第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当第2四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績の状況

 当第2四半期累計期間の世界経済について、欧州は物価高、金利上昇により景気は足踏みの状況、中国は米中対立による輸出の停滞と不動産市況の低迷が続いています。米国は良好な雇用情勢を背景に個人消費が底堅く推移しています。わが国は、インバウンド需要や企業の設備投資により景気は緩やかに回復しているようです。

 IT投資は、企業、官公庁/自治体問わずDX(デジタルトランスフォーメーション)による業務改革、新たなデジタルサービスの採用など、引き続き旺盛です。一方、サイバーセキュリティでは、攻撃は極めて一般化し、身の回りの多くのサイトやサーバーが被害に遭っています。同時に、ランサムウェア攻撃が悪質化しており、企業等に金銭要求と機密暴露を行う「二重恐喝」の案件が急増しています。当社が提供しているネットワークの脆弱性を診断するASM(Attack Surface Management)サービスや、認証強化の対策サービスなどの利用が今後、期待されます。

 当期の始まり頃から、高度な言語処理能力を有する生成AI(ChatGPTなど)が話題になっています。当社は、人間の活動に歴史的な変革をもたらす可能性大のこの技術に関し、即、実験を開始、特徴と限界、セキュリティ面での危険性などを把握。当社としての今後の応用開発と利用について方向を定めるに至っています。デモを兼ねた応用の第一弾として、国会答弁作成支援システムを2023年5月に発表しました。本システムは国会会議録のデータやその関連を学習させ、自然言語による検索から、議事録データの内容に沿った回答や提言を生成するもので、議会関係者、一部の議員に開示しました。当社は、今後、AI利用を言語系より、制御系によりフォーカスして、その応用を継続して開発していく計画です。

 このような環境下、売上高は8,800百万円(前年同期比0.8%減)でしたが、営業利益は926百万円(前年同期比33.0%増)となりました。経常利益は為替差益141百万円等により1,091百万円(前年同期比27.7%増)となりました。なお、中国の子会社ソリトン上海の部門整理統合を行い、事業構造改善費用28百万円を特別損失に計上しました。同社は当社のセキュリティ製品のサービスを中心に、中国向けにModify、その販売に注力していく方針です。親会社株主に帰属する四半期純利益は729百万円(前年同期17.6%増)となりました。

 

セグメント別の経営成績は、次のとおりです。

 

① ITセキュリティ事業

売上高は8,181百万円(前年同期比2.3%減)、セグメント利益は1,514百万円(前年同期比17.5%増)となりました。

スポットの他社製品の販売が無くなり、売上高は減収となりました。しかしながら、自社製品/サービスの売上は、多要素認証の「SmartOn」が官公庁向けにネットワーク分離向けソリューションが自治体と金融機関向けに順調で、増収を継続しています。セグメント利益は、粗利率の高い自社製品/サービスの売上増収により増益となりました。なお、2023年6月に開催された「Interop Tokyo 2023」のセキュリティ部門で「Soliton SecureBrowser II Windows版」が審査員特別賞を受賞しました。当該製品/サービスは大掛かりなシステムを導入することなく、インターネットから分離されたネットワーク環境でセキュリティを確保し快適に業務を行うことを実現します。サイバーセキュリティでは、官公庁や重要インフラ企業へのアプローチを継続し、実用的なサービスを検討しています。

 

② 映像コミュニケーション事業

売上高は366百万円(前年同期比2.9%増)、セグメント損失は86百万円(前年同期はセグメント損失111百万円)となりました。

「Smart‐telecasterシリーズ」について、パブリックセーフティ分野(警察、消防、海上保安庁、自衛隊)への販売により、売上高は増収、セグメント損失は前年同期比で減少しました。現在、海外へ販売を展開しています。また、これまで産業技術総合研究所、ヤマハ発動機株式会社、三菱電機株式会社と共同で自動運転システムの開発を進めてまいりました。当社は車両と遠隔センター間の基盤となる通信システムの開発を担いました。2023年5月福井県永平寺町で、当該自動運転システムによる自動運転レベル4の運行サービス(道路交通法に基づく特定自動運行)を国内で初めて開始しました。当該自動運転システムは、過疎地域の新たな交通手段として期待されています。なお、前述の「Interop Tokyo 2023」のイノベーティング チャレンジ部門で「リモート運転」がグランプリを受賞しました。

 

③ Eco 新規事業開発

売上高は252百万円(前年同期比80.2%増)、セグメント損失は69百万円(前年同期はセグメント損失100百万円)となりました。

既存の人感センサーの販売と前四半期に官公庁に納品した小型映像伝送装置の販売で、売上高は増収となりました。アナログエッジAIチップの開発に継続して取り組んでおります。セグメント損失は増収効果により前年同期比で減少しました。

 

(2)財政状態に関する説明

 資産、負債、純資産の状況

当第2四半期連結会計期間末の当社グループの総資産につきましては、前連結会計年度末に比べて1,518百万円増加し、20,779百万円となりました。

(資産)

流動資産は、前連結会計年度末に比べて1,413百万円増加し、17,780百万円となりました。これは主に現金及び預金が2,164百万円、商品及び製品が351百万円増加した一方、売掛金が730百万円、電子記録債権が342百万円減少したこと等によるものであります。

固定資産は、前連結会計年度末に比べて104百万円増加し、2,998百万円となりました。これは主にソフトウエア仮勘定が146百万円、固定資産その他が63百万円増加した一方、ソフトウエアが106百万円減少したこと等によるものであります。

(負債)

流動負債は、前連結会計年度末に比べて1,004百万円増加し、10,580百万円となりました。これは主に契約負債が609百万円、未払法人税等が413百万円、支払手形及び買掛金が122百万円増加した一方、未払金が75百万円、短期借入金が60百万円減少したこと等によるものであります。

固定負債は、前連結会計年度末に比べて18百万円増加し、88百万円となりました。これは主にリース債務が34百万円増加した一方、固定負債その他が15百万円減少したこと等によるものであります。

(純資産)

純資産の部については、前連結会計年度末に比べて495百万円増加し、10,110百万円となりました。これは主に利益剰余金が580百万円増加した一方、為替換算調整勘定が105百万円減少したこと等によるものであります。

なお自己資本比率は48.6%(前連結会計年度末比1.2ポイント減少)となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2,164百万円増加し、12,364百万円になりました。

当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動から獲得した資金は2,590百万円となりました。

収入の主な内訳は、税金等調整前四半期純利益1,086百万円、売上債権及び契約資産の減少1,105百万円、契約負債の増加586百万円、減価償却費192百万円、法人税等の還付額116百万円等であります。支出の主な内訳は、棚卸資産の増加額337百万円、為替差益150百万円等であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動で使用した資金は224百万円となりました。

支出の主な内訳は、無形固定資産の取得による支出172百万円、有形固定資産の取得による支出33百万円等であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動で使用した資金は208百万円となりました。

支出の主な内訳は、配当金の支払額148百万円等であります。

 

(4) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当第2四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題について重要な変更、または新たに生じた課題はありません。

 

 

(6) 研究開発活動

当第2四半期連結累計期間の研究開発費は435百万円であり、この他売上原価に算入されているソフトウエア開発費用928百万円と合わせ、開発活動に関する費用の総額は、1,363百万円でした。

なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

 当第2四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定または締結はありません。