第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

  当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

  なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 1)会社の経営の基本方針

当社は、次の経営理念により、信頼性の高い誠実な企業運営を続けることを基本方針としています。

「商業を通じ消費生活と生活文化の向上に貢献することを基本とする。

 常に最先端の商業、流通技術の運用によって高い生産性と適正な企業業績を維持する。

 世界的視野と人間尊重の経営を基本とし、普遍的な信用、信頼性をもつ誠実な企業運営を続ける。」

 

 2)経営環境

  わが国の今後の経済状況は、インバウンド需要の増加やサービス消費の回復、物価上昇の鈍化と賃上げによる実質賃金の上昇などにより、景気の回復が緩やかに進むと思われます。一方、世界経済では、ウクライナ戦争の長期化によるヨーロッパ経済の停滞、金融引き締めの長期化によるアメリカ経済の悪化、地政学リスクの高まりなど、日本経済にも大きな影響を与える懸念が高まっています。

  小売業を取り巻く環境は、商品面では、社会経済活動の正常化が進み、外出や行楽需要の高まりからトレンドファッションへのニーズが増加しています。また、サプライチェーンにおける環境や人権問題への消費者意識の高まりから、サステナブルファッションの需要が高まっています。価格面では、原材料価格の高騰や円安による商品原価の上昇が続き、販売価格の見直しが進んでいます。販売面では、実店舗とECを融合した販売手法の活用が拡大し、今後も更にオムニチャネル化が加速するものと思われます。

 

 3)目標とする経営指標

当社は、小売業としての適切な営業利益率を10%として意識し、連結営業利益率についても10%が適切と認識して

おります。このためにグループ全体を統合した物流システム、情報システムを基本に調達・運営・組織の高度化を

図り、新しい企業構造への仕組みの構築を進めております。

 

 4)中長期的な会社の経営戦略

当社は、経営理念に基づいた企業運営を行うため、「社員」「お客様」「取引先」「株主」「社会」にとって「いい会社」を造ることを、長期に渡る経営ミッションとして掲げております。また、本業を通じてESG課題にも取り組み、全てのステークホルダーに対して価値を創造することで、持続可能な社会の実現、企業価値の向上を目指していきます。

 ①長期経営計画2030

当社グループでは、長期的かつ持続的な成長を実現するため、2030年2月期に向けた成長戦略として「長期経営計画2030」を策定しています。長期ビジョンのテーマを「日々の暮らしにワクワクを」とし、既存店業績の伸長と積極的な出店により商圏シェアを拡大し、地域のお客様に対して“ワクワク”する商品とサービスを提供することで、日々の暮らしに楽しさをお届けします。「長期経営計画2030」の骨子は以下のとおりです。

a.成長戦略では、事業ポートフォリオの再構築、既存店売上の伸長、新規出店強化と既存店改装の推進、EC事業の

  拡大による売上向上と事業規模の拡大を図り、新たな海外展開も含めた新規事業の研究も進めます。

b.基礎と基盤の強化では、労働力不足への対応や人事労務制度の見直しを進め、教育体系も改善します。また、デ

  ジタル化の推進により業務効率を改善し、物流網の再構築も進めます。

c.資本政策では、店舗・商品センターや人的資本への成長投資を継続し、長期的・安定的な株主還元と適正な規模

  の内部留保を継続します。

d.ESG活動では、プラスチックごみの削減や環境に配慮したサステナブル商品の開発を推進し、サプライチェーン

  の環境・人権配慮も強化します。また、社員のダイバーシティ推進とガバナンス体制の更なる強化も図ります。

  これらの戦略のもと、2030年2月期に国内売上高8,000億円以上、営業利益率10%、ROE8.0%程度の実現を目指

  します。

②中期経営計画2027

 当社グループでは、長期ビジョンの実現に向けて、2025年2月期から2027年2月期までの3ヵ年を対象とした新中期経営計画を策定しました。2027年2月期に当社グループで、売上高7,190億円、営業利益高660億円、営業利益率9.2%を目標とします。基本方針は「ネクスト・チャレンジ(成長への挑戦)」とし、社員全員の創意工夫で様々な課題に挑戦し、当社グループの強みを更に強固なものとします。また、既存店業績の伸長と積極的な出店により事業規模を拡大し、効率的な運営で収益性を高めます。

 

 5)会社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

2024年度のグループ統一テーマは“ネクスト・チャレンジ 1st『当たり前を改める』”とし、全ての「当たり前」という考え方を改めていきます。商品の作り方や売場の見せ方はもちろん、組織や人材育成、システムや用地開発など全ての部署で新たなチャレンジに取り組んでいきます。

①重点課題

a.商品力の強化

  ヒット商品の開発、自社ブランドと企画商品の進化によるブランド力向上を図ります。また、ラインロビングの

  推進により新規顧客の獲得に繋げ、データ分析の高度化による商品開発力を強化します。

b.販売力の強化

  販促手法の多様化とデジタル化を推進し、地域特性に応じた商品・売場・販促を最適化します。また、接客技術

  の向上と買い易い売場作りにより販売力を強化します。

c.基礎と基盤の強化

  DXによる店舗オペレーションを再構築、および本社業務の合理化による労働生産性の向上を図ります。店舗開発

  では、都市部への出店強化と既存店のリロケーションやファッションモール形式での出店を拡大し、収益性の高

  い新店開設を進めます。商品調達では、生産国見直しと貿易部活用によるサプライチェーンの再構築を進めま

  す。人材育成では、働きやすく、働きがいのある「いい会社」を実現するための人材戦略を推進します。ESG課

  題への取組みでは、本業を通じた持続可能なESG活動を推進します。また、EC事業と思夢樂事業の拡大を図ると

  ともに、新規海外事業の研究に取組みます。

②主力のしまむら事業

20代から60代の女性とその家族をターゲットとするしまむら事業では、お客様が気軽に楽しく選んで頂ける品揃えと売場を進化させます。商品力の強化では、PB(Private Brand、以下PB)とJB(Joint Development Brand、以下JB)は高価格帯商品を拡充します。PBでは、商品開発手法を見直し、より大きな売上となるヒット商品の開発を目指します。JBでは、ブランドの見直しや新規ブランドの立上げを行います。

販売力の強化では、陳列・演出・販売技術を更に向上させ、PB・JB売場の高度化を実現し、良い商品をより良く見える売場を作ります。顧客管理システムを活用したデジタル販促を強化し、既存店の売上向上に繋げます。

2024年度は、14店舗の開店と9店舗の閉店を予定し、年度末には1,420店舗とする予定です。

③アベイル事業

   10代から40代の男女をターゲットとするアベイル事業では、トレンドからベーシックまで幅広く旬な品揃えを提供

   するため、JBを中心に商品の企画・デザイン・品質をレベルアップします。JBでは、トレンド提案の強化により認

   知度向上に繋げます。また、ラインロビングによる取扱商品の拡大により、新規顧客の獲得に繋げます。

   2024年度は、5店舗の開店と3店舗の閉店を予定し、年度末には314店舗とする予定です。

④バースデイ事業

   「ベビー・子供用品の総合専門店」として国内№1を目指すため、専門店として出産・育児用品の品揃えを最適化

   し、ブランド力の向上に繋げ、消費者ニーズに合わせた商品開発の推進と認知度向上を図ります。また、デジタル

   販促の強化や、EC取扱い商品の拡充により、オンラインストアから店舗への送客の更なる拡大を図ります。

   2024年度は、16店舗の開店と3店舗の閉店を予定し、年度末には337店舗とする予定です。

⑤シャンブル事業

   10代から60代の女性をターゲットとした「雑貨&ファッション」の専門店であるシャンブルは、アウター衣料のJBを新規に立ち上げるとともに、既存JBを強化することで新規顧客の獲得に繋げます。また、ブランドコスメの展開を開始し、ギフト好適品や新規キャラクター商品の開拓を進めます。

   2024年度は、5店舗の開店を予定し、年度末には123店舗とする予定です。

⑥ディバロ事業

   「足元を含めた着こなし提案の店」として、20代から50代の女性およびその子供と男性をターゲットとした、「靴&ファッション」の事業として展開し、2023年度は新モデル店舗の2号店を出店しました。2024年度はアウター・服飾・靴のトータルコーディネートを意識した品揃えを推進し、オリジナル商品の拡大を進めます。

   2024年度は、開閉店の予定はなく、年度末には16店舗とする予定です。

⑦EC事業

   2020年度に実店舗との相互送客を主目的とした新たな販売チャネルとして、しまむら事業のオンラインストアを開設し、その後、バースデイ、アベイル、シャンブル事業へ取扱いを拡大しました。2023年度は各事業の品揃えを改善し、受注生産の拡大による売上の安定化を図りました。2024年度は、品揃え、予約販売、ECサプライヤー納品の更なる拡大を図ります。また、ECセンターのシステム改善やささげ業務(撮影・採寸・原稿作成)の内製化による効率化を進めます。

⑧思夢樂事業

   台湾全域で店舗を展開する思夢樂は、20代から60代の女性とその家族をターゲットとした総合衣料の専門店とし

   て、日常生活で必要なソフトグッズがお客様の欲しい時に必ずある店舗の実現に向けて、事業の再構築を進めてい

   ます。2024年度は、思夢樂オリジナル商品の拡大とラインロビングの強化を行います。

   販促では、デジタル販促の高度化により客数の拡大に繋げます。また、店舗レイアウトの再構築、陳列什器の開発

   による陳列方法の確立を進めます。

   2024年度は、3店舗の開店と1店舗の閉店を予定し、年度末には44店舗とする予定です。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方や取り組みは以下の通りです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

1)サステナビリティ全般

当社グループは、本業を通じて持続可能な「しまむら流のESG対応」を推し進め、「社員」「お客様」「取引先」「株主」「社会」にとって「いい会社」を造ることで、企業の持続的な成長を目指します。

①ガバナンス

a.取締役会の役割

当社グループのESGに関する方針は、取締役会の諮問機関である経営計画策定委員会で審議したうえで、取締役会で決定しています。当社はESG課題を経営課題と捉えており、経営計画について議論を行う経営計画策定委員会でESG課題についても審議しています。経営計画策定委員会の委員は、取締役全員の計9名です。

取締役会は、年2回以上、各部門やESG推進チームで取り組んだ内容と結果について報告を受け、それをモニタリングし、監督しています。さらに、ESGに関する経営戦略、経営計画等の重要な事項について決定を行っています。

b.グループ経営会議の役割

取締役会で決定された方針は、各部署に伝達され、それぞれの部署方針に組み込んでいます。また、部署を超えて取り組むべき方針については、執行役員が参加するESG推進チームで審議したうえで、各部署と連携して取り組んでいます。

c.サステナビリティ(ESG)推進体制

当社グループは、サステナビリティ方針の基本的な考え方に沿って、ESG課題に対して持続的な活動を行っています。ESG課題に対するテーマ設定や課題への解決プロセス、数値目標などについては、経営計画策定委員会で審議し、取締役会で決定します。

その後、決定された目標に対して、執行役員及び社内各部署が横断的に連携するESG推進チームを設置し、月1回の定期ミーティングで、課題に対する進捗報告や問題提起等を行っています。

ESG推進チームの活動内容については、ESG対応部署である企画室が進捗管理を行い、毎月社長へ報告されます。また、年2回以上、取締役会または経営計画策定委員会へ報告しています。

0102010_001.png

 

②戦略

当社グループは、持続可能な社会の実現のため、サプライチェーンの各段階における「環境」「社会」「ガバナンス」の諸問題を重点課題と捉え、その課題解決に向けて取り組んでいます。当社グループの経営理念や経営ミッションは、国連の提唱するSDGsの目標に通じており、企業活動や課題解決に向けての取組みがSDGsの達成にも貢献すると考えています。SDGsの17の目標の内、9の目標について、特に関連性が高いと考え、6つをサステナビリティ重点課題に組み込んでいます。

サステナビリティ重点課題

SDGsの目標

環境

サーキュラーエコノミーの推進

11、12、13、14、15

GHG排出量の削減

持続可能な調達

社会

多様な人材活躍

5、8、11、16、17

衣料品インフラの役割強化

ガバナンス

ガバナンスの進化

16、17

 

③リスク管理

当社グループでは、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識しているリスクについては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しています。なお、気候変動に関するリスクと機会については、「2)気候変動への取組み ②戦略 b.特定した気候変動に関する主なリスクと機会」に記載しております。

 

④指標と目標

2030年2月期までの長期目標、2027年2月期までの中期目標、2023年度の数値実績は下記のとおりです。

重点課題

取組み事項

2023年度

数値実績

長期目標2030

中期目標2027

サーキュラー

エコノミーの推進

プラスチックごみの削減

ハンガーの完全循環型リサイクル比率75.0%

(注)1

60.1%

ビニールの完全循環型リサイクル比率50.0%

(注)2

GHG排出量の削減

商品廃棄ゼロの継続と進化

商品廃棄ゼロの継続 (注)3

商品廃棄ゼロ

GHG排出量の削減

GHG排出量(Scope1,2)2013年度比60.0%削減

55.8%

(注)7

持続可能な調達

サステナブル商品の開発と

販売促進

サステナブル商品の仕入比率40.0%

(注)4

35.3%

(注)8

サプライチェーンの人権尊重

サプライヤーCoC遵守体制の継続と強化

多様な人材活躍

ダイバーシティの推進

女性管理職比率23.0% (注)5

17.6%

障がい者雇用率5.0%

4.78%

衣料品インフラの

役割強化

衣料品インフラの役割強化

(主に買い物弱者への対応)

売上計画1.3億円 (注)6

出張販売の実施

買い物ツアーの受け入れ実施

オンラインストアの拡大

ガバナンスの進化

成長戦略・資本政策の継続的な審議と実行

リスク管理の継続と進化

後継者の育成

取締役会の多様性と適正規模の確保

(注)当社グループにおける主要な事業を営む提出会社の状況を記載しております。

(注)1.商品に付属する当社指定色のプラスチックハンガー

2.納品時に使用している商品保護用透明ビニール(ポリプロピレン素材)

3.当社は、今も商品廃棄ゼロ。今後も継続します。

4.全事業のPB商品

5.主幹級以上の女性管理職比率

6.出張販売、買い物ツアーの合算の売上

7.GHG排出量の削減率は、2022年度実績。

8.しまむら事業PB「CLOSSHI」

 

2)気候変動への取組み

当社グループは、気候変動への対応を重要な経営課題であると考えており、温室効果ガス削減のために独自の合理的な取組みを推し進めています。そのうえで、ESG投資を行う機関投資家などが適切な投資判断を行えるよう、TCFD提言に賛同し、TCFDの4つの開示項目に沿ってその取り組みを開示しています。

なお、気候変動への取組みについては、当社グループにおける主要な事業を営む提出会社の状況を記載しております。

 

①ガバナンス

第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 1)サステナビリティ全般 ①ガバナンス」に記載しています。

 

②戦略

a.シナリオ分析の実施

気候変動リスクには、政策や法規制の変化などがもたらす「移行リスク」と、自然災害の増加による資産の損害といった「物理的リスク」があります。当社は、気候変動に関する主なリスクと機会が事業へ与える影響を特定し、対応戦略を立案するために、シナリオ分析を行いました。なお、シナリオ分析は、下記のプロセスで行っています。

経営企画及びESGを担当する企画室がシナリオ分析を行います。

企画室から取締役会へシナリオ分析結果を報告します。

取締役会で審議されたうえで、決定します。

 

ア.シナリオ分析の前提

・使用したシナリオ

 

国際エネルギー機関(IEA)

WEO 2021

気候変動に関する政府間パネル

(IPCC)第6次評価報告書

脱炭素シナリオ

(1.5℃~2℃)

NZE(実質排出量ゼロシナリオ)

SDS(持続可能な開発シナリオ)

SSP1-1.9,SSP1-2.6

温暖化進行シナリオ

(2.7℃~4℃)

STEPS(公表政策シナリオ)

SSP3-7.0,SSP5-8.5

 

・分析対象

国内事業(株式会社しまむら)

・想定した時期

短期

~2024年2月(中期経営計画の期間)

中期

~2030年2月(長期経営計画の期間)

長期

~2050年

イ.シナリオ分析で想定した世界観(シナリオで想定する気温は、2100年までの平均気温の上昇。)

脱炭素シナリオ

(1.5℃~2℃)

法規制

脱炭素に向けて、炭素税や厳しい法規制が課される。

エネルギー価格

化石燃料から再生可能エネルギーへの転換が進み、電力価格が上昇する。

自然災害

短~中期では、自然災害が頻発・激甚化する。

長期では、温暖化シナリオに比べて、自然災害の激甚化に歯止めがかかる。

温暖化進行シナリオ

(2.7℃~4℃)

法規制

現行の法規制が継続し、炭素税が導入された場合も影響は軽微。

エネルギー価格

化石燃料への依存が継続するため、原油価格が上昇する。

自然災害

長期になる程、自然災害が頻発・激甚化する。

脱炭素シナリオに比べて、発生頻度・被害が大きい。

b.特定した気候変動に関する主なリスクと機会

分類

重要な変化

(発生時期)

内容

影響度

1.5~2℃

2.7~4℃

移行

リスク

炭素税の導入や、

GHG排出規制

(短~長期)

増税やエネルギー価格の上昇で、原材料価格・物流費が上昇することによる、商品調達コスト増加

非常に

大きい

大きい

増税やエネルギー価格の上昇による、光熱費等の店舗・商品センター運営のコスト増加

非常に

大きい

大きい

環境負荷の高い素材等への法規制に伴い、原材料・包装資材等の変更による、商品調達コストの増加

非常に

大きい

大きい

移行

機会

顧客行動の変化

(短~長期)

消費者のサステナビリティへの意識の高まりに伴う、サステナブル商品の販売機会の増加

非常に

大きい

大きい

物理的

リスク

平均気温の上昇

(長期)

農作物収穫量が減少することによる、商品調達コストの増加

大きい

非常に

大きい

夏期が長くなり、冬期が短くなることに伴い、冬物商品の購買動機が縮小することによる販売機会の喪失

大きい

非常に

大きい

降水量の不安定

(短~長期)

農作物収穫量が減少することによる、商品調達コストの増加

大きい

非常に

大きい

台風・豪雨による

自然災害の増加

(短~長期)

被災地の店舗の営業休止による販売機会の喪失

大きい

非常に

大きい

被災地の商品センターの営業休止による、商品供給体制の寸断

大きい

非常に

大きい

被災地の建物被害による、店舗・商品センターの修繕コストの増加

大きい

非常に

大きい

c.当社への財務インパクト(2050年を想定)

炭素税導入

脱炭素シナリオ

(1.5℃~2℃)

3,365百万円

・炭素税250US$/t-CO2(NZE)

・当社GHG排出量(2022年度・Scope1,2):99,394t-CO2

温暖化進行シナリオ

(2.7℃~4℃)

1,211百万円

・炭素税:90US$/t-CO2(STEPS)

・当社GHG排出量(2022年度・Scope1,2):99,394t-CO2

災害による損失

脱炭素シナリオ

(1.5℃~2℃)

104百万円

・産業革命前と比べて災害発生率1.5倍

(SSP1-1.9,SSP1-2.6)

・当社災害による損失(2013-2022年度平均):90百万円

温暖化進行シナリオ

(2.7℃~4℃)

187百万円

・産業革命前と比べて災害発生率2.7倍

(SSP3-7.0,SSP5-8.5)

・当社災害による損失(2013-2022年度平均):90百万円

 

d.対応戦略

重要なリスク・機会

対応策

商品調達コスト増加

・生産国やサプライヤー(=メーカーや商社など商品の仕入れ先。約600社)の多様化・分散化によるリスク分散

・サプライヤーとの連携により、素材(原材料)が調達できなくなる場合への早期対策(素材の早期予約や、代替素材への変更等)の実施

物流コスト増加

・物流の効率化(商品センターの自社運営、自社共同配送、直接物流、モーダルシフト)

光熱費増加

・電力使用量削減のための設備導入(照明のLED化、省エネ型空調機への入替等)

・サステナブル店舗の開発(省エネ設備の導入、遮熱塗装、断熱材の増加等)

サステナブル商品の

販売機会の増加

・サステナブル商品の開発・販売の強化

冬物商品の

販売機会の喪失

・トレンド商品やキャラクター商品等の企画・提案力の強化により、天候や気温以外の購買動機を創出

店舗の営業休止による

販売機会の喪失

・多店舗展開によるリスク分散(約2,200店舗)

・営業復旧のための体制や実施策について記載したBCP(事業継続計画)の運用

商品センター営業休止に

よる商品供給体制の寸断

・災害時の配送ルート等、体制や実施策について記載したBCP(事業継続計画)の運用

建物被害による

修繕コストの増加

・建物復旧のための体制や実施策について記載したBCP(事業継続計画)の運用

・店舗開発時にハザードマップ等を確認したうえでの出店

・浸水が予想される店舗へ止水シート設置等の災害対策を実施

 

③リスク管理

当社グループでは、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識しているリスクについては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。

 

④指標と目標

当社は、気候変動によるリスクを評価・管理する指標として、温室効果ガス排出量(Scope1、2、3)を算定しています。

a.2022年度のGHG(Greenhouse Gas:温室効果ガス)排出量

ア.Scope1、2

(単位:t-CO2

 

年度

2013

2022

Scope1

2,899

775

Scope2 ロケーション基準

180,956

96,170

Scope2 マーケット基準

163,883

98,619

・範囲

Scope1:灯油・ガス等のエアコン燃料、商品センターのフォークリフトの燃料、社有車のガソリン使用量

(2020年度以前は社有車のガソリン使用量を含んでいません)

Scope2(ロケーション基準):店舗・商品センター・本社の使用電力量×全国平均係数

Scope2(マーケット基準):調整後排出係数(省エネ法の特定事業者定期報告書、Scope1除く)

イ.Scope3

当社は、Scope3の15カテゴリのうち、どのカテゴリが重要であるか特定するために、Scope3の算定を行いました。なお、算定方法は、サプライチェーンに関連する企業が多い(商品の一次サプライヤーのみで約600社)ため、積み上げ式(サプライチェーンの関連取引先への聞き取り調査)ではなく、環境省排出原単位データベースやIDEAv2から引用した排出原単位と支出額等を用いた簡易的な算定方法を用いています。

気候変動の詳細な情報については当社ウェブサイトをご参照ください。

(URL:https://www.shimamura.gr.jp/sustainability/environment03.html)

 

b.目標

当社は、気候関連リスク・機会を管理するために、GHG排出量(Scope1、2)、余剰在庫の廃棄量(廃棄ゼロ)、当社指定色ハンガーの完全循環型リサイクル比率、当社指定ビニールの完全循環型リサイクル比率、サステナブル商品の仕入比率の目標を定めており、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 1)サステナビリティ全般 ④指標と目標」に記載しています。

なお、気候変動評価の指標にはこの他に水や土地などがありますが、当社は小売業であり、水や土地の汚染への影響が小さいため、評価指標の対象にしていません。

 

3)人的資本・多様性

当社グループは、社員一人ひとりが長きにわたる人生において、仕事を通じて自己実現を図ると共に、日々の暮らしを安定させ、充実した社会生活を送ることができるよう、労働条件や職場環境の整備に努めることを社員に対する経営ミッションとしています。人的資本への投資を通じて社員一人ひとりの成長を促すことで、生産性や付加価値の向上などの成果を発揮し、当社の持続的な成長を目指します。

なお、人的資本・多様性については、当社グループにおける主要な事業を営む提出会社の状況を記載しております。

 

①ガバナンス

第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 1)サステナビリティ全般 ①ガバナンス」に記載しております。

 

②戦略

a.人材育成方針

当社は、人的資本への投資を通じて社員一人ひとりの成長を促すことで、生産性や付加価値の向上などの成果を発揮し、当社グループの持続的な成長を目指します。

ア.人材育成

当社の社員の成長には、現場経験やOJTを通じた知識や技能の習得に加え、Off-JTにより当社の社員として必要な基礎知識や考え方、倫理観を学び、人材育成の土台を築くことが重要です。これらの人材育成制度により、会社の考えや理念、業務の目的、自身の存在意義などを再確認し、個々の意欲向上にも繋げます。

・M社員制度

当社の従業員の8割以上がM社員(パート社員)です。M社員制度は、店舗で働くパート社員のために作られた制度です。これは、能力があるもののフルタイムで働きにくい主婦層を想定し、高い処遇と家庭生活を両立できる時間シフト制を取り入れた当社独自の制度です。高い能力のM社員と、マニュアルに基づいた店舗運営により、店長1名とM社員6~10名程度という少人数での店舗運営を実現しています。

・店長昇進制度

当社では、M社員の中から有能な人材を店長(正社員)として登用しており、現在の店長の約7割がこの制度から誕生しています。店長昇進後はその上位職に当たるブロックマネージャーや他の職種にも挑戦でき、社員本人の働きやすさと成長を両立した制度です。店長昇進の目標を持つことで、仕事へのモチベーションが上がり、社員一人ひとりの能力向上だけでなく会社の成長にも繋がっています。

・適性に応じた職場配置

当社では積極的な大卒採用を継続的に行い、管理職への登用を行っています。正社員の人事は、入社10年以下は仕事のポストを短期間で変えるジョブローテーションを基本とし、その後は適性のある部署に5年以上所属し、スペシャリストを養成します。ジョブローテーションにより、様々な部署で広い視野と知識・業務スキルを身につけ、常にチャレンジ精神を持ち続ける有能な人材へ成長することが出来ます。

・公平な人事評価

全社員が会社の方針を理解し、直属上司の指示・命令のもとで最高の成果を得るために、そして全社員が能力を充分に発揮するために、公平な人事考課制度を定めています。また社員には、常に広い視野に立って新しいあるべき流通業の姿を求め、自己育成することによって質の高い業務を遂行し、良い業績と社業拡大によって社会的役割を果たすことを期待しており、その結果として賃金を公平に支払うための給与規程を定めています。

・Shimamura Women's empowerment Curriculum (しまむら女性活躍カリキュラム)

当社では、2023年度から女性が活躍できる環境作りの一環として、女性管理職の能力向上を目的とした「しまむら女性活躍カリキュラム」を実施しています。マインドセットプログラムとスキルアッププログラムを通じて、モチベーションの向上や、上位職を目指すうえで必要なスキルの習得を行い、女性管理職の能力向上を行っています。

 

イ.教育制度

当社の教育は、教育全般を階層と内容で分類し、社員を職位や職務に応じて体系的に育成し、所属部署や役割に応じた能力を十分に発揮し、自発的に行動できる社員を育成します。社員が成長するためには、社員一人ひとりの能力開発(自分の能力を自発的に開発する活動)が必要不可欠です。社員が自発的に学習する意欲の向上を図るため、教育を提供し社員個人の能力開発を側面から促進していきます。

・階層別教育(新入社員教育、若手社員研修、中堅社員研修、主幹研修、部長研修)

正社員を対象として階層別教育を実施し、社員全体の能力向上につなげます。

・部署別教育

各部署の業務目的達成に向け、部員がより専門性の高い知識や技術を身に付け、業務遂行能力を高められるように部員能力の底上げを図ることを目的として部署別教育を実施します。部署によって様々な業務内容があるため、各部署教育で業務の基本的考え方や仕事の進め方、業務をする上で必要となる専門的な知識を学びます。

・自己啓発支援

通信教育と資格取得支援制度(正社員のみ)により、社員の自発的な学びの機会を設けます。

ウ.ダイバーシティ

当社は、年齢、性別、雇用形態、障がいを持つ方など多様な生活背景を持つ社員がいます。その社員一人ひとりが能力を発揮し、それぞれの職場で活躍し、新たな価値観を創出できる環境をつくることで企業の持続的な成長に繋げます。

・女性活躍推進

当社は、全従業員の約9割が女性であり、女性活躍推進を重要な取組みと位置づけております。女性の管理職が一層活躍できるよう、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を策定しており、2024年2月現在、課長相当職以上の女性管理職比率17.6%と向上しております。またESG推進チーム内にダイバーシティ推進チームを作り、目標達成に向け各種施策を展開しています。

・障がい者雇用

ダイバーシティ社会の実現を目指し、障がい者の雇用を継続しています。2024年2月現在、831名の障がいのある社員が働いており、法定雇用率を上回る4.78%の雇用率となっております。また当社は、積極的に障がい者雇用を行っており、障がいのある社員の採用や勤務内容等のサポートができる体制を整えています。2021年度より、障がい者採用を担当するブロックマネージャーには「障害者職業生活相談員」取得を推奨しており、2024年2月現在、331名の社員が「障害者職業生活相談員」を取得しています。

・継続雇用

60歳で定年退職を迎えた社員が希望した場合、嘱託社員として満65歳まで継続雇用しています。65歳を迎えた嘱託社員が、さらに継続雇用を希望する場合は、健康状態や就労意欲・能力を上司が評価し、会社が承認した場合に満70歳まで継続雇用します。

b.社内環境整備

当社は、社員一人ひとりが長きにわたる人生において、仕事を通じて自己実現を図ると共に、日々の暮らしを安定させ、充実した社会生活を送ることができるよう、労働条件や職場環境の整備に努めることを社員に対する経営ミッションとしています。

ア.ワークライフバランス

当社は、社員全員が性別に関係なく、仕事と家庭を両立しながら働きがいのある職場環境の実現のために、様々な取組みを行っています。

・育児休業・介護休業

当社は、社員が仕事と育児・介護を両立しながら働く社員を支援する制度を整えています。

・再雇用制度(正社員のみ)

管理職勤務年数が満3年以上あり、結婚・出産・育児、介護または配偶者の転勤を事由に退職する正社員は、退職時に予め申込みをする事で、退職後10年の間、再雇用制度を利用することができます。

 

イ.労働安全衛生

全ての職場で、社員が安全で安心して働ける環境を作ることは、当社を継続的に発展させる上で、重要な基盤となります。法律に基づいて、衛生推進者、安全衛生推進者を選任し、労働災害を防止し、社員が健康で安心して働ける環境、お客様に満足して頂ける清潔な環境を維持します。

・衛生委員会・安全衛生委員会

全ての職場において社員が健康で安心して働ける労働環境の維持に取り組んでいます。毎月、衛生委員会・安全衛生委員会を開催し、衛生管理者や産業医を中心に、健康管理や労働災害防止等について調査審議しています。

・労働災害防止

経営会議で月に1回、担当執行役員が労災発生事例の報告を行い、執行役員全員で労災防止について情報共有と対策を協議しています。また、毎月開催の店長会議で全店長が労災事例を情報共有し、店長が店舗社員へ動画を使用して労災事例を説明するなど、社員全員で労災発生の予防に努めています。

・長時間労働管理・ストレスチェック

過労やストレスが原因の疾患やメンタル不調などを防止するため、産業医による長時間労働の管理とストレスチェック制度を設けています。

 

③リスク

人的資本に関するリスクを当社は認識しており、対策を講じております。詳細については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

④指標及び目標

取組み内容

項目

 

2023年度実績

2024年度目標

人材育成に関する取組み

1人あたりの平均研修時間 (注)1

 

34.0時間

37.6時間

1人あたりの平均研修費用 (注)1

 

50,665円

53,000円

多様性に関する取組み

女性管理職比率 (注)2

 

17.6%

20.0%

女性新卒採用比率

 

58.7%

社員全体に占める女性比率

 

93.7%

障がい者雇用比率

 

4.78%

5.00%

ワークライフバランスに

関する取組み

平均有給休暇取得率

全社員

73.3%

80.0%

平均有給休暇取得日数

全社員

11.5日

育児休業復帰率

全社員

95.0%

100.0%

育児休業取得率

女性全社員(注)3

96.5%

100.0%

男性全社員

(注)4

48.7%

100.0%

労働安全衛生に関する取組み

休業災害度数率

 

1.48

(注)1.パート・アルバイトは除く

2.主幹級以上の女性管理職比率

3.女性全社員の育児休業取得率は「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

4.男性全社員の育児休業取得率は「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識しているリスクに対して、当社グループは下記の方針や体制で取り組んでいます。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

1)基本方針

①基本的考え方

・当社グループは、リスクを「目標達成を阻害する要因」と定義し、気候変動や社会情勢の変化などの「外部環境リスク」、商品調達や物流などに関する「事業活動リスク」、人的資本や情報管理に関する「経営基盤リスク」の大きく3つに分類します。これらのリスクは多様化と複雑化が進んでおり、その内容によっては企業活動へ大きな影響を及ぼします。これらのリスクを回避または発生時の損失を最小化するために、リスクを事前に把握し、企業活動への影響度に応じて分類し、リスクレベルに応じて優先度を付けて防止策を計画、実行します。

・当社グループは、リスク管理を経営の重要課題と位置付け、持続的な事業活動による企業価値の向上と人命・財産の保護を目的に、リスクの未然防止と低減に取り組みます。

②行動指針

・リスクの把握と未然防止に努め、事業の継続を図ります。

・事態が発生した場合には、人命の安全確保を最優先とし、経営資源の保全を図ります。

・被害が生じた場合には、迅速な対応と復旧を図り、商品・サービスの安定供給に努めます。

・ステークホルダーの安全と利益を損なわないように活動します。また、社会的要請をリスク管理に反映します。

・取締役と執行役員はリスク管理を率先垂範し、社員のリスク管理対応能力の向上に努めます。

 

2)リスク管理の職務分掌と体制図

①取締役会

リスク管理規程およびリスク管理の基本方針を決定し、リスクの未然防止と有事に適切な対応ができる体制を整備します。年1回以上、本規程の運用状況を評価し、その結果に応じて執行役員への指示や本規定の見直しを行います。

②執行役員

取締役会が決定した基本方針に基づき、担当部署に関するリスクの対策立案と管理体制の整備・運用を行います。

また、リスク管理の状況や新たに生じたリスクとその対応について、取締役会および経営会議へ報告します。

③部署長

自部署におけるリスク管理を適切に実施します。

④企画室

リスクの把握と分類、分析を行い、執行役員が立案する対策を取り纏めて取締役会へ報告します。

⑤体制図

取締役会

リスク管理体制の評価、執行役員へ指示、リスク管理規程の見直し。

指示↓

↑報告

(リスクの把握・分類・分析は企画室が行い、対策と合わせて取締役会へ報告)

執行役員

リスク対策の立案、リスク管理体制の整備・運用、取締役会・グループ経営会議へ報告。

指示↓

↑報告

 

部署長

リスク管理の実施、執行役員へ報告。

 

 

 

3)リスクの把握・分類・分析

①リスクの把握・分類

当社グループを取り巻く外部環境と内部環境を分析し、現在と将来においてどのようなリスクが存在するのかを特定し、把握します。具体的な対策に繋げるため、把握したリスクを「大分類」「中分類」「小分類」に分類します。主なリスク(大分類)は、以下の3つです。

・外部環境リスク

当社グループのみならず社会全体に影響を及ぼすリスクである「気候変動・災害・感染症リスク」、「地政学リスク」、「相場変動リスク」、「情報セキュリティリスク」が該当します。

・事業活動リスク

当社グループが事業活動をするうえで直接的に業績に影響を及ぼす「出店」、「商品調達」、「物流」、「販売」に関するリスクが該当します。

・経営基盤リスク

当社グループの経営の土台に影響を及ぼす「事業戦略」、「人的資本」、「ESG」、「情報管理・内部統制」に関するリスクが該当します。

②リスク分析

取組みの優先順位を付けるため、発生可能性と経営計画への影響度を分析し、リスクマトリクスを作成します。

・発生可能性

断続的に発生または毎年複数ヶ所で発生する

散発的に発生または数年に1度発生する

単発的に発生または数十年に1度発生する

・経営計画への影響度

対応不足または発生時に計画未達となる可能性が高い

対応不足または発生時に計画未達となる可能性がある

対応不足または発生時でも計画に与える影響は限定的

・リスクマトリクス

発生可能性と経営計画への影響度が高い順から、S→A→B→C→Dでレベル分けします。

生可能性

 

B

A

S

 

C

B

A

 

D

C

B

 

 

 

 

 

経営計画への影響度

 

 

 

 

4)主なリスクと取組み

リスク

主なリスク

取組み

外部環境

リスク

異常気象

天候に左右されにくい商品政策、地域別対応、機動的な販促の実施

国内の人口減少・少子高齢化

ラインロビング、リロケーション等による地域シェアの拡大

エネルギーや原材料の価格高騰

節電対策、貿易部仕入れの拡大、生産国の見直し

極端な円安など為替の急激な変動

貿易部仕入れの為替予約の活用、生地契約・縫製ライン契約による安定生産

サイバー攻撃、不正アクセス等の意図的脅威

セキュリティの強化、BCP訓練の実施

事業活動

リスク

新規出店の不足

都市部への出店、郊外のリロケーション強化

店舗の契約満了に伴う既存店の減少

既存店オーナーとの良好な関係の維持

仕入原価の上昇

高価格帯商品の拡大、貿易部仕入れの拡大、生産国の見直し

市場ニーズの変化への対応遅れ

顧客管理システムやSNS分析ツール等を活用した商品開発

商品の品質低下

サプライヤーと商品部の意識向上、商品管理部による工場監査、商品検査の強化

商品センターのキャパオーバー

新商品センターの開設、既存商品センターの改装

配送コストの上昇

自社物流のモーダルシフト、直接物流の活用

商品センターの整備の故障・老朽化

既存商品センターの修繕、改装、リロケーション

作業の増加に伴う労働生産性の低下

DXの推進等による定型業務の見直し

店舗の設備の故障・老朽化

既存店の改装(照明・空調の入替えを含む)の強化

経営基盤

リスク

事業戦略・ポートフォリオの転換遅れ

既存事業の成長戦略と新規事業立上げの研究

風評・報道等による企業イメージダウン

情報の一元管理による迅速な対応、社員教育の実施

人手不足

社員採用の柔軟化、人事労務制度の改善

人材不足

人事労務制度の改善、教育制度の充実、女性活躍推進への対応

働き方改革の遅れ

勤務体系の見直し

後継者育成の遅れ

教育制度の充実

組織コミュニケーションの低下

教育制度の充実、デジタルツールの活用

環境課題への対応遅れ

リサイクル推進、GHG排出量の削減

社会課題への対応遅れ

サプライチェーンの人権配慮、社内のハラスメント削減、ダイバーシティの推進

ガバナンス課題への対応遅れ

コーポレートガバナンス・コードへの対応と開示

システム基盤の老朽化

定期的な機器の入替え、データ保存のクラウド化、セキュリティの強化

 

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

経営成績等の概要

(1)経営成績

   当連結会計年度のわが国の経済は、新型コロナウイルスの感染症の5類への移行に伴い、経済活動の正常化が進

   み、実質GDPは2023年通年で前年比1.9%増と3年連続のプラス成長となりました。世界経済では、ロシア・ウクイ

   ライナ戦争が長期化し、中東情勢が緊迫するなか、ユーロ圏ではインフレ抑制のための金融引締めが経済を押し下げています。一方、アメリカ経済は、金融引締めが続くなか旺盛な個人消費に支えられて堅調に推移しました。中国経済は、ゼロコロナ政策解除による回復も見られましたが、不動産不況の深刻化、消費の低迷により減速しています。

 

 1)当連結会計年度の消費環境の概要

 ①当連結会計年度の国内消費環境は、新型コロナウイルス感染症に対する行動制限がなくなったことで、外食や旅行

  といったサービス分野の消費が伸びた一方で、賃上げを上回る食料品を中心とした物価高が家計を圧迫し、購買意

  欲を押し下げました。お出掛け需要が復活しつつも、節約志向が強まり、衣料品の販売にとっては厳しい消費環境

  が続きました。

 ②天候については、上半期の3~5月中旬までは天気が周期的に変化しました。5月下旬からは梅雨の影響で雨の日

  が多くなりましたが、梅雨明け後は全国的に気温が急上昇し、7月下旬以降は猛暑により夏物の販売が好調でし

  た。下半期は11月上旬まで残暑が残り、11月中旬には平年並みの低い気温となったものの、12月以降は平均気温が

  高く暖冬傾向となったことで、秋冬物の販売には厳しい気候でした。

 

 2)当社グループの状況

  このような状況下で、当社は2023年度のグループ統一テーマを“リ・ボーンFinalステージ『応用から完成へ』”

  とし、中期経営計画の最終年度として、商品力と販売力の強化や事業の基礎と基盤の強化に目途を付け、3年間で

  積み上げた実績と知見を次のステージへと繋げていき、お客様に“ワクワク”と“ウォンツ”をお届けするため

  “見て触れて、楽しく選んで、気軽にお買い物が出来る店”の高度化を推し進めました。

 

 3)主力のしまむら事業

   当連結会計年度は12店舗を開設、15店舗を閉店し、店舗数は1,415店舗となりました。

   また売上高は前期比3.3%増の4,769億57百万円となりました。

 

 4)アベイル事業

   当連結会計年度は3店舗を開設、4店舗を閉店し、店舗数は312店舗となりました。

   また売上高は前期比2.8%増の616億88百万円となりました。

 

 5)バースデイ事業

   当連結会計年度は14店舗を開設、3店舗を閉店し、店舗数は324店舗となりました。

   また売上高は前期比0.5%増の727億9百万円となりました。

 

 6)シャンブル事業

   当連結会計年度は8店舗を開設、3店舗を閉店し、店舗数は118店舗となりました。

   また売上高は前期比1.3%増の148億36百万円となりました。

 

 7)ディバロ事業

  当連結会計年度は1店舗を開設、1店舗を閉店し、店舗数は16店舗となりました。

  また売上高は前期比9.6%増の8億23百万円となりました。

 

 8)以上の結果、当連結会計年度の日本国内の業績は、売上高6,270億16百万円(前期比2.9%増)、営業利益549億53

  百万円(同3.3%増)、経常利益563億11百万円(同4.4%増)、当期純利益は413億89百万円(同9.4%増)となり

  ました。

 

 9)思夢樂事業

   当連結会計年度は3店舗を開設、1店舗を閉店し、店舗数は42店舗となりました。

   また売上高は前期比10.6%増の16億85百万NT$(80億74百万円)となりました。

 

 10)以上の結果、当連結会計年度の連結業績は、売上高6,350億91百万円(前期比3.1%増)、営業利益553億8百万円

  (同3.8%増)、経常利益567億16百万円(同4.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は400億84百万円(同

  5.4%増)となりました。

 

(2)キャッシュ・フロー

  当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動及び新規出店等に

  よる投資活動、ならびに財務活動を行った結果、当連結会計年度末の資金残高が、前連結会計年度末に比べ559億

  21百万円減少し、1,612億35百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により得られた資金は、前連結会計年度と比べ3億89百万円減少し、411億62百万円となりました。

これは、税金等調整前当期純利益555億42百万円、減価償却費59億18百万円等に対し、法人税等の支払額163億32百万円、棚卸資産の増加額28億31百万円、売上債権の増加額21億32百万円等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動に使用した資金は、前連結会計年度と比べ895億23百万円増加し、871億98百万円となりました。

これは有価証券の償還による収入2,819億99百万円、建設立替金・差入保証金の回収による収入24億99百万円等に対し、有価証券の取得による支出3,449億99百万円、建設立替金・差入保証金の増加による支出10億99百万円、有形固定資産の取得による支出76億36百万円等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動に使用した資金は、前連結会計年度と比べ7億45百万円増加し、99億44百万円となりました。

これは、配当金の支払額99億17百万円等によるものです。

 

生産、受注及び販売の実績

(1)仕入実績

 当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。

事業部門の名称

当連結会計年度

(自 2023年2月21日

至 2024年2月20日)

仕入高(百万円)

前年同期比(%)

婦人衣料

103,066

104.2

肌着

71,769

104.8

紳士衣料

30,133

105.9

寝装品

29,821

101.1

ベビー・子供服

25,218

101.1

洋品小物

24,512

96.1

インテリア

20,423

101.4

12,734

99.8

しまむら

317,679

102.9

  レディースウエア

15,480

103.9

  シューズ・服飾

10,215

102.5

  メンズウエア

8,199

98.8

  アンダーウエア・インテリア

4,019

99.9

アベイル

37,914

101.9

  雑貨・マタニティ

22,871

99.0

  キッズ衣料・肌着

14,182

105.3

  ベビー衣料・肌着

12,029

106.3

バースデイ

49,083

102.5

シャンブル

9,430

100.5

ディバロ

546

104.0

 日本計

414,653

102.7

思夢樂

4,740

116.9

海外計

4,740

116.9

合計

419,393

102.9

 

(2)売上の実績

当連結会計年度の売上実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。

事業部門の名称

当連結会計年度

(自 2023年2月21日

至 2024年2月20日)

  売上高(百万円)

  前年同期比(%)

婦人衣料

152,505

104.4

肌着

113,411

105.7

寝装品

44,384

101.3

紳士衣料

44,361

107.1

ベビー・子供服

36,932

104.6

洋品小物

36,391

95.6

インテリア

31,015

101.3

17,956

94.7

しまむら

476,957

103.3

  レディースウェア

25,126

104.2

  メンズウェア

13,442

101.2

  シューズ・服飾

12,799

101.1

  アンダーウェア・インテリア

10,320

103.8

アベイル

61,688

102.8

  雑貨・マタニティ

32,479

95.8

  キッズ衣料・肌着

21,609

104.7

  ベビー衣料・肌着

18,619

104.8

バースデイ

72,709

100.5

シャンブル

14,836

101.3

ディバロ

823

109.6

日本計

627,016

102.9

思夢樂

8,074

119.6

海外計

8,074

119.6

合計

635,091

103.1

 

(3)都道府県別売上実績

当連結会計年度の都道府県別の売上実績を示すと次のとおりです。

都道府県名

当連結会計年度(自 2023年2月21日 至 2024年2月20日)

売上高(百万円)

前年同期比(%)

構成比(%)

期末店舗数 (店)

北海道

31,443

103.3

5.0

117

青森県

10,298

105.3

1.6

39

岩手県

8,682

102.9

1.4

34

宮城県

14,309

101.9

2.3

57

秋田県

7,146

102.5

1.1

31

山形県

8,014

102.6

1.3

32

福島県

15,942

103.9

2.5

59

茨城県

21,211

101.8

3.3

87

栃木県

15,390

101.8

2.4

63

群馬県

14,328

101.2

2.3

63

埼玉県

52,821

108.6

8.3

153

千葉県

32,222

102.1

5.1

116

東京都

32,397

105.4

5.1

88

神奈川県

30,703

103.2

4.8

86

新潟県

14,106

103.4

2.2

58

富山県

6,756

102.7

1.1

30

石川県

6,196

107.2

1.0

25

福井県

5,039

107.2

0.8

20

山梨県

5,883

101.4

0.9

21

長野県

15,426

102.8

2.4

59

岐阜県

9,543

101.0

1.5

35

静岡県

20,921

102.3

3.3

65

愛知県

29,157

102.7

4.6

84

三重県

8,729

101.0

1.4

34

滋賀県

7,527

102.7

1.2

32

京都府

10,096

102.0

1.6

34

大阪府

29,790

100.7

4.7

87

兵庫県

21,446

102.6

3.4

73

奈良県

6,643

100.1

1.0

29

和歌山県

5,452

100.3

0.9

19

鳥取県

4,312

102.9

0.7

15

島根県

3,767

101.7

0.6

17

岡山県

9,836

101.1

1.5

31

広島県

10,250

102.2

1.6

32

山口県

8,009

101.4

1.3

30

徳島県

4,150

102.5

0.7

15

香川県

5,269

103.7

0.8

21

愛媛県

7,649

100.1

1.2

28

高知県

4,424

102.1

0.7

15

福岡県

23,590

100.3

3.7

80

佐賀県

4,768

99.3

0.8

17

長崎県

6,917

100.8

1.1

23

熊本県

8,667

100.6

1.4

31

大分県

6,666

106.9

1.0

25

宮崎県

6,867

101.5

1.1

22

鹿児島県

8,678

100.6

1.4

32

沖縄県

5,561

102.7

0.9

21

日本計

627,016

102.9

98.7

2,185

思夢樂(台湾)

8,074

119.6

1.3

42

海外計

8,074

119.6

1.3

42

合計

635,091

103.1

100.0

2,227

 

 

 (4)単位当たりの売上実績

項目

前連結会計年度

(自 2022年2月21日

至 2023年2月20日)

当連結会計年度

(自 2023年2月21日

至 2024年2月20日)

売上高(百万円)

616,125

635,091

従業員数(平均)(人)

15,063.0

15,295.0

1人当たり期間売上高(千円)

40,903

41,522

売場面積(平均)(㎡)

2,231,128

2,249,657

1㎡当たり期間売上高(千円)

276

282

(注)1.売場面積(平均)は営業店舗の稼働月数を基礎として算出しております。

2.従業員数(平均)は定時社員(パートタイマー)を正社員換算して算出しております。

 

経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容等

(1)重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりです。連結財務諸表の作成においては、過去の実績やその時点で合理的と考えられる情報に基づき、会計上の見積りを行っておりますが、見積りには不確実性が伴い実際の結果は異なる場合があります。

 

(2)財政状態の分析

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産残高は、前連結会計年度末に比較して124億71百万円増加して3,448億87百万円となりました。これは、主として、有価証券の増加326億円、商品の増加28億80百万円、売掛金の増加21億32百万円、現金及び預金の減少249億21百万円によるものです。

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産残高は、前連結会計年度末に比較して187億83百万円増加して1,889億19百万円となりました。これは主として、投資有価証券の増加189億46百万円によるものです。

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債残高は、前連結会計年度末に比較して3億47百万円減少して521億51百万円となりました。これは主として、賞与引当金の減少7億4百万円によるものです。

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債残高は、前連結会計年度末に比較して2億42百万円増加して102億47百万円となりました。これは主として、資産除去債務の増加1億44百万円によるものです。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産残高は、前連結会計年度末に比べ313億60百万円増加し、4,714億8百万円となりました。これは主として、利益剰余金の増加301億62百万円によるものです。

 

(3)キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの状況の分析については、「経営成績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」をご覧下さい。

(資本の財源及び資金の流動性について)

 当社グループの事業活動における運転資金については、日々回収される売上金と自己資金を主な財源としており、

 設備投資に関しましても、当連結会計年度では、新規出店を中心に87億円の投資を行っており、これらは全て自

 己資金で賄っております。投資は営業キャッシュ・フローの範囲内であるため財務面の安全度は増しております。

 

(4)経営成績の分析

 1)しまむら事業

  ①主力のしまむら事業は、ブランド力の強化としてPBとJBを強化し、PBでは高価格帯の「CLOSSHI PREMIUM」を拡充

   し、暖か素材を使用した「FIBER HEAT」では、機能性を強化した「暖 SUPER PREMIUM」が好調でした。JBでは、

   インフルエンサー企画の強化やラインロビングが、顧客層の拡大に効果的でした。

  ②広告宣伝では、創業70周年企画でのインフルエンサーや有名タレントとのコラボ企画が集客に繋がりました。デジ

   タル販促の強化では、画像や動画編集の内製化を進め、作業スピードの向上と経費削減に繋がりました。

  ③在庫管理では、サプライヤーと連携した生地契約により、売れ筋商品を短期サイクルで追加したことが売上の向上

   に効果的でした。仕入原価上昇への対応では、貿易部の活用でASEAN生産の拡大を進めました。

 

 2)アベイル事業

  アベイル事業は、レディースとメンズ衣料でJBのトレンド提案を強化しました。韓国テイストの打ち出しや、平成

  ブランドとのコラボ企画を強化し、カップルコーデやインフルエンサー企画が好調でした。キャラクター商品で

  は、アベイルオリジナル商品の取扱いを拡大したことが集客に効果的でした。個店対応では、店舗限定の品揃え、

  販促物の設置、チラシ配布により、対象店舗の売上が増加しました。

 

 3)バースデイ事業

 バースデイ事業は、PB・JBの品揃えを拡大しました。PBではサステナブル商品の拡大を進めている「BIRTHDAY

 PLUS(バースデイ プラス)」や、トレンド商品を拡大したジュニア向けJBの「rabyraby(ラビラビ)」が売上を

 伸ばしました。一方で、巣ごもり需要の反動などにより、衛生雑貨や玩具、インテリアの売上が昨年を下回りまし

 た。販促では、デジタルカタログ掲載商品をオンラインストアで販売するスキームの活用が効果的でした。

 

 4)シャンブル事業

 シャンブル事業は、アウター衣料と服飾雑貨において、JBの品揃えを強化しました。JBの「tsukuru&Lin.(ツク

 ル アンド リン)」では、インフルエンサーとのコラボ企画やオケージョン商品の品揃えを拡大し、売上を伸ばし

 ました。一方で、巣ごもり需要の反動などにより、インテリア雑貨やキッチン用品の売上が昨年を下回りました。

 販促では、新店・既存新店の認知度向上を目的としたチラシ配布を追加し、売上の底上げを図りました。

 

 5)ディバロ事業

  ディバロ事業は、外出需要やオケージョン需要が増加したことにより、レディース・メンズのスニーカーやサンダ

  ルの販売が好調でした。服飾雑貨では新規サプライヤーの開拓が進み、バッグの売上が大きく伸長しました。アウ

  ター衣料では、下期から品揃えと価格の見直しを行い、ニットやジャケットの販売が好調でした。販促では、内製

  化による機動的なSNS販促の実施や、気温に左右されにくいオリジナル企画の打ち出しを強化し、集客に繋げまし

  た。

 

 6)思夢樂事業

  台湾で事業展開する思夢樂事業は、総合衣料の専門店として、台湾のお客様にとって適時、適品、適量、適価な品

  揃えとするために事業の再構築を進めています。商品力の強化では、日本企画のPBやJB、台湾企画のPBの拡大によ

  り他社との差別化を図った結果、売上高に占めるPBとJBの割合は60.4%となりました。また、 キャラクターやス

  ポーツ、ビジネスやアウトドアなどの品揃え拡大により売上を伸ばしました。販売力の強化では、SNSの活用によ

  るデジタル販促の拡大や、インフルエンサーとのコラボ企画の強化が、新規顧客の獲得に効果的でした。

 

(5)経営上の目標の達成状況について

当社グループは、安定的な企業の成長を続けるため、中長期的な経営上の目標として連結営業利益率は10%が適切と認識しております。

当連結会計年度における当社グループの連結営業利益率は、8.7%と目標水準を下回りましたが、今後につきましても、適正な粗利益確保と販売費及び一般管理費の抑制を図り、当該目標の達成に努めて参ります。

 

5【経営上の重要な契約等】

特記すべき事項はありません。

 

 

6【研究開発活動】

 特記すべき事項はありません。