第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 経営方針

当社グループは、「AIを用いた社会課題解決を通じて、幸せな社会を実現する」をミッションに掲げ、超高齢社会に代表されるような社会課題に対し、高いAI技術力・ビジネス適用力を活かし、その課題を解決することを目指しています。

社会課題の解決にあたっては、AIプラットフォーム事業を通じて、様々な業界の顧客企業と協働・提携することで、多様な産業・社会課題を発見し、その革新を実現し続けることを目指して事業を推進しています。こうして各業界・様々な顧客との産業課題・社会課題解決を推進して得られた知見をもとに、AIを用いたプロダクトの開発・提供を行うことで、AIプロダクト事業において継続的に革新的なサービスを創出し、より広範な社会の課題を解決することを目指しています。

 

(2) 経営環境及び事業対象市場

2000年以降のインターネットの普及によるビッグデータの蓄積と、2012年頃から本格化した深層学習技術に代表されるアルゴリズムの発展、そして2022年からの大規模言語モデルをはじめとした生成AIの目覚ましい技術革新により、AIサービスは着実に幅広い産業で利用され、近年では新規サービスとして実装段階に至るまで発展を遂げてまいりました。
 特に当社が注力してプロダクト・サービス提供を行っている生成AIの市場は、国内市場だけで2030年には1兆7,774億円、グローバルでは2,110億ドルに達するとの試算もあり、今後の大きな拡大が見込める市場として勃興してきました。

 


(注) 1.生成AI基盤モデル:基盤モデル自体の提供

2.生成AI関連ソリューションサービス:生成AIの活用を支援するSI/上流サービス(リスク対策、個別開発、体制構築、人材育成等)

3.生成AI関連アプリケーション:生成AI基盤モデルを活用したアプリケーション、開発を実現するプラットフォーム

4.参考文献:JEITA(電子情報技術産業協会) https://www.jeita.or.jp/japanese/topics/2023/1221-2.pdf

5.1ドル=145円換算

 

 

(3) 経営戦略等

当社グループでは、上記の経営環境への認識をふまえ、大企業との提携や協働を通じて企業のDXやAI導入を推進するとともに、そこで得られた技術や知見をもとに、自社でプロダクト・サービスを開発し、広く提供することで、社会課題を解決することを基本的な戦略としています。近年は特にAIの利活用により企業の生産性や提供価値を向上させるプロダクトの提供に注力しています。

 

① 顧客企業数の増大

当社グループの顧客企業数は、AIプロダクト事業における「exaBase DXアセスメント&ラーニング」は1,467社、「exaBase 生成AI」は447社、AIプラットフォーム事業の顧客数は178社(いずれも2024年3月末時点)となり、着実な拡大を遂げています。今後も既存顧客企業との契約長期化に伴う良好な関係維持を重視しつつ、一方で当社ネットワークコミュニティや自社開催セミナー・イベント等を通じて、見込み顧客の獲得や、より多くの顧客企業に対するサービスの提供を手掛けてまいりたいと考えています。

 

② 顧客企業内における契約単価の上昇

当社グループでは、様々な業界の企業顧客に対するAIプラットフォームの導入を進めています。そのサービスを提供するうえで、導入効果として顧客の事業に財務上の良好なインパクトが発現することに伴い、成果報酬が生じることや、顧客との契約単価の上昇を目指します。

 

③ 顧客企業との契約の長期化

当社グループでは、様々な業界の企業顧客に対するAIプラットフォームの導入を実施しています。初期的には課題の特定、概念検証を行い、それらの結果を踏まえて中長期的にはAIモデルの実装や運用へと領域を拡充いたします。従いまして、その成果に応じて、顧客企業との契約期間が長期化することが見込まれています。当社グループでは4四半期以上の継続契約企業顧客からの売上を長期継続顧客売上と定義づけており、2024年3月期は69.4%となり、この水準感を一定の目安として事業展開を進めています。

 

④ 開発したソリューションの他社への水平展開とプロダクト化

当社グループでは、それぞれの産業におけるコア課題に対して、AIの利活用を通じた一定の解決策を提供し、顧客に良好な財務インパクトとして導入成果が発現するように実装・運用することを目指しています。それら運用・実装の経験を通じて培った独自のノウハウや、当社グループ独自のユニークな技術・知的財産を蓄積し、同業界内又は他業界内において類似したサービスやソリューション、汎用化されたプロダクトの提供を行うことで、営業の効率化や、更なる高付加価値の実現を目指しています。

 

⑤ 顧客企業に対するAIプラットフォーム及びAIプロダクト間のクロスセル

当社グループでは、AIプラットフォームと、AIプロダクトの双方の事業を展開しています。個別の事業課題に向けてAIプラットフォームの利活用を行った企業顧客が、より一般的な業務の効率化や生成AIの導入にはAIプロダクトを活用することや、またその逆の事例もあります。AIプロダクト事業の「exaBase DXアセスメント&ラーニング」や「exaBase 生成AI」が獲得した顧客基盤は、AIプラットフォーム事業のサービスを追加的に紹介・提供する入り口としても機能しています。顧客企業に当社グループの価値を最大限に提供するために、今後もこのような施策の実現を目指しています。

 

⑥ 「exaBase Studio」を組み込んだサービス展開の推進

当社グループでは、「exaBase Studio」により顧客企業の内部に存在する様々な形態のデータをつなぎ、また適切な形で分類整理することで、ユーザー側のインターフェースとして機能する「exaBase 生成AI」からデータを引き出し、活用するユニークな仕組みを構築しています。当社はこの一連のサービスを顧客企業の業務生産性を向上させるアプローチと定め、AI・DXの推進を進める大企業顧客を中心に、販売拡大を進めてまいります。

 

 

⑦ 継続的な新規AIプロダクトを創出する仕組み

当社グループでは、顧客企業へのAI導入を通じて、多様なユースケースでのAI導入実績を有しています。これらを通じて、業務・業界ごとのAIの導入余地やその導入によるインパクト、AIアルゴリズムの汎用化可能性などを判断し、より広範な企業に対して提供可能なAIアルゴリズムについては自社で作り込んでソフトウエア化し、AIプロダクトとして提供しています。このプロセスによりAIプラットフォーム事業の推進と同時に需要の高いプロダクトの市場調査を並行して実施できるため、当社グループは限られた研究開発コストで企業のニーズに即した新たなAIプロダクトを継続的に創出することが可能になると考えています。

現状では特に企業の生産性向上を目的としたDX AIプロダクト関連から、「exaBase 生成AI」や「exaBase IRアシスタント」などの新規プロダクトを創出し、着実に事業規模が拡大していますが、今後も強みを生かした新規プロダクトの探索を進めます。

 

⑧ 財務上の課題について

現時点で当社グループは財務上の課題を認識してはいませんが、AIプロダクト事業への先行投資等により、2024年3月期まで連続して親会社株主に帰属する当期純損失を計上しています。しかしながら、AIプラットフォーム事業では引き続きセグメント黒字を計上、かつ売上高も伸長し、今後も収益力の向上を目指しています。AIプロダクト事業についても新規プロダクトを中心に売上高の成長が顕著であり、通期でのセグメントの黒字化が期待できる水準となってきました。今後も「exaBase 生成AI」や「exaBase Studio」の導入拡大に向けて積極投資は継続しつつ、同時に利益の創出が実現できるように、ビジネスモデルやコスト構造を抜本的に変革してまいります。

 

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、より高い成長性及び収益性を確保する観点から、連結売上高成長率及び連結営業利益の黒字化を重要な経営指標と捉えています。

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 開発・営業体制の強化

安定的かつ着実な事業拡大を図るにあたっては、顧客企業数・案件数・ユーザー数が増加した場合でも、収益率を高水準に維持し、かつ高いレベルのサービスを顧客企業へ提供していくことが重要であると考えています。そのためにも「exaBase」を冠した各種サービス・プロダクト等への開発投資を中心に、引き続き卓越した能力を持つエンジニアを採用するほか、開発プロセスの改善、サービス提供に係る営業系人員の採用、社内におけるノウハウの共有や教育等に努めてまいります。

 

② 更なる新規プロダクトの創出と拡大

当社グループの戦略は、AIプラットフォーム事業により顧客企業へのAI導入を通じて蓄積した知見をもとに、より広範に提供可能なAIプロダクトを開発・提供していくことにあります。今後も継続的に新たなAIプロダクトを創出し、より多くの顧客へ提供していくことが必要と考えています。

 

③ 内部管理体制の強化

当社グループは一層の事業拡大を見込む成長段階にあり、事業の拡大・成長に応じた内部管理体制の強化が重要な課題であると認識しています。経営の公正性・透明性を確保すべく、コーポレート・ガバナンスを強化し、適切な内部統制システムの構築を図ってまいります。

 

④ 情報管理体制の強化

当社グループはサービス提供やシステム運用の遂行過程において、機密情報や個人情報を取り扱う可能性があり、その情報管理を強化していくことが重要であると考えています。現在、情報管理規程等に基づき管理を徹底していますが、今後も社内教育・研修実施やシステム整備などを継続して行ってまいります。

 

 

⑤ グループ経営体制の確立

当社グループは近年の事業成長及び事業領域の拡大とともに、事業子会社の設立、協業先との合弁会社の設立、競争力強化を目的とした企業買収等を行ってきたことでグループ会社数が増加しています。当社グループはこれに対応して、グループガバナンスの強化と経営資源配置の最適化を実現するグループ経営方針の設定、及びその持続的な遂行を担保する体制の確立を進めてまいります。

 

⑥ サステナビリティへの取組み

当社グループは、事業を通じた社会課題解決のためには、社内外のステークホルダーの期待に応え成長を継続していくこと、またそのための環境を構築することが不可欠であると考えています。このためステークホルダーの観点と、当社グループの持続的な成長基盤への重要性の観点から事業環境下の諸課題を検討し、そこから当社グループとステークホルダーの両者にとって特に重要と考えられる課題を特定し、以下の5つを当社のマテリアリティとして定義しました。

1.多様な人材の活躍

2.幅広い産業分野への事業展開

3.技術的優位性の確保と向上

4.強固なセキュリティによる安全なサービスの提供

5.ガバナンス・リスク管理体制

当社グループはこれらのマテリアリティに基づく企業活動を通じ、サステナビリティの推進と持続的な企業価値の向上に取り組んでまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

当社グループは「AIを用いた社会課題解決を通じて、幸せな社会を実現する」をミッションとし、当社のすべての活動の基本としております。

また、当該ミッション及び中長期的な成長持続の実現のために、サステナビリティに関わるリスク及び機会の把握につとめ、損失の低減と同時に社会課題解決につながるビジネスモデルの創出を図っていくことが重要であると認識しております。

そこで、広範なサステナビリティに関する課題のうち、当社グループにとって特に重要となるマテリアリティ及びその解決のために当社グループが取り組むべき課題を以下の通り特定した上で、サステナビリティ推進体制を構築し、サステナビリティに関する取組みを実施しております。

 


 

(1) サステナビリティ推進のための体制及び具体的な取組状況

① ガバナンス

<取締役会>

取締役会は、当社が広範なサステナビリティの課題へ積極的かつ適切に対応するための「サステナビリティ基本方針」を定めております。

かかる基本方針に基づき、取締役会は、前述のサステナビリティに関する重要課題であるマテリアリティ及びその解決のために当社が取り組むべき課題の特定を行います。マテリアリティ及びその解決のために当社が取り組むべき課題の特定は、以下のプロセスを経て行っております。

(ⅰ)事業環境下の諸課題を各種国際規格や主要なESG評価項目などを参考に検討、抽出

(ⅱ)ステークホルダー視点での重要性、及び当社が社会や環境に与えうるインパクト・当社にとっての重要性の二つの軸で事業活動を整理

(ⅲ)取締役会での議論を経て、マテリアリティ及びその解決のために当社が取り組むべき課題を特定

 

<経営会議>

代表取締役社長を議長とする経営会議が、取締役会が決定したサステナビリティ基本方針に基づき、当社グループ全体におけるサステナビリティに関する活動を統括します。

サステナビリティに関する具体的な活動は、経営会議の指揮命令のもと、マテリアリティに関連する各領域を担当する執行役員及び技術担当役員を中心に、必要に応じ各領域に関する委員会を組成し行っております。

また、サステナビリティに関する活動を円滑に進めるため、コーポレート統括部に事務局を置き、事務局にてサステナビリティ活動に関する報告を取締役会へ行うと共に、サステナビリティに関する情報開示を行います。

 

 

なお、取締役会及び経営会議については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ② 企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由」の「a 取締役会」及び「c 経営会議」をご参照ください。

 


 

② リスク管理

当社グループは、グループ全体のリスクマネジメントを統括・推進する主体を当社経営会議とした上で、特に事業上の重要性の高いリスクマネジメントを所管する組織としてリスク管理委員会を設置し、定常的なリスクマネジメント及び危機発生時の対処のための体制を整備しております。かかるリスク管理体制の詳細については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要」の「② 企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由」及び「③ 企業統治に関するその他の事項 a 内部統制システムの整備の状況」ご参照ください。

マテリアリティをはじめとするサステナビリティ関連のリスク及び機会の識別、評価及び管理についても、基本的にはかかるリスク管理体制に基づき行われます。また、特にマテリアリティに関するリスク・機会の識別及び管理については、マテリアリティに関連する各領域を担当する執行役員及び技術専門役員が中心となってこれらを行い、経営会議がかかる活動を指揮命令するとともに全体を統括することとしております。

 

③ 戦略並びに指標及び目標

当社グループでは、前述のガバナンス及びリスク管理に基づき、当社グループにとって特に重要となるマテリアリティ及びその解決のために当社グループが取り組むべき課題を特定した上で、それぞれ以下のとおり取組みを進めております。なお、それぞれのマテリアリティに関する指標・目標について、<多様な人材の活躍>に係る指標・目標を除き、定量的な指標・目標の算定・設定が困難であるため、現時点では具体的な指標・目標を設定しておりませんが、各種取組みの継続又は現状以上の数値達成を目指して活動しております。

<多様な人材の活躍>

当社グループは、国籍、年齢、性別等にかかわらず、社会課題解決への強い想いを持ち、高度な能力を有する多様な人材、社名の由来でもある“10の18乗の魔法使い(ウィザード)”が集まり、お互いを高めあう組織を目指しており、このような人事・組織に関する基本的な方針及び考え方を示したCredoとD&I Statementを制定し、これらに基づく取組みを推進しています。

なお、当該取組みの具体的内容については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2) 人的資本に関する戦略並びに指標及び目標」をご参照ください。

 

<幅広い産業分野の事業展開>

当社は、AIプラットフォーム事業において、マルチセクター・マルチモーダルでの事業展開を推し進め、多様な産業・社会課題を発見し、その革新を実現することを目指しております。また、それらを通じて得られた知見をもとに、ユースケース・アルゴリズムを蓄積・改善し、AIを用いたプロダクトの開発・提供を行うことで、より広範な社会課題を解決することを目指しております。

さらに、特定のセクターにおけるプロダクトの開発及び社会実装を強化・推進していくことを目的として、当社の特定の事業の分社化等を実施しております。

なお、当社グループの事業展開の具体的内容については、「第1 企業の概況 3 事業の内容」及び「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」を、当社の特定の事業の分社化等の具体的内容については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(企業結合等関係)」の「(共通支配下の取引等)」をご参照ください。

 

<技術的優位性の確保と向上>

当社グループは、技術的卓越性の可視化と権利化を通じて競争優位性を高めるべく、様々な事業領域において培ったノウハウを集積し、権利化すべきものについては積極的かつ戦略的に特許出願を行っております。

日本特許については、2024年3月末時点において、累計出願数228件、登録済特許116件を有しており、外国特許についても、国際特許を出願しポートフォリオを強化しつつ、年々保有件数を増加させており、今後も積極的かつ戦略的に特許出願を行っていきます。

 

<強固なセキュリティによる安全なサービスの提供>

当社グループがAIプラットフォーム事業において顧客に提供するAIモデルの学習対象となる情報の中には、当該顧客の経営戦略上極めて重要かつ機密性が高い情報が含まれる場合があります。また、当社グループが提供するサービスでは、ユーザーの個人情報及びユーザーが保有する第三者の個人情報を取り扱っております。

当社グループは、そういった重要かつ機密性の高い情報の取り扱いに万全を期し、顧客に安全性の高いサービスを提供することを通じて、顧客企業の発展に寄与し収益機会を維持拡大すべく、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)に関する国際規格の認証を取得しており、当該規格に基づき情報セキュリティ管理策を講じるとともに、当該管理策の有効性を定期的にレビューし、必要に応じて見直しと継続的な改善を行っております。

 

<ガバナンス・リスク管理体制>

当社グループは、事業の持続可能性を高めるべく、取締役会並びに監査役及び監査役会といった法定の機関に加え、経営会議やリスク管理委員会を始めとした、目的に応じた様々な機関・組織を設置し、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための体制を強化しております。

なお、当社グループのガバナンス・リスク管理体制の具体的内容については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要」をご参照ください。

 

 

(2) 人的資本に関する戦略並びに指標及び目標

① 戦略

<基本的な考え方>

当社は、「AIを用いた社会課題解決を通じて、幸せな社会を実現する」というミッションの達成には、社会課題の解決のためにAI技術によって解くべき課題を発見・設定し、個々の課題から社会一般汎用的

な課題を見出し、それを解決するサービス・プロダクトを創り出すことが必要不可欠であると考えています。

そのため、国籍、年齢、性別等にかかわらず、社会課題解決への強い想いを持ち、高度な能力を有する多様な人材、社名の由来でもある“10の18乗の魔法使い(ウィザード)”が集まり、お互いを高めあう組織を目指しています。

当社は、このような人事・組織に関する基本的な方針及び考え方を示したCredoとD&I Statementを制定し、これらに基づく取組みを推進しています。

 


 

Credoの各項目は、社会課題に気づき(Cultivate Collective Awareness)、課題に対しチームで挑むことで(Mission-Driven Teamwork)、社会課題解決の過程を自社や従業員自身の成長にもつなげていく(Elevate Your Craft)という、当社の社会課題探索と解決の考え方に対応しています。また、難易度の高い課題に挑み続け、期待を超えた成果を生み出すという、当社及び従業員のありたい姿(Tackle the Biggest-Challenges,Above and Beyond Expectations)を表しています。

 

また当社は、Credoの実践を企業価値につなげるため、多様な人材一人一人が能力を最大化できる環境を作り、組織全体としてのパフォーマンスを向上することを目的としてD&I Statementを定め、D&Iを実現するための重要な取組みとして、機会の提供、支援の提供、ベースとなる文化の醸成、オープンな環境の整備の4点を推進しています。

 

 


 


 

<戦略推進のための取組み>

当社では、採用、育成及びタレントマネジメント並びに、社内のインナーコミュニケーション及びD&I(Diversity & Inclusion)の浸透を重点施策として、以下の取組みを行っています。

当社は、これらの取組みを通じて、新たな社会課題領域に挑戦し、それを解決するサービス・プロダクトを連続的に生み出せる組織を作っていきます。

 

・採用

当社のミッションへの共感性の高い人材を前提に、スキル多様性を確保するための専門人材の採用を推進しています。特に現在は新卒を中心とした若手人材の採用に重点的に取り組んでいます。

 

・育成及びタレントマネジメント

当社は人材育成を更に強化するため、自社プロダクトであるexaBase DXアセスメント&ラーニングの全社受検を行い、社員のスキル・マインド・知識の見える化を実現しました。それに基づき、それぞれにあったラーニングコンテンツの提供を開始しました。加えて、新卒社員のオンボーディングを強化し、職種共通の組織や事業理解のレクチャー、ビジネスメンバー向けのビジネスベーシックスキルの強化、自社プロダクトを活用したエンジニアリング基礎知識の学習、生成AIのインプットなど、実践的なトレーニングを行っています。エンジニアには約3か月間のハッカソンを中心としたプロダクト・サービスアイデアの実装までを行うオンボーディングを実施しています。

 

 

・インナーコミュニケーション及びD&Iの浸透

事業成長のために必要な人材を幅広い層から集めるため、国籍、年齢、性別やバックグラウンドの異なるメンバーが、それぞれの強みを最大限に発揮できる体制及び職場環境の構築に取り組んでいます。特に、エンジニア及びビジネス職については、業界全体として男性の比率が高いなど外部要因による属性の偏りが生じていますが、多様性確保の観点から、女性従業員比率の維持・向上への課題認識を深め、社内制度の拡充等を通じて対応を行っています。外国籍や英語話者メンバーが活躍できる環境構築についても取り組みを進めており、オンボーディングや全社会をはじめとする社内の公的なコミュニケーションを日英で提供することは当然として、外国籍メンバーのキャリアアップを見据え、マネジメント向け研修などの2か国語対応を進めていきます。

さらに、D&Iの取り組みをリスタートし、D&Iコミュニティを立ち上げ、テーマごとの活動を促進しています。具体的には、(育児・介護休業からの)復職と両立、LGBTQなどをテーマに活動しています。

 

② 指標及び目標

当社では、これらの活動の成果を以下の指標によって測定、評価しています。

 

<社会課題解決に強い想いを持つ人材の採用、活躍>

当社では、多様な人材を集めながらも一体感ある組織運営を目指すべく、組織の現状把握と課題発見のためのアセスメントのひとつとして、四半期ごとの従業員エンゲージメント調査を2018年から継続して行っています。今年度は、エンゲージメントを調査するためのコンディションサーベイを大幅に見直し、eNPSに加え、ワークエンゲージメントを測ることとしました。最新の平均スコアは、eNPSが-5.7%、ワークエンゲージメントは4.46となっており、ワークエンゲージメントは比較的高い水準ですが、eNPSのスコアは改善の余地があります。これらのデータをもとに、適切な施策を行っています。

 

<スキルの多様性の確保>

当社グループ全体での各職種の人員割合について、エンジニアの職種比率を50%程度、女性従業員比率25%程度、外国籍エンジニア比率40%程度を目安として組織運営を行っています。今年度の具体的なデータとしては、女性従業員比率は19.3%、外国籍エンジニア比率は35.6%であり、特に女性従業員比率の向上には引き続き注力していく必要があります。また、執行役員における比率はそれぞれ10%で、経営層の多様性も考慮しています。これらの指標は、技術革新や事業環境の変化に応じて柔軟に見直しを行う動的KPIとして運用しています。

 

<労働環境の整備>

社内環境整備の一環として、当社は週1日の出社開始に伴い、東京オフィスを移転し、これまでの約3倍の面積に拡大しました。新オフィスには食事補助制度(ミールカード)の導入のほか、社内のネットワーク強化を目的としたウェルカムパーティや若手の会などのイベントを開催しています。これにより社員同士のコミュニケーションを促進し、アイデアの生まれやすい環境を整えています。また、大阪に新しい拠点を開設し、様々な拠点の社員が業務を行いやすい環境整備を進めています。
 

<技術とツールの導入>

当社はDXアセスメント&ラーニングという自社プロダクトの導入に加え、生成AIをセキュアな環境で利用できる「exaBase生成AI」を導入。これにより、全社員がAI技術にアクセスしやすくなり、生産性の向上が期待されます。2023年11月時点で全社のうち利用率は68.8%、削減時間は2023年12月単月で40,597分となりました。また、コンディションサーベイの結果をBIツールでリアルタイムに確認できるようにし、マネージャーが適時に対応できるよう進化させています。

 

<若手従業員の育成>

若手従業員の早期戦力化を目指し、育成担当者、上長、そして人事部が三位一体となって育成プログラムを実施しています。こちらの取り組みでは、一人前の人材を早期に育成するために、課題の整理やアサインの見直し、コンディションチェックなどを行っています。
 

③ 規模と構成

エンゲージメント調査の結果、新たに取り入れた施策や新オフィスの導入などの具体的なデータ、活動内容についての詳細は以下のとおりです。

・会社ビジョンへの共感(平均4.51/5)
 ・会社の使命に対する貢献意識(平均3.70/5)
 ・女性従業員比率:24.9%(正社員における同比率17.0%)
 ・外国籍エンジニア比率:35.6%
 ・エンジニア職種比率:50%
 ・最新の平均スコア:eNPS -5.7%、ワークエンゲージメント 4.46
 
 当社はこれらのデータを基に、更なる組織改善とパフォーマンス向上を目指しています。また、特に女性従業員の比率向上や外国籍社員の比率の維持にも注力しています。これらの取り組みを通じて、従業員全体のエンゲージメントと働きやすさを向上させ、最終的には社会課題解決のためのサービス・プロダクト創出のスピードと質を高めていくことを目指します。

 

④ 今後の展望

当社は、D&Iの取り組みを強化し、社員一人一人が持つ強みを最大限に引き出す環境を整備し続けます。新設されたD&Iコミュニティにより、社員が多様な観点から意見交換し、合意形成を図る場を提供しています。また、新たな取り組みとして、育休からの復職支援やLGBTQをテーマとしたワークショップの開催など、具体的なテーマを持った活動を進めていきます。
 さらに、当社は持続可能な成長を目指し、技術革新と人材育成を両立させるための環境整備に注力しています。次世代の経営人材育成については、マネージャー研修の導入など、具体的な対策を講じていく計画です。
 社内のエンゲージメント調査では、引き続きeNPSとワークエンゲージメントのスコア改善に向けたアクションプランを策定し、社員の満足度向上と組織の強化を図ります。リアルタイムで部門のコンディションを見られるシステムの活用や、生成AIによるコメント分析を通じて、迅速かつ適切な対応ができる体制を整えていきます。 
 当社は、多様な人材が活躍できる環境を整備し、社会課題解決への強い想いを持つ社員が、一体感を持って組織運営を行えるよう努めています。これらの取り組みを通じて、世界中の人々の幸せと社会の発展に貢献できる企業を目指し、さらなる成長を遂げていきます。

 

 

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状況、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資者の投資判断において重要であると考えられる事項については積極的に開示しています。

当社グループは、これらのリスクの発生可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努める方針ですが、当社の株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容もあわせて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えています。

当社グループのリスク管理を統合管理する主体は経営会議とし、統括する責任者を社長としてリスク管理にあたっています。当社のリスク管理体制については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要」の「② 企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由」及び「③ 企業統治に関するその他の事項 a 内部統制システムの整備の状況」をご参照ください。

本項に記載している将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生する可能性のあるリスクの全てを網羅していることを保証するものではありません。

 

(1) 事業に関するリスク

① AI関連市場の成長性

当社グループの事業領域であるAI関連市場は、技術革新や各産業分野におけるAIの利活用の拡大・DX(デジタルトランスフォーメーション)の取組みの加速、生成AIの普及などの影響を受け、市場成長率は好調に推移しており、今後もさらなる市場規模の拡大を続けることが予想されます。しかしながら、今後の市場成長率は、AI技術に対する新たな法規制・政策の導入、関連市場の動向、景気変動によるユーザー企業のAI関連投資の縮小などの外的要因による影響を受けるため、これらの影響による市場成長率の鈍化により、当社グループの事業、財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。

 

② 技術革新

AI技術の有用性・重要性はいまや世界的に認識されており、全世界の研究機関、企業、大学等によりAIの研究開発が進んでおります。そのためAIの技術革新の速度は極めて速く、AI関連市場のさらなる成長や最新技術の取り入れによるビジネス拡大の機会につながる一方で、技術革新のスピードや新たなビジネスモデルの出現による市場環境の変化に当社グループが対応できない場合には、当社グループの事業、財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。

 

③ 競合の動向

当社グループの事業領域であるAI関連市場においては、多数の既存事業者が存在するほか、今後も業種にかかわらず大手企業から高度に専門化した新興企業まで、様々な事業者による新規参入が見込まれます。当社グループでは独自開発のAI技術と様々な業界や業務に関する知見を組み合わせたAIプロダクト・サービスを主軸とすることで圧倒的な競争優位性を保持しており、AI関連事業者の増大が直ちに競争上の脅威となるものではありませんが、当社グループより優れた技術開発力、営業力、ブランド又は知名度を有する他の事業者の動向によっては、当社グループの期待通りに顧客を獲得・維持できないことも考えられます。

当社グループとしては、他の事業者と差別化を図ったAIプロダクト・サービスを開発・提供できるよう引き続き邁進しますが、競争環境の激化等により、当社グループの事業、財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。

 

④ 新規事業

当社グループの開発するAIプロダクト・サービスは、商品特性から幅広い産業に対して提供することが可能であり、今後も積極的かつ継続的に新プロダクト・サービス及び新規事業に取り組んでまいります。これによりシステム投資や人件費等、追加的な支出が発生し、利益率が低下する可能性があります。また、新サービス及び新規事業の導入・拡大・成長が当初の予測どおりに進まない場合、当社グループの事業、財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑤ 合弁事業、出資・買収による事業拡大について

当社グループでは、「exaBase」を冠する各種プロダクト・サービスの機能の拡充を早期に図ってまいりたいと考えています。従いまして、自社内での開発に向けての人員採用、技術基盤の強化、補完機能の拡充は当然ながら、適切なパートナーとの合弁事業などを通じた連携や、出資・買収を含めた様々な可能性についても探索しつつ、収益性、財務健全性及び当社の経営ポリシーに鑑みて案件を精査しています。

合弁事業の展開においては、パートナーとなる対象企業の業績や財政状態等についての詳細な調査をすることに加え、当該合弁事業にかかる事業計画や相互の役割の定義、ガバナンス体制等について事前に合意することによって可能な限りリスクを回避するように努めていきますが、合弁事業開始後に双方の経営方針に相違が生じ、意図していたシナジー効果が得られないといった可能性も否定できません。この場合においても、投資資金の回収が困難となる可能性や当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

出資・買収においては、対象となる企業の財務や税務、法務などの契約関係及び事業の状況等について事前に社内外の専門家と詳細なデューデリジェンスを実施し、価値評価に関しては第三者評価機関の見解も踏まえ、可能な限りリスクの低減に努めてまいります。しかしながら、出資・買収後に、事業環境に急激な変化が生じた場合やその他予期し得ない理由により当初の計画通りに事業が進展しない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、出資・買収後に予期せぬ偶発債務の発生や未認識債務が判明するリスクを完全に取り除くことは困難であり、かかるリスクが顕在化した場合には当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

買収に伴いのれんを計上した場合、対象会社の業績の悪化等により減損の兆候が生じ、その将来的な効果である回収可能価額がのれんの帳簿価額を下回る場合には、のれんの減損処理を行う可能性があり、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

買収を実施する際は自己資金、金融機関からの借入、社債及びエクイティファイナンス等で調達していくことを基本方針としております。当社が資金需要に応じて適時かつ適切な条件で買収資金を調達できる保証はなく、必要な資金調達ができなかった場合、又は当社にとって不利な条件での資金調達をせざるを得ない場合や、新たなファイナンスによる負担や株式価値の希薄化及び自己資本の変動のほか、新たに借入金を利用した場合、市場金利の変動の状況によっては、借入金利息の負担の増大等により、当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 業績の季節変動

わが国においては、商習慣上3月を期末月とする企業が多く、当社グループの一部サービスは企業向けに事業転換・事業創出を支援するものであることから、当社グループの顧客企業は新年度である4月に向けて、3月末までに当社グループのサービス提供を求める例が多くみられます。そのため、当社グループの売上高は、当社グループの第4四半期(1月から3月まで)、特に3月に偏在する傾向があり、特定の四半期業績のみをもって当社グループの通期業績見通しを判断することは困難です。

 

⑦ 特定の顧客企業における投資行動の変化等のリスク

当社グループは、多数の顧客企業との取引がある一方で、特定の顧客企業とも良好な取引関係を継続していることが強みです。それら顧客企業におけるIT投資行動の変化や経営方針の変更、事業環境の急変、特定業種における規制・制度変更等によっては、当社グループの経営成績や営業活動に影響を与える可能性があります。

 

⑧ システム障害

当社グループがクラウドで提供しているAIサービスの大半は、サービスの基盤をインターネット通信網に依存しております。したがって、自然災害や事故によりインターネット通信網が切断された場合には、サービスの提供が困難となります。サイバー攻撃等により当社サービス基盤への攻撃を受けた場合には、システム障害により事業遂行が困難になることや、事業上の重要機密が漏洩する可能性があります。また、予想外の急激なアクセス増加等による一時的な過負荷やその他予期せぬ事象によるサーバーダウン等により、当社グループのサービスが停止する可能性があります。これまで当社グループにおいて、そのような事象は発生しておりませんが、今後このようなシステム障害等が発生し、サービスの安定的な提供が行えないような事態が発生した場合には、当社グループの事業、財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑨ 知的財産権におけるリスク

当社グループのビジネス上、当社グループの開発した独自の方法や技術及び当社グループが開発し又はライセンスを受けている特許その他知的財産権の保護は重要であります。当社グループは、運営するコンテンツ及びサービスに関する知的財産権の獲得に努めておりますが、当社グループの知的財産権が十分に保護されない場合には、当社グループの事業、財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループによる第三者の知的財産権侵害の可能性につきましては、可能な範囲で調査を行っておりますが、当社グループの事業領域に関する第三者の知的財産権の完全な把握は困難であり、当社グループが認識せずに第三者の知的財産権を侵害してしまう可能性は否定できません。かかる場合のロイヤリティの支払や損害賠償請求等により、あるいは当社グループの知的財産が侵害された場合において、当社グループの事業、財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。

さらに、生成AIに関連する技術やサービスに関し、知的財産権の権利関係やいかなる場合に知的財産権の侵害となるかについて、国内外で議論途中であり、未だ統一的な法解釈が困難又は法的な整備が不十分な状態にあります。そこで、当社グループでは、生成AIにおける知的財産権に関する最新の議論を踏まえながら、ガイドライン等を策定し周知・教育に努めております。

しかしながら、生成AIに関連する技術やサービスの提供に際して、当社グループ又は当該技術・サービスの利用者が認識せずに第三者の知的財産権を侵害してしまう可能性は否定できず、かかる場合に、当社グループの事業、財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩ 法的規制

現在、当社グループが営むAI関連事業そのものを規制する法令はありませんが、当社グループがAI・生成AIを用いてコンテンツ及びサービスを展開する領域においては、医薬関連の「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」、採用関連の「職業安定法」や金融関連の「銀行法」(電子決済等代行業に対する規制)などの特定の事業に対する法的規制のほか、「不当景品類及び不当表示防止法」「特定商取引に関する法律」「個人情報の保護に関する法律」などの一般的な法的規制を受けております。

当社グループでは、これらの法令を遵守するために、コンプライアンス体制の整備等を含む管理体制充実に取り組んでおります。しかしながら、将来において、当社グループが提供するコンテンツ及びサービスが法的規制に抵触する可能性を完全に否定することはできません。

また、昨今AIに関する法規制が活発に議論される中、今後法的規制が変更されたり、AIに関する法令その他新たな法令等の制定や法解釈の変更がなされることにより、当社グループの事業が制約され、これらにより当社グループの事業、財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑪ AI倫理・AIガバナンス

当社グループは、人間の尊厳を守り、国際的に認められた人権を尊重し、持続可能ですべての人が希望を持てる社会を作るという基本的な価値観に従って、AIシステムを開発し運用しなければならないと認識しております。 

かかる認識の下、当社グループでは、AIシステムの開発や運用を行う事業者として基本的な行動規範となる「AI基本ポリシー」を策定しております。そして、「AI基本ポリシー」に基づき、G7広島サミットで提唱された「広島AIプロセス」や総務省及び経済産業省が策定した「AI事業者ガイドライン」をはじめとする指針やガイドラインに対応するため、「AI倫理ハンドブック」を策定し、当社グループ内に展開・運用しております。さらに、リスク管理委員会によって、当社グループの開発・提供するAIプロダクト・サービスの適切性についてレビューしております。

加えて、法律や公共政策、AI技術等の様々な分野の専門家による「AIの適切性に関する有識者委員会」を設立し、上記当社グループの取組みへの評価・助言を受けることによってその適切性を担保しております。

しかしながら、AI倫理やAIガバナンスを巡る社会的な要請は急速に変化しており、このような変化に当社グループが適応できない場合が生じる可能性があります。また、AIの出力について完全にコントロールすることは難しく、当社グループが開発・提供したAIプロダクト・サービスが意図せず社会規範・倫理を逸脱するような結果を引き起こす可能性も完全には否定できません。このような場合には、当社の社会的信用が低下し、ひいては当社グループの事業、財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑫ のれん及び顧客関連資産の減損リスク

当社グループは、企業買収の際に生じたのれん及び顧客関連資産を計上し、一定期間で償却を行っております。当該のれん及び顧客関連資産については将来の収益力を適切に反映しているものと判断しておりますが、事業環境の変化等により期待する成果が得られなかった場合には、当該のれん及び顧客関連資産について減損損失を計上し、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

⑬ 無形固定資産(ソフトウエア)の減損リスク

当社グループは、自社利用のソフトウエアのうち第三者提供目的(クラウドサービス)のソフトウエアについて、将来の収益獲得が確実と認められるものに限り無形固定資産として資産計上しており、一定期間で償却を行っております。

ソフトウエアの開発に際しては、市場環境等を慎重に見極めておりますが、市場や競合状況の急激な変化などにより、今後利用が見込めなくなった場合や、収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合には、除却あるいは減損の対象となる可能性があります。

このような場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(2) 経営管理体制に関するリスク

① 人材の採用及び育成

当社グループは、事業の拡大に伴い、積極的に優秀な機械学習領域等のアルゴリズムを開発するエンジニアや、自社サービスのインフラやアプリケーション等のソフトウエア開発を行うエンジニア、また顧客企業のデジタル・AI戦略やAIのビジネス活用を促す事業開発を担当する人材の採用・育成を進めております。しかしながら、事業規模の拡大に応じた当社グループ内における人材育成、外部からの優秀な人材の採用等が計画どおりに進まず、必要な人材を確保することができない場合には、当社グループの事業、財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。

 

② 特定の人物の影響力

当社グループの創業者である代表取締役社長春田真は、経営戦略、事業戦略等当社グループの業務に関して専門的な知識・技術を有し、重要な役割を果たしています。当社グループでは取締役会等において役員及び従業員への情報共有や権限移譲を進めるなど組織体制の強化を図りながら、経営体制の整備を進めており、経営に対するリスクを最小限にしております。しかしながら、春田が当社グループを退職した場合、当社グループの事業、財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。

 

③ 内部管理体制

当社グループは、企業価値の持続的な増大を図るために、コーポレート・ガバナンスが有効に機能するとともに、人材、資本、サービス、情報資産の適正かつ効率的な活用をすることが不可欠であるとの認識のもと、業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、さらに健全な倫理観に基づく法令遵守の徹底が必要と認識しております。そのためにも、当社グループでは内部管理体制の充実に努めております。しかしながら、今後の事業の急速な拡大等により、十分な内部管理体制の構築が追いつかない状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社グループの事業、財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。

 

④ コンプライアンス体制

当社グループは、企業価値の持続的な増大を図るために、コンプライアンス体制が有効に機能することが重要であると考えており、コンプライアンスに関する社内規程を策定するとともに、役員及び従業員を対象として社内研修を実施し、コンプライアンスの重要性の周知徹底を図っております。しかしながら、これらの取組みにもかかわらずコンプライアンス上のリスクを完全に解消することは困難であり、今後の当社グループの事業運営に関して法令等に抵触する事態が発生した場合、当社グループの事業、財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。

 

 

⑤ 情報管理

当社グループのAIが学習対象とする情報の中には、顧客の経営戦略上極めて重要かつ機密性が高い情報が含まれる場合があります。また、当社グループが提供するサービスでは、ユーザーの個人情報及びユーザーが保有する第三者の個人情報を取り扱っております。これらの情報の取扱いについては、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)認証を取得し、情報管理に関する諸規程の整備及び適切な運用に努めておりますが、従業員及び委託先関係者の故意・過失、事故、災害、悪意をもった第三者による不正アクセス、その他予期せぬ要因等により情報の漏洩、不正使用又は不適切な取扱が発生した場合、損害賠償責任やセキュリティシステム改修のための多額の費用負担を負う可能性及び当局による行政処分等の対象となる可能性があるほか、顧客からの信用を失うことにより取引関係が悪化する可能性があり、当社グループの事業、財政状態及び業績に重大な影響を与える可能性があります。

 

⑥ 損失の継続計上及び営業活動によるキャッシュ・フローのマイナス計上

当社グループは、AIプロダクト事業への先行投資により、2024年3月期まで連続した親会社株主に帰属する当期純損失を計上しております。これは、組織拡大による人員増に伴う採用費や新規サービス開発のためのシステム投資や人件費が先行して発生していること等によるものです。

一方で、AIプラットフォーム事業については黒字を計上し、着実に収益力を高めております。経営戦略上も、今後のAIプラットフォーム事業では黒字の継続及び収益性が改善すること、及びAIプロダクト事業では積極的な事業投資により売上高の成長と収益性の改善が進むことを前提としております。

しかしながら、今後売上成長のための先行投資が想定以上に発生する場合や、売上成長が想定通りに達成できなかった場合、投資した金額が回収できない等により当社グループの業績及び資金繰りに影響を与える可能性があります。

 

(3) その他のリスク

① 大規模な自然災害等

当社グループは、有事に備えた危機管理体制の整備に努め対策を講じていますが、台風、地震、津波、感染症等の自然災害等が想定を大きく上回る規模で発生した場合、当社グループ又は当社グループの取引先の事業活動に影響を及ぼし、当社グループの事業、財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。

 

② 訴訟等

現時点において、当社グループにおいて係属中の訴訟はありません。しかしながら、将来において当社の取締役、従業員の法令違反等の有無にかかわらず、予期せぬトラブルや訴訟等が発生する可能性は否定できません。かかる訴訟が発生した場合には、その内容や金額によって、当社グループの業績、財政状態及び事業展開に影響を与える可能性があります。

 

③ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化

当社では、当社グループの役員及び従業員に対するインセンティブを目的とし、新株予約権を付与しており、2024年3月末における発行済株式総数に対する潜在株式数の割合は5.9%となっております。これらの新株予約権が行使された場合には、当社の株式が発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。

 

④ 配当政策

当社は株主に対する利益還元を重要な経営課題として認識しています。しかしながら、当社グループは現在、成長過程にあると考えており、将来の事業展開及び経営体質の強化のための投資等に充当し、より一層の事業拡大を目指すことが、株主に対する最大の利益還元につながると考えております。将来的には、収益力の強化や事業基盤の整備を実施しつつ、内部留保の充実状況及び当社グループを取り巻く事業環境を勘案したうえで、株主に対して安定的かつ継続的な利益還元を実施する方針ですが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定です。

 

 

⑤ 資金使途

上場時に実施した公募増資による調達資金については、プロダクト開発投資、採用費、マーケティング費用、借入金の返済、運転資金及び研究開発費に充当する予定です。

しかしながら、急激に変化する事業環境により柔軟に対応するため、現時点における計画以外の使途にも充当される可能性があります。また、計画に沿って資金を使用した場合でも想定通りの投資効果を上げられない場合、当社グループの経営成績並びに財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 繰越欠損金

当社グループは、税務上の繰越欠損金を有しております。これは法人税負担の軽減効果があり、今後当該繰越欠損金の繰越期間の使用制限範囲内において納税額の減少をさせることにより、キャッシュ・フロー改善に寄与することが見込まれます。

しかしながら、当社グループの業績が順調に推移することで繰越欠損金を上回る課税所得が発生した場合、及び当社グループの業績の下振れ等により繰越期限の失効する繰越欠損金が発生した場合は、課税所得からの控除が受けられなくなり、通常の税率にもとづく法人税等の納税負担が発生することで、当社グループの業績及び資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 当社設立からの経過年数

当社は2016年2月に設立された社歴の浅い企業となります。当社グループは現在成長過程にあると認識しており、今後も積極的な成長投資が必要となるため、その投資のタイミングや成果によっては一時的に損益が悪化する可能性があります。また当社グループはIR・広報活動などを通じて経営状態を積極的に開示していく方針ですが、当社の過年度の経営成績は期間業績比較を行うための十分な分析材料とはならず、このため今後の業績等の将来的な予測における基礎情報としては不十分である可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

(経営成績)

売上高

当連結会計年度における売上高は8,384百万円(前期比+50.0%)となりました。これは主に、子会社化した株式会社スタジアムの業績を第2四半期連結会計期間から取り込みを開始したこと、AIプロダクト事業及びAIプラットフォーム事業において、当社プロダクト・サービスの利用数が増加したことによるものです。

 

売上原価、売上総利益

当連結会計年度における売上原価は3,696百万円(前期比+50.5%)となりました。これは主に、売上原価となる人件費等、システム利用料及びソフトウエアの減価償却費が増加したことによるものです。

以上の結果、当連結会計年度の売上総利益は4,688百万円(前期比+49.5%)、売上総利益率は55.9%となりました。

 

販売費及び一般管理費、営業損益

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は4,993百万円(前期比+42.1%)となりました。これは主に、販管費となる人件費等、システム利用料及び減価償却費が増加したことによるものです。

以上の結果、当連結会計年度の営業損失は305百万円(前年度は378百万円の営業損失)となりました。

 

営業外損益、経常損益

当連結会計年度の営業外収益は5百万円(前期比+45.3%)、営業外費用は30百万円(前期比+1,589.1%)となりました。

以上の結果、当連結会計年度の経常損失は330百万円(前年度は375百万円の経常損失)となりました。

 

特別損益、親会社株主に帰属する当期純損益

当連結会計年度の税金等調整前当期純損失は692百万円(前年度は88百万円の税金等調整前当期純損失)となりました。

特別利益として、当第4四半期連結会計期間に連結子会社である株式会社スタジアムの一部事業の譲渡により70百万円を計上しました。

特別損失として、減損損失の合計として382百万円計上しました。また、関係会社整理損として、52百万円計上しました。主には、第1四半期連結会計期間に当社の在外研究開発拠点を清算したことによるものです。

税効果会計の適用において将来減算一時差異等に対して追加的に繰延税金資産を計上したため、法人税等の合計として59百万円をマイナスに計上しました。

以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は、610百万円(前年度は141百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 

(セグメント業績)

セグメントごとの経営成績を示すと、次のとおりです。

なお、当連結会計年度において、「その他サービス事業」セグメントを新しい報告セグメントとしております。このセグメントには、株式会社スタジアムで事業を展開するSaaS商材/IT商材などの営業課題においてリソース提供を行う事業等が含まれております。

 

AIプロダクト事業

当連結会計年度においては、既存プロダクトの販売拡大に加え、AIプラットフォーム事業によって得られた知見をもとに、生成AI等の活用をはじめとした、企業の生産性向上に資するサービス開発に取り組んでまいりました。

DX AIプロダクト群では、企業・自治体向けDX人材育成「exaBase DXアセスメント&ラーニング」は、導入社数が2024年3月時点で1,467社となり、利用者数が20万人を突破するなど、好調に推移しました。「exaBase 生成AI」は導入社数が2024年3月時点で447社となり、好調に推移しました。

ソーシャルAIプロダクト群では、マーケティング活動による商談獲得が寄与し、「CareWiz トルト」を中心に好調に推移しました。

このような旺盛な需要に応えるために、新規プロダクトの開発に係る先行投資に伴い、売上原価・販管費ともに、人件費及び業務委託費が増加しました。販管費においては、マーケティング活動を一定行ったことで、広告宣伝費が増加しました。

この結果、売上高は1,639百万円(前期比+84.5%)、売上総利益は1,018百万円(前期比+176.9%)、売上総利益率は62.1%(前期比+20.7pt)、営業損失は34百万円(前年度は171百万円の営業損失)となりました。

 

AIプラットフォーム事業

当連結会計年度においては、引き続きAIプロジェクトによるイノベーション創出を多数の大手企業と取り組んでまいりました。AI・DX支援に関する企業の強いニーズも後押しとなり、新規顧客及び長期継続顧客(注)ともに売上高が増加しました。一方で、案件稼働にかかる業務委託費が増加し、当事業に係るソフトウエア資産に関連する減価償却費が増加しました。

この結果、売上高は5,363百万円(前期比+14.0%)、売上総利益は3,035百万円(前期比+9.7%)、売上総利益率は56.6%(前期比-2.3pt)、営業利益は1,609百万円(前期比+20.2%)、売上高に占める長期継続顧客売上の比率は69.4%となりました。

 

(注) AIプラットフォーム事業において、当社が4四半期以上連続で契約している顧客

 

その他サービス事業

当セグメントは、AIプロダクト事業及びAIプラットフォーム事業のモデルには現時点で該当しないサービス等から構成されます。第1四半期連結会計期間に子会社化した株式会社スタジアムの事業・業績などが含まれます。

当連結会計年度においては、PMIの一環として構造改革を進めた結果、株式会社スタジアムの一部事業を売却しました。今後も、既存の営業代行と親和性の高いSales Techサービスを加速させるべく、サービスポートフォリオの見直しを継続します。

この結果、売上高は1,382百万円、売上総利益は679百万円、売上総利益率は49.2%、営業利益は48百万円となりました。

 

(財政状態)

資産

当連結会計年度末における資産合計は9,931百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,991百万円増加いたしました。これは主に、株式会社スタジアムの株式取得に伴う取得原価配分により顧客関連資産が1,746百万円増加したことによるものであります。

 

負債

当連結会計年度末における負債合計は4,948百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,627百万円増加いたしました。これは主に、株式会社スタジアムの株式取得に伴い長期借入金が2,250百万円、繰延税金負債が443百万円増加したことによるものであります。

 

純資産

当連結会計年度末における純資産合計は4,983百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,635百万円減少いたしました。これは主に、自己株式取得等により1,169百万円、親会社株主に帰属する当期純損失610百万円を計上したことによるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1,741百万円減少し、3,489百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とその要因は以下のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは197百万円の支出(前連結会計年度は71百万円の収入)となりました。これは主に、減価償却費507百万円、減損損失382百万円、未払金及び未払費用の増加331百万円等の増加要因があった一方で、売上債権の増加652百万円、税金等調整前当期純損失692百万円等の減少要因があったものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは2,953百万円の支出(前連結会計年度は483百万円の支出)となりました。これは主に、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出1,870百万円、無形固定資産の取得による支出816百万円等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは1,409百万円の収入(前連結会計年度は105百万円の収入)となりました。これは主に、長期借入による収入2,700百万円等の増加があった一方、自己株式の取得による支出1,165百万円による減少等があったものです。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a 生産実績

当社グループが提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

b 受注実績

当社グループが提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

c 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

 至 2024年3月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

AIプロダクト事業

1,639

184.5

AIプラットフォーム事業

5,363

114.0

その他サービス事業

1,382

合計

8,384

150.0

 

(注) 1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

 至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

 至 2024年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

株式会社ビッグモーター

584

10.5

557

6.7

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものです。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える見積りを用いております。これらの見積りについては、連結財務諸表作成時に入手可能な情報及び合理的な基準に基づき判断しておりますが、見積りには不確実性を伴うため、実際の結果はこれらと異なることがあります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営成績、財政状態、キャッシュ・フローの分析については、前記「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりです。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社プロダクト・サービスを新規開発、拡大していくための開発人員及び営業人員の人件費・採用費及び顧客獲得のための広告宣伝費です。これらの資金需要に対しては、自己資金、金融機関からの借入、社債及びエクイティファイナンス等で調達していくことを基本方針としています。

 

④ 経営成績に重要な要因を与える要因について

経営成績、財政状態、キャッシュ・フローの分析については、前記「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりです。

 

⑤ 経営者の問題意識と今後の方針に関して

経営者の問題意識と今後の方針については、前記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

当連結会計年度において、新たに締結した重要な契約等は次のとおりであります。

 

(株式譲渡契約)

当社は、2023年6月30日開催の取締役会において、株式会社スタジアムの株式の100%を取得し、子会社化することを決議いたしました。当該決議に基づき同日付で株式譲渡契約を締結し、株式譲渡手続を完了しております。

当該株式取得の詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりです。

 

(新設分割計画)

当社は、2023年8月14日開催の取締役会において、当社の生成AI関連プロダクト等に関する事業の権利義務を、新設分割により新設する株式会社Exa Enterprise AIに承継することを決議し、2023年10月2日に設立手続を実施いたしました。

当該新設分割の詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりです。

 

(吸収分割契約)

当社は、2024年2月13日開催の取締役会において、2024年4月1日を効力発生日として、当社の健康・医療領域のマルチモーダルAIプロダクト・サービスに関する事業の権利義務を、当社が2024年2月1日に完全子会社として新設した会社に承継することを決議いたしました。

当該吸収分割の詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 結財務諸表等 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりです。

 

(吸収分割契約)

当社の連結子会社である株式会社スタジアムは、2024年2月14日開催の同社の取締役会において、2024年3月28日を効力発生日として、同社のインタビューメーカー事業の権利義務を、吸収分割により株式会社ZENKIGENに承継することを決議いたしました。

当該吸収分割の詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりです。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、AIによる社会課題の解決を目指して、AI技術を活用した各種のプロダクトの研究開発に取り組んでおります。研究体制はAIプラットフォーム事業部、AIプロダクト事業部及び技術統括部にて取り組んでおります。当連結会計年度において計上された研究開発費の総額は67百万円であり、全社共通部門での計上額0百万円を含んでおります。なお、セグメント別の詳細は以下のとおりです。

 

(1) AIプロダクト事業

主として既存プロダクトに関連する研究開発を行いました。当連結会計年度における研究開発費の金額は14百万円であります。

 

(2) AIプラットフォーム事業

主として医療・ヘルスケア分野の研究開発を行いました。当連結会計年度における研究開発費の金額は9百万円であります。

 

(3) その他サービス事業

主として既存プロダクトに関連する研究開発を行いました。当連結会計年度における研究開発費の金額は43百万円であります。