第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当中間会計期間において、新たな事業等のリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による事業への影響については、引き続き今後の状況を注視してまいります。

 

重要事象等

 当社は、前事業年度まで9期連続となる営業損失及び10期連続となるマイナスの営業キャッシュ・フローを計上しており、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。

 当社は、当該事象又は状況を解消し事業基盤及び財務基盤の安定化を実現するために、以下の対応策を講じております。

①事業基盤の安定化

 徹底的なコスト削減や、事業の選択と集中により、事業基盤の安定化を図ってまいります。具体的には、既存タイトルについては、各タイトルの収益状況に応じた人員配置を行うなど運営体制の見直しを継続的に行うことによりコスト削減を図るほか、その中においても収益が見込めない既存タイトルについては、それらの事業譲渡・配信終了も視野に対応する方針であります。また、他社IPタイトルとのコラボレーションを実施するなど、他社IPの協力を得ることによりユーザーのログイン回数や滞留時間の増加を図り、売上収益の拡大を進めてまいります。今後の新規タイトルにつきましては、新規開発に注力できる体制を構築・維持することで、高品質なタイトルの開発を推進いたします。人員体制及び協力企業の制作力・技術力を踏まえ、過去事例を参考に慎重に工数を見積もることで、開発スケジュールの遅延等による開発費の増加が生じないよう努めてまいります。また、IPの価値と経済条件を踏まえ収益性が高く見込まれるタイトルに対して優先的に開発・運営人員を配置することにより、当社の収益改善を図ってまいります。

 

②財務基盤の安定化

 財務面につきましては、財務基盤の安定化のため、複数社の取引金融機関や協業先と良好な関係性を築いており、引き続き協力を頂くための協議を進めております。なお、2024年3月21日付で発行した第三者割当による行使価額修正条項付第17回及び第18回新株予約権が2024年6月30日までに44,940個行使された結果、1,053,422千円の資金調達をしており、財務基盤の安定化が図られております。売上高やコスト等の会社状況を注視し、必要に応じてすみやかな各種対応策の実行をしてまいります。

 

 上記の対応策を講じていくとしても、既存タイトルの売上動向、新規タイトルの売上見込及び運営タイトルの各種コスト削減については将来の予測を含んでおり、引き続き業績の回復状況を慎重に見極める必要があることから、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。

 なお、中間財務諸表は継続企業を前提として作成しており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を中間財務諸表に反映しておりません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当中間会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

①経営成績

 当中間会計期間における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限の緩和により、社会経済活動の正常化が進んだ一方で、世界的な原材料高騰による物価上昇の影響で、景気の先行きは極めて不透明な状況が続いております。

 当社においては、従業員の安全性を考慮し、恒久的なテレワーク(在宅勤務)制度を導入しており、通勤時間が不要になるなど、従業員満足度の向上が図られたとともに、場所を問わずチーム体制が有効に機能したこともあり、ゲームアプリの運用・開発面での生産性向上につながっております。

 このような事業環境の中、既存タイトルについては、運営施策の工夫により売上の逓減を最小限に抑え、リリース14年目を迎えた「ぼくのレストラン2」や「ガルショ☆」は、コラボレーション施策等が好調に推移し、引き続き当社の売上収益に大きく貢献しております。よりきめ細やかな対応を図り、ユーザーの皆様の満足度向上に努めてまいります。

 リリース2周年を迎えた大人気作品『進撃の巨人』のスマートフォンゲーム「進撃の巨人 Brave Order」は、昨年11月にアニメ『進撃の巨人 The Final Season完結編(後編)』の放送・配信に伴い、新規ユーザーの流入や呼び戻し施策等により、引き続き当社の業績に貢献しております。今後もゲーム内のさらなる活性化を図るため、出演人気声優を起用した公式放送を行い、番組とゲームで連動した企画の実施や機能改善など、引き続き魅力的なイベント施策を行い、収益寄与につなげてまいります。

 リリース4年目を迎えたアニメ『五等分の花嫁』初のスマートフォンゲーム「五等分の花嫁 五つ子ちゃんはパズルを五等分できない。」は、累計800万ダウンロードを突破し、当社の業績に貢献しております。イベント施策や書き下ろしイラストの充実など、引き続き魅力的な施策を行い収益寄与につなげてまいります。

 アニメ『ゆるキャン△』初となるオンラインゲーム「ゆるキャン△ つなげるみんなのオールインワン!!」は、長期メンテナンスを実施し、新機能の追加や機能改善を行い、再度配信をいたしました。今後の収益寄与につなげてまいります。

 2024年3月にリリースいたしました全世界でサービス提供中のゲームプラットフォーム「Roblox」に向けた『ドラえもん』のアクションレースゲーム「ドラえもん のび太のゴーゴーライド!」は、ゲーム内のさらなる活性化のため、継続したプロモーションや機能追加を実施していき、今後の収益寄与につなげてまいります。なお「Roblox」へのゲーム配信は、パブリッシングをGeekOut株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:田中創一朗)が、開発・運営をenishが行う、2社の協業体制で実施しております。

 また、足元の状況としては、累計ダウンロード数900万突破のスマートフォン向けドラマチック共闘オンラインRPG「De:Lithe~忘却の真王と盟約の天使~」をベースとした、モバイルゲームクオリティのブロックチェーンゲーム「De:Lithe Last Memories(ディライズ ラストメモリーズ)」を2024年8月15日にリリースを行います。

 リリースの再々延期の適時開示や開発進捗報告でもお伝えしたとおり、リリースに必要な実装項目の開発は完了しております。さらにテスト・デバッグ作業および、バランス調整を行っておりますが、デバッグについては、最も対応優先度野高いバグ、リリースには必須になるバグは対処した上で、可能な限りより詳細なバグについても対応を行っております。バランス調整についても、実際の時間軸の中でプレイしながら正しい体感値をもって調整を行っております。

 バグの状況やバランスに改善の余地はあったものの、プレイ自体は可能な状態になっていることを鑑みて、一部のユーザー様やメディア様、インフルエンサーの皆様など対象者を限定した先行プレイ環境を公開いたしました。想定以上の有意義なフィードバックを受け、直前での仕様の変更やチューニングの調整等、不具合の修正や仕様の細部の詰めなどを行うことができ、さらに完成度が高まったと感じております。

 直近では事前登録者が70万人を突破したことや、無料でエアドロップに参加できる「エアドロポータル」の登録者数が5日で5,000名を突破し、現在は10,000名を超える方が参加するなど、ポジティブな状況であります。さらに、ゲームの魅力を高めるため、SBT(Soulbound Token)というブロックチェーン技術に基づいた新しいタイプのデジタル資産の導入についても前向きに取り組んでおります。

 なお、当社は株式会社HashPaletteより不当利益返還請求として176百万円の訴訟が提起されておりますが、今後、先方の主張及び請求内容を精査し適切に対処してまいります。今後の進捗に伴い、開示すべき事項が判明した場合には、すみやかにお知らせいたします。

 この結果、当中間会計期間の業績は、売上高は1,575百万円(前年同期比9.3%の減少)、営業損失は577百万円(前年同期は790百万円の営業損失)、経常損失は609百万円(前年同期は817百万円の経常損失)、中間純損失は611百万円(前年同期は831百万円の中間純損失)となっております。

 

②財政状態

(資産)

 当中間会計期間末の流動資産につきましては、前事業年度末に比べて151百万円増加し、1,757百万円となりました。これは主に、現金及び預金の増加(前事業年度末比211百万円の増加)があった一方で、売掛金の減少(前事業年度末比28百万円の減少)によるものであります。固定資産につきましては、前事業年度末に比べて4百万円増加し、291百万円となりました。これは主に、敷金及び保証金の増加(前事業年度末比5百万円の増加)によるものであります。

 この結果、総資産は、前事業年度末に比べ155百万円増加し、2,048百万円となりました。

(負債)

 当中間会計期間末の流動負債につきましては、前事業年度末に比べて288百万円減少し、1,092百万円となりました。これは主に、短期借入金の減少(前事業年度末比250百万円の減少)、買掛金の減少(前事業年度末比30百万円の減少)によるものであります。固定負債につきましては3百万円となりました。

 この結果、負債合計は、前事業年度末に比べ288百万円減少し、1,096百万円となりました。

(純資産)

 当中間会計期間末の純資産につきましては、前事業年度末に比べて443百万円増加し、952百万円となりました。これは主に、中間純損失を611百万円計上したものの、第三者割当による行使価額修正条項付第17回及び第18回新株予約権の権利行使により資本金及び資本剰余金がそれぞれ527百万円増加したことによるものであります。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当中間会計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、1,076百万円となりました。当中間会計期間における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間会計期間において営業活動により使用した資金は、548百万円となりました。これは主に、税引前中間純損失609百万円の計上があった一方で、未払又は未収消費税等の増減額47百万円があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間会計期間において投資活動により使用した資金は、41百万円となりました。これは主に、関係会社貸付けによる支出34百万円、敷金及び保証金の差入による支出5百万円、有形固定資産の取得による支出1百万円があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間会計期間において財務活動により獲得した資金は、957百万円となりました。これは主に、新株予約権の行使による株式の発行による収入1,049百万円、その他の財務活動によるキャッシュ・フロー157百万円があった一方で、短期借入金の返済による支出250百万円があったことによるものであります。

 

(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(4)経営方針・経営戦略等

 当中間会計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当中間会計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(6)財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

 当中間会計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。

 

(7)研究開発活動

 該当事項はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

 当中間会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。