第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当第1四半期連結累計期間において、当四半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績の状況

当第1四半期連結累計期間(2023年4月1日~2023年6月30日)においては、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが変更となり、人出が回復するとともにニューノーマルを模索する動きが加速した一方で、円安が再度進行したことにより企業や家計のコスト上昇への警戒感が更に強まってきております。

当社企業グループが属するIT産業においては、生成系AIが企業の人手不足対策や生産性向上に与える影響に注目が集まるとともに、サイバー攻撃に対する脅威がますますクローズアップされ、企業のIT投資意欲は一段と高まっていくものと判断しております。

 

このような経営環境のもと、当社企業グループは当第1四半期連結累計期間において下記の取組みを行ってまいりました。

 

組織及び体制

当社においては、2023年4月より更なる品質強化と業務効率化の促進を目的として、当社の品質管理本部を再編し、品質・プロセス統括本部として改組いたしました。また、デジタルソリューション事業を中心とした当社企業グループの事業拡大のため、当社の営業統括部をビジネスイネーブルメントサービス本部の直下組織といたしました。

なお、当社は2023年5月10日の取締役会において、株主還元の充実と資本効率の向上を目的として、2023年11月30日までの期間で市場買付けによる自己株式の取得(上限10億円又は50万株)と自己株式の消却(時期未定、100万株)を決議しております。

 

事業

当社においては、デジタルソリューション事業に関して、2023年4月に大手RPAベンダーであるUiPath社の「UiPath Japan Partner Awards 2022」において「Revenue Growth Partner of the Year」を受賞いたしました。また、AIの分野に関しては、社内の業務効率化と顧客への提案内容の高度化を目的として、Microsoft社の「Azure OpenAI Service」を利用した生成系AIチャットサービス「CrePT(クレプト)」を構築し、2023年5月より社員向けの運用を開始いたしました。さらに、2023年6月には、当社のAI専門家による「AIエスコート」サービスの提供を開始しております。

セキュリティの分野では、2023年5月より「セキュリティ脆弱性診断」のメニューにペネトレーションテストを追加し、疑似サイバー攻撃を通じた課題の洗い出しを行うサービスの提供を開始いたしました。また、資本・業務提携の分野では、当社が資本出資するインド法人Cognavi India Private Limited社が、インド新卒学生向けジョブポータルサイト「Cognavi」をオープンいたしました。

連結子会社においては、㈱クレスコ・デジタルテクノロジーズが、サブスクリプション型Wi-Fiサービスである「CROSS for Mist」及び製造業向けの「統合BOM管理ソリューション」の提供を発表しております。

 

その一方で、当社及び一部の連結子会社で新卒社員を積極的に採用したことや、従業員の採用及びリテンション対策として給与水準の引き上げを実施したこと、並びに教育投資を拡大したことに伴い、前年同期に比べて人件費や教育費が増加しております。また、ITサービス事業に関して、当社の複数の大型請負案件について、システム仕様や機能要件、開発体制等に起因する不採算プロジェクトが発生いたしました。

なお、余剰資金の運用に関連して、デリバティブ評価益(営業外収益)を2億82百万円、投資有価証券償還益(特別利益)を1億8百万円計上しております。

 

以上の結果、当第1四半期連結累計期間の経営成績は、売上高118億81百万円(前年同期売上高113億81百万円、4.4%増)、営業利益4億70百万円(前年同期営業利益8億91百万円、47.3%減)、経常利益8億30百万円(前年同期経常利益5億63百万円、47.4%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益6億6百万円(前年同期親会社株主に帰属する四半期純利益3億20百万円、89.0%増)と増収増益となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

セグメント

売上高(千円)

セグメント損益(千円)

前期

当期

前年
同期比

前期

当期

前年
同期比

 

エンタープライズ

4,191,173

4,520,351

107.9

451,185

174,014

38.6

金融

3,654,353

3,495,424

95.7

416,126

286,101

68.8

製造

3,017,533

3,248,937

107.7

438,582

436,921

99.6

ITサービス事業計

10,863,060

11,264,713

103.7

1,305,895

897,037

68.7

デジタルソリューション事業

518,119

617,020

119.1

11,690

28,183

241.1

合計

11,381,180

11,881,733

104.4

1,317,585

925,221

70.2

 

 

①ITサービス事業

ITサービス事業の売上高は、112億64百万円(前年同期比3.7%増)となり、セグメント利益(営業利益)は8億97百万円(前年同期比31.3%減)となりました。サブセグメント別の状況は、次のとおりであります。

 

(エンタープライズ)

「エンタープライズ」区分の売上高は、45億20百万円(前年同期比7.9%増)となりました。これは、受注が概ね堅調に推移したことに加え、「情報・通信・広告」分野において一部の連結子会社の売上が大きく伸びたことによるものであります。

また、「エンタープライズ」区分のセグメント利益(営業利益)は、1億74百万円(前年同期比61.4%減)となりました。これは、主として「人材紹介・人材派遣」「流通サービス」の両分野において不採算案件が発生したことによるものであります。

 

(金融)

「金融」区分の売上高は、34億95百万円(前年同期比4.3%減)となりました。これは、「銀行」分野において受注を積み上げることができたものの、「保険」「その他」の両分野において大型案件の収束等の影響で受注が減少したことによるものであります。

また、「金融」区分のセグメント利益(営業利益)は、2億86百万円(前年同期比31.2%減)となりました。これは、「保険」「その他」の両分野における売上高の減少に加え、「銀行」分野で不採算案件が発生したことによるものであります。

 

(製造)

「製造」区分の売上高は、32億48百万円(前年同期比7.7%増)となりました。これは、主として日本ソフトウェアデザイン㈱の連結効果等により「機械・エレクトロニクス」分野での売上高が増加したことによるものであります。

また、「製造」区分のセグメント利益(営業利益)は、4億36百万円(前年同期比0.4%減)となりました。これは、上記の売上高の増加はあったものの、人件費や教育費、のれん償却費の増加の影響を受けたものです。

 

②デジタルソリューション事業

デジタルソリューション事業の売上高は、6億17百万円(前年同期比19.1%増)となりました。これは主として、当社の主力クラウドサービスである「Creage」とRPAライセンスの販売増加によるものであります。

また、セグメント利益(営業利益)は28百万円(前年同期比141.1%増)となりました。これは、上記の売上高の増加と同様の理由によるものであります。

 

(2) 財政状態の状況

当第1四半期連結会計期間末における資産総額は前連結会計年度末に比べ、8億6百万円減少し、328億28百万円となりました。

流動資産は、前連結会計年度末に比べ17億12百万円減少し、207億74百万円となりました。これは主に、仕掛品が3億91百万円、電子記録債権が1億14百万円それぞれ増加したものの、現金及び預金が13億40百万円、売掛金及び契約資産が9億83百万円それぞれ減少したことによるものです。

固定資産は前連結会計年度末に比べ、9億5百万円増加し、120億53百万円となりました。これは主に、「その他」に含まれる繰延税金資産が3億95百万円減少したものの、投資有価証券が13億22百万円増加したことによるものです。

 

当第1四半期連結会計期間末における負債合計は前連結会計年度末に比べ、8億78百万円減少し、83億7百万円となりました。

流動負債は前連結会計年度末に比べ、8億48百万円減少し、64億1百万円となりました。これは主に、「その他」に含まれる預り金が4億61百万円、受注損失引当金が1億98百万円それぞれ増加したものの、未払法人税等が8億64百万円、賞与引当金が7億53百万円、買掛金が62百万円それぞれ減少したことによるものです。

固定負債は前連結会計年度末に比べ、29百万円減少し、19億5百万円となりました。これは主に、「その他」に含まれる繰延税金負債が47百万円、退職給付に係る負債が30百万円それぞれ増加したものの、長期借入金が1億15百万円減少したことによるものです。

当第1四半期連結会計期間末における純資産合計は前連結会計年度末に比べ、71百万円増加し、245億20百万円となりました。これは主に、自己株式が6億6百万円増加したものの、その他有価証券評価差額金が6億34百万円、利益剰余金が37百万円それぞれ増加したことによるものです。

 

(3) 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等

当第1四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に重要な変更はありません。

 

(4) 研究開発活動

当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は19,541千円であります。

 

(5) 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因は以下のとおりであり、前事業年度の有価証券報告書に記載した内容から重要な変更はありません。

 

① 市況の動向

新型コロナウイルス禍によるテレワークの浸透や昨今の円安・資源高騰が企業のIT戦略・IT投資の姿勢に質的・量的な変化をもたらしていると考えられ、これらの動向は当社企業グループの経営成績に重要な影響を与える要因となります。

 

② プロジェクトマネジメント

当社企業グループのプロジェクトマネジメントは標準化された手法を用いて行われておりますが、顧客とのミスコミュニケーションや仕様変更、開発人員の不足等により不採算プロジェクトや損害賠償責任が発生するリスクがあり、当社企業グループの経営成績に重要な影響を与える要因となります。

 

③ 事業投資及び資金運用

当社が保有するM&Aやアライアンス目的の金融商品並びに余剰資金の運用目的の金融商品は、市況及び金融市場の動向に強い影響を受けるため、当社企業グループの経営成績に重要な影響を与える要因となります。

 

(6) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

資本の財源及び資金の流動性については、当第1四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した内容から重要な変更はありません。

 

(7) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当第1四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について、重要な変更はありません。

 

 

3 【経営上の重要な契約等】

当第1四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。