第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当中間連結会計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

 

継続企業の前提に関する重要事象等について

 当社グループは、前連結会計年度まで3期連続で営業損失を計上し、当期での黒字化に向けて概ね計画通り進捗しているものの、当中間連結会計期間において営業損失を計上しており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象又は状況が発生していると認識しております。

 これは主に、広告・マーケティング市場における市場環境の急速な変化や、中国経済の低迷や為替相場の変動など世界経済の影響を受けた子会社の継続的な不調によるものであります。

 このような状況の下、当社グループでは成果報酬での「KPI保証サービス」からサービスを拡張した「通販DX事業」、異業種へのサービスを展開する「マーケティングDX事業」、「新規事業」の3軸で再成長を図るべく、社内リソースの適材配置等を実施しております。

 「通販DX事業」ではブランディング広告やTVCM、インフルエンサー施策等、従来であれば効果測定が難しかった施策に対し、クライアント独自のDMPを構築し「PIALA INTELLIGENCE」と連携することで、可視化・分析が可能となります。TVCM効果を可視化するサービス「CM-UP」や、オフライン広告とWebを連動する「オフラインDXサービス」、ミドルファネル施策、インフルエンサー施策、LINEマーケティング施策、公式SNSアカウント運用、インフォマーシャル等のサービスを提供し、これらのデータを一気通貫で可視化・分析します。これらのサービスにより、消費者にクライアント商品を認知させ、興味・関心を促進することで、新規顧客の獲得を促すことが可能となり、各種施策を相関分析することでマーケティング全体を最適化することができます。Webを中心としたKPI保証サービスを通じた新規顧客の獲得や既存顧客の育成の効率も、これら施策と組み合わせることで相乗効果を期待することができます。

 また、ヘルスケア&ビューティ及び食品市場を中心にこれらのサービスを提供してきたものを異業種展開する「マーケティングDX事業」は、人材や金融、不動産、美容健康などの店舗等の高額商材を取り扱う市場を中心にニーズが高まっております。ヘルスケア&ビューティ及び食品市場のマーケティングは異業種と比較し高速PDCAが実施されており、そのスピード感が優位性となります。また当社が今まで培ってきたダイレクトマーケティングのノウハウや高い分析力が強みとなり、受注は堅調に推移しております。

 3軸目である「新規事業」につきましては、株式会社サイバースターの行うエンタメDX事業や株式会社P2Cで行うD2C・P2C支援事業を中心に新たな収益を確立するための事業として注力しております。

 また財務面では、取引銀行との当座貸越契約等により必要な運転資金を確保しており、金融機関とも緊密な関係を

維持していることから資金繰りの懸念は無いものと考えております。

 以上のことから、現時点で当社グループにおいて、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと

判断しております。

 

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(2)経営成績の状況

 当中間連結会計期間におけるわが国経済は、インバウンド需要の復調や雇用・所得環境の改善が進むなど、国内経済活動は緩やかに回復に向けた動きを見せている一方で、円安の継続・原材料価格の高騰による物価上昇、欧州・中国経済の低迷等による影響で、世界経済の先行きは依然として不透明な状況が続いております。

 当社グループの主要な事業領域であるヘルスケア&ビューティ及び食品市場においては、生成AIを活用した広告制作やターゲティング、コンテンツ・映像制作等を行う企業が増加してきており、様々な用途で利用され効率化や最適化が進んでおります。店頭との連動やオフライン、縦型動画の活用など手法が増え、クライアントの予算は増加傾向にあります。また、Cookie規制によるリターゲティング広告の減少が進む一方で、サードパーティーcookieに頼らない広告手法の確立が徐々に顕在化してきております。

 このような状況下において、当社グループは「全てがWINの世界を創る」という経営理念のもと、「Smart Marketing For Your Life」をビジョンに、クライアントのオールデータパートナーとなるべく、ヘルスケア&ビューティ及び食品市場の通販DX事業を軸に、事業開発から商品開発、インフラ整備、ブランディング、オンライン・オフラインでの新規顧客の獲得から既存顧客の育成等を、一気通貫の専門ソリューションとして提供してまいりました。2023年12月期からを第3創業期と位置づけ、「通販DX事業」「マーケティングDX事業(異業種展開)」「自社事業(新規事業)」の3軸からなる成長戦略のもと、ブランド価値創造企業として、さらなる成長を目指してまいります。

 

 既存事業におきましては、景表法の規制強化等で依然として厳しい状況が続いており、生成AIの活用など取り巻く環境の変化が著しい中で、成長戦略の1軸目である「通販DX事業」に注力しました。「通販DX事業」は、Webでの顧客獲得施策である「KPI保証サービス」から、ブランディング広告やTVCM等にも事業領域を拡大し、オンライン・オフラインのデータを一気通貫で分析し広告効果を効率化します。分析環境の構築を実施しつつ、サービス別ではオフライン広告とWebを連動するサービス「オフラインDX」、SNS上での発話量を増加させることでコストを抑えることのできる「SNSellマーケティング」、ミドルファネル施策、インフルエンサー施策、LINEマーケティング施策に注力した結果、「通販DX事業」の売上は堅調に推移いたしました。

 これは、子会社であるone move株式会社を筆頭にSNSを使った効率的な戦略である「SNSellマーケティング」に注力したこと、2024年3月から新たに当社グループに加わった株式会社ジョシュアツリーとの連携で納品力が向上したことが大きな要因です。

 

 2軸目の成長戦略である「マーケティングDX事業(異業種展開)」につきましては、引き続き人材や金融、不動産、美容健康などの店舗等を中心に展開しました。ヘルスケア&ビューティ及び食品市場のマーケティングは異業種と比較し高速PDCAが実施されており、そのスピード感が優位性となります。また、当社が今まで培ってきたダイレクトマーケティングのノウハウ、高い分析力が強みとなり、受注は計画以上に推移しております。取引社数は概ね計画通りではあるものの、粗利額は想定を下回って推移していること、成長領域であるマーケティングDX事業に、引き続き人材を投資したことで黒字化には至っておりませんが、クロスセル及び最適化を進めることで改善を図ってまいります。

 

 3軸目の成長戦略である「自社事業(新規事業)」につきましては、VTuber領域において、VTuber「音狼ビビ(ねろうびび)」がYouTube配信やX投稿を積極的に行っていることや、2024年6月にリアルイベントを開催したこともあり、チャンネル登録者数・フォロワー数共に着実に増加して認知を拡大しております。

 5社共同での新規IPプロジェクト「らぶフォー」では、らぶフォーから生まれた5人組ユニット「DIVINE」の1st oneman LIVE「THE MAGICIAN -魔術師-」の開催決定など積極的な活動を続けており、引き続きコンテンツ拡充に注力いたします。

 クリエイターエコノミー支援プラットフォーム「CYBER STAR(サイバースター)」はオンラインくじシステム「サイバースターカプセル」を複数案件に提供するなど案件獲得は順調で売上も徐々に増加しているものの、黒字化には今暫く時間を要している状況です。引き続きタレントや、レーベル、IPコンテンツホルダーなどのエンタメ業界等において活動を行う方々や企業に対して、収益向上を図るための包括的な活動を支援するとともに、ユーザーに対してもこれまでにない体験価値を提供することができるプラットフォームとして、更なるサービス改善に努めてまいります。

 なお、2024年4月1日付で自社事業であるエンターテイメントDX事業を新設分割した「株式会社サイバースター」に事業承継いたしました。今後はよりフレキシブルな運用体制にすることで事業拡大を目指してまいります。

 

 当社の連結子会社である株式会社P2C(※1)では、「TONYMOLY」の日本における独占販売権を持つ伊藤忠商事株式会社と業務提携し、「TONYMOLY」のブランディングパートナーとなり、独占販売特約店としての販売業務及びマーケティング支援を実施しております。2024年4月には株式会社ロフトが開催する「ロフト Kコスメフェスティバル 2024SS」に出店したことで「TONYMOLY」への問い合わせが増加、出店するECモールにおいてもイベントでの売上が好調に推移したものの、オンライン販売での送料価格が引き続き課題となっており早急な改善を目指してまいります。

 その他、料理研究家でありYouTuberでもあるリュウジさん監修の、指定医薬部外品「良朝丸(※2)」は店舗やECモールで順調に売上を増やしております。

 

※1 株式会社P2C

P2C(個人が自身で企画、生産した商品を中間業者や小売店を挟むことなく、消費者へ直接販売する取引形態)やD2C(メーカーやブランドが、自社で企画・生産した商品を、流通業者を介さずに、自社サイトで直接消費者に販売するビジネスモデル)を支援する会社

※2 販売名:レイスターズ

 

 投資関連では、当中間連結会計期間において、連結子会社である株式会社ピアラベンチャーズにて設立したファンド「ピアラベンチャーズ1号投資事業有限責任組合」において、新たな投資先を選定していたものの、実行には至っておりません。引き続き新規の投資先の検討を進めるほか、現在の投資先における未来の動向も注視してまいります。

 

 業績回復施策の一環として子会社や新規サービス、事業において不採算サービスの縮小や撤退を行うべく検討した結果、引き続き一部の子会社では事業内容の縮小や販管費の圧縮等を進めております。今後も当社資産を有効に活用するべく選択と集中を行ってまいります。

 

 以上の結果、当中間連結会計期間における売上高は、5,927,821千円(前年同期比20.5%増)となりました。

 売上総利益は、982,901千円(前年同期比1.7%増)となりました。これは売上原価を4,944,919千円(前年同期比25.1%増)計上したことによるものであります。

 営業損失は、174,611千円(前年同期は営業損失104,732千円)となりました。これは販売費及び一般管理費を1,157,512千円(前年同期比8.0%増)計上したことによるものであります。

 経常損失は、153,716千円(前年同期は経常損失78,143千円)となりました。これは営業外収益として為替差益を21,376千円計上した一方で、営業外費用として支払利息を7,917千円計上したことによるものであります。

 税金等調整前中間純損失は、177,673千円(前年同期は税金等調整前中間純損失86,317千円)となりました。これは主に、特別損失として当社グループが保有する固定資産について、事業環境の悪化及び今後の見通しの不確実性を勘案し、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、将来の回収可能性を慎重に検討した結果、固定資産の一部について、帳簿価額を回収可能額まで減額し、減損損失27,483千円を計上したことによるものであります。

 親会社株主に帰属する中間純損失は、185,830千円(前年同期は親会社株主に帰属する中間純損失86,814千円)となりました。これは法人税等合計を6,168千円(前年同期比180.3%増)計上したことによるものであります。

 なお、当社グループはEC支援事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

(3)財政状態に関する分析

(資産)

 流動資産は、前連結会計年度末に比べ1,020千円減少し、3,056,372千円となりました。これは主に受取手形及び売掛金が472,375千円、前渡金が29,091千円増加した一方で、現金及び預金が542,873千円減少したことによるものであります。

 固定資産は、前連結会計年度末に比べ172,784千円増加し、658,777千円となりました。これは主にのれんが135,472千円増加したことによるものであります。

 この結果、当中間連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ171,764千円増加し、3,715,150千円となりました。

(負債)

 流動負債は、前連結会計年度末に比べ339,851千円増加し、3,091,781千円となりました。これは主に、1年内返済予定の長期借入金が73,683千円減少した一方で、買掛金が353,457千円、未払金が128,894千円増加したことによるものであります。

 固定負債は、前連結会計年度末に比べ13,748千円増加し、222,521千円となりました。これは主に、長期借入金が12,909千円増加したことによるものであります。

 この結果、当中間連結会計期間末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ353,600千円増加し、3,314,302千円となりました。

(純資産)

 当中間連結会計期間末における純資産は、前連結会計年度末に比べ181,835千円減少し、400,847千円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する中間純損失の計上185,830千円等により利益剰余金が182,630千円減少したことによるものであります。

 

(4)キャッシュ・フローに関する分析

 当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ542,873千円減少し、当中間連結会計期間末には1,409,807千円となりました。

 当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により使用した資金は、280,595千円となりました。これは主に税金等調整前中間純損失177,673千円に、売上債権の増加額411,949千円及び仕入債務の増加額318,751千円を調整したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により使用した資金は、99,595千円となりました。これは主に連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出70,402千円、無形固定資産の取得による支出38,163千円があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により使用した資金は、149,094千円となりました。これは主に長期借入れによる収入100,354千円があった一方で、長期借入金の返済による支出188,766千円、短期借入金の純減少額38,931千円があったことによるものであります。

 

(5)経営方針・経営戦略等

 当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(7)研究開発活動

 該当事項はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

(連結子会社の異動(株式譲渡))

 当社は、2024年7月22日開催の取締役会において、当社の連結子会社である株式会社PIALab.の全株式を株式会社GREENINEに譲渡することを決議し、2024年7月29日に株式譲渡契約を締結いたしました。なお、株式譲渡を行う日は、2024年8月26日の予定であります。

 詳細は、「第4 経理の状況 1 中間連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。