独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書

 

 

 

2023年6月29日

 

京成電鉄株式会社

取 締 役 会  御 中

 

 

 

有限責任監査法人 トーマツ

 

 

東 京 事 務 所

 

 

 

指定有限責任社員
業務執行社員

 

公認会計士

武  井  雄  次

 

 

 

指定有限責任社員
業務執行社員

 

 

公認会計士

 

古  賀  祐 一 郎

 

 

 

 

<財務諸表監査>

監査意見

当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている京成電鉄株式会社の2022年4月1日から2023年3月31日までの連結会計年度の連結財務諸表、すなわち、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結株主資本等変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、その他の注記及び連結附属明細表について監査を行った。

当監査法人は、上記の連結財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、京成電鉄株式会社及び連結子会社の2023年3月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

 

監査意見の根拠

当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。
 

監査上の主要な検討事項

監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。
 

 

京成電鉄株式会社の旅客運輸収入の収益認識

監査上の主要な検討事項の

内容及び決定理由

監査上の対応

セグメント情報注記に記載のとおり、当連結会計年度の運輸業セグメントの営業収益は147,859百万円である。運輸業セグメントの中核事業である京成電鉄株式会社の鉄道事業は、千葉県内・東京都内への通勤・通学の足を提供している他、都心から成田空港へのアクセスや羽田空港への橋渡しとなる利便性の高い公共交通機関として、地域の快適な足の提供を中心的に担っており、同社の旅客運輸収入51,684百万円(連結損益計算書における営業収益の20.4%)は、グループ全体の経営成績への影響が大きい。

 

旅客運輸収入は、各駅に設置されている券売機・定期券発行機等の駅務機器で記録される利用データ及びICカードを利用した収入清算業務の委託先から受領する乗車実績データが、収入管理システムにおいて日々の売上データとして収集され、鉄道システムにおいて月次売上データに集約された後、会計システムにおいて計上される。よって、取引の発生から計上に至るまでの主要なプロセスはシステム間のデータ連携等により基本的に自動処理で行われており、ITシステムが広範囲に利用されている。したがって、日次多数の利用データ及び乗車実績データから構成される旅客運輸収入の監査を行うにあたっては、ITシステムにより処理・記録されている情報の正確性及び網羅性が担保されていることが重要となる。

 

以上より、当監査法人は、京成電鉄株式会社の旅客運輸収入の金額的な重要性が高く、日次多数の利用データ及び乗車実績データから正確に旅客運輸収入を計上するためにはITシステムに係る内部統制が適切に整備及び運用されることが重要であり、ITの専門家による検討も必要と判断したため、京成電鉄株式会社の旅客運輸収入の収益認識が監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。

当監査法人は、旅客運輸収入の収益認識を検討するにあたり、ITの専門家による検討を含め、主に以下の監査手続を実施した。
 

(1)IT統制を含む内部統制の検討

・ICカードを利用した収入清算業務の委託先における乗車実績データ等の管理に関する内部統制の整備及び運用状況については、委託先から独立した監査人に検討を依頼した上で保証報告書を入手し、その有効性を検討した。

 

・収入管理システムにおけるアクセス権の付与・削除、データの修正等の管理に関する内部統制の整備及び運用状況については、権限設定表やシステム管理作業に係る作業記録を閲覧し、その有効性を検討した。

 

・収入管理システム及び鉄道システム間のデータ連携については、売上データの転送処理結果履歴を閲覧し、その正確性及び網羅性を検討した。

 

(2)分析的手続

・鉄道事業者の主要な指標である延べ人キロ及び輸送人員を用いて、旅客運輸収入の分析的手続を実施した。また、延べ人キロ及び輸送人員の集計プロセスを確認するため、鉄道システムの仕様書等の閲覧、出力帳票間の整合性の検討を行った。

 

(3)詳細テスト及び確認手続

・各月の鉄道システム及び会計システム間の旅客運輸収入計上金額の突合、各月の現金回収額及び連絡する他の鉄道事業者との連絡清算額に関する証憑突合、当連結会計年度末におけるICカードを利用した収入清算業務の委託先及びクレジットカード会社に対する債権債務の残高確認を実施した。

 

 

 

負ののれん発生益の計上額の妥当性

監査上の主要な検討事項の

内容及び決定理由

監査上の対応

注記事項(企業結合等関係)に記載のとおり、経営資源の効率的な利活用及び迅速な意思決定を行う体制の構築、更なる連携強化によるグループ一体経営の遂行を目的として、2022年9月1日付(みなし取得日2022年9月30日)で、京成電鉄株式会社(以下、京成電鉄)を株式交換完全親会社、新京成電鉄株式会社(以下、新京成)を株式交換完全子会社とする株式交換を実施している。新京成の普通株式1株に対して京成電鉄の普通株式0.82株を割当交付しており、企業結合日における時価で評価した取得原価は35,463百万円である。

 

本企業結合について「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号)に基づき会計処理を行った結果、企業結合時における新京成の時価純資産が取得原価を上回ったため、その差額9,214百万円を負ののれん発生益として認識し、特別利益に計上している。

負ののれん相当額が生じると見込まれる場合には、全ての識別可能資産及び負債が把握されているか、また、それに対応する取得原価の配分が適切に行われているかどうかを見直す必要がある。また、この見直しを行っても、なお取得原価が受け入れた資産及び引き受けた負債に配分された純額を下回り、負ののれん相当額が生じる場合には、当該負ののれん相当額が生じた連結会計年度の利益として処理されることとなる。

 

当該企業結合取引により認識された負ののれん発生益は連結財務諸表において重要性があり、取得原価並びに全ての重要な識別可能資産及び負債が時価を基礎として適切に配分されているかを慎重に検討することが必要である。

したがって、当監査法人は負ののれん発生益の計上額を監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。

 

当監査法人は、当該負ののれん発生益の算定を検討するにあたり、主に以下の監査手続を実施した。
 

・経営者への質問及び取締役会議事録等を閲覧し取引の概要を把握するとともに、独立した第三者算定機関による評価結果を考慮して、取得価額の算定における株式交換比率を決定していることを確かめた。

 

・取得価額の算定における株式交換比率について、京成電鉄が決定した際に参考にした第三者算定機関による評価結果に対して、当監査法人のネットワークファームの専門家を利用し、評価の前提条件及び算定手法の合理性を検討した。

 

・受け入れた識別可能資産の実在性及び引き受けた識別可能負債の網羅性に関して、経営者への質問及び経営者が利用した専門家によって作成された財務調査報告書等の関連証憑の閲覧を実施した。

 

・識別可能資産及び負債への取得原価の配分において、不動産の評価について経営者が利用した専門家によって作成された調査報告書を入手し、評価の前提条件及び評価結果の妥当性を検討した。

 

・受け入れた識別可能資産及び引き受けた識別可能負債への取得原価の配分の妥当性の検討、及び算定された負ののれん発生益の妥当性の検討を実施した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その他の記載内容

その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。

連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。

当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。

その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。

 

連結財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任

経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。

連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。

監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

 

連結財務諸表監査における監査人の責任

監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。

監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。

・ 連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。

・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。

・ 経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。

・ 連結財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。

 

・ 連結財務諸表に対する意見を表明するために、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人は、連結財務諸表の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。

監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去又は軽減するためにセーフガードを講じている場合はその内容について報告を行う。

監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。

 

<内部統制監査>

監査意見

当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第2項の規定に基づく監査証明を行うため、京成電鉄株式会社の2023年3月31日現在の内部統制報告書について監査を行った。

当監査法人は、京成電鉄株式会社が2023年3月31日現在の財務報告に係る内部統制は有効であると表示した上記の内部統制報告書が、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して、財務報告に係る内部統制の評価結果について、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

 

監査意見の根拠

当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に準拠して内部統制監査を行った。財務報告に係る内部統制の監査の基準における当監査法人の責任は、「内部統制監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

 

内部統制報告書に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任

経営者の責任は、財務報告に係る内部統制を整備及び運用し、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して内部統制報告書を作成し適正に表示することにある。

監査役及び監査役会の責任は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用状況を監視、検証することにある。

なお、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性がある。

 

内部統制監査における監査人の責任

監査人の責任は、監査人が実施した内部統制監査に基づいて、内部統制報告書に重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、内部統制監査報告書において独立の立場から内部統制報告書に対する意見を表明することにある。

監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果について監査証拠を入手するための監査手続を実施する。内部統制監査の監査手続は、監査人の判断により、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性に基づいて選択及び適用される。

・ 財務報告に係る内部統制の評価範囲、評価手続及び評価結果について経営者が行った記載を含め、全体としての内部統制報告書の表示を検討する。

・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人は、内部統制報告書の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。

監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した内部統制監査の範囲とその実施時期、内部統制監査の実施結果、識別した内部統制の開示すべき重要な不備、その是正結果、及び内部統制の監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去又は軽減するためにセーフガードを講じている場合はその内容について報告を行う。

 

利害関係

会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。

 

以  上

 

 

(注)1 上記の監査報告書及び内部統制監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。

2 XBRLデータは監査の対象には含まれておりません。

 

 

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