名 称 YJホールディングス株式会社
所在地 東京都千代田区丸の内三丁目4番1号新国際ビル6階
普通株式
3【当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由】
当社は、2023年8月4日付の取締役会決議により、下記「(2) 本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」に記載の根拠及び理由に基づき、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対しては本公開買付けへの応募を推奨する旨を決定いたしました。
なお、上記取締役会決議は、下記「(6) 買付け等の価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「④ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認」に記載の方法により決議されております。
本公開買付けに関する意見の根拠及び理由のうち、公開買付者に関する記載については、公開買付者から受けた説明に基づいております。
公開買付者は、本公開買付けを通じて当社の普通株式(以下「当社株式」といいます。)の全てを取得及び所有することを主たる目的として、2023年7月12日に設立された株式会社であり、本書提出日現在において、その発行済株式の全てをJ―STAR株式会社(以下「J-STAR」といいます。)の役職員が出資する合同会社であるJSHD合同会社が所有しているとのことです。JSHD合同会社は、本公開買付けの成立後、決済の開始日の前営業日までに、公開買付者の発行済株式の全てをJ-STAR No.5-A, LPに譲渡する予定とのことです。J-STAR No.5-A, LPは、J-STARがジェネラル・パートナーとして管理運営する、ケイマン諸島法に基づき設立されたエグゼンプテッド・リミテッド・パートナーシップであるとのことです。J―STARは、2006年2月に創業した国内独立系の投資会社で、主に未公開株式への投資を行うプライベート・エクイティ投資、その中でも経営権を取得し、当該事業価値の向上を図るバイアウト投資事業を手がけているとのことです。J-STARは、企業・経営陣の課題解決、成長ストーリーを重視した投資提案を行うとともに、(ⅰ)優れた経営者や幹部社員の存在、(ⅱ)ファンドマネジャーの関与による付加価値増大余地、(ⅲ)市場地位やビジネスモデルなどの特異性や優位性を投資基準に、ファンドマネジャー達の経験、知見、スキルが活かされ易い、中堅企業の案件を主要投資対象にした投資関連サービスを提供しているとのことです。本書提出日現在、J―STARは、自ら又はその子会社を通じて投資機会の調査及び紹介並びに投資先の育成等に係る投資関連サービスを提供するファンド(当該ファンドが受け皿会社として新たに設立又は取得する会社を含み、以下「本ファンド」といいます。)を通じて、株式会社ハルメク(旧いきいき株式会社)、太平洋精機株式会社、日本ホスピスホールディングス株式会社、株式会社アイセイ薬局、株式会社越後屋、横井製作所株式会社、株式会社ホットパレット、株式会社ダイニチ、株式会社シンシア、株式会社トイファクトリー、株式会社徳山商会など多岐に渡る業種に属する53社への投資実績を有しているとのことです。
公開買付者は、本書提出日現在、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)スタンダード市場に上場している当社株式を所有していないとのことです。
今般、公開買付者は、東京証券取引所スタンダード市場に上場している当社株式の全て(但し、当社が所有する自己株式を除きます。)を取得することにより、当社を完全子会社化することを目的とした一連の取引(以下「本取引」といいます。)の一環として、本公開買付けを2023年8月7日から実施することを決定したとのことです。
公開買付者は、本公開買付けにおいては、買付予定数の下限を7,628,600株(所有割合(注1):66.67%)に設定しており、本公開買付けに応じて応募された株券等(以下「応募株券等」といいます。)の数の合計が買付予定数の下限(7,628,600株)に満たない場合には、応募株券等の全部の買付け等を行わないとのことです。他方、上記のとおり、本公開買付けは、公開買付者が当社株式の全てを取得することを企図していることから、買付予定数の上限を設けておらず、応募株券等の数の合計が買付予定数の下限以上の場合には、応募株券等の全部の買付け等を行うとのことです。
かかる買付予定数の下限(7,628,600株)を設定したのは、本公開買付けは当社株式を非公開化することを目的としているところ、下記「(5) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載された、会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下「会社法」といいます。)第180条に基づく当社株式の併合(以下「株式併合」といいます。)の手続を実施する場合には、会社法第309条第2項に規定する株主総会における特別決議が要件とされているためであり、公開買付者単独で当該要件を満たすことができるように設定したものとのことです。具体的には、当社が2023年8月4日付で公表した「2024年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」(以下「当社第1四半期決算短信」といいます。)に記載された2023年6月30日現在の当社の発行済株式総数(11,450,398株)から、同日現在の当社が所有する自己株式数(7,615株)を控除した株式数(11,442,783株)に係る議決権の数(114,428個、1単元(100株)未満に係る数を切り上げています。)に、株式併合を承認するための株主総会の特別決議に必要となる議決権割合に相当する3分の2を乗じた数(76,286個、小数点以下を切り上げています。)に、当社の単元株式数である100株を乗じた株式数としているとのことです。また、当該株式数は、公開買付者と重要な利害関係を有さない当社の株主の皆様が所有する当社株式の数の過半数(注2)、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)」を充足する株式数となるとのことです。
(注1) 「所有割合」とは、当社第1四半期決算短信に記載された、2023年6月30日現在の発行済株式総数(11,450,398株)から、当社第1四半期決算短信に記載された同日現在の当社が所有する自己株式数(但し、同日現在の監査等委員でない取締役(社外取締役を除きます。)を対象とする株式報酬制度に係る信託が所有する当社株式68,384株を除きます。以下同じです。)(7,615株)を控除した株式数(11,442,783株)に対する当社株式の割合(小数点以下第三位を四捨五入しています。以下、所有割合の計算において同じです。)をいいます。
(注2) 当社第1四半期決算短信に記載された2023年6月30日現在の発行済株式数(11,450,398株)から、同日現在の当社が所有する自己株式数(7,615株)を控除した株式数(11,442,783株)の過半数は5,721,392株となるとのことです。買付予定数の下限は7,628,600株であり、5,721,392株を上回るとのことです。
また、本公開買付けにより、公開買付者が当社株式の全て(但し、当社が所有する自己株式を除きます。)を取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後に、下記「(5) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、当社の株主を公開買付者のみとし、当社株式を非公開化するための一連の手続(以下「本スクイーズアウト手続」といいます。)を実施することを予定しているとのことです。
公開買付者は、本公開買付けが成立した場合、本公開買付けを含む本取引に要する資金を、株式会社静岡銀行(以下「静岡銀行」といいます。)からの借入(以下「本買収ローン」といいます。)、並びにJ-STAR No.5-A, LP、J-STAR No.5-B, LP、J-STAR No.5-C, LP、J-STAR No.5-D, LP及びJ-STAR No.5-E, LPによる出資により賄うことを予定しており、これらをもって、本公開買付けの決済資金等に充当する予定とのことです。本買収ローンに係る融資条件の詳細は、静岡銀行と別途協議の上、本買収ローンに係る融資契約において定めることとされているとのことですが、本買収ローンに係る融資契約では、公開買付者が本公開買付けにより取得する当社株式等が担保に供されることが予定されているとのことです。
公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け及び本取引後の経営方針は以下のとおりです。なお、以下の記載のうち公開買付者に関する記述は、当社が公表した2023年8月4日付「YJホールディングス株式会社による焼津水産化学工業株式会社(証券コード:2812)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ」(以下「公開買付者プレスリリース」といいます。)その他公開買付者が公表した情報及び公開買付者から受けた説明に基づくものです。
J-STARは、2023年4月14日に当社より非公開化を通じた成長戦略に関する打診を受けたとのことです。J-STARは、当該打診を受ける以前、2019年8月上旬より当社と事業戦略や業界再編の可能性について、1年に1、2回の頻度で合計5回の意見交換を重ねており、また、意見交換を行う中で、本ファンドの投資先である株式会社ダイニチ(飼料・資材事業、水産事業、水産養殖事業)等との業務提携やシナジーの可能性も期待できるとの認識に至ったことから、2023年4月下旬、当社の非公開化について本格的に検討を開始したとのことです。J-STARは、2023年6月22日に当社より事業計画を、同月23日に完全子会社化に関する第一次入札要綱をそれぞれ受領し、当社との更なるディスカッションを通じて、当社が海由来の多様な原料調達ルートを有しており、FSSC22000認証(注1)を取得した信頼性の高い工場で天然素材を抽出・精製・乾燥して調味料を製造する特許やノウハウを有していることが当社の競争力の源泉になっていると理解したとのことです。また、当社は、機能性食品素材の開発・製造にも注力しており、通常のグルコサミンと比べて、同じ量を摂取した場合、体内での利用効率が高いことで知られるN-アセチルグルコサミンや日常的な疲労感、肉体疲労を軽減する抗疲労作用及び尿酸値の上昇を抑制する作用があると言われており、新しい機能性表示食品対応素材として注目されているアンセリン等の高付加価値商品を有していることも競合他社との差別化要素になっているとのことです。一方、中長期的に国内市場が縮小傾向にあることに加えて、ビーガンや代替肉、個食化など「食」に関して多様化が進む市場において、従来の経営資源では対応が難しくなっている状況と理解しているとのことです。そうした中、J-STARは、2023年6月下旬、これまで当社が構築してきた強みを活かして再成長を目指すために、研究開発センターや工場投資、中食・外食向けの商品開発及びマーケティングの強化、海外展開の促進、業界再編によるスケールメリットの追求等を迅速に進めることが不可欠と認識するに至ったとのことです。
(注1) 「FSSC22000」とは、Food Safety System Certification 22000の略であり、国際食品安全イニシアチブ(Global Food Safety Initiative)によって承認された国際的な食品安全管理のためのシステム規格です。
上記のような検討を踏まえ、2023年6月下旬、J-STARは本取引に係る第一次入札へ参加することを決定し、2023年6月30日、本公開買付けを通じて当社株式を非公開化することに関する意向、本公開買付けにおける買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)の想定レンジ(1,099円~1,407円)、スキーム概要、想定スケジュールの概要等に係る初期的な提案書を当社に対して提出したとのことです。その後同年7月3日に、当社から本公開買付価格の想定レンジの下限を株式価値140億円(1株当たり1,231円)まで引上げてほしい旨の打診を受け、翌4日、下限引上げを応諾することにより、第二次入札プロセスにおいてデュー・ディリジェンスの実施及び当社と本取引の条件について更なる協議を進めることで合意したとのことです。
その後、J-STARは、2023年7月上旬から同年7月下旬まで実施したデュー・ディリジェンスの結果を踏まえて、当社に対し、2023年7月25日、本公開買付価格を1,110円(提出日の前営業日である2023年7月24日の当社株式の終値(816円)に対して36.03%のプレミアム。小数点以下第三位を四捨五入しています。以下プレミアム率の計算について他に取扱いを定めない限り同じです。)とすることを含む最終意向表明書を提出したとのことです。なお、最終意向表明書における本公開買付価格については、デュー・ディリジェンスを通じた当社の事業及び財務状況の分析に加え、原材料の高騰による調達環境が今後も厳しい見通しであることも一定考慮した結果、第一次入札において応諾した本公開買付価格の想定レンジの下限(1株当たり1,231円)を下回る価格での提示となったとのことです。また、最終意向表明書の提出にあたり、本件実施による悪影響や不利益の有無及び程度についても検討した上で、特段の悪影響・不利益はないと判断したとのことです。
また、J-STARは、最終意向表明書において、具体的な施策として、以下を提案しており、これらを実行することで当社の企業成長を支援できると考えているとのことです。
(ア) 経営管理体制の強化
J-STARの知見を活かし、予実管理、原価管理、営業効率、研究開発効率、機械設備の稼働率等の経営管理指標を整備することにより、収益性や生産性を改善できる余地を見出し、業務改善につなげることが可能と考えているとのことです。現行の経営管理方法を尊重しつつ、より良い経営管理体制(システム導入含みます。)の強化について支援していく予定とのことです。
(イ) 海外市場の開拓支援
当社が主戦場としている国内市場は、今後も国内人口減少に伴い、市場規模が縮小していくことが想定されており、当社の中長期的な企業価値向上には海外売上高の増加が必要不可欠であると考えているとのことです。当社の経営資源に限りがある中、J-STARが保有する人的リソースや海外展開に関する知見といった経営資源を有効活用することで、当社の課題である海外展開を加速することができると考えているとのことです。
(ウ) 業界再編(M&A)支援
天然調味料や機能性素材を開発、製造、販売する同業他社は国内に複数存在しており、特に国内市場においては国内人口減少に伴う市場規模縮小という同様の課題を抱えていると想定しているとのことです。また、世界的にインフレ加速が予想される中、原材料の調達価格の高騰への対応も喫緊の課題として認識しているとのことです。J-STARの知見を活用しながら、同業他社との資本業務提携等を加速し、調達、開発、製造、販売などの分野でスケールメリットを享受可能な体制を構築できると考えているとのことです。
(エ) 本ファンド投資先企業とのシナジー追求
本ファンドは、株式会社ダイニチ、株式会社小島水産、株式会社食縁フードテックなど複数の水産系企業や、株式会社ホットパレット、株式会社越後屋などの外食企業に対しても投資を行っており、これらの企業との連携により下記の事業シナジーの発現が可能と考えているとのことです。
(a) 水産資源の効率的な活用に関する共同研究
株式会社ダイニチでは次世代の養殖飼料として、環境負荷の低減、増肉係数の向上、免疫力の強化等に資する原料や添加物の研究開発を行っており、共同研究を進めることができると考えているとのことです。
(b) 調味料や機能食品の原料供給
株式会社ダイニチの水産加工場では加工残渣が生じているとのことです。養殖飼料の原料として再利用しているとのことですが、当社の調味料や機能食品の原材料として有効活用する可能性について検討を進めることも考えているとのことです。
(c) ビジネスマッチング
本ファンドは株式会社ホットパレット、株式会社越後屋など外食企業に投資を行っており、当社の外食・中食向け調味料の紹介が可能であるとのことです。また、海外における食品関連企業をご紹介することも可能であるとのことです。
(ⅱ) 本公開買付け及び本取引後の経営方針
本取引後、公開買付者としては、J-STARが指名する者を当社の取締役に就任させることを考えているとのことですが、その具体的な人数、時期及び候補者等については現時点で未定であり、さらに公開買付者と当社の取締役の間では、本公開買付け後の役員就任について何らの合意も行っていないとのことです。なお、本公開買付け実施後の当社の役員構成を含む経営体制の詳細については、本公開買付けの成立後、当社と友好的に協議しながら決定していく予定とのことです。また、本公開買付け成立後の当社グループの従業員については、原則として現在の処遇を維持することを予定しているとのことです。
当社は、カツオやマグロなど魚の町として全国的に有名な静岡県焼津市にて、今から60年以上前の1959年3月に設立されました。当時は、焼津市内の鰹節工場などで加工時に頭や内臓、骨などの副産物が大量に発生しておりましたが、その殆どは利用されず廃棄されており、その際の悪臭や水質汚濁などが問題となっておりました。これらの問題解決を目的としてスタートした当社は、設立当時は、水産物の加工時に発生する副産物を有効活用した飼肥料向けのフィッシュソリブル及び肝油の製造を主な事業としておりましたが、設立後まもなく、より付加価値の高いエキス調味料の製造に方針を転換しました。その後、調味料原料製造で培った天然素材から美味しさを抽出する技術をベースに、天然調味料や乾燥食品へと製造の幅を広げていきました。1980年以降には機能性素材の開発を本格的に開始し、カニ殻からキチン、キトサンを精製し、販売を始めました。これらを出発点にキチンオリゴ糖、N-アセチルグルコサミンの製造を開始し、現在では、これらの技術を生かして海洋性のアンセリンやコラーゲンなどの機能性新素材を世に送り出し、日本の高度成長期以降の加工食品マーケットの拡大や高齢化に伴う健康志向の高まりと共に成長してまいりました。当社製品は、各種食品メーカーや健康食品メーカーに原料素材として利用いただいており、設立以来60年を超える歴史の中で、その製造技術を磨いてまいりました。当社は「天然素材の持つ無限の可能性を追求し、“おいしさ”と“健康”を通して豊かな生活に貢献します」を企業理念としており、原料素材メーカーとして、多くの方の豊かな食生活の一助となるような事業活動を通じて、企業価値の向上を図っております。
当社株式は、1988年11月に社団法人日本証券業協会東京地区協会及び名古屋地区協会に天然調味料業界として初めて店頭登録し、1992年9月に株式会社名古屋証券取引所(以下「名古屋証券取引所」といいます。)市場第二部に上場しました。その後、2000年9月に東京証券取引所市場第二部に追加上場し、2001年3月には東京証券取引所市場第一部及び名古屋証券取引所市場第一部(但し、2006年1月に名古屋証券取引所市場第一部上場廃止)に指定替えとなりました。直近では、2022年4月の東京証券取引所における新市場区分への移行を経て、本書提出日現在、東京証券取引所スタンダード市場に上場しております。
食品業界は、国内の人口減少や少子高齢化に伴う市場規模の縮小、気候変動による天然素材の安定調達不安など厳しい環境下にあると認識しております。国内市場規模の縮小は今後も見込まれていることから、新たな市場を開拓することが重要な経営課題であると認識しており、また、安定した事業運営のために、個体数の減少や魚体の縮小に起因する漁獲高の減少に伴う原料の調達懸念を調達先の多様化により極小化することも重要な経営課題であると認識しております。また、消費者向け製品の多様化や差別化がより一層促進されていることから、原料素材メーカーとして、消費者ニーズの多様化に対応可能な体制構築が求められております。一方、国外ではASEANをはじめとするアジア諸国の経済が引き続き拡大していくことが予想され、日本食の拡大と健康志向の高まりをみせており、上記のとおり国内市場の規模の縮小が見込まれている状況においては、アジア諸国の旺盛な需要を取り込むことが当社の事業規模の拡大において重要であると認識しております。
こうした状況も踏まえて、当社は「価値創造の加速」をビジョンとした2025年3月までの3ヵ年中期経営計画を策定し、①安全・安心の向上、②国内事業(調味料、機能性)の強化、③海外展開の加速、④新たな事業分野の創出の4つを基本戦略として事業運営を行ってまいりました。具体的には、①安全・安心の向上においては、原料開発の強化、各国への輸出規制に対する取り組みにより、新たな価値創造に適合する品質保証体制の確立を目指しております。②国内事業(調味料・機能性)の強化においては、調味料事業については、新たな地域からの原料調達や、昆布・エビ分野に集中した商品投入、DXを活用した生産性の進化、成長著しい中食市場に向けた設備導入などの方策により当該事業分野におけるシェアを拡大し、食シーンの多様化に貢献できる天然調味料メーカーへの進化を図っております。また、機能性食品事業については、戦略的な知的財産権の取得を基盤として、マーケットイン(注1)によるオリジナル素材の積極的な商品投入により、健康訴求領域(注2)の拡大を図り、独自の製造技術を活用した受託生産の拡大にも積極的に取り組んでおります。③海外展開の加速においては、海外売上増加に向け、ASEANと米国の拠点開設に向けた積極投資を行い、海外市場に当社ブランドを浸透させることを目指しております。④新たな事業分野の創出においては、他社との積極的な協業も視野に入れ、調味料、機能性に続く新たな事業確立を目指し、2021年に出資したフードテック特化型ファンド「食の未来ファンド」の投資先企業の情報を共有し、当社の持つ開発・製造・販売ノウハウと融合していくことで、新たな価値創造を加速させ、事業領域の拡大に取り組んでおります。
当社はこれら4つの基本戦略を軸に企業価値の向上を図ってまいりましたが、従前より認識していた国内人口の減少・少子高齢化に伴う市場縮小に加えて、当社の事業基盤である水産資源の減少や昨今の原材料高、エネルギー価格の高騰など、当社を取り巻く経営環境は一層厳しさを増しております。また、原材料高やエネルギー価格の高騰などを補う目論みで実施していた価格改定についても、原材料高やエネルギー価格の高騰が継続する中、断続的な値上げについて顧客からの理解が得られにくくなっており、交渉が想定とおりに進捗しない状況が当社業績の一時的な下押し要因となっております。このような現状を打破し、中長期的な企業価値向上を実現するためには、更なる大胆な経営改革が必要だと認識しております。具体的には、当社事業の強化に必要な設備投資をより迅速に行うことや、市場拡大が想定される中食・外食向けの商品開発体制の構築及び商品開発の加速、旺盛な需要が期待できる海外展開の加速、事業運営上重要である天然由来の水産系原材料の仕入れ体制を強化する観点での垂直統合、当社の企業価値向上に資する企業との提携等が必要だと考えております。
また、このような状況と並行して、当社は、2019年8月頃より、断続的に非公開化を含めた当社の資本施策や企業価値向上に向けた経営資源の最適配分などについて議論してまいりました。2020年2月には、東京証券取引所から市場区分の見直しに関する概要が公表され、2021年度中に新市場区分の選択が必要となり、当社内でも経営資源の最適配分や上場企業であることの意義等、新市場区分選択に関する議論がなされ、その際にも非公開化は選択肢のひとつとして議論されておりました。当該市場区分見直しにおいて、当社は最終的に東京証券取引所スタンダード市場への移行を選択し、現在に至りますが、非公開化を含めた資本施策は当社の経営課題となっていました。
(注1) 「マーケットイン」とは、消費者がより必要とするモノを提供するという考え方で、顕在化している顧客ニーズへの適合を優先し、そのニーズに答えるための商品開発を行う方法です。
(注2) 「健康訴求領域」とは、体組成やひざ関節の悩みの改善、尿酸値を低下させるといった健康の維持や向上に関与する生体調節機能を持つ食品の領域であり、主に機能性表示食品向けの素材及びそれを利用した食品です。
かかる状況の下、当社は、2023年3月下旬、上記「(ⅰ)当社を取り巻く事業環境、当社の経営課題」に記載のとおり、当社を取り巻く経営環境が厳しさを増す中、当社が今後も成長し、中長期的に企業価値を高めていくためには、当社の企業価値向上のための取り組みに対して付加価値を提供し、当社の中長期的な成長を促進してくれることが期待できる戦略的パートナーの下、当社株式を非公開化し、株式市場からの短期的な業績期待に左右されない状況下で、十分な事業投資を行い、かつ大胆な経営改革を行うことが経営上の合理的な選択肢であるという考えに至り、戦略的パートナーの探索を開始することにいたしました。
具体的には、2023年4月上旬より、当社は戦略パートナーと成り得る事業会社や投資ファンドとの間で非公開化を含む当社の成長戦略の可能性について議論を開始いたしました。また、戦略的なパートナーの探索に際して、2023年3月下旬に森・濱田松本法律事務所を本取引に関するリーガル・アドバイザーに、同年5月上旬にフロンティア・マネジメントを本取引に関するファイナンシャル・アドバイザーに、それぞれ選任しております。
また、下記「(6) 買付け等の価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、本公開買付けはいわゆるマネジメント・バイアウトや支配株主との取引等には該当しないものの、本取引が当社を公開買付者の完全子会社とすることを目的としており当社の一般株主に大きな影響を与えること等を踏まえて、当社は、本取引に係る手続の公正性を担保することにより、本取引に係る取引条件の公正性を確保する観点から、本特別委員会を設置し、(a)本取引を実施することの是非(本取引が公開買付けにより行われる場合には、当該公開買付けについて当社取締役会が賛同するべきか否か、及び、当社株主に対して本公開買付けへの応募を推奨するべきか否か)を検討し、当社取締役会に勧告を行うこと、なお、(a)の検討に際しては、①当社の企業価値の向上に資するか否かの観点から、本取引の是非について検討・判断するとともに、②当社の一般株主の利益を図る観点から、取引条件の妥当性及び手続の公正性について検討・判断するものとすること、及び、(b)当社取締役会における本取引についての決定が、当社の少数株主にとって不利益なものでないかについて検討し、当社取締役会に意見を述べること(以下「本委嘱事項」といいます。)を委嘱いたしました(本特別委員会の構成、本特別委員会に付与した権限その他本特別委員会の活動内容等については、下記「(6) 買付け等の価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)。
その後、当社は、当社による戦略的パートナーとして3社の投資ファンド及び1社の事業会社に対して本取引に関する提案の打診を行い、当該打診に応じて本取引に関心を示した投資ファンド2社を対象として、第一次入札プロセスを実施し、2023年6月下旬に、当該2社から本取引に関する意向表明書を受領いたしました。当社は、受領した意向表明書の内容について、株式価値評価額、資金調達の確実性、本取引実施後の経営方針及びその支援施策等の観点から慎重に検討を行い、本特別委員会の承認を受けた上で、第二次入札プロセスに進む候補者としてJ-STARを選定し、当該候補者に対して詳細なデュー・ディリジェンスの機会を与え、法的拘束力のある最終意向表明書を提出することを求めることといたしました。
その後、J-STARによる当社へのデュー・ディリジェンスを経て、2023年7月下旬に当社はJ-STARから第二次意向表明書を受領いたしました。本特別委員会は、株式価値評価額、本取引実施後の経営方針及びその他支援施策等の観点から総合的に検討した結果、株式価値127億円、公開買付価格1株当たり1,110円という提案を含むJ-STARの提案を検討することが最善であるとの結論に至りました。なお、デュー・ディリジェンスを経て提出されたJ-STARの上記提案は第一次入札時の当社からの価格引き上げ要請を踏まえた想定レンジの下限株式価値140億円(公開買付価格1株当たり1,231円)を下回っておりますが、本特別委員会は、J-STARから、その理由として、上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け及び本取引後の経営方針」の「(ⅰ)本公開買付けの背景、公開買付者と当社との協議、公開買付者による意思決定の過程」に記載されている内容の説明を受け、当社の最新(2024年3月期第1四半期)の業績を踏まえて当社の事業環境を勘案すれば、かかる説明も一定の合理性があると判断いたしました。
その上で、当社は、2023年7月26日付でJ-STARに対し、フロンティア・マネジメントによる当社の株式価値の試算結果、当社ビジネスの将来見通し、及び過去の類似する取引において付与されたプレミアムの実例等を総合的に勘案の上、本特別委員会の意見も踏まえて、本公開買付価格について再考することを書面で申し入れました。その後、同年7月27日にJ-STARより、本公開買付価格1,110円は投資委員会にて十分に議論を重ねた結果、提示した金額であるため価格の引き上げの余地は小さい旨の連絡をフロンティア・マネジメント経由で受領しました。J-STARからの連絡を受けて、本特別委員会において協議を行い、フロンティア・マネジメントの株式価値の試算結果、当社ビジネスの将来見通し及び過去の類似する取引において付与されたプレミアム、買付価格を前提として算出したPBR等を総合的に勘案の上、同日、本特別委員会として、本公開買付価格1,180円での再考を申し入れ、翌7月28日、J-STARより、本公開買付価格を1,137円とする旨の再提案を受領いたしました。当該J-STARからの連絡を受けて、当社は、同年8月1日に、本特別委員会において協議を行い、フロンティア・マネジメントの株式価値の試算結果、当社ビジネスの将来見通し及び過去の類似する取引において付与されたプレミアム、買付価格を前提として算出したPBR等を総合的に勘案の上、本特別委員会として、本公開買付価格1,154円での再考を申し入れました。これに対して、同年8月1日、J-STARより、本公開買付価格を1,137円から引き上げることは困難である旨の回答を受領いたしました。当社は、当該J-STARからの回答を受けて、本特別委員会において協議を行い、フロンティア・マネジメントの株式価値の試算結果、当社ビジネスの将来見通し及び過去の類似する取引において付与されたプレミアム、買付価格を前提として算出したPBR等を総合的に勘案の上、同年8月2日、本公開買付価格を1,137円で応諾する旨をJ-STARに伝達しました。
以上の経緯のもと、当社は、フロンティア・マネジメントより取得した2023年8月3日付株式価値算定書(以下「本株式価値算定書」といいます。)及び森・濱田松本法律事務所から得た法的助言を踏まえつつ、本特別委員会における検討及び本特別委員会から提出を受けた2023年8月3日付答申書(以下「本答申書」といいます。)の内容を最大限尊重しながら、本取引に関する諸条件について企業価値向上の観点から慎重に検討を行いました。
その結果、当社は、公開買付者とともに本取引を実施することにより、株式市場からの短期的な業績期待に左右されない状況下で、十分な事業投資を行い、かつ大胆な経営改革を行うことが可能になると考えたことに加え、以下の観点から、本取引は企業価値向上に資すると判断いたしました。
(ア) J-STARが保有する経営資源を活用した海外展開の加速
現在、当社が主戦場としている国内市場は、今後も国内人口減少に伴い、市場規模が縮小していくことが想定されており、当社の中長期的な企業価値向上には海外売上高の増加が必要不可欠であると考えております。当社の経営資源に限りがある中、J-STARが運営するファンドの投資家であるアジア・欧米・中東圏など多くの海外投資家と構築している幅広いネットワークやJ-STARの投資先が海外における原料調達や拠点展開を進める中で獲得してきた海外マーケットに関する知見といった経営資源を有効活用することで、当社の課題である海外展開を加速することができると考えております。
(イ) 業界再編(M&A)によるスケールメリットの享受
天然調味料や機能性素材を開発、製造、販売する同業他社は国内に複数存在しており、特に国内市場においては国内人口減少に伴う市場規模縮小という同様の課題を抱えていると想定されます。J-STARの知見を活用しながら、同業他社との資本業務提携等を加速し、開発、製造、販売などの分野でスケールメリットを享受可能な体制を構築できると考えております。
(ウ) J-STAR投資先企業とのシナジー追求
J-STARは、株式会社ダイニチ、株式会社小島水産、株式会社食縁フードテックなど複数の水産系企業に投資をしており、これらの企業とは主に原料調達の観点でシナジーが見込めると考えております。また、J-STARは、株式会社ホットパレット、株式会社越後屋など外食企業に対しても投資を行っており、これらの企業における商品開発において当社製品を活用すること等によるシナジーが見込めると考えております。
(エ) 経営管理体制の強化
当社は上場企業として十分な経営管理を行ってきたと自負しておりますが、J-STARは多様な企業への投資経験を通じて、経営管理体制に関する豊富な知見を有していると考えております。その知見を当社へ導入し、経営管理指標を整備し、DXを活用した生産性向上を加速することで、収益性、生産性の更なる向上が見込めるものと考えております。
(オ) 経営資源の最適配置
近年のコーポレートガバナンス・コードの改訂、資本市場に対する規制の強化等により、金融商品取引法上の有価証券報告書等の継続開示に要する費用、監査法人への報酬や証券代行費用等、上場を維持するために必要な人的・金銭的コストは増加を続けており、当社の事業規模・人員規模を踏まえた場合、相当の負担となってきております。本取引を通じて、当社株式が非公開化された際には、IR対応に割いていた人的・金銭的リソースを事業戦略の実行へと集中させることができ、企業価値の向上を図ることが可能になると考えております。
なお、当社としては、上記を含めたJ-STARとの協業により実行可能となる各施策には多額の先行投資を要するものも含まれているところ、各施策が業績に寄与するまでには相応の時間を要することも見込まれ、施策実行には失敗のリスクも内在するため、一時的には収益及びキャッシュ・フローのマイナスを招く可能性があると考えております。他方で、上場企業である以上、短期的な業績に対してもコミットメントが求められる中、各施策実行の過程で中長期的な成長を優先する意思決定を行った結果、資本市場から十分な評価が得られず、当社株式の株価の下落が生じ、既存株主の利益を損なう可能性があると考えております。そのため、当社としては、本取引により当社株式を非公開化した上で、J-STARとの協業を実行していくことが必要であると判断いたしました。
また、当社株式の非公開化により、当社は、資本市場からエクイティ・ファイナンスによる資金調達を行うことができなくなり、また、上場会社であることに伴う社会的な信用の向上といったこれまで上場会社として享受してきたメリットを喪失することになります。もっとも、当社の現在の財務状態を踏まえると、当面の間エクイティ・ファイナンスの必要性は高くなく、また、当社の事業においては、食品安全等に関する規格認証を適切に取得し維持することが信用力の確保として最も重要であり、上場企業であることに伴う社会的な信用力を理由に取引している取引先は僅少だと考えており、上場会社であることによるメリットは大きくないことから、今後も継続して当社株式の上場を維持する必要性は限定的であると考えております。
以上に加えて、当社は、本公開買付価格について、下記「(6)買付け等の価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「①当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載されているフロンティア・マネジメントによる本株式価値算定書における当社株式の株式価値の算定結果のうち、市場株価平均法による算定結果のレンジの上限を上回るものであり、ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)による算定結果のレンジの範囲内のものであり、本公開買付けの公表日の前営業日である2023年8月3日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値823円に対して38.15%、また、2023年7月4日から2023年8月3日までの過去1ヶ月の終値単純平均株価820円(小数点以下を四捨五入しています。以下、終値単純平均株価の計算において同じとします。)に対して38.66%、2023年5月8日から2023年8月3日までの過去3ヶ月の終値単純平均株価823円に対して38.15%、2023年2月6日から2023年8月3日までの過去6ヶ月の終値単純平均株価852円に対して33.45%のプレミアムを加えたものであるところ、経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針」を公表した2019年6月28日以降に公表された、公開買付けを利用して成立した類似事例35件のプレミアム水準の中央値(公表日の前営業日の株価に対して32.99%、公表日の前営業日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値に対して38.29%、公表日の前営業日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値に対して40.57%、公表日の前営業日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値に対して44.71%)と比較して遜色ない水準のプレミアムが付与された価格であること、下記「(6)買付け等の価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載の本公開買付けの公正性を担保するための措置が採られており、当社の少数株主の利益への配慮がなされていると認められること、本公開買付けの公正性を担保するための措置が採られた上で決定された価格であること等を踏まえて総合的に判断すると、本公開買付価格は、妥当なものであり、本公開買付けは当社の株主の皆様に対して合理的な株式売却の機会を提供するものであると判断いたしました。
なお、本公開買付価格は、当社の2023年6月30日現在の連結簿価純資産から算出した1株当たり純資産額(1,653円)を31%(小数点以下を四捨五入しています。)下回っているものの、純資産額は会社の清算価値を示すものであり、将来の収益性を反映するものではないため、継続企業である当社の企業価値算定において重視することは合理的でないと考えております。また、同日現在の当社の連結貸借対照表において総資産に占める流動性の低い資産(商品及び製品、仕掛品、原材料及び貯蔵品、土地建物といった固定資産)の割合が37.9%(小数点以下第二位を四捨五入しています。)と相当程度存在すること、清算に際しては売上債権の早期回収に伴う費用・損失、工場の閉鎖に伴う除去コスト、清算に伴う様々な追加コストが発生すると見込まれること等を考慮すると、仮に当社が清算する場合にも、連結簿価純資産額が同額で換価されるわけではなく、現実的には当社の株主の皆様に対して分配することができる金額は連結簿価純資産額から相当程度毀損された金額になることが想定されることから、本公開買付価格が2023年6月30日現在の連結簿価純資産から算出した1株あたり純資産額を下回っていることをもって、本公開買付価格の妥当性を否定する理由にはならないと考えております。
これらを踏まえ、当社は、2023年8月4日付の当社取締役会決議により、当社の意見として、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けに応募することを推奨する旨の決定をいたしました。上記の取締役会決議の詳細は、下記「(6) 買付け等の価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「④ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認」をご参照ください。
なお、当社は、2007年4月27日開催の当社取締役会において、「当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(買収防衛策)」(以下「本プラン」といいます。)を導入し、その後一部変更を加えた上で現時点まで本プランを継続しておりますが、上記のとおり、当社は、本取引の実施は当社の企業価値向上に資するものであると判断したことから、上記取締役会において、本公開買付けに対して本プランを適用せず、対抗措置を発動しないことを決議いたしました。
当社は、本公開買付けに関する意見を決定するにあたり、当社及び公開買付者から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるフロンティア・マネジメントに対して、当社の株式価値の算定を依頼し、2023年8月3日付で本株式価値算定書を取得しております。なお、フロンティア・マネジメントは当社及び公開買付者の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して、当社及び公開買付者との間で重要な利害関係を有しておりません。また、本取引に係るフロンティア・マネジメントに対する報酬には、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれております。当社は、同種の取引における一般的な実務慣行及び本取引が不成立となった場合であっても当社に相応の金銭負担が生じる報酬体系の是非等も勘案すれば、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれることをもって独立性が否定されるわけではないと判断の上、上記の報酬体系によりフロンティア・マネジメントを当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として選任しました。
なお、当社は、当社及び公開買付者において、本公開買付価格の公正性を担保するための措置並びに利益相反を回避するための措置(具体的には「(6) 買付け等の価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」乃至「⑥ 他の買付者からの買付機会を確保するための措置」記載の措置)を実施し、当社の少数株主の利益には十分な配慮がなされていると考えていることから、フロンティア・マネジメントから本公開買付けの価格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)は取得しておりません。
フロンティア・マネジメントは、当社の株式価値の算定にあたり必要となる情報を収集・検討するため、当社の経営陣から事業の現状及び将来の見通し等の情報を取得して説明を受け、それらの情報を踏まえて、当社の株式価値の算定を行いました。フロンティア・マネジメントは、当社が東京証券取引所スタンダード市場に上場しており、市場株価が存在することから市場株価平均法を、また、将来の事業活動の状況を評価に反映するためDCF法を採用して、当社の株式価値を算定いたしました。
フロンティア・マネジメントが上記各手法に基づき算定した当社株式の1株当たりの価値はそれぞれ以下のとおりです。
市場株価平均法 820円~852円
DCF法 1,009円~1,437円
市場株価平均法においては、評価基準日を本公開買付けの公表日の前営業日である2023年8月3日として、東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の直近1ヶ月間の終値単純平均株価820円、直近3ヶ月間の終値単純平均株価823円、直近6ヶ月間の終値単純平均株価852円を基に、当社株式の1株当たりの価値の範囲を820円から852円までと算定しております。なお、市場株価平均法の採用に際しては、複数の期間における終値単純平均株価を参照することにより短期的な株価変動を平準化し、当社株式の価値を算定しております。
DCF法においては、当社が本取引に際して作成した2024年3月期から2031年3月期までの8期分の連結ベースの事業計画、一般に公開された情報等の諸要素を前提として、当社が生み出すと見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引いて当社の企業価値や株式価値を計算し、当社株式の1株当たり株式価値の範囲を1,009円から1,437円までと算定しております。当社は2022年5月23日付で公表した2023年3月期を初年度とする3ヵ年の中期経営計画(同日付「第63期 通期決算説明会 資料」参照)において、2025年3月期の定量目標を公表しておりましたが、当社が公表した2023年8月4日付「中期経営計画~ビジョン「価値創造の加速」~の見直しに関するお知らせ」にて記載のとおり、当該中期経営計画を見直し、当該定量目標を取り下げる旨を公表しており、また、当社が公表した2023年8月4日付「業績予想の修正に関するお知らせ」にて記載のとおり、2024年3月期第2四半期連結累計期間及び通期の連結業績予想を修正しております。これらは当該事業計画に織り込まれております。なお、当該事業計画は、本取引の実行を前提としたものではなく、本取引実行により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において具体的に見積もることが困難であるため、当該事業計画には加味しておりません。当該事業計画には、前年度比で大幅な増減益を見込んでいる事業年度が含まれております。具体的には、2025年度3月期には、一部製品の売上増加や原材料高やエネルギー価格高騰が一服することによる変動費減少を主因に営業利益が前事業年度比170百万円、EBITDAが前事業年度比219百万円増加すること、これらの要因に加え、前事業年度比設備投資金額を抑制したことを要因にフリー・キャッシュ・フローが前事業年度比813百万円増加することが見込まれております。2026年3月期には、注力素材への設備投資や研究開発センターへの設備投資に伴いフリー・キャッシュ・フローが前事業年度比3,858百万円減少することが見込まれております。2027年3月期には、一部製品において、大型受注を想定していることに伴う売上増加を主因に営業利益が前事業年度比308百万円、EBITDAが前事業年度比412百万円、これらの要因に加え、前事業年度比設備投資金額を抑制したことを要因にフリー・キャッシュ・フローが4,363百万円増加することを見込んでおります。
なお、下記「(6) 買付け等の価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、本特別委員会は、当該事業計画の内容及び作成経緯等について説明を受け、これらの点に関する質疑応答を行うことを通じて、当該事業計画の合理性について確認をしており、当該事業計画における2024年3月期の数値が上記業績下方修正後の数値となっていることや2025年3月期の数値が2022年5月23日付で公表した中期経営計画における2025年3月期の計画値と乖離していることのみをもって当該事業計画の合理性が否定されるものではないと判断しております。
公開買付者は、本公開買付価格を決定するにあたり、当社が公表している財務情報等の資料、J―STARが2023年7月上旬から同年7月下旬まで実施した当社に対するデュー・ディリジェンスの結果等を踏まえ、当社の事業及び財務の状況を多面的・総合的に分析したとのことです。また、公開買付者は、当社株式が金融商品取引所を通じて取引されていることに鑑みて、本公開買付け実施についての公表日(2023年8月4日)の前営業日である2023年8月3日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値(823円)並びに過去1ヶ月間、過去3ヶ月間及び過去6ヶ月間の終値単純平均値(820円、823円及び852円)の推移を参考にしたとのことです。さらに、過去5年間に行われた公開買付けにおける価格決定の際に付与されたプレミアムの実例、当社による本公開買付けへの賛同の可否及び本公開買付けの成立の見通しを総合的に勘案し、当社との協議及び交渉を踏まえ、2023年8月4日に本公開買付価格を1,137円と決定したとのことです。なお、公開買付者は、上記の要素を総合的に考慮し、かつ、当社との協議及び交渉を経て本公開買付価格を決定していることから、第三者算定機関からの算定書や意見(フェアネス・オピニオン)は取得していないとのことです。
当社株式は、本書提出日現在、東京証券取引所スタンダード市場に上場しておりますが、公開買付者は、本公開買付けにおいて、買付予定数の上限を設定していないため、本公開買付けの結果次第では、当社株式は東京証券取引所の上場廃止基準に従い、所定の手続を経て上場廃止となる可能性があります。
また、本公開買付けの成立時点では当該基準に該当しない場合でも、本公開買付けが成立した後、公開買付者、下記「(5) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載の本スクイーズアウト手続を実行することを予定しておりますので、その場合、当社株式は東京証券取引所の上場廃止基準に従い、所定の手続を経て上場廃止となります。なお、上場廃止後は、当社株式を東京証券取引所スタンダード市場において取引することはできません。
なお、上場廃止を目的とする理由及び少数株主の皆様への影響及びそれに対する考え方につきましては、上記「(2) 本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」の「(ⅱ)当社における意思決定の過程及び理由」に記載のとおりです。
公開買付者プレスリリースによると、公開買付者は、上記「(2) 本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、当社を公開買付者の完全子会社とするための本取引の一環として、本公開買付けを実施するとのことです。また、本公開買付けにより当社株式の全て(但し、当社が所有する自己株式を除きます。)を取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後に、以下の方法により、本スクイーズアウト手続を実施することを予定しているとのことです。
公開買付者は、本公開買付けの成立により、公開買付者の所有する当社株式に係る議決権の数の合計が当社の総株主の議決権の数の90%以上となり、公開買付者が会社法第179条第1項に規定する特別支配株主となる場合には、本公開買付けの決済の完了後速やかに、会社法第2編第2章第4節の2の規定に基づき、当社の株主(公開買付者及び当社を除きます。以下同じです。)の全員に対し、その所有する当社株式の全てを売り渡すことを請求(以下「株式売渡請求」といいます。)する予定とのことです。株式売渡請求においては、当社株式1株当たりの対価として、本公開買付価格と同額の金銭を当社の株主に対して交付することを定める予定とのことです。この場合、公開買付者は、その旨を当社に通知し、当社に対して株式売渡請求の承認を求めるとのことです。当社がその取締役会の決議により株式売渡請求を承認した場合には、関係法令の定める手続に従い、当社の株主の個別の承諾を要することなく、公開買付者は、株式売渡請求において定めた取得日をもって、当社の株主全員から、その所有する当社株式の全てを取得するとのことです。そして、当該各株主の所有していた当社株式1株当たりの対価として、公開買付者は、当該各株主に対し、本公開買付価格と同額の金銭を交付する予定とのことです。
なお、当社は、公開買付者より株式売渡請求をしようとする旨及び会社法第179条の2第1項各号の事項について通知を受けた場合には、当社取締役会において、上記株式売渡請求を承認する予定です。
株式売渡請求がなされた場合、株式売渡請求に関連する少数株主の権利保護を目的とした会社法の規定として、会社法第179条の8その他の関係法令の定めに従って、当社の株主は、裁判所に対して、その所有する当社株式の売買価格の決定の申立てを行うことができる旨が定められております。なお、当該申立てがなされた場合の売買価格は、最終的に裁判所が判断することになります。
本公開買付けの成立後、公開買付者の所有する当社株式に係る議決権の数の合計が当社の総株主の議決権の数の90%未満である場合には、公開買付者は、会社法第180条に基づき、株式併合を行うこと及び株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む当社の臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)を2023年11月中旬を目途に開催することを当社に要請する予定とのことです。当社は公開買付者からかかる要請を受けた場合には、係る要請に応じる予定です。なお、公開買付者は、本臨時株主総会において上記各議案に賛成する予定とのことです。
本臨時株主総会において株式併合の議案についてご承認をいただいた場合には、株式併合がその効力を生ずる日において、当社の株主は、本臨時株主総会においてご承認をいただいた株式併合の割合に応じた数の当社株式を所有することになるとのことです。株式併合をすることにより、株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、端数が生じた当社の株主に対して、会社法第235条及び第234条第2項乃至第5項その他の関係法令の定めに従い、当該端数の合計数(合計した数に1株に満たない端数がある場合には、当該端数は切り捨てられます。以下同じです。)に相当する当社株式を当社又は公開買付者に売却すること等によって得られる金銭が交付されることになるとのことです。なお、当該端数の合計数に相当する当社株式の売却価格については、当該売却の結果、本公開買付けに応募しなかった当社の株主(公開買付者及び当社を除きます。)に交付される金銭の額が、本公開買付価格に当該各株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一となるよう算定した上で、裁判所に対して任意売却許可の申立てを行うことを、当社に要請する予定とのことです。また、当社株式の併合の割合は、本書提出日現在において未定ですが、公開買付者のみが当社株式の全て(当社が所有する自己株式を除きます。)を所有することとなるよう、本公開買付けに応募しなかった当社の株主(公開買付者及び当社を除きます。)の所有する当社株式の数が1株に満たない端数となるように決定される予定とのことです。
株式併合に関連する少数株主の権利保護を目的とした規定として、株式併合がなされた場合であって、株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、会社法第182条の4及び第182条の5その他の関係法令の定めに従い、本公開買付けに応募しなかった当社の株主(公開買付者及び当社を除きます。)は、当社に対し、自己の所有する株式のうち1株に満たない端数となるものの全てを公正な価格で買い取ることを請求することができる旨及び裁判所に対して当社株式の価格の決定の申立てを行うことができる旨が会社法上定められています。なお、上記申立てがなされた場合の買取価格は、最終的には裁判所が判断することになります。
上記①及び②の各手続については、関係法令の改正、施行及び当局の解釈等の状況によっては、実施に時間を要し、又は実施の方法に変更が生じる可能性があるとのことです。但し、その場合でも、本公開買付けが成立した場合には、本公開買付けに応募しなかった当社の株主(公開買付者及び当社を除きます。)に対しては、最終的に金銭を交付する方法が採用される予定であり、その場合に当該当社の株主に交付される金銭の額については、本公開買付価格に当該当社の株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一になるよう算定する予定とのことです。
以上の各場合における具体的な手続及びその実施時期等については、当社と協議の上、決定次第、当社が速やかに公表する予定です。
なお、本公開買付けは、本臨時株主総会における当社の株主の皆様の賛同を勧誘するものでは一切ありません。また、本公開買付けへの応募又は上記の各手続における税務上の取扱いについては、当社の株主の皆様が自らの責任にて税理士等の専門家にご確認いただきますようお願いいたします。
本書提出日現在、当社は公開買付者の子会社ではなく、本公開買付けは支配株主による公開買付けには該当いたしません。また、当社の経営陣の全部又は一部が公開買付者に直接又は間接に出資することも予定されておらず、本公開買付けを含む本取引は、いわゆるマネジメント・バイアウト取引にも該当いたしません。もっとも、本取引が当社を公開買付者の完全子会社とすることを目的としており当社の一般株主に大きな影響を与えること等を踏まえて、本取引に係る手続の公正性を担保することにより、本取引に係る取引条件の公正性を確保する観点から、森・濱田松本法律事務所の助言を踏まえ、以下の措置を講じております。
当社は、本公開買付けに関する意見を決定するにあたり、当社及び公開買付者から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるフロンティア・マネジメントに対して、当社の株式価値の算定を依頼し、同社から本株式価値算定書を取得いたしました。また、フロンティア・マネジメントは当社及び公開買付者の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して、当社及び公開買付者との間で重要な利害関係を有しておりません。
なお、当社は、当社及び公開買付者において、本公開買付価格の公正性を担保するための措置並びに利益相反を回避するための措置(具体的には「(6) 買付け等の価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」乃至「⑥ 他の買付者からの買付機会を確保するための措置」記載の措置)を実施し、当社の少数株主の利益には十分な配慮がなされていると考えていることから、フロンティア・マネジメントから本公開買付けの価格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)は取得しておりません。
本株式価値算定書の概要については、上記「(3) 算定に関する事項」の「① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」をご参照ください。
当社は、当社取締役会の意思決定の公正性及び適正性を担保するために、当社及び公開買付者から独立したリーガル・アドバイザーとして森・濱田松本法律事務所を選任し、本公開買付け及びその後の一連の手続に対する当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の意思決定にあたっての留意点に関する法的助言を受けております。なお、森・濱田松本法律事務所は、当社及び公開買付者の関連当事者には該当せず、本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。また、森・濱田松本法律事務所の報酬体系は、本公開買付けの成立如何によって成功報酬が発生する体系とはなっておりません。
本公開買付けはいわゆるマネジメント・バイアウトや支配株主との取引等には該当しないものの、本取引が当社を公開買付者の完全子会社とすることを目的としており当社の一般株主に大きな影響を与えること等を踏まえて、当社は、本取引に係る手続の公正性を担保することにより、本取引に係る取引条件の公正性を確保する観点から、森・濱田松本法律事務所の助言も踏まえて、2023年4月17日付の取締役会決議により、東京証券取引所に独立役員として届け出ている当社の社外取締役である森憲司氏(当社社外取締役)、同日時点で2023年6月開催の当社定時株主総会で社外取締役として選任する議案を上程すること及び選任された場合には独立役員として届け出ることを検討していた長沢芳裕氏(当社社外取締役)並びに弁護士として同種の取引について高度な見識を有する後藤高志氏(弁護士)の3名から構成される、当社及び公開買付者のいずれからも独立した本特別委員会を設置いたしました。なお、本特別委員会の委員は、いずれも公開買付者及び本取引との間に特段の利害関係を有しておりません。本特別委員会の委員の報酬については、稼働時間に時間単価を乗じて算出するものとされており、成功報酬は採用しておりません。また、当社は、本特別委員会の委員として設置当初からこの3名を選定しており、本特別委員会の委員を変更した事実はありません。
その上で、当社取締役会は、上記「(2) 本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、本特別委員会に対し、本委嘱事項を委嘱いたしました。また、当社取締役会は、本特別委員会設置の決議に際して、(a)当社取締役会は、本特別委員会の判断内容を最大限尊重して本取引に関する意思決定を行うこと、及び、(b)本特別委員会が本取引の取引条件が妥当でないと判断した場合には、当社取締役会は当該取引条件による本取引の承認をしないことを決議するとともに、本特別委員会に対し、(a)本取引の相手方との間で取引条件等についての交渉(当社役職員やアドバイザーを通じた間接的な交渉を含む。)を行うこと、(b)本委嘱事項について検討するに当たり、必要に応じ、自らの財務のアドバイザー若しくは第三者算定機関及び法務のアドバイザー(以下「アドバイザー等」と総称する。)を選任又は指名すること(この場合の費用は当社が負担すること。)、又は当社のアドバイザー等を指名し、若しくは承認(事後承認を含みます。)すること(なお、本特別委員会は、当社のアドバイザー等を信頼して専門的助言を求めることができると判断した場合には、当社のアドバイザー等に対して専門的助言を求めることができること。)、(c)本特別委員会が必要と認める者に本特別委員会への出席を要求し、必要な情報について説明を求めること、(d)当社グループ(当社及び当社の子会社を総称して言います。)の役職員から本取引に関する検討及び判断に合理的に必要な情報を受領すること、並びに、(e)その他本取引に関する検討及び判断に際して必要と本特別委員会が認める事項について権限を付与することを決議しております。
本特別委員会は、2023年4月19日から2023年8月3日までの間に合計10回にわたって開催され、本特別委員会の各開催日間においても電子メール等を通じて審議・意思決定等を行う等して、本委嘱事項に関して、慎重に協議及び検討を行いました。
具体的には、まず、2023年4月19日開催の第1回特別委員会にて、リーガル・アドバイザーである森・濱田松本法律事務所につき、また2023年6月22日開催の第2回特別委員会にて、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるフロンティア・マネジメントにつき、いずれも独立性及び専門性に問題がないことから、それぞれ、リーガル・アドバイザー、ファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として承認し、本特別委員会としても必要に応じて専門的助言を受けることができることを確認いたしました。
さらに、本特別委員会は、当社が社内に構築した本取引の検討体制(本取引に係る検討、交渉及び判断に関与する当社の役職員の範囲及びその職務を含みます。)に、独立性及び公正性の観点から問題がないことを確認しております。
その上で、本特別委員会は、(a)当社から、当社の事業環境、当社の経営状況・課題、本取引の背景・目的・経緯・影響、本取引のストラクチャー等について説明を受けるとともに、(b)J―STARに対する書面による質問等を通じて、J―STARから、本取引によって創出されるシナジー効果を含む本取引の意義・目的、本取引後の当社の企業価値向上施策を含む事業運営方針、本取引のストラクチャー、本公開買付価格を含む取引条件の考え方、資金調達の方法等について説明を受けました。
また、本特別委員会は、当社及びフロンティア・マネジメントから、同社が当社の株式価値の算定に際して使用した事業計画の内容及び作成経緯のほか、本株式価値算定書の内容及び算定手法・前提等について説明を受け、これらの点に関する質疑応答を行いました。
そのほか、本特別委員会は、本特別委員会を都度開催し、当社、フロンティア・マネジメント及び森・濱田松本法律事務所から、候補者の選定プロセスの内容を含む本取引に係る公開買付者との間の協議・交渉の経緯及び内容等につき適時に報告を受けた上で、最終的な本取引の取引条件の提案を受けるに至るまで、複数回に亘り当社及びフロンティア・マネジメントとの間で交渉方針等について協議し、これを指示する等して、公開買付者との協議・交渉に直接的又は間接的に関与しております。
以上の経緯で、本特別委員会は2023年8月3日に、当社取締役会に対し、本委嘱事項につき大要以下を内容とする本答申書を提出しております。
(ア) 本取引は当社の企業価値の向上に資するものであり、本取引の目的は合理的である。
・当社は、1959年3月に設立され、調味料、機能性食品、水産物その他の食品等の製造・販売事業を営む会社であり、主に国内外から調達する天然由来の水産系原材料を活用した調味料及び機能性食品の原料素材や加工品を主たる収益源とし、売上高の大半(90%超)を国内販売に依存する中堅メーカーである。なお、水産物セグメントは主力セグメントと比較して相対的に利益率が低い状況となっている。
・過去数事業年度における当社の収益実績を見ると、売上・利益ともに下降傾向が継続しており、直近の2023年3月期においても、調味料セグメントにおいて販売価格の改定効果等により売上高が前期比微増となったものの、主力事業である調味料・機能性食品における継続的な原材料やエネルギー価格等の高騰等が主たる悪化要因となり、セグメント利益は前期比でいずれも減少した(調味料セグメントは前期比12.6%減、機能性食品セグメントは前期比30.5%減)。
・以上の結果、2023年3月期の連結売上高は微増となったものの、営業利益は前期比45.0%減と大きく減少している。当社は2022年5月に「価値創造の加速」をビジョンとした2025年3月までの3ヵ年中期経営計画を策定・公表しているが、計画初年度より未達となり、外部環境の急激な変化等に起因する業績悪化に伴って当該中期経営計画の見直しに迫られる状況となっている。
・当社は、現在の当社を取り巻く事業環境及び経営課題について、①売上高の大半を国内市場へ依存する一方で国内の人口減少や少子高齢化に伴い国内市場規模の縮小傾向が継続すると見込まれるため、新たな市場開拓を要する、②主力事業は主に天然由来の水産系原材料を活用しているところ、気候変動による天然素材の個体数の減少や魚体の縮小に起因する漁獲高の減少に伴って原料の調達懸念が生じているため、調達先の多様化により当該懸念の極小化を要する、③主力製品の最終的な利用先は短期に嗜好が変化しうる消費者向け食品であるところ、消費者向け製品の多様化や差別化がより一層促進されていることから、消費者ニーズの多様化に対応可能な体制(研究開発センターや工場投資、中食・外食向けの商品開発及びマーケティングの強化等を含む。)の構築を要する、④国外ではASEANをはじめとするアジア諸国の経済が引き続き拡大していくことが予想され、日本食の拡大と健康志向の高まりをみせており、上記のとおり国内市場の規模の縮小が見込まれている状況においては、アジア諸国の旺盛な需要の取り込みを要する、と認識している。
・当社は上記課題に対して、①安心・安全の向上、②国内事業(調味料、機能性)の強化、③海外展開の加速及び④新たな事業分野の創出の4つを基本戦略に据え、それぞれについて中長期的な経営戦略を立案し、原材料費や輸送費用の高騰によるコスト増を価格転嫁するための値上、原材料費やエネルギー価格の高騰に対応するための原料調達先の多様化・生産ロットの最大化・工場への太陽光発電設備の設置、販管費上昇に対応するための物流経費の削減等に取り組んできた。
・しかるに現時点においても、気候変動等のコンロールが困難な外的要因により調達価格、調達可否や原材料品質等が左右される天然由来の水産系原材料に依存していること、商社や水産資源の一次加工業者経由の間接的な仕入ルートに依存していること、仕入の3分の1程度を為替変動や世界的なインフレ(特にアジア諸国におけるインフレ)等の影響を受ける輸入に依存していること等の原材料仕入に関する構造的な問題を解決するには至っていない。また、外的要因に起因する原材料費、エネルギー価格及び物流費の高騰をカバーする目論みであった価格改定についても、2022年後半から複数回に渡って値上げを実施してきたことから顧客の理解が得られず、足許の値上げ交渉が想定とおりに進捗しない状況となっている。
・このため当社は、このような現状を打破し、中長期的な企業価値向上を実現するためには、更なる大胆な経営改革が必要であると認識している。具体的には、当社事業の強化に必要な設備投資をより迅速に行うことや、市場拡大が想定される中食・外食向けの商品開発体制の構築及び商品開発の加速、旺盛な需要が期待できる海外展開の加速、事業運営上重要である天然由来の水産系原材料の仕入れ体制を強化する観点での垂直統合、当社の企業価値向上に資する企業との提携等が必要と認識している。
・以上の認識内容は、従前からの当社認識と軌を一にするものであり、本特別委員会が行ったJ-STARに対する書面質問への回答及び質疑応答によれば、当該認識内容について、当社とJ-STARの間に認識の齟齬もない。
・J-STARが本取引後に実行を要するとして提案する施策内容、具体的には(ⅰ) J-STARが保有する経営資源を活用した海外展開の加速、(ⅱ)業界再編(M&A)によるスケールメリットの享受、(ⅲ)J-STAR投資先企業とのシナジー追求、(ⅳ)経営管理体制の強化及び(ⅴ)経営資源の最適配置は、上述した当社を取り巻く事業環境、経営課題及び基本戦略・中長期的な経営戦略・施策と整合的であり、J-STARの投資実績等を踏まえると、その実現可能性を否定するに足る事情もないから、中長期的な視点から、従前より当社が計画している施策に加えて、J-STARが提案する各施策を抜本的かつ機動的に実行することが当社の企業価値の向上に資するものであるとの当社の判断内容は、合理的なものとして首肯し得るところである。
・他方で、当該施策を現状の資本関係で行うことには、①従前より当社が計画している施策に加えて、J-STARとの協業により実行可能となる上記の各施策の実行には多額の先行投資を要するものも含まれていること、当該施策が業績に寄与するまでには相応の時間を要することも見込まれること、海外進出、新製品の開発・上市やM&A等の施策実行には失敗のリスクも内在すること等により、一時的には収益及びキャッシュ・フローのマイナスを招く可能性があること、②上場企業である以上、短期的な業績に対してもコミットメントが求められる中、上記各施策実行の過程で中長期な成長を優先する意思決定を行った結果、資本市場から十分な評価が得られず、当社株式の株価の下落が生じ、既存株主の利益を損なう可能性もあることといった懸念も存する。
・以上のことからすれば、①当社を取り巻く外部環境及び内部環境を踏まえると、J-STARの提案する施策を積極的かつ機動的に実行することが当社の経営課題の克服に繋がり、もって当社の中長期的な企業価値向上に資するものであり、かつ、②本取引は、当社の株主に発生する可能性のある悪影響を回避しつつ当社の中長期的な企業価値向上を実現する手段として優れていることから、本取引にメリットがあるとの当社の判断は合理的なものとして首肯しうる。
・他方で、本取引のデメリットについても具体的な検討がなされており、その検討内容に特段不合理な点は認められない。その検討結果によれば、少なくとも上記のメリットを明らかに上回るデメリットが本取引によって生じるとは認められない。また、当社の企業価値向上の観点において、本取引に優る有効な代替手段が存在すると認めるに足る事情は見当たらない。
・以上のことから、本取引は当社の企業価値の向上に資するものであり、本取引の目的は合理的であると思料する。
(イ) 本公開買付けを含む本取引に係る手続の公正性が確保されている。
・本取引は投資ファンドであるJ-STARによる買収であるため、いわゆる構造的利益相反取引には該当しない。にもかかわらず本取引では、本特別委員会の設置(本特別委員会の実効性を高める実務上の工夫の実施を含む。)、独立した外部専門家(ファイナンシャル・アドバイザー及びリーガル・アドバイザー)の早期登用並びに専門的助言及び本株式価値算定書の取得、一定の競争原理が働く入札手続を通じた積極的なマーケット・チェックの実施、本取引公表後における買収提案の機会の確保、マジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)条件の設定、本取引の検討・交渉・決議における利害関係者の排除、少数株主への情報提供の充実を通じたプロセスの透明性の向上、強圧性の排除といった各種の公正性担保措置が履践されている。
・本取引の具体的状況に照らすと、当該公正性担保措置の内容は、(ⅰ)取引条件の形成過程における独立当事者間取引と同視し得る状況の確保及び(ⅱ)少数株主による十分な情報に基づく適切な判断の機会の確保といういずれの視点からしても、必要十分な内容・組合せであり、かつ、現実にも実効性をもって運用されたと思料する。
・以上の次第であるから、本取引においては、公正な手続を通じて当社の少数株主の利益への十分な配慮がなされていると認められる。
(ウ) 本取引の条件の妥当性は確保されている。
・本取引は構造的利益相反取引ではなく、当社から独立した投資ファンドによる買収取引であるから、買収者と当社の間で馴れ合いの条件交渉が行われる構造的な懸念はない。このため、当社と公開買付者の関係はいわゆる独立当事者であり、本取引は基本的には独立当事者間取引に近似する取引と評価する余地がある。
・また、既述のとおり本件では競争入札が実施されているため、一定の競争原理が働く入札手続が行われており、J-STARの提案価格は合理的に実現可能な最善の条件であることが一定程度推認される。
・以上に加えて、(ⅰ)上記(ウ)で述べたとおり、本取引の条件が形成される過程において本特別委員会の設置及び関与を含む公正性担保措置の履践を通じて独立当事者間取引と同視し得る状況が確保されており、現に当事者間で真摯な交渉を経て合意されたこと、(ⅱ)本株式価値算定書は、我が国において多数の実績を有する大手事業者であって、公開買付関連当事者及び当社から独立した第三者算定機関により作成されており、かつ、算定基礎となる財務予測や前提条件(フリー・キャッシュ・フローの算定、割引率、継続価値、事業価値に加減算する非事業用資産及び有利子負債を含む。)等に不合理な点(算定基礎となる財務予測を恣意的に悲観的な収益予測としたことを窺わせる事情を含む。)は見受けられず、その算定方法及び算定結果は合理的なものと認められるところ、本取引における対価は、市場株価平均法レンジの上限値を超え、かつ、DCF方式のレンジに収まること、(ⅲ)同種案件と比較して遜色ないプレミアム水準であることを総合的に考慮すれば、当社の少数株主は、本取引において対価の交付を受けることにより、「本取引を行わなくても実現可能な価値」のみならず「想定される本取引による企業価値増加効果」も相当程度享受することを推認させる。
・なお、本取引における対価は当社の2023年6月30日現在の連結簿価純資産から算出した1株当たり純資産額を下回っている。もっとも、修正純資産法は、将来の収益性やキャッシュ・フローを加味しないことから、継続企業の株式価値算定には馴染まない手法であるとの判断に不合理な点は認められない。また、仮に当社が清算する場合にも、簿価純資産額がそのまま換価されるわけではない。当社の具体的な状況を見ても、連結貸借対照表において総資産に占める流動性の低い資産(商品及び製品、仕掛品、原材料及び貯蔵品、土地建物といった固定資産)の割合が約37.9%と相当程度存在すること、清算に際しては売上債権の早期回収に伴う費用・損失、工場の閉鎖に伴う除去コスト、清算に伴う様々な追加コストが発生すると見込まれること等を考慮すると、仮に当社が清算する場合にも、連結簿価純資産額が同額で換価されるわけではなく、現実的には当社株主に分配することができる金額は連結簿価純資産額から相当程度毀損された金額になることが想定される。以上の諸点を踏まえると、本公開買付価格が1株当たり純資産額(2023年6月30日現在)を下回っていることをもって、本公開買付価格の妥当性を否定する理由にはならないとの判断に不合理な点は認められない。
・また、スキームその他の取引条件についてみても、本取引の方法及び対価は、当社の少数株主にとって不利益ではないため、公正性・妥当性が認められる。
・以上の次第であるから、本取引の条件には公正性・妥当性が確保されている。
(エ) 当社取締役会が本公開買付けに賛同意見を表明し、当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することは相当であるため、当該決議を行うことを勧告する。
・委嘱事項(エ)は、本公開買付けに対して当社の取締役会が賛同意見を表明すること及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することの是非を問うものである。
・本特別委員会としては、この委嘱事項(エ)についても、委嘱事項(ア)から(ウ)において検討を要請されている事項が、委嘱事項(エ)を検討する際の考慮要素になるものと考える。
・そして、本特別委員会の審議の結果、委嘱事項(ア)から(ウ)について、いずれも問題があるとは考えられないことは、本答申書で詳細に述べてきたとおりである。
・以上から、本取引は当社の企業価値の向上に資するものであり、本取引の目的は合理的であるから、当社の取締役会が賛同の意見を表明すること、及び、本公開買付価格を含む本取引の条件は公正な手続を経て形成された妥当な内容であって本公開買付けは当社株主に合理的な株式の売却機会を提供するものであるから、当社の株主に対して本公開買付けに応募することを推奨する旨の決議を行うことは、いずれも相当であるため、当該決議を行うことを勧告する。
(オ) 本取引に関する決定(本公開買付けに関する意見表明の決定を含む。)は当社の少数株主にとって不利益なものでない。
・委嘱事項(オ)は、本取引は当社の少数株主にとって不利益なものではないと考えられるかを問うものである。
・もっとも、本特別委員会としては、委嘱事項(ア)から(エ)において検討を要請されている事項が、委嘱事項(オ)を検討する際の考慮要素になるものと考える。
・そして、本特別委員会の審議の結果、委嘱事項(ア)から(エ)について、いずれも問題があるとは考えられないことは、本答申書で詳細に述べてきたとおりである。
・以上から、本特別委員会は、本取引は当社の少数株主にとって不利益なものでないと思料する。
当社は、ファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるフロンティア・マネジメントの本株式価値算定書の内容及び森・濱田松本法律事務所から受けた法的助言を参照し、当社及び公開買付者との間で実施した複数回に亘る協議の内容その他の関連資料を踏まえ、本特別委員会から取得した本答申書の内容を最大限に尊重しながら、本取引に関する諸条件について慎重に審議及び検討を行った結果、当社は、上記「(2) 本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」の「(ⅱ)当社における意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、2023年8月4日に、当社の取締役8名のうち、審議及び決議に参加した当社の取締役7名の全員一致で、当社の意見として、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けに応募することを推奨する旨の決議をいたしました。
なお、当社の取締役8名のうち、代表取締役である山田潤氏(以下「山田氏」といいます。)については、2023年6月15日付で当社の株主である株式会社ナナホシマネジメントから、当社が2019年9月11日付で公表したプレスリリース「当社製品の一部における不適切な食品表示についてのお詫びと今後の対応について」に記載の不適切な食品表示に関し、山田氏及び当時の担当取締役(現時点では退任済み)に対して当社に生じた損害の賠償を求める訴訟を提起するよう請求する提訴請求書を受領したところ、本取引が完了して当社の株主が公開買付者のみとなった場合には、当社の現在の株主は株主代表訴訟の原告適格を失うことになるため、本取引の実施について一定の利害関係を有していると評価される可能性も完全には否定できないことから、本取引の意思決定における公正性の確保について慎重を期すため、2023年6月19日以降、本取引に関する当該取締役会の審議及び決議には参加しておりません。
公開買付者は当社を非公開化とすることを目的としているため、本公開買付けにおいて買付予定数の下限を7,628,600株(所有割合:66.67%)と設定しており、応募株券等の数の合計が買付予定数の下限(7,628,600株)に満たない場合には、応募株券等の全部の買付け等を行わないとのことです。なお、買付予定数の下限(7,628,600株)は、当社第1四半期決算短信に記載された2023年6月30日現在の当社の発行済株式総数(11,450,398株)から、同日現在の当社が所有する自己株式数(7,615株)を控除した株式数(11,442,783株)に係る議決権の数(114,428個、1単元(100株)未満に係る数を切り上げています。)に、株式併合を承認するための株主総会の特別決議に必要となる議決権割合に相当する3分の2を乗じた数(76,286個、小数点以下を切り上げております。)に、当社の単元株式数である100株を乗じた株式数としているとのことです。また、当該株式数は、公開買付者と重要な利害関係を有さない当社の株主の皆様が所有する当社株式の数の過半数、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)」を充足する株式数となるとのことです。これにより、公開買付者と利害関係を有さない当社の株主の皆様の過半数の賛同が得られない場合には、当社の少数株主の皆様の意思を重視して、本公開買付けを含む本取引を行わないこととしているとのことです。
上記「(2) 本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」の「(ⅱ)当社における意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、当社は、戦略的パートナーの探索のため入札プロセスを実施し、一定の競争環境の中で、複数の候補者の中から、J-STARによる提案が最善の内容であると判断し、J-STARを戦略的パートナーとして選定しております。
また、公開買付者は、本公開買付けにおける買付け等の期間(以下「公開買付期間」といいます。)を、法令に定められた最短期間である20営業日より長い30営業日に設定することにより、当社の少数株主の皆様に本公開買付けに対する応募について適切な検討期間を提供しつつ、当社株式について、他の公開買付者以外の者による対抗的な買付け等を行う機会を確保することで、本公開買付けの公正性を担保することを企図しているとのことです。
さらに、当社は、公開買付者との間で、当社が対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、対抗的買収提案者が当社との間で接触することを制限するような内容の合意を一切行っておりません。
したがって、公開買付者以外の者による当社株式に対する買付け等の機会は十分に確保されております。
該当事項はありません。
4【役員が所有する株券等の数及び当該株券等に係る議決権の数】
(注1) 役職名、所有株式数及び議決権数は本書提出日現在のものです。
(注2) 所有株式数及び議決権の数は、それぞれ当社役員持株会を通じた所有株式数(小数点以下切捨て)及びそれらに係る議決権の数を含めた数を記載しております。
(注3) 森憲司、長沢芳裕及び小山圭子の各氏は、社外取締役です。
5【公開買付者又はその特別関係者による利益供与の内容】
6【会社の支配に関する基本方針に係る対応方針】
上記「3【当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由】」の「(2) 本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」の「(ⅲ)判断の内容」に記載のとおり、当社は、2007年4月27日開催の当社取締役会において「当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(買収防衛策)」(以下「本プラン」といいます。)を導入し、その後一部変更を加えた上で現時点まで本プランを継続しておりますが、当社は、本取引の実施は当社の企業価値向上に資するものであると判断したことから、2023年8月4日付の取締役会において、本公開買付けに対して本プランを適用せず、対抗措置を発動しないことを決議いたしました。
7【公開買付者に対する質問】
8【公開買付期間の延長請求】