当第2四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、又は、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)業績の状況
当社グループが提供するサービス領域は、Fintech(注1)市場と呼ばれており、近年では、Embedded Finance(埋込型金融)などと呼ばれる、非金融事業者の提供するサービスに金融サービスを組み込み、一体として提供する形が注目されるなど様々なビジネスが活発に生まれております。当社グループの主要サービスである『マネーフォワード クラウド』及び『マネーフォワード ME』は、近年急速な成長が見込まれる、SaaS(注2)という形態にてサービスを提供しております。SaaS市場は近年大きく成長しており、富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場2022年度版」によると、国内SaaS市場は、2026年度には1兆6,681億円(2021年度比180.0%)に達すると見込まれております。加えて、2022年1月に施行された改正電子帳簿保存法、2023年10月からのインボイス制度導入など企業のバックオフィス業務の電子化に向けた法的整備が進み、決済領域においても国内メガバンクにより小口の資金決済のための新たな決済インフラの設立が進められるなど、キャッシュレス決済の普及を後押しする動きが見られます。
グローバルな経済環境の影響を受け日本経済も見通しが不透明になる中においても、クラウドサービス導入及びキャッシュレス化のニーズや、個人や企業におけるお金に関する新たな不安を背景に当社グループの提供サービスへのニーズはより一層高まっているものと認識しております。
このような環境において、当社グループは「お金を前へ。人生をもっと前へ。」というミッションの下、法人向けサービスを提供するMoney Forward Businessドメイン、個人向けサービスを提供するMoney Forward Homeドメイン、金融機関・事業会社のお客様向けにサービス開発を行うMoney Forward Xドメイン、新たな金融ソリューションの開発を行うMoney Forward Financeドメイン、SaaS企業のマーケティング活動を支援するMoney Forward SaaS Marketingドメインの5つのドメインにおいて、事業を運営してまいりました。
Businessドメインでは、バックオフィス向けの業務効率化クラウドソリューション『マネーフォワード クラウド』において、引き続き大規模な士業事務所向けでのセールス・導入支援体制を強化した結果、新規ユーザーが順調に増加いたしました。また、中堅企業向けのプロダクトにおいては、お客様の規模やステージに合わせて最適なシステム構成をスピーディーに実現するため、個別の機能を独立した形で提供するコンポーネント型の展開を行っております。継続的な機能改善やプロダクト間の連携強化に加えて、営業・マーケティング体制の拡充を進めた結果、複数プロダクトでの導入やより大規模な企業での導入が進み、ARPA(注3)についても向上しております。
Homeドメインにおいては、自動でオンラインバンキング等から金融機関データの取得・分類を行うPFM(注4)サービス『マネーフォワード ME』において、プレミアム課金売上が順調に推移しました。また、様々なパートナーとの提携等を通じて、ユーザーへの提供価値向上及び収益源の多角化にも努めております。
Xドメインにおいては、金融機関やそのお客様のDX推進に資するサービスの開発に努めており、これに伴って、プロジェクト単位でフロー収益を上げるビジネスモデルからDX推進ツールをOEMとして提供するストック型収益への転換を進めております。直近では『Mikatano』シリーズの提供に注力しており、金融機関の法人顧客である地域の中小企業のDXに貢献するとともに、金融機関がデータを活用しながら中小企業の事業価値向上を実現するための支援を行うことを目指しております。
Financeドメインにおいては、企業間請求・決済代行サービス『マネーフォワード ケッサイ』が好調に推移しました。また、ベンチャーキャピタル「HIRAC FUND」においては、営業投資有価証券の売却による売上高を計上しております。
SaaS Marketingドメインを構成するスマートキャンプ株式会社の売上においても『BOXIL SaaS』におけるリード件数の増加等により、堅調に推移しております。また、2023年12月に連結を開始した株式会社ビズヒントの売上も増収に貢献しております。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間の当社グループの業績は、売上高19,864百万円(前年同四半期比41.0%増)、EBITDA(注5)1,071百万円(前年同四半期は△1,322百万円のEBITDA)、営業損失1,827百万円(前年同四半期は3,207百万円の営業損失)、経常損失2,145百万円(前年同四半期は3,374百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失は2,597百万円(前年同四半期は3,381百万円の親会社株主に帰属する四半期純損失)となっております。
また、SaaS ARR(注6)に関しては26,835百万円(前年同期比35.1%増)となりました。各ドメインのSaaS ARRの推移は以下のとおりであります。
各ドメインにおけるSaaS ARR
(単位:百万円)
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|
2021年 11月期末 |
2022年 11月期末 |
2023年 11月期末 |
2023年11月期 第2四半期末 |
2024年11月期 第2四半期末 |
前年同期比 成長率 |
|
Business |
8,466 |
12,811 |
18,348 |
15,632 |
21,641 |
38.4% |
|
うち法人 |
7,374 |
11,435 |
16,692 |
14,020 |
19,388 |
38.3% |
|
うち個人事業主 |
1,092 |
1,375 |
1,657 |
1,611 |
2,253 |
39.8% |
|
Homeプレミアム課金 |
1,724 |
2,007 |
2,691 |
2,460 |
2,870 |
16.6% |
|
Xストック売上高 |
755 |
1,021 |
1,443 |
1,215 |
1,569 |
29.1% |
|
Financeストック 売上高 |
283 |
460 |
664 |
552 |
755 |
36.6% |
|
合計 |
11,227 |
16,299 |
23,146 |
19,860 |
26,835 |
35.1% |
(注)上記文中及び表中のSaaS ARRの額は、百万円未満を四捨五入しております。
(2)財政状態の分析
(資産)
当第2四半期連結会計期間末における流動資産は47,576百万円となり、前連結会計年度末に比べ7,420百万円減少いたしました。これは主にその他流動資産が2,427百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が863百万円増加し、現金及び預金が10,808百万円減少したことによるものであります。固定資産は37,743百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,458百万円増加いたしました。これは主に投資有価証券が2,009百万円、ソフトウエアが936百万円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は、85,320百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,962百万円減少いたしました。
(負債)
当第2四半期連結会計期間末における流動負債は29,230百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,549百万円減少いたしました。これは主に短期借入金が1,292百万円増加し、預り金が2,229百万円減少したことによるものであります。固定負債は22,626百万円となり、前連結会計年度末に比べ215百万円減少いたしました。これは主にその他固定負債が401百万円増加し、長期借入金が618千円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は、51,857百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,764百万円減少いたしました。
(純資産)
当第2四半期連結会計期間末における純資産は33,463百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,197百万円減少いたしました。これは主に利益剰余金が3,117百万円増加し、資本剰余金が5,257百万円減少したことによるものであります。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べて10,812百万円減少し、28,006百万円となりました。当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、6,676百万円の支出(前年同四半期は4,131百万円の支出)となりました。これは主に、減価償却費1,312百万円の資金の増加要因に対し、預り金の減少額2,230百万円、税金等調整前四半期純損失2,155百万円の資金の減少要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、4,710百万円の支出(前年同四半期は2,791百万円の支出)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出2,795百万円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、263百万円の収入(前年同四半期は7,583百万円の収入)となりました。これは主に、短期借入金の増加1,292百万円、投資事業組合員への分配金の支払による支出713百万円があったことによるものであります。
(4)経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、経営方針・経営戦略等に重要な変更及び新たに定めた経営方針・経営戦略等はありません。
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当社グループでは、データやテクノロジーの力でユーザーに新たな価値を提供することを目的とし、Money Forward Labを中心に研究開発に取り組んでおります。
当第2四半期連結累計期間における研究開発費の総額は105百万円であります。
(注1) Fintech
Finance と Technology を組み合わせた概念で、金融領域におけるテクノロジーを活用したイノベーションの総称をいいます。
(注2) SaaS
「Software as a Service」の略称であり、サービス提供者がソフトウェア・アプリケーションの機能をクラウド上で提供し、ネットワーク経由で利用する形態を指します。一般的に初期導入コストを抑えた月額課金のビジネスモデルとなります。
(注3) ARPA
「Average Revenue per Account」の略称であり、各期最終月のBusinessドメインのARRを課金顧客数で割った値となります。なお、ARRは「Annual Recurring Revenue」の略称で年間経常収益をいい、各期末の月末時点における月次ストック収入合計額(Monthly Recurring Revenue, MRR)を12倍して算出したものをいいます。ただし、季節影響を受ける『STREAMED』については、第1及び第2四半期における『STREAMED』の課金収入の3分の1を経常的に発生する月間収益として算出しています。
(注4) PFM
「Personal Financial Management」の略称であり、個人の金融資産管理、家計管理をサポートするサービスをいいます。
(注5) EBITDA
「Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation, and Amortization」の略称であり、営業利益+償却費+営業費用に含まれる税金費用+株式報酬費用をいいます。
(注6) SaaS ARR
ARRは「Annual Recurring Revenue」の略称。各期末時点におけるBusinessドメイン、Homeドメイン、Xドメイン、Financeドメインの経常的に発生する月間収益を12倍して算出しています。ただし、季節影響を受ける『STREAMED』については、第1及び第2四半期における『STREAMED』の課金収入の3分の1を経常的に発生する月間収益として算出しています。
当第2四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。