当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針について
当社グループは、「ヒトを変え、事業を変え、そして社会を変える。」を企業ビジョンとして掲げ、メディア企業ならびに事業会社のデジタルビジネス支援など「コミュニケーション領域の総合商社」を目指します。また、前連結会計年度からの中期戦略では、メディア、広告・マーケティング領域に加え、地域ブランディング(地方創生)事業の推進、宇宙関連(衛星データ関連)事業の着実な実績作りを行い、多様なビジネスモデルやソリューションを提供する事で、社会変革を実現する企業となるよう事業展開に取り組んでまいります。
当連結会計年度において当社グループは、メディア&コンテンツ事業、企画&プロデュース事業、食関連事業、その他事業の4セグメントにおいて事業展開をおこなっております。
メディア&コンテンツ事業
メディア&コンテンツ事業は、メディア、ニュースレターなど多岐に渡る情報発信フォーマットを通して、インターネット上でユーザーを集客し、広告による法人クライアントからの収益獲得、もしくは個人ユーザーに対するコンテンツ・サービス販売による課金を行う事業領域です。
短期的には、既存取引先との関係強化を推進し新たな案件獲得を強化するとともに、SNSマーケティング等、足元で多くの広告予算が投下されている領域での展開を強化する等、新たなサービス開発に注力しています。中長期的には、内製化傾向の強い事業会社のデジタルマーケティングの領域において、事業会社のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進支援、コンサルティングとともに運営メディアの獲得と広告関連サービスのアップセルとクロスセルに注力しております。それらを踏まえ、メディア収益化支援、事業コンサルティングを重点活動領域と設定しております。
企画&プロデュース事業
企画&プロデュース事業は、主に法人をクライアントとし、事業戦略のコンサルティングから始まり、企業や団体ブランディングに関連する企画の提供、プロモーション関連サービスの提供、空間デザイン、施工サービスの提供、あるいはプロモーション活動等で活用するウェブシステム開発の支援等を行っております。
当該事業領域においては、既存取引先との関係強化を推進し新たな案件獲得を強化するとともに、SNSマーケティング等、足元で多くの広告予算が投下されている領域での展開を強化する等、新たなサービス開発に注力しています。事業会社におけるプロモーション活動等のデジタル化ニーズの拡大と内製化意向の高まりにより、ブランディング支援・企業向けPRコンサルティングサービスに強みを持つ当社グループのサービス提供機会も今後拡大していくことが想定されます。特に企業ブランドのSNS運用をはじめ、デジタルマーケティングにおける内製化支援サービスに注力しつつ、インバウンド・観光需要に対しても地方創生事業におけるブランディング戦略パートナーシップを積極的に構築するなど、既存施設のリブランディング施策などこれまでの実績をさらに加速させて取り組んでまいります。
食関連事業
食関連事業は、当社グループの株式会社下鴨茶寮の持つ安政三年(1856年)創業の下鴨茶寮というブランドを基盤として、食に関連する各種サービスを提供しています。
当該事業領域においては、人流回復と大幅な円安を背景としたインバウンド消費を見越し、国内リアル店舗での高単価高付加価値サービスを提供していくとともに、EC領域におけるブランド力を軸とした商品開発とグループ連携を意識した販促力の強化、ならびに自治体や地域生産者などとの話題性のあるコラボレーション施策を推進してまいります。中長期的には、下鴨茶寮の更なるブランド力強化と同時に、EC事業の海外展開、ブランドコンセプトを付加した新商品企画の推進やふるさと納税商品の共同開発強化など、新たなサービス開発等を進める方針です。
宇宙事業をはじめとしたその他新規事業
既存事業領域で得たノウハウや、クライアントコネクションを活用した新規事業の開発を行っていきます。宇宙関連領域においては、戦略子会社であるLAND INSIGHT株式会社の事業展開を強化し、各種実証実験に取り組むとともに、これらの取り組みをもとにした農業・酪農・畜産・林業・防災分野での事業化を推進してまいります。中長期的には、農業関連衛星データサービスの強化、漁業・土木関連での衛星データ利活用実証実験の実施、当社グループの出資先でもあるインターステラテクノロジズ株式会社との連携による独自衛星サービスの強化などに取り組んでまいります。
(2)目標とする経営指標
当社グループでは、収益規模を持続的に拡大させていくことと、効果的なリソース配分がなされている事の両面を担保していく観点から、売上高ならびに営業利益を重視しております。また、今後の成長に向けた新規サービス等の開発投資が重要との認識から調整後EBITDA(=営業利益+減価償却費及びのれん償却費+株式報酬費用+寄付金)についても、当社グループの経常的な事業収益力を測る指標として重視しております。
(3)経営環境について
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の分類が恒常的な感染症へと完全に移行し、国内外の人の流れが活発化したことで、国内における個人消費に回復がみられ、インバウンド需要も増加するなど社会経済活動は緩やかな回復基調にあります。一方で、海外情勢の緊迫化、世界的な原材料価格の高騰や為替相場の円安による諸物価の上昇が続いており、春闘における30年ぶりの高い賃上げや企業の高い投資意欲など我が国経済にとって前向きな動きがありつつも、実質所得は減少傾向が継続するなど、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
そういったマクロ環境下で、当社グループが属するインターネット広告領域においては、社会のデジタル化を背景にその市場は引き続き堅調に伸長しております。また、このうち当社グループにとって重要なインターネット広告媒体市場は、「2023年 日本の広告費」(株式会社電通)によると、前年比108.3%の2兆6,870億円と高い成長率で推移しており、今後もメディア媒体を中心に事業機会は拡大すると見込んでおります。
日本国内のインターネット広告領域の動向については、インターネット利用者数は前年に引き続き増加しており、総務省が発表した「令和4年通信利用動向調査」によると、各年齢階層で9割を上回る結果となっております。中でもインターネット利用率の増加に大きく影響を与えていると考えられるスマートフォンの利用状況については、世帯別の保有率は90.1%、年齢別では20歳から59歳の保有率は軒並み9割を超える結果となっております。このような環境は、当社グループの各事業展開を支える幅広い年齢層に対するアプローチを可能とする一方で、ユーザーのニーズに応える広範かつ的確な情報選別が重要となります。そのため、当社グループの強みである情報発信力を活かし、メディア・コンテンツ・企画・広告等の事業領域の充実を進めてまいります。
(4)対処すべき課題
①業界動向について
個人および法人のインターネット活用の場面が拡大したことに伴い、インターネット広告市場も拡大しております。しかし、インターネット広告業界は、広告領域の他の事業同様に景気変動の影響を直接的に受ける性格を有しております。そのため当社は、新たな業界動向を察知し、外部環境の変化に対応できる臨機応変な組織構築を行ってまいります。具体的には、直近においては生成系AIの社会全般に対する普及を見越し、AIを活用した新たなコンテンツ生成体制の構築やIPビジネスを展開するなど、拡大する新しい事業領域に対して付加価値を提供するサービスを企画・開発していく方針です。
また、インターネット広告業界の中で、予約型広告の市場成長をしのぐスピードで運用型広告市場の成長が顕著となっております。かかる事業環境の中、当社は子会社であるData Tailor株式会社とも連携し、広告枠の効果的な配置による収益機会最大化と、収益性の高いメディアの制作・運用ノウハウの強化や改善を行っていく方針です。
②競合環境の変化について
当社収益の大半は、広告主によるインターネット媒体出稿費用に直接あるいは間接的に依存する比率が高いのが現状です。昨今のインターネットメディアの増加により、メディア間での競合が激化し当社の広告受注単価あるいは受注数に影響が出る場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。そのため当社グループは、継続した広告メニューの改善・開発を、広告主や媒体社との意見交換を頻繁に実施しつつ継続していくとともに、サービス間で連携しSNSやオウンドメディアの運用、コンテンツマーケティングやEC関連ソリューションの提供など、広告獲得以外の価値をクライアントに提供する活動にも注力してまいります。
③ブランドセーフティへの対応について
インターネット広告を行う際には、数多くの広告配信ネットワークやメディアから広告が配信される事から、適切なコントロールがなされていない場合、広告主が表示を想定していない、コンテンツの質が低いメディアに広告が表示される可能性があります。かかる事象が発生することで、広告を実施したことによって広告主のブランド毀損が発生する可能性があるため、このようなブランド価値毀損が発生しうる広告掲載を防止する、ブランドセーフティが意識されるようになってきており、広告主が不適切な広告媒体を避けたり、アドネットワークを配信ネットワークとしての質に注目し選別するなどの動きが注目されつつあります。その中で、当社グループはコンテンツ制作体制を強化し、コンテンツに対する社内レビュー体制の強化や、専門家の監修強化を通して、コンテンツの質向上に取り組んでいます。
④特定の経営陣への依存緩和について
当社グループの代表取締役社長である藤田誠は、2007年の創業以来当社の代表を務めております。同氏は、インターネットサービス事業に関連する豊富な経験と知識を有しており、当社の事業戦略の決定に重要な役割を果たしております。当社では、取締役会や、事業運営に必要な定例会議の実施を通した情報共有や幹部の育成、組織の強化を行う事や、適宜権限の委譲を行っていく事で、同氏に過度に依存する体制を緩和していく方針です。
⑤内部管理体制について
当社グループは現在、成長段階であり、業務運営の効率化やリスク管理のための内部管理体制の強化が重要な課題であります。そのため、当社グループは経営の公正性・透明性を確保するための更なる内部管理体制強化に取り組んでおり、従前より実施している定期的な内部監査の実施によるコンプライアンス体制の更なる強化などを行っていく方針です。
⑥人材の確保及び育成について
当社グループは、今後想定される事業拡大や新規事業の展開に伴い、継続した人材の確保が必要であると考えております。特に、新規事業を立ち上げ、拡大・成長させていくための事業開発力・マネジメント能力を有する人材や、コンテンツ制作のスキルを有する人材の確保に努めるとともに、人事・教育体制の整備を進め人材の定着と能力の底上げに努めております。
当社グループは、「ヒトを変え、事業を変え、そして社会を変える。」という企業ビジョンを掲げ、多くのメディアに寄り添い成功をけん引してきたコンテンツ企画力とエディトリアルテクノロジー、そしてメディアにとどまらず、広告・地域創生・マーケティング・宇宙関連領域においてもクリエイティビティーを通じて、すべての人々がハッピーになる仕組みを創り出し、豊かな社会の実現に貢献したいと考えております。
(1)ガバナンス
当社グループでは、持続的な成長と企業価値の向上を実現するにおいては、コーポレート・ガバナンス体制の強化が重要な課題と認識しております。当社では、「
当社グループでは、コーポレート・ガバナンスの一環として、当社から独立した社外から取締役、監査役を積極的に招聘し、社外取締役及び監査役は、第三者的な視点で当社グループの経営課題について的確なアドバイスを行っております。
当社グループでは、今後さらに的確かつ迅速な意思決定および業務執行体制、並びに適正な監督・監視体制の構築を図るとともに、コーポレート・ガバナンスの実効性を一層強化するため、当社グループ全体で、リスク管理、内部統制、コンプライアンスへの取り組みを徹底するとともに、独立社外取締役の活用等を通じ、信頼性の向上と自浄能力の増強に努めてまいります。
(2)戦略並びに指標及び目標
i. 今後の成長に向けた戦略について
当社グループでは、「
ⅱ. 人材の確保について
当社グループでは、短期・中期・長期の目標を達成するため、優秀な人材の確保が重要な経営課題と考えております。少子高齢化により国内の労働人口が減少し、優秀な人材の採用競争が激化している中、当社グループは、キャリア採用及び新規学卒者採用を拡大し、幅広い人材の確保に取り組んでいます。
ⅲ. 職場環境整備について
当社グループは、従業員一人一人が活躍できる、また男女を問わず、いかなるライフステージにおいても上位の役職へチャレンジしやすい環境を整備してまいります。そのため、管理職をはじめとする意思決定を行う地位への登用において男女間の比率の是正に努め、テレワーク・DX推進等働き方改革にも取り組んでおります。
さらに当社グループは、従業員がその能力を存分に発揮できる環境を整えるとともに、一人ひとりの考え・個性を尊重し、お互いを高め合いながらチームとしてパフォーマンスを最大化させるための人事制度を導入しております。加えて、年齢、性別や、国籍、信条、身体的特徴等それぞれのもつバックグラウンドに関わらず、個々人がお互いの個性を認め合い、共に暮らすインクルーシブな世界観を実現する為に、ダイバーシティ&インクルージョンに関する基本方針を定めております。
当社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではありませんが、「
(3)リスク管理
当社グループは、経営目標の達成を阻害する、あるいは事業活動の継続を脅かす要因等を識別し、顕在化させないための予防策および顕在化した場合の影響を最小化するための対策として、「
経営上のリスクについて、リスク管理規程の下、監査役会、内部監査、リスク・コンプライアンス委員会以外にも、取締役会等の重要な当社グループの会議にて意見が交わされ、想定されるリスクに関する情報を適時かつ組織横断的に集約し、全社的な観点から適切なリスク管理を推進しております。
(4)脱炭素社会への取り組み
当社グループでは、脱炭素社会の実現は重要な経営課題と考えており、2023年度より自社のCO2排出量(GHGプロトコルにおけるScope1、Scope2)可視化に取り組んでおります。
可視化の結果を踏まえて、排出量削減目標の設定、削減施策の立案・実施およびカーボンクレジット活用によるオフセットを実施予定です。また、2024年度以降はScope3も含めたCO2排出量の可視化に取り組み、サプライチェーンにおけるカーボンニュートラルの実現を目指します。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項については、以下のようなものがあります。
当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応を行っていく方針ですが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の記載事項全般を網羅的に検討した上で行ってください。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性がある全てのリスクを網羅するものではありません。
(1)景気動向の変動について
当社グループが提供するサービスは、日本国内の広告市場や国内の消費動向に深く連動しており、係る市場環境の変動に影響を受けます。企業の広告宣伝・広報関連予算や消費者の消費マインドは企業の景況に応じて調整されやすく、景気動向に影響を受けやすい傾向にあり、景況感が悪化した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)インターネット広告市場について
日本の総広告費は、2023年は7兆3,167億円(前年比3.0%増)と、新型コロナウイルス感染症の感染再拡大、ウクライナ情勢、物価高騰など国内外の様々な影響を受けつつも、社会のデジタル化を背景に好調な「インターネット広告費」の成長に市場全体が支えられ、前年実績を上回りました。このうち当社の事業が属するインターネット広告市場は、2023年においても3兆3,330億円(前年比7.8%増)となり、社会のデジタル化が進むなか、プラス成長が続きました(出典:株式会社電通「2023年 日本の広告費」)。
このようにインターネット広告市場は拡大しておりますが、インターネット広告市場の環境整備や新たな法的規制の導入等、何らかの要因によってインターネット広告市場の発展が阻害される場合には、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また当社は、メディアのコンテンツとの親和性が高いネイティブ広告に注力した広告プロダクトを展開しておりますが、インターネット広告市場においては、広告配信手法や販売メニューが多様化し、競争が激化する傾向にあり、インターネット広告において革新的な販売メニューや広告配信技術が出現した場合、ネイティブ広告への需要が縮小することにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)食関連領域の市場について
外食産業の市場規模は、1997年をピークに減少傾向にあり、2021年以降は新型コロナウイルス感染症への政府・各自治体の対応により、外食の自粛や営業時間短縮など、外食産業を取り巻く環境は厳しい状況が続きました。しかしながら、コロナによる行動制限が緩和から解除へと進み、社会経済環境は「ポストコロナ」へ移行したことで、国内人流や訪日外国人数が回復してインバウンド需要が拡大、年間を通して外食需要の回復基調が継続したことで、2023年の外食産業市場全体の売上は前年比114.1%となりました(出典:一般社団法人日本フードサービス協会「令和5年(2023年)外食産業市場動向調査」)。
このように外食産業を取り巻く環境は流動的な状況にありますが、食関連領域においては、安政三年(1856年)創業の下鴨茶寮というブランドを基盤とした高単価高付加価値サービスの提供等の差別化に取り組んでおります。その一方で、他社による革新的なサービスの出現などにより、消費者への訴求が十分にできなかった場合、あるいは新型コロナウイルス感染症拡大時の様に消費行動が制限される場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)技術革新について
インターネット業界においては、事業に関連する技術革新のスピードや顧客ニーズの変化が早く、それに基づく新サービスが常に生み出されております。また、当社グループの各セグメント領域においても、新しい広告手法やテクノロジーが次々と開発されております。当社グループでは、ChatGPTなど生成系AI技術をメディア運営とコンテンツ制作に応用する研究に取り組む「INCLUSIVE AI Lab」を設立する等、最新技術を取り込んだサービス開発に取り組んでおりますが、これらの変化へ適切に対応できない場合、当社グループの業界における競争力が低下し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)競合環境が激化するリスク
当社グループの事業領域は規制業種ではなく、また、参入障壁も低い事から、参画企業の増加による競合激化リスクが存在します。また、当社が主にサービスを提供するインターネットサービスは、ユーザーの可処分時間確保の観点からはキュレーションアプリ(注)、あるいは各種SNS等と競合環境にあり、これら競合となり得るサービスはこれからも増加する事が想定されます。
メディア&コンテンツ領域では、当社が運営を支援するインターネットサービスをネットワーク化し、オペレーショナルシナジーを創出する事で優位性を創出したり、データマーケティングや広告配信面の確保の観点から優位性を確保したりする事で対応してまいります。また、ユーザーの認知確保の観点からは、当社においてもオウンドメディアや各種SNSの運用支援、コンテンツマーケティングやEC関連ソリューションの提供など、サービス提供領域を拡張させることで対策していく方針です。
企画&プロデュース領域においては、オウンドメディア運営支援や企業ブランドの認知強化を支援するSNS運用支援、デジタルマーケティングにおける内製化支援サービス等、各社のデジタル化を支援する領域に注力していく方針です。
加えて、食関連領域においては、リアル店舗での高単価高付加価値サービスの提供とブランド力の維持、ならびにEC領域の商品開発力と販促力の強化と自治体や地域生産者などとの話題性のあるコラボレーション販促施策を講じます。
しかしながら、これらの戦略がうまく進行しない場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(注)キュレーションアプリとは、ウェブ上のコンテンツを収集・集約し、利用者の興味・関心事項に応じたコンテンツを提供していくタイプのニュース配信アプリを指します。
(6)新規事業、業務提携や買収等について
当社グループは、新規事業への挑戦、他社との業務提携や企業買収等が、将来の成長性、収益性等を確保するために必要不可欠な要素であると認識しております。しかしながら、当初想定した成果を得ることができず、のれんの減損や、事業再編等に伴う事業売却損、事業清算損その他これに伴う費用等が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(7)クライアントの離反リスクについて
当社収益の多くが、当社がコンサルティングサービスあるいはインターネットサービス制作・運営支援サービスを提供するクライアント企業との業務委託契約から発生しております。現時点においては特定のクライアント企業への収益の依存度は高くはなく、業績に大きな影響を与える事業運営状況の変化は想定しておりません。しかしながら、特定のクライアントに対する依存度が増加する状況において、景況の変化やクライアント企業の業績悪化景況が課題になる場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(8)自然災害等について
地震、台風、津波等の自然災害、火災、停電、未知の感染症の拡大、国際紛争等が発生した場合、当社グループの事業運営に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの主要な事業拠点である日本の首都圏において大規模な自然災害等が発生した場合には、サービスの提供等が止むを得ず一時的に停止する可能性もあり、かかる場合当社の信頼性やブランドイメージを毀損するだけでなく、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループにおいては、自然災害等が発生した場合に備え、事業継続計画の策定等有事の際の対応策検討と準備を推進しておりますが、各種災害等の発生による影響を完全に防止できる保証はなく、各種災害等による物的、人的損害が甚大である場合には事業の継続自体が困難又は不可能となる可能性があります。
地震、台風、津波等の自然災害、火災、停電、未知の感染症の拡大、国際紛争等が発生した場合、当社グループの事業運営に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
(9)システム障害について
当社のサービスは24時間稼働での運用を前提に提供されております。システムに障害が発生することはサービスの停止を意味するため、システムの安定性、安全性には細心の注意を払っております。また、インプレッション数(広告の表示回数)の増加を考慮したサーバー設備の強化や、アクセスが集中した際のサーバー負荷分散を施すために、サーバーを分散したり代替機能を強化するなどを行う事で、冗長化を実現しております。
当社はAmazon Web Services,Inc.が提供するデーターセンターであるAmazon Web Services(AWS)を利用し、大量のデータを安全かつ迅速に処理することができ、かつ一時的な過負荷や部分停止にもトラブルを回避できるようなサーバー構成を施しております。
しかしながら、災害のほか、コンピューターウィルスやハッキングなどの外的攻撃やソフトウエアの不具合、その他予測できない重大な事象の発生により、万一当社設備やネットワークが利用できなくなった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)法的規制等の適用について
メディア&コンテンツ領域および企画&プロデュース領域では、広告主による広告(提供物・サービスそのものだけでなく広告宣伝の文言を含みます。)、メディア(広告媒体)について、法令に則ったものであること、公序良俗に反しないものであることが重要であると考えております。また、食関連領域においては、食の安全性を担保するため、日頃より食品の検査体制の充実等の対策を講じております。
メディア&コンテンツ領域および企画&プロデュース領域に関連する領域としては、「不当景品類及び不当表示防止法」(景品表示法)、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(薬機法)、「著作権法」、「商標法」等の法律の他、一般社団法人日本インタラクティブ広告協会(JIAA)が定める「インターネット広告倫理綱領及び掲載基準ガイドライン」等があります。当社では、これらの法令に抵触しない様、管理体制を構築しておりますが、当社が取り扱うコンテンツや広告、メディアが法令や公序良俗に反し、あるいは法令違反に該当する事象が発生した場合、当社の信用が低下し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
一方、食関連領域においては、「食品衛生法」等があります。食関連サービス提供に当たっては、法令及び各種ガイドラインに準拠した衛生管理を講じておりますが、食中毒事故などが発生した場合、工場及び店舗における原材料等の廃棄処分、営業許可の取り消し、営業停止等の処分を受け、また損害賠償金の負担や信用の低下等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)当社グループ制作人員ならびに社外の著作者が執筆・制作する制作物について
当社グループが運営するメディアにおいて掲載するコンテンツ(記事・図版)の多くは、当社グループ制作人員が執筆・制作するほか、社外の著作者に執筆・制作を依頼しております。それらコンテンツが第三者の著作権に抵触していないことについて、当社グループと社外の著作者との間で契約を締結し確認しております。また、当社グループにおいて、著作権等に関する教育や当社グループ役職員によるコンテンツのチェックを行なうことで、執筆・制作されるコンテンツの第三者の権利問題や名誉棄損、事実誤認等を防いでおります。
しかし、何らかの理由により、そのコンテンツが第三者の権利に抵触していた場合、当社グループ内の編集または社外の著作者の違法行為に関連して当社グループが起訴され、訴訟費用が発生した場合には、当社グループの事業及び業績や社会的な信用に影響を与える可能性があります。
また、当社グループが掲載した記事の内容について、特定の企業や個人から損害賠償・クレーム等が発生した場合には、当社グループの事業及び業績、社会的な信用に影響を与える可能性があります。
(12)個人情報等の取扱いについて
当社グループの事業は、個人情報及び個人のプライバシー権を尊重しつつ、インターネットユーザーのCookie情報(注)や独自の識別子を用いた情報等を使用し、ユーザーに有益なターゲティング広告及び情報等の提供を実現しております。当該情報の漏洩を回避するため、「プライバシーマーク」認証の取得、社内規程、業務マニュアル等のルールの整備、社員教育の徹底等により、個人情報を保護する体制の維持に努めておりますが、万一、個人情報の流出が発生した場合、社会的信用の失墜や当該事象に起因する多額の経費発生等により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
なお、本書提出日現在では当社グループの事業の阻害要因とはなっておりませんが、今後、欧州での規制をはじめとして、国内でも検討が進められている、大手ウェブサービス提供者による情報の収集と利用について、情報の安全管理や利用目的の明示あるいは第三者提供に対する制限等、個人情報をはじめとしたユーザーデータ利用について更なる規制が行われる可能性があります。この場合インターネット業界全般として、ユーザーに対する広告配信方法が変更となるなど、影響を受ける可能性があります。これらの事象が発生する場合には、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(注)Cookie情報とは、Webサイト提供者が、Webブラウザーを通じて訪問者のインターネットデバイス等に一時的に書き込み保存させるデータのことをいいます。保存されたCookie情報を用いることで、同一のWebブラウザーからの訪問であること、訪問日時、訪問回数、Webサイト内での行動履歴などを記録することができます。
(13)内部管理体制について
当社グループは、グループ企業価値を最大化すべく、コーポレート・ガバナンスの充実を経営の重要課題と位置づけ、多様な施策を実施しております。また、業務の適正及び財務報告の信頼性を確保するため、これらに係る内部統制が有効に機能する体制を構築、整備、運用しております。しかしながら、事業の急速な拡大等により、十分な内部管理体制の構築が追いつかないという状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(14)特定の人物に対する依存について
当社グループの創業者は、代表取締役社長である藤田 誠であります。同氏は、専門的な知識、技術及び経験を数多く有しており、当社設立以来、経営方針や経営戦略の決定等の事業運営において重要な役割を果たしております。
当社グループとしては、特定の役職員に依存しない組織的な経営体制の構築に努めておりますが、専門的な知識、技術及び経験を有する同氏に、何らかの理由によって不測の事態が生じた場合、又は、同氏が早期に退任するような事態が発生した場合には、当社グループの事業展開及び業績等に影響を与える可能性があります。
(15)有能な人材の確保・育成について
当社グループの事業においては、メディア制作に従事するディレクターや編集者、広告・企画のプランナー、あるいは食関連領域の知識を持った人材のほか、各事業分野において専門性を有する人材が必要であり、今後とも業容拡大に応じて継続した人材の確保が必要であると考えております。現時点では人材獲得について重大な支障が生じる状況にはないものと認識しておりますが、今後、各事業分野及び地域における人材獲得競争の激化や市場ニーズの変化等により、優秀な人材の獲得が困難となる場合又は現在在職する人材の社外流出が生じた場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(16)配当政策について
当社は、株主に対する利益還元を経営の重要課題であると認識しております。しかしながら、現在当社は成長拡大の過程にあると考えており、経営環境の変化に対応するため財務体質を強化し、事業拡大の為の内部留保の充実等を図ることが株主に対する最大の利益還元に繋がるものと考えております。このことから過去において当事業年度を含めて配当を実施しておりません。
将来的には、収益力の強化や事業基盤の整備を実施しつつ、内部留保の充実状況及び企業を取り巻く事業環境を勘案した上で、株主への利益還元を検討していく方針であります。
(17)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社では、株主価値の向上を意識した経営の推進を図るとともに、役員及び従業員の業績向上に対する意欲や士気を一層高めることを目的として、役員及び従業員に対して新株予約権を付与しております。本書提出日現在における新株予約権による潜在株式数は335,900株であり、発行済株式総数の3.4%に相当します。
権利行使についての条件が満たされ、これらの新株予約権が行使された場合には、株式価値の希薄化や株式売買需給への影響をもたらし、当社株価形成に影響を及ぼす可能性があります。
(18)原材料の調達について
食関連領域において提供している食材の原材料は多岐に渡ります。このことから、調達先を複数確保し原材料の安定確保に努めておりますが、異常気象や大規模災害、原油の高騰、為替の変動等により、これらの食材の調達が困難になった場合や仕入価格が高騰した場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は2,847,712千円となり、前連結会計年度末に比べ220,829千円増加いたしま
した。これは主に現金及び預金が429,339千円増加したこと等によるものであります。固定資産は2,457,145千円となり、前連結会計年度末に比べ429,653千円減少いたしました。これは主に有形固定資産が28,353千円、無形固定資産が459,254千円減少したこと等によるものであります。
この結果、総資産は、5,304,858千円となり、前連結会計年度末に比べ209,105千円減少いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は942,984千円となり、前連結会計年度末に比べ281,438千円減少いたしました。これは主に買掛金が118,360千円、1年内返済予定の長期借入金が71,800千円減少したこと等によるものであります。固定負債は954,466千円となり、前連結会計年度末に比べ263,218千円減少いたしました。これは主に長期借入金が122,258千円、繰延税金負債が92,976千円減少したこと等によるものであります。
この結果、負債合計は、1,897,450千円となり、前連結会計年度末に比べ544,657千円減少いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は3,407,407千円となり、前連結会計年度末に比べ335,551千円増加いたしました。これは、主に資本金が9,047千円、資本剰余金9,047千円、利益剰余金316,861千円増加したこと等によるものです。
②経営成績の状況
当連結会計年度における売上高は5,359,166千円(前年同期比11.5%増)、売上総利益は2,221,976千円(前年同期比15.8%増)、調整後EBITDAは190,271千円(前年同期は調整後EBITDA△26,048千円)、営業損失は94,826千円(前年同期は営業損失354,496千円)、経常損失は103,315千円(前年同期は経常損失347,259千円)、親会社株主に帰属する当期純利益は313,567千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失871,220千円)となりました。
当連結会計年度におけるセグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
なお、調整後EBITDAは、減価償却費、のれん償却費や株式報酬費用の非現金支出項目、ならびに寄付金支出を控除した収益指標であり、当社グループの経常的な事業収益力を測る指標として今後モニタリングしていく方針です。
当社グループは、「メディア&コンテンツ事業」「企画&プロデュース事業」「食関連事業」「その他事業」の4つを報告セグメントとしております。
(メディア&コンテンツ事業)
当セグメントにおいては、メディア、ニュースレターなど多岐に渡る情報発信フォーマットを通して、インターネット上でユーザーを集客し、広告による法人クライアントからの収益獲得、もしくは個人ユーザーに対するコンテンツ・サービス販売による課金を行っております。
当連結会計年度におけるメディア&コンテンツ事業における売上高は、前年同期比10.7%減の1,582,542千円となりました。これは主に、デジタル配信サービスにおける売上高が好調だったものの、株式会社ナンバーナインの株式の一部譲渡による連結除外より売上が2023年10月分までの計上であることによるものです。また、セグメント調整後EBITDAは△202,533千円(前年同期はセグメント調整後 EBITDA△256,475千円)となり、セグメント損失は290,244千円(前年同期はセグメント損失434,556千円)となりました。これは主に、販売管理費等の圧縮やのれんの償却の減少によるものです。
なお、当事業セグメントにおいて株式会社ナンバーナイン株式の一部売却による特別利益590,077千円を計上しております。
(企画&プロデュース事業)
当セグメントにおいては、主に法人をクライアントとし、企業や団体ブランディングに関連する企画の提供、プロモーション関連サービスの提供、空間デザイン、施工サービスの提供等を行っております。
当連結会計年度における企画&プロデュース事業における売上高は、前年同期比25.8%増の1,774,470千円となりました。これは主に、プロモーション企画・PRサービスにおいてほぼ想定通り事業が進捗し、新規クライアントの獲得が順調に推移したことによるものです。また、売上の増加および利益率の改善により、セグメント調整後EBITDAは前年同期比914.5%増の249,801千円となり、セグメント利益は、167,923千円(前年同期はセグメント損失40,967千円)となりました。
(食関連事業)
当セグメントにおいては、安政三年(1856年)創業の下鴨茶寮というブランドを基盤として、現在は食に関連する各種サービスを提供しています。
当連結会計年度における食関連事業における売上高は、前年同期比23.5%増の2,002,153千円となりました。これは主に、新型コロナウイルス感染症の分類が恒常的な感染症へと完全に移行し、国内外の人の流れが活発化したことによる料亭事業の回復や、下期に繁忙期となる食領域に関連するコマース事業がほぼ計画どおりに推移したことによるものです。原材料費等の高騰やECサイト開発費等により費用が増加し、セグメント調整後EBITDAは前年同期比27.0%減の153,307千円となり、セグメント利益は、前年同期比69.8%減の37,798千円となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、2,208,876千円となり、前連結会計年度末に比べ425,639千円増加いたしました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は88,319千円(前年同期は48,446千円の獲得)となりました。これは主に、関係会社株式売却益が599,582千円、売上債権及び契約資産の増加額が257,086千円、法人税等の支払額が67,609千円あった一方で、税金等調整前当期純利益が382,615千円、減価償却費が141,997千円、のれん償却額が116,685千円、減損損失が111,350千円、仕入債務の増加額が222,564千円あったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果獲得した資金は468,776千円(前年同期は579,829千円の使用)となりました。これは主に、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入が560,750千円あった一方、有形固定資産の取得による支出が33,683千円、無形固定資産の取得による支出が23,782千円、関係会社株式の取得による支出が21,306千円、敷金の差入による支出が19,134千円あったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は138,771千円(前年同期は1,070,823千円の獲得)となりました。これは、短期借入金の返済による支出が315,000千円、長期借入金の返済による支出442,387千円があった一方で、短期借入れによる収入300,000千円、長期借入れによる収入317,174千円あったこと等によるものであります。
④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
⑤生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
なお、メディア&コンテンツ事業及び企画&プロデュース事業については、生産活動を行っておりません。
セグメント名 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
食関連事業 |
925,925千円 |
23.3 |
(注)1.金額は製造原価であります。
b.受注実績
当社グループの事業は、受注確定から売上計上までの期間が短期間であるため、記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。
セグメント名 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
メディア&コンテンツ事業 |
1,582,542 |
△10.7 |
企画&プロデュース事業 |
1,774,470 |
25.8 |
食関連事業 |
2,002,153 |
23.5 |
合計 |
5,359,166 |
11.5 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用とともに、資産及び負債または損益の状況に影響を与える見積りを用いております。これらの見積りについては、過去の実績や現状等を勘案し、合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なることがあります。
当社の連結財務諸表を作成するにあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の分類が恒常的な感染症へと完全に移行し、国内外の人の流れが活発化したことで、国内における個人消費に回復がみられ、インバウンド需要も増加するなど社会経済活動は緩やかな回復基調にあります。一方で、海外情勢の緊迫化、世界的な原材料価格の高騰や為替相場の円安による諸物価の上昇が続いており、春闘における30年ぶりの高い賃上げや企業の高い投資意欲など我が国経済にとって前向きな動きがありつつも、実質所得は減少傾向が継続するなど、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
そういったマクロ環境下で、当社グループが属するインターネット広告領域においては、社会のデジタル化を背景にその市場は引き続き堅調に伸長しております。また、このうち当社グループにとって重要なインターネット広告媒体市場は、「2023年 日本の広告費」(株式会社電通)によると、前年比108.3%の2兆6,870億円と高い成長率で推移しており、今後もメディア媒体を中心に事業機会は拡大すると見込んでおります。
日本国内のインターネット広告領域の動向については、インターネット利用者数は前年に引き続き増加しており、総務省が発表した「令和4年通信利用動向調査」によると、各年齢階層で9割を上回る結果となっております。中でもインターネット利用率の増加に大きく影響を与えていると考えられるスマートフォンの利用状況については、世帯別の保有率は90.1%、年齢別では20歳から59歳の保有率は軒並み9割を超える結果となっております。このような環境は、当社グループの各事業展開を支える幅広い年齢層に対するアプローチを可能とする一方で、ユーザーのニーズに応える広範かつ的確な情報選別が重要となります。そのため、当社グループの強みである情報発信力を活かし、メディア・コンテンツ・企画・広告等の事業領域の充実を進めてまいります。
当社グループでは、前連結会計年度より事業セグメントを、メディア&コンテンツ事業、企画&プロデュース事業、食関連事業、その他事業の4セグメントとして定め、それぞれのセグメントにおいて積極的な事業展開を行っております。
メディア&コンテンツ事業については、既存取引先との関係強化とデジタルトランスフォーメーションの推進支援による運営メディアの獲得や広告関連サービスのアップセルおよびクロスセルに注力しております。
企画&プロデュース事業は、既存取引先との関係強化を推進し新たな案件獲得を強化するとともに、SNSマーケティング等、足元で多くの広告予算が投下されている領域での展開を強化する等、新たなサービス開発に注力しています。
食関連事業については、下鴨茶寮の更なるブランド力強化に注力すると同時に、ブランドコンセプトを付加した新商品企画の推進やふるさと納税商品の共同開発強化、EC強化など、新たなサービス開発にも経営リソースを投下しています。
その他事業領域においては、主に衛星データの利活用を足掛かりとした宇宙関連サービスの開発に取り組んでいます。2023年5月には、当社子会社のLAND INSIGHT株式会社が、前連結会計年度に引き続き、経済産業省の衛星データの無料利用事業者に採択されました。福島県南相馬市とは農業分野での社会課題である農作物の転作確認の効率化に向けて新たな衛星データ利用実証実験に着手するなど、各自治体との協業体制の構築に取り組んでいます。翌連結会計年度以降の本事業の本格展開および収益化を進めております。
当社グループは、ウェブメディアの立ち上げや運営を軸として、広告媒体としての展開、関連領域を拡張させることで事業を展開し、ユーザーがインターネット上に集う場である媒体を構築、運営し、事業として持続的に成長させるための包括的なウハウを有しています。またトレンドを生み出す企画力により、世の中の変革のきっかけとなるコンテクストとコンテンツをゼロからつくり、メディアの力で数多くのユーザーに拡大していくまでの事業開発をグループ内で完結させることが可能となります。
今後も地方創生を事業展開の軸として想定し、関連するメディア、企画、広告など、それぞれの事業領域でノウハウを活用し共同プロジェクトを実現していくことで、事業ポートフォリオの中長期的な成長を図っていく方針です。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は5,359,166千円(前年同期比11.5%増)、売上総利益は2,221,976千円(前年同期比15.8%増)、調整後EBITDAは190,271千円(前年同期は調整後EBITDA△26,048千円)、営業損失は94,826千円(前年同期は営業損失354,496千円)、経常損失は103,315千円(前年同期は経常損失347,259千円)、親会社株主に帰属する当期純利益は313,567千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失871,220千円)となりました。なお、当社グループの財政状況、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する分析等は、「第2 事業の状況 4経営者による財政状況、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載しております。
b.資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。当社グループの運転資金・設備資金等については、自己資金または金融機関からの借入等を基本としており、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は2,208,876千円となり、将来に対して十分な財源及び流動性を確保しております。
c.経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、景気動向、市場環境、人材採用・育成、法規制等様々なリスクが経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社グループでは、内部管理体制を強化しつつ、優秀な人材を確保・育成することによって、景気動向、市場環境に留意して市場ニーズにあったサービスを展開し、経営成績に重要な影響を与えるリスクを低減する対策を引き続き行ってまいります。
d.経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループは、「ヒトを変え、事業を変え、そして社会を変える。」を企業ビジョンとして掲げ、メディア企業ならびに事業会社のデジタルビジネス支援など「コミュニケーション領域の総合商社」を目指します。また前期からの中期戦略では、メディア、広告・マーケティング領域に加え、地域ブランディング(地方創生)事業の推進、宇宙関連(衛星データ関連)事業の着実な実績作りを行い、多様なビジネスモデルやソリューションを提供する事で、社会変革を実現する企業となるよう事業展開に取り組んでまいります。
当連結会計年度は、当社グループは、メディア&コンテンツ事業、企画&プロデュース事業、食関連事業、その他事業の4セグメントにおいて事業展開をおこなっております。
メディア&コンテンツ事業領域はインターネット広告市場やデジタルコンテンツ配信市場の推移が最も大きく業績に影響します。インターネット広告市場は「2023年 日本の広告費」(株式会社電通)によると、2023年は前年比108.3%と拡大を続けており、今後も同様の成長が見込まれます。特に事業会社のデジタルマーケティングの内製化傾向は依然高い状況であり、事業会社のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進支援、コンサルティングとともに運営メディアの獲得と広告関連サービスのアップセルとクロスセルに注力しております。それらを踏まえ、当連結会計年度はメディア収益化支援、事業コンサルティングを重点活動領域と設定しております。
企画&プロデュース事業領域では、事業会社におけるプロモーション活動等のデジタル化ニーズの拡大と内製化意向の高まりにより、ブランディング支援・企業向けPRコンサルティングサービスに強みを持つ当社グループのサービス提供機会も今後拡大していくことが想定されます。特に企業ブランドのSNS運用支援、デジタルマーケティングにおける内製化支援サービスに注力しつつ、インバウンド・観光需要に対しても地方創生事業におけるブランディング戦略パートナーシップを積極的に構築するなど、既存施設のリブランディング施策などこれまでの実績をさらに加速させて取り組んでいきます。
食関連事業領域では、人流回復と大幅な円安を背景としたインバウンド消費を見越し、国内リアル店舗での高単価高付加価値サービスを提供していくとともに、EC領域におけるブランド力を軸とした商品開発とグループ連携を意識した販促力の強化、ならびに自治体や地域生産者などとの話題性のあるコラボレーション施策を推進してまい
ります。
その他事業としては衛星データ利活用(宇宙関連)事業に注力してまいります。2024年3月期は2期連続で経済産業省より衛星データの無料使用事業者に採択され、新たに福島県南相馬市との農業分野における実証実験に着手いたしました。すでに連携体制にある北海道大樹町や釧路市とともに、2025年3月期も引き続き農業・酪農・畜産・林業・防災分野での社会的課題の開発およびその事業化を推進してまいります。
2025年3月期は、グループ内の経営資源の見直しや再配分に注力しつつ、各事業の推進力と収益性の向上に積極的に取り組んでいく方針です 。
経営者は、事業を拡大し、持続的な企業価値の向上を実現するために様々な課題に対処していくことが必要であると認識しております。それらの課題に対応するため、常に事業環境についての情報を入手し、戦略の策定、競合動向の把握、顧客ニーズの把握、提供するソリューションの強化、企業規模の拡大に応じた内部管理体制・組織の整備を進め、企業価値のさらなる向上を目指して取り組んでおります。
なお、経営者の問題認識と今後の方針についての具体的な内容は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
(子会社株式の譲渡)
当社は、2023年10月31日開催の取締役会において、当社の連結子会社であるナンバーナインの当社保有株式の一部
を譲渡することを決議し、同日に株式譲渡契約を締結し、同年11月14日に株式譲渡を実施致しました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (企業結合等関係)」に記載のとおりであります。
(連結子会社の吸収合併について)
当社は、2024年6月20日開催の取締役会において、当社を合併存続会社、当社の連結子会社であるData Tailor株式会社とNewsletter Asia株式会社を消滅会社とする吸収合併(簡易吸収合併)を行うことを決議し、同日付で合併契約を締結いたしました。
詳細は、「「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。