1【提出理由】

 

 当社は、会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下同じです。)第179条第1項に規定する当社の特別支配株主である富士ソフト株式会社(以下「富士ソフト」といいます。)から同法第179条の3第1項の規定による株式売渡請求(以下「本株式売渡請求」といいます。)の通知を受け、2024年1月10日付の当社取締役会決議によって本株式売渡請求を承認することを決定いたしましたので、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第4号の2の規定に基づき、本臨時報告書を提出するものであります。

 

2【報告内容】

1.本株式売渡請求の通知に関する事項

(1)当該通知がされた年月日

   2024年1月10日

 

(2)当該特別支配株主の商号、本店の所在地及び代表者の氏名

   商号           富士ソフト株式会社

   本店の所在地   神奈川県横浜市中区桜木町一丁目1番地

   代表者の氏名   代表取締役 社長執行役員 坂下 智保

 

(3)当該通知の内容

    当社は、富士ソフトから、2024年1月10日付で、会社法第179条第1項に基づき、当社の株主(但し、富士ソフト及び当社を除きます。以下「本売渡株主」といいます。)の全員に対し、その所有する当社の普通株式(以下「当社株式」といい、本売渡株主が所有する当社株式を、以下「本売渡株式」といいます。)の全部を富士ソフトに売り渡すことを請求する旨の通知を受領いたしました。当該通知の内容は、以下のとおりです。

 

① 特別支配株主完全子法人に対して本株式売渡請求をしないこととするときは、その旨及び当該特別支配株主完全子法人の名称(会社法179条の2第1項第1号)

   該当事項はありません。

 

② 本株式売渡請求により本売渡株主に対して本売渡株式の対価として交付する金銭の額又はその算定方法及びその割当てに関する事項(会社法第179条の2第1項第2号・第3号)

   富士ソフトは、本売渡株主に対し、本売渡株式の対価(以下「本株式売渡対価」といいます。)として、その有する本売渡株式1株につき1,095円の割合をもって金銭を割当交付いたします。

 

③ 新株予約権売渡請求に関する事項(会社法第179条の2第1項第4号)

   該当事項はありません。

 

④ 特別支配株主が本売渡株式を取得する日(以下「取得日」といいます。)(会社法第179条の2第1項第5号)

   2024年2月14日

 

⑤ 本株式売渡対価の支払のための資金を確保する方法(会社法第179条の2第1項第6号、会社法施行規則第33条の5第1項第1号)

   富士ソフトは、本株式売渡対価の全てを、株式会社三菱UFJ銀行(以下「三菱UFJ銀行」といいます。)及び株式会社三井住友銀行(以下「三井住友銀行」といいます。)からの借入を原資として支払うことを予定しております。富士ソフトは、当社の普通株式に対して2023年11月9日から12月21日までを買付け等の期間として行った公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)に係る公開買付届出書の添付書類として、三菱UFJ銀行作成の2023年11月8日付融資証明書及び三井住友銀行作成の2023年11月8日付融資証明書並びに2023年11月8日付残高証明書を提出しております。富士ソフトにおいて、本株式売渡対価の支払に影響を及ぼす事象は発生しておらず、今後発生する可能性も認識しておりません。

 

⑥ その他の本株式売渡請求に係る取引条件(会社法第179条の2第1項第6号、会社法施行規則第33条の5第1項第2号)

   本株式売渡対価は、取得日以降合理的な期間内に、取得日の前日の最終の当社の株主名簿に記載又は記録された本売渡株主の住所又は本売渡株主が当社に通知した場所において、当社による配当財産の交付の方法に準じて交付されるものとします。但し、当該方法による交付ができなかった場合には、当社の本店所在地にて貴社が指定した方法により(本株式売渡対価の交付について富士ソフトが指定したその他の場所及び方法があるときは、当該場所及び方法により)、本売渡株主に対する本株式売渡対価を支払うものとします。

 

2.本株式売渡請求を承認する旨の決定に関する事項

(1)当該通知がされた年月日

   2024年1月10日

 

(2)当該決定がされた年月日

   2024年1月10日

 

(3)当該決定の内容

   富士ソフトからの通知のとおり、同社による本株式売渡請求を承認いたします。

 

(4)当該決定の理由及び当該決定に至った過程

    本公開買付けに関し、当社が2023年11月10日に提出いたしました意見表明報告書(以下「本意見表明報告書」といいます。)の「3.当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、本株式売渡請求は、本公開買付けの結果、富士ソフトが当社の総株主の議決権の90%以上を所有するに至ったことから、当社株式の全て(但し、富士ソフトが所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得し、当社を富士ソフトの完全子会社とすることを目的とする一連の取引(以下「本取引」といいます。)の一環として行われるものであり、本株式売渡対価は、本公開買付けにおける当社株式1株当たりの買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)と同一の価格に設定されております。

    当社は、本意見表明報告書の「3.当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(2)意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、当社は、以下の過程及び理由により、本取引を通じて当社株式を非公開化し、当社を富士ソフトの完全子会社とすることは、当社グループの企業価値向上に資するものであるとの結論に至りました。

 

    当社は、本意見表明報告書に記載のとおり、2023年8月24日に、富士ソフトから、本取引の検討・協議を開始したい旨の申し入れを受けた後、2023年9月1日に本取引に関する初期的な意向表明書の提示を受けたことを契機として、富士ソフトとの間で協議を開始することや本取引の実施の是非等を含めて検討し、また富士ソフトとの間で交渉するため、2023年9月1日に当社及び富士ソフトから独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてEYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社(以下「EY」といいます。)を、リーガル・アドバイザーとしてシティユーワ法律事務所をそれぞれ選任するとともに、シティユーワ法律事務所の助言を踏まえ、直ちに、富士ソフトから独立した立場で、当社の企業価値の向上及び当社の一般株主の皆様の利益の確保の観点から本取引について検討・交渉等を行うための体制の構築を開始しました。

    具体的には、2023年9月1日開催の当社取締役会の決議により、岸甫氏(当社独立社外取締役)、長谷川祥典氏(当社独立社外取締役)及び鷹箸有宏氏(社外有識者・株式会社J-TAPアドバイザリー取締役)の3名から構成される特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。)を設置し(本特別委員会の具体的な活動内容等の詳細については、本意見表明報告書の「3.当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の入手」をご参照ください。)、本特別委員会に対し、(i)本取引の目的の正当性・合理性(本取引が当社の企業価値の向上に資するか否かを含む。)、(ii)本取引の条件(本公開買付けにおける買付け等の価格を含む。)の公正性、(iii)本取引に係る交渉過程及び意思決定に至る手続の公正性、(iv)本取引(本公開買付けに対して賛同意見を表明すること及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨すること、その他当社による本取引の手続に係る決定を含む。)が当社の少数株主にとって不利益なものでないか、(v)上記(i)から(iv)を踏まえ、当社取締役会が本公開買付けに対して賛同意見を表明すること、及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することの是非(以下、(i)から(v)を総称して「本諮問事項」といいます。)について諮問し、これらの点についての答申書を当社取締役会に提出することを委嘱しました。

    また、当社は、上記取締役会決議において、本公開買付けに対する意見表明の内容を審議する当社取締役会においては、本特別委員会の設置の趣旨に鑑み、本諮問事項に対する本特別委員会の答申内容を最大限尊重するものとし、本特別委員会が取引条件を妥当でないと判断した場合には、当社取締役会は、本公開買付けに賛同しないこととする旨を決議しております。併せて、当社は、上記取締役会決議に基づき、本特別委員会に対して、(a)本特別委員会が自ら富士ソフトと交渉を行うことができる権限のほか、富士ソフトとの交渉を当社の社内者やアドバイザー等が行う場合でも、本特別委員会は、適時にその状況の報告を受け、重要な局面で意見を述べ、指示や要請を行うこと等により、取引条件に関する交渉過程に実質的に影響を与えることができる権限、(b)必要に応じて自らの外部アドバイザー等(ファイナンシャル・アドバイザー、第三者算定機関、リーガル・アドバイザー等)を選任し(この場合の費用は当社が負担する。)、又は、当社が選任する外部アドバイザー等について、指名又は承認(事後承認を含む。)する権限、さらに、(c)答申を行うにあたって必要となる一切の情報の収集を当社の役員及び従業員並びに外部アドバイザー等に対して求めることができる権限をそれぞれ付与しております。

    また、当社は、本意見表明報告書の「3.当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の入手」に記載のとおり、2023年9月1日に開催された本特別委員会の第1回会合において、当社が選任する外部アドバイザー等に関し、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるEY並びにリーガル・アドバイザーであるシティユーワ法律事務所について、いずれも独立性及び専門性に問題がないことを確認した上で、その選任の承認を受けております。

 

    さらに、当社は、本意見表明報告書の「3.当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑤当社における独立した検討体制の構築」に記載のとおり、富士ソフトから独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行うための体制を当社の社内に構築するとともに、2023年9月1日に開催された本特別委員会の第1回会合において、かかる検討体制に独立性及び公正性の観点から問題がないことについて承認を受けております。

    上記のような体制の下、当社は、2023年9月上旬以降、本取引の目的を含む本公開買付けの概要、本取引が当社に与える影響、本取引後の経営方針の内容や本公開買付価格の条件について、本特別委員会より事前に確認された交渉方針や交渉上重要な局面における本特別委員会からの意見・指示・要請等に基づき、EY及びシティユーワ法律事務所から助言を受けながら、富士ソフトとの間で複数回に亘る協議・交渉を重ねてきております。具体的には、当社は、富士ソフトから、第三者算定機関であるSMBC日興証券株式会社(以下「SMBC日興証券」といいます。)による当社株式価値の試算、当社株式の市場株価の動向及び本公開買付けに対する応募の見通しを勘案し、2023年10月6日に本公開買付けにおける本公開買付価格を965円(なお、本公開買付価格として提案された965円は、同提案日の前営業日である2023年10月5日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値763円に対して26.47%、2023年10月5日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値765円に対して26.14%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値775円に対して24.52%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値816円に対して18.26%のプレミアムをそれぞれ加えた価格です。)とする最初の提案を受けましたが、同月11日に当社は、合理的な水準のプレミアムが上乗せされておらず、当社が本公開買付けへの応募を推奨する水準には達していないとして、富士ソフトに対して、本公開買付価格の再提示を要請いたしました。その後、当社は、富士ソフトから、2023年10月18日に、本公開買付価格を1,000円(なお、本公開買付価格として提案された1,000円は、同提案日の前営業日である2023年10月17日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値764円に対して30.89%、2023年10月17日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値766円に対して30.55%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値769円に対して30.04%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値811円に対して23.30%のプレミアムをそれぞれ加えた価格です。)とする旨の提案を受けましたが、2023年10月19日に当社は、同様の理由により本公開買付価格の再検討を要請いたしました。その後、当社は、富士ソフトから、2023年10月30日に、本公開買付価格を1,025円(なお、本公開買付価格として提案された1,025円は、同提案日の前営業日である2023年10月29日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値781円に対して31.24%、2023年10月29日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値769円に対して33.29%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値763円に対して34.34%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値805円に対して27.33%のプレミアムをそれぞれ加えた価格です。)とする旨の提案を受けましたが、2023年10月31日に当社は、少数株主の利益への配慮の観点から、本公開買付価格を1,150円とする旨を要請いたしました。その後、当社は、富士ソフトから、2023年11月1日に、本公開買付価格を1,075円(なお、本公開買付価格として提案された1,075円は、同提案日の前営業日である2023年10月31日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値777円に対して38.35%、2023年10月31日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値768円に対して39.97%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値762円に対して41.08%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値804円に対して33.71%のプレミアムをそれぞれ加えた価格です。)とする旨の提案を受けましたが、少数株主の利益への配慮の観点から、本公開買付価格を1,125円とする旨を要請いたしました。その後、当社は、富士ソフトから、2023年11月2日に、本

   公開買付価格を1,080円(なお、本公開買付価格として提案された1,080円は、同提案日の前営業日である2023年11月1日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値787円に対して37.23%、2023年11月1日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値769円に対して40.44%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値762円に対して41.73%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値804円に対して34.33%のプレミアムをそれぞれ加えた価格です。)とする旨の提案を受けましたが、同日、当社は、本公開買付価格として再提案を受けた1,080円は、依然として当社の少数株主にとって十分な内容であるとはいえないとして、本公開買付価格を1,110円とする旨を要請いたしました。その後、当社は、富士ソフトから、2023年11月6日に、本公開買付価格を1,090円(なお、本公開買付価格として提案された1,090円は、同提案日の前営業日である2023年11月2日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値786円に対して38.68%、2023年11月2日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値770円に対して41.56%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値762円に対して43.04%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値803円に対して35.74%のプレミアムをそれぞれ加えた価格です。)とする旨の提案を受けましたが、同日、当社は、可能な限り当社の小数株主の利益に配慮する必要があるとして、本公開買付価格を1,095円(なお、本公開買付価格として提案が行われた1,095円は、同提案日の前営業日である2023年11月2日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値786円に対して39.31%、2023年11月2日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値770円に対して42.21%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値762円に対して43.70%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値803円に対して36.36%のプレミアムをそれぞれ加えた価格です。)とする旨の要請を行い、同日に富士ソフトから当社の要請を受諾する旨連絡を受け、本公開買付価格について富士ソフトとの間で合意に至りました。

    以上の富士ソフトとの協議・交渉を踏まえ、11月6日、当社と富士ソフトは、本公開買付価格を1,095円とすることで合意に至りました。

    以上の経緯のもとで、当社は、2023年11月8日開催の当社取締役会において、EYから受けた財務的見地からの助言並びに2023年11月7日付で提出を受けた当社株式の価値算定結果に関する株式価値算定書(以下「当社株式価値算定書」といいます。)の内容、シティユーワ法律事務所から受けた法的助言を踏まえつつ、本特別委員会から提出された答申書(以下「本答申書」といいます。)の内容を最大限尊重しながら、本公開買付けを含む本取引の一連の手続及び本取引に関する諸条件について、当社の企業価値の向上に資するか否か、及び本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件が妥当なものか否かについて、慎重に協議・検討を行いました。

    また、当社グループの企業価値の向上に資するか否かについて、本意見表明報告書の「3.当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(2)意見の根拠及び理由」の「②公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」の「(ⅱ)公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った経緯・目的」に記載のとおり、当社において事業環境に係る課題が存する状況を念頭に、当社は富士ソフトと連携することにより、事業変革を加速できるか否かを中心に検討を行いました。かかる点について、富士ソフトと当社の2023年11月8日現在の資本関係においては、富士ソフトが当社グループに投入する経営資源から得られる当社グループ利益の一部は当社の少数株主に流出するため、富士ソフトにとっては、自らが投入した経営資源から得られる利益をすべて得ることができず、富士ソフトと当社の少数株主との間に構造的な利益相反が生じ、その結果、富士ソフトと当社グループの連携が制約されるという課題があることから、本取引を通じて当社が非公開化し、富士ソフトと当社の少数株主との間の構造的な利益相反関係を解消し、富士ソフトと当社グループの連携を強化することを通じて、事業変革を加速することが可能であると考えるに至っております。

    以上の協議・検討の結果、当社は、2023年11月8日開催の当社取締役会において、以下の各点等を踏まえると、本取引を通じて当社株式を非公開化し、当社を富士ソフトの完全子会社とすることは、当社グループの企業価値向上に資するものと判断するに至っております。

 

Ⅰ.エンジニア相互連携

   当社グループが2022年12月期を初年度とする2026年12月期までの5ヶ年を対象とした中期経営計画(以下「当社中期経営計画」といいます。)に掲げる成長のドライバーの一つとして掲げている「ものづくりのDX(注1)促進など」を実現するためには、国内におけるIT人材の確保が不可欠であるが、IT業界全体でのエンジニアリソースの逼迫が想定されており、当社グループが自らIT人材を採用、育成するのに加え、富士ソフトのIT人材と連携して、お客様にサービスを提供することで、サービスの付加価値を向上して、また、当社グループの事業拡大を実現できると考えられること。特に、当社のIT人材は、数学、物理学等をバックグラウンドにシミュレーションモデルの構築と解析、また、シミュレーションと親和性が高いMBSE(注2)、AI、AR(注3)/VR(注4)、BigData分析などに強みを有し、さらに、PLM(注5)、SPDM(注6)、IoT(注7)、サイバーセキュリティなどの分野の強化に取り組んでいる一方、富士ソフトは、組込・制御系ソフトウェア開発、業務系ソフトウェア開発を中心に幅広いIT領域に強みを有しており、当社が事業拡大に取り組んでいるPLM、SPDM、IoT、サイバーセキュリティなどの領域において、連携効果が大きいと考えられること。

(注1)「DX」とは、「Digital Transformation」の略であり、デジタル技術の活用による新たな価値・体験の提供及び社会の変革を指します。

(注2)「MBSE」とは「Model Based Systems Engineering」の略であり、複数の専門分野にわたり、システムの要求分析から検証までの開発工程全般を、モデルベースで進める開発手法を指します。

(注3)「AR」とは、「拡張現実(Augmented Reality)」の略で、現実世界の映像にデジタル情報を付加する技術を指します。

(注4)「VR」とは、「仮想現実(Virtual Reality)」の略で、人工的に創り出された仮想的な空間を疑似体験できる技術を指します。

(注5)「PLM」とは「Product Lifecycle Management」の略であり、製造業における活動の中心となる製品の企画・設計・製造・調達・サポートに至る全開発工程を管理、支援する仕組みを指します。

(注6)「SPDM」とは、「Simulation Process and Data Management」の略であり、解析データとプロセス管理を指します。

(注7)「IoT」とは、「Internet of Things」の略であり、従来インターネットに接続されていなかったさまざまなモノが、ネットワークに接続され、相互に情報交換をする仕組みを指します。

 

Ⅱ.相互の顧客基盤や強みを活用することでの広範なソリューションの提供

   当社グループは、製造業に対するシミュレーションソリューションの提供をコア事業としており、製造業の製品開発・設計工程などの上流工程に関する顧客基盤に強みを有し、シミュレーション技術を活用して、ヘルスケア、エネルギー等の非製造業向けサービスを含めた事業領域の拡大に取り組み、また、サイバーセキュリティ製品についてはお客様の業界に依存せず、企業全般に対し、販売を行っている一方で、富士ソフトは業務系ソフトウェアから組込/制御系ソフトウェアの開発、自社・他社プロダクト・サービスまで幅広いソリューションを提供し、多様な業界に対する顧客基盤を有しているところ、このように当社と富士ソフトとの間で、強みを持つ業界やソリューションに相違がある中で、それぞれの顧客基盤を相互に活用したクロスセルを実施し、それぞれの既存顧客に対し、今まで以上に幅広いソリューション・付加価値を提供することで、当社グループの事業拡大を実現できると考えられること。

 

Ⅲ.製品開発から実装までフルサポート可能な体制の構築による顧客提供価値の向上

   当社グループは、競争力のあるCAE(注8)販売権を活かし、特に製造業の製品開発・設計工程におけるモデル化と数値シミュレーションにより、さまざまな課題を解決することに強みを有し、今後はその強みに加え、生産、運用保守領域までをサポートする体制構築に取り組んでおり、他方、富士ソフトは、上流工程から下流工程まで一気通貫で幅広いサービスを展開しており、製品開発から実装までフルサポート可能な体制を有しているところ、本取引による当社の非公開化を通じて、富士ソフト及び当社ループの経営資源の連携を推進する体制を早急に整え、PLM分野、IoT分野、サイバーセキュリティ分野を始めとする各テーマでの協業及び案件デリバリー能力強化による製造業領域での付加価値向上を実現し、当社グループの事業拡大を実現できると考えられること。

(注8)「CAE」とは「Computer Aided Engineering」の略であり、評価対象物をコンピュータ上でモデル化し、その機能や強度等をはじめとする多くの工学的問題をシミュレーション(模擬実験)する手法を指します。

 

Ⅳ.本取引による当社のデメリットが限定的であること

   一般に、株式の非公開化に伴うデメリットとしては、(a)資本市場からのエクイティ・ファイナンスによる資金調達を行うことができなくなることや、(b)知名度や社会的信用の向上といった上場会社として享受してきたメリットを以後享受できなくなること、(c)人材採用が困難になることが挙げられます。当社においては、(a)資本面では現状、金融機関からの借入による資金調達を要しない状況であることに加えて、仮に将来的に必要になった際にも上場会社である富士ソフトを通じた資金調達を行うことが可能であること、(b)富士ソフトの完全子会社となることにより上場会社グループとしての社会的な信用が維持されること、(c)人材採用については、非上場化によるデメリットはあるものの、当社における人材採用面で重要となる当社の知名度・ブランド力や社会的な信用は事業活動を通じて獲得・維持されている部分が大きく、本取引後においても、当社グループ各社及び富士ソフトグループ各社がそれぞれ別個に法人であることを前提に、その自主性・主体性のもと、本意見表明報告書の「3.当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(2)意見の根拠及び理由」の「④本公開買付け後の経営方針」記載の経営方針に基づき、真摯に事業を遂行することにより実現することが可能であることから、当社に係る上場廃止の影響は限定的と考えられること。

 

Ⅴ.その他

   これらに加えて、当社グループにおいては、従業員がその事業遂行及び持続的な成長を果たすための原動力に他ならないところ、富士ソフトにおいても、当社グループの従業員こそがその事業に必須の人的資本であるとの認識を前提に、本特別委員会における富士ソフトに対するインタビューの際の回答等によれば、当社グループにおける固有の人事制度を尊重するとのことであり、本取引後においてかかる方針が実行される限り、当社の企業価値の維持及び向上が図られるものと考えられること。

 

    また、当社は、2023年11月8日開催の当社取締役会において、以下の各点等を考慮した結果、本公開買付けが、当社の株主の皆様に対して、合理的なプレミアムを付した価格での当社株式の売却の機会を提供するものであると判断しております。

(a)本公開買付価格が、(ア)EYによる当社株式の株式価値の算定結果のうち、市場株価法による算定結果のレンジの上限を超えており、かつ、類似会社比準法及びディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)による算定結果のレンジの範囲内であり、また、(イ)東京証券取引所スタンダード市場における、本公開買付け実施についての公表日の前営業日である2023年11月7日の当社株式の終値797円に対して37.39%、2023年11月7日までの直近1ヶ月間の終値の単純平均値775円に対して41.29%、2023年11月7日までの直近3ヶ月間の終値の単純平均値762円に対して43.70%、2023年11月7日までの直近6ヶ月間の終値の単純平均値803円に対して36.36%のプレミアムをそれぞれ加えた価格であって、経済産業省の「公正なM&Aの在り方に関する指針」が公表された2019年6月28日以降、2023年11月6日までに公表され、かつ成立した親会社による上場子会社の完全子会社化を目的とした他の公開買付けの事例におけるプレミアムの実例50件(プレミアム水準の平均値は、公表日の前営業日の終値に対して39.16%、直近1ヶ月間の終値の単純平均値に対して42.26%、直近3ヶ月間の終値の単純平均値に対して42.55%、直近6ヶ月間の終値の単純平均値に対して41.32%。)と比較して、公表日の前営業日の終値、公表日の前営業日までの直近1ヶ月間及び直近6ヶ月間の終値の各単純平均値に対するプレミアム水準のいずれにおいてもやや劣るものの、公表日の前営業日の終値及び公表日の前営業日までの直近1ヶ月間の終値の単純平均値に対するプレミアム水準においてはその差異は1~2%程度にとどまり、かつ、公表日の前営業日までの直近3ヶ月間の終値の単純平均値に対するプレミアム水準においては上回っていること等に鑑みれば、他社事例との比較においても同等程度の合理的な水準にあるといえること。

(b)本公開買付価格の決定に際しては、本意見表明報告書の「3.当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載の本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置が採られており、少数株主の利益への配慮がなされていると認められること。

(c)本公開買付価格が、上記措置が採られた上で、当社と富士ソフトとの間で協議・交渉が複数回行われた上で決定されていること。

(d)本公開買付価格の決定にあたっては、当社は、当社と富士ソフトの間における本取引に係る協議及び交渉の経緯並びに内容等を本特別委員会に対して適時に報告を行い、本特別委員会を開催して協議及び交渉の方針等を協議した上で、本特別委員会は協議及び交渉の重要な局面で意見を述べ、当社は本特別委員会の意見、指示及び要請を最大限尊重して富士ソフトと協議及び交渉を行っており、本特別委員会が富士ソフトとの交渉過程に実質的に関与した結果として、富士ソフトから1,095円という本公開買付価格の最終的な提案を受けていること。

(e)本公開買付価格が、本特別委員会から取得した本答申書においても、本取引は当社の少数株主にとって不利益なものとはいえないと判断されていること。

    以上の経緯の下で、当社は、2023年11月8日開催の取締役会において、本公開買付けを含む本取引は、本取引を実施することで上記Ⅰ乃至Ⅲのシナジーを実現することが可能となると考えていることから、当社の企業価値の向上に資するものであり、本公開買付価格を含む本取引の取引条件は妥当であり、本公開買付けは当社の株主の皆様に対して、合理的なプレミアムを付した価格での当社株式の売却の機会を提供するものであると判断し、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対しては、本公開買付けへの応募を推奨することを決議しております。

 

    その後、当社は、2023年12月22日、富士ソフトより本公開買付けの結果について、当社株式11,173,623株の応募があり、買付予定数の下限(3,793,500株)以上となり本公開買付けが成立したことから、応募株式の全てを取得することとなった旨の報告を受けました。その結果、2023年12月28日(本公開買付けの決済の開始日)付で、富士ソフトの所有する当社株式の議決権所有割合(注)は90.55%となり、富士ソフトは当社の特別支配株主に該当することとなりました。

(注)「議決権所有割合」とは、当社が2023年11月9日に提出した第39期第3四半期報告書(以下「当社四半期報告書」といいます。)に記載された2023年9月30日現在の当社の発行済株式総数(32,076,000株)から、当社が2023年11月8日に公表した「2023年12月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」に記載された2023年9月30日現在当社が所有する自己株式数(1,174,595株)を控除した株式(30,901,405株)に係る議決権の数(309,014個)に対する割合をいい、その計算において小数点以下第三位を四捨五入しております。以下、議決権所有割合の計算において同じです。

 

    このような経緯を経て、当社は、富士ソフトより、2024年1月10日付で、本意見表明報告書の「3.当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、本取引の一環として、本株式売渡請求をする旨の通知を受けました。

    そして、当社は、かかる通知を受け、本株式売渡請求を承認するか否かについて、慎重に議論及び検討いたしました。

    その結果、当社は、2024年1月10日、会社法第370条による決議(取締役会の決議に代わる書面決議)によって、(ⅰ)本株式売渡請求は本取引の一環として行われるものであるところ、当社は、2023年11月8日開催の取締役会において、本取引を通じて当社株式を非公開化し、当社を富士ソフトの完全子会社とすることは、当社グループの企業価値向上に資するものと判断しており、当該判断を変更すべき特段の事情が見受けられないこと、(ⅱ)本売渡株式1株につき1,095円という本株式売渡対価は、本公開買付価格と同一の価格であること及び本意見表明報告書の「3.当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載のとおり本取引の公正性を担保するための措置が十分に講じられていること等から、本売渡株主にとって相当な価格であり、少数株主の利益への配慮がなされていると認められること、(ⅲ)富士ソフトは、本株式売渡対価の全てを、三菱UFJ銀行及び三井住友銀行からの借入を原資として支払うことを予定しており、当社としても、本公開買付けに係る公開買付届出書の添付書類として提出された三菱UFJ銀行作成の2023年11月8日付融資証明書及び三井住友銀行作成の2023年11月8日付融資証明書並びに2023年11月8日付残高証明書より富士ソフトが本株式売渡対価を支払うために資金を確保する方法を確認しており、また、富士ソフトによれば、本株式売渡対価の支払に影響を及ぼす事象は発生しておらず、今後発生する可能性も認識していないとのことであること等から、富士ソフトによる本株式売渡対価の支払のための資金の準備状況・確保手段は相当であり、本株式売渡対価の交付の見込みはあると考えられること、(ⅳ)本株式売渡対価の交付までの期間及び支払方法について不合理な点は認められず、本株式売渡請求に係る取引条件は相当であると考えられること、(v)本公開買付けの開始以降本日に至るまで当社の企業価値に重大な変更は生じていないこと、(vi)本特別委員会が本株式売渡請求についても検討した上で、本取引は当社の少数株主にとって不利益なものではないと考える旨の答申書を提出していること等を踏まえ、本株式売渡請求は、本売渡株主の利益に配慮したものであり、本株式売渡請求の条件等は適正であると判断し、富士ソフトからの通知のとおり、本株式売渡請求を承認することを決定いたしました。

 

以上