する技術とノウハウの強みです。現在、当社では、これらの強みをお客様の課題解決のためのサービス開発に活かし、成長施策を推進しています。
当四半期の「サービスシフト」に基づく実績は、以下のようなものです。
■複数のアプリを自動で連携し、バックオフィスのDXを加速させる自動化ツール「bindit」のサービス提供を開始
DXや働き方改革の推進により、業務アプリケーションのクラウド化やSaaS利用が進んだ結果、担当者が利用する業務アプリケーションの数が増え、混在化してきています。そのため、前工程と後工程の業務を連携しようとすれば、手動作業が発生し、業務の生産性低下につながっています。「bindit(バインドイット)」は、このような課題を解決するために、当社が長年提供してきたIT部門向けの自動化製品に関するノウハウを活用し、バックオフィス向けクラウド間業務フロー自動化サービスとして開発しました。
■東京海上ディーアール社が提供する「Chainable」のコミュニケーション基盤に「CommuRing」が採用
当社が提供するコラボレーションツール「CommuRing(コミュリング)」が、東京海上ディーアール株式会社の提供するサプライチェーンコミュニケーションサービス「Chainable(チェイナブル)」のコミュニケーション基盤のベースに採用されました。同社では、これまでも防災・減災のための機能を提供してきましたが、コミュニケーション機能を強化し、ユーザーの利便性を高めるため実績のある「CommuRing」が採用されました。
■リコージャパン社が提供する法務支援クラウドサービス「RICOH Contract Workflow Service」のカスタマーサクセスの基盤として「Growwwing」が採用
「RICOH Contract Workflow Service」は、企業間の契約業務のやり取りから契約書管理までの一連の業務プロセスをDXするサブスク型のクラウドサービスです。同社では、フォローアップ等のカスタマーサポートには長けているものの、カスタマーサクセスにつながるフォローは十分ではないという課題がありました。当社が提供する「Growwwing(グローウィング)」の採用により、カスタマーサクセスにつながる顧客情報の一元管理が実現しました。
■当社グループの社会課題解決事業「EBPM-Support for 公共交通」が、JISA Awards 2023 ファイナリストに選出
当社とグループ会社で交通系IoTサービスを提供する株式会社ユニ・トランドは、共同で社会課題解決事業の「EBPM-Support for 公共交通」を手掛けています。一般社団法人 情報サービス産業協会(JISA)が開催する「JISA Awards 2023」におけるこの度の選出は、本事業を通じ、地方の公共交通網における様々な課題解決に向け、データ分析に基づく公共交通システムの持続的運営に向けた再構築支援への取り組みが評価されたものです。
<当四半期業績>
当第1四半期連結累計期間の業績は、プロダクトサービス、クラウドサービス、プロフェッショナルサービスの3セグメントともに概ね計画通りに推移し、売上高29億14百万円(前年同四半期比9.2%増)となりました。
利益面では、クラウドサービスの収益構造改善およびプロフェッショナルサービスの増収効果により営業利益2億24百万円(同59.8%増)、経常利益3億23百万円(同18.4%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益2億7百万円(同22.2%増)となりました。
<セグメント業績>
セグメントごとの業績は次のとおりです。
(百万円)
プロダクトサービス
自動化・帳票プロダクト事業においては、システム更改や再構築によるマイグレーションおよびクラウドリフトに対するニーズは引き続き底堅い状況です。また、インボイス制度や電子帳簿保存法に対応した「まるっと帳票クラウドサービス」の需要は拡大しており、受注が伸長しています。しかし、メインフレーム事業においては、キャッシュレス決済の増加等に伴うシステム増強需要が沈静化したことにより、セグメント全体では、減収減益となりました。
クラウドサービス
IT活用クラウド事業では、情報システム部門のサービスデスクや業務の生産性の向上を支援するサービス「LMIS(エルミス)」がアップセル案件やパートナーの運用ビジネスとの協業販売で好調に推移しました。また、企業の働き方改革が進む中、リモートワークを支える基盤機能を持つ「DigitalWorkforce(デジタルワークフォース)」は、ハイブリッドワーク環境下でのアクセス管理のニーズを受け、大型案件の受注につながりました。
事業推進クラウド事業では、アフターコロナでのリアル勤務への回帰や景気回復に伴う企業の人材不足などを受け、人材ビジネス向けの人事管理クラウドサービス「DigiSheet(デジシート)」が堅調に推移しました。また、企業間コミュニケーションを支援するサービス「CommuRing」も伸長し始め、この分野での顧客ニーズが顕在化されつつあります。
ソーシャルクラウド事業では、交通に関する課題を抱える自治体向けへの販売戦略を強化する中、アフターコロナの環境下において地域交通を持続可能な形で再構築するためのデータ収集、可視化、分析ニーズを受け、引き合いが増加しています。しかし、収益面の回復では課題を残しました。
なお、損益面では、当第1四半期の営業利益が前年同期比77百万円改善し、31百万円の損失となりました。
プロフェッショナルサービス
企業のDX推進において、データドリブン経営を実現するためのデータマネジメントや、バリューアップ投資として顧客視点でサービス事業を拡大するためのサービスマネジメントのニーズが顕在化しています。加えて、顧客層が情報システム部門から事業部門へと拡がる動きが本格化してきており、今後のマーケット拡大が見込まれます。このような中、コンサルティング事業では、これら分野における当社グループ企業の持つノウハウと実績が評価され、前期に引き続き受注が増加しました。
システムインテグレーション事業では、DX推進ニーズの高まりを受けたパートナー企業からの案件増加が継続していることに加え、グループの顧客基盤を活用した高付加価値案件の増加により収益性が向上しました。
アウトソーシング事業では、DX投資を背景としたシステム運用のアウトソーシング需要を捉え、引き続きシステム運用代行サービスが堅調に推移しました。
上記のような各事業の業況を受け、セグメント全体では増収増益となりました。
(脚注)
・サービスシフト
顧客の求める価値が商品そのものから、その商品を使うことで「どんな問題を解決できるか」や、さらには「どんな体験・感動を得られるか」へと移行する中、従来型のモノ自体の品質や機能の提供から、それを使用する局面、使用することで得られる価値をサービスとして提供することへと移行していくこと。
・アップセル
顧客の単価を向上させるための営業手法の一つで、現在ある商品を検討している顧客や以前商品を購入した顧客に対しより高額な上位モデルやサービスに乗り換えてもらうこと。一般的にアップセルの施策がうまくいくセグメントはプロダクトやサービス、または会社のブランド自体にロイヤルティ(信頼度・愛着)が高い顧客層だといわれている。
・マイグレーション
「移動、移住、移転」を意味する英語の「migration」が語源。IT分野では、ソフトウェアやハードウェア、システム、データ、開発言語などを別のプラットフォームに移行したり、新しいシステムに切り替えたりすることを意味する。たとえば、企業がコンピューターを買い替えたときや、合併するなどしてシステムを統合したときにマイグレーションが必要となる。
・カスタマーサクセス
「顧客が自社の課題を解決し、成功することを導く」サービスを指す。企業側から見たとき、“カスタマーサポート”がエンドユーザからの問い合わせに受動的に対応するサービスであるのに対し、“カスタマーサクセス”はエンドユーザのサービス利用状況に応じて能動的にアプローチする姿勢を指している。
(2) 財政状態の分析
(資産)
当第1四半期連結会計期間末(以下、当第1四半期末)における総資産は、前連結会計年度末(以下、前期末)と比較して3億60百万円増加し、154億95百万円となりました。これは主に現金及び預金が5億48百万円、投資有価証券が1億27百万円それぞれ増加した一方で、受取手形、売掛金及び契約資産が3億1百万円、ソフトウェアが48百万円それぞれ減少したことによるものです。
(負債)
負債は、前期末と比較して3億17百万円増加し、41億23百万円となりました。これは主に、前受収益が6億43百万円増加した一方で、買掛金が35百万円、賞与引当金が50百万円及び流動負債その他が1億81百万円それぞれ減少したことによるものです。
(純資産)
純資産は、前期末と比較して42百万円増加し、113億72百万円となりました。これは主に、その他有価証券評価差額金が88百万円増加した一方で、利益剰余金が48百万円減少したことによるものであります。利益剰余金については、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上により2億7百万円増加し、配当金の支払いにより2億56百万円減少しています。
この結果、当第1四半期末における自己資本比率は73.4%(前期末は74.9%)となりました。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費は89百万円であります。なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当第1四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。