文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当社グループは「誰もが、ありのままに一歩ふみ出せる場所づくりを。」をミッションに掲げ、コミュニティデータプラットフォーム事業を展開しております。コミュニティとは、特定の共通した価値観や興味関心を持つ人々の集まりであり、コミュニティデータとはSNSをはじめとした消費者のデジタル上の情報発信から得られる市場ニーズや消費者インサイトなど、付加価値の高い独自データを指します。情報化社会の成熟を通じてグローバル規模でさまざまな価値観が交わり変化し続ける中で、「多様化する価値観や課題」に応える手段として、コミュニティデータの活用ニーズが高まっております。
また、当社グループは、これまでの画一的な価値観や経済成長が求められてきた社会とは異なり、今後は多様な価値観に応じた多様な定義の豊かさが求められていく社会になると考えております。その多様な価値観の基盤となるコミュニティにおける経済活動をコミュニティデータの活用によって支援することは、当社グループの使命であると考えております。
したがって、当社グループは、当社グループの関わる全てのコミュニティにおいて、そのコミュニティデータの管理を当社のツールを活用して横断的に行うことで、コミュニティの創出・運営に関するデータ群及びノウハウを蓄積しております。これにより、コミュニティブランドの展開やソーシャルメディアを用いた事業拡大が期待できる新規領域を見極め、収益化を実現していくことで、当社グループの業績及び企業価値の向上を目指してまいります。
そして、当社グループはコミュニティデータプラットフォーム事業の展開を通じて「コミュニティデータプラットフォーマーとしての地位を確立し、さまざまなコミュニティから収集されたデータの活用を通じて多様化する社会のニーズに沿った事業を創出し、多様な価値観による経済活動に主導された持続可能な社会を実現すること」を経営目標としております。
従来、企業が商品・サービスの開発やマーケティング活動を行う際は、対象となる一般消費者の性別や年齢、地域や年収といった属性を選定し、アンケート等でデータ分析を行い戦略設計する方法が主流でした。しかし、SNSを中心とした急速な情報化社会の発達の中で、一般消費者のニーズは細分化・多様化しております。また、急速な一般消費者のトレンド変化への対応も求められております。
当社グループは、SNSを中心に収集したコミュニティデータを通じ、多様化するコミュニティごとの趣味嗜好やニーズを分析し、商品・サービスの開発やマーケティング活動に活用しております。

(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、コミュニティデータを活用したコミュニティデータプラットフォーム事業の展開を行っているため、これに応じた経営指標を定めております。
そのため重視する経営指標としては、コミュニティデータプラットフォーム事業の売上高(領域別)、当期純利益、SNSフォロワー数、SNSリアクション数、連携アカウント数を定めております。SNSフォロワー数は、当社グループが事業を展開するインターネットコミュニティの成長性を表す指標として重視しております。
SNSリアクション数は、消費者がインターネットコミュニティの中で行うさまざまな消費行動の規模を表す指標として重視しております。また、連携アカウント数は当社グループが事業展開の起点として利用可能なインターネットコミュニティの規模を表す指標として重視しております。なお、2021年3月期から2024年3月期までの各指標の推移は以下の通りであります。
コミュニティデータプラットフォーム事業の売上高(領域別)に関しては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の通りであり、当期純利益に関しては、「第1 企業の概況 1 主要な経営指標等の推移」の通りです。
[各指標の累計実績] (単位:件)
当社グループがエンタープライズ領域を展開する国内インターネット広告市場に関しては、社会のデジタル化加速が追い風となり、株式会社電通の「2023年 日本の広告費」によれば2022年のインターネット広告費は前年比14.3%増の3兆912億円、2023年においては前年比7.8%増の3兆3,330億円と推計され、継続的に高い成長率を維持しております。また、株式会社サイバー・バズ及び株式会社デジタルインファクト調べ「2022年国内ソーシャルメディアマーケティングの市場動向調査」によれば2024年の国内ソーシャルメディアマーケティング市場は、前年比16.6%増の1兆2,713億円と予測されております。新型コロナウイルス感染症の影響による社会全体のオンライン化による企業のマーケティング活動のデジタルシフトは引き続き進んでおり、当社グループが提供するマーケティングソリューションに対する需要は今後も高まっていくと考えております。
当社グループは、ソーシャルメディアに関連するマーケティングソリューションを軸としながら、それに限定されない幅広いソリューションを保有しております。そのため、顧客の課題や目的により、ソーシャルメディアを活用したマーケティング施策が最適でない場合であっても、顧客に適したソリューションを提案することが可能です。また、顧客が求めるソリューションを提供することだけではなく、顧客がマーケティングの計画を策定する際に、当社が総合的に計画策定支援を行う機会も多く存在します。そのような顧客との深い関係による信頼の構築により、継続的な取引を実現しております。
また、当社グループがコンシューマ領域を展開するBtoC EC市場に関しては、経済産業省商務情報政策局の「令和4年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」によりますと、物販系分野の BtoC EC市場規模は2022年に13.9兆円となり、前年比5.37%増となりました。2021年は新型コロナウイルス感染症拡大に伴う巣ごもり需要の影響でEC市場規模の一時的な底上げがあったと考えられますが、2022年において伸び率は鈍化しつつも増加しております。2013年以降、右肩上がりで2倍超に拡大しており、2022年において物販系分野のEC化率は9.13%のため今後も成長が期待されます。利用端末としては「スマートフォン」が伸び続けており、2022年において物販系ECの売上高のスマートフォン比率は55.9%、7.8兆円に達しております。
さらに、当社が『MiiS』を展開するオーラルケア市場は株式会社富士経済の「オーラルケア関連市場マーケティング総覧 2021」によれば、2023年には4,186億円となることが予測されており、『RiLi』を展開するアパレルEC市場は経済産業省商務情報政策局の「令和4年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」の、「BtoC-EC市場規模の経年推移「⑥衣類・服装雑貨等の市場規模」によれば、2022年は前年比5.0%増の2兆5,499億円の市場規模であると報告されています。
当社グループのブランド開発においては、消費者の課題や目的などのインサイトに関わるコミュニティデータを活用しております。具体的には、消費者からのリアクションデータをもとにブランドのマーケティング施策の見直しやパッケージデザインの調整を行っております。こうしたコミュニティデータの活用により、常に消費者を向いたブランドの改善を実現し、結果として広告宣伝費の依存度が低く、効率的に顧客獲得ができております。
当社グループの強みは、自社のデータクラウドを活用し、 エンタープライズ領域とコンシューマ領域で相互にシナジーのある事業成長を実現できている点です。
エンタープライズ領域においては、コンシューマ領域の自社ブランド・サービスにおいて行われる深いデータ分析やマーケティングノウハウが、質の高いマーケティングソリューションの提供につながっており、競合優位性につながっております。
また、コンシューマ領域においては、エンタープライズ領域の幅広い自社のマーケティングソリューションを活用することで、マーケティングを内製化し、効果的な顧客の獲得を実現しております。

以下では、当社の主要な経営戦略について項目ごとに記載いたします。
エンタープライズ領域のマーケティング・DXにおいては、主な顧客基盤である大企業を中心とした営業活動に注力するとともに、新たなソリューションを随時開発し提供することを通じて、顧客単価の向上を目指しております。2024年3月期は2023年3月期と比較し、月次累計顧客数は17.1%増加し、顧客単価は同程度となりました。今後は、データクラウドである『CCXcloud』から得られるマーケティング・DXに関する知見を基に、顧客に提供するマーケティング・DXに関するソリューションの幅を拡大し、営業の強化に投資していくことで、大手顧客を中心に月次累計顧客数及び顧客単価の伸長を実現する戦略です。
また、データクラウドにおいては、コミュニティデータの蓄積に向けたツールの開発と同時に、ツール自体での収益を増加させるべく、有料ツールの開発並びにツールの一部機能の有料化を進めております。また、これらのエンタープライズ領域の経営戦略により、収益を拡大することはもちろん、取得可能なデータの種類を拡大することを目指しております。

コンシューマ領域のブランド・サービスにおいては、各ブランドにおけるマーケティング強化によるECサイトへのアクセス数や来店数の拡大を通じた会員基盤の成長に加え、オンライン・オフラインを問わず多様な販路を通じたマネタイズポイントの拡張による成長を目指しております。なお、2024年3月期は『MiiS』と『RiLi』の主要2ブランドの売上高は平均して340,627千円でした。
また、今後さらにコミュニティデータの活用を促進し、新規ブランド・サービスへの成長投資も継続していくことで、取得可能なデータの領域が拡大し、エンタープライズ領域で取得するデータの拡大とあわせ、コミュニティデータプラットフォーマーとしての成長も目指しております。

当社はこれまで2社の買収・吸収合併を行っており、いずれもコミュニティデータプラットフォーム事業の成長に寄与しております。既存領域及びその周辺領域において、M&Aを通じた非連続的な事業成長を実現する戦略です。
コミュニティデータを活用した事業展開は、既存の事業領域の枠をこえた新領域への展開も実現可能であると認識しております。例えば、消費者向けの商品企画や開発を請け負うOEM・ODMといった歴史の長い業界に対して、自社のブランド・サービスで培ったコミュニティデータを活用した商品の企画・開発力を軸に新規で参入するといった形が考えられます。また、生成AIをはじめとする先進的な技術とコミュニティデータを組み合わせたソリューションの提供といった新しい技術とコミュニティデータを掛け合わせた新領域への展開も考えられます。

SNSを中心とした市場の成長を牽引し、コミュニティ消費時代のキープレイヤーとしての圧倒的なポジションの確立を目指しております。

当社グループは、エンタープライズ領域においてソーシャルメディアマーケティングを中心にSNSアカウント運用代行やインフルエンサーキャスティング、口コミの生成、広告運用、イベント企画といった各種ソリューションの開発・提供に注力し、当社グループが自らコミュニティを運営する中で獲得したノウハウを活かした、当社グループでしか提供できない価値を顧客へ提供し、当社グループの競争力を高めることに注力してまいりました。
こうした自社サービスの販売は利益率の高い商品であるため、事業上及び財務上の改善につながっております。ただし、ソーシャルメディアマーケティング市場の特色としては、その技術進歩が非常に早く、新たなマーケティング手法やサービス形態が日々開発されていることが挙げられます。そのため当社グループでは、顧客のマーケティングパートナーとして、顧客とより密接に交流し、マーケティング施策の上流過程から関わるとともに、いちはやく顧客の需要を拾い、それを満たす新たなソリューションの発掘・拡充を図ってまいります。さらに、幅広いソリューションを顧客に提案していくことで、さまざまな顧客の需要にこたえる営業人材及び広告やSNSアカウントの運用を行う人材を確保していくことが肝要であり、人材採用の強化を行ってまいります。
当社グループは、コンシューマ領域において『MiiS』や『RiLi』をはじめとしたコミュニティ発のブランド並びに商品・サービスの開発に注力してまいりました。商品販売などの経済活動の開始前に熱量の高いコミュニティを構築することにより、広告宣伝への依存度が低く、LTV※の高いマーケットをコミュニティ内に創り出しておりますが、コミュニティ内の経済活動をより活性化するには、EC領域にとどまらないコミュニティにフィットした商品・サービスラインナップの一層の拡充が重要と考えております。また、『MiiS』に関して、当社は、『MiiS』のブランディング力を活用した、デンタルクリニックのプロデュースをはじめとしたオフラインを含めた収益化を行い、コミュニティデータを起点としたブランド・サービスの可能性を拡大します。
※ LTV:Life Time Value(ライフタイムバリュー)の略で、ある顧客が自社と取引を開始してから終了するまでの期間にどれだけの利益をもたらしてくれるかを表す指標。
当社グループでは、当社の提供するデータクラウドである『CCXcloud』を通じて、コミュニティデータの蓄積及び分析ツールの提供や、コミュニティへの集客を実現する広告DXツールの提供を行ってきました。これにより、ソーシャルメディアから得られるデータや知見を用いた事業拡大を実現しております。こうしたコミュニティデータを起点とした事業展開を支える、さらなるツールの開発を継続的に行ってまいります。
当社グループは、既存事業領域及びシナジー確度の高い周辺事業領域を中心にM&Aを進めることで、コミュニティデータプラットフォーマーとしての収益基盤を強固にしてまいります。特に売上総利益及び営業利益を重視したM&Aを実施してまいります。
当社グループは、さらなる成長を図るために、成長フェーズによる組織体制の確立と優秀な人材の確保、また確保した人材の早期育成の仕組みが不可欠だと考えております。採用活動の強化を図るとともに、社内研修制度、ノウハウの共有の仕組みの確立を行ってまいります。
当社グループの事業は、広告関連法令やインターネット広告業界の自主規制、各種SNSプラットフォーム規約等の制約を受けますが、それら規制の改正、変更等の事業環境の変化に迅速に対応するため、事業部門とコーポレート部門が連携して情報の収集、分析、管理を行っております。また、規制等の変更に伴い対応が必要な場合は、当該規制等の社内への周知、教育等によりその徹底を図っており、これらの対応を継続的に行ってまいります。
事業の継続的な発展を実現させるためには各方面のステークホルダーの期待に応えられるよう、コーポレート・ガバナンス機能の強化は必須であると認識しております。そのために、常にミッション及びビジョンを念頭に置きながら経営状況を捉え、ステークホルダーとの対話の機会を通じて、当社グループのガバナンス上の課題の有無を十分に把握した上で、適切に対応してまいります。
当社グループが今後も成長を続けていくためには、当社グループのサービス・ブランドの認知度向上が必要不可欠と考えています。今後も広告宣伝費の費用対効果に注意を払いながらプロモーション活動を強化してまいります。
当社は、主として運転資金の充実化を目的とした金融機関からの借入及び上場に伴う資金調達により十分な手許現預金を確保できる見込みであり、また、自己資金及び営業キャッシュ・フローによって安定的な財務基盤の確保もできていることから、本書提出日時点において優先的に対処すべき財務上の課題はないと考えております。ただし、今後の成長戦略の展開に伴い、内部留保の確保と営業キャッシュ・フローの改善等により財務体質を強化するとともに、株式市場からの必要な資金の確保や、金融機関からの融資等により多様な資金調達を図ってまいります。
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、人類、社会、経済が持続的に発展していくためには、地球環境等に係るグローバルな課題への真剣な取組みが極めて重要であると認識しております。また、そうした取組みの如何が、当社グループのリスクの減少のみならず収益機会にもつながる重要な経営課題であると認識しております。
このため、当社グループは、コミュニティデータプラットフォーム事業の展開を通じて「コミュニティデータプラットフォーマーとしての地位を確立し、さまざまなコミュニティから収集されたデータの活用を通じて多様化する社会のニーズに沿った事業を創出し、多様な価値観による経済活動に主導された持続可能な社会を実現すること」を経営目標としております。
当社グループにおいては、サステナビリティ関連のリスク及び機会を監視しております。当該リスク及び機会を管理するためのガバナンスに関しては、コーポレート・ガバナンス体制と同様であります。当社のコーポレート・ガバナンスの状況の詳細は、「
当社グループは、リスク・コンプライアンス委員会を設置し、全社的なリスク管理を行っております。サステナビリティに関するリスクの識別、優先的に対応すべきリスク等についても、リスク・コンプライアンス委員会にて管理しております。
当社グループが事業展開をしているコンシューマ領域においては、コミュニティデータを活用し、コミュニティ内で顕在化したニーズを検知して商品化を行っております。そのため、余剰在庫が比較的少ない構造となっております。また、『MiiS』においては、環境に配慮した取組みとして、2023年4月より、リサイクル効率に優れたアルミパウチ素材の詰め替え用リフィルを採用、販売することで、プラスチックの使用を抑えております。
今後も引き続き気候変動や環境全般に関するリスク管理を行いながら地球環境にやさしい事業展開を行ってまいります。
当社グループは、持続可能な事業の成長及び企業価値の向上を図るためには、多様性ある人材採用、育成及び組織形成が重要であると認識しており、「誰もが、ありのままに一歩踏み出せる場所づくりを。」というミッションを従業員に対しても実現できるよう取組んでおります。
多様な人材を確保・活用するには、柔軟な働き方を実現することが重要と考えており、継続した働き方改革を推進しております。リモートワークや時短勤務制度等を活用し、ワークスタイルの柔軟化を図ることで、従業員がワークライフ・バランスを整えながら能力を十分に発揮できる就業環境の整備に努めております。
当社グループでは、多様性ある人材採用、育成及び組織形成が重要と考える中、女性、外国人、中途採用者等の区分で管理職の構成割合や人数、障がい者の雇用率等の目標値は定めておりませんが、その具体的な目標設定や状況の開示については、今後の経営課題として検討してまいります。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している重要なリスクは、以下の通りであります。
また、必ずしもリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。
リスクマネジメントの体制としては、「リスク管理規程」「コンプライアンス規程」を定め、代表取締役 大久保遼を議長とするリスク・コンプライアンス委員会を設置し、全社的なリスクマネジメント体制を整備しております。
なお、当該記載事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性がある全てのリスクを網羅するものではありません。当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努めてまいります。
当社グループは、コミュニティデータプラットフォームを基盤として、企業向けにサービスを提供するエンタープライズ領域と、一般消費者向けにブランドやサービスを提供するコンシューマ領域を展開しております。
また、BtoC ECやソーシャルメディアマーケティングの市場規模は今後も拡大傾向であると認識しておりますが、インターネットの利用を制約するような法規制、電子商取引やオンライン決済への新たな規制やユーザーからの信頼性の棄損、個人情報管理の安全性を中心としたプライバシーに対する問題意識の拡がり等の外部要因、景気動向等により、当社グループの事業と関係のある市場の成長が鈍化した場合、又は市場における競争が激化した場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、当社グループでは、収益性や健全性を確保するとともに、業界動向の把握に努め、必要な対応を適時に取れる体制を構築することに努めております。
当社グループは、コミュニティデータを起点とした経済活動をテーマとした事業に取組んでおり、コミュニティデータプラットフォーム事業の単一のセグメントで事業を展開しております。当社グループがコミュニティデータプラットフォーム事業を展開する領域として、エンタープライズ領域、コンシューマ領域があり、双方の領域において、コミュニティデータに基づいた、マーケティング活動における消費者ニーズへの適合や各種コンテンツの最適化などを実施しております。しかしながら、当社グループ以上に資本力のある企業がコミュニティデータプラットフォーム事業に参入してくるリスクや、当社が構築したデータクラウドにおけるシステムエラーや、データ取得元のサービス・システムの仕様変更やエラー等が発生するリスクがあり、当初意図した成果が得られない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、当社グループでは、データの確実性を担保するため、エンジニアの採用強化を行い、コミュニティデータプラットフォームの基盤である『CCXcloud』の品質の向上に努め、さらに消費者ニーズ等をより迅速に検知し、サービスを拡充していくことで、競争優位性を保つことに努めてまいります。
当社グループのコンシューマ領域において、商品又は商品に含まれる原材料には、海外から調達されたものも含むため、国際情勢次第では原材料価格が高騰する可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、当社グループでは、仕入先を分散させ、原材料価格の高騰があった場合には、仕入先を速やかに切り替えることができるよう努めてまいります。
当社グループは、「不当景品類及び不当表示防止法」、「特定商取引に関する法律」、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」、「個人情報の保護に関する法律」、「著作権法」、「下請代金支払遅延等防止法」、「商標法」、「不正競争防止法」、「食品表示法」等の規制を受けております。また、法令やインターネット広告業界における自主規制、各種ガイドライン等の遵守を徹底した事業運営を行っておりますが、万一法令違反等に該当するような事態が発生した場合や、今後新たな法令等の制定、既存法令等の解釈変更がなされ事業が制約を受けることになった場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、コミュニティ支援の一環としてインフルエンサーを起用して広告の投稿を行うインフルエンサーマーケティングを行うことがあります。係るマーケティング手法においては、一見して広告主である顧客とインフルエンサーの関係性が明確でない場合もあるため、いわゆるステルスマーケティング※1として問題となる可能性があります。また、投稿が広告関連法令等に違反する場合、第三者の著作権、肖像権等を侵害する場合、不適切な投稿による炎上※2が発生した場合又は投稿がステルスマーケティングと見做された場合等には、インフルエンサーのみならず、当社グループも関連法令等に基づく制裁を受け、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、当社グループでは、インフルエンサーと依頼する投稿内容の適性のみならず、過去の当該インフルエンサーの投稿で炎上したことがないかといった炎上リスクも検討した上でインフルエンサーを選定しております。そして、インフルエンサーの投稿も含めた広告投稿については、投稿内容確認実施マニュアル、投稿&広告法令チェックリストを作成し、各事業部門において投稿前にチェックリストをもとに不適切な投稿の防止等法令遵守以外の観点も含めて投稿内容の確認を行っております。また、判断内容に困窮する場合は、コーポレート本部に適宜相談ができる体制となっており、同本部においても判断に困窮する場合は顧問弁護士や外部専門家に相談・連携ができる体制としております。さらに、内部監査においても、投稿&広告法令チェックリストの作成有無のみならず、実際の投稿内容と同チェックリストの確認結果を監査しております。また、定期的に法令勉強会を実施するなどして従業員の教育に努め、不適切な投稿を未然に防止するための広告審査体制を構築するよう努めております。今後も必要に応じて顧問弁護士や外部専門家との連携を強化してまいります。
※1 ステルスマーケティング:消費者に宣伝と気づかれないように宣伝行為をすること。
※2 炎上:インターネット、SNS上のコメント欄において、批判や誹謗中傷などを含む投稿が集中すること。
当社グループのエンタープライズ領域における広告サービスは、Instagram、Facebook、X(旧Twitter)、TikTok、LINE等の主要SNSプラットフォーム上でのマーケティング手法を中心としております。利用者が増加傾向にあるSNSプラットフォームは広告媒体としての訴求力が高まることから、各SNSプラットフォームのユーザーの利用動向は重要な指標となります。
そのため、当社グループではこれらの動向に関する情報収集を行っておりますが、既存のSNSにおけるユーザーの利用動向の変化や、新たなSNSの流行に対して、当社グループの適切な販売商品の企画変更等の対応が遅れた場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。また、広告関連の規約・規制等の変更により、従来可能であった広告手法を用いることができなくなる可能性があり、当社グループのマーケティング手法や体制の変更等の対応が遅れた場合や、SNSのセキュリティ面の不備により当該プラットフォームの信頼性に疑義が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、当社グループでは、最新の各SNSプラットフォームの利用動向や流行を常に調査し、提供するマーケティング手法を多様化することでマーケティング媒体を分散化させ、特定のSNSに依存しない体制の構築に努めております。
当社グループは、コンピューターシステムの瑕疵、実施済みのセキュリティ対策の危殆化、マルウェア・コンピューターウイルス、コンピューターネットワークへの不正侵入、役職員の過誤、自然災害、アクセス増加等の一時的な過負荷等により、重要データの漏洩、コンピュータープログラムの不正改ざん、システムダウン等の損害が発生する可能性があり、その結果、第三者からの損害賠償請求、当社グループの信用下落等により、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、当社グループでは、セキュリティソフトの導入や障害発生時の社内体制の構築を実施し、リスク顕在化の際の影響が最小限になるよう努めております。
当社グループは、「個人情報の保護に関する法律」に則って作成したプライバシーポリシーに沿って取得した個人情報を管理しております。しかしながら、個人情報が漏洩した場合や個人情報の収集過程で問題が生じた場合には、当社グループへの損害賠償請求や当社グループの信用の下落等の損害が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、当社グループでは、個人情報保護マネジメントシステム(JISQ15001:2017)を満たす企業として、2018年7月に一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)よりプライバシーマークの認定を受け、その後2年ごとに登録を更新しております。今後も引き続きプライバシーマークを更新し、個人情報保護に関する全役職員の研修、教育を徹底することでリスクを低減することに努めております。
当社グループは、知的財産権を保護する社内管理体制を強化し、当社グループの主要サービスについては、商標権を取得しております。知的財産権を保護する社内管理体制を構築しておりますが、契約条件の解釈の齟齬等により、当社グループが第三者から知的財産権侵害の訴訟、使用差止請求等を受けた場合、又は第三者が当社グループの知的財産権を侵害するような場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、当社グループでは、顧問弁護士や顧問弁理士の助言を受けた上で、経営戦略会議やリスク・コンプライアンス委員会にて適切に対応を行う体制を構築することに努めております。
当社グループでは、「コンプライアンス規程」を制定し、役職員に対して当該規程を遵守させることで、法令違反等の発生リスクの低減に努めております。しかしながら、当社グループ及び役職員の法令違反等の有無に関わらず、顧客や取引先、第三者との間で予期せぬトラブルが発生し、訴訟に発展する可能性があります。提起された訴訟の内容及び結果によっては、多大な訴訟対応費用の発生や当社グループ・ブランドのイメージの悪化等により、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、当社グループでは、従業員のミスや顧客からのクレームをより早期に検知する体制を構築し、トラブルが生じた際は顧問弁護士の助言を受けた上で、経営戦略会議やリスク・コンプライアンス委員会にて適切に対応を行う体制構築に努めております。
当社代表取締役の大久保遼は、2016年以来代表を務めており、当社グループの経営方針や事業戦略の決定及びその遂行において極めて重要な役割を果たしております。そのため同人が、何らかの理由によって当社グループの業務を継続することが困難となった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、当社グループでは、取締役会及びその他の会議体における情報共有や経営組織の強化を図り同人に過度に依存しない経営体制の構築に努めております。
当社グループは、ミッションやビジョンに合致した人材採用を重要な経営課題と位置づけております。事業の成長に合わせた採用と、ミッションやビジョンに合致した人材の確保という両面を叶えるために、人材採用に関する各種施策を継続的に講じております。しかしながら、十分な人材確保が困難となった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、当社グループでは、各職種に合わせた最適な採用方法の模索による採用強化と当社に合った働き方や人事制度の運用により人材の定着を進めることに努めております。
当社グループは、仕入先や製造委託先に対する厳正な管理体制を整備し、関連法規の遵守及びその品質向上に取組み安全な商品の供給に努めております。しかしながら、指定要件を満たさない原材料の使用や異物混入等を防止できない場合には、「製造物責任法(PL法)」に基づき損害賠償請求の対象となる可能性があります。また、その広告表現等において、表示上の問題が発生する可能性もあります。
このような問題が発生した場合、大規模な返品、多額の対応費用の発生や当社グループのイメージ低下による売上高の減少等が想定され、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、仕入先や製造委託先の選定における基準、個々の商品に関する検査基準につき、安全性や消費者の要求水準を考慮して必要な対応を行っていくことに努めてまいります。
当社グループの継続的な成長のためには、内部統制システムが適切に機能することが必要不可欠であると認識しております。業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、各社内規程及び法令の遵守を徹底してまいりますが、事業の拡大・変化に対応した内部管理体制を適時に構築することができず、内部統制システムが有効に機能しない場合には、適切な業務運営を行うことができず、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、当社グループでは、ガバナンスの重要性を社内で共通認識とし、今後の事業規模の拡大に応じてコーポレート部門、内部監査の体制を強化するなど、内部管理体制の一層の充実を図ることに努めております。
当社グループのコンシューマ領域においては、コミュニティデータを活用し、コミュニティ内で顕在化したニーズを検知して商品化を行っております。そのため、コミュニティの需要に合わせた仕入を行っており、余剰在庫が比較的少ない構造になっております。しかしながら、市場環境の変化、消費者のニーズの変化等により商品の売上が伸び悩み、商品在庫が増加した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、当社グループでは、常に市場の動向や地球環境にも配慮した商品企画に取組み、在庫リスクを低減することに努めております。
当社グループは、企業買収や資本業務提携等を行う際には、事前に対象企業の財務内容や契約内容等の審査を十分に実施し、各種リスクの低減に努めております。しかしながら、これらの調査実施後の事業環境等の変化により、対象企業の収益性が著しく低下した場合は減損損失が発生する可能性があります。また、対象企業との資本業務提携等を解消することになる場合は、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、当社グループは、対象企業の業績を継続的にモニタリングする等、リスクが顕在化する前に対策を講じるように努めております。
当社グループは、過去の企業結合に伴うのれんを計上しております(2023年3月末時点における連結貸借対照表上ののれんの金額:535,333千円、のれんの対連結総資産比率:42.6%)が、業績の悪化等により減損の兆候が生じ、子会社等の収益性が著しく低下したことで将来的な効果である回収可能価額がのれんの帳簿価額を下回る場合には、のれんの減損処理を行う可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、当社グループでは、資材の調達先変更による原価低減を図る等、十分な収益性を確保するような利益管理体制を構築するよう努めております。
当社グループは、事業成長を図るため、新商品及びメディア開発を継続するとともに、引き続き当社グループの強みを活かした新規事業の立ち上げを実施してまいります。新規事業の立ち上げ時においては事前に事業計画を策定し、当該計画の評価や事業リスクの分析を実施しております。しかしながら、計画対比の事業進捗の遅延の発生や、事業環境の変化等により、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。また、新規事業に関しては当初の事業計画以上に人材確保、設備増強等のための追加的な費用が発生する可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。実際に、コンシューマ領域を中心として広告宣伝費の投下や、人件費等の必要な諸経費を計上したことにより、第7期連結会計年度の営業損失は166,712千円となりました。もっとも、コンシューマ領域において、自社のコミュニティデータを活用したブランド・サービスの展開を確立するための投資期間であったと認識しており、コミュニティデータプラットフォーム事業全体の将来的な成長のための十分な投資ができたと分析しております。
このようなリスクを踏まえ、当社グループでは、取締役会や経営戦略会議での定期的な報告等を通じたモニタリングを実施し、リスクが顕在化する前に対策を講じるように努めております。また、新規事業の開始にあたっては事業の縮小・撤退基準を設けることで、全社の事業リスクのコントロールを行うことに努めてまいります。
当社グループの本社及び物流拠点は首都圏にあり、当地域内において地震、水害等の大規模災害が発生することにより拠点が被害を受けた場合、当社グループ施設内や取引先において、パンデミックが発生した場合等、当社の想定を超える異常事態が発生した場合には、商品調達に影響が出る可能性、物流機能が停滞する可能性、通常勤務が困難になることによるサービスレベルが低下する可能性等があり、その内容及び結果によっては当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、当社グループでは、仕入先の分散化、リモートワーク時における安否確認方法の確立など、異常事態が生じた場合でも可能な限り業務への影響を低減することに引き続き努めてまいります。
当社グループのコンシューマ領域において取り扱う商品の一部は仕入元が中国など日本国外となっており、外国政府による規制や法令の改正、政治的、経済的な不安定さ、国家間の紛争・戦争等に起因したカントリーリスクが存在します。カントリーリスクは、コンシューマ領域におけるリスクではありますが、これらのリスクが顕在化した場合には、為替変動による商品の仕入れ価格への影響や納品が遅延するなど商品調達に支障が出ることにより当社グループの業績が影響を受ける可能性があるため、重要なリスクと認識しております。
このようなリスクを踏まえ、当社グループでは、既に仕入先を分散することでリスクの低減に努めておりますが、今後新たに主要な仕入先が生じる場合には、当該リスクについても充分考慮した上で仕入先の選定を行ってまいります。
当社グループは、事業活動や広報、IRなどあらゆる情報発信において、適時かつ慎重な発信を心がけることで、情報の信頼性の維持・向上を図り、風評リスク顕在化の未然防止に努めております。しかしながら、正確な情報に基づかない、又は憶測に基づいた情報の流布が、インターネット上の書き込みや報道で広まった場合、それらの内容の正確性や当社の該当有無に関わらず、当社グループのサービス利用者や投資者等の認識又は行動に影響を及ぼす可能性が考えられます。これらの報道や情報の流布の内容、規模等によっては、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、当社グループでは、日頃から風評の発見及び影響の極小化に努めており、当社グループ又は当社グループのサービスについて否定的な風評が拡大した場合には、代表取締役が必要な関係者を集め対応にあたる方針となっておりますが、引き続き早期の段階での風評の発見等に努めてまいります。
当社グループは、株式上場時における公募増資による調達資金の使途について、当社事業のさらなる拡大のため、エンタープライズ領域を中心とした人材採用強化を目的とした人材採用費及び人件費、広告宣伝費及び事業投資資金などに充当する予定であります。しかしながら、さまざまなリスク・不確実性の中で事業運営を行っており、事業環境が変化することも考えられるため、当初計画通りに資金を使用した場合においても、想定通りの投資効果を得られない可能性があります。このような場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。なお、市場環境の変化により、調達資金の使途が変更となった場合には、適時適切に資金使途の変更について開示を行う予定であります。
当社グループは、取締役や従業員等に対するインセンティブを目的としてストックオプション制度を採用しております。また、今後においてもストックオプション制度を活用していくことを検討しており、現在付与している新株予約権に加え、今後付与される新株予約権について行使が行われた場合には、保有株式の価値が希薄化する可能性があります。なお、本書提出日現在において、新株予約権による潜在株式数は507,600株であり、発行済株式総数2,739,090株の18.5%となっております。当社では、当該比率を踏まえながら、今後の新株予約権の付与を行ってまいります。
当社グループは、株主への利益還元を経営の重要施策の一つと認識しており、将来の事業展開と財務体質強化のため必要な内部留保を確保しつつ、継続的かつ安定的な配当を行うことを基本方針としておりますが、当社グループは成長過程にあり、事業拡大に向けた積極的な事業投資や財務体質の強化等を優先しているため、これまで配当を実施しておりません。
将来的には内部留保の充実状況や株主への利益還元とのバランス等を踏まえて配当実施の判断を検討していきたいと考えておりますが、現時点において配当実施可能性及びその実施時期等については未定であります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)状況の概要は次の通りであります。
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症に対する行動制限等が緩和され、景気の緩やかな持ち直しの動きが見られました。しかしながら、世界経済については、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっており、引き続き経済動向の先行きは不透明な状況が続いております。
当社グループは当社(株式会社ライスカレー)及び連結子会社1社(株式会社RiLi)により構成されており、インターネットコミュニティ領域において事業を展開しています。インターネットコミュニティ領域とはSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)をはじめとしたインターネットのアプリケーションを通じて共通の関心分野、価値観や目的を持った利用者が集まって持続的に相互作用する場を指します。
当社グループが事業を展開するインターネットコミュニティ領域においては、個人の滞在時間が大幅な増加傾向にあります。総務省情報通信政策研究所の「令和4年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」によると、いわゆるZ世代やミレニアル世代と呼ばれる、10代や20代においては、2020年の新型コロナウイルス感染拡大以降の個人の可処分時間増のうち、「動画投稿・共有サービスを見る」や「ソーシャルメディアを見る・書く」といったインターネットコミュニティ領域に、最も多くの時間が配分されたと調査されました。
また、それに伴い、財・サービスの提供者である企業は、この変化に適応するため、広告資源のインターネット領域への配分を拡大させています。さらに、従来は消費者であった個人が、供給者側に回る例(CtoC)も、個人の利用が可能なECプラットフォーム等の発展により拡大しています。
当社グループは、上記の大きなトレンドを踏まえ、消費者が今後より一層インターネットコミュニティ領域の中での消費行動を拡大していくと考え、コミュニティデータを起点として経済の場を生み出すコミュニティデータプラットフォーム事業を展開しております。
このような状況の中で、当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高2,374,756千円(前年同期比29.5%増)、売上総利益1,286,340千円(同27.1%増)営業利益87,986千円(前年同期は営業損失166,712千円)、経常利益89,568千円(前期同期は経常損失166,976千円)、親会社株主に帰属する当期純利益109,979千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失121,928千円)となりました。
なお、当社グループは「コミュニティデータプラットフォーム事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
また、当連結会計年度末における財政状態は以下の通りであります。
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は、1,104,100千円となり、前連結会計年度末に比べ567,944千円増加しました。これは主に、現金及び預金が441,730千円増加し、売掛金が64,300千円増加したこと等によるものであります。固定資産は690,768千円となり、前連結会計年度末に比べ28,502千円減少しました。これは、主にのれんが38,638千円減少したこと等によるものであります。
この結果、総資産は、1,794,869千円となり、前連結会計年度末に比べ539,442千円増加しました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は、590,369千円となり、前連結会計年度末に比べ214,538千円増加しました。これは主に、1年内返済予定の長期借入金が88,111千円増加、短期借入金が50,002千円増加したこと等によるものであります。固定負債は452,637千円となり、前連結会計年度末に比べ214,923千円増加しました。これは、主に長期借入金が216,193千円増加したこと等によるものであります。
この結果、負債合計は、1,043,006千円となり、前連結会計年度末に比べ429,462千円増加しました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、751,862千円となり、前連結会計年度末に比べ109,979千円増加しました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益を109,979千円計上したことによるものであります。
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比べて416,730千円増加し、613,054千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は以下の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、92,204千円の収入(前連結会計年度は154,403千円の支出)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益を89,408千円、のれん償却額を38,638千円、未払消費税等の増額を47,796千円計上した一方で、売上債権が64,300千円、棚卸資産が61,324千円、それぞれ増加したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、28,274千円の支出(前連結会計年度は306,992千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が4,422千円、無形固定資産の取得による支出が24,837千円あったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは353,088千円の収入(前連結会計年度は314,109千円の収入)となりました。これは、短期借入金の増加額が50,002千円、長期借入れによる収入が410,000千円あった一方で、長期借入金の返済による支出が105,696千円あったこと等によるものであります。
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
当連結会計年度における仕入実績は、次の通りであります。なお、当社グループの事業セグメントは、コミュニティデータプラットフォーム事業の単一セグメントであり、セグメント情報を記載していないため、事業領域別に記載しております。
(注) エンタープライズ領域は、提供するサービスの性格上、仕入実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績は、次の通りであります。なお、当社グループの事業セグメントは、コミュニティデータプラットフォーム事業の単一セグメントであり、セグメント情報を記載していないため、事業領域別に記載しております。
(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、次の通りであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成において適用する会計基準等につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」、「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載の通りです。
(売上高)
当連結会計年度の売上高は2,374,756千円(前年同期比29.5%増)となりました。これは主に、『プロコミュニティs』という質の高いインフルエンサーや一般消費者の口コミや投稿をSNS上に増やすことができるサービスを中心としてエンタープライズ領域のマーケティング・DXに関する売上が伸長したことに加え、当社グループのデータクラウドの一つである『アドスタ byCCXcloud』の利用拡大が売上の成長に寄与しました。『アドスタ byCCXcloud』は広告予算の少ない中小企業を多数抱える媒体と協業する営業戦略が売上成長の要因となりました。また、コンシューマ領域についてはオーラル美容ブランド『MiiS』を中心に、国内ECといった特定の販路に依存せず、卸販売や海外販売といった多角的な販路を通じた収益化を進めました。合わせて、エンタープライズ領域とコンシューマ領域で『CCXsocial』など共通のデータ分析基盤を持つことで、コンシューマ領域から得られたデータ分析結果をエンタープライズ領域の顧客提案に活用するなど、エンタープライズ領域とコンシューマ領域を両方持つ当社グループの強みが発揮されました。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は1,088,416千円(前年同期比32.4%増)となりました。これは主に、エンタープライズ領域のデータクラウドの一つである『アドスタ byCCXcloud』の拡大による広告原価の増加に加え、『MiiS』を中心としたコンシューマ領域の売上拡大による商品原価、支払報酬等の増加によります。この結果、売上総利益は1,286,340千円(前年同期比27.1%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業損益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は1,198,353千円(前年同期比1.7%増)となりました。これは主に広告宣伝費・販売促進費や人件費等の必要な諸経費によるものであります。売上の成長に加え、コンシューマ領域を中心とした選択と集中による一部ブランドの撤退や業務効率化を通じた販売管理費の削減を行った結果、営業利益は87,986千円(前年同期は営業損失166,712千円)となり黒字化しました。
(営業外損益、経常損益)
当連結会計年度の営業外収益から営業外費用を差し引いた営業外損益の純額は、1,581千円の利益となりました。これは主にクレジットカードのポイント還元による受取手数料と支払利息によるものであります。その結果、経常利益は89,568千円(前期同期は経常損失166,976千円)となりました。
(特別損益、法人税、住民税及び事業税、親会社株主に帰属する当期純損益)
当連結会計年度の特別損失は△159千円となりました。これはコンシューマ領域の事業譲渡損によるものです。法人税等合計は、△20,571千円となりました。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は109,979千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失121,928千円)となりました。
なお、財政状態の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に、キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、インフルエンサーへの報酬、販売商品の仕入原価、コンテンツ制作原価等の売上原価や、人件費や地代家賃等の販売費及び一般管理費といった営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、新規サービスの開発費等であります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としておりますが、新規株式発行による外部からの資金調達についても資金需要の額や用途、当該タイミングにおける金利及び資本コストを比較した上で優先順位を検討して実施することを基本としております。現時点で、短期的な資本の財源及び資金の流動性に問題はありませんが、今後も資金の残高及び各キャッシュ・フローの状況を常にモニタリングしつつ、資本の財源及び資金の流動性の確保・向上に努めてまいります。
また、資金の流動性の確保に関して、通常の融資に加え各金融機関合わせて2億円の当座貸越枠を確保しております。
なお、当連結会計年度末における借入金の残高は681,644千円となっており、現金及び現金同等物の残高は638,054千円となっております
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載の通り、さまざまなリスク要因が当社の経営成績に影響を与えるおそれがあることを認識しております。
これらリスク要因の発生を回避するためにも、運営する事業の強化、人員増強、財務基盤の安定化等、継続的な経営基盤の強化が必要であるものと認識し、実行に努めております。
経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
当社グループの経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載の通りです。
該当事項はありません。
該当事項はありません。