第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当中間連結会計期間において、新たに発生した事業等の発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

 なお、本文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において、当社グループが判断したものであります。

 

重要事項等に関する事項

 「要約中間連結財務諸表に関する注記事項 10. 後発事象」に記載している通り、当社グループでは、2期連続での重要な営業損失及び営業キャッシュ・フローのマイナスを早急に解消することを目的に実施している組織変革・構造改革の一環として、当該地域に属する各子会社の足元及び将来に渡る採算性を精査し、さらなる抜本的なグループ組織再編を実行する方針を決定しました。

 その結果、当中間連結会計期間において、主にのれん及び固定資産の減損損失4,140,388千円を計上し、当中間連結会計期間においても、重要な営業損失及び当期純損失を計上した事から、当中間連結会計期間末で2,593,909千円の債務超過となっております。

 よって、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。

 

 当社グループでは、「要約中間連結財務諸表に関する注記事項 11. 継続企業の前提に関する事項」に記載の各施策によって当該状況をいち早く解消し、利益体質及び資金状況改善の早急な実現を図ります。

 

 しかしながら、これらの対応策は実施途上であり、関係当事者との最終的な合意が得られていないものもあるため、現時点においては継続企業の前提に関する重要な不確実性が存在するものと認識しております。

 

 なお、要約中間連結財務諸表は継続企業を前提として作成しており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を要約中間連結財務諸表に反映しておりません。

 

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)当期の経営成績の概況

 当社グループは、「多様性を活かし、テクノロジーで世界を変える」をミッションとし、世界の課題を解決するようなプロダクトやサービス、エコシステムをデジタルパートナーとしてクライアントと共に作り上げると同時に、国境を越えて「働く機会」「成長する機会」「世界の問題を解決するようなプロジェクトに参画する機会」などの「機会」を提供することで、より良い世界の実現に貢献することを目指しております。

 

 当中間連結会計期間における世界経済及びわが国経済は、個人消費や設備投資の持ち直し等により緩やかな回復基調が見られるものの、世界的なエネルギー価格の高騰や物価の高騰に伴うインフレ圧力等の影響から先行き不透明な状況となっております。一方、IT業界におきましては、コロナ禍を契機とするデジタルシフトの機運も依然として衰える気配はなく、経営戦略に直結するデジタルトランスフォーメーション(DX)の需要が増加しており、企業のDXに対する投資意欲は引き続き旺盛な状況が続いております。

 

 こうした経営環境の中、当社グループは世界19の国と地域において、主に企業や自治体に対して事業課題や新規事業のニーズに合わせてDXを支援するメイン事業「デジタルコンサルティング事業」および自社プロダクト事業等の「その他事業」を展開しております(2024年6月30日時点)。なお、当社グループではデジタルコンサルティング事業を展開するエリアを、日本国内及びアジア・パシフィック地域を指すAPAC、ヨーロッパ、中東及びアフリカ地域を指すEMEA、北米、中米及び南米地域を指すAMERの3つのリージョンに分類しております。

 

 当中間連結会計期間につきましては、APACにおいては引き続き生成AIを活用したアプローチによりデータ・エンタープライズシステム領域の案件が獲得できました。しかしながら、未だ開発フェーズに至っていないため売上への貢献度が小さく、既存の案件の売上減少分を挽回するに至らず売上減少となりました。また、EMEAにおいては構造改革の実施に注力した結果案件デリバリーや営業活動が停滞及び停止し、売上が大きく減少しました。その結果、売上収益は前年同期比で15.4%減となりました。

 EMEA及びAMERでは、高成長を前提にした先行投資的な採用を積極的に進めてきたものの、成長速度が当初想定を下回り、非稼働人員数が大きくなった結果赤字体質が継続している事から、構造改革として拠点閉鎖、人員削減含めて全体として230名の人員削減を進行しております。この構造改革により当第3四半期連結会計期間より四半期あたり約8.2億円の固定費の削減効果が見込まれており、AMERでは構造改革後のコスト構造では6月単月黒字化するなど、第4四半期の全リージョン黒字化に向けて大きく前進しました。

 今回の構造改革により退職金を中心とした構造改革費用約7.7億円を当中間連結会計期間に計上しております。加えて、EMEAとAMERは当初想定されていた収益が見込めなくなったことから、当社が保有する連結子会社であるMonstarlab LLC及びGenieology Design DMCCについて、同社に係るのれんの減損損失としてそれぞれ1,018百万円と1,743百万円を計上すると共に、当社連結子会社であるMonstarlab Information Technology LLCが保有するのれんの減損損失938百万円を計上し、複数の連結子会社及び孫会社において計441百万円の固定資産減損損失を計上いたしました。これにより、減損損失を計4,140百万円計上しました。

 以上より、営業利益につきまして売上の減少と別途開示しております構造改革費用及び減損により6,990,797千円の営業損失となりました。

 

 以上の結果、当中間連結会計期間の当社グループの売上収益は5,721,416千円(前年同期比15.4%減)、営業損失は6,990,797千円(前年同期は468,654千円の営業損失)、税引前中間損失は5,773,852千円(前年同期は123,369千円の税引前中間利益)、親会社の所有者に帰属する中間損失は5,894,047千円(前年同期は7,857千円の親会社の所有者に帰属する中間利益)となりました。

 

 デジタルコンサルティング事業におけるリージョン別の業績は以下のとおりであります。

 

1. APAC

 当中間連結会計期間は、売上収益は3,183,833千円(前年同期比11.9%減)、営業利益は3,134千円(前年同期比96.4%減)となりました。

 売上減少の要因としましては、2022年以前に獲得した案件が開発終了など案件のライフサイクル一巡により一定程度終了し、既存顧客からの売上が減少しました。また、2022年から2023年上半期において獲得に注力した戦略案件の多くが開発フェーズに至らず終了し、さらなる既存顧客の売上減少に繋がりました。これら既存顧客の売上減少に対し、2023年下期より新規開発案件の獲得や生成AIを活用したアプローチによりデータ・エンタープライズシステム領域の案件獲得による新規売上の獲得に向けた動きは進んでいるものの、開発フェーズに至るまで一定程度時間がかかることから既存案件終了による減少分を越える売上を新規案件から獲得することができず、売上減少となりました。利益に関しては引き続き徹底したコストコントロールにより前年同期より約2億円のコスト構造の改善を果たしております。

 短期的には、開発案件に特化した営業組織とマーケティングの強化で足元の売上を回復させ、2025年に向けてはデータ・エンタープライズシステム領域の強化及びAPACの開発拠点によるグローバル直接営業により、2022年以前の様な高成長ビジネスに回帰することに取り組んでおります。

 

2. EMEA

 当中間連結会計期間では、売上収益は1,884,846千円(前年同期比24.7%減)、営業損失は3,677,151千円(前年同期は718,923千円の営業損失)となりました。

 欧州、中東においてはドイツ拠点の閉鎖、EMEAの半数以上の人員削減などの構造改革の実施の影響で足元の案件デリバリー活動や新規案件受注が停滞、停止し、売上を大きく減少させる形となりました。注力領域であるライフサイエンス及びファイナンス領域において売上成長余地の高い顧客を定め、専属のチームが顧客単価の向上を狙う戦略を実行し、パイプラインが順調に積み上がっております。

 営業利益面につきましては、売上減少に加え、構造改革費用並びにのれん及び固定資産の減損を計上し、大きな損失を出すこととなりました。営業利益面で今回の構造改革の効果が現れるのは当第3四半期連結会計からとなりますが、構造改革によりコスト構造は確実に改善しており、当第4四半期連結会計での全リージョン黒字化を確実に達成するため引き続き構造改革に取り組んでおります。

 

3. AMER

 当中間連結会計期間では、売上収益は459,652千円(前年同期比8.3%増)、営業損失は289,745千円(前年同期は95,985千円の営業損失)となりました。

 既存顧客の案件が開発フェーズに入り売上が安定成長軌道に乗り始めました。また、注力領域であるライフサイエンス、ファイナンスセクターの案件獲得に加え、AIやデータを活用した先端領域の案件の受注も進んでおり、売上が順調に増加しております。

 営業利益面につきましては、構造改革を行ったため大きな損失を計上しておりますが、構造改革後のコスト構造では6月単月の黒字化を達成しており、利益が着実に改善しております。

 

(2)当期の財政状態の概況

 当中間連結会計期間末における各項目の状況は、次のとおりです。

 

(流動資産)

 流動資産の残高は5,490,444千円(前連結会計年度末は5,836,139千円)となりました。主な内訳は、現金及び現金同等物1,187,526千円(前連結会計年度末は1,783,264千円)、営業債権及びその他の債権2,488,865千円(前連結会計年度末は2,600,114千円)等であります。

 

(非流動資産)

 非流動資産の残高は5,294,339千円(前連結会計年度末は8,624,916千円)となりました。主な内訳は、のれん699,354千円(前連結会計年度末は3,964,762千円)、その他の金融資産3,433,097千円(前連結会計年度末は3,083,563千円)等であります。

 

(流動負債)

 流動負債の残高は10,918,139千円(前連結会計年度末は7,932,462千円)となりました。主な内訳は、営業債務及びその他の債務993,088千円(前連結会計年度末は1,132,648千円)、社債及び借入金7,331,235千円(前連結会計年度末は4,739,564千円)等であります。

 

(非流動負債)

 非流動負債の残高は2,460,554千円(前連結会計年度末は2,822,565千円)となりました。主な内訳は、社債及び借入金1,088,223千円(前連結会計年度末は1,493,246千円)、リース負債333,956千円(前連結会計年度末は549,435千円)等であります。

 

(資本合計)

 資本合計は△2,593,909千円(前連結会計年度末は3,706,027千円)となりました。主な内訳は、資本金1,922,586千円(前連結会計年度末は1,922,586千円)、資本剰余金10,595,831千円(前連結会計年度末は10,499,729千円)、利益剰余金△14,452,409千円(前連結会計年度末は△8,558,362千円)等であります。

 

 

(3)当期のキャッシュ・フローの概況

 当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,187,526千円(前連結会計年度末は1,783,264千円)となりました。

 当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、資金は△2,543,634千円の支出(前年同期は1,951,381千円の支出)となりました。これは主に、税引前中間損失(△5,773,852千円(前年同期は123,369千円))による資金の減少、減損損失(4,140,388千円(前年同期はゼロ))、為替差損益(△1,175,377千円(前年同期は△790,341千円))、営業債権及びその他の債権の増減(306,080千円(前年同期は794,895千円))、契約資産の増減(△142,810千円(前年同期は△400,422千円))、引当金の増減(301,896千円(前年同期は72,877千円))、法人所得税の支払額(△86,877千円(前年同期は△319,780千円))により資金が減少したこと等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、資金は△120,948千円の支出(前年同期は△539,559千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出(△24,285千円(前年同期は△55,219千円))、無形資産の取得による支出(△85,990千円(前年同期は△73,787千円))等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、資金は1,989,121千円の収入(前年同期は3,113,844千円の収入)となりました。これは、短期借入金の純増減額(2,812,279千円(前年同期は1,430,298千円))、長期借入金の返済による支出(△377,172千円(前年同期は△367,061千円))、社債の償還による支出(△250,000千円(前年同期は△64,500千円))、リース負債の返済による支出(△195,986千円(前年同期は△193,221千円))によるものです。

 

(4)経営方針・経営戦略等

 当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当中間連結会計期間において、「要約中間連結財務諸表に関する注記事項 11. 継続企業の前提に関する事項」に記載の各施策によって継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況をいち早く解消し、利益体質及び資金状況改善の早急な実現を図ることを、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題と認識しております。

 

(6)研究開発活動

 当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

 当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。