当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。
(1)開発力の強化
近年の競争が激しい国内外の市場環境に対応するためには、より迅速且つ高度な製品開発が求められております。この課題に対処するため、当社では、基礎研究及びコア技術開発の環境が整備された技術センターの活用により、高度な研究開発を推進してまいります。さらに継続して産官学連携共同研究等を推進し「オンリーワン製品」の開発をすすめてまいります。
また、プロダクトアウト製品等の研究開発強化のため、2025年3月期より、従前技術本部内にあった開発部門を分離・独立させ、開発本部を新設いたします。
(2)ソリューションビジネスの再定義
製品開発力の強化とともに刻々と変化する顧客ニーズを的確に捉え、迅速に対応するために、営業とメンテナンスで個々に保有していた顧客情報を統合し、これまでも様々なソリューションを提供してまいりましたが、社内に存在する技術やサービスをまだ完全には活かしきれてはいないものと認識しております。更なる課題解決提案に向け、社内情報を整理するとともに、よりお客様の「かゆいところに手が届く」よう製品・サービスの方向性を明確化し、CS向上に繋げてまいります。これらソリューションビジネスを、より一層強化・推進することにより、競合との差別化を図り、「ソリューションカンパニー」として世界全市場の顧客から信頼を勝ち取ってまいります。
(3)海外事業の拡大
更なる海外需要獲得のため、当社の海外販売網を活用し、顧客ニーズに的確に応えられる体制の強化を図るとともに、海外への製品供給を円滑に行うため海外調達及び生産を推進し、全体的な海外事業の拡大を図ってまいります。更に、当社グループの持続的発展のためには、グループ全体としてのシナジー創出が求められております。海外子会社の利点を最大限活用し、更なるCS向上に繋げてまいります。
(4)強化市場への優先的な経営資源の投入
事業の継続的な成長のために強化市場への優先的な経営資源の投入は不可欠であると考えております。当社グループでは、半導体・液晶市場、水処理市場、医療機器市場、新エネルギー市場を強化市場と位置付けており、優先的に経営資源を投入してまいります。強化市場については、市場環境・経済環境の変化や当社グループの状況なども踏まえ総合的に判断したうえで、適宜見直しを図ってまいります。
(5)サステナビリティの観点を踏まえた次期長期ビジョンの策定
2015年に策定しました「イワキグループ10年ビジョン(以下、10年ビジョン)」は、2025年3月期に最終年度を迎えます。これまで取り組みを進めてきましたCS向上や生産体制の再構築、不具合の撲滅、グループ会社との連携による海外事業の拡大等の結果、10年ビジョン定量目標である、「2025年3月期連結売上高400億円、営業利益率10%」は1年前倒しでの達成となりました。
これまで「常に最前線で産業を支え、社会の発展と人々の幸福に寄与する。」の経営理念のもと、産業界に幅広くケミカルポンプ・流体制御機器を提供し続けることで社会に価値を提供してまいりましたが、変化の激しいこれからの時代においても、社会に価値を提供し続けていく為には、サステナビリティの観点が不可欠となります。10年ビジョン最終年度においては、サステナビリティの観点を踏まえた次期ビジョンの策定・公表に向けた対応を進めてまいります。
「常に最前線で産業を支え、社会の発展と人々の幸福に寄与する。」という当社の経営理念を実現し、価値ある製品と価値あるサービスを提供する「ソリューションカンパニー」として、世界全市場の顧客から信頼を勝ち取るため、「ありたい姿」「経営姿勢」「行動姿勢」の行動指針を定めて取り組んでおります。
また、当社グループでは「ポンプという製品をお客様に提供しているのではなく、ポンプという製品を用いて『薬液を移送する』という機能を提供している」という共通認識の下、すべての従業員がお客様との接点であると考え、従業員一人ひとりの能力や意識を高めることに努め、「顧客対応能力の向上」、「企業品質の向上」、「安定的な収益体制の構築」、「コンプライアンス経営の推進」の四つの基本方針を基に、持続的な業績の向上を目指してまいります。
加えて、10年ビジョンの定量目標であります「2025年3月期連結売上高400億円、営業利益率10%」の達成に向け、売上高前年比増加、営業利益率の改善を重要な指標と位置付けております。
当連結会計年度における「売上高」は44,539百万円、前年比6,808百万円増加(前年比18.0%増)、「営業利益率」は、12.3%(前年比6.3ポイント良化)となり、結果、10年ビジョンの定量目標は1年前倒しでの達成となりました。
翌連結会計年度(2025年3月期)の連結業績予想については、海外向けを中心に増収予想ではありますが、調達価格や輸送費の上昇、大型展示会費用の発生などのコスト増を見込んでいることから、「売上高」は47,575百万円、前年比3,036百万円増加(前年比6.8%増)、「営業利益率」は、11.3%(前年比1.0ポイント悪化)と予想しております。
これらの指標は引続き、増加または改善されるように取り組んでまいります。また、株主還元の目標として配当性向30%超を重要な指標としており、当連結会計年度における配当性向は30.6%であります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)サステナビリティに関する考え方
当社グループでは、「常に最前線で産業を支え、社会の発展と人々の幸福に寄与する。」という経営理念のもと、ケミカルポンプ・流体制御機器のグローバルカンパニーとして、持続可能な社会の実現と持続的な企業価値向上の両立が重要であると考えております。
こうした中、当社は以下の「サステナビリティ基本方針」を制定し、サステナビリティの観点を踏まえた経営を積極的に推進してまいります。
「サステナビリティ基本方針」
・私たちは、環境課題・社会課題の解決につながる製品・サービスを積極的に開発・提供します。
・私たちは、事業活動で生じる環境負荷を低減します。
・私たちは、すべての人の人権を尊重します。
・私たちは、多様な人材が安心・安全・健康に、それぞれ活躍できる基盤を整備します。
・私たちは、法令・社会規範を遵守し、公正・透明な経営を推進します。
・私たちは、外部の客観的かつ多様な視点を取り入れ、ステークホルダーの声に誠実に応えます。
(2)サステナビリティ全般
①ガバナンス
当社では、サステナビリティの観点を踏まえた経営を推進するため、代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置しております。
本委員会では、サステナビリティに関する方針策定や重要課題への取り組み状況の確認、施策などについて審議を行ってまいります。
また、サステナビリティ委員会で審議された内容は取締役会に対して適宜、提言や報告を行い、取締役会ではその対応について必要に応じて審議・決議を行うとともに、取締役の職務の執行を監督いたします。
上記を含むコーポレート・ガバナンス体制の概要については、「
②戦略
当社では、2025年3月期を最終年度とする「イワキグループ10年ビジョン」に次ぐ、新たな長期ビジョン(以下、新ビジョン)策定に向けた検討を進めております。
持続可能な社会の実現と持続的な企業価値向上を両立させることの重要性が高まる中、サステナビリティの観点を踏まえた経営を推進すべく、新ビジョン及び重要課題(マテリアリティ)の特定について並行して検討を進めており、本内容については新ビジョンの策定及び重要課題の特定と合わせて今後、開示の拡充に取り組んでまいります。
③リスク管理
当社では、リスク・コンプライアンス委員会において全体のリスクの集約及び管理を行っております。サステナビリティ委員会で識別・評価・検討されたリスク及び機会の内、リスクに関しては、リスク・コンプライアンス委員会に報告され、相対的な評価を行うとともに、その対応方針や施策の検討を行ってまいります。検討された内容については、リスク・コンプライアンス委員会の下部にあるリスク・コンプライアンス協議会などを通じて関連部署へ指示がなされ、その進捗状況はリスク・コンプライアンス委員会が定期的にモニタリングを実施してまいります。
なお、重大なリスクであると判断されたものに関しては、取締役会にてその対応を審議・決議いたします。
④指標及び目標
サステナビリティに関する指標及び目標については、「(2)サステナビリティ全般 ②戦略」同様、新ビジョンの策定及び重要課題の特定と合わせて今後、開示の拡充に取り組んでまいります。
(3)気候変動対応(TCFD提言への対応)
①ガバナンス
気候変動対応に関するガバナンスは、「
②戦略
気候変動に起因する当社事業への影響を考察するために、1.5/2℃、4℃シナリオを参考に、定性・定量の両面からシナリオ分析を実施しています。
考察の結果、いずれのシナリオにおいても、気候変動起因による主なリスクとして、洪水や高潮による自社拠点への被災やサプライチェーンの寸断によって売上機会が減少する可能性を認識しております。
一方、1.5/2℃シナリオにおいては、機会として、脱炭素社会への移行に伴う二次電池をはじめとした新エネルギー分野のニーズに当社製品が適応することで、売上機会が増加する可能性が高いことを認識しております。
当社では、新エネルギー市場を強化市場としており、今後も事業拡大など、積極的な取り組みを推進してまいります。
対象 |
1.5/2℃シナリオ |
4℃シナリオ |
政府 |
■炭素税の導入や、再エネ・省エネに関する政策など、 環境関連対応を推進。 |
■気候変動対策は現状維持。 ■異常気象への対応支援。 |
投資 |
■ESG投資がスタンダードに。 ■環境経営情報を投資先選定で重視。 |
■環境配慮よりも収益性重視。 ■投資先選定ではBCP対策有無を注視。 |
気象 |
■異常気象の激甚化は4℃に比べ緩やか。 |
■異常気象の激甚化による物理的なリスクの顕在化。 |
エネルギー |
■再生可能エネルギーが普及。化石燃料由来のエネルギーは減少。 |
■化石燃料由来のエネルギーが主流。高効率な発電技術が進展。 |
企業 |
■政策・規制に伴うエネルギー価格の上昇により、操業コストが増加。 ■政策・規制に伴う原材料の変化により、原材料コストが増加。 |
■異常気象による自社設備への被害が発生。 ■平均気温の上昇による従業員への健康被害が発生。 |
顧客 |
■使用製品に関し、価格・性能に加え環境配慮の有無を重視。 ■再エネ・省エネに寄与する製品やサービスの進展。 |
■使用製品に関し、価格や性能を重視。 ■サプライチェーンに対して、BCP対策を要求。 |
※特定したリスク・機会含めその他詳細は、以下、当社ウェブサイトに開示しております。
https://www.iwakipumps.co.jp/sustainability/environment/tcfd/
③リスク管理
気候変動対応に関するリスク管理は、「
④指標及び目標
当社は、気候変動対応への進捗を管理するための指標として、温室効果ガス(GHG)排出量の削減目標を採用しております。
持続可能な社会の実現のために、パリ協定で掲げられた1.5℃目標に沿って、2050年カーボンニュートラルを目指し、中長期的な戦略および施策の検討を行ってまいります。
<事業活動におけるGHG排出量(Scope1、2)の削減目標>
区分 |
年度 |
削減目標 |
Scope1 + Scope2 |
2030年度 |
2020年度(2021年3月期)比50%削減 |
2050年度 |
カーボンニュートラル |
※上記目標については、株式会社イワキ単体での削減目標となります。
※GHG排出量実績含めその他詳細は、以下、当社ウェブサイトに開示しております。
https://www.iwakipumps.co.jp/sustainability/environment/tcfd/
(4)人的資本・多様性
①ガバナンス
人的資本・多様性に関するガバナンスは、「
②戦略
人的資本経営に係る基本方針:ダイバーシティ経営においては「多様な能力と個性をもつ社員が柔軟な発想と行動力を発揮できるよう待遇・採用・環境面を整備し、人材を確保・育成し、企業価値の向上に取組みます。」を定め、2024年度より運用開始いたします。
当該経営の戦略として専門技術に精通した人材、マネジメント能力に優れた人材の確保、多様な能力と個性を生かした人材の育成、これらの取組みの一環として以下のように進めてまいります。
ⅰ)社員が性別に関わらず家事や育児に参画することを支援し、男性も育児休業を取得しやすい環境を整え、「誰もが活躍できる社会」を創ることを目指します。
ⅱ)社員それぞれが、成長し続けられるよう、キャリアと能力を開発し続ける機会を提供してまいります。特に女性のキャリア・アップを図るための教育・育成への投資も積極的に行い「多様な人材の確保」に努めてまいります。
又、人的資本経営に係る基本方針:健康経営においては、「従業員の健康を第一とし、安全な職場、働きやすい環境を提供する。」とし、2023年度より運用しております。
③リスク管理
人的資本・多様性に関するリスク管理は、「
④指標及び目標
ダイバーシティ経営の指標及び目標は以下の通りであります。
なお、連結グループの主要な事業を行う海外子会社において、当該指標及び目標において関連する法令も異なり、又、各海外子会社、別個の人事・雇用制度になっている等の理由で連結での集計・記載が困難なため、当該指標及び目標は提出会社のものを提出しております。
ⅰ)男性のa育児休業取得率とbその内、有効育児休業日数(土、日、祝祭日を含む7日以上)の取得率
(目標値a:50%、b:90%)
ⅱ)社員の育成・教育・キャリア・アップに係る投資額の2030年3月期までの年間成長率
(2024年3月期投資額:約15百万円 以降、当該投資年度成長率目標値:10%)。
これまでも女性のキャリア開発に係る社内講習会・勉強会・e-ラーニング等を任意に開催しておりましたが、2024年度より、目標年間開催数12回を定め運用してまいります。
又、健康経営の指標と目標について、下記のような運用結果となりました。
ⅰ)育児・介護休業後の復帰率(目標値100%:運用結果100%)
ⅱ)女性の平均勤続年数の男性との差異(女性平均勤続年数/男性平均勤続年数:目標値100%:運用結果105.45%)
以下において、有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識しており、当社グループの事業展開その他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも事業展開上のリスクに該当しない事項についても、投資者の投資判断において重要と考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。なお、当社はこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、その発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。また、以下の記載は当社株式への投資に関するリスクをすべて網羅するものでありませんので、この点にご留意ください。
なお、以下の記載事項は、特に断りがない限り、本書提出日現在の事項であり、将来に関する事項は本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)変動の大きい市場環境に対するリスク
当社が製造・販売するケミカルポンプは、純度の高い薬液を取り扱う半導体や液晶パネル製造プロセスをはじめ、化学、電子部品、水処理、食品、製紙など幅広い産業分野で使用されております。半導体、液晶パネルを使用する液晶テレビ・パソコン等は市況変動が大きいため、当社グループの業績はこれらの製品の需要動向や生産設備投資動向などに左右される傾向にあります。また、化学製品についても素材の市況変動により生産量、生産設備投資動向が左右される傾向にあるため、これらの市場環境が悪化した場合、受注の悪化、在庫の滞留などにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの強化市場については、市場環境・経済環境の変化や当社グループの状況なども踏まえ総合的に判断したうえで、適宜見直しを図ってまいります。
(2)国内企業の海外移転等により国内需要が減退した場合のリスク
当社グループが展開するケミカルポンプ事業は、幅広い産業分野に支えられておりますが、収益基盤である国内産業分野の経済状況、統廃合、製造拠点の海外移転等により、需要が長期的に停滞、減少した場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、「イワキグループ10年ビジョン」の定量目標として掲げております「2025年3月期連結売上高400億円(国内200億円、海外200億円)」にもありますように、海外事業の拡大を進めております。海外売上比率の向上により、国内需要減によるリスクを最小化すべく取り組んでまいります。
(3)海外での事業展開によるリスク
当社グループは、北米、欧州、アジア等において、当社グループ又はその他の販売代理店を通じ当該地域における事業拡大を進めております。今後、日本国内での大幅な市場拡大が見込まれない中、当社グループがさらなる成長をするためには、業績の基礎となる日本国内市場を確保しつつ海外市場での事業を拡大することが必要と認識しております。具体的には、先進国における技術者駐在による先進需要の開拓や、需要拡大の著しい新興国における営業技術支援強化による販売の増加を進め、製品開発戦略においては日本に限らず世界各国の市場で通用する製品の開発を推進する方針であります。しかしながら、こうした取組みにもかかわらず、海外市場の変化、海外における競合の状況及び新製品開発の時期等によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、海外の代理店政策においては、原則として一か国に一社の販売代理店を置くこととしており、当該国における当社製品の販売において代理店同士の競争を避け、各国の顧客ニーズを的確に吸い上げ、当社との情報共有を図りやすくしております。加えて地域戦略としては、欧州・米国・アセアンの各重点強化地域で現地関係会社と連携して、市場動向、顧客ニーズを的確に把握し、近接地域での在庫重複の回避等有効な販売展開をしております。しかしながら、この地域戦略が上手く稼働しない場合や当該販売代理店の当該国市場における競争力の低下等が生じた場合、直ちに他の販売代理店への変更ができず、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、現地動向の早期把握、営業・技術ノウハウの継承等を行うため日本国内よりスタッフ派遣を実施しており、各種課題対応に取組んでおります。
(4)合弁契約にかかるリスク
当社は、欧州、アジア等の地域において、合弁会社による販売を行っております。当社は、合弁契約その他の事業関連契約等により当社グループの利益の確保に努めていますが、合弁相手を支配下においているわけではないため、合弁相手が当社グループや合弁事業にとって最良の意思決定をするという保証は無く、それらの契約が解消されるなどの事態が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5)当社商号の使用許可によるリスク
当社は、優位な販売戦略確立のため、当社の関係会社の他、当社が出資を行う一部の海外の販売代理店に対し、当社の商号「イワキ」を使用する権利を契約で付与しており、商号の使用においては当社の同意を前提としております。今後、当該販売代理店の悪評又は信用不安等が生じた場合や、商号が同一であることから当社グループ会社であると誤認された場合には、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)製品の品質にかかるリスク
当社の製品につきましては、品質管理部門において厳格に管理されておりますが、予期し得ない重大な品質問題が発生する可能性を排除することはできないため、製造物責任賠償保険に加入するなど当該問題発生に際しての備えを強化しております。しかしながら、製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、当社グループに対する評価を著しく低下させ、売上高の減少等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、不具合の撲滅を重点テーマに掲げており、当該対応のためプロジェクト体制を敷き製品品質向上に取組んでおります。
(7)原材料の価格変動リスク
当社製品には金属及び樹脂を原材料とした部品が多く使用されており、その仕入価格は市場価格の変動の影響を受けることがあります。原材料素材の需給関係等により原材料価格が上昇した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)競合のリスク
当社グループは、ケミカルポンプにおいて60年以上に亘り開発・製造の実績を積上げ確固たる地位を築いており高品質で耐久性に優れた製品を供給することで競合する新興国製の安価な製品との差別化を図っておりますが、今後競合製品の品質向上等により当社製品の優位性が維持できない場合には、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、基礎研究及びコア技術開発の環境が整備された技術センターの活用により、高度な研究開発を推進してまいります。今後「オンリーワン」製品の開発を進め、競合他社との差別化を図っていくべく取組んでおります。
(9)研究開発におけるリスク
当社グループは、市場要求と顧客ニーズを捉えた製品開発を行うことで、幅広い産業分野における販売拡大に努めておりますが、必ずしも想定した成果を得られる保証はなく、タイムリーに新製品を供給できない場合や顧客が要求する水準を満たすことができない場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(10)為替変動のリスク
当社グループには、外貨建の売上、仕入、資産、負債があり、連結財務諸表作成のために円換算しています。主な通貨は米ドルとユーロであり、これらの通貨の為替変動が当社グループの業績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループ全体では、外貨建売上が外貨建仕入を上回り、また外貨建資産が外貨建負債を上回るため、これらの通貨に対する円高が当社グループの業績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(11)金利変動のリスク
当社は、運転資金及び設備資金について主に金融機関からの借入れにより資金調達を行っております。今後の金利動向が上昇局面となった場合、支払利息等の金利負担が増加することで金融収支が悪化し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12)自然災害発生によるリスク
当社グループの主たる生産工場は、埼玉県狭山市及び福島県田村郡三春町にあります。当該地域での自然災害等によりサプライチェーンの寸断や生産設備に被害を受けた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループが事業を展開する地域や販売先企業が拠点を置く地域において自然災害等が発生し、当該地域において直接的な被害が出た場合や、市況が悪化し設備投資意欲が減退した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、国内においては東西に物流の補完として外部倉庫を利用しており、これは流通の短縮化だけでなく、災害発生時のリスク分散のためでもあります。また、海外ではノックダウン生産拠点の分散化、仕入先との連携強化を図り、生産管理体制の強化等を行うことにより、リスクの最小化に努めております。
(13)システム関連のリスク
当社は、業務を円滑に行うため、ハードウェア・ソフトウェアの障害防止、コンピュータウイルス等による障害防止のために万全を期しておりますが、システム・サーバーダウン、コンピュータハッカーの侵入、ウイルス等による破壊的な影響を受ける場合があり得ます。システムに重大なトラブルが発生した場合には、受注・生産活動に支障が起こり当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、データセンターの活用、稼働状況の監視、適切な運用管理を行う事により、不具合の迅速な発見、対応に努めております。また、社内規程の整備や情報セキュリティ教育を行う事により、社員のITリテラシー向上を図り、情報漏洩やウイルス感染等のリスクを最小限に抑えられるよう取り組んでおります。
(14)法的規制にかかるリスク
①安全保障輸出管理にかかるリスク
当社グループは海外15ヶ国に21社の関係会社を設置し積極的に海外展開を推進しておりますが、海外への製品や部品の輸出あるいは技術の提供を行う際には、外国為替及び外国貿易法とその関連法令に定められた安全保障輸出管理に係る規定を遵守して実施することが求められております。これらに違反した場合、懲役、罰金などの刑罰や輸出禁止の行政制裁などが科せられることが定められており、その対象範囲によっては売上・利益に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは正確で効率的な安全保障輸出管理体制を維持するとともに、コンプライアンス経営の推進により発生防止に努めております。
②その他の法的規制にかかるリスク
当社グループは、ケミカルポンプ及びその周辺機器の開発、製造、販売(輸出入を含む)を主な事業としており、また、それに附帯する製品の修理及びアフターサービス並びに設置工事を行っております。このような事業を行うに際して、製造物責任法、独占禁止法、環境・リサイクル関連等の法的規制を受けております。また、事業を展開する海外の各国においては、事業・投資の許可などをはじめ、さまざまな規制の適用を受けております。今後、新たな法令等の制定等規制の動向によっては、当社グループの事業展開が制約され業績に影響を及ぼす可能性があります。
(15)知的財産権にかかるリスク
当社グループは、競合他社と差別化できる技術を蓄積するべく研究開発を推進しており、当社グループが保有する技術等については特許権の取得により保護を図っております。しかしながら、当社グループが保有する知的財産権が第三者に不正に侵害された場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループでは製造、販売する製品について他社の知的財産権を侵害することのないようリスク管理に取り組んでおりますが、当社グループが販売している製品や、今後販売する製品が第三者の知的財産権に抵触する可能性は完全には否定することはできません。当社グループが認識していない特許権等が成立することにより、第三者より損害賠償等の訴訟が起こされる可能性もあります。これらの要因により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、競合メーカーをピックアップし、特許取得状況の調査及び監視を行っております。知的財産権に関する懸念が発生した場合には、都度、弁理士に相談を行っており、侵害の可能性がある場合には、弁理士と協働して、早期解決を目指して行動しております。
(16)買収(M&A)等にかかるリスク
当社グループは、事業拡大のための業務提携や必要に応じて国内外におけるケミカルポンプ及びその周辺事業を買収し、シナジー効果を得て更なる事業拡大を図ることが重要戦略の一つであると長期ビジョン及び中期経営計画等で位置付けております。
また、販売拡大、企業ブランド維持のために合弁会社の子会社化または合弁会社との合弁解消等の戦略も検討してまいります。なお、買収を行う際には、対象企業の財務内容、契約関係等について詳細なデュー・デリジェンスを行うことによって、極力諸リスクを回避するように努めておりますが、案件の性質上時間的な制約等から十分なデュー・デリジェンスが実施できない場合もあり、買収後に偶発債務の発生や未認識債務が判明する可能性も否定できません。また、事業展開においてはその性質上、シナジー効果による当社グループの事業及び経営成績への影響を確実に予測することは困難であり、事業環境の変化等により計画通りに事業が進展せず、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性や、投下資本の回収に一定の期間を要する又は出来ない可能性があります。
当社グループでは、買収のデュー・デリジェンスの際、必要に応じて外部機関を利用し、対象の企業価値判断の精度を上げ、上記リスクの回避に努めております。また、当社関連部署との連携を密にし、シミュレーションを実施し、事業シナジー最大化に努めております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における日本経済は、緩やかな回復傾向にあり、設備投資も持ち直しの動きがみられます。一方で、中国経済の先行き懸念、円安の進行やウクライナ情勢、中東情勢の緊迫化による物価上昇など、企業収益に与える影響は依然として先行き不透明な状況が継続しております。
こうした状況の下、企業価値向上に向けた取り組みとして、「ソリューションで勝つ」を基本方針にした活動を国内では展開しております。海外においては世界15ヵ国21社の関係会社と連携し販売拡大を図るとともに、「イワキグループ10年ビジョン」の定量目標「2025年3月期連結売上高400億円、営業利益率10%」達成に向け、「オールイワキで世界No.1を提供する」の方針のもと、各種施策の実行に取り組んでまいりました。
その結果、市場別では医療機器市場が中国向けを中心に大幅増収、売上高は8,168百万円(前年比47.2%増)と全体を牽引しました。その他強化市場の売上は、水処理市場が10,098百万円(前年比9.6%増)、半導体・液晶市場が7,843百万円(前年比8.7%増)、新エネルギー市場が1,121百万円(前年比32.3%増)となります。
地域別では、国内は、一服感ある半導体・液晶市場は減収となりましたが、医療機器市場を中心にその他の市場は増収となり、売上高は20,649百万円(前年比6.3%増)となりました。海外について、米国は、主要市場である水処理市場は順調に推移しており、医療機器市場も好調であった結果、売上高は7,041百万円(前年比15.4%増)となりました。欧州は、化学市場が好調に推移、売上高は5,700百万円(前年比22.0%増)となりました。アジア地域は、韓国・台湾向け半導体・液晶市場、表面処理装置市場の不調が続いており、売上高は2,574百万円(前年比19.9%減)となりました。中国は、中国連結子会社の損益取り込み期間の差(前期は第4四半期連結会計期間からの取り込み)もありますが、半導体・液晶市場、医療機器市場などが牽引した結果、売上高は6,625百万円(前年比157.0%増)となりました。
製品別では、主力製品であるマグネットポンプ、定量ポンプはいずれも前年比2桁増と好調を維持しており、医療機器市場をメインとする回転容積ポンプは売上高3,000百万円(前年比49.1%増)と大幅増収の結果となりました。
このような状況の中、当社グループの当連結会計年度の連結売上高は44,539百万円(前年比18.0%増)となりました。
中国連結子会社の損益取り込み期間の差の影響や中国連結子会社以外の各社増収効果、売上原価率の低下などにより、営業利益は5,465百万円(前年比142.4%増)となりました。営業外収益の持分法による投資利益が減少したことや、前期は一過性の営業外収益(米国子会社における受取還付金)があったことから、経常利益は6,222百万円(前年比66.1%増)となりました。前期は特別利益で段階取得に係る差益の発生がありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益は4,459百万円(前年比4.7%増)と最終利益でも増益の結果となりました。
なお、当社グループはケミカルポンプ事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。
財政状態の分析について以下のとおりであります。
(資産の部)
当連結会計年度末における流動資産は35,465百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,277百万円増加いたしました。これは主に商品及び製品が1,040百万円、仕掛品が2,479百万円増加したことによるものであります。固定資産は13,633百万円となり、前連結会計年度末に比べ568百万円増加いたしました。これは主に退職給付に係る資産が539百万円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は49,098百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,846百万円増加いたしました。
(負債の部)
当連結会計年度末における流動負債は12,814百万円となり、前連結会計年度末に比べ903百万円減少いたしました。これは主に電子記録債務が553百万円、未払法人税等が446百万円増加した一方、支払手形及び買掛金が1,801百万円減少したことによるものであります。固定負債は2,762百万円となり、前連結会計年度末に比べ97百万円増加いたしました。これは主に長期借入金が155百万円減少した一方、リース債務が260百万円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は15,576百万円となり、前連結会計年度末に比べ805百万円減少いたしました。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産合計は33,521百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,652百万円増加いたしました。これは主に利益剰余金が3,249百万円、為替換算調整勘定が915百万円増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は67.8%(前連結会計年度末は63.4%)となりました。
なお、当連結会計年度において、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、前連結会計年度末との比較・分析にあたっては、暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を用いています。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は6,773百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,918百万円減少(前連結会計年度は118百万円の増加)いたしました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動の結果、資金は2,564百万円増加(前連結会計年度は1,914百万円の増加)いたしました。これは主に、税金等調整前当期純利益(6,176百万円)などによる資金増加要因が、法人税等の支払額(1,281百万円)などによる資金減少要因を上回ったためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動の結果、資金は2,487百万円減少(前連結会計年度は1,518百万円の減少)いたしました。これは主に、定期預金の預入による支出(1,118百万円)、有形及び無形固定資産取得による支出(1,085百万円)などによる資金減少要因が、定期預金の払戻による収入(91百万円)などによる資金増加要因を上回ったためであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動の結果、資金は1,854百万円減少(前連結会計年度は419百万円の減少)いたしました。これは主に、配当金の支払額(1,211百万円)などによる資金減少要因があったことによります。
③生産、受注及び販売の実績
当社グループは、ケミカルポンプ事業の単一セグメントであるため、セグメント別の生産実績、受注実績、販売実績の記載はしておりません。
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績を品目ごとに示すと、次のとおりであります。
品目 |
当連結会計年度 (自2023年4月1日 至2024年3月31日) |
|
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
マグネットポンプ |
11,093,623 |
111.7 |
定量ポンプ |
4,355,870 |
88.5 |
空気駆動ポンプ |
5,743,724 |
111.3 |
回転容積ポンプ |
2,336,655 |
108.1 |
エアーポンプ |
2,070,129 |
113.5 |
システム製品 |
1,258,294 |
107.8 |
その他 |
4,957,477 |
100.9 |
合計 |
31,815,774 |
105.8 |
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績を品目ごとに示すと、次のとおりであります。
品目 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
マグネットポンプ |
13,310,304 |
89.7 |
4,822,451 |
82.4 |
定量ポンプ |
6,633,102 |
99.2 |
1,724,627 |
115.0 |
空気駆動ポンプ |
5,551,889 |
110.5 |
2,672,324 |
132.0 |
回転容積ポンプ |
2,676,242 |
115.5 |
928,923 |
142.1 |
エアーポンプ |
2,326,177 |
115.6 |
848,557 |
172.3 |
システム製品 |
2,565,630 |
118.7 |
602,534 |
102.8 |
仕入商品 |
2,993,115 |
100.7 |
580,766 |
107.6 |
その他 |
5,893,173 |
99.0 |
1,213,562 |
98.8 |
合計 |
41,949,636 |
100.0 |
13,393,748 |
104.0 |
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績を品目ごとに示すと、次のとおりであります。
品目 |
当連結会計年度 (自2023年4月1日 至2024年3月31日) |
|
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
マグネットポンプ |
14,337,522 |
119.6 |
定量ポンプ |
7,166,450 |
111.7 |
空気駆動ポンプ |
5,721,036 |
111.4 |
回転容積ポンプ |
3,000,503 |
149.1 |
エアーポンプ |
2,458,995 |
131.5 |
システム製品 |
2,549,482 |
130.7 |
仕入商品 |
2,951,908 |
105.0 |
その他 |
6,353,288 |
114.6 |
合計 |
44,539,188 |
118.0 |
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度は、前連結会計年度と比較して6,808百万円増加し、44,539百万円となりました。
国内は、医療機器市場を中心に伸長し、売上高は20,649百万円(前年比6.3%増)となりました。海外では、米国は、主要市場である水処理市場が順調に推移した結果、売上高は7,041百万円(前年比15.4%増)となりました。欧州は、化学市場が好調に推移し、売上高は5,700百万円(前年比22.0%増)となりました。アジア地域は、韓国・台湾向けの半導体・液晶市場、表面処理装置市場の不調が続いており、売上高は2,574百万円(前年比19.9%減)となりました。中国は、中国連結子会社の損益取り込み期間の差(前期は第4四半期連結会計期間からの取り込み)による影響もありますが、半導体・液晶市場や医療機器市場などが牽引した結果、売上高は6,625百万円(前年比157.0%増)となりました。
(売上原価)
当連結会計年度は、前連結会計年度と比較して1,404百万円増加し、26,211百万円となりました。中国連結子会社の業績寄与や売上構成比の変化による売上原価率の低下などにより、売上原価率は58.8%(前年比6.9ポイント良化)となりました。
(売上総利益)
上記の結果、売上総利益は18,328百万円(前年比5,404百万円増加)となりました。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度は、前連結会計年度と比較して2,194百万円増加し、12,862百万円となりました。中国連結子会社の損益取り込み期間の差による影響や、当該子会社ののれん償却費などの費用が増加しております。
(営業利益)
上記の結果、営業利益は5,465百万円(前年比3,210百万円増加)となりました。
(営業外損益)
当連結会計年度の営業外収益は、前連結会計年度と比較して659百万円減少し、883百万円となりました。持分法による投資利益が減少したことや、前連結会計年度は一過性の営業外収益(受取還付金)があったためであります。
当連結会計年度の営業外費用は、前連結会計年度と比較して74百万円増加し、126百万円となりました。主に支払利息の増加によるものであります。
(経常利益)
上記の結果、経常利益は6,222百万円(前年比2,476百万円増加)となりました。
(特別損益)
当連結会計年度の特別利益は、前連結会計年度と比較して1,229百万円減少し、6百万円となりました。前連結会計年度は一過性の特別利益(段階取得に係る差益)があったためであります。
当連結会計年度の特別損失は、前連結会計年度と比較して49百万円増加し、53百万円となりました。主に減損損失の発生によるものであります。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
上記の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度と比較して201百万円増加し、4,459百万円となりました。
b.財政状態の分析
当連結会計年度末の財政状態の分析については、「第2事業の状況4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
c.キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析については、「第2事業の状況4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
d.経営戦略の現状と見通し
当社グループでは、長期ビジョン(10年後のあるべき姿)「イワキグループ10年ビジョン(以下、10年ビジョン)」を策定し、定性目標「オールイワキで世界№1を提供する」を掲げ、定量目標として2025年3月期連結売上高400億(国内売上200億円、海外売上200億円)、営業利益率10%を計画しています。
10年ビジョンは、翌連結会計年度に最終年度を迎えることから、現在新たな長期ビジョンの策定を進めております。
これまで「常に最前線で産業を支え、社会の発展と人々の幸福に寄与する。」の経営理念のもと、産業界に幅広くケミカルポンプ・流体制御機器を提供し続けることで社会に価値を提供してまいりましたが、変化の激しいこれからの時代に対応していくべく、サステナビリティの観点を踏まえたビジョンを策定してまいります。
さて、当社グループが製造するケミカルポンプは、革新的技術に依拠する画期的な製品を開発することが難しい「成熟した製品」ではありますが、このような状況下においても当社グループでは、ケミカルポンプの世界的メーカーとして、常に他社に先駆ける新製品開発に注力しております。国内外の顧客から当社グループの製品が選ばれるのは、多岐に亘る様々な要望に対して、過去の経験等に基づき迅速かつ的確に対応できることが最大の理由であると考えております。
具体的には、システム提案及びユニット製品化、並びに各種ポンプの特注対応といったハードウェア面から、納期・コスト・サービス体制等のソフトウェア面まで、きめ細かに応えることであります。また、それぞれの顧客対応スキルをさらにレベルアップさせることが重要な課題であると認識し、「ソリューションカンパニー」として世界全市場の顧客から信頼を勝ち取ることを全社的テーマとして、重点的に取り組んでまいります。
なお、当社グループが注力すべき強化市場と定めている「半導体・液晶市場」・「医療機器市場」・「水処理市場」・「新エネルギー市場」の各市場に対して、顧客対応力・技術力・販売力等の当社グループの力を結集するとともに、日本国内のみならず欧州、米国、アセアン等の各重点強化地域においても、顧客からの多様なニーズに応えていくことが、今後、当社グループの持続的成長につながるものと考えております。
e.経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループを取り巻く経営環境は、競合他社が国内外を問わず生産コストが安価な地域に進出したことで、販売活動が激化しております。当社グループも早期から海外関係会社におけるノックダウン生産等、海外展開に取り組みコスト低減を進めておりますが、近年においては販売価格の競争が一層激しくなっております。
急激な為替の変動による影響で素材価格の変動が続き、当社主要部品の原材料となる樹脂材料、鉄鋼及び非鉄金属等の調達コストの変動に合わせ適正な販売価格とすることができなければ、今後の経営成績に影響を与える可能性があります。
価格競争のみならず、環境・人権への配慮といったサステナビリティへの意識の高まりにより、省電力・高効率等の機能面をはじめ、環境・人権に配慮した調達・製品開発等への要望が高まっており、これら対応の優劣によって今後の受注が左右される可能性があります。
また、安全保障輸出管理上の不備により、一定期間輸出禁止等の行政処分を受けた場合、当社グループの海外事業における業績に重要な影響を与える可能性があります。
f.経営者の問題認識と今後の方針について
「第2事業の状況1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
g.経営上の目標の達成状況
10年ビジョンの定量目標である「2025年3月期連結売上高400億円、営業利益率10%」に向けた第3期2023年3月期~2025年3月期(収穫期)の2年目となる当連結会計年度の達成・進捗状況は以下のとおりです。
経営上の重要な指標である「売上高」は44,539百万円、前年比6,808百万円増加(前年比18.0%増)「営業利益率」は12.3%(前年比6.3ポイント良化)となり、1年前倒しでの定量目標達成となりました。これらの指標は引続き、増加または改善されるように取り組んでまいります。また、株主還元の目標として配当性向30%超を重要な指標としており、当連結会計年度における配当性向は30.6%であります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(財務の基本方針)
当社グループは、財務構造の健全化及び資金の効率的調達・運用を基本方針として財務活動を行っております。資金調達については、自己資金のほか、金融機関からの借入等により行っております。資金の流動性については、現金及び現金同等物に加え、緊急時の資金調達手段の確保等を目的として、取引銀行とシンジケートコミットメントライン契約を締結しております。
(キャッシュ・フロー及び流動性の状況)
当連結会計年度においては、営業活動によるキャッシュ・フローは2,564百万円のキャッシュ・イン、投資活動によるキャッシュ・フローは2,487百万円のキャッシュ・アウトとなり、フリー・キャッシュ・フローは77百万円となりました。
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
営業キャッシュ・フロー |
1,914百万円 |
2,564百万円 |
投資キャッシュ・フロー |
△1,518百万円 |
△2,487百万円 |
フリー・キャッシュ・フロー |
396百万円 |
77百万円 |
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額1,211百万円、有利子負債の減少額430百万円などにより1,854百万円のキャッシュ・アウトとなり、期末における現金及び現金同等物は6,773百万円となりました。
資金の使途については、当連結会計年度は設備投資に1,228百万円、研究開発には909百万円の合計2,138百万円を支出しております。
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
設備投資 |
948百万円 |
1,228百万円 |
投融資(М&A含む) |
318百万円 |
- |
研究開発費 |
875百万円 |
909百万円 |
計 |
2,142百万円 |
2,138百万円 |
(資本政策)
借入金返済の一方でリース債務が増加したことから、有利子負債残高は増加しましたが、D/Eレシオは前連結会計年度末並みの0.1倍となりました。自己資本比率は67.8%と内部留保及び為替影響による自己資本の増加により前連結会計年度末より上昇いたしました。
2025年3月期は、依然として世界経済や事業環境の先行きが極めて見通しづらい状況が継続するものと想定しております。こうした状況を踏まえ、引き続きキャッシュ・フローを重視しながら財務規律を堅持してまいります。また、事業拡大の投資判断においては、資本コストを意識し、原則としてこれを上回るリターンの実現を目指し、経営資源配分などにおいてROIC(投下資本利益率)をより意識するなど、資本効率の向上を図りながら持続的成長と企業価値向上を目指します。
当社では、株主還元の基本的な考え方として、安定的かつ持続的な配当を目指しております。これをより明確に表すために、KPIとして配当性向30%超をターゲットとして掲げ、株主還元の方針としています。
今後も上記方針のもと、成長投資や内部留保とのバランスをとりながら、株主還元のさらなる拡充を目指してまいります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5経理の状況1連結財務諸表等(1)連結財務諸表注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
(1)合弁契約
締結年月日 |
契約の名称 |
相手先の名称 |
契約の概要 |
契約期間 |
1989年9月12日 |
合弁契約 (覚書) |
Flying Dragons Co., Ltd. |
・当社とFlying Dragons Co., Ltd.との間で締結された合弁会社(億昇幫浦股份有限公司)設立に関する合弁契約。 ・目的 当社製品の販売活動 ・販売製品 当社製品 ・販売地域 中華民国台湾省 |
期間の定め無し |
2000年11月1日 |
合弁契約 |
LK CHEMA. CO., LTD. |
・当社とLK CHEMA. CO., LTD.との間で締結された合弁会社(IWAKI KOREA CO., LTD.)設立に関する合弁契約。 ・目的 当社製品の販売活動 ・販売製品 当社製品、当社製品に付随する製品及び他社製品。但し、他社製品の販売については両当事者の合意を必要とする。 ・販売地域 韓国 |
締結日から合弁 会社の存続する 期間 |
2011年12月1日 |
Joint Venture Agreement (合弁契約) |
Sintorn Trading and Engineering Co., Ltd. |
・当社とSintorn Trading and Engineering Co., Ltd.との間で締結された合弁会社(IWAKI(THAILAND) CO., LTD.)に関する合弁契約。 ・目的 当社製品の販売活動 ・販売製品 当社製品 ・販売地域 タイ |
締結日から合弁 会社の存続する 期間 |
2015年5月25日 |
合弁契約 |
V.I. SERVICES PTY LTD. |
・当社とV.I. SERVICES PTY LTD.との間で締結された合弁会社(Iwaki Pumps Australia Pty. Ltd.)に関する合弁契約。 ・目的 当該契約に定められた方法による事業計画により決定された事業の遂行 ・販売製品 化学物質を扱う工程で使用されるポンプ ・販売地域 オーストラリア及びオセアニア諸国、諸地域 |
締結日から合弁 会社の存続する 期間 |
(2)代理店契約
締結年月日 |
契約の名称 |
相手先の名称 |
契約の概要 |
契約期間 |
2018年4月12日 |
総代理店契約書 |
IWAKI NORDIC A/S |
・当社の欧州子会社であるIwaki Europe GmbHとIWAKI NORDIC A/Sとの間で締結された総代理店契約。 ・販売製品 当社製品 ・販売地域 デンマーク、スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、アイスランド、エストニア、ラトビア及びリトアニア |
締結日~ 2020年12月31日 自動継続 |
2020年12月25日 |
総代理店契約書 |
Iwaki Singapore Pte Ltd |
・当社とアジア子会社であるIwaki Singapore Pte Ltdとの間で締結された総代理店契約。 ・販売製品 当社製品及びその部品 ・販売地域 シンガポール、マレーシア及びインドネシア |
2021年1月1日 ~ 2023年12月31日 自動継続 |
2020年12月25日 |
総代理店契約書 |
IWAKIm SDN. BHD. |
・当社とアジア子会社であるIWAKIm SDN. BHD.との間で締結された総代理店契約。 ・販売製品 当社製品及びその部品 ・販売地域 マレーシア |
2021年1月1日 ~ 2023年12月31日 自動継続 |
2021年1月1日 |
総代理店契約書 |
IWAKI(THAILAND) CO., LTD. |
・当社とIWAKI(THAILAND) CO., LTD.との間で締結された総代理店契約。 ・販売製品 当社製品 ・販売地域 タイ |
締結日~ 2023年12月31日 自動継続 |
2021年1月1日 |
総代理店契約書 |
IWAKI KOREA CO., LTD. |
・当社とIWAKI KOREA CO., LTD.との間で締結された総代理店契約。 ・販売製品 当社製品及びその部品 ・販売地域 韓国 |
締結日~ 2023年12月31日 自動継続 |
2021年1月1日 |
総代理店契約書 |
億昇幫浦股份 有限公司 |
・当社と億昇幫浦股份有限公司との間で締結された総代理店契約。 ・販売製品 当社製品及びその部品 ・販売地域 澎湖島、金門島、媽祖島を含む台湾 |
締結日~ 2023年12月31日 自動継続 |
2021年1月13日 |
総代理店契約書 |
Iwaki Europe GmbH |
・当社と欧州子会社であるIwaki Europe GmbHとの間で締結された総代理店契約。 ・販売製品 当社製品及びその部品 ・販売地域 全欧州、イスラエル及び南アフリカ |
2021年1月1日 ~ 2023年12月31日 自動継続 |
2021年1月21日 |
総代理店契約書 |
Iwaki America Incorporated |
・当社と米国子会社であるIwaki America Incorporatedとの間で締結された総代理店契約。 ・販売製品 当社製品及びその部品 ・販売地域 アメリカ大陸 |
2021年1月1日 ~ 2023年12月31日 自動継続 |
2021年9月9日 |
総代理店契約書 |
Iwaki Pumps Australia Pty. Ltd. |
・当社とIwaki Pumps Australia Pty. Ltd.との間で締結された総代理店契約。 ・販売製品 当社製品及び当社仕入製品 ・販売地域 オーストラリア及びオセアニア諸国 |
2021年1月1日 ~ 2023年12月31日 自動継続 |
(1)研究の目的(研究開発方針)
総合ケミカルポンプの国内トップクラスのメーカーとしての強みを活かして、あらゆる産業分野において差別化された新製品開発を行い、積極的な製品拡大を図っていくことを念頭においております。これらの研究開発強化を目的に、翌連結会計年度より、新たに開発本部を新設いたします。
当社では、製品企画本部、技術本部、品質保証本部等全ての部門において常に顧客の要望、市場動向、技術動向などに関する情報を入手しており、それらの調査・分析結果等を踏まえた上で、当社の経営方針に沿った研究開発活動を行うことを基本方針としております。
当社における製品開発業務は、その業務内容により研究開発業務と技術開発業務に区分しております。
a.研究開発業務は新製品を開発するための調査、設計、検証試験等開発に係わる業務全般を指し、要素開発業務(注)も含んでおります。設計・開発からのアウトプットが、要求事項を満たすことを審査するために、当社の設計プロセスでは、図面検討会、生産設計検討会、初期流動発令会議、設計検証会による各会議にて、設計・開発のレビューを行います。
(注)要素開発業務とは、製品を構成するそれぞれの要素の性能を高め、新製品の性能・信頼性の向上とコストの低減に応用するための開発業務です。具体的な要素開発業務としましては、新材料の採用、製品や部品についての新機構・新構造・新形状の開発、新制御方式の開発などがあります。
b.技術開発業務は特定ユーザーからの要求により実施される製品開発業務及び特注設計に必要な検証試験業務を指します。また、既存製品の改良業務に係わる試作設計、検証試験等の業務及び他社導入製品の検証試験に係わる業務も含んでおります。検証試験結果が、設計・開発のインプットを満たしていることを確認するために、当社の設計プロセスでは、リスクの分析評価、製品説明会(設計審査)により、設計のレビューを行います。
(2)研究体制
当社における研究開発は、ポンプ技術を中核としポンプアプリケーションに必要となる周辺技術(制御技術、モーター技術、素材、シール技術、水質計測等)を含めて実施いたしております。これらの活動はいずれも当社の技術本部において行っておりましたが、翌事業年度より新たに開発本部が当該体制に加わります。
(3)研究開発金額
当連結会計年度における研究開発費の総額は
なお、当社グループはケミカルポンプ事業の単一セグメントとしているためセグメント別の研究開発費は記載しておりません。