当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書(上場子会社含む)に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
なお、急激な為替の変動及びウクライナ情勢等による当社グループの事業等への影響は、今後状況の経過により当社グループの財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(継続企業の前提に関する重要事象等)
当社グループは、複数の事業を運営している中で、情報通信関連事業において新型コロナウイルス感染症の拡大により調達難等の影響を受けたことで、2022年12月期の連結会計年度から継続して営業損失を計上し、当中間連結会計期間においても引き続き営業損失を計上していることから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。
当社グループは、このような状況を解消するため、情報通信関連事業では、市場の安定的かつ高い成長率が期待できるリユース関連事業に経営資源を集中させる体制へと移行し、当中間連結会計期間においては売上高2,624,838千円(前年同期2,209,729千円)となりました。当連結会計年度では、情報通信関連事業を展開する子会社であるReYuu Japan株式会社単体での営業利益の黒字化を見込んでおります。加えて、連結においても通期での黒字化を見込んでおります。
一方で、資金面においては、2024年3月22日付で株式会社紀陽銀行と新たに2億円を極度額とする当座貸越契約を締結するなど、当初計画通り取引金融機関からの支援を継続的に得られており、当面の間、十分な資金を維持することが可能と認識しております。
以上のことから、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
(経営成績の状況)
当中間連結会計期間における我が国経済は、コロナ禍が明け、経済のさらなる回復が期待されております。一方で、為替の変動による資源価格の上昇やウクライナや中東情勢の不安定化により、物価高騰・人件費高騰が発生しており、依然として先行きは不透明な状況が続いております。
当社グループでは、「おもてなしテクノロジーで人を幸せに」をコアバリューに据え、「企業と顧客をつなぐDXクラウドサービス」をコンセプトに事業を推進しています。
新型コロナウイルス感染症拡大以降、リモートワーク等の働き方改革、デジタルトランスフォーメーション(以下、「DX」という)、不正口座利用問題によるオンライン本人確認(eKYC等)やマイナンバーカードを利用した公的個人認証サービス(JPKI:Japanese Public Key Infrastructure)、多要素認証(MFA:Multi-Factor Authentication)ニーズ等を受け、非対面取引に関する市場が急拡大しております。
当社グループが事業展開する主要マーケットの1つである、国内デジタルマーケティング市場は、2020〜2025年にCAGR(年平均成長率)7.2%の6,102億円(※1)と高い成長率が見込まれます。また、国内DX市場規模は、2030年には8兆350億円に拡大する見通しである一方(※2)、DXに「既に取り組んでいる」と回答した中小企業は2023年時点でわずか14.6%であり(※3)、中小企業を中心としたDXには大きな伸びしろがあると考えております。
また、2023年に広く認知されたChatGPTをはじめとする大規模言語モデル(LLM:Large Language Model)により、AI関連市場が大きく変化を遂げております。LLMを活用した対話AIサービスは2027年度までに市場規模は約6,905億円に成長する見通しであり(※4)、現在も業界やサービスを問わず、その連携領域を広げています。
今後も、これらの成長市場に対して、当社グループの培ったユーザビリティの高い技術を活用し、社会の「不」を解消する価値の高いサービスを積極的に提供してまいります。
なお、連結子会社は投資関連事業を行う株式会社Showcase Capitalと情報通信関連事業を行うReYuu Japan株式会社(東証スタンダード:9425 以下、「ReYuu社」という)の2社となります。
※1 IDC 国内デジタルマーケティング関連サービス市場 セグメント別/産業分野別予測、2020~2025年より
※2 富士キメラ総研『2024 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望 市場編』より
※3 独立行政法人 中小企業基盤整備機構『中小企業のDX推進に関する調査(2023年)』より
※4 株式会社シード・プランニング『2023年版 対話AIビジネスの現状と将来展望~ChatGPT・GPT-4を含む大規模言語モデル(LLM)がもたらす新市場~』より
このような状況のもと、当中間連結会計期間における売上高は3,338,782千円(前年同期比1.6%減)、営業損失は122,993千円(前年同期は営業損失124,688千円)、経常損失は133,749千円(前年同期は経常損失130,690千円)、親会社株主に帰属する中間純損失は145,844千円(前年同期は親会社株主に帰属する中間純損失47,338千円)となりました。
セグメント別の状況は以下のとおりであります。
① DXクラウド事業
今年度の最注力戦略の一つに、企業と顧客をつなぐノーコードプラットフォームである「おもてなしSuite」の販売拡大が挙げられます。当中間連結会計期間におきましては、その戦略の中でも核となるサイボウズ株式会社(東証プライム:4776)との連携を引き続き強化しており、「kintone(キントーン)」連携機能の販売実績は計画通り推移しております。今後も「おもてなしSuite」はkintoneとの連携を軸に、フォーム作成やチャット等のWeb接客ソリューションの統合プラットフォームとして、企業や自治体への導入を進めてまいります。
オンライン本人確認/eKYCサービス「ProTech ID Checker(プロテック アイディー チェッカー)」の利用企業は金融機関、中古品買取事業者等の古物商、法律事務所、レンタルショップなど多岐に亘っています。MRRの伸びも堅調で、導入企業数の拡大とともに単価の向上が期待できます。またProTechシリーズとしては、あらゆる書類の読み取りが可能な「ProTech AI-OCR」等の新サービスの投入も順次開始しており、更に多くの「不」を解消できるように、推進してまいります。
また当社の基盤サービスであるEFOツール「FormAssist」は、入力フォーム最適化市場:ベンダー別売上金額シェアで10年連続(2014~2023年度予測)No.1を獲得しました(※5)。当中間期においてはメガバンクへの導入が決定するなど、堅調に販売実績を積み重ねております。
ショーケースLLM Labsでは、「おもてなしSuite」内の機能のひとつである、AIによる無人チャットボットサービスにおいてLLM等の生成AIを活用した学習データを自動作成する機能を追加するなどの取り組みを行っています。2024年6月には「kintone」での業務をサポートする AI アシスタント「Associate AI Hub for kintone」のβ版をリリースしました。当社ではこれらの取り組みを通じて、企業の業務効率化等の課題解決に寄与いたします。
※5:出典:ITR「ITR Market View:メール/Web/SNSマーケティング市場2024」入力フォーム最適化市場規模推移および予測(2014年~2023年度予測・売上金額)
以上の結果、DXクラウド事業全体における売上高は546,272千円(前年同期比18.1%減)、セグメント利益(営業利益)は126,883千円(前年同期比49.7%減)となりました。
② 広告・メディア事業
(オウンドメディア)
主力となるスマートフォン情報メディアをはじめとして、複数のライフスタイル情報等の比較メディアを中心に、様々なSEOメディアを運用しております。当中間連結会計期間におきましては、一部のメディアにおいてGoogleのアルゴリズム変更により検索順位が低下し、売上高が減少する結果となりました。7月には新たな取り組みとしてこれまでに運用していたメディアを統合し、「ショーケース プラス」を立ち上げました。サーバー等のコスト低減など、効率的な運用を目的として開始した施策となり、下半期の新型iPhone販売シーズンに向け、売上・収益の向上に努めてまいります。
(広告関連サービス)
広告関連サービスについては、従来から提供してきた運用広告関連サービスに加え、顧客のニーズに合わせたSNS広告運用サービス等の提供により、安定的に売上貢献をしております。
以上の結果、広告・メディア事業全体における売上高は152,150千円(前年同期比7.7%減)、セグメント利益(営業利益)は10,612千円(前年同期比66.8%減)となりました。
③ 投資関連事業
投資関連事業を手掛ける株式会社Showcase Capitalは、スタートアップと事業会社やVC・CVCをオンラインでマッチングするプラットフォーム「SmartPitch(スマートピッチ)」等を通じて、スタートアップ・エコシステムの形成の一助となる活動に取り組んでおります。スタートアップの登録数は500社を突破いたしました。また、事業会社等の投資家側も240社以上が登録されています。
今後も事業会社・投資家とスタートアップのマッチングの支援を通じて、スタートアップ・エコシステムへの貢献を目指してまいります。
以上の結果、投資関連事業全体における売上高は11,249千円(前年同期比45.3%減)、セグメント損失(営業損失)は6,636千円(前年同期はセグメント損失(営業損失)6,110千円)となりました。
④ 情報通信関連事業
情報通信関連事業を手掛けるReYuu社におきましては、中古スマートフォンの販売を中心としたリユース関連事業を展開しております。
当中間連結会計期間におきましては、今期より新設した調達専門部署を中心に、リユース業界においては業績への影響が大きい調達力の強化を促進しており、業績の向上に寄与しております。商品の再生や物流を担う管理拠点とも連携して課題解決型の買取提案営業を推進することで、利益率の高い法人からの直接買取案件が増加しております。また、これまで主として取り扱っていたスマートフォン以外に、パソコン等の商材も積極的に買取を進め、取引機会の最大化を図っております。
販売面におきましては、販売・買取・レンタル・商品保証・キッティングを一体化した総合的な端末サービスを強みとして、既存取引先への深耕営業および新規顧客の開拓に取り組んでおります。その中でもReYuu社が優位性を持つMVNO事業者チャネルにおいては、主としてBtoBtoC領域での取引を基盤としながら、BtoBtoB領域での取引拡大に焦点を当てることで更なる事業成長を目指しております。その他の国内取引先である携帯代理店、卸業者、小売業者、一般企業といったチャネルにおいては、上述した調達力の強化が業績の向上に大きく寄与しております。
グローバルチャネルにおいては、為替変動への柔軟な対応を目的として、販売と調達の両面でグローバルな取引環境の整備を進めております。足下においては、円安傾向を追い風として、売上高、利益面ともに当初の想定を上回る結果となりました。
個人向けオンラインチャネルにおいては、販売促進施策の実施とお客様目線での顧客対応により、外部ECモールでの店舗評価が高まっており、前年同期比でも大きな成長を達成しております。また、スマートウォッチのメーカー認定整備済製品の販売を開始する等、ReYuu社の調達ルートを活かした商品ラインナップの充実に取り組んでおります。
以上の結果、情報通信関連事業全体における売上高は2,651,372千円(前年同期比4.0%増)、セグメント損失(営業損失)は34,799千円(前年同期はセグメント損失(営業損失)84,274千円)となりました。
(財政状態)
(資産)
当中間連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ166,736千円増加し、3,627,864千円となりました。この主たる要因は、現金及び預金が147,413千円、のれんが50,365千円減少した一方で、商品が119,651千円、売掛金及び契約資産が117,550千円増加したことによるものであります。
(負債)
当中間連結会計期間末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ332,153千円増加し、2,283,322千円となりました。この主たる要因は、長期借入金(1年内返済予定を含む。)が285,327千円、買掛金が118,835千円増加したことによるものであります。
(純資産)
当中間連結会計期間末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ165,416千円減少し、1,344,541千円となりました。この主たる要因は、親会社株主に帰属する中間純損失の計上により利益剰余金が145,844千円減少したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は20.2%(前連結会計年度末は25.5%)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ87,051千円減少し、1,201,883千円となりました。当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況及び主な変動要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は、238,719千円(前年同期は174,762千円の使用)となりました。主な増加要因は、仕入債務の増加額118,835千円、減価償却費85,739千円、のれん償却額50,365千円であります。主な減少要因は、税金等調整前中間純損失150,556千円、棚卸資産の増加額122,644千円、売上債権及び契約資産の増加額118,320千円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、109,576千円(前年同期は148,691千円の獲得)となりました。無形固定資産の取得による支出107,801千円等により資金を使用したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、261,243千円(前年同期は137,346千円の獲得)となりました。長期借入金の返済による支出214,673千円等により資金を使用した一方で、長期借入れによる収入500,000千円等により資金を獲得したことによるものであります。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当中間連結会計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について、重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
当中間連結会計期間において、当社グループの経営方針・経営戦略等について、重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループの優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について、重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当中間連結会計期間において、研究開発費の発生はありません。
なお、当中間連結会計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当社は、「第2 事業の状況 1 事業等のリスク」に記載のとおり、2024年3月22日付で株式会社紀陽銀行と当座貸越契約を締結しております。
連結子会社であるReYuu社は、2024年2月26日付で株式会社日本政策金融公庫と、2024年3月25日付で株式会社紀陽銀行と、それぞれ金銭消費貸借契約を締結しております。
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借入先 |
株式会社日本政策金融公庫 |
株式会社紀陽銀行 |
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借入金額 |
300,000千円 |
200,000千円 |
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借入期間 |
5年1ヶ月(期限一括返済) |
5年 |
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借入利率 |
当初3年間は固定金利、以降は業績により変動します。 |
変動金利 (基準金利+スプレッド) |
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担保又は保証 |
無担保・無保証 |
無担保・無保証 |