当中間会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生はありません。また、前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
なお、重要事象等は存在しておりません。
文中の将来に関する事項は、当中間会計期間の末日現在において判断したものであります。
当中間会計期間における我が国経済は、個人消費やインバウンド需要の増加等により緩やかな回復基調にありますが、一方、ウクライナ危機の長期化に伴う資源価格の高止まりや円安・ドル高の進行等により、かつてない先行き不透明な状況が続いております。
このような経済環境の中、当社の主要なマーケットであります製造業の分野では、営業活動やアフターサービス業務等の顧客接点を効率化するソリューションの導入や建設業界へのBIM[※1]の浸透により、受注は順調に推移しております。また、公共事業の分野では、災害対策推進支援業務やまちづくり計画支援業務、地球温暖化対策支援業務の受注が堅調に推移しております。
当中間会計期間のソリューションサービス事業は、建設業界の生産性向上を背景にBIMデータを活用した建設DX[※2][※3]業務と、住宅設備メーカーや建材メーカーからの顧客接点支援業務が拡大しました。また、PLM[※4]を中核とした設計製造関連業務も順調に推移しております。
エンジニアリングサービス事業は、河川防災関連業務や都市型浸水対策業務、人流データなどのビッグデータを活用したまちづくり計画支援業務、地球温暖化対策支援業務の売上高が伸長しましたが、CIM[※5]関連ソフトウエアの販売や都市開発に係わる環境アセスメント業務の受注に時間を要しております。
これらの結果、当中間会計期間の売上高は3,794,560千円(前年同期比4.4%増)、営業利益は551,494千円(前年同期比4.5%増)、経常利益は560,014千円(前年同期比2.5%増)、中間純利益は387,751千円(前年同期比5.4%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
なお、当中間会計期間より、報告セグメントの区分を変更していることから、ソリューションサービス事業については前年同期比(%)を記載せずに説明しております。
・ソリューションサービス事業
ソリューションサービス事業につきましては、製造業および建設業向けに業務の効率化、事業拡大を支援するサービスを自社ソリューション中心に展開しております。
製造業向けサービスにつきましては、営業支援ソリューション(製品名:EasyコンフィグレータおよびWebレイアウトプランナー)の受注が住宅設備メーカーや建材メーカーを中心に好調に推移しており、売上高は大幅に拡大しております。また、建設業界のBIM化推進、浸透に伴い住宅設備メーカーを中心にBIM連携業務の引き合いも加速しております。CAD[※6]やPLMなどの設計支援や保守支援ソリューション(製品名:PLEXおよびFieldPlanner)につきましても業務の効率化やアフターサービスを重視する流れから、引き合いは底堅く推移しております。特にPLM事業につきましては、PLMを中核とした周辺業務(営業/保守/生産/調達等)との連携に期待するニーズも増えており、今後の中核事業として拡大をめざしてまいります。
建設業向けサービスにつきましては、建設業界の人手不足問題や生産性向上の課題を背景とした建設DXによる効率化・省力化への投資意欲は継続して高く、BIM関連業務を中心に引き合いは増加し、受注は堅調に伸長しました。
今後、製造業向けサービスにつきましては、toDIM[※7]のサービスの拡充に注力し、さらなる事業拡大をめざしてまいります。また、建設業向けサービスにつきましては、BooT.one[※8]をはじめとしたtoBIM[※9]ブランドのさらなる育成やサービスの拡充に加え、設備設計(機械・電気・配管)向けBIMの受注拡大に注力してまいります。
業績面では、営業支援ソリューションおよび販売を含むBIM関連業務の堅調な受注により売上高は増加しましたが、一部で不採算案件が発生したこと等により、当中間会計期間の売上高は2,807,873千円(前年同期2,555,849千円)、セグメント利益は544,086千円(前年同期623,887千円)となりました。
・エンジニアリングサービス事業
エンジニアリングサービス事業につきましては、防災系エンジニアリング業務、環境系コンサルティング・まちづくり支援関連業務、建設情報化支援サービス業務を中心に展開しております。
防災系エンジニアリング業務については、海岸保全事業に係わる津波高潮対策検討業務、気象変動に伴い激甚化・頻発化する自然災害に対する中小河川の洪水対策支援として、流域全体で防災・減災を実現するための災害対策推進支援業務の売上高が堅調に推移しております。また昨今の内水氾濫に起因する都市型浸水対策として下水道事業支援案件の受注が急増しております。
環境系コンサルティング・まちづくり支援関連業務は、高層住宅など都市開発に係わる環境アセスメントやコンサルティング業務について不動産開発事業者のほかゼネコン、電鉄系各社へも営業先を展開しており、引き合いが増加しております。また、人流データなどビッグデータを活用したまちづくり計画支援業務、地球温暖化対策支援業務などの社会マネジメント業務の売上高が伸長しております。
建設情報化支援サービス業務は、国土交通省の掲げる「BIM/CIM原則適用」が2年目に入り、また、2025年度達成目標の「建設土木現場の生産性2割向上」を背景に、特に費用対効果が見込まれる事業主体のニーズが徐々に高まっており、道路事業に関わるCIM活用コンサルティングやシステム開発案件の引き合いが増加しました。
今後は、効率化を求めつつも高度化・複雑化した解析業務に対応すべく情報処理・解析技術に磨きをかけその精度を追求するとともに、まちづくり支援業務では多様化した社会ニーズと官民連携を意識したデータ利活用技術の確立に努めます。また、既存の技術提供サービスに加え、toCIM[※10]ブランドとして販売中のアドインパッケージNavismaster[※11]の販売拡大、建設情報技術の利活用を促進するための新商材の発掘に注力してまいります。
業績面では、水防災支援業務やまちづくり計画支援業務などの受注および売上高が伸長しましたが、CIM関連ソフトウエアの販売や都市開発に係わるアセス実施計画業務の受注に時間を要していることから、当中間会計期間の売上高は986,687千円(前年同期比8.6%減)、セグメント利益は259,777千円(前年同期比12.2%増)となりました。
※1:BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)
コンピュータ上に作成した3次元の建物のデジタルモデルに、コストや仕上げ、管理情報等の属性データを追加した建築物のデータベースを、建築設計、施工から維持管理までのあらゆる工程で情報活用を行うためのモデルシステム。
※2:建設DX(建設デジタル・トランスフォーメーション)
建設業界にIoTやAIなどデジタル技術を導入するビジネスモデルの変革を指し、業務の効率化、人手不足や技術の継承など建設業界が抱える課題解消をはかり、生産プロセス全体の最適化をめざす取り組み。
※3:DX(デジタル・トランスフォーメーション)
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。
※4:PLM(プロダクト・ライフサイクル・マネジメント)
製造業において、製品開発期間の短縮、生産工程の効率化および顧客の求める製品の適時市場投入が行えるように、企画・開発から設計、製造・生産、出荷後のサポートやメンテナンス、生産・販売の打ち切りまで、製品にかかわるすべての過程を包括的に管理すること。
※5:CIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)
建設生産システムの基軸を従来の2次元モデルから3次元モデルへ拡張し、データをコンピュータ上に構築・共有しながら統合的に調査、計画、設計、解析、施工、維持管理にいたる一連のワークフローを効率化するシステム。
※6:CAD(コンピュータ・エイデッド・デザイン)
コンピュータを利用して機械・電気製品等の設計を行うこと。コンピュータとの会話形式で設計を行う。
※7:toDIM(トゥー・ディーアイエム)
当社の親会社のトランス・コスモス株式会社と応用技術株式会社の頭文字「t」と「o」にDIM(デジタルイノベーティブマニュファクチャリング)を配置したブランド名称。”製造業界向けにデジタル技術を駆使した変革”の実現をめざすサービス。
※8:BooT.one(ブート・ワン)
大成建設株式会社が社内で蓄積してきた「BIM規格」のノウハウを応用技術株式会社が引き継ぎ進化させ「toBIM」ブランドで提供するAutodesk社のRevitのアドインパッケージ。「BIM規格」はコマンドツール、テンプレート、ファミリ、活用ガイドライン、トレーニング教材の5つのカテゴリの総称で、「BooT.one」はこれらをパッケージ化した商品。Revitユーザの生産効率を大幅に向上させることが可能となる。
※9:toBIM(トゥー・ビム)
当社の親会社のトランス・コスモス株式会社と応用技術株式会社の頭文字「t」と「o」にBIMを配置したブランド名称。トランス・コスモス株式会社によるBPOサービスと当社によるシステム開発のそれぞれを効果的に提供し、顧客企業の生産性向上を推進するためのBIMトータルサービス全般を指す。
※10:toCIM(トゥー・シム)
当社の親会社のトランス・コスモス株式会社と応用技術株式会社の頭文字「t」と「o」にCIMを配置したブランド名称。土木事業のCIM活用シーンで「システム導入・開発」「プロジェクト支援」「人材育成」「業務プロセス改善」など、顧客企業の課題解決および土木事業全体の生産性向上を推進するためのCIMサービス全般を指す。
※11:Navismaster(ナビスマスター)
これまで応用技術が蓄積してきた「BIM/CIM」における3次元モデリング技術やCAD開発技術のノウハウを融合させることにより誕生した「toCIM」ブランドで提供するAutodesk社のNavisworksのアドインパッケージ。「3次元モデル成果物作成要領(案)」に沿った納品支援、また、属性項目編集や属性活用等の機能を実装し、統合された3次元モデルの属性の活用や設計から施工にかけてのデータ共有等の処理効率を大幅に向上させることが可能となる。
当中間会計期間末の総資産は、6,903,942千円となり前事業年度末と比較し350,170千円増加しました。これは主に、受取手形、売掛金及び契約資産656,260千円、電子記録債権223,344千円がそれぞれ減少したものの、現金及び預金203,855千円、預け金1,020,000千円がそれぞれ増加したためであります。
当中間会計期間末の負債は、1,732,842千円となり前事業年度末と比較し133,748千円増加しました。これは主に、消費税等の納付によりその他流動負債48,908千円が減少したものの、買掛金35,041千円、賞与引当金53,244千円、前受金93,056千円がそれぞれ増加したためであります。
当中間会計期間末の純資産は、中間純利益を387,751千円計上したことおよび配当金171,290千円の支払を実施したこと等により、前事業年度末から216,422千円増加し、5,171,099千円となりました。
当中間会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末と比較して1,223,855千円増加し、4,613,163千円となりました。
当中間会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動の結果得られた資金は、1,423,437千円(前年同期は727,577千円の収入)となりました。これは主に、法人税等の支払額159,756千円があったものの、税引前中間純利益560,014千円の計上、売上債権及び契約資産879,604千円の減少、前受金93,056千円の増加があったためであります。
投資活動の結果使用した資金は、29,210千円(前年同期は36,086千円の支出)となりました。これは主に、情報化等投資を行ったためであります。
財務活動の結果使用した資金は、170,371千円(前年同期は170,625千円の支出)となりました。これは配当金170,333千円の支払および単元未満の自己株式38千円の取得を行ったためであります。
(4) 経営方針・経営戦略等
当中間会計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更および新たに定めた内容はありません。
当中間会計期間において、当社の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。
該当事項はありません。
当中間会計期間において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。