医薬品事業は、製品化までに多額の資金と長い時間を要する等の特性があり、創薬ベンチャーである当社グループは、継続的に営業損失及び営業キャッシュ・フローのマイナスを計上している状況にあります。そのため、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。
当社グループは当該状況を解消すべく、下記を重要な課題として取組んでおります。
①自社既存プロジェクトの推進
当社グループは、現在開発している医薬品等のプロジェクトを確実に進捗させることが重要な課題と認識しており、以下のようにこの課題に取り組んでおります。
2019年3月に条件及び期限付承認を厚生労働省から取得した遺伝子治療用製品コラテジェンは、その後、製造販売後承認条件評価のための目標症例数の患者登録が完了し、2023年5月に同省に条件解除に向けた製造販売承認の申請を行いましたが、非盲検下で実施した市販後調査では、二重盲検の国内第Ⅲ相臨床審成績を再現できなかったことから上記申請を一旦取り下げ、いずれも二重盲検の国内第Ⅲ相臨床試験と米国後期第Ⅱ相臨床試験の結果を中心に申請データパッケージを構築し、新たな製造販売承認の申請を行うべく準備を進めていくこととなりました。
一方、米国での閉塞性動脈硬化症を対象とした同製品の後期第Ⅱ相臨床試験は2022年度末までに当初目標症例の投与を完了し、この度速報として良好な試験結果を得られております。
椎間板性腰痛症向けの核酸医薬NF-κBデコイオリゴDNAは、米国において後期第Ⅰ相臨床試験を完了し、2023年10月に日本国内における第Ⅱ相臨床試験における最初の患者投与を実施し、予定どおり症例登録を進めております。
Vasomune社と共同開発している急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を対象とした治療薬Tie2受容体アゴニストは、米国における前期第Ⅱ相臨床試験について本年中の登録完了に向けて順調に症例登録を進めております。
これら開発中の医薬品について、今後も優先順位を意識しながら開発を進めてまいります。
②開発パイプラインの拡充と事業基盤の拡大
当社グループの主力事業である医薬品開発では、開発品の製品化は非常に難易度が高いため、常に開発パイプラインを充実させることが重要な課題と認識しており、以下のようにこの課題に取り組んでおります。
開発パイプラインの拡充実績として、2022年5月にEiger社と日本における独占販売契約を締結した早老症治療薬ゾキンヴィが、2024年1月に厚生労働省から製造販売承認され、同年5月より販売を開始しております。
新型コロナウイルス感染症に対しては、広範な免疫応答を刺激し、ウイルスの増殖防止、拡散の阻止が期待される経鼻投与ワクチンに関する共同研究をスタンフォード大学と推進しております。
また、事業基盤拡大の実績としては、当社連結子会社のEmendo社において、究極の遺伝子治療ともいわれるゲノム編集治療の実用化に向けて開発を進めております。同社は、ゲノム編集の安全な医療応用を目指し、新規CRISPRヌクレアーゼを探索・最適化するプラットフォーム技術(OMNI Platform)を確立し、ゲノム編集技術の開発をとおして、遺伝性希少疾患に加え様々な疾患のゲノム編集技術による治療を検討しております。この成果として、同社が開発しているゲノム編集のためのOMNIヌクレアーゼの非独占的使用権をスウェーデンのAnocca社に供与する契約を2024年3月に締結いたしました。
さらに、ACRLにおける検査受託については、これまで順調に受託数を拡大している拡大新生児スクリーニング検査に加え、早老症治療薬ゾキンヴィの発売に伴い、HGPS及びPDPLの遺伝学的検査を受託できる体制を構築し、受託を開始しました。また、新たな自治体からの受託に向けた交渉を継続しており、遺伝学的検査、バイオマーカー検査などの受託に向けた準備も進めております。
今後も、医薬品開発におけるライセンス導入や共同開発、他社に対する資本参加、海外で承認されている希少疾患を対象とした国内未承認薬の導入、開発によりアンメットメディカルニーズに応えることで、事業基盤の拡大を図り、将来の成長を実現してまいります。
③開発プロジェクトにおける提携先の確保
当社グループでは、製薬会社との提携により、開発リスクを低減するとともに、契約一時金・マイルストーンや開発協力金を受け取ることにより財務リスクを低減しながら開発を進め、上市後にロイヤリティを受領するという提携モデルを事業運営の基本方針としております。
コラテジェンに関しましては、日本と米国を対象とした独占的販売契約を田辺三菱製薬株式会社と締結しており、製品の承認、販売が実現すればマイルストーン収入やロイヤリティ収入が見込めます。
また、NF-κBデコイオリゴDNAの日本国内における慢性椎間板性腰痛症を対象とした第Ⅱ相臨床試験では、塩野義製薬株式会社から臨床試験費用の一部負担などの協力を受けるとともに、続く第Ⅲ相臨床試験の実施について協議いたします。
今後も、更なる製薬会社等との提携を検討するとともに、開発プロジェクトに協力いただける企業を開拓し、事業基盤の強化に努めてまいります。
④資金調達の実施
当社グループにとって、上記①②を実現するために機動的に資金調達を行うことは重要な課題と認識しており、以下のようにこの課題に取り組んでおります。
2023年7月にBofA証券株式会社を割当先とする第43回新株予約権(第三者割当て)を発行し、調達開始から2024年3月末日までに12億5百万円を調達いたしました。また、2024年3月19日開催の取締役会においてCantor Fitzgerald Europeを割当先とした第1回無担保転換社債型新株予約権付社債を発行し、13億円の調達を行い5月24日までにすべての当該社債が株式に転換されました。さらに、Cantor Fitzgerald Europeを割当先とした第44回新株予約権は6月14日から行使が開始され当中間連結会計期間において3億56百万円(新株予約権発行に伴う入金を含む)を調達いたしました。また、当第4四半期連結会計期間に第2回無担保転換社債型新株予約権付社債の発行により13億円を調達する予定となっております。
今後も、研究開発活動推進及び企業活動維持のために必要となる資金調達の可能性を適宜検討してまいります。
しかしながら、現時点において、第44回新株予約権の行使は株価等の動向に左右されることから未確定であり、また上記に記載したプロジェクトを継続的に進めるための更なる資金調達の方法、調達金額、調達時期については確定しておらず、当社は継続企業の前提に関する重要な不確実性が存在していると判断しております。
なお、中間連結財務諸表は継続企業を前提としており、上記のような継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を中間連結財務諸表には反映しておりません。
※1 研究開発費のうち主要な費目及び金額は次のとおりであります。
※2 販売費及び一般管理費のうち主要な費目及び金額は次のとおりであります。
※3 当中間連結会計期間において、コラテジェンの回収及びその関連費用等について、研究開発費に製品在庫の評価損89,629千円、販売管理費に製品の買戻し及び回収費用等11,743千円を計上しております。
※ 現金及び現金同等物の中間期末残高と中間連結貸借対照表に掲記されている科目の金額との関係
前中間連結会計期間(自 2023年1月1日 至 2023年6月30日)
1 配当金支払額
該当事項はありません。
2 基準日が当中間連結会計期間に属する配当のうち、配当の効力発生日が当中間連結会計期間の末日後となるもの
該当事項はありません。
3 株主資本の著しい変動に関する事項
当社は、2023年1月1日から2023年6月30日までの間に、Cantor Fitzgerald & Co.から新株予約権の権利行使による払込みを受け、資本金及び資本剰余金がそれぞれ538,962千円増加しております。また、会社法第447条第1項及び会社法第448条第1項の規定に基づき、資本金を1,125,375千円、資本準備金を15,076,868千円減少し、その他資本剰余金へ振り替えております。この結果、当中間連結会計期間において資本金が586,413千円、資本準備金が14,537,906千円減少し、当中間連結会計期間末において資本金が34,559,954千円、資本剰余金が2,929,786千円となっております。
当中間連結会計期間(自 2024年1月1日 至 2024年6月30日)
1 配当金支払額
該当事項はありません。
2 基準日が当中間連結会計期間に属する配当のうち、配当の効力発生日が当中間連結会計期間の末日後となるもの
該当事項はありません。
3 株主資本の著しい変動に関する事項
当社は、2024年1月1日から2024年6月30日までの間に、従業員からストックオプションの権利行使、BofA証券から新株予約権の権利行使、Cantor Fitzgerald Europeから転換社債型新株予約権付社債及び新株予約権の権利行使による払込みを受けました。この結果、資本金及び資本剰余金がそれぞれ936,210千円増加し、当中間連結会計期間末において資本金が35,990,100千円、資本剰余金が4,401,780千円となっております。