当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
[目標とする経営指標]
当社グループは、2024年5月14日に公表しました「中長期経営戦略 2030」において、事業規模を拡大し、資本コストを上回るリターンを創出することで、2030年3月期に売上高3,000億円、営業利益率10%を達成することを目指しています。また、収益性の向上、資産効率性の向上、健全な財政状態の3つの観点から、継続して自己資本利益率(ROE)11%以上を維持していきます。さらに、株主価値の持続的な向上および株主に対する安定的な利益還元を実施していくことを経営の重要課題の一つとして認識しております。2030年3月期に向けて、これらを含む次の具体的な指標を掲げ、株主の皆様への適正な還元策を講じ、健全な経営を維持していきます。
♢ 営業利益率 10%目標
♢ 一株当たり純利益(EPS)成長率 継続10%以上
♢ 自己資本利益率(ROE)は継続11%以上
♢ 自己資本比率 50%程度
♢ 総還元性向 原則50%
♢ 株価純資産倍率(PBR)3倍目標
[中長期経営戦略]
2022年3月期よりスタートした中期経営計画において、「アソビで、世界はもっと良くなる。だからアソビで、未来のグローバル社会に大きくこたえます」をビジョンに、事業領域の拡大とグローバル化を進めてきました。多くの方々のご支援を得て中期経営計画期間中の2024年2月2日に創業100周年を迎えることができました。より長期的な視点から当社の将来を考え、「中長期経営戦略 2030」を策定しました。本戦略は、当社グループの存在意義に立ち返り、Purpose、Vision2030、事業戦略、コーポレート戦略を新たに策定し、当社の価値創造モデルを構築したものです。
1. 中長期経営戦略 2030
当社は創業100周年の節目に、社会における存在意義を改めて見つめ直し、新たにパーパスを策定しました。そして、経済価値を追求するビジネス・ビジョンと、社会価値の向上を追求するサステナビリティ・ビジョンを新たに制定しました。これらのビジョンに基づき、当社が持つ多様なブランドパレットは、統一されたビジョンのもとで事業戦略が実行されています。また、事業戦略を支えるコーポレート戦略によって、安全性と積極性を兼ね備えた事業運営を行っていきます。
2030年までには、規模の大きな海外市場において、自ら商品開発~マーケティング~営業までを一貫して行える「グローバル・アソビカンパニー」を目指します。そのために、本中長期経営戦略においては、北米・中国市場へのローカライズによる参入の挑戦、及び世界同時展開を通じたグローバルマーケティング機能の整備に取り組みます。
Purpose/Vision2030
新たにPurpose、Vision2030を策定し、さまざまな事業形態を持つ総合アソビメーカーとして一層世界で愛される企業を目指します。
■ Purpose(存在意義)
創業100周年を迎えたこの節目に、国内外のグループ従業員のアンケートやワークショップ、パートナー企業や専門家の方々との議論を経て、パーパスを策定しました。
「アソビへ懸ける品質は、世界を健やかに、賑やかにできる。」
「アソビへ懸ける品質」というフレーズに、世界中の人々へ夢や希望、絆や感性、学びや成長を提供することへの想いを込め、世界を健全で活気に満ちた場所にしていくことへの決意を新たにするものです。過去100年にわたり提供してきた価値であり、次の100年に向けてより一層その価値を高めていきます。
■ Business Vision 2030(経済価値の向上)
「高い品質とクリエイティブ性を持ち、世界中で愛される総合アソビメーカーに成長する。」
パーパスに裏付けられた高い品質と、新しいアソビの価値を生み出し続ける創造性をもって、日本を含む世界中でご愛顧いただけるような幅広いラインナップの商品やサービスを提供し、企業価値の向上に努めていきます。
■ Sustainability Vision 2030(社会価値の向上)
「アソビへ懸ける品質は、持続可能なウェルビーイング向上にグローバルで貢献できる。」
従業員が惜しみなくアソビへ情熱を注ぐ環境を整備し、高品質のアソビを提供していきます。当社グループの責任は、お客様の安心・安全にとどまらず、地球環境への影響や、人権の尊重へ配慮し、健全な経営体制により、持続可能な社会の実現と当社グループの成長の両立を目指し、世界に向けて価値を提供していきます。また、サステナビリティ・ビジョンの実現に向け、今回新たに、5つの主題と11のマテリアリティを特定しました。
● 我々の情熱
Ⅰ. アソビを通じて“健やか”で夢のある社会づくりへの貢献
1. アソビを通した豊かな社会への貢献
Ⅱ. 世界中で注目され愛されるアソビを作り出す仕事に夢中になれる職場
2. 従業員のウェルビーイングの向上
3. 従業員の成長
● 我々の責任
Ⅲ. 高い品質の確保
4. 安心・安全・高品質なアソビ
5. お客様とのつながり
Ⅳ. 地球環境との共存
6. 気候変動への対応
7. パッケージ・商品のエコデザインの推進
Ⅴ. 健全な経営
8. 人権の尊重
9. 持続可能な調達
10. アソビづくりを支えるガバナンス
11. アソビづくりを支えるリスクマネジメント
2. 事業戦略
当社が次の100年も世界で愛される企業であり続けるために、事業戦略において事業の多様化と拡大を表現しています。地域軸の拡大や年齢軸の拡大を推進し、より多様な人々に対するアプローチを強化していくこと。さらにヒット商品の開発やブランド価値の向上にも注力し、玩具だけでなく広範なアソビ領域へのさらなる進出を図ります。この目標の達成に向けて、6つの重点戦略を策定しました。また、一連の事業戦略を実行に移す上で、バリューチェーンを強化します。
Ⅰ. 6つの重点戦略
1) 地域軸の拡大
当社が有する多様なブランドパレットを用いて、各ブランドに適した地域に集中的に投資していきます。特に世界的に人気を博する「BEYBLADE」「トランスフォーマー」「新幹線変形ロボ シンカリオンZ」で培ったフィギュア製品、ガチャといった当社の強み領域、及びパートナー企業様との強力なキャラクターとのコラボレーション領域については、日本に加えて、主に北米、東アジア、東南アジア地域へTOMY Internationalグループ、TOMY (Shanghai) Ltd.、 TOMY Asia Limitedを通じて集中的に投資していきます。TOMY Internationalグループは、タカラトミーグループにおいて北米・欧州市場拡大を担う重要な拠点に位置付けています。収益体質改善・ガバナンス体制構築に取り組むとともに、タカラトミーアーツと連携し、フィギュア・ぬいぐるみの北米市場への拡大を実現していきます。一方、地域軸での機会獲得の仕方として、コア地域以外の国に展開していくこと以外に、例えばインバウンドのように日本にいながら海外のお客様とつながることも地域軸の拡大と考えます。キデイランドにおけるインバウンド需要は、それを象徴する一例です。
2) 年齢軸の拡大
当社の製品は、100年にわたり多くのお客様にご愛顧いただいてきました。「トミカ」「プラレール」「リカちゃん」といった製品は、現在では3世代のお客様にアソビを提供しています。また、トミーテックの鉄道模型「TOMIX」、原宿から世界へトレンドを発信するキデイランドは、アソビ心を持つ大人のお客様に多くご利用いただいています。当社は、お客様の人生を通じてライフタイムパートナーとして寄り添っていきます。こうした取組みを強化する一環として、Kidults(キダルト)の方々にもより価値のあるアソビを提供していきます。
Kidults×地域の10の成長分野
バトリングアクション、ビークル、フィギュア、ぬいぐるみ、ロボット、トレーディングカードゲーム(TCG)、コト価値、パートナーIP、アミューズメント、デジタルゲーム
3) コア地域でのヒットとシェア拡大
新たなヒット商品の創出は当社の強みです。例えば前中期経営計画中には、メタバース空間Robloxで楽しめる「BEYBLADE X」、新触感液晶トイ「ぷにるんず」、キデイランドでは新しいキャラクターの発掘、タカラトミーアーツではポケモン周辺事業等により新しいアソビの価値を提供してきました。また、お客様視点での競合会社に対して優位に差別化されたマーケティング・ブランド戦略を通してシェアを拡大します。一例では、「くまのプーさん えらべる回転6WAY ジムにへんしんメリー」は日本の少子化にもかかわらず売上は増加しています。今後もお客様にワクワク、ドキドキを感じていただくため、他社を凌ぐ魅せ方・伝え方をもって商品を提供していきます。
4) ブランド価値の向上
地域・年齢の拡大には、高いブランド価値と、その価値を認めていただける継続的なファンの皆様の存在が不可欠です。「BEYBLADE」「トミカ」「プラレール」「リカちゃん」といった自社ブランドの価値を高め、幅広い年齢層と地域に向けてファンコミュニティを構築していきます。これに加えて、当社の開発力と商品ラインナップを活かし、パートナーブランドの価値を高めていくとともに、魅力ある商品を提供する場としてのキデイランドやガチャ売り場を通じて、新たなキャラクターを発掘し育てていきます。
ファンコミュニティの構築にあたっては、トミカ/プラレールショップや、トミカ/プラレール博、Kidults向けではZOIDS博といった対面型のイベントを進化させ、皆様により満足いただけるブランドを確立していきます。また、海外のお客様に好評いただいているキデイランドの旗艦店舗、大人コレクターの皆様に好評の「TOMIX」といった、日本国内×子どもでのブランド確立にとどまらず、幅広い地域・年齢に向けてのブランド確立にも積極的に取り組んでいきます。
5) 玩具外収入
玩具をはじめとする有形の商品とともに、ライセンスやデジタルコンテンツを通じたアソビにより事業の拡大を図っていきます。現在は、「トミカ」「プラレール」「リカちゃん」「トランスフォーマー」「BEYBLADE」等から生まれたキャラクターのライセンシング事業を展開しているほか、近年では、カードゲームアプリ「デュエル・マスターズ プレイス」、ロングセラー盤ゲーム「人生ゲーム」のNintendo Switch™専用ソフトを発売するなど、新たなサービスの展開を本格化させています。また、トレーディングカードゲーム(TCG)の新IPへの展開や、ZOIDS博をはじめとするイベントも積極的に開催していきます。
6) デジタルテクノロジーの活用
6つの重点戦略の実行において、デジタルサービスやインフラを活用していきます。これらには、「デュエル・マスターズ プレイス」や「人生ゲーム for Nintendo Switch™」をはじめとするスマートフォンや任天堂ハード機器上でのデジタル化、タカラトミーモールや海外グループ会社であるFat Brain Holdings, LLCのDirect-to-Consumer(D2C)型販売チャネルとしてのEコマース事業の拡大、SNSやファンの方々とのデジタルコミュニケーションが含まれます。また、メディア、アナリティクス、マーケティングオートメーション等のデジタル分野を最大限に活用し、最適な情報を最適なタイミングで最適な人に提供することで、購入機会を提供します。また、デジタルを活用して、業務生産性の向上や世界へのアクセスを高めるための言語翻訳等のデジタルツールを活用し、より効率的にアソビの世界を拡大していきます。
Ⅱ. バリューチェーンの強化
一連の事業戦略を実行に移す上で、当社はデジタル技術を駆使して、バリューチェーンをより効率的かつ密接に連携させ、強化していきます。これにより、より迅速に、コストを抑えつつ、安定したサービスを提供し、作業の自動化を進めていきます。具体的には、事業のグローバル化を支えるサプライチェーンを効果的にマネジメントすること、当社の強みの源泉であるIPの調達力を強化すること、そして安全に遊べるアソビ品質を確保することです。バリューチェーンを強化することで「グローバル・アソビカンパニー」としての当社の競争力と、戦略実現の可能性を高めていきます。
● 開発
環境に配慮した素材の研究と製品への実装
AIを利用した開発工程の効率化
● サプライチェーン
アジア・北米市場における競争力強化のための流通体制・生産体制の再構築・効率化
人権デュー・ディリジェンスの体制構築とその運用サプライヤーと連携し持続可能な調達を実現する体制構築とその運用
D2C関連ではお客様へのデリバリーを含めた体制作り
● 安心・安全
Kidults向け商品の拡大、全世界販売に対して競争力を担保する安全品質基準・体制のさらなる改善
3. コーポレート戦略
コンセプト:自走的にVisionに向かい、適所適材を活かして持続的な成長を可能にする組織体へ。
コーポレート戦略は、事業戦略と相互に連携し、当社の新しい経営戦略の土台となるものです。財務・人財・知的財産・社会・自然の観点から経営を担い、当社は事業規模の拡大と経営の質の向上を目指していきます。財務の観点からは、収益性向上(資本コストを意識しつつROEを向上させる)や株主還元(配当・自己株式取得)を行い、健全な財政状態を維持し、株主価値の最大化を追求します。
Ⅰ. 企業価値向上
a) 資本コスト・ROE
当社は、事業規模を拡大し、資本コストを上回るリターンを創出することで、2030年3月期に売上高3,000億円、営業利益率10%を達成することを目指しています。また、収益性の向上、資産効率性の向上、健全な財政状態の3つの観点から、継続して自己資本利益率(ROE)11%以上を維持していきます。
当社の豊富なブランドパレットの強みを活かして、潜在力の高いブランドが強みを持つ地域、年齢層を考慮して、集中的に投資を行っていきます。グローバル市場では、グローバルパートナーとともに「BEYBLADE」のさらなる拡大を目指します。北米では、日本のポップカルチャーとして人気が高いフィギュア・ぬいぐるみの市場をグローバルパートナーと開拓するとともに、TOMY Internationalグループが持つ農耕車両ブランドを伸ばしていきます。中国を含むアジア市場は特に重要な地域ととらえており、トミカ、アライアンスキャラクター玩具、デジタル筐体、ガチャ、フィギュア、ぬいぐるみ分野の拡大に投資していきます。また、オーガニック成長と高いキャッシュ創出力を活かしたM&Aの実行により新たな事業機会を獲得すべく注力します。より幅広い年齢層・地域の人々にアソビを提供することで、高い成長と高リターンを実現します。
b) 株主還元(配当・自己株式取得)
当社は株主価値の持続的な向上および株主に対する安定的な利益還元を実施していくことを経営の重要課題の一つとして認識しております。経営基盤の強化と利益率の向上に努めるとともに、配当や自己株式の取得を通じた株主還元策を実施していきます。2030年3月期に向けて、次の具体的な指標を掲げ、株主の皆様への適正な還元策を講じ、健全な経営を維持していきます。
♢ 営業利益率 10%目標
♢ 一株当たり純利益(EPS)成長率 継続10%以上
♢ 自己資本利益率(ROE)は継続11%以上
♢ 自己資本比率 50%程度
♢ 総還元性向 原則50%
♢ 株価純資産倍率(PBR)3倍目標
Ⅱ. 人財戦略
Vision:自走的に持続的な成長ができる組織として、「アソビ」づくりに夢中になれる環境を構築する。
当社にとってアソビの創造に関わる国内外グループの人財は重要な人的資本です。パーパスとビジョンに基づき、従業員のウェルビーイングの向上を実現するとともに、企業としての持続的な成長を実現する組織風土を一層強固なものにしていきます。
・ 人財は、事業部門・コーポレート部門のそれぞれの機能を果たしつつも、既存の役割に囚われすぎず、機能横断的に課題解決にあたります。
・ 人財強化については、特に事業戦略の成否にかかわる人財として、グローバルでマーケティングを推進する人財を強化していきます。
・ 次世代の経営幹部候補は、中長期的な視点で経験の場を与えて育成していきます。加えて、外部の人財を迎え、活躍できる環境を提供していきます。
Ⅲ. 知的財産(IP)戦略
当社にとってIPは、重要な経営資本です。主力IPである「トミカ」「プラレール」「リカちゃん」「BEYBLADE」「ガチャ」をはじめ、多くの主力ブランドは、知的財産権により積極的に保護しており、国内でも有数の登録件数を維持しています。当社は、「アソビIPを守ること」「アソビIPの侵害に備えること」「アソビIPを育てること」の3つの方針の元でIPを最大限活用しています。
タカラトミーグループは、創業 100 周年の節目に、社会における存在意義を改めて見つめ直し、新たにパーパスを策定しました。そして、経済価値を追求するビジネス・ビジョンと、社会価値の向上を追求するサステナビリティ・ビジョンを新たに制定しました。
当社グループの経済価値の向上はもとより、グローバル社会の一員として、持続可能な社会の実現に向けた取組みを通じて社会価値の向上を追求していくことが、当社グループのビジネスをよりサステナブルなものとし、持続的成長と中長期的な企業価値の向上につながると考えております。
<Sustainability Vision 2030(社会的価値の向上)>
「アソビへ懸ける品質は、持続可能なウェルビーイング向上にグローバルで貢献できる。」
サステナビリティ・ビジョンを実現するために、私たちは、従業員が惜しみなくアソビへ情熱を注ぐ環境を整備し、高品質のアソビを提供していきます。私たちの責任はお客様の安心・安全にとどまらず、地球環境への影響や、人権の尊重へ配慮し、健全な経営体制により、持続可能な社会の実現と当社グループの成長の両立を目指し、世界に向けて価値を提供していきます。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みの状況は、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理
①ガバナンス
タカラトミーグループではサステナビリティ経営を、これまで以上に積極的に推進するため、2024年7月より、代表取締役社長の諮問機関として「サステナビリティコミッティ」を設置し、サステナビリティ課題への取組みを実行してまいります。サステナビリティコミッティではグループのサステナビリティに関する取組みを総合的に把握し、広範囲かつ多様な見地から課題や取組みの方向性について審議いたします。中期サステナビリティ目標・KPIのうち、特に横断的な取組みが必要なテーマでは、サステナビリティコミッティが統括するテーマ別タスクフォースを設置し、担当執行役員とグループ横断の多様なメンバーによって、取組みの実行・推進・新たな提案をしてまいります。テーマ別タスクフォースの進捗は、年に2回開催するサステナビリティコミッティにて報告され、サステナビリティコミッティでの指示・モニタリングを通じて取組みの強化を図ってまいります。
サステナビリティコミッティで議論された内容は、必要に応じて取締役会または常務会に報告・具申を行います。
<サステナビリティ推進体制図>
②戦略
<パーパスに基づくサステナブル経営>
タカラトミーグループは、創業 100 周年の節目に、社会における存在意義を改めて見つめ直し、新たにパーパスを
策定しました。
<Purpose(存在意義)>
「アソビへ懸ける品質は、世界を健やかに、賑やかにできる。」
このパーパスのもと、経済価値を追求するビジネス・ビジョンと、社会価値の向上を追求するサステナビリティ・ビジョ
ンを新たに制定いたしました。これらのビジョンに基づき、当社が持つ多様なブランドパレットは、統一されたビジョン
のもとで事業戦略が実行されています。また、事業戦略を支えるコーポレート戦略によって、安全性と積極性を兼ね備え
た事業運営を行っていきます。
当社グループの経済価値の向上はもとより、グローバル社会の一員として、持続可能な社会の実現に向けた取組みを通
じて社会価値の向上を追求していくことが、当社グループのビジネスをよりサステナブルなものとし、持続的成長と中長
期的な企業価値の向上につながると考えております。
<当社グループのマテリアリティ特定プロセス>
マテリアリティの特定にあたっては、まず、当社グループが取り組むべき課題について、経営・事業面の重要課題、
SDGsやグローバルコンパクトなどの国際的規範(イニシアティブ)、従業員、投資家、子どもたちなどのステークホルダ
ーから寄せられた期待・要請、調査機関などからのサステナビリティに関連する調査項目、その他当社グループや業界を
取り巻く外部環境動向を踏まえ、「24の重要課題候補」として整理しました。次にこれらの重要課題候補について、「当
社グループにおける重要度」「ステークホルダーにとっての重要度」の2軸による重要性評価を、グループ会社役員が参
加する役員勉強会で行いました。その結果、18の課題が重要であると評価されました。この結果を元に、社内で議論を
重ね、外部有識者とのダイアログを踏まえ、当社グループのマネジメントや業務とのつながりを総合的に考慮し統合、11
のマテリアリティを特定しました。
▼タカラトミーグループ サステナビリティフレームワーク
<マテリアリティに対する主なアクション>
当社グループでは我々の情熱と責任からなる5つの主題(Ⅰ~Ⅴ)を新たに設定し、5つの主題における2030年に向け
た約束と11のマテリアリティを特定し取組みを進めております。
我々の情熱
Ⅰ.アソビを通じて“健やか”で夢のある社会づくりへの貢献
(2030年に向けた約束)
私たちは、おもちゃやアソビを通じて、子どもから大人まで広範な世代の人々に「ワクワク・驚き・感動・笑顔」、そし
て「未来へのワクワク」を創出することを目指しています。地域社会との共存・共栄の理念に基づき、家族と地域コミュ
ニティとの結びつきを促進し、社会の持続可能なウェルビーイングの向上に貢献します。
1.アソビを通した豊かな社会への貢献
Ⅱ.世界中で注目され愛されるアソビを作り出す仕事に夢中になれる職場
(2030年に向けた約束)
世界中のお客様のウェルビーイングを向上させ、世界中で愛されるアソビのコンテンツを持続的に創出するために、私
たちは従業員のウェルビーイングの向上を重要視しています。従業員一人一人が自走的に行動することのできる、個性豊
かで多様なグローバル・アソビ・キャスト集団を目指すため、個々のパフォーマンスを最大限に引き出し、革新的なアイ
ディアが生まれやすくなるよう、DEI(多様性、公平性、包摂性)と職場における人財開発の推進をしながら従業員のウ
ェルビーイング向上に努めてまいります。
2.従業員のウェルビーイングの向上
3.従業員の成長
我々の責任
Ⅲ.高い品質の確保
(2030年に向けた約束)
子どもたちをはじめとするお客様の笑顔のために、アソビの安心・安全・品質の確保を第一とします。特に健康や環境
への影響に十分に配慮する必要がある有害化学物質の管理に努めていきます。最高品質のアソビの創造と責任あるマーケ
ティング・コミュニケーションを通して、お客様満足度の向上を目指します。
4.安心・安全・高品質なアソビ
5.お客様とのつながり
Ⅳ.地球環境との共存
(2030年に向けた約束)
100年先も子どもたちが”笑顔”で遊べる環境を守るため、グループのバリューチェーン全体で、気候変動への対応、商
品・パッケージのエコデザインを推進し、おもちゃ・アソビのサーキュラーエコノミーの構築を目指します。
6.気候変動への対応
7.パッケージ・商品のエコデザインの推進
Ⅴ.健全な経営
(2030年に向けた約束)
子どもたちに対して、胸を張れる大人としてコンプライアンス意識を持って行動し、バリューチェーン全体で不正や環境
破壊、人権侵害を起こさないよう、持続可能な調達マネジメントの推進を行います。企業価値の向上を図る上で知的財産
(IP)の管理を図り、企業価値の毀損を避けるべくリスクマネジメントを推進します。サステナビリティを踏まえた経営
をタカラトミーグループ全体で推進します。
8.人権の尊重
9.持続可能な調達
10.アソビづくりを支えるガバナンス
11.アソビづくりを支えるリスクマネジメント
③リスク管理
当社グループは、コンプライアンス体制及びリスク管理体制の充実、徹底を図るため、リスク/コンプライアンス委員
会を設置して、リスク/コンプライアンス上の重要な問題を審議し、その結果を取締役会に報告する体制を採っておりま
す。また、サステナビリティに関するリスクについては、サステナビリティ部門が中心となり、中期サステナビリティ
目標・KPI達成に大きな影響を及ぼすリスクを特定・評価を行い、そのリスク低減をおこなうため、各サステナビリティ
タスクフォースや関連部門と連携しながらリスク管理を実施しております。サステナビリティに関するリスクについて
は、サステナビリティコミッティへ適時報告を行い、指示・モニタリングを通じて取組みの強化を図ってまいります。
④指標及び目標
サステナビリティに関する指標及び目標は、以下に記載しています。
「第2 事業の状況 2サステナビリティに関する考え方及び取組(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理 ②戦略 サステナビリティフレームワーク」
現在、これらマテリアリティ(重要課題)に沿って、中期サステナビリティ目標・KPIの取組みを進めています。
中期サステナビリティ目標・KPIの進捗については、サステナビリティコミッティへ適時報告を行い、指示・モニタ
リングを通じて取組みの強化を図ってまいります。今後も、当社グループの事業そのものが今まで以上に社会に貢献できるよう努めてまいります。
(2)気候変動への対応
当社グループは、マテリアリティ(重要課題)の1つに「気候変動への対応」を特定し、事業活動における環境負荷の低減や、エコトイ等の環境に配慮した商品の企画・開発、さらにそれらを通じて子どもたちにグリーン購入を啓発する次世代教育支援など、気候変動への理解と対策へのアクションを推進しています。
特に脱炭素社会に向けた社会の変革は、当社グループのビジネスに影響するとともに、サステナビリティ・ビジョン実現のために重要なテーマだと認識しています。
当社グループではTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース / Task Force on Climate-related Financial Disclosures)提言に基づいた「ガバナンス」「戦略(リスクと機会)」「リスク管理」「指標と目標」の開示を行ってまいります。
①ガバナンス
当社グループの気候変動対応を含むサステナビリティについては、2024年7月より、代表取締役社長の諮問機関として「サステナビリティコミッティ」を設置し、サステナビリティ課題への取組みを実行してまいります。サステナビリティコミッティではグループのサステナビリティに関する取組みを総合的に把握し、広範囲かつ多様な見地から課題や取組みの方向性について審議いたします。横断的な取組みが必要な気候変動関連の課題は「環境タスクフォース」で議論し、推進しております。
②戦略(リスクと機会)
当社グループでは、気候変動及びそれに付随する様々な影響により生ずるリスクと機会を以下のように特定しました。今後、中長期的な視点で事業への影響と戦略立案を、サステナビリティコミッティが統括する部門横断の「環境タスクフォース」が中心となり議論してまいります。
・移行リスク
お客様や流通、小売り、ライセンサーから環境負荷の低い製品の要請が高まることにより、原材料変更によるコスト増が考えられます。加えて、子どもたちの安全のために当社グループが定めた品質基準を代替素材が維持することができない場合の競争力の低下、プラスチックが主原料である玩具の評判の低下等のリスクが考えられます。また、法規制として、炭素税や排出権取引制度の導入によるエネルギー価格の上昇、プラスチックや資源循環に関する規制が強化されることによる商品設計、製造工程、サプライチェーンの見直しや廃棄に関するコストの増加が想定されます。
・物理的リスク
自然災害がますます甚大化し、災害発生時の生産拠点やパートナー、販売店舗への損害や生産・事業活動の停止、物流網の寸断による販売機会の損失や物流の代替手段によるコストの増加が想定されます。気温上昇が続くと、玩具使用に適した原材料の変更、品質確保のために空調コストの増加、猛暑日(熱中症警戒アラート発表日)の増加による外出自粛の影響から、実店舗への来店やトミカ・プラレール博などのイベントに来場される子どもたち・お客様の数が減少する可能性も考えられます。また、海面上昇による自社拠点やサプライチェーンの見直しの必要性も想定されます。
・機会
石油由来プラスチックから環境負荷の低い原材料への代替に成功した場合は、お客様や流通小売り、ライセンサーからの期待に応えることができ、競争優位性につながると考えます。また、脱炭素社会に移行する中で、お客様のサステナビリティ意識の高まりにより、当社の環境配慮商品エコトイや次世代教育支援活動(環境教育)への支持・共感をさらに獲得できることが期待されます。また、猛暑日(熱中症警戒アラート発表日)の増加による外出自粛の影響から、EC事業による売上の拡大やデジタルイベントの拡大による顧客層獲得機会の創出も考えられます。事業所や生産拠点、店舗において、災害時の事業継続マネジメントを向上させることにより、物理的リスクの回避、事業所への出社・在宅ワークなどの特性を活かした業務遂行、製品の安定供給ができると考えております。これらの環境負荷低減の取組みを進めることで、CO2などの温室効果ガスの削減につながると想定されます。
・シナリオ分析に基づく財務影響評価
当社グループでは、重要度の高かったリスク・機会とその影響、及び2030年時点の当社グループのビジネス・戦略のレジリエンスなどを検討するために、シナリオ分析を実施しています。
シナリオ分析では、IPCC(気候変動に関する政府間パネル / Intergovernmental Panel on Climate Change)やIEA(国際エネルギー機関 / International Energy Agency)などが公表する複数のシナリオを参照し、2100年までの平均気温の上昇が1.5℃未満の場合(1.5℃シナリオ)と、4℃(4℃シナリオ)の場合について、2030年における当社グループへの影響を検討しました。
(主に参照したシナリオ)
|
シナリオ |
主に参照したシナリオ |
|
1.5℃シナリオ |
SSP1-1.9シナリオ(IPCC,2021) Net Zero Emissions by 2050シナリオ(IEA,2021) |
|
4℃シナリオ |
SSP5-8.5(IPCC,2021) Stated Policyシナリオ(IEA,2021) |
▼リスク・機会の財務影響度評価結果
|
移行リスク |
想定される影響の概要 |
事業への影響 |
推進中もしくは検討中の対策 |
|
|
1.5℃ シナリオ |
4℃ シナリオ |
|||
|
玩具の主な原料であるプラスチックの代替素材への変更 |
プラスチック・資源循環に関する規制強化、情報開示要請の強化、法規制対応不十分による罰金、玩具の主な原料であるプラスチックの代替素材への変更など |
中 |
中 |
・石油由来プラスチックの代替素材の検討 ・プラスチック廃棄物の削減など |
|
エネルギー価格や物流価格の高騰 |
炭素税・排出権取引制度の導入、原材料をはじめとする石油由来プラスチックの価格やエネルギー・物流価格の高騰など |
小 |
大 |
・CO2排出量の管理及び低減策の実施 ・代替素材の検討など |
|
サプライチェーンの見直し(商品設計、製造工程) |
脱炭素、脱石油由来プラスチックに伴う既存のサプライチェーンの見直し(商品設計、製造工程)、チャネルの変化(リユース市場拡大)による新製品販売の機会損失の可能性など |
大 |
大 |
・石油由来プラスチックの代替素材や再生しやすい商品設計の検討 ・新規顧客・セグメントの拡大 など |
|
プラスチックが主原料であることによる評判低下 |
ライセンサー、流通からの要請の強化に対応しきれなかった場合の機会損失、プラスチックが主原料であることによる消費者からの評判低下、投資家や金融機関からの脱炭素・脱石油由来プラスチック選好による投融資の減少など |
大 |
小 |
・自社持続可能な調達の推進 ・石油由来プラスチックの代替素材の検討 ・脱炭素・脱石油由来プラスチックに係る情報開示の更なる拡充など |
|
物理リスク |
想定される影響の概要 |
事業への影響 |
推進中もしくは検討中の対策 |
|
|
1.5℃ シナリオ |
4℃ シナリオ |
|||
|
自然災害による自社拠点やパートナーの機能停止 |
自然災害による自社拠点への損害、自然災害による委託先への影響 |
中 |
大 |
・影響を受ける可能性がある拠点や委託先への対策や当社グループBCPのアップデートなど |
|
自然災害による物流網寸断(販売機会の損失、代替物流のコスト増) |
自然災害による物流網の寸断(販売機会の損失、代替物流のコスト増)、自然災害による営業停止による販売機会減少 |
中 |
中 |
・物流や店舗におけるBCPの更なる強化 ・EC事業拡大など |
|
猛暑日(熱中症警戒アラート発表日)の増加により、実店舗やイベントに来られる子どもたち・お客様の減少 |
気温上昇に対する品質維持コストの増加、猛暑日の増加により、実店舗やイベントに来られる子どもたち・お客様の減少、猛暑による従業員への影響など |
中 |
中 |
・イベントにおける猛暑日対応の強化、安全性の更なる確保 ・気温上昇に対する品質維持等、熱に強い代替素材の検討など |
|
海面上昇による自社拠点やサプライヤーの見直し |
自社拠点やサプライチェーンの見直し |
小 |
小 |
・海面により影響を受ける可能性のある自社拠点等の見直しなど |
|
機会 |
想定される影響の概要 |
事業への影響 |
推進中もしくは検討中の対策 |
|
|
1.5℃ シナリオ |
4℃ シナリオ |
|||
|
環境に負荷の少ない代替素材への変換の成功による競争優位 |
省エネルギーの徹底、再生エネルギーへの転換、環境ブランド確立による競争優位の獲得など |
大 |
小 |
・石油プラスチックの代替素材の 検討 ・省エネルギーの徹底・再生エネルギーへの転換など |
|
お客様のサステナビリティ意識の高まりによる、環境配慮商品(エコトイ)や次世代教育支援活動(環境教育)の支持・共感の獲得 |
環境ライフスタイルの変化に伴う新製品/新サービスの市場の拡大、気候変動適応型の商品の売上の増加、教育関連市場の拡大など |
大 |
中 |
・消費者ライフスタイル変化に合わせたサービスの提供やLTV(Life Time Value)の向上 ・環境配慮型商品やサービスの更なる拡充など |
|
EC事業による売上の拡大やデジタルイベントの拡大による顧客層獲得機会の創出 |
ビジネスモデルの変更によるコスト構造の改善と環境負荷の低減など |
中 |
中 |
・EC事業拡大や事業構造の再検討 ・デジタルイベントの検討など |
|
環境マネジメントによる環境対応の成功と開示拡充による企業価値の向上 |
環境マネジメントによる環境対応の成功と、開示拡充による企業価値の向上、在宅ワークなどの特性を活かした業務遂行によるコストの低減、生産性の向上など |
大 |
中 |
・環境マネジメントの推進など |
|
自然災害の適応力向上による物理的リスクの回避 |
自然災害への適応力の向上による物理的リスクの回避など |
大 |
中 |
・影響を受ける可能性がある自社拠点における対策やBCPのアップデートなど |
<影響度について>
小:当社グループの事業及び財務への影響が軽微であることが想定される
中:当社グループの事業及び財務への影響がやや大きくなることが想定される
大:当社グループの事業及び財務への影響が大きくなることが想定される
※タカラトミーの現在の見通し、目標、計画、戦略など将来に関する記述が含まれておりますが、分析時点の仮定によるものであり、各国の政策や国際情勢・社会的混乱など様々な要因により、見通しとは大きく異なることがありま
す。将来における当社の実際の業績または事業展開を確約したり、保証するものではありません。
③気候変動関連のリスク管理
当社グループでは、気候変動を含む環境課題に係るリスクについて、サステナビリティコミッティが統括する部門横断の「環境タスクフォース」で検討を行い、戦略策定や業務執行部門・グループ会社との共有を図っています。
当社グループでは、これまでも、事業を通じた環境への取り組みや、事業継続計画(BCP)を策定し有事の際のリスクの防止や低減への対策を行っています。
詳細は、下記の関連リンクをご参照ください。
・事業継続計画(BCP)
https://www.takaratomy.co.jp/company/csr/organizational_governance/bcp.html
・事業活動を通じた環境への取組み
https://www.takaratomy.co.jp/company/csr/environment/business.html
・おもちゃを通じた環境への取組み
https://www.takaratomy.co.jp/company/csr/environment/toys.html
④指標と目標
当社グループでは、スコープ1、スコープ2及びスコープ3を算定し、管理を行っております。脱炭素社会の実現に向け、タカラトミーグループは、2030年にCO2排出量(スコープ1&2)を2022年度対比で50%削減すること、2050年にはCO2排出量実質ゼロを目指す長期目標を設定しました。また、2030年までに購入電力の40%を再生可能エネルギー由来の電力にすることを目標として掲げ、CO2排出量削減の取組みを推進してまいります。
(3)人的資本に関する戦略
①ガバナンス
タカラトミーグループでは、マテリアリティ(重要課題)に「従業員のウェルビーイングの向上」「従業員の成長」を特定し、サステナビリティコミッティが統括する部門横断の「DEIタスクフォース」のもと取組みを推進しています。サステナビリティコミッティではグループの人的資本に関する取組みを総合的に把握し、広範囲かつ多様な見地から課題や取組みの方向性について審議いたします。
②戦略
<Vision>
「自走的に持続的な成長ができる組織として、「アソビ」づくりに夢中になれる環境を構築する。」
当社にとってアソビの創造に関わる国内外グループの人財は重要な人的資本です。パーパスとビジョンに基づき、従業員のウェルビーイングの向上を実現するとともに、企業としての持続的な成長を実現する組織風土を一層強固なものにしていきます。
・人財は、事業部門・コーポレート部門のそれぞれの機能を果たしつつも、既存の役割に囚われすぎず、機能横断的に課題解決にあたります。
・人財強化については、特に事業戦略の成否にかかわる人財として、グローバルでマーケティングを推進する人財を強化していきます。
・次世代の経営幹部候補は、中長期的な視点で経験の場を与えて育成していきます。加えて、外部の人財を迎え、活躍できる環境を提供していきます。
なお、当社グループにおける、人材の多様性の確保についての考え方を示した「タカラトミーグループダイバーシティ方針」、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針として「人財育成の方針」「職場環境に関する方針」を以下の通り設定しております。当社グループでは、ダイバーシティ方針のもと、多様な人財が活躍する職場環境づくりに積極的に取り組むことで、大人も子どもも笑顔になる商品やサービスを社会に提供していきます。詳細は、「サステナビリティサイト」をご確認ください。
・ダイバーシティ方針
https://www.takaratomy.co.jp/company/csr/work_style_reform/
・人財育成の方針
https://www.takaratomy.co.jp/company/csr/work_style_reform/human_resources_development.html
・職場環境に関する方針
https://www.takaratomy.co.jp/company/csr/work_style_reform/diversity.html
③指標と目標
○従業員のウェルビーイングの向上
・従業員ワークエンゲージメント(仕事への自発的行動・ポジティブ感情)偏差値の継続的上昇
・公平な人事評価制度によるグループ女性管理職比率30%
○従業員の成長
・多様な働き方や自走的なキャリア形成のための教育研修※の拡充と進捗開示
※経営戦略実行に向けたスキルを高める、事業戦略策定・ファイナンス・マーケティング・ブランディング・DXマーケティング・組織活性・マネジメント等の研修プログラム
・グローバルマーケットで活躍できる人財の育成を目指し、グローバル育成プログラムの導入と進捗開示
当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼしうるリスクは主に次のとおりです。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避、顕在化した場合の対応を含むリスク管理体制の強化を図っていきます。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(特に重要なリスク)
(1)ヒット商品の影響について
当社グループの主力事業である玩具事業は、特定商品や特定コンテンツの成否によって影響を受ける傾向にあります。当社グループでは、このような影響を緩和すべく、継続的ヒット商品創出のための開発力強化、商品ラインアップの充実、コンテンツ育成等の施策を実施していますが、ヒット商品の有無が当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)商品の安全性について
当社グループは、厳格な品質管理基準に基づき、商品の品質向上や安全性確保に取り組んでいますが、取扱商品の安全・品質上の重大問題、製造物責任賠償やリコール等が発生した場合には、当社グループのブランド価値低下を招くとともに、多額の費用負担が発生し、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)災害等のリスクについて
当社グループは、日本をはじめ世界各地で事業展開を行っており、地震、洪水、台風などの自然災害や、サイバー攻撃、戦争、テロ行為、感染症の世界的流行(パンデミック)、電力等のインフラ停止などが発生した場合には、事業活動の一部又は全体に大きな支障をきたす可能性があります。当社グループは、事業継続計画(BCP)の整備等に取り組んでいますが、このような事態での物的・人的被害により多額の費用等が発生し、財政状態及び経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(重要なリスク)
(1)四半期業績の変動について
当社グループの玩具事業は、例年、クリスマス/年末商戦期である第3四半期に売上高が伸びる傾向にあります。当社グループでは、その他のシーズンでの重点商品の投入、玩具周辺事業の拡大等により業績の平準化を図っていますが、業績の季節的変動は今後とも続くと予想しています。
(2)為替相場の変動について
当社グループでは、国内で販売する玩具類の大半を海外から米ドル建てで輸入しています。当社グループでは、グループ為替リスクヘッジ方針に基づき為替予約等による為替リスクヘッジを行っていますが、為替相場の大幅な変動が生じるなどリスク減殺効果が薄れた場合には、海外連結子会社の損益、決算期末における資産及び負債等の円換算金額の増減も含め、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)海外事業展開について
当社グループでは、海外市場での事業拡大を重点戦略の一つとしており、販売拠点のグローバル展開に加え、国内外で販売する商品の大半を海外にて生産しています。海外では為替リスクに加え、不安定な政情、金融不安、文化や商慣習の違い、特有の法制度や予想しがたい投資規制・税制変更、労働力不足や労務費上昇、知的財産権保護制度の未整備等、国際的活動の展開に伴うリスクがあります。当社グループでは、海外拠点網の再構築、中国偏重の生産体制からベトナムなどへの生産シフト、模倣品対策強化等、海外リスクに留意したグローバル事業展開を進めていますが、各国の政治・経済・法制度等の急激な変化は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)原材料価格変動の影響について
当社グループは、プラスチックや亜鉛ダイカスト合金などを材料とする玩具類を扱っており、原油価格や金属素材価格等の影響を受けます。当社グループはその影響を緩和すべく、製造委託先も含めた原材料調達方法の工夫、生産物流体制の効率化等に取り組んでいますが、原材料価格の高騰や供給不足等が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)経営上の重要な契約について
当社グループは、第三者との間でいくつかの経営上の重要な契約を締結していますが、今後何らかの理由で契約が継続できない場合等には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(経営上の重要な契約等については、「第2 事業の状況 5 経営上の重要な契約等」に記載しています)
(6)情報の流出について
当社グループは、事業上の重要情報、顧客・取引先等の機密情報や個人情報等を保有しています。当社グループは、情報セキュリティ対策の強化・徹底等により、これらの情報の秘密保持に細心の注意を払っていますが、不測の事態により情報が外部に流出する可能性があります。万一、このような事態が生じた場合には、当社グループの信用低下や財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)無形固定資産の評価及び減損について
当社グループは、TOMY Internationalグループの買収に伴い、のれんを含む無形固定資産を相当額計上しています。これらの無形固定資産につきましては、毎年定額法による償却及び必要な減損処理を行っており、現時点では更なる減損損失計上は必要ないと認識していますが、当該事業の業績が想定どおり進捗しない場合には、将来の減損の可能性は高まり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
(2024年3月期におけるハイライト)
|
当連結会計年度における経営環境は、国内では新型コロナウイルス感染症が5類に移行され、設備投資や個人消費に持ち直しの動きが見られるなど景気は緩やかな回復基調となりました。一方で、世界的な金融引き締めや地政学的リスクの高まりによる、海外の景気後退懸念、為替の変動やインフレーション等、不透明感の高い状況が依然として続きました。 そのような中、2022年3月期よりスタートした中期経営計画では「アソビで、世界はもっと良くなる。だからアソビで、未来のグローバル社会に大きくこたえます」をビジョンとして掲げ、ターゲット年齢層、市場地域を広げるとともに、事業領域の拡大を図りました。当期はその最終年度として、「適所適材」をキーとした出口・年齢・地域のさらなる攻略をはじめとした6つの全社戦略に引き続き注力することで、中期経営計画の各施策達成に向かって取り組みました。 当連結会計年度の業績については、日本、アジア地域において玩具事業に加え、特に玩具周辺事業及び小売事業が好調に推移しました。アメリカズではFat Brain Holdings, LLCが苦戦したものの、主力オペレーションであるTOMY International, Inc.において堅調に推移しました。これらにより、売上高は208,326百万円(前期比11.2%増)となりました。また、売上高の増加及び輸送費の落ち着き等による原価率の改善から売上総利益が伸長するとともに、販売費及び一般管理費における物流費の減少等から、営業利益は18,818百万円(前期比43.4%増)、経常利益は17,807百万円(前期比47.9%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、第3四半期に当社連結子会社であるFat Brain Holdings, LLCに係る減損損失等を特別損失として計上したものの、9,808百万円(前期比18.0%増)となりました。 なお、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は、いずれも過去最高となりました。 |
(経営成績に関する分析)
<セグメント別業績の概況>
|
(単位:百万円) |
|
|
|
前期 |
当期 |
増減 |
増減率(%) |
|
売上高 |
|
187,297 |
208,326 |
21,028 |
11.2 |
|
|
日本 |
148,214 |
170,097 |
21,883 |
14.8 |
|
|
アメリカズ |
29,533 |
30,063 |
529 |
1.8 |
|
|
欧州 |
6,683 |
6,640 |
△42 |
△0.6 |
|
|
オセアニア |
2,741 |
2,545 |
△195 |
△7.1 |
|
|
アジア |
55,465 |
57,869 |
2,404 |
4.3 |
|
|
消去又は全社 |
△55,340 |
△58,891 |
△3,550 |
- |
|
営業利益又は営業損失(△) |
13,119 |
18,818 |
5,698 |
43.4 |
|
|
|
日本 |
16,484 |
22,265 |
5,780 |
35.1 |
|
|
アメリカズ |
△725 |
△495 |
229 |
- |
|
|
欧州 |
△797 |
△724 |
73 |
- |
|
|
オセアニア |
81 |
189 |
108 |
133.8 |
|
|
アジア |
1,895 |
1,907 |
12 |
0.6 |
|
|
消去又は全社 |
△3,819 |
△4,324 |
△505 |
- |
<日本>
(単位:百万円)
|
|
前期 |
当期 |
増減 |
|
売上高 |
148,214 |
170,097 |
21,883 |
|
営業利益 |
16,484 |
22,265 |
5,780 |
「トミカ」では幅広いターゲット層に人気のあるコンテンツを取り入れた「ドリームトミカ」シリーズに加え、可能な限りリアリティを再現した「トミカプレミアム」シリーズが好調に推移しました。「プラレール」においては“飾る楽しみ”と“走らせる楽しみ”を両立した「プラレール リアルクラス」の展開を6月にスタートさせるなど、年齢軸の拡大に努めました。
現代版ベーゴマ「ベイブレード」の第4世代となる「BEYBLADE X(ベイブレードエックス)」では、7月に玩具シリーズを発売し、子どもだけでなく大人からも注目を集めました。また、10月からはテレビアニメ放送の開始により人気が拡大するとともに、世界的メタバースプラットフォーム「Roblox」に公式メタバースワールド『BEYBLADE PARK』をオープンするなど、デジタル連動を図りました。「トランスフォーマー」においては、新作映画公開に伴い関連玩具を新たに発売したものの、厳しい海外玩具市場の影響等から輸出は期待値には届きませんでした。
イベント事業においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響から開催を中止していた「トミカ博」「プラレール博」等、各種イベントを2023年のゴールデンウィークより再開し好評を博しました。また、小売事業においては、キデイランドにて都市部店舗を中心とした訪日外国人観光客を含めた大幅な人流の回復に加え、キャラクター専門店舗等によるグッズ販売の拡大により好調に推移しました。タカラトミーアーツが展開するガチャ事業では、大型ガチャ売場の設置拡大やヒットコンテンツを使った年齢層の拡大等により販売が増加しました。アミューズメントマシンでは「ポケモンメザスタ」がキャラクターの高い人気もあり、引き続き注目を集めました。
デジタル事業においては、カードゲームアプリ「デュエル・マスターズ プレイス」が人気キャラクターとのコラボ等によりビジネスを拡大させるとともに、10月にはロングセラー盤ゲーム「人生ゲーム」のNintendo Switch™専用ソフトを発売し好評を博すなど、自社IPのデジタル展開を進めました。
1月には、JAXA等と共同で開発した変形型月面探査ロボット「SORA-Q」が月面に着陸し小型月着陸実証機「SLIM」の撮影を成功させ、当社の技術がその大きな成果の一翼を担うことができました。
以上の結果、売上高については170,097百万円(前期比14.8%増)、営業利益は22,265百万円(同35.1%増)となりました。
<アメリカズ>
(単位:百万円)
|
|
前期 |
当期 |
増減 |
|
売上高 |
29,533 |
30,063 |
529 |
|
営業損失(△) |
△725 |
△495 |
229 |
「Boon」をはじめとしたベビー用品が好評を博し、農耕車両玩具では「Ag Replicas」が好調に推移しました。また、日本においてタカラトミーアーツが展開するぬいぐるみシリーズ「もっちぃもっちぃ 海外商品名 Club Mocchi- Mocchi-」やロングセラー商品であるパーティーゲーム「黒ひげ危機一発 海外商品名 Pop-Up Pirate」が人気となりました。
一方で、玩具市場全体の低迷によりFat Brain Holdings, LLCの販売が苦戦しました。以上により、売上高は30,063百万円(前期比1.8%増)、営業損失は495百万円(前期営業損失725百万円)となりました。
<欧州>
(単位:百万円)
|
|
前期 |
当期 |
増減 |
|
売上高 |
6,683 |
6,640 |
△42 |
|
営業損失(△) |
△797 |
△724 |
73 |
農耕車両玩具の販売が堅調に推移するとともに、パーティーゲーム「Pop-Up Pirate」が人気を集めたものの、ベビー用品等の販売が減少したこともあり、売上高は6,640百万円(前期比0.6%減)、営業損失は724百万円(前期営業損失797百万円)となりました。
<オセアニア>
(単位:百万円)
|
|
前期 |
当期 |
増減 |
|
売上高 |
2,741 |
2,545 |
△195 |
|
営業利益 |
81 |
189 |
108 |
農耕車両玩具の販売が堅調に推移し、ぬいぐるみシリーズ「Club Mocchi- Mocchi-」の販売が好調に推移したものの、ベビー用品等の販売が減少したこともあり、売上高は2,545百万円(前期比7.1%減)となりました。
一方で、営業利益は輸送費の落ち着き等による原価率の改善から売上総利益が伸長したことにより189百万円(同133.8%増)となりました。
<アジア>
(単位:百万円)
|
|
前期 |
当期 |
増減 |
|
売上高 |
55,465 |
57,869 |
2,404 |
|
営業利益 |
1,895 |
1,907 |
12 |
「トミカ」や「ポケモン」、「ダイアクロン」等が人気を集めるとともに、前期第1四半期に中国で行われていたロックダウンの反動等もあり販売は好調に推移しました。また、タカラトミーアーツのアミューズメントマシン「ポケモンガオーレ」が好評を博しました。さらに、「BEYBLADE X」では、日本と同時期の7月に香港・台湾、11月以降に韓国・中国等アジア地域において商品展開をスタートさせ、アニメ放送を11月に香港、12月に台湾、2月に韓国・タイにて開始しました。
以上に加え、生産子会社であるTOMY (Hong Kong) Ltd.におけるアメリカズ向け出荷が回復したこと等から、売上高は57,869百万円(前期比4.3%増)、営業利益は1,907百万円(同0.6%増)となりました。
②財政状態の状況
<資産>
流動資産は、前連結会計年度末に比較して5,897百万円増加し、117,561百万円となりました。これは主として、現金及び預金が減少した一方で、売掛金、商品及び製品が増加したことによるものです。
固定資産は、前連結会計年度末に比較して836百万円増加し、48,690百万円となりました。これは主として、のれんが減少した一方で、建設仮勘定、投資有価証券が増加したことによるものです。
<負債>
流動負債は、前連結会計年度末に比較して665百万円増加し、53,722百万円となりました。これは主として、短期借入金が減少した一方で、支払手形及び買掛金、未払金、未払法人税等が増加したことによるものです。
固定負債は、前連結会計年度末に比較して6,764百万円減少し、12,530百万円となりました。これは主として、長期借入金、退職給付に係る負債が減少したことによるものです。
<純資産>
純資産は、前連結会計年度末に比較して12,832百万円増加し、99,999百万円となりました。これは主として、利益剰余金、為替換算調整勘定、繰延ヘッジ損益が増加したことによるものです。
③キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
|
|
2023年3月期 |
2024年3月期 |
増減額 |
|
営業活動によるキャッシュ・フロー |
16,223 |
29,175 |
12,952 |
|
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△2,134 |
△5,324 |
△3,190 |
|
財務活動によるキャッシュ・フロー |
△13,689 |
△27,149 |
△13,459 |
|
現金及び現金同等物の期末残高 |
66,360 |
64,182 |
△2,177 |
<営業活動によるキャッシュ・フロー>
営業活動によるキャッシュ・フローは、29,175百万円の収入(前連結会計年度は16,223百万円の収入)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益14,869百万円、減価償却費6,036百万円、仕入債務の増加4,899百万円等があったことによるものです。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>
投資活動によるキャッシュ・フローは、5,324百万円の支出(前連結会計年度は2,134百万円の支出)となりました。これは主として、無形固定資産の取得による支出3,099百万円、有形固定資産の取得による支出1,560百万円、子会社株式の条件付取得対価の支払額677百万円等があったことによるものです。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>
財務活動によるキャッシュ・フローは、27,149百万円の支出(前連結会計年度は13,689百万円の支出)となりました。これは主として、短期借入金の減少10,839百万円、長期借入金の返済による支出8,726百万円、配当金の支払額2,980百万円、ファイナンス・リース債務の返済による支出2,798百万円等があったことによるものです。
以上の増減額に現金及び現金同等物に係る換算差額などを調整した結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は前連結会計年度末に比べ2,177百万円減少し、64,182百万円となりました。
④生産、受注及び販売の実績
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらず見込み生産によっております。金額も僅少な為、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため販売の実績については、「第2 事業の状況、4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析、(1)経営成績等の状況の概要、①経営成績の状況」におけるセグメントの業績に関連づけて示しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
(a) 重要な会計方針
当社グループの連結財務諸表は我が国において、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、必要となる見積りに関しては、過去の実績等を勘案し、合理的と判断される基準に基づいて行っております。なお、連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況、1連結財務諸表等、(1) 連結財務諸表、注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。
(b) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は我が国において、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、連結貸借対照表上の資産、負債の計上額、及び連結損益計算書上の収益、費用の計上額に影響を与える見積り、判断ならびに仮定を使用する必要があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況、1連結財務諸表等、(1)連結財務諸表、注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a) 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご確認ください。
(b) 当連結会計年度の当社グループの経営成績及びキャッシュ・フローの概況
「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析、(1)経営成績等の状況の概要」をご参照ください。
(c) 当社グループの資本の財源及び資金の流動性
(財務戦略の基本的な考え方)
当社グループは、強固な財務体質と高い資本効率を両立しつつ、企業価値向上のために戦略的に経営資源を配分することを財務戦略の基本方針としております。強固な財務体質の維持に関しては、自己資本比率を50%程度とし、現状を上回る信用格付(日本の格付機関)の取得・維持を目指し、リスク耐性の強化を図ります。
同時に、適切な情報開示・IR活動を通じて資本コストの低減に努めると共に、営業キャッシュ・フローによる十分な債務償還能力を前提に、厳格な財務規律のもとで負債の活用も進めることにより、資本コストの低減及び資本効率の向上にも努めてまいります。
当社グループはこれまで広告宣伝費、研究開発費などの先行投資を実行し、積極的な商品投入により売上高を伸長させ、利益成長を目指してきましたが、外部環境が大きく変化する中で、市場が一旦縮小、かつ消費者の購買行動が変容した場合も営業キャッシュ・フローによる十分な債務返済能力を有することを前提として、設備投資や研究開発費等での成長投資に資金の配分を行ってまいります。
(資金需要の主な内容)
当社グループの資金需要は、金型及び筐体の購入費用のほか、仕入代金の支払、製造費、広告宣伝費、研究開発費を含む販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主として新製品の開発・製造のために必要な設備投資及び物流設備投資等であります。
(経営資源の配分に関する考え方)
当社グループは、適正な手元現預金の水準について検証を実施しております。売上高の3ヵ月以上を安定的な経営に必要な手元現預金水準とし、それを超える分については、「追加的に配分可能な経営資源」と認識し、企業価値向上に資する経営資源の配分に努めます。
手元現預金及び今後創出するフリーキャッシュ・フロー、そして有利子負債の活用により創出された追加的に配分可能な経営資源については、当社グループの事業の維持拡大、株主還元のさらなる充実に活用する考えです。
株主還元に関しては、安定的な配当の継続を基本に業績及び配当性向などを勘案したうえ配当金額を決定していく方針です。
(資金調達)
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金及び外部資金を有効に活用しております。短期運転資金は自己資金を中心に賄い、一部金融機関からの短期借入金として資金調達を行うことを基本としております。設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入等を基本としており、一部リースによる設備投資を行っております。
また、安定的な外部資金調達能力の維持向上は重要な経営課題と認識しており、主要な取引先金融機関とは良好な取引関係を維持しており、また、利用にあたっては信用リスクを軽減するために格付けの高い金融機関とのみ取引を行っております。加えて強固な財務体質を有していることから、当社グループの事業の維持拡大、運営に必要な運転資金、投資資金の調達に関しては問題なく実施可能と認識しています。
(d) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
2021年5月に公表しました前中期経営計画では、2022年3月期から2024年3月期の3年間を「グローバルで強みを活かしたSustainable Growth(持続的成長)実現に向けた基盤整備を行うこと」を中期基本方針と位置づけ、6つの全社戦略に取り組んでまいりました。
当社グループは、株主資本の効率的運用及び収益性の追求の観点から、自己資本利益率(ROE)を重要な経営指標としております。また、前中期経営計画の最終年度となる2024年3月期の数値計画として「売上高1,850億円、営業利益150億円、自己資本利益率(ROE)12%超」を掲げており、2024年3月期の経営成績は「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりとなり、売上高は計画比233億円増(12.6%増)、営業利益は計画比38億円増(25.5%増)と、計画を大きく上回る達成状況となりました。自己資本利益率(ROE)については10.5%となり、翌連結会計年度以降は継続して自己資本利益率(ROE)11%以上を維持することに努めてまいります。
なお、前中期経営計画において「3ヵ年*合計の営業利益計画350億円」を掲げており、経営成績は3ヵ年合計で営業利益442億円と、計画達成率127%となりました。
*2022年3月期から2024年3月期の3ヵ年
各指標の過去5年間の推移は以下のとおりです。
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回次 |
69期 |
70期 |
71期 |
72期 |
73期 |
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決算年月 |
2020年3月 |
2021年3月 |
2022年3月 |
2023年3月 |
2024年3月 |
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売上高 (億円) |
1,648 |
1,412 |
1,654 |
1,872 |
2,083 |
|
営業利益 (億円) |
106 |
70 |
123 |
131 |
188 |
|
自己資本利益率(ROE) (%) |
6.8 |
7.9 |
12.3 |
10.0 |
10.5 |
各指標はいずれも当社連結べ-スの財務数値を用いて算出しております。
(1)スポンサー契約
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契約会社名 |
相手方の名称 |
国名 |
契約内容 |
契約期間 |
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㈱タカラトミー |
㈱オリエンタルランド |
日本 |
1.アトラクション並びにその近辺において当社がスポンサーであること及び商号、その他のシンボル、商標、意匠等を表示する権利の許諾契約 |
2022年8月2日から 2027年8月1日まで (契約満了前の協議により合意された場合更新可能) |
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2.「東京ディズニーランド」及び「東京ディズニーシー」のスポンサーであることの広報、宣伝、又は参加製品の宣伝、販売促進のためにのみ、東京ディズニーランド、東京ディズニーシー、東京ディズニーリゾートの名称とマーク及びそのシンボル、又はその他パークからのシーンとそのシンボルを使用する権利、東京ディズニーランド及び東京ディズニーシーのオフィシャル(又は公認)企業として、自らを表示する権利の許諾契約 |
(2)ライセンス契約
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契約会社名 |
相手方の名称 |
国名 |
契約内容 |
契約期間 |
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㈱タカラトミー |
ウォルト・ディズニー・ジャパン㈱ |
日本 |
先方の保有・管理するディズニーキャラクターの形状や名称等を一般玩具、ベビー商品に使用して日本国内で販売する権利及びその権利の範囲内でサブライセンスする権利の許諾契約
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2024年4月1日から 2025年3月31日まで (契約満了前の協議により合意された場合には更新可能) |
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㈱タカラトミー |
㈱小学館集英社プロダクション |
日本 |
著作物「ポケットモンスター」に登場するキャラクターの形状や名称等を玩具(ハイターゲットトイ、ベビートイ含む)、アパレル、雑貨の契約商品に使用して日本国内で販売する権利の許諾契約
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2024年4月1日から 2025年5月31日まで ※許諾期間は2025年3月31日まで (契約満了前の協議により合意された場合には更新可能) |
(3)販売契約
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契約会社名 |
相手方の名称 |
国名 |
契約内容 |
契約期間 |
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㈱タカラトミー
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HASBRO,INC. |
米国 |
カーロボット等のロボット玩具の日本以外の地域における独占的販売権の許諾と対価の受取り |
1983年11月1日から 2024年12月31日まで (契約満了前に当事者から契約違反等特定の事由に基づく異議の申し出がない限り自動更新) |
(研究開発活動)
当社グループは、アソビ心をもつ世界中の全ての人々に向けて「ワクワク・驚き・感動・笑顔」を提供するための研究開発活動を行っています。
また、当社グループがこれまでに育成した商品・ブランド及びそれらの開発過程で蓄積した経験・ノウハウを活かし新たなコンテンツの創出に注力しています。当連結会計年度においては、子どもだけでなく大人に向けても魅力ある商品の企画開発と販売強化に引き続き努め、タカラトミーの持つブランド及びIPパートナーの有用なブランドを活用した商品開発を進めました。「トミカ」ではロングスライダー付きの立体駐車場で、最大50台の一斉走行が楽しめる「スライダーパーキング50」など子ども向けの大型商品を発売するとともに、幅広いターゲット層に人気のあるコンテンツを取り入れた「ドリームトミカ」シリーズの新商品展開や可能な限りリアリティを再現した「トミカプレミアム」シリーズ等の商品ラインを充実させました。7月には第4世代となる現代版ベーゴマ「BEYBLADE X」を発売しました。超加速を生み出す新機構を搭載するとともに、アプリと連動する商品も発売し、デジタルとの連携を図りました。さらに、デジタルとリアルの遊びが融合した商品特徴等から高い人気の新触感液晶玩具「ぷにるんず」では、シリーズ第3弾となる「ぷにるんず ぷにともつーしん」を2024年3月に発売いたしました。TV やスマートフォンなどに映した映像から本体液晶画面にキャラクターが移動する通信機能を搭載しました。
さらに、カードゲームアプリ「デュエル・マスターズ プレイス」では人気キャラクターとのコラボ等によりビジネスを拡大させるとともに、10月にはロングセラー盤ゲーム「人生ゲーム」のNintendo Switch™専用ソフトを発売し好評を博すなど、デジタル展開を進めました。加えて、JAXA等と共同で開発した変形型月面探査ロボット「SORA-Q」が月面に着陸し小型月着陸実証機「SLIM」の撮影を成功させ、当社の技術がその大きな成果の一翼を担うことができました。
これらの商品開発においては、厳格な独自の社内基準のもと自社検査体制を充実させ、商品の品質向上とお客様の安全確保を最優先する商品開発を進めるとともに、商品の企画開発段階から機能とコストの最適化を図るデザインレビュー(DR)を通して、バリューエンジニアリング(VE)活動を推進しています。
当連結会計年度における研究開発費は
なお、研究開発活動については、特定のセグメントに関連付けられないため、セグメント別の記載は行っていません。