第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 

(1)経営方針

当社グループは「人の役に立つ」を経営理念に、自動車用バックミラーやヘッドアップディスプレイ用ミラーをはじめとする安全視認技術の「ものづくり」を通じて、グローバルに安全・安心・快適な社会の実現に貢献します。また、持続的成長に向けて、新たな事業領域の開拓、事業の多軸化にも積極的に取り組んでまいります。

そして、「健康・信頼・親和」の社是の下、従業員をはじめステークホルダーとの信頼関係を築き、社会とともに発展できる企業であり続けられるよう、すべての企業活動において社会的責任を果たしてまいります。

 

(2)経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標

当社グループは売上高、営業利益及び経常利益を、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として用いております。

 

(3)経営環境・中期的経営戦略と優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 今後の事業環境につきましては、引き続き自動車産業は回復基調とみられますが、一部、2024年3月期の後半より発生した自動車メーカーの一時的な生産停止による業績への影響が予想されます。また、経済面では、各国の金融引き締め策の影響などによる自動車需要の減退、地政学的分断による原材料やエネルギー価格のさらなる高騰など、景気悪化のリスクも懸念されます。

 

  このような事業環境において当社では、中長期を見据えたサプライチェーン全体の最適化による収益構造改革を進めてまいります。また、2024年4月に本部制から事業部/本部制のハイブリッド型組織へ移行し、営業マーケティング機能や開発機能を備えた4つの事業部に再編いたしました。バックミラーをはじめ既存事業の競争力強化に注力する「車載事業部」、バックミラー以外での車載製品の開発と事業化を目指す「車載ソリューション事業部」、自動車向けヘッドアップディスプレイ用ミラーなど多機能ガラスの技術を生かした「オプトロニクス事業部」、新たな成長分野を探索し事業化を図る「社会イノベーション事業部」、それぞれが専門分野に特化した事業展開を活発化し、収益力の強化と事業の多角化を加速いたします。また、社内リソースのみならず、外部技術の活用や他社との協業・提携なども視野に入れた戦略的投資を拡充することで、当社の優位性となる新技術や新製品の早期創出につなげ、持続的成長を果たしてまいります。

 

  経営基盤の強化におきましては、DXの推進による意識改革と業務改革、気候変動への対応、コンプライアンス・リスクマネジメント強化に加え、人財育成や働き方改革などにより従業員一人ひとりが持てる能力を最大限に発揮し、いきいきと働く企業を目指してまいります。

 

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループは「村上開明堂グループ企業行動憲章」において、人権を尊重し、あらゆる法令やルールを遵守し、社会的良識と地球環境への配慮をもって社会の発展に貢献することが企業の社会的責任であると定めております。具体的には、安全・品質、コンプライアンス、情報公開、人権・労働、環境、社会貢献、反社会的勢力への対応、国際社会の発展、ガバナンスへの取り組みを推進し、企業活動のさまざまな側面において、持続的成長と持続可能な社会の実現を一体として目指しております。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ

①ガバナンス

 各本部は、サステナビリティの課題を抽出して中期計画及び年度目標に落とし込み、進捗を管理しております。経営企画本部は進捗をとりまとめて取締役会に報告しており、重要事案の発生時は、取締役会にて事業や財務への影響を勘案して意思決定し、迅速に活動に反映いたします。

 

 気候変動への対応においては、経営会議の下部機構としてカーボンニュートラルを推進する委員会を設置し、それに紐づく「省エネ活動分科会」「環境情報分科会」「環境エネルギー分科会」「クリーン輸送分科会」「エコ製品開発分科会」「クリーン調達分科会」と関連する各組織が実行計画の策定を進めております。今後、経営会議において実行計画をとりまとめ、取締役会にて審議のうえ決議いたします。

 また、進捗管理体制につきましては経営会議にて定期的な進捗報告を行い、重要事案の発生時は、取締役会にて事業や財務への影響を勘案して意思決定し、迅速に活動に反映いたします。

 

②戦略

 〈経営理念〉 社業を通じて人の役に立つ

 〈ビジョン〉 みえる安心があなたをもっとアクティブにする

 〈ミッション〉革新的な製品・ソリューションを創造し続ける

 

 当社は、行動指針を定めて全ての村上開明堂に関わる人たちの為にサステナビリティ(持続可能性)経営を追求してまいります。

 

 〈行動指針〉

(1) ものづくり精神の継承(ものづくり)

(2) 高い品質を造りこみ、安全・安心な製品の提供(品質・安全・安心)

(3) 140年を経て更に進化するイノベーションの追求(技術革新)

(4) 地球環境に寄り添う意識と配慮を持ち続ける(環境対応)

(5) 持続的成長の実現のためにSDGs貢献企業へ(SDGs)

 

③リスク管理

 各本部において本来業務としてリスクマネジメントを行い、リスクが顕在化した場合または顕在化のおそれが生じた場合には経営会議に報告し、重要度及び影響度の高いリスクにおいては取締役会にて事業や財務への影響を勘案して意思決定し、迅速に活動に反映いたします。

 

 気候変動への対応においては、カーボンニュートラルの各分科会及び関連する各組織が、リスクの洗い出し・評価を行い、カーボンニュートラルを推進する委員会及び経営会議が全リスクの重要性を総合的に評価し、取締役会へ報告します。

 

④指標及び目標

取り組みの一つであるカーボンニュートラルについて、2035年までに本体(本社・築地・藤枝・大井川)の工場・事務所のCO2排出を実質ゼロに挑戦します。

 

CO2排出量の削減と再生可能エネルギーへの転換のための具体的な活動といたしまして、2023年10月より本社(静岡県静岡市)にCO2フリー電気を導入し、本社で使用する電力の全量を再生可能エネルギーで対応しております。また築地工場(静岡県藤枝市)および大井川工場(静岡県藤枝市)の屋上全面に太陽光発電パネルを設置し、築地工場では2022年2月1日より年間約818MWh、大井川工場では2024年3月より年間約1,160MWhの太陽光発電を行い生産活動に使用しております。また、村上開明堂九州(福岡県朝倉市)にも同規模の太陽光発電の導入を来期予定しております。気候変動対応をはじめリスク及び機会がもたらす当社事業・財務への実際の及び潜在的な影響を精査し、重要性に応じて開示を進めてまいります。

 

 

(2)人的資本

①戦略

当社の持続的成長を支える最も大切な経営資源は「人財」と捉え、社員一人ひとりが専門性を高めるとともに、自己の役割を認識し、経営目標の実現に向けて、そのパフォーマンスを最大限に発揮できる制度・環境整備に取り組んでおります。

(人財マネジメントポリシー)

1.チャレンジする人財を応援する

2.社員一人ひとりの自律的なキャリア形成を支援する

3.多様な人財が活躍する場を提供する

4.プロとしての能力開発を支援する

 

1)ダイバーシティ&インクルージョン

多様な個性を活かすことが新たな価値創造及び持続的成長につながると考え、以下の取り組みを行っております。

 

a.女性の活躍推進

2015年より、女性活躍推進プロジェクトを発足し、キャリア形成支援のための研修機会を提供するとともに、ライフステージの節目においても、継続的に活躍できるよう「在宅勤務制度」、「フレックス勤務制度」の導入、「短時間勤務制度」を拡充するなどして、柔軟で多様な働き方を推進しております。

 

b.男性社員の育児目的休暇取得

社内ポータルサイトへ関連情報の掲載、相談窓口の設置等、啓蒙活動を推進しております。今後は、さらにマネジメント層の理解を深めるための取り組みを通じて、誰もが望む形で仕事と育児を両立できる職場づくりを目指してまいります。

 

2)健康経営推進

 当社社是である「健康・信頼・親和」のもと、全社員が笑顔でいきいき働くことが出来る環境づくりに取り組んでいます。その取り組みとして、心理的安全性の向上を目的としたコミュニケーション研修の実施、健康意識の醸成・病気の早期発見・治療を目的とした健康相談・保健指導等を実施しております。こうした取り組みが評価され、前年度に引き続き、2024年3月「健康経営優良法人2024」に認定されました。

 

②指標及び目標

   (ダイバーシティ&インクルージョン)

指標

目標

当事業年度実績(%)

女性リーダー層の割合

2025年3月末まで7.0

6.8

男性社員の育児休業等取得割合

2025年3月末まで20.0

11.1

(注)1 当社グループでは、上記「①戦略」において記載した人財育成方針および社内環境整備方針に係る指標については、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、指標に関する目標及び実績は、提出会社のものを記載しております。

2 女性リーダー層は、管理職に加え、係長級(総合職)を含めております。

 

3【事業等のリスク】

当社グループの業績、株価及び財務状況等に関するリスクのうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある項目を以下に記載します。ただし、これらのリスクは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載した項目以外にも予見しがたいリスクが存在し、当社グループの業績、株価及び財務状況等に悪影響を与える可能性があります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、現段階においてリスクが高いと思われる項目を優先的に記載しております。

 

(1)自動車業界の動向と価格競争に関するリスク

当社グループでは、自動車業界向け製品が売上高の9割以上を占めており、当社グループの事業活動や業績は自動車生産量の変動等自動車業界の動向に左右される一面があります。また、世界的に自動車の販売競争が激化するなかで、当社グループを含む部品メーカーにおいても原価低減への対応等が求められております。当社グループでは不断の努力によりQCD(品質・コスト・納期)トータルで競争力の維持向上を図っておりますが、価格低減要請への対応、または価格面で有効に競争できない場合の収益性悪化が、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)海外事業展開に潜在するリスク

グローバル化の進展とともに各地域市場に即した現地事業活動の重要性は年々高まっており、当社グループでは日本のほか、タイ、インドネシア、中国、米国、メキシコ、インド、ドイツで生産及び販売等の事業活動を行っております。対象となる市場地域においては、当社グループにとって不利益となる政策の変化、景気変動、為替変動、法規の改正やそれに伴うコンプライアンス違反、文化や慣習の違いから生じる訴訟問題、感染症のまん延、地震や洪水等の自然災害、戦争やテロ等のリスクが内在しております。これらの予期せぬ事象が発生した場合、生産活動の縮小や停止、販売活動の停滞を余儀なくされ、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)製品品質に関するリスク

当社グループは、国内外の生産拠点において国際品質マネジメント規格や自動車業界の顧客が求める基準に従い、製品の品質管理を行っております。しかしながら、品質上の欠陥が生じた場合や、それによるリコールが起きた場合は、多額のコストが発生するだけでなく信用の失墜を招き将来的な売上高が減少する等、当社グループの業績や事業活動に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)調達に関するリスク

当社グループは、原材料や部品を複数の供給者から調達しており、供給者とは基本取引契約のもと、品質・コスト・納期面で当社グループとの相互努力による安定取引を推進しております。しかしながら、需要の増加等による供給不足、市況の変化による価格高騰、供給者の被災及び事故等による供給停止等が生じた場合、当社グループの生産体制及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)新製品及び新技術開発に関するリスク

自動車用バックミラーの次世代技術開発をはじめとして、新製品及び新技術の開発に積極的な投資を行っております。しかしながら、市場ニーズに対してタイムリーに新製品を提供できなかった場合、新製品が市場ニーズに適合しなかった場合、自動車のEV化に伴う電機メーカーなど異業種メーカーの参入によるサプライチェーンの再編や予期せぬ新技術の台頭があった場合等は、収益性や成長性が低下する等当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)知財に関するリスク

当社グループは、技術的差別化による収益貢献を目的として技術特許の取得と活用に努めておりますが、特定の地域では当社グループの知的財産権が完全に保護されず、第三者が当社グループの知的財産を使用して類似製品を製造することを効果的に防止できない場合があります。一方で、当社グループが第三者の知的財産権を侵害していると主張される可能性もあり、和解交渉のための費用、損害賠償やロイヤリティーの支払いのための多額の費用が生じた場合、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(7)情報セキュリティに関するリスク

当社グループでは、顧客の技術情報等の重要な機密情報や、顧客その他関係者の個人情報を取り扱っており、これらの情報の外部流出を防止するため、情報セキュリティ体制を強化し情報システムの安全な運用に努めております。しかしながら、コンピューターウイルスやサイバー攻撃、不正アクセス等により情報漏洩等のセキュリティ事故が発生した場合、その影響を受けた顧客その他関係者への賠償金の支払い、法的罰則、当社グループの社会的評価の低下等が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)事業買収や資本提携等に関するリスク

当社グループでは、事業拡充や技術開発の促進等のため事業買収や資本提携等を行うことがありますが、買収した事業等を当社グループの事業戦略に効果的に組み込めない場合、当社グループの事業活動に影響を与えるほか、のれんの減損や事業売却損の費用発生等が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)自然災害等に関するリスク

当社グループでは、日本国内に5拠点、海外6か国で工場が稼働しており、生産及び調達活動を分散するとともに、地震等災害に備えた事業継続体制(BCP)を整備し事業継続性の確保に努めております。しかしながら、本社及びグループの中核工場は静岡県の中部地域に集中して立地していることから、この地域で大規模地震等の災害が発生した場合、本社機能を含め、生産・調達・販売・開発の企業活動が停止する可能性があります。

 

(10)気候変動に関するリスク

物理的なリスクとして、異常気象による台風や洪水などの大規模災害が発生した場合、当社グループや取引先の従業員、工場設備、サプライチェーンが被害を受け、生産・販売活動が停止し、当社グループの資産にも損害を及ぼす可能性があります。

低炭素社会への移行リスクとして、温室効果ガスの排出規制強化や市場ニーズの変化に適合するため大幅にコストが増加する可能性があり、適合に遅れが生じた場合には製品の販売や受注に支障が出る可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

  当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

  当連結会計年度は、新型コロナウイルスの感染予防対策の緩和にともない経済活動が正常化し景気が回復した一方で、ウクライナや中東における地政学的リスクの高まりや、世界的なインフレとそれに伴う金融引き締め等により景気の拡大には減速感もみられました。

 

  当社グループの主力事業である自動車業界では、半導体など部材の供給不足解消が進み、自動車の生産量はコロナ禍前の水準となりました。また、原材料価格や労務費上昇などを背景に価格負担の見直し対応も広がり始めました。一方で、各国の長引くインフレや金融引き締め策にともなう消費者の買い控え、EVシフトの広がりによる競争の激化、期間の後半では国内自動車メーカーにおいて一時的な生産停止が発生する等、成長ペースが鈍化する動きもありました。

 

  このような状況のなか、当社グループでは全地域セグメントにおいてバックミラーの販売が増加し、コロナ禍の中で取り組みを強化した原価低減活動の成果も表れました。国内や北米において生じた原材料やエネルギー価格の高騰、賃上げ実施などはコストアップ要因となりましたが、販売価格の見直し等により一部の回収が進展しました。

 

 セグメントごとの業績は次のとおりであります。

 

(日本)

 半導体部品不足等に起因する自動車メーカーの減産影響が縮小し、主力の自動車用バックミラーの販売数量が増加した結果、売上高は前連結会計年度に比べて5,120百万円(11.3%)増加し、50,418百万円となりました。営業利益は、仕入価格高騰や輸入部品の円安影響を受けたものの、売上高の増加により2,542百万円となり、前連結会計年度に比べて979百万円(62.6%)の増加となりました。

 

(アジア)

 インドネシア及び中国における自動車用バックミラーの販売数量が増加した結果、売上高は前連結会計年度に比べて3,544百万円(12.8%)増加し、31,228百万円となりました。営業利益は、4,132百万円となり、前連結会計年度に比べて1,004百万円(32.1%)の増加となりました。これは主にインドネシアにおける売上高増加や、中国においては、売上高の増加と前連結会計年度に発生した上海ロックダウンの影響による材料費、物流費等の負担増が無くなったことによるものであります。

 

(北米)

 米国及びメキシコにおける自動車用バックミラーの販売数量増加や為替換算上の影響により、売上高は前連結会計年度に比べて5,293百万円(30.0%)増加し、22,954百万円となりました。営業利益は、米国及びメキシコにおける売上高の増加や、米国における物流費の減少等により946百万円となり、前連結会計年度に比べて617百万円(187.0%)の増加となりました。

 

 以上の結果、当連結会計年度の売上高は104,601百万円となり、前連結会計年度に比べて13,958百万円(15.4%)の増加となりました。

 また、営業利益は8,336百万円となり、前連結会計年度に比べて2,752百万円(49.3%)の増加、経常利益は9,316百万円となり、前連結会計年度に比べて2,896百万円(45.1%)の増加、親会社株主に帰属する当期純利益は5,887百万円となり、前連結会計年度に比べて517百万円(9.6%)の増加となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度と比較して3,707百万円増加し、当連結会計年度末には41,340百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況につきましては次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動による資金の増加は、11,917百万円(前連結会計年度は7,771百万円の増加)となりました。これは、主に税金等調整前当期純利益9,496百万円、減価償却費4,124百万円、売上債権の減少453百万円、仕入債務の減少1,252百万円、棚卸資産の減少1,032百万円、法人税等の支払額2,072百万円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動による資金の減少は、2,974百万円(前連結会計年度は2,623百万円の減少)となりました。これは、主に定期預金の預入による支出3,961百万円、定期預金の払戻による収入3,966百万円、有形固定資産の取得による支出3,667百万円、有形固定資産の売却による収入255百万円、投資有価証券の売却による収入338百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動による資金の減少は、6,165百万円(前連結会計年度は2,264百万円の減少)となりました。これは、主に長期借入金の返済による支出1,600百万円、自己株式の取得による支出2,174百万円、配当金の支払額1,317百万円、非支配株主への配当金の支払額1,032百万円によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

日本

49,472

11.5

アジア

30,608

9.1

北米

22,954

29.7

報告セグメント計

103,035

14.3

その他

合計

103,035

14.3

(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

b.受注実績

当社は見込生産を行っているため、記載を省略しております。

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

日本

50,418

11.3

アジア

31,228

12.8

北米

22,954

30.0

報告セグメント計

104,601

15.4

その他

合計

104,601

15.4

(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

トヨタ自動車㈱

21,811

24.1

26,157

25.0

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、当社グループは、連結財務諸表の期間比較可能性及び企業間の比較可能性を考慮し、会計基準につきましては日本基準を適用しております。

 なお、採用している重要な会計方針及び見積りに関しましては、「第5 経理の状況」にて記載のとおりであります。また、当社グループは、一定の仮定に基づき、将来の事業計画を策定したうえで、固定資産の減損、繰延税金資産の回収可能性の評価等を行っております。詳細情報につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表(重要な会計上の見積り)」にて記載のとおりであります。

 

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1)財政状態

資産、負債、純資産の状況

当連結会計年度末における資産の残高は、106,814百万円となり、前連結会計年度末に比べて6,454百万円増加いたしました。これは、主に現金及び預金が3,823百万円増加、受取手形及び売掛金が272百万円増加、原材料及び貯蔵品が307百万円減少、有形固定資産が409百万円増加、投資有価証券が1,564百万円増加したことなどによるものであります。

負債の残高は、20,748百万円となり、前連結会計年度末に比べて583百万円減少いたしました。これは、主に支払手形及び買掛金が364百万円増加、電子記録債務が1,320百万円減少、1年内返済予定の長期借入金が1,600百万円減少、繰延税金負債が1,031百万円増加、退職給付に係る負債が147百万円増加したことなどによるものであります。

純資産の残高は、86,065百万円となり前連結会計年度末に比べて7,038百万円増加いたしました。これは、主に、親会社株主に帰属する当期純利益5,887百万円、自己株式の取得2,174百万円、剰余金の配当1,320百万円、為替換算調整勘定が2,677百万円増加したこと等によるものであります。なお、2023年11月に自己株式を消却したことに伴い利益剰余金等も減少しています。この自己株式の消却による純資産額の変動はありません。

 

2)経営成績

 当連結会計年度の業績につきましては、半導体部品不足等に起因する自動車メーカーの減産影響が縮小し、自動車用バックミラー等の売上が増加した結果、売上高は前連結会計年度に比べて13,958百万円増加し、104,601百万円となりました。

 営業利益は、全セグメントにおける売上高の増加により8,336百万円となり、前連結会計年度に比べて2,752百万円の増益となりました。経常利益は9,316百万円となり、前連結会計年度に比べて2,896百万円の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は5,887百万円となり、前連結会計年度に比べて517百万円の増益となりました。

 

 

3)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 2023年11月8日に公表いたしました業績予想(以下「業績予想」という。)との分析は以下のとおりです。

 当連結会計年度の売上高は、半導体部品不足等に起因する自動車メーカーの減産影響は縮小したものの、第4四半期以降、日本国内における自動車メーカーの品質不正問題による工場稼働停止の影響を受け、自動車用バックミラー等の販売数量が減少したことにより、業績予想に対しては3,398百万円(△3.1%)の減少となりました。

 営業利益は、海外セグメントにおける売上高の増加等により、業績予想と比べて536百万円(6.9%)の増加となりました。経常利益は業績予想と比べて116百万円(1.3%)の増加、親会社株主に帰属する当期純利益は業績予想と比べて112百万円(△1.9%)の減少となりました。

 なお、ミラーシステム事業は近年、自動車メーカーの現地生産化の拡大に対応すべく国内外拠点の拡充を図っております。当連結会計年度は、連結売上高に占める海外向け売上高が52.8%と海外拠点の重要性が高く、今後も安定した売上確保の為に能力増強に伴う設備投資が増加することが予想されます。日本においては、新分野・新製品に対する研究開発関連費用も増加する傾向にあり、これらは当社グループの連結業績に重要な影響を与える要因と考えております。

 

c.資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、ミラーシステム事業とオプトロニクス事業により構成される製造業に関わる原材料購入費及び製造経費、一般管理費等があります。また、設備資金需要としては各事業における生産性向上のための合理化改善、並びに品質管理、新製品対応の生産準備等を目的とした設備投資等があります。

 なお、配当政策等に関しましては、「第4 提出会社の状況 3.配当政策」にてご確認ください。

 

5【経営上の重要な契約等】

技術援助契約

会社名

相手方の名称

所在地

契約の内容

契約期間

当社

健生工廠股份有限公司

台湾

福特六和汽車を除く日系自動車メーカーを含む台湾自動車メーカー向けバックミラーに関する設計、製造技術の供与

2024年2月1日から

2025年1月31日まで

ただし、双方が契約の更新を望むときは、1年毎に自動的に更新

当社

AMPAS INDUSTRIES

CO., LTD.

タイ

バックミラーに関する設計、製造技術の供与

2024年2月1日から

2025年1月31日まで

ただし、双方が契約の更新を望むときは、1年毎に自動的に更新

当社

DELLOYD INDUSTRIES(M)

SDN. BHD.

マレーシア

バックミラーに関する設計、製造技術の供与

2024年2月1日から

2025年1月31日まで

ただし、双方が契約の更新を望むときは、1年毎に自動的に更新

当社

 

FICOSA Do Brasil

,LTDA.

ブラジル

バックミラーに関する設計、製造技術の供与

2004年9月1日から

契約対象製品の納入終了まで

当社

MURAKAMI AMPAS

(THAILAND) CO., LTD.

タイ

バックミラーに関する設計、製造技術の供与

2023年7月1日から

2024年6月30日まで

ただし、双方が契約の更新を望むときは、1年毎に自動的に更新

当社

Murakami Manufacturing

U.S.A. Inc.

米国

バックミラーに関する設計、製造技術の供与

2024年1月1日から

2024年12月31日まで

ただし、双方が契約の更新を望むときは、1年毎に自動的に更新

当社

Murakami Manufacturing

(Thailand) Co.,Ltd.

タイ

バックミラーに関する設計、製造技術の供与

2023年6月30日から

2024年6月29日まで

ただし、双方が契約の更新を望むときは、1年毎に自動的に更新

当社

嘉興村上汽車配件

有限公司

中国

バックミラーに関する設計、製造技術の供与

2023年8月1日から

2024年7月31日まで

ただし、双方が契約の更新を望むときは、1年毎に自動的に更新

当社

Metagal Argentina S.A.

アルゼンチン

バックミラーに関する設計、製造技術の供与

2023年6月1日から

2024年5月31日まで

ただし、双方が契約の更新を望むときは、1年毎に自動的に更新

当社

ALPHA TOYO LIMITED

インド

バックミラーに関する設計、製造技術の供与

2023年12月13日から

2024年12月12日まで

ただし、双方が契約の更新を望むときは、1年毎に自動的に更新

当社

Metagal Industria e

Comercio Ltda

ブラジル

バックミラーに関する設計、製造技術の供与

2024年3月15日から

2025年3月14日まで

ただし、双方が契約の更新を望むときは、1年毎に自動的に更新

当社

Murakami Manufacturing

Mexico, S.A. de C.V.

メキシコ

バックミラーに関する設計、製造技術の供与

2024年2月1日から

2025年1月31日まで

ただし、双方が契約の更新を望むときは、1年毎に自動的に更新

当社

PT.Murakami

Delloyd Indonesia

インドネシア

バックミラーに関する設計、製造技術の供与

2024年2月14日から

2025年2月13日まで

ただし、双方が契約の更新を望むときは、1年毎に自動的に更新

 (注) 上記については、対象製品売上高の一定割合をロイヤリティーとして受取っております。

6【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、開発本部を中心に、自動運転や安全運転支援システムに向けた新技術の開発及び当社の強みであるガラス加工技術、光学多層膜技術を融合・進展させた新製品の開発をメインテーマに進めております。

当連結会計年度における、研究開発スタッフは56名であります。また、研究開発費は924百万円であり、セグメント区分は日本及び全社であります。

 

研究開発の主な注力領域は、以下のとおりであります。

(1)視界改良製品の開発

 

(2)HMI(Human Machine Interface)関連製品の開発

 

(3)車室内外の照明関連製品の開発

 

(4)多重反射素子の開発

 

(5)センサー応用システム・ソフトウエア技術の開発

 

(6)滑水技術応用製品の開発

 

(7)遮光素子、調光素子の開発