1 【財務報告に係る内部統制の基本的枠組みに関する事項】

 代表取締役兼社長執行役員CEO山本正喜及び取締役兼執行役員CFO井上直樹は、当社の財務報告に係る内部統制の整備及び運用に責任を有しており、企業会計審議会の公表した「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の設定について(意見書)」に示されている内部統制の基本枠組みに準拠して財務報告に係る内部統制を整備及び運用しております。
 なお、内部統制は、内部統制の各基本要素が有機的に結びつき、一体となって機能することで、その目的を合理的な範囲で達成しようとするものであります。このため、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性があります。
 

2 【評価の範囲、基準日及び評価手続に関する事項】

 財務報告に係る内部統制の評価は、当事業年度の末日である2022年12月31日を基準日として行われており、評価に当たっては、一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠しております。
 本評価においては、連結ベースでの財務報告全体に重要な影響を及ぼす内部統制(全社的な内部統制)の評価を行った上で、その結果を踏まえて、評価対象とする業務プロセスを選定しております。当該業務プロセスの評価においては、選定された業務プロセスを分析した上で、財務報告の信頼性に重要な影響を及ぼす統制上の要点を識別し、当該統制上の要点について整備及び運用状況を評価することによって、内部統制の有効性に関する評価を行いました。
 財務報告に係る内部統制の評価の範囲は、当社グループについて、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性の観点から必要な範囲を決定しております。財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性は、金額的及び質的影響の重要性を考慮して決定しており、当社及び連結子会社の全社的な内部統制の評価結果を踏まえ、業務プロセスに係る内部統制の評価範囲を合理的に決定いたしました。
 業務プロセスに係る内部統制の評価範囲については、各事業拠点の売上高の金額が高い拠点から合算していき、連結売上高の概ね2/3に達している事業拠点を「重要な事業拠点」としました。選定した重要な事業拠点においては、企業の事業目的に大きく関わる勘定科目として売上高、売掛金、前受金及び売上原価に至る業務プロセスを評価の対象といたしました。さらに、選定した重要な事業拠点にかかわらず、それ以外の事業拠点をも含めた範囲について、重要な虚偽記載の発生可能性が高く、見積や予測を伴う重要な勘定科目に係る業務プロセスやリスクが大きい取引を行っている事業又は業務に係る業務プロセスを財務報告への影響を勘案して重要性の大きい業務プロセスとして評価対象に追加しております。
 

3 【評価結果に関する事項】

 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告の適正性に重要な影響を及ぼすものであり、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。したがって、当事業年度末日時点において、当社グループの財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。

 

 

 当社は、2023年12月期決算につきまして、有限責任監査法人トーマツによる財務諸表監査及び内部統制監査により適正意見を得て、2024年3月28日に有価証券報告書及び内部統制報告書を提出いたしました。また当社は、2024年12月期より新たにEY新日本有限責任監査法人による財務諸表監査及び内部統制監査を受けておりますが、2024年12月期第1四半期の四半期レビューの過程において、EY新日本有限責任監査法人より、当社連結子会社の株式会社kubellストレージ(旧Chatworkストレージテクノロジーズ株式会社)の株式取得時に識別した顧客関連資産について、2023年12月期決算において減損損失を計上すべきであったのではないかとの指摘を受けました。その後、有限責任監査法人トーマツとの確認を進める中で、訂正前の財務諸表等においては、顧客関連資産を同社の資産のグルーピングに含めずに減損損失の認識の判定を行っておりましたが、同社の固定資産の減損に係る会計基準の適用について改めて見直した結果、顧客関連資産を同社の資産のグルーピングに含めることが適切であり、且つ、同資産グループの主要な資産は、同社のビジネスの特性に鑑みてソフトウェアとすることが適切であると判断しました。その結果、減損損失の認識が識別され、減損損失の測定を行ったところ、顧客関連資産について全額減損処理する必要が生じたため、2024年5月15日に2023年12月期の有価証券報告書及び内部統制報告書について訂正報告書を提出いたしました。

 その後、2024年12月期第2四半期の決算作業の過程(自主点検)において、新たに当社連結子会社の株式会社kubellストレージ(旧Chatworkストレージテクノロジーズ株式会社)の株式取得時に識別した顧客関連資産の計上額に誤りがあった可能性を認識し、当時の会計処理の精査、当時の会計監査人であった有限責任監査法人トーマツとの確認を進める中で、株式取得時の取得原価の配分手続の過程において、顧客関連資産を過少に計上していたことを確認いたしました。また、これに関連して、同社の固定資産の減損に係る会計基準の適用について改めて見直した結果、2021年12月期決算において、減損損失の認識が識別され、減損損失の測定を行ったところ、同社のソフトウェア及び顧客関連資産に減損処理が必要であったことを確認したため、対象となる2021年12月期から2023年12月期までの有価証券報告書、及び2022年12月期第1四半期から2024年12月期第1四半期までの四半期報告書に遡り訂正報告書を提出いたしました。

 

 2024年5月15日における訂正は固定資産の減損会計に係る内容、2024年8月14日における訂正は資本連結手続に係る内容であり、いずれも重要性の高い会計処理として有限責任監査法人トーマツと協議のうえ検討を行っていましたが、当該訂正に至ったことは、当社の経理体制が正確な財務諸表を作成することに関して必ずしも十分とは言えないことから、決算・財務報告プロセスに関連する内部統制上、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。なお、2024年5月15日における訂正の際は、2023年12月期における固定資産の減損に係る会計基準の適用による固定資産のグルーピング手続に起因する訂正であったため、2021年12月期まで遡り、当時の資本連結手続に係る会計処理の誤りを識別することができませんでした。

 

 上記の財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備につきましては、当該事項が2024年度における会計監査人の交代及びその後の自主点検により判明したため、訂正の対象となる内部統制報告書の提出日までに是正することができませんでした。なお、上記の開示すべき重要な不備に起因する必要な修正は、すべて財務諸表に反映しております。

 

 また、当初の内部統制報告書における「2 評価の範囲、基準日及び評価手続に関する事項」に記載の評価の範囲については、当該開示すべき重要な不備は評価の範囲とされており適切であったものと判断しております。加えて、基準日についても適切であったものと判断しております。しかしながら、評価手続については、当時の経理体制において当該開示すべき重要な不備に係る「会計基準に対する理解が不足していたこと」「会計基準に則った手続の検討(会計基準に則ったマニュアルやチェックリストの見直し)ができていなかったこと」を検出できておらず、当該訂正に至ったことから適切ではなかったものと判断しております。

 

 当社は、財務報告に係る内部統制の重要性を強く認識しており、重要な会計処理の判断または決定に関し、引き続き採用及び教育により良質な人材の確保や専門知識の拡充を図るとともに、固定資産の減損会計及び資本連結手続に関するマニュアル及び業務プロセスの修正(会計基準に則ったマニュアルの整備、チェックリストによる確認プロセスの追加)を行うことで財務報告の信頼性を確保してまいります。

 

以 上

4 【付記事項】

該当事項はありません。

5 【特記事項】

該当事項はありません。