当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「テクノロジーで不動産事業に新たな付加価値を創造する企業へ」というビジョンの下、当社が培ったノウハウと進化し続けるテクノロジーとの融合により、人々の暮らしを豊かにする付加価値の高いサービスの提供と新たな市場への展開やグループ間の連携をより一層高めることにより、持続的成長と企業価値の向上を目指してまいります。
当社の企業理念は、以下のとおりであります。
・Mission 「テクノロジーで人々の想いをつなぎ、豊かな社会を創造します」
・Vision 「テクノロジーで不動産事業に新たな付加価値を創造する企業へ」
・Corporate Message 「Smart Life with Us テクノロジーでくらしをゆたかに」
(2)経営環境及び経営戦略等
経済・社会活動の正常化が進み、雇用・所得環境が改善する中、各種政策の効果もあり、緩やかな回復基調で推移しております。しかし一方で、国際情勢の不安やエネルギー価格・原材料価格の高騰による物価上昇の影響は依然として不透明な状態が続いております。
当社が事業を展開する市場におきましては、デジタル化の進展を背景に、安定した通信インフラの重要性が高まる中、これまで以上に高品質のインターネット設備が求められております。また、5Gの普及やIoT、クラウドカメラといった付加価値サービスの需要拡大等、当社を取り巻く事業環境は常に変化しております。
このような経営環境の下、当社グループは、企業価値の向上と持続的成長に向けて、デジタル社会の基盤である通信インフラの構築に貢献する企業として、既存サービスの改善、ニーズを捉えた独自性の高いサービス開発及び保守・サポート体制の強化によるサービス品質の継続的な向上に努め、幅広いニーズに応えられる総合力の底上げに注力してまいります。
各報告セグメントにおける経営環境及び経営戦略は以下のとおりであります。
HomeIT事業
① 集合住宅向けISPサービス
集合住宅向けISPサービスにつきましては、既存顧客との連携強化と営業体制の強化及び販売ネットワークの活用を促進し、サービス提供戸数の拡大を目指してまいります。
主要顧客であるOEM提供先企業との連携を強化し、新築物件における当社シェアの拡大を図り、既存物件においては、導入率が上がり受注難易度が高まりつつある中、クラウドカメラやスマートロック等のIoTソリューションサービスの積極的な提案等により、これまでアプローチしきれなかった顧客の掘り起こしを図ってまいります。同時に、自社の営業力強化、既存の販売パートナーのフォローアップや、社宅管理代行との連携強化とともに、新たな販売パートナーの開拓を推進し、潜在顧客へのアプローチを増やすことで、新規顧客の獲得に繋げてまいります。また、これまで独自ノウハウを活かしてサービスを提供してきた戸建分譲地、公共施設、オフィスやホテル等の分野にも積極的に参入し、実績を積み上げてまいります。
② IoTソリューションサービス
IoTソリューションサービスの内、クラウドカメラサービスについては、集合住宅向けISPサービスのOEM提供先導入標準化を目標に営業を強化してまいります。また、販売体制構築を進めておりました飲食店や介護施設などの新たな市場への拡販を強化し、導入台数の底上げを目指してまいります。
スマートロック等のIoTサービスにつきましては、パートナー企業との販売体制を強化し、集合住宅向けISPサービスOEM提供先をメインに集合住宅への拡販に注力してまいります。
③ サービス品質向上とコストの最適化
安定した通信環境が求められる中、施工体制の効率化、導入後のトラフィック監視、保守及びサポート体制をより一層充実させ、すべての面において品質向上に取り組み、最適なサービス提供を目指してまいります。また、物価高の影響による通信機器等のコスト上昇に対して、フォーキャストの精度向上、機器の安定調達、効率的なリソース配分やプロセスの見直しを通じてコストの最適化を図り、競争力を高めてまいります。
不動産事業
① 社宅代行サービス
社宅管理代行サービスにつきましては、既存顧客との連携強化とともに、当該顧客のグループ企業及び取引先への展開に注力するとともに、当社がこれまで培った社宅ノウハウと運用体制を強みとして、新規顧客の獲得を促進してまいります。また、福利厚生社宅サービスといった新たなサービスの開始により、社宅制度導入の間口を広げ、潜在顧客へのアプローチを強化し、取扱件数の拡大を目指してまいります。
同サービスを通じて確立した提携不動産会社ネットワークの活用につきましては、相互協力体制をさらに強化し、集合住宅向けISPサービスやクラウドカメラサービス等の当社サービスの拡販を図ってまいります。
② テナント運営サービス
テナント運営サービスにつきましては、複合施設「LIVINGTOWN みなとみらい」の更なる認知度と集客力の向上を目指し、複合施設としての価値向上に注力してまいります。また、「競争優位性を生み出す実証実験の場」、「パートナー企業との協創の場」と位置付け、様々なパートナー企業の持つ技術を集結し、新たなサービス、事業モデルの可能性を追求してまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループが経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、以下のとおりであります。
HomeIT事業:集合住宅向けISPサービスの提供戸数
不動産事業:社宅管理代行サービスの取扱件数
HomeIT事業における集合住宅向けISPサービスは、当社ビジネスの中核であり、同サービスの収益は、サービス提供戸数に応じて計上されるストック型の収益モデルであります。従って当社は、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標を、集合住宅向けISPサービスの提供戸数としております。
また、当該指標に加え、連結売上高、連結売上総利益及び連結営業利益を当社グループの収益性及び成長性を測る重要指標とし、各指標を継続的に拡大させることを目指しております。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は次のとおりであります。
① 競争力の強化及び事業領域の拡大
当社の主力である集合住宅向けISPサービスの市場におけるシェア獲得競争は、市場での導入率が高まるにつれ、競合他社との価格競争や新規参入業者の存在により、今後、より一層激しくなることが予想されます。
当社グループが同サービスの持続的成長を実現するためには、競争力の強化及び事業領域の拡大が課題であると認識しております。この課題に対応するため、同サービスにおいては、営業体制の強化、サービスの安定提供、保守・サポート体制の充実等、全体的なレベルの底上げに取り組み、競争力強化を図ってまいります。
また、当社グループの売上高は、集合住宅向けISPサービスの売上に集中しており、当社グループの同サービスへの依存度は非常に高い状況にあることも課題として認識しております。
この課題に対応するため、同サービスへの依存度低減に向けて、IoTソリューションサービス及び不動産事業の拡大とともに、新領域への挑戦と成長への可能性を追求し、競争優位性を生み出す新たな事業、新たなサービスの創出に取り組んでまいります。
② 情報技術革新への対応と顧客ニーズを捉えた新サービスの開発
次世代通信である5G、Wi-Fi6等の進展、AIやIoTをはじめとしたIT技術の飛躍的な進歩は、社会や生活に大きな変化をもたらし、それに応じて顧客ニーズもさらに多様化することが予想されており、当社グループの持続的な成長を実現のためには、情報技術革新への対応及び顧客ニーズを捉えた新サービスの開発が課題であると認識しております。
この課題に対して、情報通信市場や先端技術の動向を注視するとともに、複合施設「LIVINGTOWN みなとみらい」を実証拠点として、技術力の高いパートナー企業との連携を強化し、5Gの社会実装に向けた検証を行うなど、競争優位性の高いサービス開発を進めてまいります。また、さらに多様化することが予想される顧客ニーズに対しても、設計、施工から保守・入居者サポートまでワンストップで提供している当社グループの強みを活かし、顧客のダイレクトな声を反映し、市場に求められるサービスの開発に取り組んでまいります。
③ 内部管理体制の強化
当社グループの企業価値の向上と持続的成長のためには、コンプライアンスや財務報告に係る内部統制の整備を含む内部管理体制、事業環境の変化に対応できる組織力の強化が課題であると認識しております。当社グループは、内部監査による業務プロセスの整備・運用の継続的な是正活動やリスク管理の徹底、役員・従業員のコンプライアンス意識の向上を目的とした社内研修の定期的な実施により、コーポレート・ガバナンス体制の強化に取り組んでまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組の状況は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社グループは、「テクノロジーで不動産事業に新たな付加価値を創造する企業へ」のビジョンの実現を通じて、長期持続的な成長と企業価値の向上を目指すうえで、サステナビリティの重要性を認識しております。
当社グループは、顧客、取引先、従業員、競合企業、投資家などに関連する環境・社会・経済のサステナビリティ項目をリストアップしたうえで、マテリアリティ(重要項目)を考慮し、重要なサステナビリティ項目を識別し対処しております。
当社グループでは、経営会議においてサステナビリティ関連のリスク及び機会の識別並びに評価を行い、その対処方法を反映した事業計画を策定します。当該事業計画は、取締役会に報告され、審議を経て承認されます。
取締役会で承認された重要な事項(重要なサステナビリティ項目を含む。)は、社内のイントラネット及び、四半期毎に、役員及び従業員全員が参加する「VOGP(Voice of Giga Prize)」により、すべての取締役、監査役及び従業員に対して周知しております。
重要なサステナビリティ項目については、それが発生した場合に損失を被る可能性があるので、そのリスク及び機会を監視するために、経営会議において、事業計画との比較、分析及び検討を行い、その結果を取締役会に報告する仕組みとしております。
重要なサステナビリティ項目としては、次の項目があります。
① 社会環境やライフスタイルの変化への適応
② 温暖化などの環境変化(インターネット接続機器の設置箇所の異常高温、落雷による破損などの影響、省エネルギーの機器の積極的な使用等)
③ 従業員の個性及び価値観の尊重と働きがいのある職場環境づくり
④ ガバナンスの強化
(2)戦略
当社グループでは、社会環境やライフスタイルの変化、市場のニーズの多様化への適応を行い、集合住宅市場におけるISPサービスの更なるシェア拡大を見据えた体制強化と、新領域での成長に向けた取組みを推進しております。
当社グループが経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、以下のとおりであります。
HomeIT事業:集合住宅向けISPサービスの提供戸数
不動産事業:社宅管理代行サービスの取扱件数
これらの指標に加え、連結売上高、連結売上総利益及び連結営業利益を当社グループの収益性及び成長性を測る重要指標とし、各指標を継続的に拡大させることを目指しております。
当該取組みにおいて、サステナビリティ関連の戦略としては、重要なサステナビリティ項目に関連する可能性のある要因を識別及び評価し、当該影響を考慮して、事業計画を策定しております。
また、当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりです。当該方針については、連結グループの主要な事業を営む会社において、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組みが行われていますが、必ずしも連結グループに属するすべての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であることから、当社(株式会社ギガプライズ)を対象に記載しており、当社グループ全体の情報ではありません。
① 人材育成に関する方針
当社(株式会社ギガプライズ)は、すべての従業員が安心・安全な環境で働けるような組織を構築しつつ、外部環境の変化に柔軟に対応できるような人材を育成することを目標として掲げております。また、人材育成の基礎としてエンゲージメント(当社と従業員との間の信頼関係の構築)やダイバーシティ(人材の多様性)を重視した各種施策を実施しております。
② 社内環境整備に関する方針
(a) 従業員エンゲージメントの向上
当社は、在宅勤務やテレワークといった非対面型の業務が一般的となりつつある昨今、人材育成の基礎としてエンゲージメントを向上させることが重要であると認識しています。
当社では、管理職を対象とした会議を毎月1回開催し当社の方針を管理職に浸透させ、管理職から従業員全体に方針を伝えることとしています。また、イントラネット内に当社の現状を伝える掲示板を設けて情報共有を行っているほか、四半期毎に、役員及び従業員全員が参加する「VOGP(Voice of Giga Prize)」という場を設けることで、役員が当社の方針を伝達することに加え、従業員の声を直接聴くこととしております。
(b) 従業員の採用
当社は急激な業容拡大に対応するため、従来は主に専門能力のある人材を中途採用者として確保してきました。今後は、当社が安定的に成長していくことを見据え、中途採用者に加え新規卒業者の採用を行うこととしております。今後も、当社が安定的に成長していくために、中途採用者及び新規卒業者双方を採用していくことが重要であると認識しております。
(c) 教育・研修制度の充実
教育・研修は、主に次の3つの視点から実施しております。
・社会人としての一般的なマナーの習得
・「ギガプライズ」の従業員としての行動指針の習得
・専門能力の習得
社会人としての一般的なマナーの習得については、主に入社時に行っております。就業経験者の採用が多いとはいえ、そのバックボーンは多種多様であることから、当社の業務に必要な法令等の知識に加え、一般的なマナーについての研修は必要であると考えております。当該教育・研修の実施は、主に外部の研修機関を活用しております。
「ギガプライズ」の従業員としての行動指針の習得については、主に人事部が中心となり研修プログラムを作成しております。
専門能力の習得については、資格取得者への報奨制度を設けているほか、各分野の外部研修に積極的に参加することを推奨しております。具体的には、法令や会計基準等の改正へのアップデート、電気通信等のネットワーク技術の向上について、外部専門家の活用や社内研修を随時実施しております。
(d) 働き方の変化
当社は、人事制度として一部従業員に対して在宅勤務制度を適用しており、在宅勤務やテレワークといった柔軟な働き方について実施しております。
また、従業員としての働き方と家庭の生活との適切なワークライフバランスを図るために、当社では、有給休暇取得率の向上を重視しております。具体的な有給休暇取得率については、下記の「(4)指標及び目標」に記載しております。
多様な働き方を容認することは、従業員のワークライフバランスに合わせた業務遂行の実現により優秀な人材の確保に資すると考えております。
(e) ダイバーシティへの対応
多様な人材の確保は、当社の安定的な成長に欠かせない重要な要素であります。そのためには、積極的に従業員を採用し、従業員が安心して働ける環境が必要であると考えております。当社は、「誰もが働きやすい職場」を目指して、一部の制度については法令で定められている以上に従業員が利用しやすくなるよう制度設計し、従業員の安全・健康を確保することとしております。
ただし、これらの制度が活用されるためには、制度を設けただけでは不十分であり、当該制度を利用しやすい職場環境が重要であります。当社では、全従業員に対して制度を周知させることで、男女の区別なく当該制度を利用できるように推進しているほか、制度を利用した従業員が昇進・昇格において格差が生じないよう配慮しております。また、ダイバーシティに対する理解を深めるような研修等への参加を通じて、その重要性を認識してもらうよう努めております。
(f) 従業員の安全及び健康の確保
従業員の安全及び健康を守ることは、当社の重要な施策と考えており、健全な職場環境を守るため「ハラスメントの防止」を会社として取り組んでいくことを宣言しております。
職場におけるハラスメントは、働く人の個人としての人格や尊厳を不当に傷つける社会的に許されない行為であり、働く人の能力発揮の妨げにもなることから、あってはならないものと考えております。
(3)リスク管理
サステナビリティ関連のリスク及び機会については、サステナビリティ項目の影響度・発生可能性などを考慮して、リスク管理を行っております。
当社グループでは、経営会議においてサステナビリティ関連のリスク及び機会の識別並びに評価を行い、その対処方法を反映した事業計画を策定します。当該事業計画は、取締役会に報告され、審議を経て承認されます。
取締役会で承認された重要な事項(重要なサステナビリティ項目を含む。)は、社内のイントラネット及び、四半期毎に、役員及び従業員全員が参加する「VOGP(Voice of Giga Prize)」により、すべての取締役、監査役及び従業員に対して周知しております。
重要なサステナビリティ項目については、それが発生した場合に損失を被る可能性があるので、そのリスク及び機会を監視するために、経営会議において、事業計画との比較、分析及び検討を行い、その結果を取締役会に報告する仕組みとしております。
(4)指標及び目標
当社グループでは、連結売上高、連結売上総利益及び連結営業利益を当社グループの収益性及び成長性を測る重要指標としております。
当該指標及び目標については、現在の当社グループの状況を踏まえつつ、事業計画(重要なサステナビリティ項目に関連する可能性のある要因の影響を考慮して策定)をもとに算出した将来の業績及び財政状態を検討し、経営会議で検討を行ったうえで、最終的に取締役会の審議を経て合理的に決定しております。
そのため、連結財務諸表に表示される業績及び財政状態を基礎にして、事業計画と比較して、重要なサステナビリティ項目に関連する数値(指標)を分析しております。また、これらの数値に関する長期的な趨勢についても分析しております。
例えば、社会環境やライフスタイルの変化へ適応することにより、売上高が増加するものと想定しております。温暖化などの環境変化により、インターネット接続機器の設置箇所の異常高温、落雷による破損などが発生する場合、連結損益計算書の売上原価項目である保守費用が増加することがあります。また、従業員の個性及び価値観の尊重と働きがいのある職場環境づくりなどの人材投資を行う場合、給与・福利厚生費などの人件費が増加することがあります。ガバナンスの強化を行うことにより、関連する管理諸費用が増加することがありますが、一方で収益管理の強化を伴う場合には、売上高が増加するものと想定しております。
これらの連結会社の実績と事業計画の数値との比較・分析という財務情報を指標とし、サステナビリティ関連項目を長期的に管理することにより、連結売上高、連結売上総利益及び連結営業利益の目標の達成につながるものと考えております。
また、当社(株式会社ギガプライズ)では、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
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指標 |
目標 |
実績 |
||
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
|||
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管理職(※1) |
|
45.05% |
60.83% |
|
一般社員 |
同上 |
72.99% |
79.44% |
|
|
全社員 |
同上 |
68.71% |
|
|
(※1)管理職は、当社におけるマネージャー以上の職位であります。
(※2)当連結会計年度は、決算期変更に伴い13ヶ月の変則決算となっておりますが、有給休暇付与日の変更は行っていないため、2024年3月末時点の数値を記載しております。
上記の指標等については、連結グループの主要な事業を営む会社において、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組みが行われていますが、必ずしも連結グループに属するすべての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であることから、当社(株式会社ギガプライズ)を対象に集計しており、当社グループ全体の情報ではありません。
上記の目標については、現在の従業員の就業状況を踏まえつつ、事業計画をもとに算出した将来の就業状況を考慮し、経営会議で検討を行ったうえで、最終的に取締役会の審議を経て合理的に決定しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)事業環境に関するリスクについて
① 経済状況に関するリスク
[リスクの内容と顕在化した場合の影響]
当社グループが展開する事業は、主に不動産業界向けにサービスを提供しております。国内の景気動向、金利動向、地価動向等の変化により、国内不動産市況が大幅に悪化した場合、提供サービスの新規受注の減少等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
[当該リスクへの対応策]
当社グループのHomeIT事業における集合住宅向けISPサービス及び不動産事業における社宅管理代行サービスは、サービス提供数に応じて、継続的に回線利用料収益(以下「ランニング収益」という。)及び社宅管理代行手数料が積み上がるストック型の収益モデルであり、これにより安定した収益基盤を確立しております。また、集合住宅向けISPサービスの提供戸数及び社宅管理代行サービスの取扱件数を重要指標と位置付け、それぞれの拡大に注力することで、収益基盤の更なる強化を目指し、当該リスクの影響を最小限に抑えるよう努めております。
② 技術革新に関するリスク
[リスクの内容と顕在化した場合の影響]
当社グループのHomeIT事業は、インターネット関連技術を基盤としております。当社が注視する情報通信業界においては、5GやIoTの進展等、情報通信技術の高度化が進み、それに応じて顧客ニーズも変化することで、より利便性の高い有益なサービスが求められており、今後もこの流れは続くと予想されます。当社は、将来のWi-Fi規格の変更に低コストで対応可能な「PWINS」等、想定される通信技術の高度化を見据えて独自の通信機器を開発してまいりました。しかし、現在の想定を超える技術革新や環境変化が生じ、適応が遅れることにより当社グループの市場競争力が低下した場合、新技術に適応した他社への切替えや新たな競合企業の市場への参入等により、市場シェア及び収益力が低下するおそれがあります。また、新技術の研究開発や既存サービスの切替え、廃止等の大規模なリストラクチャリングが必要になり、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
[当該リスクへの対応策]
当社グループでは、技術革新及び顧客ニーズの変化に対応すべく、常に新技術の状況・動向を注視し、またサービス提供先との連携により顧客ニーズをいち早く捉え、それらに適応する独自サービスの開発を推進しております。また、新技術や独自性の高い技術を持つパートナー企業との協創により、既存市場でのシェア拡大及び新たな市場への展開を図り、優位性の創出を目指しております。
③ 競合に関するリスク
[リスクの内容と顕在化した場合の影響]
当社グループの集合住宅向けISPサービスが属する市場には、競合企業が数多く存在しております。既存の競合企業の競争力向上や、新たな企業の参入等により更に競争が激化し、当社グループの優位性が相対的に劣る状態になった場合、収益力が低下し、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
[当該リスクへの対応策]
当社グループでは、独自ノウハウと技術力で、市場の潜在的課題に柔軟に対応できる体制構築と最適なサービス提供に注力し、市場でのシェア拡大を進めております。加えて、サービス品質の向上に向けた運用体制の効率化及び高度化を図り、高い付加価値を提供し続けることで、既存のサービス提供先との関係を強化いたします。
また、独自技術を有する他業種の企業との提携や、当社不動産事業との連携による販売チャネルの拡大により、潜在顧客へのアプローチを強化し、市場での競争力の更なる強化を図ってまいります。
④ 自然災害や予期せぬ事象の発生等に関するリスク
[リスクの内容と顕在化した場合の影響]
当社グループの事業は、通信ネットワーク及びコンピュータシステムに業務の多くを依存しており、継続な事業運営のために必要な対策を講じております。しかし、想定を超える地震、台風、洪水等の自然災害や戦争、テロ等の予測不可能な事象の発生によって、広範囲にわたる通信機器の故障、大規模なシステム障害等が生じた場合、営業停止や提供サービスの中断を余儀なくされるおそれがあります。こうした事象による通常の事業活動の再開が遅れることにより、当社グループの信用低下による大手サービス提供先の喪失や、損害に対する賠償金の支払い等が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
[当該リスクへの対応策]
当社グループでは、セキュリティ対策、複数拠点での情報管理によるリスク分散、停電時のバックアップ体制の構築、基幹システムのクラウド化、遠隔操作による復旧を可能とするシステム構築等、事業を継続するために必要な対策を講じており、発生時の初期対応や、業務、サービスの早期復旧のための運用体制及び環境整備を図っております。また、現在講じている様々な対策についても、継続的な検証、改善に取り組んでまいります。
(2)事業運営に関するリスクについて
① 主要取引先への依存度に関するリスク
[リスクの内容と顕在化した場合の影響]
当社グループの事業は、HomeIT事業における集合住宅向けISPサービスを主たる事業としており、主なサービス提供先は、D.U-NET株式会社、大東建託株式会社、大東建託パートナーズ株式会社及び積水ハウス不動産東京株式会社であります。当該4社の売上高合計は、当社グループ全体の売上高の69.2%を占める高い状況にあるため、当該4社の経営方針の変更等により、想定を超えるサービス提供価格の下落、競合企業等の進出によるサービス提供数の減少や取引停止等が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
[当該リスクへの対応策]
当社グループは、サービス提供先への最適なサービスの安定した提供が事業継続における重要項目であると認識しております。顧客ニーズに柔軟に対応できるOEM提供の運営ノウハウと、連結子会社の株式会社ギガテックにより、全国に対応可能な施工体制を構築しております。引き続き、顧客ニーズの変化に対応できるよう運用体制の効率化及び高度化や、安全品質向上を図り、付加価値を提供することで関係を強化してまいります。また、当該4社以外の新規取引先の開拓に注力しており、主要取引先への依存度の低減によりリスク分散を図ってまいります。
② 人的資源に関するリスク
[リスクの内容と顕在化した場合の影響]
当社グループは、持続的成長のため、事業規模に合わせて人材の採用を行っております。当社の主力サービスである集合住宅向けISPサービスの運用は、専門知識、豊富な経験を有する人材に依存するところが大きく、そのため、重要な役割を担う人材が流出し、新規採用、育成が当社の事業規模拡大のバランスと大きく乖離した場合、円滑な事業運営が困難となり、当社グループの今後の成長に影響を及ぼす可能性があります。
[当該リスクへの対応策]
当社グループの今後の成長のために、人材の確保及び育成が重要であると考えており、人材の採用及び育成を計画的に行うとともに、既存従業員の更なる成長のため、社内研修の充実や社外研修制度を取り入れております。また、業績に応じた従業員への還元、働きやすい職場環境の提供や福利厚生の充実を推進し、人材の社外流出防止に努めてまいります。
③ 情報セキュリティに関するリスク
[リスクの内容と顕在化した場合の影響]
当社グループは、事業運営上入手する個人情報やノウハウを含む機密情報(以下「個人情報等」という。)の徹底管理による社外流出防止を重要な経営課題としております。しかし、外的要因(コンピュータウイルス感染、サイバー攻撃、不正アクセス等)、内的要因(システム障害、従業員の過失、不法行為等)、その他の要因等により、個人情報等の漏洩が発生した場合には、競争力の低下、損害賠償請求の発生、社会的信用の失墜による取引先の喪失等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
[当該リスクへの対応策]
当社グループは、個人情報等の重要性を鑑み、情報保護に関する各種規程を定め、それに基づく内部情報管理体制の整備・運用、技術的措置を講じております。また、2006年7月にプライバシーマークの認証を取得し、全従業員に対しての情報管理の重要性、取扱方法、情報漏洩に伴うリスク等について、徹底した教育を行い、情報管理意識の向上に努めております。今後も引き続き、対応策の継続的な検証、改善、従業員の情報管理意識の向上に取り組み、情報管理体制のより一層の強化を推進してまいります。
④ 特定通信事業者への依存度に関するリスク
[リスクの内容と顕在化した場合の影響]
当社グループが提供する集合住宅向けISPサービスは、主に東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社が提供する通信回線を利用してサービスを提供しております。今後、両社の経営方針の変更等により、サービスの提供条件や通信回線の仕入価格上昇等、取引条件の悪化等があった場合、また大規模な障害が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
[当該リスクへの対応策]
当社グループは、安定したサービス提供のため、両社との関係強化を図るとともに、両社以外の通信事業者が提供する通信回線を積極的に利用し、当該リスクの影響を最小限に抑える取組みを行っております。
⑤ 回線及び各種機器の調達コストに関するリスク
[リスクの内容と顕在化した場合の影響]
当社グループが提供する集合住宅向けISPサービスは、インターネット接続に必要な通信回線や関連機器等を他社から調達しております。通信回線につきましては、近年、動画等、帯域を多く利用するサービスが増加し、加えてテレワーク、オンライン授業の普及により、国内のデータ通信量は急増しております。今後当社の想定を超える通信量の急増が生じた場合には、通信速度等のサービス品質を維持するための新規回線や帯域の確保増加等により原価が上昇し、利益を圧迫するおそれがあります。
また、関連機器等につきましても、各種機器の必要数量が調達できない場合や、想定を超える仕入単価の上昇等により、サービス提供先の拡大に支障をきたすおそれがあります。これらのリスクが発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
[当該リスクへの対応策]
当社グループは、当社集合住宅向けISPサービスの品質の維持、向上のため、通信回線については従来のIPv4方式に加え、IPv6方式の導入や、サービス提供先の利用環境に応じて複数の通信事業者の中から最適な事業者への切替えを行う等、当社の運用ノウハウを駆使して、サービス品質低下のリスクを最小限に抑えております。
各種機器の調達におきましては、受注見込みに基づき数ヶ月先までの必要数量を複数の仕入先から確保可能な体制を構築しており、リスクの分散を図っております。
また、当該リスクに係るコスト上昇要因に対して、効率的な業務運用と徹底したコスト管理により、影響を最小限にするべく取り組んでおります。
⑥ 重大な事故等に関するリスク
[リスクの内容と顕在化した場合の影響]
当社グループは、サービス提供先からインターネット接続に必要な工事を請け負っており、現場の安全品質確保を重要な経営課題のひとつとしております。当社グループが提供する集合住宅向けISPサービスは、施工業務等を連結子会社ギガテック等へ委託しておりますが、予期せぬクレーム、事故等の可能性をゼロにすることは困難であり、万が一重大な事故が発生した場合には、損害の補償、賠償金の発生や、社会的信用の失墜による取引停止等、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
[当該リスクへの対応策]
当社グループは、現場の安全品質確保のため、株式会社ギガテックが主体となり、施工実績と品質を重視した委託先の選定、施工方法の指導、施工状況の確認を行っているほか、発生したクレームや事故は、その大小に関わらず適時に全ての委託先に共有されて再発防止に取り組む等、安全品質の維持・向上に努めております。また、施工情報管理システムを導入し、業務効率化による業務委託先の負担の軽減や、現地調査から工事完了報告までを一元管理することで徹底した品質管理に努めております。加えて、毎年安全大会を開催し、具体的な安全対策の方法や安全に対する意識の徹底を図り、常に安全品質の維持・向上に取り組んでおります。
⑦ 法的規制に関するリスク
[リスクの内容と顕在化した場合の影響]
当社グループの事業は、HomeIT事業におきましては、「電気通信事業法」、「建設業法」等、不動産事業におきましては、「宅地建物取引業法」等の法的規制を受けており、それらを遵守しております。しかし、法令違反等の事象の発生や、規制の変更、新たな法規制等への適応が遅れることにより事業活動に制限を受けた場合、当社グループの社会的信用の失墜や、当該制限への対応に伴う費用の増加等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
[当該リスクへの対応策]
当社グループでは、法務担当部門による契約書のリーガルチェック、顧問弁護士による法令適合性審査、従業員への啓発活動を行う等により法令遵守体制を強化し、法令違反の発生防止に努めております。また、当社グループに関連する法規制等の動向につきましては、業界団体や、業界に精通する法律専門家と連携し、随時対応に努めております。
⑧ 知的財産権等に関するリスク
[リスクの内容と顕在化した場合の影響]
当社グループは、新サービスの開発を積極的に行い、競争優位性の確保に努めております。その際、第三者の知的財産権等を侵害しないよう最大限の注意を払っております。しかし、当社グループが認識していない知的財産権が既に成立している可能性や、当社の事業分野において、第三者による知的財産権が成立する可能性があり、万が一当社グループが第三者の知的財産権を侵害した場合、使用差止請求及び損害賠償請求等の訴訟、当該知的財産権の使用にかかるロイヤリティの支払要求等が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
[当該リスクへの対応策]
当社グループは、知的財産に関する専門家を通じて調査する等、第三者の権利を侵害しないよう最大限の注意を払うとともに、当社グループの事業活動において、第三者の知的財産を利用する場合は、利用契約の締結等、適切な対応に努めてまいります。
⑨ 棚卸資産の評価に関するリスク
[リスクの内容と顕在化した場合の影響]
当社グループは、集合住宅向けISPサービスの受注見込み等に基づき、必要数量の機器を確保しており、原材料及び貯蔵品として計上しております。今後受注見込みの大幅な落ち込み、または技術革新による保有機器の陳腐化等が生じた場合には、棚卸資産の評価額が下落し、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
[当該リスクへの対応策]
当社グループは、サービス提供先との関係強化を図り、受注見込みの精度を高めるとともに、技術革新の動向及びそれに対する顧客ニーズを勘案し、仕入先との協力により在庫数量の適正化に努めております。
(3)親会社との関係について
親会社であるフリービット株式会社は、「Internetをひろげ、社会に貢献する」という企業理念の下、「5Gインフラ支援事業」、「5G生活様式支援事業」、「企業・クリエイター5G DX支援事業」等を展開しており、当社グループは「5G生活様式支援事業」に区分されております。
① 親会社との人的関係について
本書提出日現在における当社役員12名のうち、親会社であるフリービット株式会社の役員等を兼務している者は5名であり、氏名、当社における役職及び同社における役職は以下のとおりであります。
|
氏 名 |
当社における役職 |
フリービット株式会社における役職 |
|
清水 高 |
取締役(非常勤) |
取締役副社長 |
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友松 功一 |
取締役(非常勤) |
取締役 |
|
田中 正幸 |
取締役(非常勤) |
技術本部モバイルサービス部長 |
|
柴田 巧 |
取締役(非常勤) |
― |
|
和田 育子 |
監査役(非常勤) |
取締役 |
② 親会社との取引について
フリービットグループとの取引につきましては、当連結会計年度において、当社グループとフリービットグループとの間では、インターネット接続サービス、クラウドサービス等の取引が行われておりますが、記載すべき重要な取引はありません。
③ 親会社からの独立性の確保について
当社の取締役会は、親会社の指示や事前承認によらず独自に経営の意思決定を行っております。そのため、事業展開にあたっては当社グループの利益最大化を目的として経営の意思決定を行っております。また、当社グループの営業取引におけるフリービットグループへの依存度は極めて低く、ほとんどがフリービットグループと資本関係を有しない企業との取引であります。加えて、当社がフリービットグループと取引を行う場合には、少数株主保護の観点から市場価格を勘案し価格交渉の上決定しております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当社は決算期変更に伴い、当連結会計年度は13ヶ月の変則決算となっております。このため、前連結会計年度との比較は行っておりませんが、参考情報として前連結会計年度12ヶ月の実績値を記載しております。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度のわが国経済は、雇用・所得環境が改善する中、各種政策の効果もあって、緩やかな回復基調で推移いたしました。一方で国際情勢不安やエネルギー価格・原材料価格の高騰による物価上昇などの影響により、依然として不透明な状況が続いております。
当社グループの事業は、アパートやマンション等の集合住宅を中心にインターネット設備の提供を主なサービスとするHomeIT事業と、企業の社宅管理業務の代行を主なサービスとする不動産事業の2つから構成されております。これらの事業をとりまく外部環境は、以下のとおりと認識しております。
HomeIT事業におきましては、集合住宅市場、情報通信業界の動向を注視しております。
集合住宅市場のうち、新築物件は、インターネット設備の標準化に加え、オートロックやカメラ等の防犯対策の標準化も進んでおり、安心・安全な住まいの需要は、堅調に推移すると見込まれております。既存物件は、入居者の多様化するニーズに合わせた、物件の改修や管理サービスの向上に取り組む動きが進んでおり、これに合わせて高速で安定した通信回線への切替え需要が高まっております。
情報通信業界では、動画配信やIoTデバイスなどのサービスの普及が進むにつれ、国内のデータ流通量の増加は続いており、社会全体のデジタル化が加速する中で、その基盤となる安全で安定した通信インフラの重要性は一層高まっております。
このような環境の下、HomeIT事業につきましては、当社の収益基盤である回線利用料収益を最大化するため、当社の重要指標であるサービス提供戸数の拡大を目指し、OEM提供先企業との連携強化及びサービス品質の向上に注力してまいりました。
不動産事業におきましては、不動産業界の動向を注視しております。
不動産業界では、業界全体でデジタル化に向けた動きが活発になっており、IT技術を活用した業務改善・効率化による生産性向上への取り組みが進んでおります。
このような環境の下、不動産事業につきましては、社宅管理代行サービスの取扱い件数の拡大に注力するとともに、HomeIT事業との連携を強化し、各種サービスの拡販に取組んでまいりました。テナント運営サービスにつきましては、複合施設「LIVINGTOWN みなとみらい」がオープンし更なる認知度と集客力の向上を目指し、複合施設としての価値向上に注力してまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高21,668,636千円(前連結会計年度17,868,583千円)、経常利益3,843,618千円(前連結会計年度2,900,206千円)、親会社株主に帰属する当期純利益2,605,842千円(前連結会計年度1,853,599千円)となりました。
セグメント別の状況は次のとおりであります。
HomeIT事業
HomeIT事業は、集合住宅向けISPサービス、IoTソリューションサービス、ネットワークサービス、システム開発から構成されております。
集合住宅向けISPサービスにつきましては、OEM提供先企業との連携強化により、新たな顧客及び市場の開拓を進め、中規模・大規模集合住宅向けのサービス獲得に注力いたしました。
この結果、新築物件及び既存物件ともにサービス提供戸数を伸ばし、集合住宅向けISPサービスの提供戸数については、前連結会計年度末1,051,604戸に比べ157,918戸増加し1,209,522戸となりました。
IoTソリューションサービスにつきましては、主に集合住宅向けクラウドカメラやスマートロック等のサービスを提供しております。管理物件のセキュリティ強化のニーズを受けて、パートナー企業と連携し、OEM提供先企業や管理会社を中心に販売を強化したことにより、導入台数を伸ばしました。
ネットワークサービスにつきましては、MSPサービスやホスティングサービスは堅調に推移しており、システム開発につきましては、不動産業務支援システム「FutureVision®Plus」の既存顧客への業務支援を中心に新規顧客の開拓に取り組んでまいりました。
以上の結果、売上高は21,262,660千円(前連結会計年度17,680,164千円)となり、セグメント利益は5,380,326千円(前連結会計年度4,266,115千円)となりました。
不動産事業
不動産事業は、社宅管理代行サービス及びテナント運営サービス等から構成されております。
社宅管理代行サービスについては、既存顧客との連携を強化し、運用体制の効率化など、サービス品質の向上を図るとともに、新規顧客の獲得にも注力し、取扱件数の拡大を目指してまいりました。また、提携不動産管理会社の協力により、潜在顧客へのアプローチを強化し、当社の各種サービスの拡販に努めてまいりました。
テナント運営サービスにつきましては、複合施設「LIVINGTOWN みなとみらい」の企画・開発・運営を行っております。同施設は2023年12月に建設が完了し、安定した賃料収入を得られる体制となりました。また、立地環境を生かしたイベント等を実施し、施設の認知度及び集客力の向上に努めてまいりました。
以上の結果、売上高は412,486千円(前連結会計年度180,959千円)、セグメント損失は31,080千円(前連結会計年度セグメント利益12,073千円)となりました。
その他
その他の事業につきましては、人材派遣業を行っております。なお、当連結会計年度において該当する取引はありません(前連結会計年度の売上高は7,459千円、セグメント利益は942千円)。
財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報」に記載のとおりであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは事業の性質上、生産実績の記載になじまないため、記載しておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
HomeIT事業 |
13,166,218 |
- |
23,840,372 |
- |
(注)決算期変更の経過期間となる2024年4月期は、2023年4月1日から2024年4月30日までの13ヶ月決算となっておりますので対前期増減率は記載しておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
|
HomeIT事業 |
21,257,670 |
- |
|
不動産事業 |
410,966 |
- |
(注)1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な販売先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、
下記の表のとおりであります。
3.決算期変更の経過期間となる2024年4月期は、2023年4月1日から2024年4月30日までの13ヶ月決算となっておりますので対前期増減率は記載しておりません。
|
販売先 |
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年4月30日) |
||
|
販売高(千円) |
割合(%) |
販売高(千円) |
割合(%) |
|
|
D.U-NET株式会社 |
7,318,302 |
41.0 |
8,941,787 |
41.3 |
|
大東建託パートナーズ株式会社 |
3,206,840 |
17.9 |
3,591,216 |
16.6 |
|
積水ハウス不動産東京株式会社 |
1,986,238 |
11.1 |
2,030,489 |
9.4 |
|
大東建託株式会社 |
459,822 |
2.6 |
436,409 |
2.0 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の売上高は、21,668,636千円(前連結会計年度17,868,583千円)となりました。営業費用(売上原価、販売費及び一般管理費の合計)は、17,813,950千円(前連結会計年度14,927,930千円)となりました。この結果、営業利益は、3,854,685千円(前連結会計年度2,940,653千円)となりました。
なお、当社グループは、HomeIT事業と不動産事業という2つの事業を営んでおりますが、顧客との契約から生じる収益に関して、HomeIT事業が当社の売上高の99.1%を占め、更にHomeIT事業の中の集合住宅向けISPサービスが当社売上高の96.6%を占めることから、集合住宅向けISPサービスを中心として経営成績等の分析を記載いたします。
当社は、集合住宅向けISPサービス提供戸数を経営上の達成状況を判断するための客観的な指標等として認識しております。
集合住宅向けISPサービス提供戸数は、主要顧客との連携及び営業体制を強化したことにより、累計戸数は順調に増加いたしました。新築物件では、主要顧客においてインターネット設備の標準化が進展したこともあり、安定して受注を伸ばしました。既存物件では、他社からのリプレイスや新規顧客の開拓を推進したことにより、順調に増加いたしました。
また、新たなサービス開発では、高速で安定した通信環境のニーズに対した最大通信速度10Gbpsの集合住宅向けISPサービスの開発・提供を開始し、施工、保守・サポート面についても、安全で最適な通信環境の提供を目指して、顧客満足度向上への取り組みを強化してまいりました。
以上の結果、当連結会計年度(2024年4月末)の集合住宅向けISPサービスの累計提供戸数は1,209,522戸となり、これに伴う同サービスの回線利用料収益の積み上げが当連結会計年度の売上高増加の主な要因となります。
なお、2025年4月末の集合住宅向けISPサービスの累計提供戸数は、当連結会計年度末に比べ14.0万戸増の135.0万戸を見込んでおります。
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|
2020年3月末 |
2021年3月末 |
2022年3月末 |
2023年3月末 |
2024年4月末 |
|
提供戸数 |
564,826 |
745,127 |
900,512 |
1,051,604 |
1,209,522 |
営業費用については、通信機器や回線の調達コスト、施工や保守にかかるコスト、人件費等について、それぞれ説明いたします。
通信機器の調達コストは、集合住宅向けISPサービスの計画をもとに、まとまった数量の一括仕入等の施策により、また、回線の調達コストは、回線仕入業者の見直しを進めることで、調達コスト全体の上昇を抑えてまいりました。なお、通信機器の減価償却費は、通信機器の一部をリースによる調達から自己資金による調達に変更したために減少しております。また、通信機器の一部について販売価格等の改定を行ったため棚卸資産評価損166,995千円を計上しております。
施工や保守にかかるコストについては、外注工事の一部を当社グループ内で行うことや、外注先を固定化することによりコストの上昇を抑えてまいりました。
人件費等については、人材育成、管理運用体制の強化及び業務の効率化の推進など、企業全体の最適化を目指して取り組んでまいりました。
これらの施策の結果、売上高営業利益率は、前連結会計年度は16.5%、当連結会計年度は17.8%となり、1.3ポイント上昇しております。
資産及び負債の主な増減は、次のとおりであります。
現金及び預金は、前連結会計年度末に比べ3,260千円増加し、4,645,481千円となりました。増加の理由については、「② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報」をご参照ください。
売掛金は前連結会計年度末に比べ91,589千円増加し、3,961,861千円となりました。支払手形及び買掛金は同52,847千円増加し、1,485,916千円となりました。これらの増加は、売上高及び機器仕入高の増加に伴うものであります。
賃貸資産は912,805千円増加し、1,178,585千円となりました。これは、前連結会計年度より建設に着手していた複合施設「LIVINGTOWNみなとみらい」及び東京都練馬区の共同住宅の建設完了によるものであります。
リース債権及びリース投資資産は、前連結会計年度末に比べ531,377千円増加し、926,302千円となりました。これは、貸手ファイナンスリース取引の増加によるものであります。
棚卸資産(商品及び製品、仕掛品、原材料及び貯蔵品の合計)は、前連結会計年度末に比べ682,603千円増加し、2,172,502千円となりました。これは、通信機器等の調達コストを抑えるため、まとまった数量の一括仕入等の施策を行ったためであります。
リース資産(純額)は前連結会計年度末に比べ346,508千円減少し359,792千円に、リース債務が同628,077千円減少し706,375千円となりました。これは、前連結会計年度より通信機器の一部をリースによる調達から自己資金による調達に変更したためであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ3,260千円増加し、4,645,481千円となりました。当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果、得られた資金は2,360,683千円となりました。これは主に税金等調整前当期純利益3,841,594千円、減価償却費465,168千円、棚卸資産の増加による資金の減少849,599千円、法人税等の支払額1,074,712千円等によるものであります。
当連結会計年度において、当社は営業活動により獲得した資金を、不動産事業への投資(投資活動によるキャッシュ・フロー)、株主の皆様への還元等(財務活動によるキャッシュ・フロー)に使用しております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果、使用した資金は1,009,074千円となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出1,038,918千円によるものであります。前連結会計年度より建設に着手していた複合施設「LIVINGTOWNみなとみらい」及び東京都練馬区の共同住宅の建設完了に伴う支出と建設中である埼玉県戸田市の共同住宅への支出が有形固定資産の取得による支出の主な要因です。埼玉県戸田市の共同住宅は、総額473,000千円の支出を予定しており当連結会計年度末までの支出は373,530千円となっております。当社は、今後の新たな事業展開や技術革新に対応するため、積極的に投資を行っていく予定であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果、使用した資金は1,348,347千円となりました。
当社は、株主の皆様に安定した配当を実施することを基本方針とし、配当金額を決定しております。当連結会計年度の連結キャッシュ・フロー計算書に計上した配当金の支払額182,282千円は、前連結会計年度における配当金1株当たり12.5円に対するものであります。
また、前連結会計年度に引き続き当連結会計年度においても自己株式の取得を継続的に実施しており、390,804千円を実行いたしました。
金融機関からの資金調達については、1,400,000千円となりました。
また、リース債務の返済による支出として636,927千円を計上しております。これは、通信機器の一部をリース取引により調達していたためですが、当社は前連結会計年度より通信機器を自己資金により調達する方針としたため、支出額は前連結会計年度より67,552千円減少しております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されており、連結財務諸表の作成にあたって採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。
当社グループは、連結財務諸表の作成に際して将来事象の結果に依存するため確定できない金額について、仮定の適切性、情報の適切性及び金額の妥当性に留意した上で、最善の見積りを行っております。
しかしながら、見積り特有の不確実性は避けられず、当社グループの仮定を上回る経営環境の悪化がもたらされる可能性があります。そのような場合には、資産の評価において判断の基礎とした将来の事業計画が実績と乖離することにより、一時の費用又は損失が発生することが考えられます。
a.市場価格のない株式等の減損処理
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」 に記載されているとおりであります。
b.棚卸資産の評価
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」 に記載されているとおりであります。
c.固定資産の減損処理
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。減損の兆候の把握、減損損失の認識の判定及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。
d.繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、将来の事業計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産が増加又は減少し、法人税等調整額が減少又は増加する可能性があります。
④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社の資本政策の方針といたしましては、中長期的な企業価値の向上と持続的な成長のために、財務基盤の強化に必要な内部留保を確保しつつ、積極的な成長投資を可能とする株主資本の保持を基本として、株主に対しては、安定的かつ継続的な利益還元に努めることとしております。
当社グループにおける主な資金需要といたしましては、HomeIT事業における集合住宅向けISPサービス導入にかかる回線、機器の仕入及び外注費であります。
これらの必要資金につきましては、主として内部留保資金及び営業活動により得られた資金を活用しております。また、安定的な財源確保のため金融機関等から資金調達を行っており、今後も継続する方針であります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。