第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは日本の食文化を大切にし、国内で収穫された良質の米を原料として、昔ながらの製法をそのまま独自の技術で再現し、本物の「ごはん」、「餅」を製造し、全国の消費者の皆様に提供することを経営方針として営業活動をいたしております。

当社の社是は『われわれは  誠実と責任とを以って  日々努力を重ね  より品質を高めて  消費者の  信頼に応えよう』というものであります。この社是と日本の伝統を守ることを命題に、常に消費者の立場に立って、消費者ニーズに応える商品提供を行い、業容の更なる拡大と経営管理体制の充実を図るべく、現行体制の改善に取り組んでおります。

 

(2)目標とする経営指標

食品事業における包装餅は季節商品であり、その販売が年末に集中し、連結会計年度の上半期と下半期の業績に著しい変動があります。その季節的変動を極小化すべく、包装米飯の販売拡大に努め、期中を通じて安定的に利益を計上することを目標としております。

 

(3)経営環境

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型ウイルス感染症の5類移行に伴い社会・経済活動の活性化が一層進み、外国人旅行者のインバウンド需要や個人消費に持ち直しの動きがみられました。一方で、不安定な国際情勢による地政学リスクの影響、エネルギー価格の高止まり、人件費や物流費の上昇、金融情勢の変化や原材料価格等の高騰など、先行き不透明な状況が続いております。

食品業界においてもこうした事業環境の影響を受け、商品の値上げの波は収まらず、消費者の節約志向・低価格志向が強まり、依然として厳しい経営環境が続くものと推測されます。

 

(4)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題

当社グループが日本で初めて開発した無菌包装米飯(パックごはん)は、その味はもちろん、利便性や近年では災害時の非常食としても優秀さが認められ、供給する機会やそれに伴うコアなユーザーを着実に獲得しており、それがここ数年の売上にも反映されております。この状況は、国内の米の消費量が年々低下する中にあっても逆に、とどまることなく続いており、パックごはん市場はより一層成長するものと予想しております。

当社グループは、引き続き当社を取り巻く事業環境の変化に対応しつつ収益力を強化することを目的として、パックごはん市場で確固たるブランドを確立した「サトウのごはん」、包装餅におけるトップブランドとしての「サトウの切り餅」、パイオニアブランドとしての「うさぎもち」を柱に、おいしさと利便性を追求した商品の高付加価値化や品質・味・生産量を追求するための成長投資に取り組むとともに、継続的な情報発信により需要創造を図ることで、さらなる企業成長と社会への貢献に向けて取り組んでまいります。

包装米飯においては、2024年2月に聖籠ファクトリーにて新たな生産ラインが稼働したことで、日産20万食の増産体制が整いましたが、今後の需要増加に対応するため、同敷地内に新たな工場を建設することを決定いたしました。新工場は2026年12月の生産開始を予定しており、さらなる生産能力の向上及び生産の効率化によるコストの適正化を図ることで収益力の強化に努めてまいります。

包装餅においては、通年需要の喚起、喫食機会の拡大を目的にテレビCMや動画配信、メーカーコラボ等のプロモーションを効果的かつ積極的に展開してまいります。また、年末に需要が集中する鏡餅につきましては、引き続き受注締日を早期に設定することで、過剰生産や製造現場における人材不足の課題を解消しつつ、環境配慮、フードロス・資材廃棄削減という流通業界全体の課題解決に取り組むとともに、鏡餅の伝統文化継承を持続的に展開できるよう努めてまいります。 

なお、不安定な国際情勢による地政学リスクの影響、エネルギー価格の高止まり、人件費や物流費の上昇、金融情勢の変化や原材料価格等の高騰など、先行き不透明な状況を鑑み、2025年4月期の業績予想につきましては未定とさせていただきますが、今後、業績予想の合理的な算定が可能となった段階で、速やかに公表いたします。 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 

(1)ガバナンス

当社グループは、社会・環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る課題への対応を、重要なリスク管理の一部であると認識し、それまでに培ったノウハウを継承しつつ安定的な企業価値の向上を目指すため、2021年に「サステナビリティ基本方針」並びに「サステナビリティ基本理念」を制定し、サステナビリティマネジメントを推進するにあたり、2024年6月に常務取締役コーポレート担当兼生産本部長を委員長とし、各事業本部を担当する取締役及び執行役員と、関連会社の取締役、並びにその目的に照らし、委員長が適切と認め選任したメンバーで構成される「サステナビリティ推進委員会」を設置しました。

「サステナビリティ推進委員会」は原則として年に1回以上開催し、当社グループのサステナビリティに関するリスク及び機会への識別、評価等の審議・検討を行い、その内容を取締役会に報告を行っていきます。

取締役会は、サステナビリティ全般に関するリスク及び機会の監督に対する責任と権限を有しており、「サステナビリティ推進委員会」で審議・検討をした内容の報告を受け、サステナビリティ全般におけるリスク及び機会への対応方針及び戦略等の承認と監督を行うものとしております。

サステナビリティに関連するガバナンス体制図は次のとおりであります。

 


 

(2)戦略

① 気候変動に関する戦略

気候変動対応に関する方針)

気候変動は、世界各地で異常気象や大規模な災害をもたらすだけでなく、当社グループの主要原材料である原料米(もち米、うるち米)の作況へ関与することにより、原料米の調達価格や調達量へ大きく影響することから、当社グループが取り組む重要な課題として捉えております。

当社グループでは、安全・安心かつ高品質でありながらおいしさと利便性を追求した商品を消費者へ提供し続けることを目的に、人と地球環境を大切にする社会の実現に貢献していきます。

 

(気候変動対応に関する戦略)

気候変動リスクの制御を図るため、当社グループでは環境保全に向け以下のマテリアリティ(重点課題)に沿って、製造過程における品質不良品の発生及び廃棄物削減の強化に繋がる製造工程の最適化に努めております。また、製品パッケージの傷み等で、通常の販売に適さない商品をフードバンクに寄贈して食品ロスの削減に取り組んでおります。加えて、事業活動の全過程において、CO2の排出量削減、資源の再利用推進を通じて地球環境の保護に取り組みます。

 

①食品ロスの削減

・工場工程内の生産ロス削減

・フードバンクの活用

・長期保存が可能な食品の開発

 

②CO2の排出量削減

・太陽光発電による再生可能エネルギーの活用

・工場工程内における廃棄物等の分別

・環境に適した包装資材の開発

 

なお、これらの取り組みは、気候変動リスクの制御だけでなく、当社グループのコスト削減や生産性の向上による利益構造改善の機会と捉えております。現在、「サステナビリティ推進委員会」において、当社グループが目指す方向性及び社会的に求められる事項と照らし合わせて、再度、マテリアリティの特定を行っている状況であり、今後、シナリオ分析の検討を重ね、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)またはそれと同等の枠組みに基づく開示を行ってまいります。

 

② 人材の多様性を含む人的資本に関する戦略

(人材の育成に関する方針)

  性別や国籍など個人の属性に関係なく、その多様な人権を尊重し従業員が共存するとともに、自ら仕事の責任をもって、能力を最大限に発揮できるための人材育成の充実を目指し、持続可能な成長を維持する事を目的として「人材の人財化」の実現に取り組んでおります。

(人材の育成に関する戦略)

・教育研修体制の整備

・人事考課制度の整備

・能力や多様性に合わせた機動的なジョブローテーションの実施

 

(社内環境整備に関する方針)

  自己の能力を最大限発揮できるための人事制度や教育研修体系を整備し、性別のみならず、属性、個々の価値観などの垣根を越えた多様な従業員全員が、やりがいをもって仕事に取り組める職場づくりと、心身ともに健康で安全に働ける社内環境の整備に取り組みます。

(社内環境整備に関する戦略)

・安全・安心な職場づくり

・女性管理職の登用

・多様性のあるキャリア採用による優秀な人財の獲得

・地域限定職への転換制度の導入

・健やかな心と体づくりの推進

 

(3)リスク管理 

当社グループのリスク管理は、「サステナビリティ推進委員会」が行い、サステナビリティ関連のリスク及び機会を識別し、評価し、及び管理するための過程は次のとおりであります。

 

1.リスクと機会を特定・評価するプロセス

サステナビリティ推進委員会は、サステナビリティ課題に関するリスクと機会の識別及び評価を、各主管部署と連携のうえ「発生可能性」「影響度」等の検証を行い評価結果をもとに、対処すべきリスクと機会の優先順位付けを行います。

 

2.リスクと機会を管理するプロセス

サステナビリティ推進委員会で審議を行い、事業継続に影響を与えかねない優先順位の高いリスクと機会については、本部長連絡会、監査役会と情報共有するとともに、リスクの内容と対応策を検討し、少なくとも年に1回以上は取締役会に報告を行います。

 

(4)指標及び目標

① 気候変動に関する指標及び目標

当社グループは、「(2)戦略 ①気候変動に関する戦略」において記載したマテリアリティに基づき、施策や取組を実施しておりますが、具体的な数値の算定、モニタリングに時間を要しており、対外的に開示可能な指数及び目標の設定については、「サステナビリティ推進委員会」にて検討中であり、出来る限り早期に決定すべく取り組んでいるところであります。

人材の多様性を含む人的資本に関する指標及び目標

当社グループでは、「(2)戦略 ②人材の多様性を含む人的資本に関する戦略」において記載したマテリアリティに基づき、施策や取組を実施しておりますが、一部の指標及び目標の策定は「サステナビリティ推進委員会」にて検討中であり、各主管部署と議論を進め出来る限り早期に決定すべく取り組んでいるところであります。なお、連結グループに属する会社で一律に取り組みが行われていない指標及び目標については、提出会社のものを記載しております。

 

項目

指標

目標(2030年4月期)

実績(2024年4月期)

人材育成

教育研修体制の整備(単体)

業務スキルの向上を目的に、安全や品質を中心に社員教育を実施しました。今後、社員の役割に応じた階層別教育体系を計画し、持続的な育成に取り組みます。 

 

人事考課制度の整備(単体)

役割に応じた職務定義を明確にするとともに、職務能力を見える化したスキルに応じた人事考課制度を導入し運用しております。今後も運用課題の識別を行い制度の構築を行います。

 

能力や多様性に合わせた機動的なジョブローテーションの実施 (単体)

人材育成の観点から定期的なジョブローテーションを実施しております。人材の能力やニーズが多様化する中、機動的なジョブローテーションを行い、従業員体験(EX)の向上に取り組みます。

社内環境整備

安全・安心な職場づくり

労災撲滅専任チームを編成し、各工場の視察や外部コンサルタントの巡視監査を通じて、全工場のゼロ災活動を推進しております。また、週次で労災撲滅会議の開催を行い撲滅に向けた対策等の議論を実施しております。 

 

管理職に占める女性労働者の割合

15.0

1.3

 

中途採用比率

 

90.5

 

労働者の男女の賃金の差異

85.0

52.4

 

男性労働者の育児休業取得率

35.0

40.0

 

(注) 当社グループにおける管理職とは、事業目標の達成に向けて管理監督を行う者を対象としており、女性活躍推進法における「課長級」相当を示しております。

 

その他、健康経営を実現するために、定期健康診断の受診率100%の継続、ストレスチェックの定期的な実施、内部通報制度やメンタルヘルスケア体制の整備・周知などを目標としております。

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の概況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 業績の季節的変動

当社グループは、主力製品である包装餅が季節商品(特に鏡餅)であり、その販売が年末に集中するため、売上高及び営業利益は第3四半期連結会計期間の割合が高くなる傾向があります。

なお、当連結会計年度末にいたる1年間の売上高・営業費用(売上原価・販売費及び一般管理費)及び営業利益又は営業損失は、以下のとおりであります。

当社グループの業績

 

売上高

営業費用

営業利益又は
営業損失(△)

金額(千円)

百分比(%)

金額(千円)

百分比(%)

金額(千円)

当連結会計年度の第1四半期連結会計期間

6,919,250

16.2

6,726,366

16.9

192,883

当連結会計年度の第2四半期連結会計期間

9,655,297

22.7

8,861,735

22.2

793,562

当連結会計年度の第3四半期連結会計期間

17,265,826

40.6

15,020,114

37.6

2,245,711

当連結会計年度の第4四半期連結会計期間

8,741,012

20.5

9,316,450

23.3

△575,438

合計

42,581,386

100.0

39,924,667

100.0

2,656,719

 

 

(2) 製品の安全性について

当社グループは、製品の品質及び安全・安心に対する取り組みを経営の最重要課題のひとつと考え取組んでおり、ISO22000:2018を運用するとともに、各製造工程における社内基準検査、製品一個一個の検品体制の確立、トレーサビリティシステムを取り入れた包装米飯の開発に加え、DNA分析装置やシンチレーションサーベイメータ(放射性物質測定器)などの自社分析機器等の導入及び品質管理体制の強化に努めております。

しかしながら、病原性ウィルスの発生及び野菜の残留農薬や放射能汚染等の食品業界全体を脅かすような問題が発生し、当社グループの想定及び会社としての対応を超えた事態が発生した場合は、経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(3) 原材料の価格変動について

当社グループは、包装米飯や包装餅の素材となる原料米(もち米、うるち米)を仕入れておりますが、当社グループの仕入価格は国内の市場動向(作況等)の影響を受けるため、過去の米不作時の経験を生かし仕入価格の変動を極力抑えるよう適切な情報収集及び在庫管理などの対応を行っております。

しかし、原料米は全て国内産米であり、当社グループが予想した範囲を上回るような原料米の市場動向となった場合、経営成績に影響を与える可能性があります。

また、包装資材等は、原油価格及び為替等の変動によって調達価格は変動し、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型ウイルス感染症の5類移行に伴い社会・経済活動の活性化が一層進み、外国人旅行者のインバウンド需要や個人消費に持ち直しの動きがみられました。一方で、不安定な国際情勢による地政学リスクの影響、エネルギー価格の高止まり、人件費や物流費の上昇、金融情勢の変化や原材料価格等の高騰など、先行き不透明な状況が続いております。

 

食品業界においてもこうした事業環境の影響を受け、商品の値上げの波は収まらず、消費者の節約志向・低価格志向が強まり、依然として厳しい経営環境が続くものと推測されます。

しかしながらこのような状況のもと、当社は引き続き、安全・安心に重点をおいた包装米飯及び包装餅製品の安定供給、並びに適正価格での販売に努めることを基本に事業活動を推進してまいりました。具体的には、おいしさの追求はもちろんのこと、消費者の消費動向を捉えながら、拡大する商品需要に対応可能な生産体制の整備を進めるとともに、生活スタイルの変化や消費者ニーズの多様化といった市場変化に対応すべく、「米食回帰・健康維持・多様化をキーワードとした新たな食の創造」を引き続き提案し、全社一体となった営業活動に取り組むことで業績の拡大を図ってまいりました。また、包装米飯及び包装餅の通年需要の喚起を目的とした広告宣伝を継続的に実施することで、喫食機会とブランド認知の拡大に努めており、今後も、「プチ贅沢」、「健康・機能性」、「タイムパフォーマンス(タイパ)志向」などの多様な消費者ニーズに応える商品価値を提案してまいります。

他方、昨今のエネルギー・資源価格の高騰や物流費・人件費等の上昇に対して、業務の見直し、効率化やコストの適正化を図るとともに、機動的に商品価格の改定(包装米飯製品2023年7月1日出荷分、包装餅製品2023年9月1日出荷分より)を行いました。

 

以上の結果、当連結会計年度の売上高は、包装米飯及び包装餅製品ともに主力製品を中心に堅調に推移し、425億81百万円(前年同期比7.3%増)となりました。

利益面につきましては、各種調達価格等の高騰を要因として製造原価の増加があったものの、生産性の向上とコストの適正化による収益性の改善や商品価格の改定を実施し適正利益の確保に努めたことなどから営業利益は26億56百万円(前年同期比18.0%増)、経常利益は30億9百万円(前年同期比15.8%増)となりました。また、各種の税制優遇制度が適用となったことから税負担が減少し、親会社株主に帰属する当期純利益は22億95百万円(前年同期比24.7%増)と、いずれも前年を上回る結果となりました。

 

なお、当社は、ESGに対する社会的な問題意識の高まりを考慮し、年末に需要が集中する鏡餅につきましては、本年度より受注締日をこれまでより早期に設定することで、過剰生産や製造現場における人材不足の課題を解消しつつ、環境配慮、フードロス・資材廃棄削減という流通業界全体の課題解決に取り組むとともに、鏡餅の伝統文化継承を持続的に展開できるよう努めてまいります。また、物流に関しても、運送会社との連携強化により出荷の平準化、人員の最適化を図るとともに、環境負荷の低い輸送手段への変更を行ってまいりました。今後は積載効率、運航効率のさらなる向上を目指し、「2024年物流問題」に対応してまいります。

 

製品分類別の販売動向

当社グループは、食品事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しておりますが、製品分類別における販売の動向は以下のとおりであります。

 

(包装米飯製品)

包装米飯製品は、近年の働き方や暮らし方の価値観の多様化による生活スタイルの変化に伴い、「タイムパフォーマンス志向」のニーズが高まったことで、家庭内での需要が拡大し、ストック及びレンジ調理が可能なパックごはんの販売は堅調に推移しております。また、世界的な穀物の価格高騰を受け、価格が比較的安定しているコメの存在感が高まり、米食に回帰する動きが活発化しております。

これらの消費動向の変化を背景に、まとめ買いニーズへの対応や食物繊維で始めるおいしい新健康生活の提案など様々な販売促進活動により、包装米飯製品の「家庭のご飯に代わる」日常食化に引き続き取り組んでまいりました。

また、さらなる需要喚起を目的に2023年5月より人気お笑いコンビ「オードリー」を起用し「“ふっくら釜炊き”ごはんのおいしさ」を表現した新テレビCM『「釜炊き圧トゥー的」篇』を全国放映しております。

これらの取り組みとともに、1988年の発売当初より「炊きたてのおいしさ」を目指してきた「サトウのごはん」がより多くの食卓に受け入れられ、パックごはん市場で確固たるブランドを確立したこと、さらに、電子レンジ調理などの簡便、時短調理等、家庭内での調理ニーズが多様化する中で、パックごはんが備蓄食だけではなく日常食というポジションに変位してきていることから、売上高が堅調に推移しました。

その結果、包装米飯製品の売上高は261億61百万円(前年同期比11.0%増)となりました。

なお、当社は、聖籠ファクトリー(新潟県北蒲原郡聖籠町)において、2024年2月より新たな製造ラインの稼働を開始しましたが、さらに約80億円を投じて聖籠ファクトリーの敷地内に新たな工場を建設することを決定しました。新工場は2026年12月より稼働を開始する予定であり、稼働開始後は、聖籠ファクトリー全体で日産約60万食のパックごはんを生産することが可能となります。このライン増設及び新工場建設により、商品を市場に安定供給できる体制を構築するとともに、販売体制のさらなる強化を目指し、拡大するパックごはん需要に積極的に対応してまいります。

 

(包装餅製品)

年末に需要が集中する鏡餅を中心に包装餅製品は国内における消費の需要に季節性があり、また、新型ウイルス禍を背景とした内食需要の減退により包装餅市場全体は縮小傾向を見せ始める中、当社は引き続き、「ながモチフィルム」に代表される独自の強みを活かした提案販売や、様々な餅の食し方提案による通年需要の喚起に積極的に取り組んでいます。

切り餅については、「プレミアムライン」、「レギュラーライン」、「トライアルライン」に、普段の生活や行動の範囲内で手を出しやすい、いわゆる“プチ贅沢”需要に対応する「プライムライン」を加え、4つにセグメンテーションされた商品ラインナップを、全国にて展開しています。女優の芦田愛菜さんを起用した、当社のみが個包装に使用している「ながモチフィルム」の特徴(鮮度保持剤なしでつきたての美味しさを24か月保持)を紹介するテレビCMや、「サトウの切り餅いっぽん」のスティック形状を活かした様々な食し方を提案するテレビCMの継続的な放映、及び、人気動画クリエイターとタイアップした動画配信などに積極的に取り組んでいます。

また、人気アニメ「SPY×FAMILY」とコラボした特別企画商品「サトウの切り餅乳酸菌プラスSPY×FAMILYデザインパッケージ全2種」や、料理のトッピングやお鍋の具材として、食べやすい大きさの「サトウの切り餅シングルパックミニ300g」を市場に投入し、新たな顧客層の獲得に取り組んでまいりました。特に「サトウの切り餅いっぽん」及び「サトウの切り餅シングルパックミニ」を中心としたバラエティ商品の売上が好調に推移しており、今後さらなる売上拡大に向けた施策としてテレビCMや動画配信、メーカーコラボ等のプロモーションを効果的かつ積極的に展開してまいります。

鏡餅については、サトウのサッと鏡餅シリーズの新商品として「SPY×FAMILY」とのコラボレーション商品を2023年11月より新たに発売し、年末の最需要期に向けて、新潟発のアイドルグループ「Negicco」を起用した新テレビCM『「ハレバレ!もちもち!」篇』を2023年11月より全国放映し、販売促進を図りました。また、ダウンサイジング化が進む市場動向を踏まえて、「どこでも簡単に飾れる手頃なサイズの鏡餅」をコンセプトとした化粧箱入りの「サッと鏡餅」及び、置き場所を選ばない「小飾り」タイプの品揃えを拡充するとともに、取扱店の拡大に向けて、商品を陳列する際に開封作業を軽減する「簡単!楽ちん段ボール」を採用し、流通各社への提案を進めています。

このような取り組みの結果、当社餅商品全体としては新型ウイルス禍以降も同水準の売上高を維持しており、包装餅製品の売上高は164億1百万円(前年同期比2.0%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末(34億76百万円)に比べ8億11百万円減少し、26億65百万円となりました。

 

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、得られた資金は21億55百万円(前年同期比8億83百万円の収入減少)となりました。

これは主に、税金等調整前当期純利益に、減価償却費等の非資金項目、退職給付に係る資産や売上債権等の営業活動に係る資産及び負債の増減、法人税等の支払額を加減算したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、支出した資金は41億18百万円(前年同期比12億41百万円の支出増加)となりました。

これは主に、有形固定資産の取得によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、得られた資金は11億51百万円(前年同期比4億96百万円の収入減少)となりました。

これは主に、長期借入れによる収入により資金が増加したものの、長期借入金の返済および配当金の支払いにより資金が減少したことによるものであります。

 

 

(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2020年4月

2021年4月

2022年4月

2023年4月

2024年4月

自己資本比率(%)

41.3

46.8

45.3

46.5

47.1

時価ベースの

自己資本比率(%)

59.5

77.8

66.8

64.2

73.2

キャッシュ・フロー対
有利子負債比率(年)

5.3

2.1

7.6

4.7

7.3

インタレスト・カバレッジ・
レシオ(倍)

56.1

134.5

48.4

77.3

30.6

 

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

1  各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

2  株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

3  営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

 

③生産、受注及び販売の実績

イ 生産実績

当連結会計年度の生産実績を製品分類ごとに示すと、次のとおりであります。

製品分類

当連結会計年度

(自  2023年5月1日

至  2024年4月30日)

金額(千円)

前年同期比(%)

包装米飯製品

26,263,554

108.0

包装餅製品

15,998,268

100.8

その他製品

2,537

36.8

合計

42,264,360

105.1

 

(注) 金額は、販売価格によっております。

 

ロ 製品仕入実績

当連結会計年度の製品仕入実績を製品分類ごとに示すと、次のとおりであります。

製品分類

当連結会計年度

(自  2023年5月1日

至  2024年4月30日)

金額(千円)

前年同期比(%)

包装餅製品

407,127

103.9

その他製品

7,741

94.1

合計

414,869

103.7

 

(注)   金額は、実際仕入金額によっております。

 

ハ 商品仕入実績

該当事項はありません。

 

二 受注実績

当社グループは、受注見込みによる生産方式をとっておりますので、該当事項はありません。

 

ホ 販売実績

当連結会計年度の販売実績を製品分類ごとに示すと、次のとおりであります。

製品分類

当連結会計年度

(自  2023年5月1日

至  2024年4月30日)

金額(千円)

前年同期比(%)

包装米飯製品

26,161,673

111.0

包装餅製品

16,401,521

102.0

その他製品

18,192

97.0

 合計

42,581,386

107.3

 

 

(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  2022年5月1日

至  2023年4月30日)

当連結会計年度

(自  2023年5月1日

至  2024年4月30日)

販売実績(千円)

割合(%)

販売実績(千円)

割合(%)

加藤産業㈱

13,065,190

32.9

14,497,186

34.0

三菱食品㈱

8,076,748

20.4

8,765,693

20.6

伊藤忠商事㈱

7,535,755

19.0

7,434,043

17.5

三井物産㈱

5,495,962

13.9

5,817,905

13.7

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

①財政状態の分析

(資産)

当連結会計年度末における流動資産は204億68百万円となり、前連結会計年度末に比べ16億94百万円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が8億11百万円減少したものの、原材料及び貯蔵品が10億39百万円、売掛金が8億57百万円、商品及び製品が3億25百万円、流動資産のその他が2億82百万円増加したことによるものであります。

固定資産は232億69百万円となり、前連結会計年度末に比べ27億71百万円増加いたしました。これは主に建設仮勘定が9億48百万円減少したものの、機械装置及び運搬具が24億74百万円、建物及び構築物が9億14百万円、また、投資有価証券の新規取得及び保有する投資有価証券の時価総額の増加により投資有価証券が5億31百万円増加したことによるものであります。建設仮勘定、機械装置及び運搬具の主な増加、減少要因はいずれも聖籠ファクトリー2号ラインの新設にともなう資産計上によるものです。

この結果、総資産は437億37百万円となり、前連結会計年度末に比べ44億65百万円増加いたしました。

 

(負債)

当連結会計年度末における流動負債は105億30百万円となり、前連結会計年度末に比べ11億87百万円増加いたしました。これは主に未払金が7億85百万円、1年内返済予定の長期借入金が6億16百万円増加したことによるものであります。

固定負債は126億20百万円となり、前連結会計年度末に比べ9億52百万円増加いたしました。これは主に長期借入金の増加によるものであります。

この結果、負債合計は231億51百万円となり、前連結会計年度末に比べ21億40百万円増加いたしました。 

 

(純資産)

当連結会計年度末における株主資本は196億35百万円となり、前連結会計年度末に比べ20億18百万円増加いたしました。増加要因は、親会社株主に帰属する当期純利益22億95百万円であり、減少要因は、剰余金の配当2億77百万円であります。

その他の包括利益累計額は9億50百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億7百万円増加いたしました。これは主に、その他有価証券評価差額金が、保有する投資有価証券の時価総額の増加により前連結会計年度末に比べ3億7百万円増加したことによるものであります。

この結果、純資産合計は205億86百万円となり、前連結会計年度末に比べ23億25百万円増加いたしました。

なお、自己資本比率は47.1%(前連結会計年度末は46.5%)となりました。

 

 

②経営成績の分析

(売上高及び営業利益)

当連結会計年度の売上高は425億81百万円となりました。主な内訳は、包装米飯製品が261億61百万円、包装餅製品が164億1百万円であります。

なお、売上高の概況につきましては、「4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

売上総利益は111億61百万円となり、売上総利益率は26.2%となりました。

販売費及び一般管理費につきましては、当社グループのブランド認知の深化を目的に計画的な広告宣伝活動を行ったことにより広告宣伝費が増加したこと、および売上の増加に伴う物流コストの増加により、85億4百万円(前年同期77億55百万円)となりました。

営業利益は、各種調達価格等の高騰を要因として製造原価の増加があったものの、生産性の向上とコストの適正化による収益性の改善や商品価格の改定を実施し適正利益の確保に努めたことなどから、前連結会計年度と比較し4億5百万円増加26億56百万円となり、営業利益率は6.2%となりました。

 

(営業外損益及び経常利益)

営業外収益は、前連結会計年度に比較し受取配当金及び副産物収入が増加したこと、および省エネルギー投資に係る利子補給金の受給により雑収入が増加したことから5億68百万円となりました。営業外費用は、前連結会計年度に比較し支払利息、固定資産除却損が増加したことから2億15百万円となりました。

以上の結果、経常利益は、前連結会計年度に比較し4億10百万円増加30億9百万円となりました。

 

(特別損益及び税金等調整前当期純利益)

特別利益は、受取保険金の発生があったものの、前連結会計年度に計上していた損害賠償損失引当金戻入額が当連結会計年度は発生していないため、前連結会計年度に比較し46百万円減少35百万円となりました。特別損失は、当連結会計年度は発生しておりません。

以上の結果、税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比較し3億71百万円増加30億45百万円となりました。

 

(法人税等及び親会社株主に帰属する当期純利益)

法人税等合計は、前連結会計年度に比較し83百万円減少7億49百万円となりました。

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、各種の税制優遇制度が適用となったことから、税負担が減少したこともあり、前連結会計年度に比較し4億54百万円増加22億95百万円となり、1株当たり当期純利益は455円21銭となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

④資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの主な資金需要は、原材料費、労務費、販売費及び一般管理費等に係る運転資金と、製造設備の更新・改修等に係る設備投資資金となっており、資金調達については主に銀行等金融機関からの借入により行っております。

短期運転資金については、主に銀行からの短期借入金を基本とし、設備投資や長期運転資金については銀行等金融機関からの長期借入金を基本としております。

なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は157億19百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は26億65百万円となっております。

 

⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

イ 棚卸資産の評価

当社グループでは、棚卸資産の連結貸借対照表価額を収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定しており、期末における正味売却価額が取得原価を下回っている場合には、当該正味売却価額をもって連結貸借対照表価額としております。

当該正味売却価額は、製品種類別に将来の販売時点における見積販売価格から見積販売直接経費を控除して算定しております。なお、販売直接経費は、販売促進費、販売手数料、発送費等の複数の経費項目が含まれており、これらの経費項目は取引条件等によって製品種類ごとに発生有無や発生額が異なるものであります。

見積販売価格及び見積販売直接経費は、期末日時点の市場環境に基づき、将来の販売状況及び取引条件等を仮定して見積もっております。当該見積り及び仮定について、その前提とした状況に変動が生じた場合、正味売却価額の算定結果が異なり、翌連結会計年度以降の損益に影響を及ぼす可能性があります。

 

ロ 固定資産の減損

当社グループが減損損失を認識するかどうかの判定及び使用価値の算定において用いる将来キャッシュ・フローは、経営環境などの外部要因に関する情報や当社グループが用いている内部の情報(予算など)と整合的に修正し、資産グループの現在の使用状況や合理的な使用計画等を考慮し見積っております。

当該見積り及び仮定について、その前提とした状況に変動が生じた場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において減損損失(特別損失)が発生する可能性があります。

 

ハ 繰延税金資産の回収可能性

当社グループは、繰延税金資産の回収可能性について、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断しております。当該判断は、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性、タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性及び将来加算一時差異の十分性のいずれかを満たしているかどうかにより判断しております。

収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性を判断するにあたっては、一時差異等の解消見込年度及び繰戻・繰越期間における課税所得を見積っております。課税所得は、経営環境等の外部要因に関する情報や当社グループが用いている内部の情報(予算など)と整合的に修正し見積っております。

当該見積り及び仮定について、その前提とした状況に変動が生じた場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に影響を与える可能性があります。

 

二 退職給付債務の算定

当社グループには、確定給付制度を採用している会社が存在します。確定給付制度の退職給付債務及び関連する勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定しております。数理計算上の仮定には、割引率、予想昇給率、退職率、死亡率及び年金資産の長期期待運用収益率等があり、長期期待運用収益率の決定については、現在及び予想される年金資産の配分と、年金資産を構成する多様な資産からの現在及び将来期待される長期の収益率を考慮しております。

当該見積り及び仮定について、その前提とした状況に変動が生じた場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に影響を与える可能性があります。

なお、詳細につきましては、「 第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1) 連結財務諸表  注記事項 (退職給付関係) 」に記載しております。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、当社品質保証・商品開発本部商品開発部門および生産本部技術開発部門での、包装米飯および包装餅等の新製品開発や、基礎研究、新規技術開発、新規生産ラインの開発、製品の安全性・生産効率の向上を目的とした技術開発を基本としております。

当連結会計年度の新製品開発における成果として、米飯では、これまで3食パックのみの取扱いとしていた「ゆめぴりか」と「つや姫」に、新たに5食パックを拡充し、巣ごもり需要による「まとめ買い」意識の高まりに対応する商品として発売いたしました。包装餅では、通常サイズの切り餅50gと比較して、そのサイズを20gと半分以下に小さくし、食べやすさを向上させた切り餅「シングルパックミニシリーズ」から、従来の100gに加えて、新たに300gをラインナップに加え、「サトウの切り餅 シングルパックミニ 300g」を発売しました。さらに、アニメ 「SPY×FAMILY」のキャラクターをデザインした特別企画商品「サトウの切り餅 シングルパックミニ300g SPY×FAMILY」を追加しました。また、鏡餅では同様に「SPY×FAMILY」のキャラクターをデザインした「サトウのサッと鏡餅まる餅入り66g SPY×FAMILY」を発売し、ラインナップ充実に取り組みました。

  技術開発においては、包装米飯製造工場、包装餅製造工場ともに既存の生産ラインにおける生産技術の改良に努め、安全・品質・生産効率を向上させる生産設備の更新、導入を積極的に推し進めてまいりました。

  また2024年2月より、聖籠ファクトリー(新潟県北蒲原郡聖籠町)において、新たな製造ラインの稼働を開始しました。これにより、聖籠ファクトリーの生産ラインを1ラインから2ラインへと増強し、当社のパックごはん製造は合計10ライン体制となりました。生産能力は、現在の日産約103万食から123万食、年間では4億食の生産体制へと拡大します。今回の設備投資により、生産効率のより一層の向上と作業負荷の軽減を図り、安心・安全な商品を安定的に市場に供給する、持続可能な生産実現のため、数々の技術開発を行ってまいりました。

基礎研究といたしましては、包装餅の調理性向上の研究、包装米飯の健康訴求における研究、生産性並びに品質向上のための炊飯技術の研究、微生物の挙動の調査や除菌・殺菌技術の研究など食品の安全性に関わる研究、米飯および餅の食味や物性解析に関わる研究等を実施しております。

研究機関との共同研究としては、新潟大学医学部との共同研究として「低たんぱく質食事療法臨床研究プロジェクト」を進めており、慢性腎不全患者の腎機能に及ぼす低たんぱく米飯を用いた食事療法の影響についてデータを得るべく臨床試験を行っております。また、包装米飯および包装餅の新しいメニューや調理方法の提案、それに適した応用研究も継続実施いたしました。

その結果、当連結会計年度における研究開発費は129百万円となりました。