第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生または前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

(1)  経営成績の分析

海外では、世界の人口増加に伴う食糧需要の拡大から、農業生産は今後も拡大するものと考えられ、世界の農薬市場は、農業生産の拡大から成長基調が継続しております。国内では、農業生産者の減少及び高齢化が進む一方で、大規模生産者や農業法人の増加等農業生産構造の変化が現れてきております。このような中、国内農薬業界におきましては、改正農薬取締法により一層の農薬の安全性向上が要求されており、国内の既登録農薬についても最近の科学的知見に基づいた安全性等の再評価が必要となっております。また、海外農薬市場におきましては、国内に先行し農薬登録制度の見直しが行われており、農薬使用時や残留農薬の安全性評価に留まらず生態系に対する環境影響評価が強化され、多くの既存薬剤の登録の失効・淘汰が進んでいます。一方で、ロシア・ウクライナ情勢の長期化等、国際情勢の悪化により資源価格の高騰が続く等、依然として先行き不透明な状況が続いています。

このような情勢の中で当社グループは、経営理念である「我が信条」(お客様のため、社員のため、社会のため、株主のためという4か条)ならびに「どこまでも農家とともに」をモットーとして研究開発・技術普及・生産・販売を展開しております。当社グループは、創業以来の経営理念を堅持しつつ100年企業を目指すために、「Lead The Way 2025」をスローガンとした長期事業計画とともに、新中期事業計画(2022年-2025年)を策定し、企業価値の向上に努めております。

研究開発部門では、高い安全性を有するユニークな新規農薬成分の創生、生産現場のニーズに合致した製品の創出に加え、他社からの製品導入や無形資産の買収に取り組み、ポートフォリオの拡充に努めております。農業生産における社会課題として、欧州の「Farm to fork」や日本の「みどりの食料システム戦略」に掲げられる化学農薬や化成肥料の低減がクローズアップされつつある状況下、様々な防除対策を組み合わせて行う総合的病害虫・雑草管理(IPM)に資する製品群を投入すべく、2023年に新設したバイオロジカル・ソリューション室を軸に、微生物や天然物由来の農薬・資材等の研究開発を加速させております。

生産部門では、東京電力福島第一原子力発電所事故による福島工場の操業停止から13年となる中、その代替および西日本の物流の拠点として2018年11月に山口工場を新設し運用しております(同工場は2021年2月にISO9001の認証を取得致しました)。茨城工場、直江津工場、東日本の物流拠点である所沢事業所と併せ自社生産体制を強化し、製品の安定供給を図るとともにコストの見直しから、品質保証と顧客満足の向上、利益の創出に継続的に取り組んでおります。なお、かねてより研究開発本部と連携して進めてまいりました「応用技術研究室」は、山口工場の敷地内に新たに建屋を建設中ですが本年7月に完成し本格的に始動してまいります。農薬製造における製剤技術及びノウハウの確立と継承、製剤研究から工業生産へのスムーズな移行を可能にする体制を整えてまいります。

なお、2011年3月11日の東京電力福島第一原子力発電所の事故による営業損害につきましては、東京電力ホールディングス株式会社に対し損害賠償訴訟を係属中であります。

技術普及部門では、農業生産者への適切な技術情報の提供に加えて、土壌分析室を活用し、農業の根幹となる土づくり、土壌のセンチュウ対策、病害虫診断の支援活動を拡大しています。さらに、グローバルGAP認証取得支援ならびに地域の農業・栽培問題解決のための研究実践農場(カネショウファーム)の運営も全国6か所にて展開し、これらのサービス提供により地域農業や農業生産者への貢献に努めております。また、農薬の基礎情報、安全使用啓発、当社商品情報をお客様に提供する目的で「カネショウゼミナール」をWebにて2023年9月より開始し、お客様との関係強化に取り組んでおります。

海外事業部門では、主力製品「カネマイトフロアブル」の登録が世界53か国で認可され、更に5か国で開発を進めております。また、アセキノシル新製剤である「Veto 30SC」は、2021年10月に米国カリフォルニア州で登録が認可されて以降、全世界的に開発を進めてまいります。「ネマキック粒剤・液剤」については現在11か国で登録が認可され今後も登録国の拡大に取り組んでまいります。また、海外子会社を通じて全世界で「バスアミド微粒剤」、「D-D」の登録維持・拡大・販売活動を継続し、韓国においては現地販売会社・小売店・農家に対する直接的な支援を強化してまいります。

当中間連結会計期間においては、主要剤の土壌消毒剤のうち、国内では「バスアミド微粒剤」、「ネマキック粒剤」、「D-D」、海外では「バスアミド微粒剤」が主に韓国で前中間連結会計期間を上回り、害虫防除剤の中で主に、「カネマイトフロアブル」が北米、スペインを中心とした欧州等で前中間連結会計期間を上回り、売上高は前中間連結会計期間を上回りました。また、販売費及び一般管理費は前中間連結会計期間を下回り、販売費及び一般管理費の減少で営業利益、経常利益ともに前中間連結会計期間を上回りました。

この結果、当中間連結会計期間における売上高は87億3千5百万円前中間連結会計期間比7億5千3百万円の増加前中間連結会計期間比9.4%増)、営業利益は11億8千6百万円前中間連結会計期間比4億5千5百万円の増加前中間連結会計期間比62.3%増)、経常利益は11億7千2百万円前中間連結会計期間比3億6千3百万円の増加前中間連結会計期間比45.0%増)、親会社株主に帰属する中間純利益は7億8千7百万円前中間連結会計期間比2億8千8百万円の増加前中間連結会計期間比57.9%増)となりました。

 

製品の種類別売上高については次のとおりであります。

(イ)害虫防除剤

国内では「ダーズバン乳剤」販売終了によるマイナスに加え、「ダニエモンフロアブル」、「エコマイト顆粒水和剤」、「ペイオフME液剤」が前中間連結会計期間を下回りましたが、「ペンタック水和剤」、「カネマイトフロアブル」、「アルバリン顆粒水溶剤」、「ヨーバルフロアブル」が前中間連結会計期間を上回りました。海外では「カネマイトフロアブル」が北米、スペインを中心とした欧州等で前中間連結会計期間を上回り、害虫防除剤全体では前中間連結会計期間を上回る結果となりました。この結果、売上高は26億1千6百万円前中間連結会計期間比3億6千万円の増加前中間連結会計期間比16.0%増)となりました。

(ロ)病害防除剤

「キノンドー水和剤80」、「キノンドーフロアブル」が前中間連結会計期間を下回りましたが、「キノンドー顆粒水和剤」、「兼商クプロシールド」、「モレスタン水和剤」が前中間連結会計期間を上回ったため、病害防除剤全体で前中間連結会計期間を上回りました。この結果、売上高は5億7千7百万円前中間連結会計期間比1千5百万円の増加前中間連結会計期間比2.7%増)となりました。

(ハ)土壌消毒剤

国内では「バスアミド微粒剤」、「ネマキック粒剤」、「D-D」が前中間連結会計期間を上回りました。海外では「D-D」が前中間連結会計期間を下回りましたが、「バスアミド微粒剤」は韓国で前中間連結会計期間を上回り、土壌消毒剤全体で前中間連結会計期間を上回りました。この結果、売上高は32億9千4百万円前中間連結会計期間比1億6千5百万円の増加前中間連結会計期間比5.3%増)となりました。

 

(ニ)除草剤

「カソロン粒剤2.5」、「カソロン粒剤6.7」が前中間連結会計期間を下回りましたが、「モゲトン粒剤」、「アークエース1キロ粒剤」が前中間連結会計期間を上回り、除草剤全体で前中間連結会計期間を上回りました。この結果、売上高は12億4千6百万円前中間連結会計期間比4千7百万円の増加前中間連結会計期間比3.9%増)となりました。

(ホ)その他

展着剤、園芸用品、植調剤が前中間連結会計期間を上回り、昨年4月から販売を開始した「生物農薬」も売上増加に寄与し、その他全体で前中間連結会計期間を大きく上回りました。この結果、売上高は10億1百万円前中間連結会計期間比1億6千5百万円の増加前中間連結会計期間比19.8%増)となりました。

 

(2)  財政状態の分析

(資産)

当中間連結会計期間末における総資産は270億2千4百万円前連結会計年度比2億3千3百万円の減少前連結会計年度比0.9%減)となりました。これは主に、売上債権が15億6千6百万円、棚卸資産が3億4百万円増加する一方、現金及び預金が21億1千8百万円減少したことによるものであります。

(負債及び純資産)

当中間連結会計期間末における負債は55億4千7百万円前連結会計年度比9億9千8百万円の減少前連結会計年度比15.3%減)となりました。これは主に、未払法人税等が3億3千8百万円増加する一方、支払手形及び買掛金が4億9千2百万円、未払金が7億4千1百万円減少したことによるものです。純資産は214億7千7百万円となりました。その結果、自己資本比率は75.3%、1株当たり純資産額は1,697円85銭となりました。

 

(3)  キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物は、82億5千7百万円前中間連結会計期間比10億4千4百万円の減少)となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当中間連結会計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは15億9千9百万円の減少前中間連結会計期間比11億3千3百万円の減少)となりました。これは主に、税金等調整前中間純利益(11億7千2百万円)による収入があったものの、売上債権の増加(15億2千3百万円)、棚卸資産の増加(2億9千1百万円)、仕入債務の減少(5億2百万円)、未払金の減少(6億7千5百万円)により支出したものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当中間連結会計期間における投資活動によるキャッシュ・フローは1億8千9百万円の減少前中間連結会計期間比8千6百万円の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得(1億8千3百万円)により支出したものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当中間連結会計期間における財務活動によるキャッシュ・フローは5億6千7百万円の減少前中間連結会計期間比8億3千5百万円の増加)となりました。これは主に、配当金の支払(2億5百万円)、非支配株主への配当金の支払(2億6百万円)および長期借入金返済(1億5千万円)により支出したものであります。

 

(4)  経営方針・経営戦略等

当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(5)  優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

(6)  会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(7)  研究開発活動

当中間連結会計期間の研究開発費の総額は3億2千1百万円であります。

なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

 

3 【経営上の重要な契約等】

 当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。