当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項の発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
また、当社の経営に重要な影響を及ぼす事象は存在しておりません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
① 事業全般の概況
当中間連結会計期間における我が国の経済は、物価高による節約志向の高まりなどから個人消費は持ち直しに足踏みがみられるものの、雇用・所得環境の改善などにより景気全体は緩やかな回復が続くと期待されております。世界経済においては、持ち直しの傾向が続くと期待される一方、欧米における高い金利水準の継続に伴う影響や中国経済の先行き懸念、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響など、その先行きについては依然として不透明な状況にあります。
このような状況の中、当社グループは、2023年より「第8次中期経営計画(2023年12月期~2025年12月期)」を推進し、グローバルで急速に変化し続ける事業環境に柔軟に対応し、サステナブルな成長を確かなものとするため、3つの基本戦略(ブランド戦略、基幹商品戦略、地域戦略)の着実な実行による既存事業領域での持続的な成長に加え、自社の知見が活用できる新たな成長領域の探索・育成にも注力することで、事業構造の再構築を積極的に行っております。そして、事業の成長はもとより、私たちの存在意義である「赤ちゃんをいつも真に見つめ続け、この世界をもっと赤ちゃんにやさしい場所にします」を実現させるため、各施策の実行に取り組んでおります。
当中間連結会計期間においては、売上高は円安の影響を含め中国事業、ランシノ事業が牽引したことで513億13百万円(前年同期比6.9%増)となりました。利益面においては、増収による売上総利益の増加が見られた一方、主に中国事業において哺乳器やベビースキンケアカテゴリの売上高・市場シェア回復に向けた積極的な販管費の投下もあり、営業利益は58億22百万円(同10.6%減)、経常利益は64億31百万円(同9.6%減)、親会社株主に帰属する中間純利益は35億74百万円(同21.7%減)となりました。
また、ピジョンホームプロダクツ株式会社の新工場竣工に関連した自治体からの補助金の交付に伴い、第1四半期連結累計期間に、補助金収入6億48百万円を特別利益に計上するとともに、この補助金収入に係る固定資産圧縮損6億48百万円を特別損失に計上しました。
なお、2024年4月1日付で、当社が保有していたピジョン真中株式会社の全保有株式(議決権所有割合:67.0%)を丸光産業株式会社へ譲渡しました。本株式譲渡に伴い、当中間連結会計期間より、当該会社は当社の連結範囲から除外しております。
なお、当中間連結会計期間の海外連結子会社等の財務諸表項目(収益及び費用)の主な為替換算レートは次のとおりです。
・米ドル:152.14円(134.95円)
・中国元: 21.08円( 19.46円)
注:( )内は前年同期の為替換算レート
② セグメント別の概況
当社グループの報告セグメントは、「日本事業」、「中国事業」、「シンガポール事業」及び「ランシノ事業」の計4セグメントとなっております。各セグメントにおける概況は以下のとおりです。
<日本事業>
当事業は、「ベビーケア」、「子育て支援」、「ヘルスケア・介護」等で構成されております。当事業全体の売上高は180億2百万円(前年同期比2.2%減)、セグメント利益は10億40百万円(同12.0%減)となりました。
ベビーケア(育児及び女性向け用品)の売上高は前年同期を上回りました。前年に実施した哺乳器・乳首を含むベビー関連用品の一部価格改定による効果のほか、基幹商品である哺乳器・乳首に加え、新規領域である育児家電カテゴリも「電動鼻吸い器 SHUPOT(シュポット)」を中心に販売が好調に推移しました。また、今年2月より新商品として発売を開始した、お風呂あがりのぬれた肌へ直接ミストを吹きかけて使える、塗り広げ不要の時短スキンケア「うるおいミスト乳液」は、発売開始後1カ月半で15,000店舗以上の小売店へ配荷を広げるなど、好調なスタートを切っております。
また、コミュニケーション施策の一環として、「インスタライブ」などのSNSを活用した商品紹介や販売促進に加え、医療従事者向けのオンラインセミナーなどを複数回開催したほか、4月には、2023年生まれの赤ちゃんを対象とした「第38回 ピジョン赤ちゃん誕生記念育樹キャンペーン植樹式」を開催するなど、継続的なブランド強化に取り組んでおります。
ヘルスケア・介護用品については、主力商品であるおしりふきなどの消耗品に加え、清拭用品や、今年2月より発売した新商品「薬用口腔ケアジェルプラス」などの口腔ケア用品の販売強化に取り組みました。なお、2024年4月1日付で、当社が保有していたピジョン真中株式会社の全保有株式(議決権所有割合:67.0%)を丸光産業株式会社へ譲渡しました。
子育て支援については、事業所内保育施設等55箇所にてサービスを展開しており、今後もサービス内容の質的向上を図りながら事業を展開していきます。
なお、日本事業の中に含まれている海外向け輸出に関しては、引き続き主に中国向けにおいてALPS処理水による影響を受け売上高が減少しました。
<中国事業>
当事業の売上高は196億29百万円(前年同期比8.7%増)、セグメント利益は51億49百万円(同6.3%減)となりました。
中国本土では、前年第4四半期に発生したALPS処理水海洋放出の影響による売上高の急減からの着実な回復に向け、継続的なブランド露出及び販売促進活動の強化を実施した結果、現地通貨の売上高は前年同期を上回りました。高月齢の赤ちゃん向け哺乳器「自然離乳シリーズ」や、24年3月に発売を開始したキッズ向けの大容量ドリンキングボトルの販売も好調に推移するなど、ベビー向け製品に加え、出生数減少への対応策の一環であるエイジアップ商品の充実も継続的に強化しております。
消費者コミュニケーションでは、動画プラットフォームTikTokの中国本土版「Douyin(抖音)」をはじめとしたSNS上でのブランド露出のさらなる拡大に加え、ライブコマース等のデジタルマーケティングの強化により、自社旗艦店を含むECチャネルでの販売が好調に推移しました。
また、当事業が管轄する韓国及び北米市場においては、当中間連結会計期間も現地販売子会社を起点としたブランド強化及び販売・マーケティング活動に取り組みました。
<シンガポール事業>
当事業の売上高は70億94百万円(前年同期比7.4%増)、セグメント利益は9億54百万円(同13.6%増)となりました。
当事業が管轄するASEAN地域及びインドでは、主要市場において前年から続く出荷調整がほぼ終了したほか、円安による為替効果もあり売上高は前年同期を上回りました。当事業が注力している基幹商品カテゴリにおいては、哺乳器・乳首のブランド強化や、ベビースキンケアの販売拡大に注力したほか、新商品として哺乳器の地域限定デザインモデルや、ママ向けのスキンケア「ナチュラル・ボタニカル・マタニティ」シリーズを発売しました。引き続き、上位中間層以上のお客様をターゲットとし、基幹商品である哺乳器・乳首及びベビースキンケアを中心に積極的な販売・マーケティング活動を展開していきます。
<ランシノ事業>
当事業の売上高は100億92百万円(前年同期比15.6%増)、セグメント利益は4億62百万円(同33.6%増)となりました。
主力市場である北米においては、前年に発生した粉ミルク供給不足の解消に伴う反動減の影響は引き続き見られた一方で、さく乳器の新モデル及び産前・産後ケア商品の販売が好調に推移したこともあり、現地通貨の売上高は前年同期を上回りました。また、ドイツ、イギリスを含む欧州においても、乳首クリームや産前・産後ケア商品の販売が好調に推移し、現地通貨の売上高は前年同期を上回りました。
利益においては、海上輸送費の低下や商品ミックスの変化による総利益率の改善が引き続き見られております。
(資産)
当中間連結会計期間末における資産の残高は1,083億92百万円となり、前連結会計年度末と比べ79億52百万円の増加となりました。流動資産は88億60百万円の増加、固定資産は9億8百万円の減少となりました。
流動資産の増加の主な要因は、受取手形及び売掛金が69億34百万円、現金及び預金が9億77百万円、商品及び製品が8億55百万円増加したことによるものです。
固定資産の減少の主な要因は、建物及び構築物が4億1百万円減少したことによるものです。
(負債)
当中間連結会計期間末における負債の残高は234億38百万円となり、前連結会計年度末と比べ40億85百万円の増加となりました。流動負債は36億48百万円の増加、固定負債は4億36百万円の増加となりました。
流動負債の増加の主な要因は、電子記録債務が7億63百万円減少したものの、その他流動負債が18億88百万円、支払手形及び買掛金が18億20百万円増加したことによるものです。
固定負債の増加の主な要因は、その他固定負債が3億83百万円増加したことによるものです。
(純資産)
当中間連結会計期間末における純資産の残高は849億53百万円となり、前連結会計年度末と比べ38億66百万円の増加となりました。
純資産の増加の主な要因は、利益剰余金が9億76百万円減少したものの、為替換算調整勘定が50億81百万円増加したことによるものです。
(2)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ9億77百万円増加し、353億35百万円となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は41億71百万円(前年同期は53億38百万円の獲得)となりました。これは主に売上債権の増加額51億15百万円等の減少要因に対し、税金等調整前中間純利益61億43百万円、減価償却費23億45百万円等の増加要因によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は35百万円(前年同期は31億90百万円の支出)となりました。これは主に補助金の受取額6億48百万円等の増加要因に対し、有形固定資産の取得による支出10億29百万円等の減少要因によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は56億35百万円(前年同期は52億2百万円の支出)となりました。これは主に配当金の支払額45億48百万円、非支配株主への配当金の支払額5億4百万円等によるものです。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
① 経営方針
当社グループでは、社員一人ひとりが大切にする企業理念として「Pigeon DNA・Pigeon Way」を設定しております。「Pigeon DNA」は経営理念と社是で構成され、ピジョンの核であり、この先も貫いていくものです。「Pigeon Way」は、存在意義、基本となる価値観、行動原則で構成されており、私たちの“心”と“行動”の拠り所であり、すべての活動の基本となる考え方です。
私たちピジョングループは、Pigeon Wayの軸である存在意義(赤ちゃんをいつも真に見つめ続け、この世界をもっと赤ちゃんにやさしい場所にします)の実現に向けて、5つの重要課題(マテリアリティ)を設定し、事業活動を行うすべての国・地域において、環境負荷を減らし、赤ちゃんとご家族を取り巻く社会課題の解決をすること、さらに新しいビジネスにも挑戦することで、社会になくてはならない存在として持続的な成長と企業価値の向上を目指してまいります。
② 事業環境
当社グループを取り巻く事業環境は、主力市場である日本・中国をはじめ世界的に出生数が減少する中、原材料及びエネルギー価格等の高騰による物価高や、コロナ禍を経たお客様の価値観・消費行動の変化等の影響を受けております。また、世界経済の先行きに対する不透明感の増加や地政学的リスクの高まりなどもある中、各種環境の変化は目まぐるしく、将来の予測が非常に困難な状況にあります。
一方、当社グループにおける主要市場の一角を担う中国では少子化が進行しているものの、経済力や出生数からも依然として巨大市場であることに変わりは無く、それに加えてアジア各国やその他新興国等においても出生数の大きな市場が複数存在し、中長期的にはEコマースの浸透・発達や経済成長に伴う消費の拡大等が見込まれております。さらに、世界的には当社グループが未参入の市場も多く、これら既存及び新規市場における事業活動の強化・深耕によって、今後の成長が十分期待できるものと考えております。
③ 経営戦略
このような環境の中、当社グループは2023年12月期を初年度とする「第8次中期経営計画(2023年12月期~2025年12月期)」を推進し、グローバルで急速に変化し続ける事業環境に柔軟に対応し、サステナブルな成長を確かなものとするため、下記に示す3つの基本戦略を着実に実行してまいります。また既存事業領域での持続的な成長はもとより、自社の知見が活用できる新たな成長領域の探索・育成にも注力することで、事業構造の再構築を積極的に行ってまいります。
1.ブランド戦略:
存在意義を企業活動の軸とし、商品を通じたブランド力向上に注力する。
2.商品戦略:
ものづくりを強化し、自社の優位性を活かせる哺乳器・乳首、ベビースキンケアへの集中と新規領域の探索を行う。
3.地域戦略:
各事業での自己完結体制を強化し、市場特性に合わせた生産・販売体制の革新による効率化や収益性改善、サプライチェーンの安定化、新規市場への拡大準備を積極的に行う。
既存事業領域においては、自社の優位性・競争力を活かせる基幹商品として、特に哺乳器・乳首、ベビースキンケアカテゴリをさらに強化するべく、ライフスタイル提案、新素材の検討、環境やローカルニーズへの対応など、ポストコロナの社会変化に沿った製品・サービスの充実を図ります。合わせて、各事業における各種商品・販売戦略の抜本的な見直しやサプライチェーン改善等の構造改革の実行によって、持続的な成長を目指してまいります。
一方、当社グループが未参入、かつ自社優位性の応用が期待できる領域として、顧客ターゲットの拡張につながるキッズ向け商品(エイジアップ)や、顧客親和性の高い女性ケア商品などをはじめとする新規商品カテゴリの創出・育成や、アフリカ地域をはじめとした新規市場への参入なども積極的に検討することで、次世代の成長を担う新規領域の探索・育成にも注力してまいります。
加えて、当社グループ全体を統括するグローバルヘッドオフィス(GHO)の機能は引き続き強化するとともに、事業の運営と成長を担う4つの事業部門(日本事業、中国事業、シンガポール事業及びランシノ事業)の役割と責任を明確にし、相互に連携することで、事業の永続的な成長及びコーポレートガバナンス等の経営基盤の強化を図ってまいります。
なお、当社グループにおける事業継続計画につきましては、既に構築されておりますグローバルリスクマネジメント体制をより一層充実させてまいります。また、当社では、Pigeon ESG/SDGs基本方針を設定し、環境(E)、社会(S)及びガバナンス(G)の観点から持続可能なオペレーションを追求するとともに、製品やサービスの提供による新たな価値の創造により、SDGsに代表される社会課題の解決に貢献すべく事業活動を展開してまいります。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はなく、また、新たな発生もありません。
(6)研究開発活動
当中間連結会計期間における当社グループの研究開発費の総額は16億60百万円です。
なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。