当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項の発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
(a)経営成績
当中間連結会計期間におけるわが国の経済は、企業収益や個人消費は総じて改善し、景気は緩やかに回復しています。先行きについては、雇用・所得環境が改善する中で、景気が本格的に回復していくことが期待されます。ただし、中東情勢等による不透明感が見られる中で、原油価格の高止まり、物価上昇、為替変動、供給面での制約等による影響に十分注意する必要があります。
当中間連結会計期間における当社グループの事業環境として、コロナ5類移行後、本年5月で1年が経過し観光需要は回復傾向にありますが、事業を営む東京諸島においては都心部に比して回復のスピードが緩慢であり、前期比では、乗船客数及び関連する大島島内のホテルやバスなどの利用客数は増加しましたが、コロナ禍以前との比較ではいまだ国内の他の離島航路事業者と同様の約8割の水準に留まり、経営に大きな影響を与えております。また、貨物輸送量においては、前期と比べ微減で推移しています。
前連結会計年度においては、純損失5億8千万円を余儀なくされました。このため、本年5月より主力の伊豆諸島航路の運賃改定を行い、抜本的な経営改善を図ることと致しました。具体的には、27年ぶりに旅客運賃を15%、また26年ぶりに貨物運賃を10%それぞれ引き上げる改定を行いました。このほかにも旅客運賃のインターネット割引の割引率を4月から引き下げるなどの改善策を実施しました。
この結果、当中間連結会計期間の業績は、運賃改定の効果や乗船客数の増加等により売上高は65億5千3百万円(前年同期60億9千8百万円)、費用面で船舶修繕費や燃料費の増加があり、営業損失は5億8千3百万円(前年同期営業損失8億2千3百万円)、経常損失は6億6百万円(前年同期経常損失7億3千4百万円)、親会社株主に帰属する中間純損失は3億9千万円(前年同期純損失6億2千9百万円)となりました。
なお、当社グループは、乗船客が夏場の多客期に集中するため利益が下半期に集中する傾向があり、また今回の運賃改定も5月からであることから、改定効果は第3四半期において本格的に発現する計画であり、黒字転換を図ります。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
《海運関連事業》
主力の伊豆諸島航路の旅客部門は、大島の最大イベント「椿まつり」において、個人向け商品の営業を強化したほか、高速ジェット船の臨時運航(千葉~大島、横浜~千葉、東京~松崎、田子の浦~大島~式根島、東京湾周遊クルーズ)、横浜~東京の夜景クルーズや行先当日告知の「ミステリーきっぷ」をはじめとした企画商品や、自然環境型観光をテーマとした新たなツアーを実施し集客に努め、また二次元バーコードによる自動発券機を導入しピーク時の混雑緩和を図りました。小笠原航路については、前年5月初めまで実施していた事前のPCR検査や2等和室の席数制限がなくなり、また募集団体の増加等もあり乗船客数は増加しました。この結果、乗船客数は30万1千人(前期29万1千人)と増加しましたが、コロナ禍以前との比較ではやはり8割程度の水準に留まっています。
貨物部門は、引き続きお客様の利便性と集荷効率の引き上げを図り、集荷に遺漏がないように取り組み、国等の補助金を得て製作した冷凍・冷蔵コンテナを最大限活用し、貨物輸送の品質向上に努めました。貨物取扱量は、工事関連品目においてやや増加したものの、生活関連品目はやや減少し、全島で14万6千トン(前期15万1千トン)と微減となりましたが、貨物船チャーター事業が収益向上に寄与しました。
このように前期以来、厳しい状況が続いていることから、本年5月より主力の伊豆諸島航路について27年ぶりに旅客運賃を15%、26年ぶりに貨物運賃を10%それぞれ改定し、また4月より旅客運賃のインターネット割引の割引率を引き下げる等で、抜本的な経営改善を図りました。
この結果、当事業の売上高は、57億5千3百万円(前年同期52億9千7百万円)、営業損失は4億1百万円(前年同期営業損失6億2千9百万円)となりました。
なお、当社グループは、乗船客が夏場の多客期に集中するため利益が下半期に集中する傾向があり、また今回の運賃改定も5月からであることから、改定効果は第3四半期において本格的に発現する計画であり、黒字転換を図ります。
《商事料飲事業》
商事部門は、関係先と連携を密にし工事情報を積極的に収集するなど販売強化に取り組みましたが、公共工事等の遅れから主力の島しょ向けセメント販売が減少しました。料飲部門は、自販機やレストラン等の委託先との連携強化に努め、新たに直営売店の委託化を行うなど、収益向上を図りました。なお、商事部門は、島しょ向け生活通販「ショップ東海」と島産品の全国向け販売「島ぽち」のECサイトにより、島民の皆さまの利便性向上と物流の活性化に取り組み、またコンテナやワークウェア販売等の新規ビジネスにも注力しています。
この結果、当事業の売上高は5億8千5百万円(前年同期6億1千5百万円)とやや減収となりましたが、営業利益は3千7百万円(前年同期3千8百万円)と略横ばいとなりました。
昨年4月に、商事料飲事業を担当する事業本部を組織改編し、自販機、レストラン、売店等の委託化を通じたビジネス変革と新規事業創出によるビジネスの裾野拡大を進めており、旅客部門・貨物部門に続く第三の収益の柱となるべく取り組んでいます。
《ホテル事業》
大島温泉ホテル事業は、大島の豊富な海の幸の料理・高品質の源泉掛け流し温泉・露天風呂からの三原山の眺望など、「島の魅力」を前面に押し出した営業活動を行いました。また、バリアフリー化を始め、館内外の整備を継続して行っております。大島の最大イベント「椿まつり」において観光客が回復傾向にあることから、個人向け宿泊プランを中心に集客に努め、またお客様のニーズの多様化に合わせた1泊朝食付プランなどにより宿泊客は増加し、客室稼働率は上昇しました。
この結果、当事業の売上高は1億6千8百万円(前年同期1億4千7百万円)、費用面において労務費等の見直しを進めた結果、営業利益は9百万円(前年同期営業損失1千3百万円)と増収増益となりました。
《旅客自動車運送事業》
当事業の中心となる大島島内におけるバス部門は、お客様に安心してご乗車いただくため、「安全運行」と「良質のサービスの提供」を基本理念とした安全方針に基づき、全社一丸となって安全運行に取り組んでおり、貸切バスにおいては、日本バス協会の安全性評価制度における最高評価となる三ッ星を更新するなど長期優良事業者として認定を受けております。また、バス乗務員が不足する中、バス業界における2024年問題(本年4月から厚生労働省より適用されたバス運転者の労務に関するルール改正)にも適切に対応しております。
大島の最大イベント「椿まつり」において観光客が回復傾向にあることから、路線バスや貸切バスの需要も前年を上回り、また島内の学校関係の貸切バス需要や昨年の貸切バス運賃改定も寄与しました。
この結果、当事業の売上高は1億4千8百万円(前年同期1億4千万円)、営業利益は1千7百万円(前年同期7百万円)と増収増益となりました。なお、定期路線バスにおいては大島町から継続的な支援を受けております。
(b)財政状態
当中間連結会計期間末の総資産は228億3千8百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億5千7百万円増加しました。その主な要因は、現金及び預金が6億2千3百万円、繰延税金資産が1億9千9百万円増加した一方で、船舶の減価償却などにより有形固定資産が4億3千2百万円減少したことによるものです。
負債は172億9千万円となり、前連結会計年度末に比べ6億8千6百万円増加しました。その主な要因は、船舶検査費用などの営業未払金が4億2千7百万円、前受金などのその他流動負債が3億3百万円増加した一方で、借入金が9千万円減少したことによるものです。
純資産は55億4千8百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億2千8百万円減少しました。その主な要因は、利益剰余金が3億9千万円減少したことによるものです。
(c)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間のキャッシュ・フローの状況は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、10億2千9百万円のキャッシュ・イン(前年同期7億1千万円のキャッシュ・イン)となりました。その主な要因は、資金増加項目である減価償却費6億4千1百万円、仕入債務の増加額4億2千7百万円、その他の増加額4億1千3百万円、売上債権の減少額1億3千5百万円が、資金減少項目である税金等調整前中間純損失6億5百万円を上回ったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、3億7百万円のキャッシュ・アウト(前年同期1億3百万円のキャッシュ・アウト)となりました。その主な要因は、有形固定資産の取得による支出4億7千3百万円、無形固定資産の取得による支出3千6百万円が、補助金の受入による収入2億2百万円を上回ったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、9千8百万円のキャッシュ・アウト(前年同期7億6千8百万円のキャッシュ・アウト)となりました。その主な要因は、借入金の返済によるものです。
以上の結果、当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物残高は、前連結会計年度末に比べ6億2千3百万円増加し、46億4千2百万円となりました。
(2) 経営方針・経営戦略等
当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略について重要な変更はありません。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当中間連結会計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動
該当事項はありません。
当中間連結会計期間において、連結会社又は提出会社の従業員数の著しい増減はありません。
当中間連結会計期間において、生産、受注及び販売実績の著しい変動はありません。
前連結会計年度末における新設、除却等の計画について、著しい変動はありません。また、当中間連結会計期間に完了したものは次のとおりであります。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。