文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、教育分野における測定技術の研究開発を行い、質の高いテスト及びラーニングの機会を提供することで、効果的な教育機会を実現し、個人個人の能力の発展に寄与するという日本発のEdTechカンパニーを目指しております。
(2) 経営環境
国内教育市場は少子化の進行で大学受験者数が減少しているものの、英語教育は低年齢化し、2008年度からスタートしている小学5、6年生を対象とした小学校の英語教育は、2011年度に小学5年生から必修となり、2020年度からは、小学3、4年生からの必修化、小学5年生からの教科化が実施されております。
また、英検協会では、1日で英語4技能を測定することができるコンピュータを用いた新しい受験形態の英検「S-CBT」を導入し、受験機会が従来の年3回実施から年間を通じた実施へと大幅に増加しております。このように、教育及びテストの両面においてICT化が加速しており、当社グループにとって大きな事業機会であると考えております。
一方、海外におきましては、アジアの人口増加及び経済発展により教育市場が引き続き拡大しております。教育市場として世界における最大市場である米国において教育のICT化が大きく成長を牽引し、変革の流れを加速させております。
<新型コロナウイルス感染症の影響について>
足元国内の新型コロナウイルス感染症の拡大は長期化しており、英検始め各種試験団体による大型会場での受験の中止や受験者数の減少が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。一方で、ワクチンの普及の効果により、私たちの生活に与える影響の縮小や、ライフスタイルの変化による学習やテスト受験のオンライン化、CBT化が加速化する傾向が続いております。
(3) 経営戦略等
当社グループは、英語学習におけるラーニングツール及びテストシステムの提供等によるライセンス収入を安定的な成長の礎とし、以下3つの事業領域を中長期的な成長分野と位置付け、積極的に経営資源を投入し、事業拡大を図ることを中長期的な基本戦略としております。
① 教育プラットフォーム
733万人を超える英ナビ会員データベースを土台としたメディア事業および学習サービスの展開
② AIベースの技術ライセンス
既存のソフトウエア及びシステムに、AI-OCR、自然言語処理、レコメンドエンジン、試験監視システム等のAIベースの技術を実装したサービスの展開
③ テストセンター
直営及び委託会場を併せてCBTを提供するテストセンターを全国展開し、インフラ整備の上、テストシステムの拡充を図りCBT化を加速
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループは、教育分野における能力測定技術・コンピュータやインターネットを用いたテスト及び教育ツールの研究に注力し、特に語学を中心として「CASEC」、「英検S-CBT」に代表される試験を提供し、項目応答理論を用いた正確な能力測定技術を強みとすることで他社との差別化を図ってまいりました。また、英ナビ・スタディギアの会員基盤を対象として教育コンテンツを提供し、教育プラットフォームの構築に努めてまいりました。さらに、独自のAI技術を活かし、AI-OCR、自動採点システム、オンライン試験監督システムの開発等に努めております。今後は、これらに加え、テストセンター事業を通じて、各種試験のCBT化をシステム及びインフラ提供の両面から推進することとしております。
当社グループでは、今後の業務展開及び経営基盤の強化のため、以下の課題に取り組んでまいります。
① ソフトウエア開発の強化
当社グループが今後も継続的な成長を果たしていくためには、当社グループが開発したCBTシステムや大規模試験での利用が可能な記述式答案の採点システム等について、市場での優位性を確保するための製品機能の強化が今後も不可欠であると認識しております。さらに、当社グループの提供するラーニングツールは、携帯端末向けのアプリを介して提供されることが主流となりつつありますが、快適なラーニング環境を提供するために必要な資源と時間は確実に増大しています。
また、当社グループで開発を進めているAIを用いた手書き文字認識技術(AI-OCR)を活かすための周辺機能の開発及び導入環境の整備や、AIを活用したアダプティブラーニング等を開発してまいりました。
当社グループは、時代の要請により変化する市場と今後も加速するテクノロジーの進歩に素早く対応するため、戦略に即した製品機能の強化、オプション機能の開発等を行い、競合他社との差別化を図ってまいります。
② コンテンツ開発の強化
当社グループが展開するテスト商品及びラーニング商品は、時代の変化による問題の陳腐化を避けるため、継続的に新たなテスト問題の作成やラーニングのためのコンテンツ制作を行うことが不可欠です。また教育プラットフォーム事業において児童・生徒の学習への関心や意欲を高めるコンテンツの開発力を高めることが重要です。質の高いコンテンツ開発を担当する経験豊富な人材の供給は限られており、当社グループは、戦略的ビジネスパートナーとの連携などを通じて、経験豊富な質の高い人材にアクセスし、優良な学習コンテンツのライブラリーの開発・提供を進めて商品の競争力を高めてまいります。
③ 海外拠点におけるソフトウエア開発・コンテンツ開発・採点業務の推進による生産性と収益性の向上
第一に、当社グループは、現在、ソフトウエア開発について自社の海外の開発拠点であるインドのプネ、アメリカのボストン及びアイルランドのダブリンにて、先端的なAIの開発に取り組んでおります。当社グループはこれらの体制を通じて質の高い豊富な海外の開発リソースを確保し、グループ全体のシステム開発及び運営の生産性の向上を目指してまいります。
第二に、英語関連コンテンツ開発及び採点業務をアメリカのシアトルにて行っております。当社グループは、主要サービスである英語関連サービスの更なる品質向上のために、テスト理論や英語教育分野の修士課程修了者を中心に高度な訓練を受けた人材を確保し、約15名の専門家集団及び約40名のコントラクターを活用して英語コンテンツの開発および採点業務を行っております。今後もグローバルなサプライチェーンを活用し、さらなる生産性向上を実現してまいります。
④ テストセンター事業の安定的運営と更なる拡大の両立
当社グループは、英検協会による1日で英語4技能を測定することができる受験形態の「英検S-CBT」の実施にあたり、その実施会場であるテストセンターの安定的な運営を実現できる体制構築に注力しており、2022年9月末現在で41の直営のテストセンターを運営しております。直営のテストセンターの運営には、テストセンターの賃料や会場運営等に係る固定費の発生に伴う稼働リスクが生じますが、今後この事業を一層安定的に運営し、「英検S-CBT」受験の普及・拡大及び英検協会以外の顧客の獲得等を通じて中長期にわたる事業拡大を実現してまいります。
⑤ 戦略的ビジネスパートナーとの連携強化に基づく教育プラットフォーム事業の拡大
当社グループは、現在展開している学習サービスをスタディギアブランドに統一し、英検の唯一の公式ラーニングサービスである「スタディギア for EIKEN」に続き、漢検、数検等、新たな公式ラーニングサービス提供をスタートさせました。今後も、スタディギアブランドの価値を高めるために戦略パートナーとの更なる連携強化が重要であると認識しております。当社グループは、的確なマーケティング戦略及び営業戦略を通じて本事業の収益化を図ってまいります。また、当社グループは2022年7月、株式会社増進会ホールディングスとの資本業務提携契約を締結しております。主にテスト分析・コンサルティング、教育機関・法人向け営業の拡充、独自の能力測定技術を生かしたサービスの付加価値向上、AIを活用した採点業務の効率化などの領域において、両社の事業シナジーを活かしたビジネスを拡充し、双方の企業価値向上を目指してまいります。
⑥ AI-OCR技術である「DEEP READ」の早期の事業応用とAI技術の活用領域の充実
各種学力調査は、「知識・技能」を中心に問う手法から「知識・技能」と「思考力・判断力・表現力」を総合的に評価する手法へと移行しつつあり、記述式の出題が増加する傾向にある一方、これに伴う採点費用も増加しています。当社グループは、大規模な学力調査における記述式解答の採点効率化の観点から、ディープラーニングに基づくAI技術を用いた高精度な手書き文字認識技術「DEEP READ」を開発してまいりました。当社グループは、早期に「DEEP READ」を事業応用し、記述式解答の採点プロセスのイノベーションを実現することで競合他社との差別化を図っております。また、この文字認識技術は教育IT分野のみならずOCR(光学的文字認識)関連市場など他分野にも応用可能な技術と考えており、他分野への技術転用を積極的に進め当社グループのビジネスの拡大を図ってまいります。このため、当社グループは、子会社DoubleYard Inc.を通じて、優秀なAI人材の確保と研究開発活動に努めております。「DEEP READ」については、既に外資系大手金融機関、大手BPO会社、政府関連機関、大学等との協業プロジェクト等の受注実績がありますが、これまで進めてまいりましたAPI環境の整備や、多様なユーザーニーズに応える提供形態(クラウドサービス型・オンプレミス型・クラウドとオンプレミスの複合型)を整えながら、将来の大規模な受注に向けて、精度面、機能面、サポート面の更なる強化を図っております。
ディープラーニングを活用した技術及びサービスの開発手法は、他の分野へ応用することが比較的に容易であることから、当社グループは、手書き文字認識技術の開発で培ったAIを活用した開発力を他の分野に展開して当社グループ全体の商品及びサービスの競争力を高めていく方針です。当社グループがAIの活用を進める領域は、レコメンドエンジン(商品名:CAERA)、自然言語処理(英語:Natural Language Processing、略称:NLP)、オンライン試験監督システム(商品名:CheckPointZ)になります。これらの開発により、当社の全セグメントにおいて商品及びサービスの競争力の向上及び利益率の改善を図ることができると考えております。
⑦ 大型公共プロジェクトの安定的運用
当社グループは、文部科学省が実施する令和5年度 全国学力・学習状況調査(小学校第6学年の児童を対象)を増進会グループとの協業を通じて、受託いたしました。また、世界的にも先進的なIRT(Item Response Theory、項目応答理論)を用いて個人及び学年の経年的な学力の進捗を測定する埼玉県学力・学習状況調査を開始以来7年連続で受託しております。これらをはじめとした大型の公共プロジェクトを、当社グループの強みであるテスト理論、AIソフトウエアや採点システム等を活用して安定的かつ効率的に運用し、収益の安定化を図ってまいります。
⑧ コーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の強化
当社は、特定の顧客との間の一部取引における一連の経緯や価格の妥当性を踏まえた経済合理性について、2021年8月2日付の当社取締役会において、特別調査委員会の設置を決議し、調査を行いました。2022年2月25日に特別調査委員会から最終報告書を受領し、その内容を踏まえて、2016年9月期から2020年9月期までの有価証券届出書及び有価証券報告書、並びに2018年9月期第3四半期報告書から2021年9月期第3四半期までの四半期報告書について一連の訂正を行っております。当社は、財務報告に関して内部統制が十分機能することの重要性を再確認し、再発防止策として2022年1月25日に改善報告書を東京証券取引所へ提出した後、2022年2月25日に特別調査委員会の最終報告書を受領し、また、上記を受けて、株式会社東京証券取引所より当社の内部管理体制等について改善の必要性が高いと認められたため、当社株式は同年4月1日に東京証券取引所から特設注意市場銘柄に指定されており、これより1年後に内部管理体制確認書を提出し、東京証券取引所による審査を受ける予定であります。当該審査において、内部管理体制に問題が認められない場合には、指定は解除になりますが、問題があるとされる場合は、原則として上場廃止、又は6か月間の特設注意市場銘柄指定の延長後の再審査となります。さらに、当社は、2022年5月19日付「「改善計画・状況報告書」の公表について」のとおり、「改善計画・状況報告書」を策定しその内容を開示しておりますが、改善措置の実施状況及び運用状況を記載した2022年12月7日付「改善状況報告書」を提出いたしました。
改善状況報告書によれば、上記の過年度訂正に至った大きな要因として、主に以下の事項が報告がされております。
●連結業績優先の経営姿勢
●取締役会を始めとした各監督機能の課題
●適切な会計処理及び開示に対する理解の不足
●顧客との取引における価格(含む資産取引)の妥当性や、関係会社向けのライセンス価格の適正性の検証体制
●社内規程等を遵守する意識及び規程違反のモニタリング体制における課題
●内部牽制体制の不足
●内部監査体制の及び内部通報制度の機能不全
●経理部・監査法人・会計アドバイザー間のコミュニケーションの課題
また、当社としては、役職員の適切な会計処理及び開示に関する理解が不足していたと認識しております。
当社グループは、特別調査委員会の提言等に基づき、改善計画を策定し、取締役会の構造改革、経営責任の明確化、当社グループ役職員における会計処理に対する理解の醸成、コンプライアンス意識の徹底、ガバナンス体制の強化、管理・監査体制の強化、経理部、監査法人、会計アドバイザーの連携強化等を実施し、再発防止に向けたコーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の一層の強化を図っております。
なお、当社が有価証券報告書等に虚偽記載を行ったこと等により損害を被ったとし、当社株主21名より損害賠償を求められており、その訴額は約1億7,000万円であります。当社といたしましては、今後、訴訟における原告の主張を踏まえて適切に対処してまいります。
⑨ 人材の確保と育成
当社グループは日本市場のみならず海外市場での事業の拡大を見据え、研究開発、事業開発、営業・マーケティング、内部管理の全ての面において、海外オペレーションにも対応可能な優秀な人材の確保、採用、育成が重要な課題であると認識しております。特に、専門性の高いAIエンジニア、項目応答理論等のテスト理論の専門家、教育コンテンツ開発の専門家等を積極的に採用してまいります。新たに採用した人員に対しては充実した研修を実施するなど人材の育成に取り組んでおり、今後も採用と並行して新入社員への研修・教育制度を整備することで優秀な人材の確保・育成に取り組む方針です。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(1) 内部統制について
当社グループと特定の顧客との間の一部取引(以下「本件取引」)に関連して、当社の会計処理の一部について、不適切な会計処理が行われていたことが判明し、当社は、2022年1月11日付で東京証券取引所より「改善報告書」の提出請求、上場市場の変更(市場第一部からマザーズへの変更)及び上場契約違約金の徴求を受け、2022年1月25日付で「改善報告書」を提出しました。また、当社は、本件取引に関連して、2021年10月15日に中間報告及び2022年2月25日に最終調査報告書をそれぞれ特別調査委員会より受領しました。当社は、これらを受けて、2016年9月期から2020年9月期までの有価証券届出書及び有価証券報告書、ならびに2018年9月期第3四半期報告書から2021年9月期第2四半期までの四半期報告書について一連の訂正を行っております。その後、2022年4月1日に東京証券取引所から特設注意市場銘柄に指定されたこと受け、同年5月19日に改めて「改善計画・状況報告書」を公表し、同年12月7日付で「改善状況報告書」を提出しました。今後は、特別調査委員会からの提言も踏まえ、「改善報告書」及び「改善計画・状況報告書」に記載の改善措置と併せて、再発防止策の策定と着実な実行、及び内部管理体制等の強化に努めてまいります。
ただし、これらの再発防止策の策定と着実な実行及び内部管理体制等の強化が適切になされない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態、レピュテーション並びに金融機関との関係等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、その他内部統制の整備上の欠陥や運用上の認識不足等の不備により財務報告等に重大な誤りが生じた場合にも、当社の信用が失墜すると共に、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社は2022年7月29日付「株式会社増進会ホールディングスとの資本業務提携契約の締結、株式の売出し、主要株主及び主要株主である筆頭株主並びにその他の関係会社の異動に関するお知らせ」において開示した通り、同日付で株式会社増進会ホールディングスとの資本業務提携契約を締結し、株式会社増進会ホールディングスの関係会社となっております。当社は、当社と増進会ホールディングスとの間で安定的かつ強固な関係を構築し、旧経営陣による当社の経営への影響力を排除することにより市場からの信頼を回復させるとともに、増進会ホールディングスから内部管理等に精通した役職員の派遣を受け入れることにより内部統制の更なる改善及びガバナンスの強化が見込まれ、しかしながら、上記の内部統制の更なる改善及びガバナンスの強化が予定通りに進まない場合には、当社グループの信用の回復、経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社株式は2022年4月1日に東京証券取引所から特設注意市場銘柄に指定されており、これより1年後に内部管理体制確認書を提出し、東京証券取引所による審査を受ける予定です。当該審査において、内部管理体制に問題が認められない場合には、指定は解除になりますが、問題があるとされる場合は、原則として上場廃止、又は6か月間の特設注意市場銘柄指定の延長後の再審査となります。当社は、上記のとおり、内部統制体制を再構築し、その運用に努めておりますが、特設注意市場銘柄指定が解除されない場合には、上場廃止となり、株価に重大な影響を与える可能性があります。
(2) 教育プラットフォームサービスの収益化について
当社グループは、現在展開している学習サービスをスタディギアブランドに統一し、英検の唯一の公式ラーニングサービスである「スタディギア for EIKEN」に続き、漢検、数検等、新たな公式ラーニングサービス提供をスタートいたしました。
今後、的確なマーケティング戦略や営業戦略を通じて、同プラットフォームの個人ユーザー及び広告主を獲得し、収益の拡大を図ってまいりますが、計画通りに課金ユーザーや広告主の獲得が進まない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(3) 英検協会との関係について
当社グループは、主要事業において、特定の取引先に対する販売に大きく依存しております。英検協会に対して多くのサービスを提供しており、同協会に対する2022年9月期の全売上高に占める売上割合は49.9%となっております。当社グループの受注案件は多岐にわたりますが、その多くは、当社グループの能力測定技術、テスト理論の専門性、大規模テストに係る業務設計及び運用力等に基づき受注しており、他社代替性が低いものと理解しております。今後も英検協会との安定的な取引関係の継続に努めてまいりますが、英検協会の業績が悪化した場合や英検協会との契約内容に変更が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(4) テストセンター事業の安定的運営について
当社グループは、英検協会による1日で英語4技能を測定することができる受験形態の「英検S-CBT」の実施にあたり、その実施会場であるテストセンターの運営を2020年6月より本格的に開始いたしました。当社グループは、2022年9月末現在で42の直営のテストセンターを運営しており、テストセンターの賃料や会場運営等に係る固定費の発生に伴う稼働リスクが生じる等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(5) テスト運営・受託事業が性質上入札の結果に大きく影響されることについて
テスト運営・受託事業は国内の公的機関が発注者となる場合が多く、安定的に発注がある一方で、受託の際に入札プロセスが導入されるため長期に亘る継続的な契約を結ぶことが難しく、毎年の入札結果によっては受託できないことも起こりえます。当社グループが実績を積み重ね、技術点を上げることで、ある程度継続的に落札することが可能となるものの、新規参入企業による競争激化の可能性もあり、安定的かつ確実な受注環境にあるとはいえない事業です。文部科学省の実施する全国学力・学習状況調査等の特に大規模な案件が国内の公的機関から落札できなかった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(6) 当社グループの業績(売上高、営業利益)が四半期ごとに偏重する傾向があることについて
当社グループの主要顧客には公的機関を含む教育機関が多く、その多くが3月末を会計年度末としているため、受託事業における検収やなどが3月に集中する場合があります。また、テストセンター事業での英検等の受検者が第3及び第4四半期に増加する傾向が売上高と営業利益が増加する傾向にあります。
また、「テスト運営・受託事業」において、当社グループは2021年の全国学力・学習状況調査(小学校第6学年の児童を対象)及び中学校第3学年の生徒を対象とした調査を共同受注しておりますが、この案件の売上高及び営業利益は第2及び第3四半期に集中する傾向にあります。
以上のとおり、当社グループの売上高及び営業利益は、商品やサービスの特性及び大きなプロジェクトの受注状況により、四半期毎の偏重が生じる傾向があります。なお、2022年9月期の通期売上高に占める四半期毎の売上高の割合、並びに通期営業利益に占める四半期毎の営業利益の割合は以下のとおりです。
(単位:売上高/営業利益・千円)
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第1四半期 |
第2四半期 |
第3四半期 |
第4四半期 |
2022年9月期合計 |
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売上高 (%) |
営業利益 (%) |
売上高 (%) |
営業利益 (%) |
売上高 (%) |
営業利益 (%) |
売上高 (%) |
営業利益 (%) |
売上高 (%) |
営業利益 (%) |
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テスト等ライセンス事業 |
332,416 (26.2) |
73,272 (27.3) |
409,652 (32.3) |
156,166 (58.2) |
255,376 (20.1) |
△4,804 (△1.8) |
270,665 (21.3) |
43,912 (16.4) |
1,268,111 (100.0) |
268,547 (100.0) |
|
教育プラットフォーム事業 |
592,082 (22.8) |
132,064 (18.1) |
642,100 (24.8) |
203,390 (27.9) |
701,551 (27.1) |
213,032 (29.2) |
657,301 (25.3) |
181,555 (24.9) |
2,593,035 (100.0) |
730,042 (100.0) |
|
テストセンター事業 |
692,147 (24.0) |
91,377 (27.2) |
626,756 (21.7) |
△70,835 (△21.0) |
684,121 (23.7) |
116,791 (34.7) |
879,011 (30.5) |
199,187 (59.2) |
2,882,036 (100.0) |
336,521 (100.0) |
|
AI事業 |
75,542 (24.5) |
△145,086 (-) |
75,607 (24.5) |
25,557 (-) |
72,110 (23.3) |
25,477 (-) |
85,664 (27.7) |
17,322 (-) |
308,924 (100.0) |
△76,729 (-) |
|
テスト運営・受託事業 |
388,067 (14.3) |
△61,212 (△197.1) |
662,603 (24.5) |
20,066 (64.6) |
1,295,519 (47.9) |
49,187 (158.4) |
360,126 (13.3) |
23,017 (74.1) |
2,706,316 (100.0) |
31,059 (100.0) |
|
合計 |
2,080,255 (21.3) |
90,416 (7.0) |
2,416,720 (24.8) |
334,345 (25.9) |
3,008,678 (30.8) |
399,683 (31.0) |
2,252,769 (23.1) |
464,996 (36.1) |
9,758,424 (100.0) |
1,289,441 (100.0) |
(注)四半期毎の割合は通期に対するパーセンテージです。
(7) 売上計上の期ずれが業績に与える影響について
当社グループが展開している「テスト運営・受託事業」においては、システム開発受託、コンテンツ開発受託等のサービスを行っております。また、ライセンス及びソフトウエアの提供においても、仕様変更や機能拡充等に関して変更料等を計上する場合があります。これらのサービスの提供においては、取引先の都合による検収時期の変動や、受注後の仕様変更等により納入時期が変更となり、売上高及び利益の計上について翌四半期あるいは翌連結会計年度への期ずれが発生する場合があります。期ずれの金額の大きさによっては、各四半期あるいは連結会計年度における当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(8) 海外事業展開について
現在、当社グループの海外拠点の活動はソフトウエア開発・コンテンツ開発・採点業務・教育ベンチャーへの投資が中心となっており、コストセンターとなっています。海外事業展開に際しては、事前に進出する国の法律や規制等の確認及びマーケット動向調査や分析等に努めていますが、法律・規制・租税制度の予期しない変更や社会的混乱など、各国における諸事情の変化や為替・金利などの市場動向が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(9) テスト運営・受託事業における収益性について
テスト運営・受託事業は、実施に係る印刷コストや採点等に関する経費が原価に占める割合が高い事業です。そのため、経済状況の変動におけるアルバイト賃金の上昇や外注費の高騰等により、期待した利益率を達成できない可能性があります。また、採点や集計に関するトラブルが発生した場合、印刷コストや採点等に関して追加負担が発生することがありますが、受託金額の上乗せを実現することは困難であることから、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(10) 少子化による需要の低下について
国内の教育市場については、構造的な少子化傾向がこのまま継続して市場の縮小と受験競争の緩和が進み、業界全体に対する需要の低下が続いた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループが提供するサービスの中心となる英語学習市場については、英語学習の低年齢化、英語試験の4技能化の要請、旺盛な企業による職員に対する英語教育需要等により足元は拡大傾向にありますが、少子化の影響による教育市場の縮小を受け、英語学習市場の拡大が頭打ちになる可能性があります。
(11) 教育に関わる各種制度の変更について
国内市場においては、2019年11月に決定した大学入試における民間の英語資格・検定試験活用の延期をはじめ、学習指導要領の改訂や就学支援金制度、教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置等、行政による教育に関わる制度変更が発生します。このような制度変更に対しては早期の察知及びこれを踏まえた適切な対応に努めておりますが、早期の察知や十分な対応ができない場合等において、ビジネスチャンスの逸失や集客の低下等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(12) システム開発について
当社グループが開発する教育関連システムについては、受託開発から当社グループがリスクをとって開発して使用料を得るライセンスモデルへと移行しております。これによりライセンス収入が経常的に見込める予定です。一方で、開発に際しては、戦略との整合性や投資金額の妥当性の検証に努めておりますが、アップフロントの開発コストが想定以上にかかった場合、サービス開始前の資金需要が発生する可能性があるとともに、さらにサービス売上が予定を下回った場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(13) コンテンツ開発について
当社グループが展開するテスト商品及びラーニング商品は、時代の変化による問題の陳腐化を避けるため、継続的に新たなテスト問題の作成やラーニングのためのコンテンツ制作を行うことが不可欠です。また、ラーニングのためのツールは、様々なデバイスに対応する教材のアプリ化などにより必要な技術も高度化する傾向にあります。当社グループは、開発に際し、戦略との整合性や投資金額の妥当性の検証に努め、これらのサービスインに1~2年先立ってコンテンツ制作リスクを負って開発を行いますが、商品の競争力が十分でなくサービス売上が予定を下回った場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(14) 減損会計
当社グループは、各種サービスを提供するため、無形固定資産としてシステム提供のためのソフトウエア及び学習コンテンツを保有するとともに、継続的に開発投資を行っています。これらの資産を利用して提供するサービスの収益性が著しく低下した場合、当社グループが保有するソフトウエア等の資産について減損損失の計上が必要となることが考えられますが、今回の一連の調査の過程で、当2022年9月期において減損損失を595百万円計上しております。また、当社グループは海外を中心にEdTech企業及びEdTechに特化したベンチャーキャピタルに対して投資を行っており、これら投資先の業績が投資時の想定に届かない場合、保有するベンチャー企業株式等やベンチャーキャピタルの持分について減損損失の計上が必要となることが考えられます。
そのような場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(15) 有利子負債依存度について
当社グループの有利子負債依存比率(連結)は、2021年9月期末及び2022年9月期末でそれぞれ42.0%、40.1%となっております。当社グループでは、これまで、株式会社教育測定研究所が受託する学力調査等の案件において、アルバイト賃金や外注費等の一時的なコスト負担が生じることや、一般競争入札において流動比率を高めることが入札要件として有利である等の事情があり、借入を増やして現金及び預金残高を高めてまいりました。調達資金に基づく収益が意図したとおりに上がらず、流動比率を維持するための借り入れを継続する状況下で、急激な調達環境の悪化や金利の上昇などが起きた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。金融機関による下記(24)の本件取引に関する不適切な会計処理の評価次第では、金融機関との関係又は今後のファイナンスやその条件に影響が出る等により、当社グループのキャッシュ・フロー、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(16) システムトラブルについて
当社グループの事業は、コンピュータ・システムを結ぶ通信ネットワークに依存しており、自然災害や事故等により通信ネットワークが切断された場合には、当社グループの事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。当社グループではセキュリティ対策やシステムの安定性確保に取り組んでおりますが、何らかの理由によりシステムトラブルが発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(17) 個人情報の管理について
株式会社教育測定研究所は、「英ナビ・スタディギア」における会員情報や「CASEC」等の受験者情報等の個人情報を保有しており、「個人情報の保護に関する法律」の適用を受ける個人情報取扱事業者です。
株式会社教育測定研究所及び株式会社教育デジタルソリューションズはプライバシーマークを認証取得するとともに、個人情報については、社内研修などを通じて社員への啓蒙活動を継続的に実施するなどの施策を講じておりますが、何らかの理由で個人情報が漏えいした場合、信用失墜や損害賠償請求等が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(18) 人材の確保・育成について
当社グループは、今後の事業拡大のために優秀な人材の確保、育成は重要な課題であると認識しており、積極的に人材を採用していくとともに、研修の実施等により人材の育成に取り組んでいく方針であります。
しかしながら、これらの施策が効果的である保証はなく、必要な人材を確保できない可能性や育成した人材が当社グループの事業に十分に寄与できない可能性があります。そのような場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(19) 自然災害
当社グループにおいては、地震等の大災害発生に備え、グループ各社の被災状況の情報集約体制の構築、国内事業の情報システムの分散等の事業継続のための施策を講じております。
しかしながら、大災害が発生した場合、被災地域における営業活動の停止、当社グループの施設等の損壊、交通、通信、物流といった社会インフラの混乱、委託先の被災等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、各事業会社の本部機能の東京への集中度が高いため、東京に被害が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(20) 新型コロナウイルス感染症について
当社グループにおいては、新型コロナウイルス感染症について感染拡大初期より対応・対策を進め、グループの従業員及びその家族の安全確保を第一として、グループ各社の感染状況の情報集約体制の構築、全社的な在宅勤務の実施、また、出社する場合は、外出前の検温、マスクの着用、手指の消毒、相互の離隔といった対応を引き続き実施しております。
今後も感染の拡大や変異によるワクチン効果の低下が発生した場合には、グループ各社や委託先の従業員の感染症罹患による事務所等における稼働率低下、各種試験団体による試験の中止や受験者数の大幅な減少、販売先・取引先における事業活動の制限の影響等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(21) 技術革新等について
インターネット、クラウドコンピューティング、AIの開発環境は技術進歩が速く、当社グループはソフトウエア投資等を通じて技術進歩に対応するべく努めておりますが、当社グループが想定する以上の技術革新により、当社グループの技術やサービスが競争力を失うような事態が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(22) 知的財産権について
当社グループは、現在、他社の知的財産権を侵害している事実は認識しておりません。しかしながら、当社グループの認識していない知的財産権が既に成立していることにより当社グループの事業運営が制約を受ける場合や第三者の知的財産権侵害が発覚した場合などにおいては、信用失墜や損害賠償請求等が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
また、他社により当社グループの知的財産権が侵害された場合においては、他社が当社グループの参加する一般競争入札において優位な位置を占めるなどして、当社グループの受託を阻害し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(23) 配当政策について
当社は、株主への利益還元を経営上の重要な課題として認識しており、事業基盤の整備状況や事業展開の状況、業績や財政状態等を総合的に勘案しながら、継続的かつ安定的な配当を行うことを基本方針としております。
ただし、当社は現在成長過程にあり、内部留保の充実を図り、更なる成長に向けた事業の拡充や組織体制、システム環境の整備への投資等の財源として有効活用することが、株主に対する最大の利益還元に繋がると考え、現状は通常配当を実施しておりません。将来的には、財政状態及び経営成績を勘案しながら配当を実施していく方針ではありますが、現時点において通常配当の実施時期等については未定であります。
(24)法的規制等について
当社グループは、下請法の他、広告事業拡大に伴い景品表示法の適用を受けております。当社グループではこれらの規制を遵守し事業活動を行っておりますが、当社グループに適用のある各種法令・規則や税制等に関連して、今後急激に変更若しくは新たな規制の導入等が行われ又は当社グループが行政処分、行政指導、司法手続等の対象になった場合や、その他当社グループに関連して訴訟や紛争等が生じた場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(25)継続企業の前提に関する重要事象等について
当社グループは、当連結会計年度において、テストセンター事業を中心にした売上の増加により前年比増収となった一方で、テストセンター事業に関連する事業損失引当金の計上や、人員増等に伴う人件費の増加、ソフトウエア開発投資に伴う減価償却費の増加、地代家賃の増加等により、営業損失234,391千円を計上しております。これに伴い足元の顧客からの受注状況や既存プロジェクトの採算性を見直したことで、減損損失等595,849千円を計上しております。また、その他にも当社グループにおける過年度に遡及した会計処理の訂正に起因した訂正報告書を提出するための特別調査費用や追加の監査費用を計上いたしました。その結果、親会社株主に帰属する当期純損失818,700千円を計上しており、営業キャッシュ・フローは△581,118千円となっております。このため、当社グループでは継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況が存在しております。
しかしながら、当社グループでは、従来取り組んでいた不採算なプロジェクトからの撤退の検討や採算性の高いプロジェクトへの注力による選択と集中を推進するほか、新規の開発計画の見直し、販管費を含めた固定費の削減等を行うことで、営業キャッシュ・フローの創出、収益率の改善を継続的に図り経営基盤の強化・安定に努めてまいります。
資金面においては、主力金融機関と良好な関係を維持しており、継続的な支援が得られるよう取引金融機関と協議することで、手元流動資金の確保に努めており、当連結会計年度末において6,053,510千円の現金及び預金を確保しており、財務基盤は安定しております。
また、当社は2022年7月29日付「株式会社増進会ホールディングスとの資本業務提携契約の締結、株式の売出し、主要株主及び主要株主である筆頭株主並びにその他の関係会社の異動に関するお知らせ」にて開示の通り、同日付で株式会社増進会ホールディングスとの資本業務提携契約を締結し、株式会社増進会ホールディングスの関係会社となっております。
以上から、当社グループでは、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。
(26)増進会ホールディングスとの関係について
当社は2022年7月29日付「株式会社増進会ホールディングスとの資本業務提携契約の締結、株式の売出し、主要株主及び主要株主である筆頭株主並びにその他の関係会社の異動に関するお知らせ」において開示した通り、株式会社増進会ホールディングスとの間で資本業務提携契約を締結し、株式会社増進会ホールディングスの関係会社となっております。当社と株式会社増進会ホールディングスとの間の更なる業務提携は当社の収益力の強化ひいては当社の企業価値向上に資すると考えておりますが、資本業務提携契約解消等により、当社と株式会社増進会ホールディングスの関係に変化が生じた場合には、上記「(1)内部統制について」に記載の点に加え、レピュテーションリスクの増加、共同研究や協同プロジェクトを単独で遂行することによるリスクの増加、資本業務提携契約に基づく当社に対する貸付等の資金調達の支援を得られなくなること等が生じる可能性があります。このような場合及びその他の理由で株式会社増進会ホールディングスとの間の更なる業務提携又は当社の収益力の強化若しくは当社の企業価値向上が予定通りに進まない場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度の当社グループの経営成績は、売上高9,758,424千円(前期比3.3%減)、営業損失234,391千円(前期は425,942千円の営業損失)、経常利益100,617千円(同71.3%減)、親会社株主に帰属する当期純損失818,700千円(前期は5,255,052千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
当連結会計年度においては、教育プラットフォーム事業、テストセンター事業で売上が増加した一方で、テスト等ライセンス事業、AI事業、テスト運営・受託事業での売上減少により前年比減収となりました。また、テストセンター事業の採算性の改善や、ソフトウエア開発投資の減少、役員数の削減等による販管費の減少により、前年同期比で営業損失幅は縮小しました。一方で、前期にテストセンター取引のロスシェアに関連して発生した引当金の取り崩しに伴う事業損失引当金戻入が剥落して営業外収益が減少し、経常利益は減益となりました。また、ソフトウエア等の減損損失や特別調査委員会費用の縮小により、親会社株主に帰属する当期純損失は縮小しました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
a. テスト等ライセンス事業
テスト等ライセンス事業においては、英検Jr.の商流変更等により売上が増加した一方で、「CASEC」の売上減少等により、前年比減収となりました。また、TEAP CBT等の商流変更等により原価が増加したことにより、当該セグメントの売上高は1,268,111千円(前期比5.7%減)となり、セグメント利益は268,547千円(同54.0%減)となりました。
b. 教育プラットフォーム事業
教育プラットフォーム事業においては、公益財団法人日本英語検定協会(以下、「英検協会」という。)に提供しているスタディギアライセンス及び英ナビ広告収入が順調に拡大した一方で、新プラットフォームサービスのシステム及びコンテンツ費用増や、広告事業でダイレクトメール商品売上が伸びたことによる利益率の低下が発生しました。その結果、当該セグメントの売上高は2,593,035千円(前期比6.9%増)となりました。また、費用面では新規システム投資による減価償却費等が増加し、セグメント利益は730,042千円(同34.4%減)となりました。
c. テストセンター事業
テストセンター事業においては、受験者数が順調に増加し、売上が増加したことに加え、前年同期に影響したロスシェア契約の変更や減損損失に伴い減価償却費が減少したことによりセグメント全体の採算性が改善し、当該セグメントの売上高は2,900,522千円(前期比8.5%増)、セグメント利益は336,521千円(前期はセグメント損失497,250千円)となりました。
d. AI事業
AI事業においては、手書き文字認識「DEEP READ」のライセンス収入は安定して推移したものの、新規案件の受注減により売上が減少しました。一方で、ソフトウエア資産の減損損失に伴い減価償却費等の費用が減少し、当該セグメントの売上高は460,561千円(前期比17.7%減)、セグメント損失は76,729千円(前期はセグメント損失340,801千円)となりました。
e. テスト運営・受託事業
テスト運営・受託事業においては、大阪府の令和3年度中学生チャレンジテストを新たに受注しましたが、前年度に受注した全国学力・学習状況調査(中学校第3学年の生徒を対象とした調査)が剥落したため減収となりました。一方、費用面で関連する販管費が減少し、当該セグメントの売上高は2,706,316千円(前期比17.5%減)、セグメント利益は31,059千円(同81.8%増)となりました。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末における財政状態は、資産は12,437,892千円(前連結会計年度末比6,534,867千円減)、負債は7,402,747千円(前連結会計年度末比5,398,647千円減)、純資産は5,035,144千円(前連結会計年度末比1,136,220千円減)となりました。
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べて5,741,518千円減少し、9,091,198千円となりました。これは、借入金の返済等により、現金及び預金が4,644,596千円減少したことなどによります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて791,296千円減少し、3,342,490千円となりました。これは、ソフトウエア及びソフトウエア仮勘定が547,715千円、投資有価証券が181,687千円減少したことなどによります。
繰延資産は、前連結会計年度末に比べ2,052千円減少し、4,203千円となりました。
この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて6,534,867千円減少し、12,437,892千円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べて3,236,044千円減少し、5,418,496千円となりました。これは、借入金の返済等により、借入金及び社債が844,913千円、特別調査費用引当金が1,328,009千円、流動負債のその他(未払金、預り金)が578,103千円減少したことなどによります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて2,162,602千円減少し、1,984,250千円となりました。これは、借入金及び社債が2,128,762千円減少したことなどによります。
この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて5,398,647千円減少し、7,402,747千円となりました。
(純資産)
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて1,136,220千円減少し、5,035,144千円となりました。これは、新株発行等に伴い資本金及び資本剰余金が16,329千円増加し、親会社株主に帰属する当期純損失の計上等により利益剰余金が801,933千円減少したことなどによります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物は、3,441,507千円(前連結会計年度末比7,256,599千円減)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは581,118千円の支出(前連結会計年度は665,011千円の支出)となりました。これは、減価償却費680,646千円(前連結会計年度は982,217千円)、減損損失595,849千円(前連結会計年度は2,617,010千円)などの増加要因、税金等調整前当期純損失786,867千円(前連結会計年度は4,734,365千円)、投資有価証券売却益640,781千円(前連結会計年度は3,518千円)、特別調査費用の支払額1,980,204千円(前連結会計年度は160,635千円)などの減少要因の影響によります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは3,125,434千円の支出(前連結会計年度は3,063,079千円の支出)となりました。これは、定期預金の預入による支出8,669,183千円(前連結会計年度は実績なし)、定期預金の払戻による収入6,057,180千円(前連結会計年度は実績なし)、ソフトウエア開発による無形固定資産の取得による支出1,092,687千円(前連結会計年度は2,617,210千円)などの影響によります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは3,251,757千円の支出(前連結会計年度は6,897,552千円の収入)となりました。これは、長期借入金の返済による支出2,521,019千円(前連結会計年度は502,852千円)などの影響によります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b. 受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年10月1日 至 2022年9月30日) |
|||
|
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
テスト運営・受託事業 |
2,589,211 |
75.1% |
413,048 |
78.2% |
(注)テスト運営・受託事業以外のセグメントについては事業の性格上、受注実績の記載に馴染まないため、記載しておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年10月1日 至 2022年9月30日) |
|
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
テスト等ライセンス事業 |
1,268,111 |
94.3 |
|
教育プラットフォーム事業 |
2,593,035 |
106.9 |
|
テストセンター事業 |
2,882,036 |
110.7 |
|
AI事業 |
308,924 |
71.2 |
|
テスト運営・受託事業 |
2,706,316 |
82.5 |
|
合計 |
9,758,424 |
96.7 |
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年10月1日 至 2021年9月30日) |
当連結会計年度 (自 2021年10月1日 至 2022年9月30日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
公益財団法人日本英語検定協会 |
4,602,826 |
45.6 |
4,866,393 |
49.9 |
|
文部科学省 |
1,420,864 |
14.1 |
1,582,501 |
16.2 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積り・仮定設定を必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績や状況に応じて合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
なお、新型コロナウイルス感染拡大の影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績
(売上高)
当連結会計年度の売上高は9,758,424千円(前年同期比3.3%減)となりました。これはテストセンター事業の売上高が2,882,036千円(前年同期比10.7%増)と増加した以上に、AI事業の売上高が308,924千円(前年同期比28.8%減)、テスト運営・受託事業の売上高が2,706,316千円(前年同期比17.5%減)と減少したこと等によります。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は6,771,092千円(前年同期比6.6%減)となりました。その結果、売上総利益は2,987,332千円(前年同期比5.1%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は3,221,723千円(前年同期比1.4%減)となりました。これは内部統制強化や臨時的な経理体制構築及び監査対応費用にかかる業務委託費等が増加した一方で、役員数の削減等による販管費が削減されたこと等によります。その結果、営業損失は234,391千円(前連結会計年度は、425,942千円の営業損失)となりました。
(営業外収益、営業外費用及び経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は為替差益328,579千円、投資有価証券売却益267,378千円等により730,249千円となり、営業外費用は投資事業組合管理費149,104千円、支払手数料80,000千円、持分法による投資損失75,166千円等により395,240千円となりました。その結果、経常利益は100,617千円(前年同期比71.3%減)となりました。
(特別利益、特別損失及び親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の特別利益は投資有価証券売却益373,402千円等により389,402千円となり、特別損失は減損損失595,849千円、特別調査費用引当金繰入額234,300千円等により1,276,888千円となりました。その結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失818,700千円(前連結会計年度は、5,255,052千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
b. 財政状態
財政状態の状況の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」をご参照ください。
③ キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
④ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要につきましては、売上原価並びに販売費及び一般管理費等の営業費用であります。
設備資金需要の主なものは、テスト及びラーニングツール開発のためのソフトウエア開発及びコンテンツ開発費であります。当連結会計年度においては、これらに加えてテストセンター関連設備新設に伴い、その設備投資は1,107,744千円となりました。
翌連結会計年度の資金需要については、ソフトウエア開発及びコンテンツ開発による設備投資を中心に334百万円を予定しております。
運転資金につきましては、自己資金を基本としており、必要に応じて金融機関から短期借入を実施しております。設備投資資金につきましては、自己資金を基本としており、必要に応じて長期借入の実施、社債発行を行っております。
今後も収益構造の強化と成長性の維持のため継続的な設備投資が必要となりますので、安定的な自己資金の確保を目指してまいります。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業内容、事業運営体制等、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社グループは常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保し、市場のニーズにあったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行っていく予定でおります。
⑥ 経営戦略の現状と見通し
当社グループは、英語学習におけるラーニングツール及びテストシステムの提供等によるライセンス収入を安定的な成長の礎とし、以下3つの事業領域を中長期的な成長分野と位置付け事業展開を図ってまいります。
a. 教育プラットフォーム
733万人を超える英ナビ会員データベースを土台としたメディア事業および学習サービスの展開
b. AIベース技術ライセンス
既存のソフトウエア及びシステムに、AI-OCR、自然言語処理、レコメンドエンジン、試験監視システム等のAIベースの技術を実装したサービスの展開
c. テストセンター
直営及び委託会場を併せてCBTを提供するテストセンターを全国展開し、インフラを整備の上、テストシステムの拡充を図りCBT化を加速
当社グループが属する教育ビジネス市場は、小学校の英語の必修化、英語学習の4技能化等、英語等の語学需要が高まるなど、今後も堅調な成長を維持する見込みです。また、足元の新型コロナウイルス感染症拡大によるマイナスの影響の可能性もありますが、一方で、学習やテスト受験のオンライン化、CBT化が加速化する傾向が顕著となっております。このような環境下、当社グループは、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、各施策を通じて事業展開を行い、社会貢献を目指してまいります。
⑦ 経営者の問題認識と今後の方針について
国内教育市場は、英語教育の低年齢化、大学入試制度改革における民間の英語資格・検定試験の活用は延期となったものの4技能評価に対する需要は引き続き強く、教育及びテストの両面においてICT化が不可欠となっております。当社グループはこれを事業機会と捉え、経営資源を投入してまいります。
海外においては、アジア及び米国の開発拠点の一層の効率化により、収益改善を図ってまいります。また、各国の市場動向に留意しつつ、選択と集中を意識した経営資源投入を行い、事業を展開してまいります。
経営者の問題認識については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。
(1)株式会社増進会ホールディングスとの資本業務提携
当社は、2022年7月29日開催の取締役会において、株式会社増進会ホールディングス(以下「増進会ホールディングス」といいます。)との間で資本業務提携契約(以下「本資本業務提携契約」といい、当該契約に基づく資本業務提携を「本資本業務提携」といいます。)を締結することを決議し、同日付で締結しました。
1.本資本業務提携の理由
当社と増進会ホールディングスは、両社の強みを統合することができれば、パソコンやタブレット端末の普及等により、教育業界における変化の加速が見込まれる新しい潮流の中で優位な地位を築くことが可能となり、当社の企業価値向上が大いに期待できるという理由から当社と増進会ホールディングスの連携をこれまで以上に強化したいと考えました。また、当社が 2022 年4月1日に公表した「特設注意市場銘柄の指定に関するお知らせ」のとおり、東京証券取引所は、当社における不適切な会計処理に関する特別調査委員会の最終調査結果等によって新たに明らかになった事実やそれに伴う過年度決算の訂正を踏まえると、当社は、投資者の投資判断に深刻な影響を与える虚偽と認められる開示を行ったものであり、当社の内部管理体制等について改善の必要性が高いと認められるとの理由で、同日付で、当社株式を特設注意市場銘柄に指定しました。これを受けて当社は、同年5月 19 日に、「改善計画・状況報告書」(以下「本改善計画・状況報告書」といいます。)を公表し、本改善計画・状況報告書において、当社として、新経営体制を構築することによるガバナンス体制の更なる強化を含む再発防止策を推進することを示しております。
かかる中、当社と増進会ホールディングスとの間で安定的かつ強固な関係を構築し、旧経営陣による当社の経営への影響力を排除することにより市場からの信頼を回復させるとともに、必要に応じて増進会ホールディングスが当社による資金調達の支援要請に協力することで当社の財務基盤を強化することができ、また、増進会ホールディングスから内部管理等に精通した役職員の派遣を受け入れることにより内部統制の更なる改善及びガバナンスの強化が見込まれ、また、今後更なる業務提携を通じて当社の収益力の強化ひいては当社の企業価値向上に資するとの判断に至ったためであります。
2.本資本業務提携の内容等
本資本業務提携契約の主な内容は以下の通りです。
①本資本業務提携契約の目的
(1) 増進会ホールディングス及び当社は、増進会ホールディングスが本株式譲渡によりZE1 を通じて当社株式を取得することを通じて資本関係を強化し、かかる関係を前提として、当社のガバナンスの強化に向けて互いに協力するとともに、テスト分析・コンサルティング事業、テスト等ライセンス事業(CASEC 等)、AI 事業及びプラットフォーム事業における業務提携を実施することにより、両当事者の企業価値向上及び株主価値向上を図ることを目的として、本資本業務提携契約を締結する。
(2) 増進会ホールディングスは、本資本業務提携の実施にあたっては、当社の上場会社としての独立性に配慮するものとする。
②業務提携の内容
(1)テスト分析・コンサルティング事業
(ⅰ)国や自治体が実施する学力調査等の入札案件において、両当事者の強みであるコンテンツ、採点処理、測定分析、CBT 化等を組み合わせた提案を実施することによる受託率の向上、並びにテストの実施・運営工程の役割分担による印刷及び採点等に係るコストの削減。
(ⅱ)増進会ホールディングスの子会社のうち教育機関に教育コンテンツやソリューションを提供している株式会社エデュケーショナルネットワーク(以下「EN」といいます。)及び教育機関や企業の人材育成部を対象に学習支援サービスを中心に提供している株式会社 Z 会ソリューションズ(以下「ZS」といいます。)が保有する顧客の個別ニーズに対応するノウハウの共有による当社及びその子会社(以下「当社グループ」といいます。)における提案営業力の強化。
(ⅲ)当社グループが提供するテストに関連した教材の増進会グループにおける制作販売。
(2)テスト等ライセンス事業
(ⅰ)EN 及び ZS による教育機関・法人向け営業の拡充に伴い、当社グループにおける大学等教育機関や民間企業へのサービス提供を増加させることによる収益向上。
(ⅱ)当社グループの有する IRT(項目応答理論)と CAT(コンピューター適応型試験)の技術を増進会グループの商品サービスに導入することで付加価値を高め、顧客満足度を向上。
(3)AI 事業
(ⅰ)当社グループの文字認識技術を活用することによる、増進会グループにおける伝票入力等事務作業の合理化、採点業務の合理化・処理時間短縮等のコスト削減。
(ⅱ)EN 及び ZS の教育機関・法人向け営業ノウハウを活用し、当社グループの文字認識技術を活用したサービスを自治体や学校へ提供し、現場の事務作業の効率化を実現することによる販路の拡大。
(ⅲ)当社グループと増進会グループで既に開始しているスピーキングの即時自動評価サービスに関する共同研究の加速。
(4)プラットフォーム事業
増進会グループが有するコンテンツの提供及び増進会グループからの送客による、当社グループの競争力の強化及び顧客の拡大。
(5)テストセンター事業
株式会社栄光等が運営する学習塾を、当社が管理するテストセンターの一部空きスペースを活用して運営することによる賃料等のコスト削減。
③資金調達の内容
当社は、本株式譲渡の実行日(以下「クロージング日」という。)以降において、財務会計の正常化及び必要かつ適切な資金繰りに取り組むものとする。当社の財務会計の正常化及び必要かつ適切な資金繰りが実現しない場合において、当社から増進会ホールディングスに対し、当社の資金調達について合理的な支援要請があった場合、増進会ホールディングスは、当社の企業価値向上を図ることを目的として、当社の資金需要及び資金使途並びに当該時点における増進会グループの財務状況を踏まえて支援の是非、可否、金額及び方法を検討するものとし、かかる支援を不合理に拒否しない。
④ガバナンス等の内容
(1)ガバナンス体制
当社は、クロージング日以降速やかに、監査等委員会設置会社への移行(以下「本監査等委員会設置会社化」という。)を行い、取締役会、監査等委員会及び会計監査人を設置する。但し、本監査等委員会設置会社化については、当社は、両当事者間で誠実に協議の上、当社のガバナンス体制の強化の観点から支障がないことが確認された後、クロージング日以降速やかに、本監査等委員会設置会社化のために必要な手続をとるものとし、両当事者は、本監査等委員会設置会社化について、当社のガバナンス体制の強化の観点から支障がないことの確認に向けて最大限努力する。
なお、本監査等委員会設置会社化後の当社における役員構成は、監査等委員でない取締役の員数は4名とし、監査等委員である取締役の員数は3名(社外取締役)とする。
増進会ホールディングス及び当社は、当社の取締役候補者が下記(2)に従い決定されることを踏まえ、増進会グループと当社グループの間の取引その他増進会グループと当社の一般株主との間の利益が相反し得る取引(以下「本利益相反取引」という。)について、取引の必要性及び条件の妥当性について十分に審議・承認し、その適正性を確保するための体制を構築し、その運用が実効的に行なわれることを担保するための措置(本利益相反取引と利害関係を有する取締役が参加しない取締役会が、本利益相反取引に係る取引条件の決定方針を定めること、当社の取締役会が別途合理的に定める重要性基準を超える取引については、個別の取引の必要性及び条件の妥当性について審議及び承認することを含むが、これらに限られない。)を講じることに合意する。
増進会ホールディングスは、下記(2)に基づき指名する取締役が当社の取締役としての忠実義務を尽くすことの妨げとなる影響力を行使しないものとする。
(2) 役員指名権・オブザーバー
増進会ホールディングスは、当社の企業価値向上及びガバナンス体制の強化を目的として、当社の監査等委員でない取締役として当該目的に照らして適切な人材2名を指名する権利を有する。また、増進会ホールディングスは、当社の企業価値向上及びガバナンス体制の強化を目的として、当社の監査等委員である取締役(独立社外取締役とする。)として当該目的に照らして適切な人材1名(現在及び過去において増進会グループの役職員でない者とする。)を指名する権利を有する。加えて、増進会ホールディングス及び当社は、合意により、当社の企業価値向上及びガバナンス体制の強化を目的として、当社の監査等委員である取締役(社外取締役とする。)として当該目的に照らして適切な人材1名を指名する。
(3) 取締役・監査役の辞任
増進会ホールディングス及び当社は、本臨時株主総会等の終結時をもって、関伸彦氏は当社の取締役を辞任し、曽我氏は当社の監査役を辞任する意向であることを確認する。
(4) 人材交流
増進会ホールディングス及び当社は、増進会グループと当社グループの人材交流について誠実に協議する。
(5) 優先引受権
当社は、当社が、株式等の発行、処分又は付与を行う場合には、増進会ホールディングス及び ZE1 に対して、当該株式等の発行、処分又は付与の条件を事前に書面により通知することを要し、増進会ホールディングスは、当社に書面で通知することにより、当該株式等の発行、処分又は付与の時点における増進会ホールディングス及び ZE1 の完全希釈化ベースの議決権保有割合に応じた数(1株未満は切り上げる。)の当該株式等の発行、処分又は付与を受ける権利を有する。
(6)事前通知事項
当社は、当社又は株式会社教育測定研究が次に掲げる行為を行おうとする場合には、事前に増進会ホールディングスに対して書面により通知しなければならない。但し、本利益相反取引についてはこの限りではない。
(ア) 株式、新株予約権の発行、処分又は割当て
(イ) 自己株式の取得又は剰余金の配当
(ウ) 他社の株式の譲渡又は取得その他の重要な組織再編行為・M&A 取引
(エ) 重要な新規事業の開始、事業の中止、縮小その他の事業の重大な変更
(オ) 資本提携契約、業務提携契約、合弁契約その他経営に重大な影響を及ぼす契約の締結又は変更
(カ) 事業計画の決定又は重要な部分の変更
(キ) 法的倒産手続開始の申立て
(ク) 発行する株式についての上場廃止
(ケ) 増進会グループと競合する若しくはそのおそれのある事業を直接又は間接に行うこと
(コ) その他当社グループの経営に重大な影響を及ぼす事項
⑤資本提携の内容
ZE1 は、2022 年7月 29 日、各本売主との間で、株式譲渡契約をそれぞれ締結し、ZE1 は、髙村氏から、その所有する当社株式 2,400,000 株のうち、1,915,200 株(所有割合:19.11%)を、松田氏から、その所有する当社株式 1,084,200 株のうち、601,600 株(所有割合:6.00%)を、林氏から、その所有する当社株式 519,100 株のうち、280,800 株(所有割合:2.80%)を、曽我氏から、その所有する当社株式 403,900 株のうち、210,600 株(所有割合:2.10%)を、2022 年8月2日付で、それぞれ市場外の相対取引により取得しました。
当社及び増進会ホールディングスは、クロージング日後少なくとも3年間、増進会ホールディングス及び ZE1 の保有する当社株式を増進会グループ外の第三者に対し譲渡その他の処分を行わないことを合意しております。
また、当社及び増進会ホールディングスは、増進会ホールディングスが、クロージング日から3年経過した日以降、増進会ホールディングス及び ZE1 がその保有する当社株式の全部又は一部(以下「譲渡対象株式」という。)を増進会グループ外の第三者に対して譲渡その他の処分をしようとする場合、当社は、譲渡対象株式を、自ら買い取り、又は自らが指定する第三者をして買い取らせることができることを合意しております。
3.本資本業務提携の相手先の概要
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① 名称 |
株式会社増進会ホールディングス |
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② 所在地 |
静岡県三島市文教町一丁目9番11号 |
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③ 代表者の役職・氏名 |
代表取締役社長 藤井 孝昭 |
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④ 事業内容 |
通信教育事業、首都圏及び関西圏での教室事業、出版事業、模擬試験の運営 |
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⑤ 資本金 |
100 百万円(2022 年3月 31 日現在) |
(2)連結子会社に対する債権放棄
当社は、2022年9月22日の取締役会において、当社の連結子会社である株式会社教育測定研究所に対する債権の一部を放棄することを決議しました。
1.債権放棄の理由
当該子会社はソフトウェア開発・販売をしており、過年度訂正の影響等により、当該子会社の財務状況は第3四半期末において債務超過となっております。 当社といたしましては、同社の債務超過を早期に解消し、財務体質の改善を図るため、同社への債権を株式化並びに放棄することといたしました。
2.当該子会社の概要
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(1)名称 |
株式会社教育測定研究所 |
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(2)所在地 |
東京都渋谷区道玄坂1-21-1 |
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(3)代表者の役職・氏名 |
代表取締役 西田 紀子 |
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(4)事業内容 |
ソフトウェア開発・販売 |
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(5)資本金 |
433百万円 |
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(6)設立年月日 |
2001年10月25日 |
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(7)純資産 |
△494百万円(2022年6月30日現在) |
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(8)総資産 |
5,797百万円(2022年6月30日現在) |
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(9)大株主及び持株比率 |
当社 100% |
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(10)上場会社と当該会社との間の関係 |
資本関係 |
当社の連結子会社に該当いたします。 |
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人的関係 |
当社の取締役が、当該会社の取締役を兼務しております。 |
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取引関係 |
・当社が事務所の一部を賃貸しております。 ・当社が資金の貸付を実施しております。 ・当社に経営管理を委託しております。 |
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関連当事者への該当状況 |
当社の連結子会社であり、関連当事者に該当いたします。 |
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3.債権放棄の内容
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債権の内容 |
貸付金 |
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債権の金額 |
941百万円 |
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実施日 |
2022年9月30日 |
該当事項はありません。