第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりである。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営理念

ミッション「イノベーションで世界中の人々にワクワクを」

私たちは、テクノロジーがパラダイムシフトを起こし、生活を豊かにする力を秘めていると考えています。私たちは、独自のテクノロジーでイノベーションを生み出し、世界中の人々がワクワクするようなサービスを提供していきます。

バリュー 自律し成長する-

メンバー自らの意志で能力を向上させ、個々の成長を促進することを重視します。

謙虚に学び続ける

いかなる状況でも学ぶ姿勢を持ち、自分の知識や技能を継続的に向上させていきます。

チャレンジし続ける

新しいことに積極的に取り組み、失敗を恐れずに挑戦を続けます。

ワクワクを発見する

仕事の中で面白い発見やアイデアを見つけ出し、楽しみながら働くことを大切にします。

顧客視点で感動を提供する

顧客の立場に立って考え、感動的な体験を提供することを目指します。

スピーディーに対応する

迅速に問題解決を行い、顧客やチームに貢献します。

仲間と共に築く

メンバーと協力し合いながら目標に向かって進んでいきます。

 

(2)経営戦略等

当社は、インターネット広告分野に軸足をおき、情報を集め、分析・蓄積し、付加価値をつけることをテクノロジーで実現することにより、「嫌われない広告」を社会に普及していくことが可能であると考えております。そのため、当社の現在の主たる事業はネイティブ広告プラットフォーム事業でありますが、これまでネイティブ広告市場の立ち上がり時期から今日に至るまで、一貫して市場の健全な成長と当社製品である「LOGLY lift」の競争力強化に積極的に投資を行い、市場からの認知並びに評価の獲得に努めてまいりました。今後においても継続して「LOGLY lift」に経営資源を投下し、人工知能などの最先端技術を採り入れた技術強化を追求するなど、積極的に事業領域の拡大を図ってまいります。

具体的な経営戦略として、当社の主要サービスであるネイティブ広告配信サービス「LOGLY lift」を活用し、広告主と媒体社の双方にこれまで以上に高付加価値なサービスを提供することができ、当社との安定的な取引を実現します。また、ユーザーに対してはネイティブ広告という「デザイン、内容、フォーマットが媒体コンテンツの形式や機能と同様でそれらと一体化している広告」を表示することで、媒体社のWEBサイトの視聴を妨げずに広告配信を実現しております。これにより、企業(広告主と媒体社)とユーザー双方にとってメリットのあるサービスに取り組んでおります。今後も当社では引き続きこの取り組みを継続していきます。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は、より高い成長性及び収益性を確保する視点から、売上高成長率及び売上高総利益率を重要な経営指標と捉えております。

 

(4)経営環境

当社の事業が属するインターネット広告市場は、前年比107.8%の3兆3,330億円となりました。(出典:株式会社電通「2023年 日本の広告費」による)。社会全体の一層のデジタルによるインターネット広告やデジタルプロモーション拡大などに寄与したものと考えられます

その一方でインターネット広告市場内部においては多様化が進んでおり、これまでの広告の概念を超えたデジタルマーケティングやデータ分析による広告効果最適化などの領域においてもその需要が拡大しています。また、個人情報保護の高まりによりcookie規制の取り組みが進められるなど、インターネット広告業界全体に高いコンプライアンス意識がこれまで以上に求められるようになっております。 そのような状況下で、システムエンジニアを始めとする人材が獲得しづらくなっている環境が続いております。

 

(5)事業上及び財務上の対処すべき課題

①既存事業の収益の拡大

 当社は、「LOGLY lift」によるネイティブ広告プラットフォームを主力の事業としておりますが、この事業の安定的・継続的な発展が収益基盤の基礎として必要不可欠なものであると考えております。

そのために当社では以下の項目を重点課題と認識して、取り組んでまいります。

 

(ⅰ)当社の主な売上は広告単価×クリック数で構成されております。そのため、当社のエンジニア人材によるビッグデータ解析のアルゴリズム(計算手順)開発、改善を図り、その成果(広告とメディアとクリック数の相関の統計結果など)を広告配信効果(クリック率など)向上に直結させて、広告単価とクリック数の向上を行ってまいります。

(ⅱ)競争が激化するインターネット広告市場において持続的な広告予算と広告枠の獲得のため、事業部門組織を機能別に再構築し、目的を明確化することで、ベクトルの方向を全社統一しております。それにより、広告主及び媒体社の新規獲得を加速化すると同時に、長期安定的な関係を築いてまいります。

(ⅲ)cookie規制を巡る市場の環境変化に対応するためには、広告のユーザーターゲティングの手法の変化が求められます。当社の強みでもあるcookieを利用しない新たなターゲティング手法の市場での認知を向上させるよう、継続的に配信成果の向上を行い、顧客の求める新しいニーズ(cookieを利用しないユーザーターゲティング)に取り組んでまいります。

 

 以上の取り組み事項を実現させることで、今後も広告主の新規顧客獲得ニーズと媒体社の新規読者獲得ニーズ及び固定読者継続ニーズを満足させるネイティブ広告プラットフォームを提供し、さらに信頼性を高め、既存事業の収益基盤の拡大を行ってまいります。

 

②新規事業への取組み

 ユーザー分析DMP「Juicer」や、マーケティングサービスのOPTIOを活用し、オムニチャネル広告プラットフォームへとサービスを発展させる方針です。また、LOGLY liftのプログラマティックによるアドプラットフォーム化を新しい取り組みとして実施しております。

 引き続き主力事業であるLOGLY lift事業のアドネットワークからアドプラットフォームへ移行し、ネイティブ広告に限定せず様々な広告配信フォーマットに拡大することを目指す戦略を行ってまいります。2024年3月期において、インテントデータプラットフォームであるLOGLY Sphereの開発や、成果報酬型インフルエンサーマーケティング支援サービス「バズリスタ」の提供等、新しい取り組みも行っておりますが、LOGLY liftのプログラマティックによるアドプラットフォーム化を新しい取り組みとして実施し、オムニチャネル広告プラットフォームとともに3.0兆円といわれるインターネット広告市場全体をカバーし、今後の当社の成長を支える収益の柱として確立すべく、市場シェア拡大に取り組んでまいります。

 

③インターネットプライバシー保護への対応

 インターネットプライバシー保護の高まりに合わせて、cookie等の取扱いを巡る技術環境が変化しております。当社ではその課題への対応技術をすでに開発しておりますが、さらに、Google, Inc.等インターネット事業者の動向を把握し、その技術情報をいち早く入手すると同時に、適応するための独自の技術を開発することで、自社サービスの先進性やユニーク性を確保してまいります。

 

④高い専門性を有する人材の確保

 当社の継続的な事業拡大には、当社の経営理念に合致した志向性を持ち、かつビッグデータ解析のアルゴリズムを開発できる工学博士クラスの高い専門性を有する人材の確保と育成が重要であると認識しております。特にエンジニアやデータ・サイエンティストなどのスタッフの採用においては、獲得競争が激化し、今後も人材確保には厳しい状況が続くものと予想されます。当社では、採用方法の多様化をはじめ、教育や人材育成制度の確立などにより、人材の採用から定着に至るまでの体制整備を進めてまいります。

 

⑤高まるインターネット広告市場に対する広告健全化へ向けた対応

 当社の属するインターネット広告市場において事業者を規制対象とした法令や行政指導、その他の規制等が制定された場合には当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。2021年8月に「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(薬機法)の改正が施行されるにあたり、当社はその施行前に課題の解決を完了いたしましたが、その施行後もますます健全化が求められております。当社では引き続き、ネイティブ広告配信サービスを提供する際に、「不当景品類及び不当表示防止法」(景品表示法)等の法律の他、一般社団法人日本インタラクティブ広告協会(JIAA)が定める「インターネット広告倫理綱領及び掲載基準ガイドライン」、当社独自の基準である「広告コンプライアンス基準」、「LOGLY広告掲載基準」等に則って審査をすることにより、法令や公序良俗に反する広告を排除するよう取り組んでまいります。

 

⑥内部管理体制の強化

 当社は、今後も事業拡大を見込んでおり、内部管理体制の強化が不可欠であると認識しております。引き続き、会計監査人、監査等委員会及び内部統制責任者(担当取締役)との三様監査を通じて、コーポレート・ガバナンスの充実を実現してまいります。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 文中の将来に関する事項は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実績の結果とは様々な原因により大きく異なる可能性があります。

 

(1)ガバナンス

 国際情勢や社会環境が大きく変化し、これまでにも増してESGの取り組みに対する意識が高まり、当社グループを取り巻く環境も変化しております。このような急速に変化し続ける環境の変化に対応するために、取締役会においてリスクや機会を含むESGに関する監督責任を持ち、管掌取締役及び配下の各組織体が業務執行を担っております。

 

(2)戦略

 当社グループのビジネスは、組織力向上のための適切な人員配置を行う事に加えて、個人として主体的・自律的なキャリア形成を支援することで、グループの組織力向上に貢献する人材を育成します。また、当社は社員が仕事に取組む際の環境に配慮し、リモートワークや時短勤務など、柔軟な勤務制度を導入しております。

 当社グループは管理職候補者輩出のための研修を実践しながら、人材育成を進め、女性管理職の登用を継続的に行ってまいります。また、経営メッセージの伝達や組織力に寄与した社員を、毎年度、部門や個人の業績・功績を考慮し、表彰することで、継続的に社員のモチベーションを高め、組織の活性化につながる制度運営をおこなっております。

 

(3)リスク管理

 当社グループの経営に関する様々なリスクを審議するために、主要なリスクの状況については、取締役会においてモニタリング・評価・分析を行い、各組織体に対して必要な指示、監督等を行うとともに、その結果に対する報告も取締役会において審議される体制を整えております。

 

(4)指標及び目標

 社員が働きやすい環境を実現し、また二酸化炭素排出量の削減を進めるために、オフィス勤務の効率的な仕組みを整えてまいります。さらに、女性活躍推進法又は育児・介護休業法に基づき、「女性管理職比率」、「男性の育児休業等取得率」及び「男女間賃金格差」に関して、当会計年度の数値を上回るように推進してまいります。

提出会社

管理職に占める女性労働者の割合

男性の育児休業等取得率

男女の賃金の格差

全労働者

うち正規雇用労働者

うちパート・有期労働者

提出会社

14.3%

100%

65.7%

68.0%

(注)連結子会社であるmoto株式会社は従業員を雇用しておりません。

3【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に影響を及ぼす可能性のある事項は、以下のようなものがあります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避、発生した場合の対応に努める方針であります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性のある全てのリスクを網羅したものではありません。

 

(1)インターネット広告市場について

日本の総広告費は2023年には、前年比103.3%の7兆3,167億円となり、過去最高となりました。当社の事業が属するインターネット広告市場は、前年比107.8%の3兆3,330億円となり、マスコミ四媒体広告費の総計2兆3,161億円を大きく上回りました。なお、「運用型広告」は、前年比110.9%の2兆3,490億円となり、インターネット広告費が総広告費全体をけん引する結果となっております(出典:株式会社電通「2023年 日本の広告費」による)。

このようにインターネット広告市場は拡大しておりますが、インターネット広告市場の環境整備や新たな法的規制の導入等、何らかの要因によってインターネット広告市場の発展が阻害される場合には、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また当社は、ネイティブ広告プラットフォーム事業を展開しておりますが、インターネット広告市場においては、広告配信手法や販売メニューが多様化し、競争が激化する傾向にあり、インターネット広告において革新的な販売メニューや広告配信技術が出現した場合、ネイティブ広告への需要が縮小することにより、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)競合サービスについて

当社は、インターネット広告市場の中の、ネイティブ広告市場を主たる事業領域としておりますが、当該市場の成長速度が鈍化する傾向にあります。今後、当社サービスが十分な差別化や機能向上等ができなかった場合や、更なる新規参入により競争が激化した場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)広告テクノロジー業界における技術革新について

当社は、ビッグデータ解析技術を基盤としたネイティブ広告プラットフォーム事業を展開しております。このため、新しい技術習得に対し人的・資本的投資を継続してまいりますが、新たな技術やサービスへの対応が遅れた場合や、競合する他社において革新的な技術が開発された場合、当社の競争力が低下する要因となり、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)特定事業への依存について

当社の収益は、ネイティブ広告プラットフォーム「LOGLY lift」によるネイティブ広告配信サービスに依存しております。ネイティブ広告配信サービスの成長に何らかの問題が生じた場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)広告事業の季節変動について

当社グループのネイティブ広告配信サービスは広告主の広告予算の範囲内で提供するサービスとなるため、広告予算の月ごとの配分の影響を受けます。広告主の広告予算は、年度の後半、特に年度末に多額に配分されることが多く、当社の売上高及び営業利益は下期に偏重する傾向があります。そのため、売上高及び営業利益の数値が下期に偏重することにより、業績変動の幅が下期の方が大きくなります。すなわち年度予算・実績の乖離が下期に集中して発生するリスクがあります。

 

(6)災害・事故等の発生について

広告主の広告宣伝活動は、自然災害、大規模な事故、電力その他の社会インフラの障害等が発生した場合、その影響を受けやすい傾向にあります。従って、これらの災害・事故等が発生した場合、広告需要減退等により当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)仕入先の依存度について

当社の広告在庫仕入先は広範囲にわたっておりますが、2024年3月期の仕入高(1,211,593千円)の22.6%(274,146千円)が株式会社スポーツニッポン新聞社と株式会社マイクロアドとなっております。本書提出日現在において当社では両社との良好な関係を保持しているものと認識しておりますが、今後両社で取り扱う広告枠在庫の変化や取引方針の変更等により、両社からの広告枠在庫仕入が大きく減少した場合には、当社の事業展開に変化が生じ、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)特定人物への依存について

当社の代表取締役である、吉永浩和(以下、「同氏」という。)は、インターネット広告業界に関する知識と経験を有しているだけでなく、早稲田大学大学院情報生産システム研究科博士課程 博士号(工学)を取得するなど、情報システムのエンジニアとしても技術力を保有しております。

同氏は大学院で情報通信ネットワークおよび分散システム(別々の複数コンピュータを接続し、相互に処理を連携・分担すること)を主な研究領域とし、また、クラウドコンピューティングの基礎構築に関わり、アプリケーションとしてテキスト処理技術やレコメンド技術を開発しました。(テキスト処理技術とレコメンド技術は、まとまった文章を文脈解析しそこから主題を見つけ出す技術で、他の文章との関連性を導くものです。当社の現在のサービス「LOGLY lift」に利用されています。)

そのため、当社の経営戦略の構築等に際して重要な役割を担っております。当社は、特定の人物に依存しない体制を構築すべく経営体制の強化を図り、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により同氏の当社における業務執行が困難になった場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)当社の組織の規模について

当社の従業員数は42名(2024年3月31日現在)であり、小規模な組織として事業運営を行っております。そのため、今後、事業拡大に応じた人員増強や能力開発、内部管理体制の強化を図り、より一層のコーポレート・ガバナンスの充実に努める方針でありますが、事業の拡大に応じた人員確保が順調に進まなかった場合には、適切な事業運営が困難となり、当社の事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)法的規制について

現時点において、当社の主力事業であるネイティブ広告プラットフォーム事業に関連して、事業継続に重要な影響を及ぼす法的規制はないものと認識しております。しかしながら、当社の属するインターネット広告市場を含めインターネットの利用者や事業者を規制対象とする法令や行政指導、その他の規制等が制定された場合には当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)広告及びメディアに対する審査について

当社では広告主による広告(提供物・サービスそのものだけでなく広告宣伝の文言を含みます。)、メディア(広告媒体)について、法令に則ったものであること、公序良俗に反しないものであることが重要であると考えております。

このため当社では、ネイティブ広告配信サービスを提供する際に、「不当景品類及び不当表示防止法」(景品表示法)、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(薬機法)等の法律の他、一般社団法人日本インタラクティブ広告協会(JIAA)が定める「インターネット広告倫理綱領及び掲載基準ガイドライン」、当社独自の基準である「広告コンプライアンス基準」、「LOGLY広告掲載基準」等に則って審査をすることにより、法令や公序良俗に反する広告やメディアに掲載されているコンテンツを排除するよう管理をし、広告健全化に取り組んでおります。しかしながら、当社が取り扱う広告や掲載メディアが法令や公序良俗に反し、当社が通告したにも関わらず、速やかに改善がなされないなどの事態が頻繁に発生した場合や、関係法規の規制内容が強化された場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)システムの安定性について

当社のサービスは24時間稼働での運用を前提に提供されております。従ってシステムに障害が発生することはサービスの停止を意味するため、システムの安定性、安全性には細心の注意を払っております。また、インプレッション数(広告の表示回数)の増加を考慮したサーバー設備の強化や、負荷分散を施すための冗長構成を実現しております。

当社はAmazon Web Services,Inc.が提供するクラウドコンピューティングサービス「Amazon Web Services(AWS)」を利用し、大量のデータを安全かつ迅速に処理することができ、かつ一時的な過負荷や部分停止にもトラブルを回避できるようなサーバー構成を施しております。

しかしながら、災害のほか、コンピュータウイルスやハッキングなどの外的攻撃やソフトウェアの不具合、その他予測できない重大な事象の発生により、万一当社設備やネットワークが利用できなくなった場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)配当政策について

当社は、株主に対する利益還元を経営の重要課題の一つとして位置付けておりますが、財務体質の強化に加えて事業拡大のための内部留保の充実等を図り、収益基盤の多様化や収益力強化のための投資に充当することが株主に対する最大の利益還元につながることと考えております。

このことから創業以来配当は実施しておらず、今後においても当面は内部留保の充実を図る方針であります。

内部留保資金については、財務体質の強化と人員の拡充・育成をはじめとした収益基盤の多様化や収益力強化のための投資に活用する方針であります。

将来的には、収益力の強化や事業基盤の整備を実施しつつ、内部留保の充実状況及び企業を取り巻く事業環境を勘案したうえで、株主に対して安定的かつ継続的な利益還元を実施する方針でありますが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。

 

(14)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

当社では、株主価値の向上を意識した経営の推進を図るとともに、役員及び従業員の業績向上に対する意欲や士気を一層高めることを目的として、当社の役員及び従業員に対して新株予約権を付与しております。

本書提出日現在における新株予約権による潜在株式数は301,800株であり、発行済株式総数3,803,000株の7.9%に相当します。

これらの新株予約権が行使された場合には、当社の1株当たりの株式価値が希薄化し、当社の株価に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

①経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、輸出関連を中心に企業業績は好調に推移し、全般的に回復基調にありました。しかしながら物価上昇傾向が顕著になるなど、依然としてこの先の景況感は不透明な状況が続いております。

他方、日本の総広告費は2023年には、前年比103.3%の7兆3,167億円となり過去最高となりました。当社の事業が属するインターネット広告市場は、前年比107.8%の3兆3,330億円となり、マスコミ四媒体広告費の総計2兆3,161億円を大きく上回りました。なお、「運用型広告」は、前年比110.9%の2兆3,490億円となり、インターネット広告費が総広告費全体をけん引する結果となっております(出典:株式会社電通「2023年 日本の広告費」による)。

その背景として、社会全体の一層のデジタル化によるインターネット広告やデジタルプロモーションの拡大などが成長に寄与したものと考えられます。

その一方で、インターネット広告市場内部においては多様化が進んでおり、これまでの広告の概念を超えたデジタルマーケティングやデータ分析による広告効果最適化などの領域においてもその需要が拡大しています。また、個人情報保護の高まりによりcookie規制の取り組みが進められるなど、インターネット広告業界全体に高いコンプライアンス意識がこれまで以上に求められるようになっております。

このような状況の中、当社はネイティブ広告プラットフォーム「LOGLY lift」を軸に、広告主(代理店を含む)の広告効果最大化や媒体社(以下メディアの満足度向上を実現することにより業績拡大を目指しました。

LOGLY liftのポートフォリオ戦略をさらに強化し、かつメディアとの関係を強化したため取り扱う広告が多分野に拡大し、特定分野への依存度が軽減されましたが、広告受注が減少する結果となりました。

その結果、当連結会計年度の売上高は2,054,553千円(前年同期2,690,664千円)となりました。また経常損失は2,351千円(前年同期経常利益131,384千円)、親会社株主に帰属する当期純損失は46,977千円(前年同期当期純利益126,431千円)となりました。

 

②財政状態の状況

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産は、1,280,526千円となり、前連結会計年度末より374,317千円減少しました。これは主に現金及び預金が311,375千円、売掛金が21,526千円減少したことによるものであります。

 

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産は202,237千円となり、前連結会計年度末より34,722千円減少しました。これは主に建物が32,286千円、建物減価償却累計額が10,505千円、長期前払費用が11,348千円、繰延税金資産が14,530千円減少した一方、ソフトウエア仮勘定が10,488千円増加したことによるものであります。

 

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債は641,711千円となり、前連結会計年度末より271,322千円減少しました。これは主に買掛金が128,830千円、1年以内返済予定の長期借入金が44,322千円、短期借入金が50,000千円、未払法人税等が6,920千円、未払消費税が15,413千円、前受金が24,847千円減少したことによるものであります。

 

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債は164,116千円となり、前連結会計年度末より198,933千円減少しました。これは主に長期借入金が199,858千円減少したことによるものであります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は、676,936千円となり、前連結会計年度末より61,215千円増加しました。これは主に、利益剰余金が67,295千円、自己株式が126,866千円減少したことによるものであります。

 

 

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金同等物(以下「資金」という)の残高は、1,009,597千円となり、前連結会計年度より311,375千円減少しました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動の結果支出した資金は115,041千円となりました。これは主に、売上債権の減少22,606千円、仕入債務の減少128,830千円、前受金の減少24,847千円、減損損失20,865千円があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動の結果支出した資金は11,134千円となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出10,488千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動の結果支出した資金は、187,631千円となりました。これは、短期借入による収入50,000千円、短期借入金の返済による支出100,000千円、長期借入金の返済による支出244,180千円、自己株式の売却による収入106,548千円によるものであります。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

b.受注実績

当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

c.販売実績

当社の販売実績は、次のとおりであります。

なお、当社はネイティブ広告プラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

ネイティブ広告プラットフォーム事業

2,054,553

76.4

合計

2,054,553

76.4

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 

a.関係会社株式(moto株式会社)

当社グループは、取得した関係会社株式の評価額について、被取得会社の成果件数(転職サイトの登録件数)等を基礎とした将来期待されるキャッシュ・フローを現在価値に割引いて算出しております。事業計画等は、経営者の判断及び見積りの不確実性を伴うものであり、見積りの前提や仮定に変更が生じた場合、関係会社株式の評価の判断に影響を及ぼす可能性があります。

 

b.固定資産の減損

当社グループは、固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しております。従って、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、新たに減損損失が発生する可能性があります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1)財政状態

財政状態状況とそれらの要因については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

2)経営成績

(売上高)

売上高は、2,054,553千円となりました。これは主に、広告単価が想定よりも下落し、imp数も想定以上に低下したため、「LOGLY lift」での広告収入が減退したことによるものであります。

 

(売上原価及び売上総利益)

売上原価は、1,614,074千円となりました。これは主に、「LOGLY lift」の広告配信に対応する広告枠の仕入の増減によるものであります。この結果、売上総利益440,479千円となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益、経常利益)

販売費及び一般管理費は、442,716千円となりました。これは主に、人員減少に伴う人件費の減少、広告宣伝の抑制による広告宣伝費の減少によるものであります。この結果、営業損失は2,236千円となりました。

営業外収益は、主に受取手数料2,442千円と受取和解金2,800千円により10,927千円となりました。

営業外費用は、主に支払利息2,134千円と投資事業組合運用損2,187千円と消費税差額5,425千円により11,042千円となりました。この結果、経常損失は2,351千円となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

税金等調整前当期損失23,143千円となりました。法人税、住民税及び事業税を12,045千円、法人税等調整額を14,530千円計上し、この結果、親会社株主に帰属する当期純損失は46,977千円となりました。

 

3)キャッシュ・フローの状況

各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社の経営成績に影響を与える大きな要因は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

c.資本の財源及び資金の流動性

資金需要

当社の事業活動における運転資金需要の主なものは、媒体社へ支払う仕入額と、従業員に支払う給与、そして本社維持費の地代家賃となっております。

 

財務政策

当社の事業活動の維持拡大に必要な資金を適宜市場または金融機関より調達を行い、獲得した資金を調達目的の達成を通じて当社の成長性向上に活かしていきます。

 

5【経営上の重要な契約等】

(多額の資金の借入及びコミットメントライン契約の締結)

(1)資金の借入及びコミットメントライン契約の目的

当社は、従来からの事業分野の成長のみならず、新規事業の開発・M&Aの検討も含め、機動的な調達資金を可能とすることで、当社の成長に伴い生じている必要運転資金を確保するとともに、事業拡大の推進等の際の手元資金をまかない、財務的基盤のより一層の安定を図ることを目的としております。

 

(2)借入の概要

契約締結先

株式会社みずほ銀行

契約金額

220,000千円

契約締結日

2019年9月26日

借入金利

変動金利

担保の状況

無担保

 

契約締結先

株式会社りそな銀行

契約金額

100,000千円

契約締結日

2019年9月30日

借入金利

変動金利

担保の状況

無担保

 

契約締結先

株式会社三井住友銀行

契約金額

200,000千円

契約締結日

2019年9月30日

借入金利

変動金利

担保の状況

moto株式会社の全株式

 

契約締結先

株式会社みずほ銀行

契約金額

280,000千円

契約締結日

2021年4月30日

借入金利

変動金利

担保の状況

無担保

 

契約締結先

株式会社三井住友銀行

契約金額

420,000千円

契約締結日

2021年4月30日

借入金利

変動金利

担保の状況

moto株式会社の全株式

 

 

 

契約締結先

株式会社三菱UFJ銀行

契約金額

50,000千円

契約締結日

2021年5月12日

借入金利

変動金利

担保の状況

無担保

 

(3)コミットメントラインの概要

契約締結先

株式会社りそな銀行

契約金額

100,000千円

契約締結日

2023年9月30日

コミットメント期間

2023年9月30日~2024年9月30日

契約形態

相対型コミットメントライン

担保の状況

無担保

コミットメントライン契約についての財務制限条項

・本契約締結日以降の決算期(第2四半期を含まない。)の末日における単体の貸借対照表における純資産の部(資本の部〉の金額を、前年同期比75%以上に維持すること。

・本契約締結日以降の決算期(第2四半期を含まない。)における単体の損益計算書に示される経常損益を損失とならないようにすること。

 

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。