第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社グループでは、「まるくて大きな時代をつくろう」を企業理念に、その実現に向けた第一弾の事業として、クリエイターエンパワーメント事業を推進しております。

 日本ならびに中国語圏におけるグローバルハンドメイドマーケットプレイス「Creema(クリーマ)」に加え、「Creema」と連携可能な唯一のネットショップ開設サービス「InFRAME」の運営を行うマーケットプレイスサービス、「Creema」のプラットフォームを活用し、出店クリエイター・企業・地方公共団体のマーケティング支援を行うプラットフォームサービス、日本最大級のクリエイターの祭典「HandMade In Japan Fes’(東京ビッグサイト)」等の大型イベントを展開するイベントサービス、さらには、クリエイターの創造的な活動を応援することに特化したクラウドファンディングサービス「Creema SPRINGS」、人気アーティストのレッスン動画プラットフォーム「FANTIST」等、クリエイターの活動を支援するサービスを様々な角度から展開し、まだ見ぬ巨大なクリーマ経済圏の確立と、クラフトカルチャーの醸成に力を注いでおります。

 

(2)経営戦略等

 当社グループでは、マーケットプレイスサービスにてクリエイター数・ユーザー数(アプリDL数や訪問数等)を安定的に積み上げつつ、マーケットプレイスの運営を通じて構築される豊富なユーザー基盤、プラットフォーム基盤を活用し、広告サービスやイベントサービス等、周辺領域でのサービス収益もスケールさせていくモデルとなっております。そのため、今後においても、事業の基盤であり起点となるマーケットプレイスサービスの品質向上を通じたストック収益とプラットフォーム基盤の強化に対し優先的にリソースを投下しつつ、そこで得た有形・無形の資産を活用する新サービス群にもリソースを投下することで、シナジーの効く事業領域で収益の多角化を図って参ります。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループの事業においては、中心的なサービスである「Creema」の、プラットフォームとしての価値を高めることが重要であるため、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、登録作品数、アプリダウンロード数及び流通総額であると考えております。

 

(4)当社グループの経営成績に影響を与える経営環境

 日本のハンドメイドマーケット市場は、2010年、日本初のハンドメイドマーケットプレイス「Creema」を当社がリリースしたことに端を発する比較的新しい市場であり、現在の国内市場では、当社グループが運営する「Creema」と、GMOペパボ株式会社が運営する「minne」の二大サービスが市場を牽引しております。

 一般社団法人日本ホビー協会が発行している『ホビー白書2017年版』、『ホビー白書2018年版』と『ホビー白書2019年版』によれば、日本のハンドメイドマーケット市場の直近5ヵ年の年平均成長率(CAGR)は154%と非常に高い水準で推移しております。

 また、近年ではスマートフォンの普及等を背景に個人間の電子商取引(CtoC)の市場が年々拡大を続けております。それにともない、個人によるECサイトの開設や、企業によるECサイトの提供が増加基調にあり、このトレンドも相まってオンライン上でのハンドメイド製品の流通も一般化しており、今後も市場規模は引き続き一定水準以上の高成長率で拡大することが見込まれます。

 さらに、当社グループのマーケットプレイスはプラットフォームとしての一面を持つため、流通規模が拡大するにつれて、取引に携わるクリエイター数や会員数、作品数等が増加し、それに伴い、プラットフォームとしての価値も高まっていく構造にあります。プラットフォームとしての価値の高まりが、我々のプラットフォームが生み出す収益、例えば広告サービスからの収益や、クリエイター・会員向けの支援サービスの収益を押し上げることで、当社グループの事業が関わる市場規模は一層拡大していきます。そのため、当社グループが提供するサービスの潜在市場規模は、単純なハンドメイドマーケット市場の市場規模を優に超える巨大なポテンシャルを保持していると考えております。

 当社がオンラインハンドメイドマーケットプレイス「Creema」を立ち上げて以降、業界の先駆者として市場の成長を牽引して参りました。2024年2月期の「Creema」の流通総額は165億円を突破し、日本最大のハンドメイドマーケットプレイス・同市場のマーケットリーダーとしての地位を一層強固なものにしております。また、クリエイターの活動を支援するその他の様々なサービスも力強く伸長し、2024年2月期には、売上も過去最高額を達成しております。今後も市場の動向やトレンド、ニーズを的確に捉えた経営を行い、引き続き「クリーマ経済圏」の拡大に取り組んで参ります。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 2024年2月期においては、プラットフォームサービス(前期比108%)および、戦略投資を続けている新サービス群(前期比255%)が力強い伸長を継続し、全社成長を牽引しました。一方で、マーケットプレイスサービスにおいて、前年の2023年2月期に実施した大規模なTVCMの反動影響に加え、新型コロナウイルス感染症の5類移行(2023年5月)を境とする外出需要の更なる追加拡大(リオープニング)による反動影響が想定以上に大きく、「Creema」は厳しい環境下での事業運営となりました。結果として、当連結会計年度における流通総額は165.8億円(前期比99%)、売上高は1,602,840千円(前期比98%)となり、僅かながら前年を下回る結果となりました。しかしながら、そのような逆風の中にあってなお、年間の流通規模は165.8億円と引き続き業界No.1であることを前提に、国内ハンドメイドマーケット市場におけるマーケットリーダーとしてのポジションはより一層強固なものとなりました。また、イベントサービスにおいては、年2回開催した大型イベント「HandMade In Japan Fes’」は期初の予算以上の実績とはなったものの、前期には2023年1月をもって全店閉店となったストアサービス(Creema Store)の売上が計上されていたこと、また今年度の開催を見合わせた音楽とクラフトの野外フェスティバル「Creema YAMABIKO FES」の売上も計上されていたこと等から、今期はその売上分の下方圧力があり、当連結会計年度の売上高が141,658千円(前期比69%)となっています。

その結果、2024年2月期連結会計年度の連結売上高は2,508,966千円(前期比100%)となり、成長が横ばいとなりました。

一方で、コスト面においては、2024年1月末にリリースされたネットショップ開設サービスの「InFRAME」に係る開発投資など、中長期的な成長を企図した投資は大胆かつ計画通り継続しつつも、網羅的なコストコントロールに取り組み、当初の想定よりも大幅にコストを圧縮することができたことから、2024年2月期連結会計年度の営業利益は41,436千円(前期比427,083千円増)、経常利益は68,923千円(前期比453,640千円増)、親会社株主に帰属する当期純利益は79,143千円(前期比487,462千円増)となり、売上こそ前年比横ばいとなりますが、各利益についてはいずれも大幅な増益となりました。

 このような逆風にあってなお、売上規模の維持と利益の大幅成長を続ける中で、今後も当社が持続的かつ非連続的な成長を目指す上では、2025年2月期において、「マーケットプレイスサービスの成長」「利益率の改善」「新規事業の成長促進」の3つが当社の戦略課題になると考えています。

マーケットプレイスサービスは、当社のクリエイターエンパワーメント事業の中で、売上・利益の規模が最大、かつその他の事業成長に影響を及ぼす当社の中核サービスです。しかしながら、上述した通り、新型コロナウイルス感染症の5類移行(2023年5月)を境に外出需要が追加拡大(リオープニング)した反動影響と、2023年2月期に実施したTVCMを含む大規模プロモーションの反動影響が大きな下方圧力となり、「Creema」の流通総額はその成長率が一時的に鈍化しました。ただし、リオープニングによる反動影響も、TVCMの反動影響も、2025年2月期の第2四半期までと想定されるため、マクロ/ミクロ環境ともに第3四半期以降は「Creema」の自力を発揮できる環境が整います。当社全体の成長、競争力の向上を実現するためにも、2025年2月期には、当該事業の再成長に注力する必要があります。

また、2024年2月期は、営業利益で前期比427,083千円増、親会社株主に帰属する当期純利益で前期比487,462千円増と、いずれも大幅増益となっています。一方で、利益率を見ると、最盛期の2022年2月期の営業利益率が14%、経常利益率が16%、当期純利益率が10%であるのに対し、2024年2月期の営業利益率は2%、経常利益率は3%、当期純利益率が3%に留まっています。このような利益率の変遷は、将来的な非連続的成長の実現に向けて、新規事業投資やM&A、プロモーションの拡大、外注人員の拡大による開発投資を増額し続けてきたことによるものですが、そのような成長投資を持続的かつ積極的に推進し続けるためにも、今一度当社の利益率を高め、適正利益を確保していく必要があると考えています。

さらに、急成長中のクラウドファンディングサービス「Creema SPRINGS」やレッスン動画プラットフォーム「FANTIST」に加え、2024年2月期末には、ネットショップ開設サービス「InFRAME」も「クリーマ経済圏」に新たに加わりました。いずれのサービスも、それ単体で十分な成長ポテンシャルを保持しているとともに、「クリーマ経済圏」全体の価値向上に寄与するものであると同時に、全てのサービスが高成長を継続しています。当社の将来の収益基盤強化のためにも、これら新サービスの成長を一層加速させるべく、引き続き戦略投資を継続する必要があります。

「Creema」の流通成長率が再成長軌道にのれば、その周辺事業としてサービス連動しているプラットフォームサービス(内部広告・外部広告等)や新サービス群(クラウドファンディング・レッスン動画プラットフォーム等)も連動して成長速度がさらに加速し、全社の売上が大きく増加します。また、並行してコストの適正化を進めることで、利益率が改善されれば、売上増加も相まって、キャッシュインフローが拡大し、拡大したキャッシュインフローから得た資金を、新規事業やM&Aに投資することで、次の収益の柱を育成し、より大胆に中長期ないし非連続的成長の足場を固めることができます。足元の売上が成長し、利益率・キャッシュ・フローの改善が行われれば、株主の方々への還元が可能となります。加えて、新規事業による将来的な収益向上が本格的に見込まれるタイミングになれば、尚更そのトレンドは高まると考えています。

これらを実現するため、2025年2月期には、「①マーケットプレイスサービスの成長に向けた顧客基盤の強化」「②コストの適正化、生産性向上による利益率の改善」「③新サービスへの成長投資」の3つを戦略の中心に据え取り組んで参ります。具体的には、①について、検索機能やユーザーインターフェースの大幅改善を始め、顧客の体験品質向上を目的に「Creema」プロダクトの磨き込みを継続して行って参ります。また、「Creema」と補完関係にある「InFRAME」の機能追加ならびに出店拡大戦略に注力し、クリエイターの方々により多くの販路を提供するとともに、「Creema」と「InFRAME」により多くの作品と利用者が集まる状態を構築し、マーケットプレイスサービス全体の価値を高めて参ります。その上で、一定のプロモーションコストを投下し、顧客価値・顧客満足度が一層高まった「Creema」をより多くの方々に体験してもらうことで、「Creema」の顧客基盤をより一層強固なものとし、来期以降の本格成長に向けた足場固めを行います。②については、コスト構成比の中でも割合の大きいプロモーション費について、 前期同様、広告効率の改善に取り組み、効果は維持しつつも、金額は前年比で更に縮小させるとともに、次いで規模の大きい人件費・開発関連費および外注費についても抜本的な見直しを行い、組織の生産性を一層高めることで、まずは営業利益率を前期比3倍程度まで引き上げ、来期以降も必然的に利益率が向上していく体制構築を目指します。③については、「Creema SPRINGS」にて営業および編集強化を通じプロジェクトの数と質の更なる向上を進めます。また、「FANTIST」では、プラットフォームに相当量のレッスン動画が蓄積されてきたため、CRMを今まで以上に強化し、レッスン動画の購入率・購入回数・購入単価の改善を進めて参ります。最後に「InFRAME」は、リリース間もないこともあり、今期は機能追加およびプロモーションに集中し、流通・売上成長の先行指標となる登録者数・出品数を着実に増加させ、将来の飛躍に向けた足場を固めて参ります。

 これら全ての施策を連携させながら、全体の顧客価値の最大化を図ると同時に、当社サービス及び市場の拡大、「クリーマ経済圏」の確立に取り組んで参ります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 当社は、「本当にいいものが埋もれてしまうことのない、フェアな世界をつくろう」をコンセプトに、ハンドメイドマーケットプレイス「Creema」を中心としたクリエイターエンパワーメント事業を展開しています。クリエイティブの世界では、才能があり、努力をしたとしても、それが必ずしも公正公平に報われないことが多々あります。そうした社会構造を我々は事業を通じて是正し、才能や努力が、機会や評価に結びつくフェアな世界を構築し、創造的な仕事をする全ての人に新たな可能性を開けるよう、日々邁進しております。

また、フェアな世界を構築するという社会的責任を果たすにあたり、私たち自身が多様な人材を受け入れ、従業員がその才能を最大限に発揮し、彼らの努力や成果が適切に評価されるような組織作りにも努めています。全ての従業員に出来る限りフェアな機会と成長の場を提供し、その結果として高いモチベーションと創造力が当社の組織全体に浸透しています。

今後も我々は社会的責任を重視し、透明性の高い経営を心がけるとともに、全てのステークホルダーとの建設的な関係を維持することで、持続可能な社会の構築に向けて邁進して参ります。

 

(1)ガバナンス

 当社では、サステナビリティを含めた全ての企業活動において、透明性と責任を確保するために強固なガバナンス体制を整備しています。具体的には、取締役会を月に1回以上定期的に開催し、経営の全体像を確認し、戦略的な意思決定を行っています。また、経営会議も月に1回以上行われ、ここでは日々の業務運営における具体的な課題が議論され、迅速な対応策が検討されます。

 さらに、リスク管理とコンプライアンスの強化を目的としたリスクコンプライアンス委員会を四半期ごとに開催しており、経営リスクの評価と対策の実施状況を確認しています。この委員会では、サステナビリティに関連するリスクも重点的に監視され、必要に応じて戦略的な調整が行われます。

 加えて、内部監査の体制を整え、企業活動が法令遵守のもと、効果的かつ効率的に運営されているかを継続的に評価しています。この監査により、ガバナンスの問題点を早期に発見し、改善策を迅速に講じることが可能です。

 当社のこれらの取り組みは、サステナビリティの実現に向けた強固な基盤を築くとともに、ステークホルダーからの信頼を獲得し、持続可能な成長を支えるものです。

 

(2)戦略

 当社の持続可能性戦略の核となるのは、人的資本の管理です。私たちは社内コミュニケーションを活性化し、組織全体の結束を強化するため、年に1度の戦略発表会と毎月の社員総会を定期的に開催しています。これらの会議では、経営層から最新の戦略的方向性が発表され、社員全員が会社の目指す未来像とその実現に向けた具体的なステップについて共有し、理解を深めます。また、クリエイティブな刺激と社員間の更なる交流を促すための取り組みとして「一丸プロジェクト」があり、外部のクリエイターを招き、インスピレーション豊かなワークショップを定期的に実施するなど、新たなアイディアの創出とチームワークの向上が図られています。

 勤務体系の面では、柔軟性を重視しており、出社とオンラインを組み合わせたハイブリッドモデルを採用しています。これにより、社員は対面でのコミュニケーションを通じて互いの絆を深めるとともに、自宅でのリモートワークでも効率的に業務を進めることができます。そのために、全業務のデジタル化を進め、書類の電子化を含む多岐にわたるプロセス改善を実施しており、これが柔軟な働き方を支える基盤となっています。

 また、従業員の成長支援策として、社員が自らのキャリアパスをデザインできるよう「Creema Career(ジョブチェンジ制度)」を設けています。また、資格取得や専門講座への参加を促し、そのための資金補助も提供しており、社員は自己実現とプロフェッショナルスキルの向上を図ることができます。これらの戦略的取り組みにより、当社は「全員がその才能を最大限に発揮し、ともに成長する」という理想的な職場環境を目指しています。

 上記に加え、事業活動を通じてクリエイターの活躍を支援しており、個々が自分らしく輝ける社会の実現・多様な働き方の実現を推進しています。また、伝統工芸を含めたクラフト文化の保全にも努め、クラフト・ハンドメイドを軸とした地方創生にも貢献しています。これらの活動は、持続可能で多様性に富んだ社会への貢献だけでなく、新たな価値創造の機会を提供します。当社はこれらの基盤の上にさらなる革新を重ね、未来に向けて持続可能で包摂的な社会の実現を目指して参ります。

 

(3)リスク管理

 当社では、サステナビリティの達成と持続可能な成長の保証に向け、包括的なリスク管理体制を整えています。この枠組みの中核となるのは、リスクコンプライアンス委員会の定期的な開催です。当委員会は四半期ごとに集まり、企業活動を取り巻く重要リスクの特定、発生状況のモニタリング、及び問題が生じた際の迅速な報告と対応策の議論を行います。これにより、リスクに対するプロアクティブなアプローチを確立し、事業の持続可能性を高めています。

 加えて、内部監査チームの設置により、組織全体のガバナンス、リスク管理、コントロールプロセスの効率性と有効性を評価しています。内部監査は年間を通じて実施され、内部監査方針に基づき選出された抽出事項の詳細な検証及び改善措置の実施状況を適宜、リスクコンプライアンス委員会や取締役会、経営会議に報告しています。これにより、組織全体のリスク対応能力の強化と、経営の透明性向上を図っています。

 特に重要度の高いリスクや問題については、速やかに取締役会や経営会議で議論が行われ、全社的なレベルでの迅速な意思決定と対応が可能です。このプロセスを通じて、当社は不確実性の高いビジネス環境の中でも、機動的に対応し、サステナビリティの目標達成に向けた企業活動の基盤を固めています。当社のリスク管理体制は、絶え間ない改善と進化を続けており、全社員が一丸となってリスクに対処する文化の醸成を目指しています。

 

(4)指標及び目標

 当社はサステナビリティへのコミットメントを反映するため、持続可能な成長に寄与するさまざまな活動を推進しています。リスクコンプライアンス委員会では、企業活動を取り巻く重要リスク項目を継続的に確認し、それらが当社に与える影響を見定め、定期的に戦略を見直しています。

 また、組織の生産性向上を目指し、業務効率の改善と社員のパフォーマンス向上にも取り組んでいます。定期的な研修の実施、業務プロセスの最適化、先進的なテクノロジーの導入による作業環境の改善が、これらの目標達成に寄与しています。

 なお、当社の女性管理職の比率は現在45%に達しており、この数字は、多様な人材が公平に評価される環境を当社が提供していることの証左ですが、性別に基づく数値目標を特段設けておらず、個々の能力と貢献を基にキャリアの機会を公平に提供することで、結果的に多様性と包摂を実現しています。

 我々は引き続き人的資本経営の一層の強化を目指し、重要なテーマや指標の検討・策定を今後も続けて参ります。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)インターネット関連市場について

 当社グループはオンラインマーケットプレイス「Creema」の運営を主力サービスとし、同サイト上からの販売手数料収入と広告収入を主な収益源としています。同サービスの持続的な成長のためには、インターネットにおける技術の改善、環境の整備、そして利用の拡充が今後とも継続することが重要な要因と考えております。しかしながら、革新的な新技術や大幅な規制変更により、インターネット関連市場の利便性が損なわれ、今後のインターネットショッピングサイトの運営の遂行が困難になった場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)ビジネスモデルや消費者の嗜好の変化について

 当社グループが主力サービスを運営するインターネット業界は、技術革新のスピードが速く、新技術の開発、新しいビジネスモデルによる新規参入者、顧客のニーズの変化等のリスクが存在します。そのため当社グループの事業の成長及び成功は、このような経営環境の変化に対して、迅速かつ柔軟に対応する経営執行能力及び技術開発力に依存しています。しかしながら、当社グループが、このような事業環境の変化に機敏に対応できず、消費者のニーズを取り込むことができない場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)システムトラブルについて

 当社グループはオンラインマーケットプレイスの運営が主力サービスであり、その安定的な運用のためのシステム強化及びセキュリティ対策に注力しています。しかしながら、システムへの一時的な過負荷、ソフトウエアの不具合、外部からの不正なアクセスによるシステムへの侵入、地震や火事等の災害、予期せぬ電力供給の停止、事故等によって、当社グループのシステムがダウンした場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)情報セキュリティについて

 当社グループは、第三者からのサーバー等への侵入に対して、ネットワーク監視システム等で常時モニタリングを行い、データの送受信にあたっては暗号化を行う等のセキュリティ対策を講じております。

 しかしながら、ハッカー等の悪意をもった第三者の攻撃等により、顧客情報及び顧客の有する重要な情報を不正に入手される可能性や、顧客が利用するデータが改竄される可能性、又は各サービスへの急激なアクセス増加に伴う負荷や自然災害等に起因するデータセンターへの電力供給の停止等、予測不可能な要因によってシステムが停止する可能性は否定できません。

 このような事態が生じた場合には、当社グループに対する法的責任の追求、企業イメージの悪化等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)個人情報の管理について

 当社グループは、オンラインマーケットプレイスの運営が主力サービスであり、そこで扱っている会員等の個人情報につきまして、システムを設計するうえでの配慮は当然ながら、個人情報に関する社内でのアクセス権限の設定や外部のデータセンターでの厳重な情報管理等、サーバー、管理画面及び物理的な側面からもその取り扱いに注意を払っております。

 また、社内での個人情報保護に関する研修を行なっており、個人情報を漏洩した際のリスクを含め個人情報保護の重要性の認識の周知徹底を行なっております。

 しかしながら、外部からの不正アクセスや、故意又は過失による情報漏洩、またそれら以外の想定していない事態は完全には排除できないことから、個人情報の外部流出等が発生する可能性があります。

 このような事態が生じた場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態並びに企業としての社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)知的財産権について

 当社グループは、運営するサイト及びイベントの名称について商標登録を行っており、当社グループが使用する知的財産権の保護を図っています。しかしながら、当社グループの知的財産権が第三者に侵害された場合、又は知的財産権の保護のために多額の費用が発生する場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループは、第三者の知的財産権の侵害を行わないよう監視を行っていますが、知的財産権の侵害を理由とする訴訟やクレームが提起された場合、またその紛争解決のために多額の費用が発生する場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)第三者への依存について

 当社グループは、ユーザーにスマートフォン向けアプリを提供していることから、Apple Inc.及びGoogle LLCが運営するプラットフォームを通じてアプリを提供することが現段階の当社グループの事業にとって重要な前提条件となっております。また、当社グループは、ユーザーの決済手段として、クレジットカード決済、コンビニ決済等の外部の事業者が提供するサービスを導入しています。したがって、これらの事業者の動向、事業戦略及び当社グループとの関係等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループは商品の配送についてヤマト運輸株式会社や日本郵便株式会社等の配送業者に依存していることから、今後これらの配送業者について取引条件の変更、事業方針等の見直し及び配送状況の変化等があった場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)人材の確保と育成について

 当社グループは、継続的な成長を達成するためには、優秀で熱意のある人材を確保し育成することが重要な課題の一つであると認識しており、優秀な人材の確保、育成及び活用に努めております。しかしながら、当社グループが求める優秀な人材を計画どおりに確保できなかった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)組織体制と内部管理体制について

 当社グループの組織体制は小規模であり、内部管理体制もそれに準じたものとなっていますが、今後の事業の成長とともに人員増強及び人材育成を図り、内部管理体制の一層の強化に努める方針であります。しかしながら、内部管理体制強化のための施策が十分に執行できず、内部統制管理に重大な不備が発生した場合や財務報告に係る内部統制システムが有効に機能しなかった場合には、当社グループの事業、業績及び財務報告の信頼性に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)新規事業について

 当社グループは、今後のさらなる事業拡大及び非連続的な成長を目指し、新サービスや新規事業に取り組んでいく方針であります。新規投資においては、将来性を考慮し慎重な判断を行う考えではありますが、人材、システム開発、固定資産や広告宣伝費等の追加投資が発生する可能性があります。そのような場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、新サービスや新規事業の属する市場の拡大スピードや成長規模によっては、当初想定していた成果を挙げることができない可能性があり、事業の停止、撤退等を余儀なくされ、当該事業用資産の処分や減損により損失が生じる可能性があり、そのような場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)自然災害等について

 大地震、台風等の自然災害及び事故、火災等により、システム開発・運用業務の停止、設備の損壊や電力供給の制限、配送網の分断、混乱等の不測の事態が発生した場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)新型コロナウイルス等の感染症の影響について

 新型コロナウイルスに代表される感染症・伝染病の流行等によって、拡散脅威や外出禁止令による経済活動の停滞や、国内消費量が減退する可能性があります。感染症の再流行・長期化が起きることで、イベントの開催自粛の継続や、直接顧客訪問ができないことで新規営業活動が想定通りに進まなくなる等のリスクがあると考えております。これらのリスクが顕在化した場合は、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)関連法規制について

 当社では、「Creema」上で発生した取引の代金を当社にて一時的にお預かりし、作品到着後にクリエイターに代金をお支払いする「あんしん決済システム」や、作品プロモーションサービスにおいて、クリエイターから広告費用としてデポジット金額を受領の上、作品プロモーションの利用料金をそのデポジット金額から充当する等、決済領域での会員への価値も提供しておりますが、いずれも資金決済に関する法律に定める資金移動業や前払い式支払い手段の発行には該当せず、資金決済に関する法律の適用を受けておりません。当社グループでは事業運営にあたり、上記の資金決済に関する法律のほか、不当景品類及び不当表示防止法、消費者契約法、特定商取引に関する法律、著作権法、意匠法、商標法、個人情報の保護に関する法律、特定電子メールの送信の適正化等に関する法律、電気通信事業法といった法令に抵触することが無いよう、顧問弁護士等の外部専門家と協議し、法改正等の情報収集を行い、従業員教育等を徹底するとともに、法令遵守体制の構築と強化を図っております。

 しかしながら、これらの法令の改正や新たな法令の制定、監督官庁の見解の変更、社会構造の変化等想定外の事態の発生等により当社グループの展開する事業が法令に抵触した場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)新株予約権について

 当連結会計年度末における新株予約権による潜在株式は、345,000株であり、発行済株式総数6,733,100株の5.1%に相当します。当社の株価が行使価格を上回り、かつ権利行使についての条件が満たされ、これらの新株予約権が行使された場合には、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。

 

(15)ベンチャーキャピタル等の株式保有割合について

 当連結会計年度末におけるベンチャーキャピタル及びベンチャーキャピタルが組成した投資事業組合(以下、「ベンチャーキャピタル等」という。)が所有している株式数は678,700株であり、発行済株式総数6,733,100株に占める割合は10.1%となっております。

 一般的にベンチャーキャピタル等が未上場会社の株式を取得する場合、株式公開後には保有する株式を売却し、キャピタルゲインを得ることがその目的のひとつであります。当社におきましても、当社の株式公開後、既にベンチャーキャピタル等が保有する当社株式の一部が売却されていますが、今後もベンチャーキャピタル等の保有株式の売却によって当社株式の需給バランスが短期的に損なわれ、株価の形成に影響を及ぼす可能性があります。なお、上記ベンチャーキャピタル等が所有している株式数には、株式公開後に取得された株式数を含めておりません。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末における総資産は、3,588,127千円となり、前連結会計年度末に比べ154,638千円増加いたしました。主な増減要因は、売掛金が24,602千円、未収消費税等が39,904千円、ソフトウエア及びソフトウエア仮勘定が36,320千円、未収還付法人税等が21,587千円減少した一方で、借入に伴い現金及び預金が257,385千円増加したことによるものであります。


(負債)
 当連結会計年度末における負債合計は、2,587,800千円となり、前連結会計年度末に比べ73,717千円増加いたしました。主な増減要因は、預り金が70,152千円減少した一方で、借入に伴い長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)が135,914千円増加したことによるものであります。


(純資産)
 当連結会計年度末における純資産合計は、1,000,326千円となり、前連結会計年度末に比べ80,920千円増加いたしました。主な増減要因は、親会社株主に帰属する当期純利益79,143千円の計上により利益剰余金が増加したことによるものであります。

 

② 経営成績の状況

 当社グループでは、「まるくて大きな時代をつくろう」を企業理念に、その実現に向けた第一弾の事業として、クリエイターエンパワーメント事業を推進しております。

 日本ならびに中国語圏におけるグローバルハンドメイドマーケットプレイス「Creema(クリーマ)」に加え、「Creema」と連携可能な唯一のネットショップ開設サービス「InFRAME」の運営を行うマーケットプレイスサービス、「Creema」のプラットフォームを活用し、出店クリエイター・企業・地方公共団体のマーケティング支援を行うプラットフォームサービス、日本最大級のクリエイターの祭典「HandMade In Japan Fes’(東京ビッグサイト)」等の大型イベントを展開するイベントサービス、さらには、クリエイターの創造的な活動を応援することに特化したクラウドファンディングサービス「Creema SPRINGS」、人気アーティストのレッスン動画プラットフォーム「FANTIST」等、クリエイターの活動を支援するサービスを様々な角度から展開し、まだ見ぬ巨大なクリーマ経済圏の確立と、クラフトカルチャーの醸成に力を注いでおります。

 マーケットプレイスサービスにおいては、入園入学といったライフイベントや、母の日やクリスマス等の季節のトレンドを捉えた各種マーチャンダイジング・キャンペーン施策を展開する等、クリエイター作品の魅力を訴求する様々な企画を実施しました。また「Creema」のユーザーインターフェース改善、検索機能の拡充、インフラ基盤の強化をはじめ、プロダクト面においても多面的な強化を推進しました。さらに、「Creema」及びハンドメイドマーケットプレイス市場の認知拡大を目的に、前期より今期3月にかけてTVCMを複数回放映してきましたが、並行してデジタルマーケティングの改善によるROASの向上にも取り組み、当該サービスの広告宣伝や販売促進に係るプロモーション費用を前年同期比57%まで大幅に圧縮することができました。加えて、日本最大のハンドメイドマーケットプレイス「Creema」と連携可能な唯一のネットショップ開設サービス「InFRAME」を2024年1月末にリリースしました。一方で、前期に大規模に実施していたTVCM効果の反動に加え、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴う外出需要の追加拡大(リオープニング)による影響が想定以上に大きかったことも重なり、マーケットプレイスサービスの流通総額は165.8億円(前期比99%)、売上高は1,602,840千円(前期比98%)で着地し、僅かに前年実績を下回る結果となりました。なお、当連結会計年度におけるクリエイター数は約27万人、登録作品数は約1,769万点、スマートフォンアプリのダウンロード数は約1,481万回を突破しております。

 プラットフォームサービスにおいては、「Creema」のプラットフォームならびにユーザー基盤を活用した企業・地方公共団体向けのPR支援を行う外部広告サービスにて、大手商業施設とコラボレーションしたクラフトイベントの開催や、海洋プラスチックごみの一因とされる“廃棄漁網”をアップサイクルするSDGsプロジェクトの実施、地方自治体と連携した各種地方創生プロジェクト等、当社にしかできない様々なPR企画をクライアントに対し提案・実現してきました。また、クリエイターが自身の作品を「Creema」上でプロモーションできる内部広告サービスでは、広告サービスの利用者数を増加させるべく、プロダクトの改善とその普及に努めました。その結果、プラットフォームサービスの売上高は683,592千円(前期比108%)での着地となっております。

 イベントサービス(旧イベント・ストアサービス)においては、2023年7月22日・23日、及び2024年1月13日・14日に、日本最大級のクリエイターの祭典「HandMade In Japan Fes'」を開催し、多くのクリエイター・来場者の方々にご参加いただき、コロナ前の全盛時に近い水準にまで活況を取り戻すことができました。一方で、前期には、2023年1月をもって全店閉店となったストアサービス(Creema Store)の売上が計上されていたこと、また今年度の開催を見合わせた音楽とクラフトの野外フェスティバル「Creema YAMABIKO FES」の売上も計上されていたこと等から、今期はその売上分の下方圧力があり、売上高は141,658千円(前期比69%)で着地いたしました。なお、今年度の開催を見合わせた「Creema YAMABIKO FES」については、来年度の2024年3月16日・17日に、時期・会場を変更して開催いたしました。

 当社グループの中長期的な成長を企図し、戦略的な先行投資を拡大している新サービス群では、クリエイターやものづくり事業者の創造的な活動を応援することに特化したクラウドファンディングサービス「Creema SPRINGS」において、引き続き多様なプロジェクトが起案され、その多くが目標支援金額を達成しております。また、クリエイターがレッスン動画を販売する動画プラットフォーム「FANTIST」においては、参加クリエイター数・出品動画数ともに順調に成長していることに加え、初学者向けに体系的なレッスンを提供するコースレッスン動画も順調に拡張いたしました。結果として、売上高は80,872千円(前期比255%)と大幅な成長を続けています。これら全てのサービスを連携させることにより、ユーザー価値の最大化を図ると同時に、当社グループのサービスの認知度向上及び市場の拡大、クリーマ経済圏の確立に取り組んで参りました。

 その結果、当連結会計年度における全社業績については、売上高は前年同期比100%となる2,508,966千円で着地いたしました。また、期初開示の通り、今期は新規事業領域及びシステム領域への成長投資を継続、拡大させておりますが、営業利益は41,436千円(前期から427,083千円の増益)、イベントサービスやプラットフォームサービスに係る補助金収入が計上された関係で経常利益は68,923千円(前期から453,640千円の増益)、直近の事業計画を踏まえ、繰延税金資産を計上した関係で親会社株主に帰属する当期純利益は79,143千円(前期から487,462千円の増益)となり、いずれも前年同時期との比較では大幅な増益となっています。

 なお、当社グループでは、クリエイターエンパワーメント事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ、257,385千円増加し、当連結会計年度末には2,632,228千円となりました。
 当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 営業活動により獲得した資金は、113,394千円(前連結会計年度は320,744千円の使用)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上68,923千円、未払消費税等の増加65,274千円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 投資活動により獲得した資金は、4,303千円(前連結会計年度は91,247千円の使用)となりました。これは主に、敷金及び保証金の回収による収入4,984千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 財務活動により獲得した資金は、137,538千円(前連結会計年度は169,838千円の使用)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出264,086千円の一方で、長期借入れによる収入400,000千円によるものであります。

 

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

b.受注実績

 当社グループは受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。なお、当社グループはクリエイターエンパワーメント事業の単一セグメントであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

クリエイターエンパワーメント事業

2,508,966

100.4

合計

2,508,966

100.4

 (注)主要な相手先別の販売実績及び当該総販売実績に対する割合については、総販売実績の10%以上の相手先がないため、記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針、見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える判断・仮定・見積りを必要としております。経営者は、貸倒引当金とポイント引当金等に関する判断・仮定・及び見積りについては過去の実績等に基づき、固定資産の減損処理については過去の実績等に基づいて将来キャッシュ・フローを予測し、また、繰延税金資産の回収可能性については過去の実績等に基づいて将来の課税所得を予測し、これらにつき合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる結果をもたらす場合があります。当社グループの連結財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 また、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.当連結会計年度の経営成績の分析

 当連結会計年度の経営成績の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② 経営成績の状況」をご参照ください。

 

b.当連結会計年度の財政状態の分析

 当連結会計年度の財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」をご参照ください。

 

c.当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性について

 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。当社グループの資金需要のうち主なものは、当社グループのサービスの認知度向上及び会員獲得のための広告宣伝費、及び事業拡大のための開発にかかる人件費及び外注費であり、さらにM&A等の投資を実施していく方針であります。これらの資金需要につきましては、自己資金、金融機関からの借入及び新株発行等により資金調達していくことを基本方針としておりますが、財政状態を勘案しつつ、資金使途及び需要額に応じて、柔軟に検討を行う予定であります。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 「3 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

 そのため、当社は常に市場動向、政府の政策に留意しつつ、内部管理体制の強化、優秀な人材の確保と育成等に力を入れ、当社の経営成績に重要な影響を与えるリスクに対し、適切に対応を行って参ります。

 

⑤ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗状況

 「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社グループは経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、登録作品数、アプリダウンロード数及び流通総額を重要な経営指標と位置付けております。

 当該指標については、当連結会計年度末の登録作品数は、前連結会計年度末と比べ114%、アプリダウンロード数は同107%、また、流通総額は同99%の水準となっております。これは、現時点において予定通りの進捗となっており、今後の業績に寄与するものと期待できることから、順調に推移しているものと認識しております。

 

    <マーケットプレイスサービスの重要指標推移表>

 

2021年

2月期末

実績

2022年2月期末

2023年2月期末

2024年2月期末

実績

前期比

実績

前期比

実績

前期比

登録作品数(万点)

1,131

1,348

119%

1,549

115%

1,769

114%

アプリダウンロード数

(万回)

1,120

1,253

112%

1,391

111%

1,481

107%

流通総額

(百万円)

15,419

16,067

104%

16,834

105%

16,584

99%

   ※登録作品数はサービス開始時点から当該期末までの累積数、アプリダウンロード数はアプリリリース時点から当該期末までの累積数、流通総額は期末時点の各期の合計

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。