第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当第3四半期連結累計期間において、当四半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

 

 

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当第3四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 業績の状況

当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、コロナ禍の収束に伴い経済活動の正常化が進み、景気の持ち直しが見られたものの、金融引締めによる需要抑制など世界的な景気後退懸念が高まっており、先行き不透明な状況が続いております。

このような環境のもと、各企業は様々な対策を講じることや先行投資等を行い、より一層の企業価値向上を目指していくとみられております。また、コロナ禍を契機とするデジタルシフトの機運も依然として衰える気配はなく、企業内の課題や社会課題の解決に向けたテーマとしてデジタルトランスフォーメーション(DX)(注1)への投資は加速しており、企業のDX実現に向けて、課題解決力やビジネスデザイン、企画に優れたパートナーに対する需要が高まっています。

当社グループは「ハートを揺さぶるデザインで世界を前進させる」というビジョンのもと、「デザインの力を証明する」というミッションを掲げて、「デザイン」を通じて人々の生活がより便利になり、より暮らしやすくなることを目指し事業活動を推進してまいりました。

主要事業であるデザインパートナー事業においては、当社の強みである戦略デザインやUI/UXデザイン(注2)と、連結子会社である株式会社スタジオディテイルズの強みである質の高いクリエイティブとブランディングを融合し、顧客企業のさらなる期待に応えられるよう、デザイン支援の提供を行ってまいりました。また、自社サービスである「ReDesigner」、「Strap」、「Prott」などのプロダクトで構成されるデザインプラットフォーム事業においては、デザインパートナー事業で培ったノウハウやブランドを有効活用することに注力しながら推進してまいりました。

以上の結果、当第3四半期連結累計期間における売上高は3,000,196千円前年同期比4.5%増)、営業利益は35,386千円前年同期比86.6%減)、経常利益は41,930千円前年同期比84.0%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は11,122千円前年同期比94.0%減)となりました。

 

 

報告セグメント別の業績の状況は以下のとおりであります。

 

① デザインパートナー事業

デザインパートナー事業は、顧客企業と当社のデザイナーが一体となりプロジェクト形式で包括的なデザインサービスを提供しております。最初に、サービスやブランド等の新たな価値を創出したい顧客企業とともにプロジェクトチームを立ち上げ、プロジェクトで解決する課題を抽出します。プロジェクトが開始されると、本質的な価値の発見が行われ、顧客企業の独自の強みや特徴が明らかにされます。このフェーズでは、プロジェクトチームが顧客企業と緊密に連携し、価値の源泉を特定し、その価値を洗練するための手段・プロセスの検討が行われます。次に、顧客企業の利用者(ユーザー)を特定し、ユーザーにとって利用しやすいものとなるよう、ユーザーの価値観に合致するデザインが開発されます。このフェーズでは、プロジェクトチームはデザインの詳細な要件を抽出し、ユーザーフィードバックを絶えず取り入れて調整を行います。こうして生み出されたデザインは顧客企業の戦略とブランディング活動に統合され、企業のビジョンと目標に紐づく事業活動に一貫性をもたらします。なお、アプリケーションのUI/UXデザイン開発においては、当社のエンジニアリングチームもプロジェクトに参画し、実際のデジタルプロダクトの構築を行うことがあります。これら一連のプロセスを通じて、顧客企業は既存のビジネスプロセスをデジタル化し、イノベーションを促進でき、効率性の向上や新しい価値の提供が可能となります。

近年DXが注目を集め、企業がデジタル領域において変革を求められる状況の中で、デザインの持つ役割の重要性は益々高まっております。そのような状況の中、デザインパートナー事業では、数多くのデジタルデザイン支援の知見を集約し、経験豊富なデザイナーを集め、育成することで、より多くの企業に対して、高品質なデザイン支援を行うことが可能になります。そのため、デザインパートナー事業はデザイナーの採用活動を積極的に行い、提供リソースであるデザイナー人員を拡大するとともに、より幅広い業種業態の顧客企業に対してデザイン支援を実施してまいりました。また、日本国内の正社員デザイン部門及び「Goodpatch Anywhere」における営業リードの共有に加え、プロジェクト獲得やデザイナーリソースの連携を行ってまいりました。

当第3四半期連結会計期間において、株式会社スタジオディテイルズ及びGoodpatch Anywhereを含むプロジェクト提供を行った顧客社数(注3)は47.3社(前年同期は56.0社、前年同期比15.5%減)、月額平均顧客単価(注4)は5,736千円(前年同期は5,392千円、前年同期比6.3%増)となりました。また、社内デザイン組織のデザイナー数は、当第3四半期連結会計期間末において151名(前年同期比3.4%増)、「Goodpatch Anywhere」の所属デザイナー数は584名(前年同期比15.4%増、うち稼働デザイナー数は53名、前年同期比29.3%減)となりました。

以上の結果、当第3四半期連結累計期間におけるデザインパートナー事業の外部顧客への売上高は2,754,103千円前年同期比4.0%増)、営業利益は123,783千円前年同期比64.4%減)となりました。

 

(デザインパートナー事業のKPI推移)

 

2023年8月期

2024年8月期

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

第1四半期

第2四半期

第3四半期

実績

実績

実績

実績

実績

実績

実績

前年同期比

顧客社数

(社)

41.3

52.3

56.0

61.0

53.3

54.3

47.3

△15.5%

月額平均顧客単価

(千円)

5,862

5,499

5,392

5,142

5,603

5,598

5,736

6.3%

 

※2023年8月期より、Goodpatch Anywhereを含めた数値を記載しております。

 

 

② デザインプラットフォーム事業

デザインプラットフォーム事業は、デザインパートナー事業によって行われるUI/UXデザイン支援を様々な側面からサポートするサービスを提供しております。具体的には、自社で構築したデザイン人材プールを活用したデザイナー採用支援サービス「ReDesigner」、SaaS型のオンラインホワイトボードツール「Strap」及びデザインパートナー事業で培ったナレッジの蓄積をもとにしたプロトタイピングツール(注5)「Prott」で構成され、それぞれのサービスがデザインパートナー事業との間でシナジーを創出し、デザインに関連した周辺ビジネスの拡大を行うものとなります。

当第3四半期連結会計期間においては、「ReDesigner」は、ダイレクトリクルーティング機能の提供を本格的に開始し、登録者数および契約社数の増加に貢献しています。また、「Strap」並びに「Prott」においては、「Prott」のリソースを有効に活用し、「Strap」の機能開発を進めるとともに、企業の研修ニーズを捉えた導入支援を経て、導入規模の拡大を図ってまいりましたが、「Prott」につきましては、当該サービスの事業成績を鑑みて、2024年8月31日をもって終了することを決定しております。

以上の結果、当第3四半期連結累計期間におけるデザインプラットフォーム事業の外部顧客への売上高は246,092千円前年同期比10.8%増)、営業損失は88,396千円(前年同期は83,581千円の営業損失)となりました。

 

(注)1.デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、Digital Transformationの略語で、企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立することを意味します。

2.UI(User Interface/ユーザーインターフェース)とは、「ユーザーがPCやスマートフォン等のデバイスとやり取りをする際の入力や表示方法などの仕組み」を意味します。また、UX(User Experience/ユーザーエクスペリエンス)は「サービスなどによって得られるユーザー体験」のことを意味します。

3.顧客社数とは、デザインパートナー事業において、当社グループとデザインプロジェクトを進めるために契約した顧客企業の社数を指しており、1か月にデザイン支援を提供した顧客社数の当該期間の平均値を示しています。

4.月額平均顧客単価とは、四半期ごとの売上高を顧客社数で除した数値の平均値を示しています。

5.プロトタイピングとは、最終成果物の試作品を早い段階から作り、改善を繰り返す手法のことを意味します。

 

(2) 財政状態に関する分析

(資産)

当第3四半期連結会計期間末における流動資産は、前連結会計年度末に比べて3,488千円減少し、3,796,351千円となりました。主な要因は、受取手形、売掛金及び契約資産の減少133,308千円仕掛品の減少7,110千円があった一方で、未収還付法人税等の増加48,044千円があったこと等によるものであります。

固定資産は、前連結会計年度末に比べて18,358千円減少し、853,350千円となりました。主な要因は、のれん償却に伴うのれんの減少47,600千円繰延税金資産の減少22,884千円及び減価償却による顧客関連資産の減少6,166千円等があった一方で、デザインパートナー投資の実行等による投資有価証券の増加54,071千円があったこと等によるものであります。

以上の結果、当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べて21,847千円減少し、4,649,702千円となりました。

 

(負債)

当第3四半期連結会計期間末における流動負債は、前連結会計年度末に比べ139,995千円減少し、468,503千円となりました。主な要因は、未払法人税等の減少88,952千円未払金の減少47,613千円及び買掛金の減少28,114千円等があった一方で、新規借入による1年内返済予定の長期借入金の増加63,218千円があったこと等によるものであります。

固定負債は、前連結会計年度末に比べ190,959千円増加し、310,383千円となりました。主な要因は、新規借入による長期借入金の増加191,552千円があったこと等によるものであります。

以上の結果、当第3四半期連結会計期間末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて50,963千円増加し、778,886千円となりました。

 

(純資産)

当第3四半期連結会計期間末における純資産は、前連結会計年度末と比べ72,810千円減少し、3,870,815千円となりました。主な要因は、自己株式の取得による減少99,989千円があった一方で、親会社株主に帰属する四半期純利益計上に伴う利益剰余金の増加11,122千円によるものであります。

 

(3) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(4) 経営方針・経営戦略等

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

(6) 研究開発活動

該当事項はありません。

 

(7) 連結業績予想などの将来予測情報に関する説明

連結業績予想については、2023年10月13日の「2023年8月期通期決算短信」で公表いたしました通期連結業績予想を修正しております。詳細につきましては、2024年6月18日公表の「通期業績予想の修正並びに役員報酬の減額に関するお知らせ」をご参照ください。

 

 

 

3 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。