第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社グループは、前中長期経営計画<DSA2021>に則って、ダイヤモンド電機株式会社及び田淵電機株式会社、上場企業二社の同時再生に取り組み、2022年度から更に金型事業を行う株式会社クラフトをグループの一員としました。これらグループ再生の目途を立て、新たに2023年10月に、2028年3月期を最終年度とする中長期経営計画「炎のスクラム」を策定しました。

 

(2) 経営戦略等

新中長期経営計画「炎のスクラム」の概要 (https://www.diaelec-hd.co.jp/ir_news/17824/)

 

◆新ビジョン「車と家を地球環境に資するものづくりでつなぐ」

三事業のクロスチャンネル・クロスセールスの強みを活かして、カーボンニュートラル社会の実現に向けた戦略的な技術・製品開発を推進して行きます。EV/PHVや再生可能エネルギーの更なる拡大には、車・家・電力系統を「ものづくりでつなげる」ことが重要となります。

ダイヤゼブラ電機が得意とする定置型製品・車載用製品とその先端技術を組み合わせ、V2X(Vehicle-to-everything)製品群の開発を進めております。V2X、つまり、災害時に車に家電をつなぐV2L (Vehicle-to-Load)、 家の電力を丸ごとバックアップするV2H (Vehicle-to-Home)、 そして車の電池で系統を支えるV2G (Vehicle-to-Grid)により「つなげる」ことで 、持続可能な社会の実現に貢献します。

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

売上高 ターゲット2,000億円 ・コミットメント1,500億円達成
 
◆自動車機器事業「点火コイル世界シェアNo.1」
・お客様要求と地球環境の要請に寄り添う技術開発を背景とした市場占有率向上と収益構造改革
 
◆エネルギーソリューション事業「住宅用蓄電システム国内シェア1位の堅持」
・お客様との信頼関係に基づき、共同販売戦線を構築し、社会インフラの確立を目指した製品開発を促進

 
◆ 電子機器事業「国内インバーターエアコン用リアクター市場シェア1位」並びに「主要お客様内占有率トップ 3獲得」
 ・お客様のグローバル展開への追従及び寄与により、国内エアコン用リアクター市場シェア1位/主要お客様内占有率トップ3の獲得を目指す
 
◆ 新規事業の展開

エネルギーミックスを意識した脱炭素の推進とともに、キー技術の確立を目指す。
 ・超高エネルギー点火システム:カーボンフリーを実現する次世代燃焼技術の探求
 ・熱電発電システム:多様なエネルギーの活用に関わる技術革新
 ・地域脱炭素・マイクログリッド:地域エネルギー効率最適化の探求
 ・バッテリー診断技術:資源の再利用に関わる技術革新

 

「炎のスクラム」において、目標とすべき経営指標として、以下を掲げております。

・2027年度 売上高1,500億円以上、営業利益率6%、ROE20%以上達成

 

なお、当年度における進捗状況は、連結売上高933億円、営業利益率0.2%であります。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

コロナ禍に端を発した想定を上回る長期的なサプライチェーンの歪みから、かつてない原材料高や材料調達難に見舞われています。また、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化及び、イスラエル・ガザ紛争に端を発した中東問題が新たな火種となり、見通しが更に難しくなるなど、大きな課題と捉えております。また、脱炭素社会への対応、電動化を含むモータリゼーション並びにエアコンのインバーター化の世界的展開等の既存ビジネスの更なる発展、エネルギーミックスの推進を当社グループの中長期的な機会と捉え、下記事項を重点方針として取り組んでおります。

 

① 品質保証更なる厚肉化、販売網再構築

・開発初期からのお客様要求品質追求、つくりやすさ、加えて、買いやすさのつくりこみ継続、形式知化
 ・ES(エネルギーソリューション事業)取引販売商社様信頼関係強化及び共同販売戦線に取り組みます。
 

② 社長総点検全拠点実施、不良撲滅

・社長総点検を受けての<Factory Match>展開継続

・次世代燃料点火燃焼技術開発<Project A>発表推進

 

③ グローバルサプライチェーン脱構築

・ 堅固為る紐帯に依る<All Diamonds 経済圏>構築

・ 売上高2,000億円を駆け抜ける為の事業並びに地域を縦横無尽に網羅するサプライチェーン構想及び構築

 

④ ESG経営の強化

現社長により刷新された経営理念の下策定された経営計画書を憲法に、監査等委員会設置会社としての企業統治、加えて、ESG即ち、環境整備・地域共生・多面体に耀き傍楽仲間達を大切にする経営を通じて、持続的成長を目指してまいります。

 

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

当社は「ものづくりを通じてお客様の発展に寄与し、信頼を積み重ね、社会の豊かさに貢献することで、耀き疾走する傍楽仲間達の物心両面の幸せを追求します。」という経営理念のもと、エネルギーの利活用に長じた企業としてCO2排出削減と災害に対するレジリエンス(回復力・復元力)向上に資する技術開発及び製造活動を推進しており、同時に社員である「傍楽仲間達」の持続的幸せを追求することを目指しております。具体的には、自動車機器、エネルギーソリューション、電子機器の3つの事業体制を基に、「車と家を地球環境に資するものづくりでつなぐ」を基本方針として、電気・エネルギーに関わる先端技術を融合し、持続可能な社会に必要な製品・サービスを提供しており、4つの重要課題(マテリアリティー)を達成することを目指しております。

なお、これらの取り組みは、国連が定める持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)に直接的、間接的に貢献いたします。

 

(1)ガバナンス 

2023年10月にサステナビリティに対するガバナンスの観点でグループ ESG 活動を統括する「サステナビリティー委員会」を取締役会の諮問機関として設立しました。

グループでの ISO14001 認証活動を含めて実施するサステナビリティの取り組みについてグループ活動の一貫性と情報の見える化などを推進することでガバナンス強化を目指します。

 

(2)リスク管理

短期のみならず中・長期にわたり当社グループの経営方針・経営戦略等に影響を与える可能性が高い「脱炭素」と「人権」を最優先課題に掲げ、チーフオフィサーリスクマネジメント委員会でのリスク管理の仕組みの下、重要な経営課題として具体的な施策に落とし込むことで ESG 経営の更なる進展を図っています。引き続き、CDP(Carbon Disclosure Project)、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)等の枠組みに基づく開示の質と量を充実させていくことは今後の課題と認識しており、そのための仕組み等の整備を行います。

 

(3)戦略

経営戦略と一体的に活動を行います(社会の豊かさに貢献し、傍楽仲間達の幸せを追求する経営理念に基づき、社会の公器として立脚する「ものづくり」企業としての活動を通して、持続可能なゴールを目指す)。

 

 

(4)指標及び目標
 ①当社製品によるCO2波及効果 ※2025年の目標として48万t-CO2を目指します。

  2020年(実績)17万 t-CO2(60,000 世帯分)

  2021年(実績)15万 t-CO2(55,000 世帯分)

  2022年(実績)18万 t-CO2(65,000 世帯分)

  2023年(実績)13万 t-CO2(47,000 世帯分)

 

 ②業績連動型株式報酬の環境目標(ROC)組み入れ 2025年 155,000円
  2024年度から当該報酬の算定基準にROC(営業利益金額÷CO2排出量(年間))を指標化しています。

 

 ③その他4つの重要課題(マテリアリティ)を達成することを目指しております。

 

重要課題(マテリアリティ)

当社の取り組み

KPI(重要な業績評価の指標)

①  脱炭素社会実現への貢献

 

再生可能エネルギー製品の開発・提供

再生可能エネルギー製品成長率目標(毎年+10%)

RE100※1  実現(2050年ゼロカーボン達成)

①  省電力生産の強化

②  自家消費型太陽光発電システムの導入拡大

③  サプライチェーン全体でのCO2排出量削減

①  再生可能エネルギー増加  2026年迄に累計3,500MWh

②  売上高電力使用量減少(毎年1%削減)

③  SCOPE3まで実態の把握と目標設定を検討中

 

②  資源循環型社会への貢献

 

①   原材料の利用効率最大化と製造工程での廃棄物削減

②   サプライチェーン全体での資源利用効率向上

③   中古蓄電池リサイクルシステム

④   エネルギーロスの再利用検討

①   工場廃棄物リサイクル率改善(4年後目標99.9%)

廃棄物削減量(4年後目標30%)

②   材料リサイクル・歩留まり率・物流(モーダルシフト)

③   バッテリー診断装置販売

④   熱発電自立電源システムのビジネス化

③  レジリエンス(復旧・減殺)強化への貢献

 

 

 

①   V2H・V2Gなど災害時に活用できる製品の展開

②   産業用蓄電池システムの提供

③   BCPの強化と継続的改善

①   2025年度までに当該セグメントにおける売上高比:1.7%目標

②   同上:1.0%目標

③   樹脂成型品内製率増加(4年後目標60%)

④  多様な人財が生き生きと働ける会社

 

 

 

①   国籍・性別・年齢・身上に関わりない人財の採用(ダイバーシティー推進)

②   働き方・職場環境・職務内容・人事諸制度の整備

①   女性管理職(2030年度目標50%)・外国人比率の向上

②   リモートワーク推進等、ワークライフバランスを考慮した各種制度充実

 

※1「RE100(「Renewable Electricity 100%」の略)」とは、事業活動で消費する電力を100%再生可能エネルギー

    で調達することを目標とする国際イニシアチブです。

※詳細については、2023年10月発行の[統合報告書2023](HPに掲載)を参照ください。

             https://www.diaelec-hd.co.jp/ir_news/17785/

 

 

 

(5)その他の取り組み   

サステナビリティ・リンク・リース契約を締結しました。
 当社グループ会社のダイヤモンド電機は、サステナビリティへの取り組み目標達成度に応じてリース料率が変動する「サステナビリティ・リンク・リース(SLL)」の第1号として三井住友ファイナンス&リース(株)と契約を締結しています。サステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(SPTs)を設定し、事業活動を通じて脱炭素の実現に貢献します。
 ① 事業活動に伴う電力使用の削減量
 ② CO2削減に寄与する自社製品の販売目標に連動したCO2削減貢献量

 

(6)人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

① グループにおける多様性の人財確保に向けた目標と状況(子会社における現地社員の取締役の登用割合、管理職割合、女性社員割合、女性の積極採用)についてKPIを設定の上、年度進捗状況を開示済みです。(但し、あくまでも目標値は目安として設定)

② 柔軟な働き方の促進に向けワークバランスの向上を目指します。

フレックスタイム制度の導入を行っています(一部拠点では冬季気象条件を考慮して「スーパーフレックスタイム制度」を導入)。また、国内グループ会社総務担当者及び海外拠点長との面談を通じて、現状の課題の検討、グループ内のワークライフバランスの改善に向けた環境整備を実施しています。

 

当社グループは、基本的には優秀な人財については、性別、国籍、障害の有無等の属性に依ることなく積極的に採用及び登用する方針であり、中長期的な企業価値向上のためには、人財の多様化とそれらの人材育成が必要不可欠であるとの考えのもと、女性社員、女性社員の管理職、グループ会社での現地社員の取締役登用などの各割合目標(2025年度、2030年代)を設定した上で、期末時点の割合及びその推移を把握しています。その上で割合にとらわれず実数として女性の働く仲間、並びに外国人の働く仲間を積極的に採用、いずれ経営幹部となれるような環境整備を推進してまいります。

 

グループにおける多様性の人財確保に向けた目標と状況

 

2022年3月期末

2023年3月期末

2024年3月期末

2025年度

目標

2030年代

目標

・子会社における現地社員の取締役の登用割合

13.9%

10/72

12.9%

12/93

13.2

12/91

15

30%

・管理職の割合

9.0%

376/4,156

9.8%

400/4,091

11.0

412/3,751

15

30%

内、女性社員

22.3%

84/376

21.5%

86/400

21.6

89/412

25

 

50%

 

内、現地採用
社員

45.5%

171/376

56.5%

226/400

56.6

233/412

50

 

60%

 

・女性社員の
割合

46.0%

1,911/4,156

47.2%

1,931/4,091

47.6

1,787/3,751

50

50%

・女性の積極
採用

39.5%

244/617

41.9%

602/1,437

38.9

279/717

40

50%

 

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 業績の変動要因

当社グループは、自動車用点火コイル・電装品の自動車機器、太陽光発電用パワーコンディショナ・蓄電ハイブリッドシステム等のエネルギーソリューション機器、家庭向け冷暖房・給湯用着火装置、トランス・リアクタ―等の電子デバイス及び電子制御機器の製造・販売を主な事業内容としております。

自動車機器事業は、世界的な自動車業界のグローバル化の進展に伴う価格競争の激化、自動車の電子化の進展に伴う新製品開発コスト増等により、製品競争力の格差に大きな変動の可能性を内包しております。より有力なメーカーの主力商品に採用されることが、当社グループの業績に直接影響いたします。また、エネルギーソリューション事業は、再生可能エネルギーの固定価格買取制度を始めとする政府のエネルギー政策全般及び当社グループが生産する太陽光発電関連製品の販売先や電気事業者の動向等によっては、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。電子機器事業は、成熟製品分野を多く占める家庭向け電子制御機器で、円安時における海外拠点から国内拠点への生産回帰、付加価値の高い新分野における新製品の開発が鍵となります。

当社グループ製品の主要原材料である金属・樹脂・部品等に関して、安定的かつ安価に調達できるよう努めておりますが、市況変動による価格の高騰・品不足、いくつかの原材料等については特定仕入先の生産能力の不足による納入遅延、取引先が製造した製品の欠陥、経営状態の悪化、不慮の事故、自然災害等により、当社グループの原価の上昇、生産遅延・停止がおこり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、収益力確保に向け、部品・生産設備の内製化等による合理化・生産性向上、高付加価値新製品の開発に全力で取り組んでおり、最大限の努力を傾注いたします。それにもかかわらず、想定外の事由により達成できなかった場合は、業績に影響が出る可能性があります。

 

(2) 特定の取引先への集中等

当社グループにおいて、売上高に占める上位10社グループの比率は59.6%となっております。特定顧客への依存度を引き下げるべく顧客基盤の拡充に努めておりますが、主要顧客の業績、顧客の海外生産シフト等生産政策の変更等により、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(3) 海外での事業拡大に伴うリスク

当社グループは、顧客のグローバル化に対応するため海外事業を積極的に展開しており、政治・経済情勢の変動、社会環境、法制・税制の変更、人材確保の困難等、海外拠点特有のリスク要因があります。

 

(4) 為替変動リスク

当連結会計年度の海外売上高比率は56.6%であり、外貨建て取引や外貨建て資産の評価替えに伴う一定の為替変動リスクが存在しています。為替変動リスクに対応するため、短期的には為替先物予約の活用、中長期的には現地調達体制の整備を進めておりますが、現時点でこのリスクを完全に回避することは困難であり、為替相場の変動が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(5) 災害等による影響

当社グループは生産設備の定期的点検等を通して生産力の低下を最小限に抑制するよう努力しておりますが、自然災害による火災・電力供給等の中断による影響を完全に防止又は軽減することができるという保証はありません。予期せぬ自然災害の発生により生産活動が中断し、結果として当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

また、ロシアによるウクライナ侵攻が現在も継続しており、新たに、中東問題という地政学リスクも高まっています。当社グループでは当該地域への拠点展開や直接投資はございませんが、米国、インド、中国等での生産拠点の操業やサプライチェーンに影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 

(6) 法的規制

当社グループ各社は、知的財産権の保護に関する規制、環境規制、商取引、投資又は輸出入、公正競争、労働、租税等にかかる所在国・地域の各種法令諸規制の適用を受けております。これらの法令諸規則又はその運用にかかる変更は、当社グループの事業活動への制約、法令遵守対応にかかる費用又は法令諸規則違反による当社グループへの過料賦課等によって、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、2013年7月に当社顧客への一部自動車部品(点火コイル)の販売に関して米国独占禁止法に違反したとして米国司法省との間で司法取引契約を締結しております。当該違反行為に関連して、一部顧客と協議をすすめた結果、和解が成立し、2017年3月期において計上した訴訟損失引当金796百万円の支払いが完了しております。なお、2022年3月期で特別損失で計上した和解金74百万円の支払いをもって、今回の訴訟関連の費用は終結したと判断しております。

 

(7) 知財競争

当社グループは、独自の技術開発と生産工程の創出に最重点をおいておりますが、海外進出に伴い、知的財産権の侵害を受けるおそれは益々増大しています。また、顧客と市場ニーズに応えてシステム技術を開発するに当たり、全ての技術を当社でカバーしえない場合は、他社との協業等によりそのリスクを回避する所存であります。

 

(8) 製品品質の不具合

当社グループは「お客様要求品質第一に徹することで、世界に冠たる製造業のお客様を通じて世の中に安全・安心・感動を届け続ける。」という品質方針に基づいて、顧客に喜ばれる品質・価格・納期の実現に徹底して努力しております。しかし、全ての製品について不具合がなく、将来にリコールが発生しないという保証はありません。予期せぬ品質の不具合の発生が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(9) 財務制限条項による影響

当社グループが締結している借入金契約には、財務制限条項が付されているものがあり、この条項に抵触し、一括返済を求められた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

 

主要なリスクの分類とその対応策

リスク区分

内容

リスクへの対応策

市場動向

(自動車機器事業)

・急速な自動車の電動化シフトに伴う点火コイル市場の衰退

 

・グローバル化の進展に伴う価格競争激化

・各国の環境規制の強化

 

 

 

 

(エネルギーソリューション事業)

・エネルギー政策、規制の見直し

・非化石由来のエネルギー需要の進展

・市場ニーズの高まりに伴う競争激化

 

 

 

 

 

(電子機器事業)

・グローバルに拡大するインバータエアコン需要により海外拠点の生産再編

 

 

・主要製品である点火コイルの市場でグローバルNo.1を目指す。(市場淘汰の中残存者利益を確保する)

・次世代燃料点火燃焼技術開発推進

 

・お客様要求仕様に対応し、マルチ点火、エネルギー変換効率の追求など技術の深化に拠るCO2削減を実現

・中国・インド・インドネシア等、海外拠点の生産拡大

 

・レジリエンス(災害等危機対応)需要拡大を背景に蓄電システムへのニーズに対応

・増産体制の確保、当社のハイブリッド蓄電機能により低価格・高付加価値なシステムの提供

「車と家をつなぐ技術開発」V2H・V2Gへの取り組み強化

 

・メキシコ・インド南部での生産拠点の確保

・ダイヤゼブラ電機の独自技術の統合・プラットフォーム化

原材料の調達

・原油・金属(鉄・銅)等の国際価格の高騰

・特定仕入先の生産能力の低下

・半導体等の部品の供給不足

 

・需要と供給の変動に伴う物流の混乱

 

・原価構造の見直しと最終製品への価格転嫁

・グローバル調達による物流費の低減

・半導体等の専用部品でのセカンドソースの確保

・サプライチェーン再構築における強靭化

海外展開

・為替リスク

・海外拠点の脆弱な経営基盤によるトラブル

・労働安全に関する現地法違反

 

・生産品目の最適地生産を再検討

・グループで「為替リスク管理」を徹底

 

・海外拠点のコンプライアンス教育の推進

自然災害

・災害・疫病による社会混乱

・施設への被害

 

・サプライチェーン停滞

 

・BCP策定

・リモートワークの推進等感染症対策の徹底

・定期的生産能力の点検

・仕入先様との強固な信頼関係構築
  仕入先様とで組織するAll Diamonds強化

コンプライアンス

(法的規制)

・知財・各種商取引・輸出入・公正競争等の規制

・環境課題への取り組み要請

 

 

 

 

 

 

 

 

(ガバナンス)

・リソースの不足(人材流出)

・ハラスメント

 

 

・契約時の徹底的な検証

 

・コンプライアンスの意識を社員全員で共有

2050年までにグローバルでCO2排出ゼロの「ものづくり」を目指すべく、再生可能エネルギーの導入や新工法等による省エネルギーの取り組みを行うと共に、当社グループのサプライチェーンについてもCO2排出削減に向けた活動を推進 

 

・継続的な採用、教育の充実、労働環境の最適化

「仕事と家庭生活を両立できる雇用環境の整備、労働時間の適正化や法令に基づく適正な労務管理、ハラスメント予防に関する社員教育の徹底、内部通報制度の設置などの施策を実行」

製造物責任

・リコールの発生

・顧客からの品質不具合に関する請求

 

 

・品質基本方針「お客様要求品質第一に徹することで、世界に冠たる製造業のお客様を通じて世の中に安全・安心・感動を届け続ける。」 の徹底

・トップマネジメントによる異常発生時の即時対応、並びに継続的な品質改善活動を通したリスク源への徹底した取り組み

 

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績

先ず以て、元日の能登半島地震により、多くの人命、多くの人々の生活が損なわれました。地震、津波、火災の被害に遭われたすべての皆様に謹んで御見舞い申し上げますとともに、被災地及び交通機関等の一刻も早い復旧を願いてやみません。

なお、当社グループについては、地震発生直後からトップ主導において、迅速な傍楽仲間達並びに御仕入先様方々の安否確認、並びにサプライチェーンの被害状況の把握を実施したことにより、七草がゆをすする前には、ものつくれずにならぬことをすべて確認できました。重ねてご報告申し上げます。

 

さて、当連結会計年度(2023年4月1日~2024年3月31日)における世界経済は、原材料高、物価高はまったくもって変わらずも、人々の往来は往時を想わせる回復、定着をみせ、変わらぬ円安の痛みとバランスするかのようなインバウンドが、少しずつではありますが、景気回復の兆しを感じさせています。

すでに「かつてない」ではなく、まるで同じく定着したかのような原材料高、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化、膠着化も変わらず、イスラエル・ガザ戦争及びこれに端を発した中東問題(フーシ派による紅海問題含む)の広域化、米国大統領選の行く末への不安等による経済の不透明感により、見通しを立てることが難しいことに変わりはありません。なればこそ、地政学リスクの高まりを織り込み済みとし、変わらず引き続きグローバルサプライチェーンにおける綿密なコミュニケーションと精密な舵取りを執り行わねばならぬと確信します。我が社においては、世界中の拠点から得はじめている生々しい情報収集の精度を更に高め、最善を望みながらも最悪に備えて参ります。

国内経済におきましても、日経平均がバブル崩壊直前の最高値38,957円を上回る過去最高を記録し、3月19日には、マイナス金利政策解除のお達しが布告されたにも関わらず、引き続き変わらぬ円安の状況のなか、特に政治への不信、政局の不安定、政策不振がもたらしていると言っても過言ではない物価高が、真綿で首を締めるように消費者を苦しめ、一向に暮らし向きの改善が見られぬなかでも、回復したインバウンドがもたらすはずの景気回復が、ツーリストとそれに紐付いた土産物屋、飲食店だけを潤すのではなく、一消費者一消費者へ少しずつでもいい、還元されることを心から願いてやみません。

 

上記のような不安定な環境のなか、我が社は、第3四半期にもご報告申し上げました、一般財団法人省エネルギーセンター主催による令和五年度省エネ大賞において、ダブル蓄電ハイブリッドシステム「EIBS V」によって、東京電力様とともに「資源エネルギー庁長官賞」を受賞すること叶いました。暗く沈みがちな再生最終局面の暗い闇のなかで、私達傍楽仲間達みんなにとっての黎明となったこと、希望の道標となっていること再びご報告申し上げます。

また、進行期ではありますが「Project A=アンモニア燃焼技術」の試作品完成及びリリースを行いました、「This is the Innovation」であります。リリースと同時に日刊工業新聞様一面を飾ることも叶いました。我が社が7年かけて取り組んできた技術革新が我が社の新たなビジョンである「車と家を地球環境に資するものづくりでつなぐ」を必ずや実現させると、我が社の傍楽仲間達、そのお客様接点創造、金融機関様、All Diamonds企業様並びに御仕入先様方々皆様の全身全霊堅牢なる紐帯「炎のスクラム」のもとグローバルサプライチェーン再構築がなされたなかで、心密かに斗いの炎を燃やしています。

 

このような状況の下、当社グループは、2023年10月4日に「中長期経営計画〈炎のスクラム〉」を策定、発表しました。下記にその「〈炎のスクラム〉策定趣旨及び宣言」「〈炎のスクラム〉のあとがきにかえて」を再び記し、ここに我が社の弛まぬ意志と意欲を表し続けます。引き続きご愛顧のほどよろしくお願い申し上げます。

 

〈炎のスクラム〉策定趣旨及び宣言

〈DSA2021再点火反転攻勢版〉の炎を潰えさせぬまま、我が社は、過去に例無く他に類見ぬ上場企業二社同時再生+1、其之最終局面に直面しています。苦闘しています。間も無くのはずの夜明け、其之直前の闇を駆け抜けるに、息が上がり、足ももつれんばかりです。夜明け前の闇が最も暗い事は自明の理、或いは試合終了直前、逆転の許されぬ自陣スクラムが筆舌に尽くし難く苦しい事も言うを待たず、で有ります。されど、足掛け八年闘い抜いてきた「類い希なる強靭な意志と意欲」は更に烈しく炎立つ。再生端緒驚くほど鮮やかに天空に描いたように、此之夜明け前の闇を駆け抜けた時にこそ我が社と我が社の傍楽仲間達が未来に燦然と耀く、左様確信しています。ゆえに「Whatever it takes」、歯を食い縛り、刀を振り回し、一歩でも一寸でも前に出る、連戦猛進しています。此処に、グローバルサプライチェーン崩壊の難局を斬り抜け、真の公器を目指し「サステイナブル=持続可能」な成長を描く新たなビジョン〈車と家を地球環境に資するものづくりでつなぐ〉を掲げ、新中長期経営計画〈炎のスクラム〉を組上げます。

 

〈炎のスクラム〉のあとがきにかえて

此之新たな中長期経営計画〈炎のスクラム〉を、約一週間の北米出張からの帰国の途上、機上にて策定、執筆しています。文字通り機上の空論ですが机上の空論に非ず、必ずや遂行する所存です。

昨夏から海外渡航が可能に為り、既存御取引の継続御礼及び新規受注を企図してのお客様訪問が漸く叶いました。そして、待ちに待った社長総点検に由る傍楽仲間達との再会。改めて、人と人が共に在ることの大切さ、有難さが身心に深く沁み入ります。

 

逢えない時間を、我が社のていたらくも有り、きっと心を戸惑わせながらもWEBや電話やメールを駆使して一緒に乗り越えてくださったお客様、御仕入先様方々に衷心より感謝申し上げます。待ちに待ってくれていた世界中の傍楽仲間達におおきに!であります。無論、惨禍の間隙を縫い慎重に丁寧に苦慮と配慮を幾重にも重ねてでも面談を実施して、此之困難之季を更に近い処で一緒に闘って下された金融機関様、All Diamonds企業様方々にも、今一度重ねて衷心より御礼申し上げます。誠に以て有難う御座います。旅の終わり、旅愁のなか、万感胸に迫る想いです。

さて、2017年に投資を決断し、足掛け7年取組んできた〈Project A=アンモニア燃焼技術〉は現在、更なる研究の深化と共に、既報の通り世界初の技術を具現化すべく、チャンピオン試作品を今年度末、2024年3月の完成を目指して我が社のむくつけきエンジニア達が鋭意作成中です。

また、既存の事業同様〈Project A=アンモニア燃焼技術〉をどまんなかに据えた〈車と家を地球環境に資するものづくりでつなぐ〉新たな闘いに於いても、既に連携、御協力賜りております企業様や研究機関様に加えて、日本を手始めに、世界の各地で焔(ほむら)立つ堅牢な〈炎のスクラム〉を組みたい、左様に考えています。

いつの日か、世界中の公道を地球環境に資する我が社の技術を搭載した自動車が走る前に、田畑や海上で御役に立てないか、少しでも早く人々と地球の未来に役立てないか、此之、過去に例無く他に類見ぬ上場企業二社同時再生+1の完遂を足腰に、確かな収益構造を有した筋肉質の会社へと生まれ変わるのは勿論のこと、世界中の人々から在って佳かった、左様仰って頂ける公器へと昇華すべく、少しずつ少しずつ漸進して参ります。

 

また、我が社が〈Project A〉に次いで進める〈Free as a Bird〉即ちマイクログリッドは、〈車と家を地球環境に資するものづくりでつなぐ〉大いなる試みであると同時に、日本に於ける「ものづくり」の力の源泉である地方の復活、其之底力を喚起する取組みでもあります。今少し先にはなりますが、此之マイクログリッドを追求するということは、其之町で雇用が生まれるということ。鳥取での雇用を取り戻すだけで無く、先ず以て我が社の工場が在る新潟三条、栃木大田原、秋田横手にて同様に産業創出延いては雇用創出に取組み、此之国の地方の底力を呼び醒ましたい、斯様に考えています。極度の円安、物価高、そして何れの人口減を想えば、「夫れ大事を済すは必ず人を以て本と為す」、我が社の〈人々の再生物語〉が更に多くの人々の心温まり勇気湧く豊かな物語につながることを、衷心より願いて止みません。今後も当グループは、中長期経営計画〈炎のスクラム〉に掲げた新ビジョン〈車と家を地球環境に資するものづくりでつなぐ〉に基づき、公器としてお客様の発展に寄与し社会の豊かさに貢献するべく、挙社一致で連戦猛進して参ります。

 

当連結会計年度の売上高は933億34百万円(前年同期比2.4%増)、営業利益は2億30百万円(前年同期は営業損失11億87百万円)、経常利益は13億13百万円(前年同期は経常損失8億17百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は18億97百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失10億75百万円)となりました。これは、主に原材料高騰影響の価格転嫁が進み、さらに全社的な生産性改善により営業利益率が改善した一方、特別損失として製品補償引当金繰入額を計上したことによるものであります。

 

・連結

売上高

933億34百万円

前年同期比2.4%増

 

営業利益

2億30百万円

前年同期は営業損失11億87百万円

 

経常利益

13億13百万円

前年同期は経常損失8億17百万円

 

親会社株主に帰属する当期純損失

18億97百万円

前年同期は親会社株主に帰属する
当期純損失10億75百万円

 

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

[自動車機器事業]

自動車機器事業は、半導体や材料調達難の解消によるサプライチェーンの回復は見られたものの、一部点火コイルにおける販売終息の影響を受け、売上高328億72百万円(前年同期比0.7%減)となりました。利益面では、従前より鋭意活動を進めて参りました原材料高騰の価格転嫁や電動車向け製品開発費の計上、ものづくりにおける生産性改善が進み、セグメント損失は8億99百万円(前年同期はセグメント損失29億38百万円)となりました。

 

[エネルギーソリューション事業]

エネルギーソリューション事業は、蓄電ハイブリッドシステム(EIBS7)が世界的な半導体不足の継続により生産が停滞し、一部供給停止が継続したことでお客様からの信頼回復が遅滞しておりました。また、工事で使用するケーブルの不足などもあり、販売回復の途上となっています。然しながら、メインとなる半導体の入手改善により生産性が回復しており、徐々にではありますが、お客様からの信頼回復により売上高226億53百万円前年同期比3.8%増)となりました。利益面では上記売上高増加の影響及び原材料高騰の価格転嫁が一部で進みましたが、セグメント利益は22億52百万円前年同期比7.3%減)となりました。

 

[電子機器事業]

電子機器事業は、エアコン用リアクタなどの需要は、お客様における在庫調整の影響が続き、低調に推移しましたが、半導体等の電子部品不足に改善が見られたことでグローバルでの制御基板の販売が増加し、売上高364億34百万円(前年同期比3.4%増)となりました。利益面においては一部製品の原材料等コスト上昇により、セグメント利益は10億1百万円(前年同期比29.7%減)となりました。

 

[その他]

金型成型事業等を行うダイヤクラフト株式会社、インドクラフト及びタイクラフトの事業セグメントの売上高は13億73百万円(前年同期比44.5%増)、セグメント損失は68百万円(前年同期はセグメント損失24百万円)となりました。

 

生産、受注及び販売の実績は次のとおりであります。

 

① 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

自動車機器事業

32,875

△2.0

エネルギーソリューション事業

22,507

△3.2

電子機器事業

36,297

5.0

その他

1,381

40.2

合計

93,063

0.8

 

(注) 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

 

② 受注実績

当社グループ(当社及び連結子会社)の製品は、自動車機器事業においては、得意先から1~3ヶ月前より指定部品の生産計画内示を受け生産の予測をたてますが、実際の納入は、得意先の生産に合わせた提示によりラインに納入している状況であります。従って、内示と実際とは異なる場合もあり、受注高及び受注残高を算出することは困難であるため、受注実績の記載は省略しております。

また、エネルギーソリューション事業及び電子機器事業においては、得意先からの生産計画の提示を受け、過去の実績及び将来の予測と生産能力を勘案して見込み生産を行っているため、受注実績の記載は省略しております。

 

③ 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

自動車機器事業

32,872

△0.7

エネルギーソリューション事業

22,653

3.8

電子機器事業

36,434

3.4

その他

1,373

44.5

合計

93,334

2.4

 

(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

ダイキン工業株式会社

13,482

14.8

17,362

18.6

 

 

(2) 財政状態

当連結会計年度末の総資産は820億32百万円となり、前連結会計年度末に比べて33億5百万円増加しました。主な増加は、原材料及び貯蔵品19億14百万円、建物及び構築物(純額)11億11百万円、建設仮勘定10億19百万円であります。

負債は717億52百万円となり、前連結会計年度末に比べて39億28百万円増加しました。主な増加は、製品補償引当金17億10百万円、短期借入金14億93百万円、リース債務8億12百万円であります。

純資産は102億80百万円となり、前連結会計年度末に比べて6億23百万円減少しました。主な増加は、為替換算調整勘定11億67百万円、利益剰余金1億76百万円、退職給付に係る調整累計額1億38百万円であり、主な減少は、資本剰余金21億87百万円であります。

この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の13.7%から12.4%となりました。

 

(3) キャッシュ・フロー

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ16億2百万円減少し、79億87百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により得られた資金は、21億22百万円(前年同期は34億91百万円の使用)となりました。主な要因は、仕入債務の減少が16億7百万円、長期前払費用の増加が6億2百万円あったものの、減価償却費が28億46百万円、製品補償引当金の増加が17億9百万円あったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により使用した資金は、40億9百万円(前年同期は28億39百万円の使用)となりました。主な要因は、投資有価証券の償還による収入が89百万円あったものの、有形固定資産の取得による支出が37億99百万円、無形固定資産の取得による支出が2億49百万円あったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により得られた資金は、1億25百万円(前年同期は49億9百万円の獲得)となりました。主な要因は、長期借入金の返済による支出が40億48百万円あったものの、長期借入れによる収入が28億50百万円、短期借入金の純増額が10億77百万円、セール・アンド・リースバックによる収入が6億26百万円あったことによるものであります。

 

当社グループの財政状態に関する指標のトレンドは下記のとおりであります。

 

 

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

2024年3月期

自己資本比率(%)

11.7

11.0

14.7

13.7

12.4

時価ベースの自己資本比率

(%)

6.2

30.2

11.1

9.1

7.4

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

△13.9

8.3

△7.7

△11.6

19.7

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

△11.1

21.6

△19.2

△7.8

4.1

 

(注) 自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

Ⅰ. 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

Ⅱ. 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

Ⅲ. 営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行っております。主なものは貸倒引当金、繰延税金資産、賞与引当金、退職給付に係る資産及び負債、製品保証引当金、関係会社株式、製品補償引当金、減損損失、棚卸資産の評価、のれんであり、その見積り及び判断については継続して評価を行っております。

なお、見積り及び判断・評価については、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果とは異なる場合があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループは「車と家を地球環境に資するものづくりでつなぐ」をビジョンと定め、燃費向上・省エネ・省資源・環境負荷物質の低減等、地球環境問題に対応する新技術の開発に日々邁進しております。また、世界の課題である地球温暖化は深刻度を増しており、当社の扱う電力変換技術を中心としたテクノロジーの重要度はさらに高まっています。

自動車機器事業におきましては、世界の自動車産業が脱炭素へ加速するなか、自動車部品専門メーカーとしてこれまでに培った技術をさらに進化、ハイブリッド自動車から産業機械に至る幅広いエンジン向けとして良品廉価な点火コイル開発、及びその先のカーボンニュートラル社会を見据え、点火システムを軸とした先行開発を推進しており、当連結会計年度における研究開発費の金額は、546百万円となっております。

エネルギーソリューション事業におきましては、カーボンニュートラル/脱炭素化への取り組みに向け、再生エネルギーを活用する蓄電ハイブリッドシステムの開発、及び車と住宅を接続して電力を融通し合うV2H(Vehicle to Home)分野での研究開発を推進しており、当連結会計年度における研究開発費の金額は、1,773百万円となっております。

電子機器事業におきましては、ホームエレクトロニクス市場(特に空調機器市場)でもカーボンニュートラル社会への挑戦に向け、更なる省電力化、高付加価値化に取り組んでおります。また、電力変換で培った技術を活かし、今後更なる開発が加速される電動車向けにリアクトル・トランスの開発を進めており、当連結会計年度における研究開発費の金額は、404百万円となっております。

基礎研究の分野では、新燃料での点火・燃焼研究で量産エンジンを用い、点火強化による燃焼限界の拡大について一部の領域で効果が確認できた為、さらなる運転域での効果を確認すべく研究を進めております。

新規事業の分野では、様々な環境発電デバイスに着目し、効率的でコスト効果の高い電源システム構築を推進し、新たな持続可能なエネルギー供給を目指しています。さらには各種機器に搭載されるリチウムイオンバッテリーに対する劣化度診断のニーズが高まっており、これに応えるべく、バッテリー劣化診断装置の開発を進めております。

製品化開発中のものを含め、基礎研究と新規事業に係る当連結会計年度における研究開発費の金額は、59百万円となっております。