第三部 【参照情報】

 

(訂正前)

第1 【参照書類】

 

会社の概況及び事業の概況等金融商品取引法第5条第1項第2号に掲げる事項については、以下に掲げる書類を参照してください。

 

1 【有価証券報告書及びその添付書類】

事業年度 第25期(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) 2024年3月29日関東財務局長に提出

 

2 【四半期報告書】

事業年度 第26期第1四半期(自 2024年1月1日 至 2024年3月31日) 2024年5月14日関東財務局長に提出

 

 【臨時報告書】

1の有価証券報告書提出後、本有価証券届出書の訂正届出書提出日(2024年8月9日)までに、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第9号の2の規定に基づく臨時報告書を2024年3月29日に関東財務局長に提出

 

第2 【参照書類の補完情報】

 

上記に掲げた参照書類としての有価証券報告書及び四半期報告書(以下、「有価証券報告書等」といいます。)に記載された「事業等のリスク」について、当該有価証券報告書等の提出日以後本有価証券届出書の訂正届出書提出日(2024年8月9日)までの間において変更及び追加すべき事由が生じております。下記は、「事業等のリスク」の変更後の内容を記載したものであり、当該変更及び追加箇所については、_罫で示しております

また、当該有価証券報告書等には将来に関する事項が記載されていますが、当該事項は本有価証券届出書の訂正届出書提出日(2024年8月9日)現在において変更の必要はなく、また新たに記載すべき将来に関する事項もないと判断しております。

 

(1) 遺伝子治療について

遺伝子治療とは、遺伝子を用いて病気を治療することです。世界初の遺伝子治療は1990年に米国で、アデノシン・デアミナーゼ(ADA)欠損症という先天的に免疫が正常に働かない遺伝子疾患を対象に実施されました。その後、遺伝子疾患に加え、有効な治療法がない癌や後天性免疫不全症候群などに対しても、遺伝子治療が実施されてきました。国内でも1995年に北海道大学においてADA欠損症を対象とした初めての遺伝子治療が行われ以来、過去20年以上に亘り数多くの臨床試験が行われてきました。 

遺伝子治療が有効と考えられる対象疾患としてはまず、遺伝子の変異が原因の遺伝子疾患があります。遺伝子疾患では、遺伝子治療により正常な遺伝子を補充することで治療効果が期待しやすいと考えられます。

最近では「ゲノム編集」技術の医療への応用が急速に進歩しています。「ゲノム編集」とは、ヒトゲノムの特定の部位で外因性の遺伝子を追加・挿入、あるいは遺伝子変異を修正・削除できる最新の遺伝子工学技術であり、従来の遺伝子組み換え技術と比べて著しく精度と効率が高いため、今後医療や科学にとって不可欠な技術になるとみられております。

「ゲノム編集」の前段階として、1990年代に本格的に始まった遺伝子治療(Gene Therapy)の研究は患者の骨髄から幹細胞を取り出し、正常な遺伝子をその幹細胞の核に組み込み、再度その細胞を患者の体内へ戻すことにより、正常な遺伝子が体内で機能するようにするものでした。 2010年代になり遺伝子を自在に書き換える「ゲノム編集」(Genome Editing)技術が開発され、その技術は今日ますます発展を遂げております。特に遺伝子異常による難病を持つ患者の治療方法として開発が進んでおり、医療・ヘルスケア業界だけでなく、農業・食品分野に革命的な影響を及ぼしており事業性の面からも注目されております。

 

しかしながら、最新の「ゲノム編集」技術を利用した遺伝子(細胞)治療は新規性が高く有効性が期待されるものの、現段階では未知のリスクを否定できず、幅広い実用化には至らない可能性があります。そのような場合には、当社グループの事業戦略や業績が影響を受ける可能性があります。

 

(2) 医薬品開発及び販売について

一般に新薬の開発には、長期に亘る開発期間と多額の費用が必要です。しかしながら、以下の理由等により、当社グループが開発、販売する医薬品が計画通り進捗しない可能性があります。そのような場合には、当社グループの事業戦略や業績が影響を受ける可能性があります。

① 研究開発について

医薬品の開発は計画通りに進行するとは限らず、臨床試験のために必要とされる症例数を適時に確保できないこと、臨床試験の実施に係る各種業務を支援・代行するCRO(医薬品開発業務受託機関)における業務が計画通り進行しないこと等の様々な要因によって遅延する可能性があります。さらに、様々な試験の結果、期待した有効性を確認できなかったり、安全性に関する許容できない問題が生じたりした場合には、研究開発を中止する可能性があります。そのような場合には、当社グループの事業戦略や業績が影響を受ける可能性があります。

② 製造について

当社グループは、製品及び治験薬等を自社で製造しておらず、他社からの供給に依存しております。従って、製品や治験薬等について、何らかの要因により、品質上の問題が生じたり、もしくは予定通りに必要な数量を確保できない場合には、開発に遅れが生じたり、製品供給の不足になる可能性があります。そのような場合には、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

③ 販売について

当社グループが開発中の医薬品については、国内、米国及び欧州等の各地域において、将来競合する可能性のある製品及び開発品が存在するものもあります。当社グループは、競争力の高い製品を早期に開発、上市することで、一定の市場シェアの獲得を目指しております。しかしながら、競合他社が当社の想定より早く承認を取得したり、想定以上のシェアを獲得した場合には、当社グループが開発した製品が上市された場合においても期待通りの収益をあげられない可能性があります。

また、日本や欧州においては新薬の価格は原則として政府あるいはそれに準じた公的機関により決定され、また、米国においては保険会社・マネージドケア(健康保険運営団体)及び政府のメディケア・プログラムとの交渉により決定されます。そのため、当社グループが開発した製品について当社グループが想定した薬価とならない場合があり期待通りの収益をあげられない可能性があります。

加えて、当社が販売する医薬品について、予期しない副作用が発生した場合には売上高が減少する可能性があります。そのような場合には、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

④ 薬事法制による規制について

薬事法制は、医薬品・医療機器等の品質、有効性、安全性確保の観点から、企業が行う開発・製造・販売等に関して必要な規制を行う法律であり、当社グループが実施している医薬品の研究開発は日本をはじめ各国の薬事法制の規制を受けております。

各国において、様々な要因による承認要件の変更、さらに薬事法制度の変更により、承認を計画通りに取得できない可能性があります。そのような場合には、当社グループの事業戦略や業績が影響を受ける可能性があります。

 

(3) 知的財産権について

① 特許戦略

当社グループが現在開発しているHGF遺伝子治療用製品、NF-κBデコイオリゴDNAの研究開発活動は、主に当社グループが保有する又は当社グループが実施権を有する特許権に基づき実施しております。以下において、それらのうち特に重要なものを記載しております。

しかしながら、当社グループが現在出願中の特許が全て登録されるとは限りません。また、当社グループの研究開発を超える優れた研究開発により当社グループの特許が淘汰される可能性は、常に存在しております。仮に当社グループの研究開発を超える優れた研究開発がなされた場合、当社グループの事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

さらに、当社グループの今後の事業展開の中でライセンスを受けることが必要な特許が生じ、そのライセンスが受けられない可能性があります。そのような場合には、当社グループの事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

対象

表題

保有者

登録(出願)状況

HGF遺伝子治療用製品

糖尿病性虚血性疾患遺伝子治療

当社

日本において延長登録済

NF-κBデコイオリゴDNA

NF-κBに起因する疾患の治療及び予防剤

当社

米国、欧州(EP)にて成立済。
 日本においては、物質特許及び虚血性疾患・臓器移植・癌などの医薬用途特許について成立済

デコイを含む薬学的組成物及びその使用方法(アトピー性皮膚炎が対象)

当社

日本、米国、欧州(EP)にて成立済。なお日本においては乾癬に対する用途特許も分割出願として成立済

椎間板の疾患を治療、阻害及び回復するための方法及び組成物

当社

ラッシュ大学(米国)

日本、米国、欧州(EP)、カナダにて成立済

キメラデコイ

 

当社

株式会社ジーンデザイン

 

物質特許。日本、米国、欧州(EP)にて成立済

 

 

② 知的財産権に関する訴訟、クレーム

連結会計年度末現在において、当社グループの開発に関連した特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟やクレームが発生したという事実はありません。 

ただし、他社が当社グループと同様の研究開発を行っていないという保証はなく、今後とも知的財産について問題が発生しないという保証はありません。

当社グループとしても、このような問題を未然に防止するため、事業展開にあたっては特許調査を実施しており、当社グループ特許が他社の特許に抵触しているという事実は認識しておりません。しかしながら、当社グループのような研究開発型企業にとって、このような知的財産権侵害問題が発生する可能性があります。そのような場合には、当社グループの事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 検査受託サービスについて

ACRLの検査事業は、受託先や地域の拡大、検査の種類・項目を増やすことにより、事業の拡大をはかる計画です。検査受託サービスの拡大のためには、検査機器等への投資が必要となりますが、他の検査会社の進出による競合の激化やその他の理由により、こうした事業計画が実現しない可能性があります。そのような場合には、当社グループの事業戦略や業績が影響を受ける可能性があります。

 

 

(5) 業績の推移について

当社グループの主要な経営指標等の推移は以下のとおりであります。

 

 

第21期

第22期

第23期

第24期

第25期

2019年12月期

2020年12月期

2021年12月期

2022年12月期

2023年12月期

(1) 連結経営指標等

 

 

 

 

 

 

事業収益

(千円)

326,759

39,998

64,148

67,061

152,985

経常損失

(千円)

△3,293,214

△6,618,353

△13,588,973

△14,610,015

△5,651,225

親会社株主に帰属する当期純損失

(千円)

△3,750,823

△4,209,511

△13,675,587

△14,714,772

△7,437,607

純資産額

(千円)

12,055,351

32,679,675

38,634,741

30,425,406

26,103,166

総資産額

(千円)

12,524,600

38,354,611

45,455,746

38,820,711

28,892,536

営業活動による

キャッシュ・フロー

(千円)

△2,179,918

△2,961,329

△11,380,546

△11,214,246

△8,745,759

投資活動による

キャッシュ・フロー

(千円)

△1,249,757

△6,963,969

△154,873

△97,141

△356,653

財務活動による

キャッシュ・フロー

(千円)

7,676,981

11,403,576

17,378,670

3,572,543

2,036,465

現金及び現金同等物の期末残高

(千円)

10,040,595

11,537,028

17,835,704

10,969,684

4,092,160

(2) 個別経営指標等

 

 

 

 

 

 

事業収益

(千円)

326,759

39,998

64,148

67,061

138,919

経常利益又は経常損失(△)

(千円)

△3,310,372

△5,318,582

△7,932,836

△8,001,351

1,989,979

当期純利益又は当期

純損失(△)

(千円)

△3,773,328

△5,318,038

△8,086,792

△8,115,452

1,067,726

資本金

(千円)

13,291,912

24,612,076

33,359,568

35,146,368

35,053,890

純資産額

(千円)

11,919,841

29,356,326

38,688,587

34,141,342

37,266,789

総資産額

(千円)

12,434,672

34,147,677

44,879,500

40,718,613

38,691,268

 

当社グループは、事業のステージが先行投資の段階にあるため、現時点では、上記記載のように、第21期から第25期において親会社株主に帰属する当期純損失を計上しておりますが、現在の研究開発を着実に進め、パイプラインの拡充を図り、将来医薬品の販売から得られる収益によって損益を改善し、さらには利益の拡大を目指してまいります。

ただし、現在の事業計画に沿った医薬品の研究開発や販売が実現しない場合には、当社グループが将来においても親会社株主に帰属する当期純利益を計上できない可能性もあります。

また、上記記載のように、第21期から第25期においては、営業活動によるキャッシュ・フローもマイナスであり、現状の事業計画に沿った医薬品の研究開発や販売が実現しない場合には、将来においても営業活動によるキャッシュ・フローがプラスにならない可能性もあります。

 

(6) 経営上の重要な契約等について

当社グループのビジネス展開上重要と思われる契約の内容を本報告書「第2 事業の状況 5 経営上の重要な契約等」に記載しております。なお、当社グループは、これらの契約に関して、いずれも当社グループの根幹に関わる重要な契約であると認識しております。したがって、当該契約の解除及び解約が行われた場合、あるいは当社グループにとって不利な契約改定が行われた場合及び契約期間満了後に契約が継続されない等の場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(7) 組織体制について

① 人材の確保

当社グループの競争力は研究開発力にあり、専門性の高い研究及び開発担当者の確保が不可欠です。また、事業の成長拡大を支えるためには事業開発、営業、製造、内部管理等の人材も充実させる必要があります。当社グループは、優秀な人材の確保及び社内人材の教育に努めますが、人材の確保及び社内人材の教育が計画どおりに進まない場合には、当社グループの業務に支障をきたす可能性があります。

一方、当社グループは、業務遂行体制の充実に努めますが、小規模組織であり、限りある人的資源に依存しているために、社員に業務遂行上の支障が生じた場合、あるいは社員が社外流出した場合には、当社グループの業務に支障をきたす可能性があります。

② 特定人物への依存

当社グループの事業の推進者は、代表取締役である山田英です。代表取締役山田英は、当社グループの最高責任者として、当社グループの経営戦略の決定、研究開発、事業開発及び管理業務の遂行に大きな影響力を有しております。また、当社メディカルアドバイザーである森下竜一には、研究開発の面でアドバイスを受けております。

当社グループではこれらの特定人物に過度に依存しない体制を構築すべく、経営組織の強化を図っていますが、当面の間はこれらの特定人物への依存度が高い状態で推移すると見込まれます。このような状況のなかで、これらの特定人物が何らかの理由により当社グループの業務を継続することが困難になった場合には、当社グループの事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 訴訟について

当社グループは、有価証券報告書提出日現在において医薬品の副作用、製造物責任、知的財産権及び労務問題等に関して、訴訟を提起されておりません。ただし、将来、当社グループが上記に関して提訴された場合には、その内容次第で当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

 

(9) 配当政策について

当社グループは、創薬系バイオベンチャーであり、2019年9月よりHGF遺伝子治療用製品「コラテジェン®」を販売しているものの、「コラテジェン®」は条件及び期限付の承認であります。また他の主要なプロジェクトにおいても医薬品の開発段階であり、事業のステージは、先行投資の段階にあります。このため、現時点においては、親会社株主に帰属する当期純損失を計上しており、剰余金の配当は実施しておりません。

ただし、株主への利益還元については重要な経営課題と認識しており、将来、現在開発中の新薬が上市され、その販売によって利益が計上され分配可能額が生じる時期においては、経営成績及び財政状態を勘案しながら、剰余金の配当を検討したいと考えております。

しかしながら、開発中の新薬の上市や販売が計画通りに進捗しない場合は配当政策を見直す必要が出る可能性があります。

 

(10) 外国為替変動について

当社グループは、事業活動をグローバルに展開しており、海外での研究開発活動、海外企業とのライセンス、海外からの製品及び治験薬の仕入等において外貨建取引が存在します。また、当社グループが現在開発を行っている製品は、日本のみならず、米国を含む海外市場での販売が見込まれます。そのため、急激な為替変動によって為替リスクが顕在化した場合には、当社グループの事業戦略や業績が影響を受ける可能性があります。

 

 

(11) 地政学的リスクについて

当社連結子会社Emendo社は独自のOMNIヌクレアーゼの開発にあたり、その探索と最適化を労働集約的に行ってまいりましたが、これまで蓄積された大量のデータをベースに、人工知能、なかんずく機械学習を活用し、知識集約的な研究開発体制に移行することを検討しております。

Emendo社は、イスラエル中部のテルアビブ近郊に研究施設を有しており、今般のガザ地区における紛争の影響で、Emendo社のイスラエルにある研究施設(以下、「Emendo R&D」といいます)における研究開発体制の見直しを行いました。今後のゲノム編集に関するEmendo社の研究開発活動は知識集約的な研究開発体制に移行する計画ですが、事業計画策定にあたり地政学的リスクを考慮する必要が増しております。

以上のように、Emendo社では人工知能の活用を中心とする研究開発機能を集約し、Emendo R&Dの規模もそれに見合ったものに再編成するとともに、その他の機能を米国に段階的に移管し、米国の拠点化を促進する計画ですが、ガザ地区の紛争が拡大する場合には、今後Emendo社の研究開発活動の遅延や当社の経営戦略に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) 継続企業の前提に関する重要事象等

医薬品事業は、製品化までに多額の資金と長い時間を要する等の特性があり、創薬ベンチャーである当社グループは、継続的に営業損失及び営業キャッシュ・フローのマイナスを計上している状況にあります。そのため、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。

当社グループは当該状況を解消すべく、下記を重要な課題として取組んでおります。

① 自社既存プロジェクトの推進

当社グループは、現在開発している医薬品等のプロジェクトを確実に進捗させることが重要な課題と認識しており、以下のようにこの課題に取り組んでおります。

2019年3月に条件及び期限付承認を厚生労働省から取得した遺伝子治療用製品コラテジェンは、その後、製造販売後承認条件評価のための目標症例数の患者登録が完了し、2023年5月に同省に条件解除に向けた製造販売承認の申請を行いましたが、非盲検下で実施した市販後調査では、二重盲検の国内第Ⅲ相臨床審成績を再現できなかったことから上記申請を一旦取り下げ、いずれも二重盲検の国内第Ⅲ相臨床試験と米国後期第Ⅱ相臨床試験の結果を中心に申請データパッケージを構築し、新たな製造販売承認の申請を行うべく準備を進めていくこととなりました。

一方、米国での閉塞性動脈硬化症を対象とした同製品の後期第Ⅱ相臨床試験は2022年度末までに当初目標症例の投与を完了し、この度速報として良好な試験結果を得られております。

椎間板性腰痛症向けの核酸医薬NF-κBデコイオリゴDNAは、米国において後期第Ⅰ相臨床試験を完了し、2023年10月に日本国内における第Ⅱ相臨床試験における最初の患者投与を実施し、予定どおり症例登録を進めております。

Vasomune社と共同開発している急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を対象とした治療薬Tie2受容体アゴニストは、米国における前期第Ⅱ相臨床試験について本年中の登録完了に向けて順調に症例登録を進めております。

これら開発中の医薬品について、今後も優先順位を意識しながら開発を進めてまいります。

② 開発パイプラインの拡充と事業基盤の拡大

当社グループの主力事業である医薬品開発では、開発品の製品化は非常に難易度が高いため、常に開発パイプラインを充実させることが重要な課題と認識しており、以下のようにこの課題に取り組んでおります。

開発パイプラインの拡充実績として、2022年5月にEiger社と日本における独占販売契約を締結した早老症治療薬ゾキンヴィが、2024年1月に厚生労働省から製造販売承認され、同年5月より販売を開始しております。

新型コロナウイルス感染症に対しては、広範な免疫応答を刺激し、ウイルスの増殖防止、拡散の阻止が期待される経鼻投与ワクチンに関する共同研究をスタンフォード大学と推進しております。

また、事業基盤拡大の実績としては、当社連結子会社のEmendo社において、究極の遺伝子治療ともいわれるゲノム編集治療の実用化に向けて開発を進めております。同社は、ゲノム編集の安全な医療応用を目指し、新規CRISPRヌクレアーゼを探索・最適化するプラットフォーム技術(OMNI Platform)を確立し、ゲノム編集技術の開発をとおして、遺伝性希少疾患に加え様々な疾患のゲノム編集技術による治療を検討しております。この成果として、同社が開発しているゲノム編集のためのOMNIヌクレアーゼの非独占的使用権をスウェーデンのAnocca社に供与する契約を2024年3月に締結いたしました。

 

さらに、ACRLにおける検査受託については、これまで順調に受託数を拡大している拡大新生児スクリーニング検査に加え、早老症治療薬ゾキンヴィの発売に伴い、HGPS及びPDPLの遺伝学的検査を受託できる体制を構築し、受託を開始しました。また、新たな自治体からの受託に向けた交渉を継続しており、遺伝学的検査、バイオマーカー検査などの受託に向けた準備も進めております。

今後も、医薬品開発におけるライセンス導入や共同開発、他社に対する資本参加、海外で承認されている希少疾患を対象とした国内未承認薬の導入、開発によりアンメットメディカルニーズに応えることで、事業基盤の拡大を図り、将来の成長を実現してまいります。

③ 開発プロジェクトにおける提携先の確保

当社グループでは、製薬会社との提携により、開発リスクを低減するとともに、契約一時金・マイルストーンや開発協力金を受け取ることにより財務リスクを低減しながら開発を進め、上市後にロイヤリティを受領するという提携モデルを事業運営の基本方針としております。

コラテジェンに関しましては、日本と米国を対象とした独占的販売契約を田辺三菱製薬株式会社と締結しており、製品の承認、販売が実現すればマイルストーン収入やロイヤリティ収入が見込めます。

また、NF-κBデコイオリゴDNAの日本国内における慢性椎間板性腰痛症を対象とした第Ⅱ相臨床試験では、塩野義製薬株式会社から臨床試験費用の一部負担などの協力を受けるとともに、続く第Ⅲ相臨床試験の実施について協議いたします。

今後も、更なる製薬会社等との提携を検討するとともに、開発プロジェクトに協力いただける企業を開拓し、事業基盤の強化に努めてまいります。

④ 資金調達の実施

当社グループにとって、上記①②を実現するために機動的に資金調達を行うことは重要な課題と認識しており、以下のようにこの課題に取り組んでおります。

2023年7月にBofA証券株式会社を割当先とする第43回新株予約権(第三者割当て)を発行し、調達開始から2024年3月末日までに12億5百万円を調達いたしました。また、2024年3月19日開催の取締役会においてCantor Fitzgerald Europeを割当先とした第1回無担保転換社債型新株予約権付社債を発行し、13億円の調達を行い5月24日までにすべての当該社債が株式に転換されました。さらに、Cantor Fitzgerald Europeを割当先とした第44回新株予約権は6月14日から行使が開始され当中間連結会計期間において3億56百万円(新株予約権発行に伴う入金を含む)を調達いたしました。また、当第4四半期連結会計期間に第2回無担保転換社債型新株予約権付社債の発行により13億円を調達する予定となっております。

今後も、研究開発活動推進及び企業活動維持のために必要となる資金調達の可能性を適宜検討してまいります。

しかしながら、現時点において、第44回新株予約権の行使は株価等の動向に左右されることから未確定であり、また上記に記載したプロジェクトを継続的に進めるための更なる資金調達の方法、調達金額、調達時期については確定しておらず、当社は継続企業の前提に関する重要な不確実性が存在していると判断しております。

 

(13) のれんの減損リスクについて

当社は事業基盤のさらなる拡大を目指し、2020年に米国のゲノム編集技術を有するベンチャー企業であるEmendoBio社に出資を行い完全子会社といたしました。この買収に伴いのれんを計上しております。同社は2024年初頭より、研究開発体制を労働集約型から人工知能の活用を中心とする知識集約型に進化させるとともに、研究開発機能を集約し、規模もそれに見合ったものに再編成を行いました。これに伴い、子会社化した当初からの事業計画も見直すこととなりました。今後、新たな体制での事業進捗が期待する成果を得られない可能性があります。そのような場合には、のれんの減損損失が発生し、当社グループの業績並びに財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(訂正後)

第1 【参照書類】

 

会社の概況及び事業の概況等金融商品取引法第5条第1項第2号に掲げる事項については、以下に掲げる書類を参照してください。

 

1 【有価証券報告書及びその添付書類】

事業年度 第25期(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) 2024年3月29日関東財務局長に提出

 

2 【四半期報告書又は半期報告書】

 

 

 

事業年度 第26期第1四半期(自 2024年1月1日 至 2024年3月31日) 2024年5月14日関東財務局長に提出

 

3 【四半期報告書又は半期報告書】

 

 

事業年度 第26期中(自 2024年1月1日 至 2024年6月30日) 2024年8月14日関東財務局長に提出

 

4 【臨時報告書】

 

 

1の有価証券報告書提出後、本有価証券届出書の訂正届出書提出日(2024年8月14日)までに、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第9号の2の規定に基づく臨時報告書を2024年3月29日に関東財務局長に提出

 

第2 【参照書類の補完情報】

 

上記に掲げた参照書類としての有価証券報告書四半期報告書及び半期報告書(以下、「有価証券報告書等」といいます。)に記載された「事業等のリスク」について、当該有価証券報告書等の提出日以後本有価証券届出書の訂正届出書提出日(2024年8月14日)までの間において生じた変更その他の事由はありません。

また、当該有価証券報告書等には将来に関する事項が記載されていますが、当該事項は本有価証券届出書の訂正届出書提出日(2024年8月14日)現在において変更の必要はなく、また新たに記載すべき将来に関する事項もないと判断しております。