第一部 【企業情報】

 

第1 【企業の概況】

 

1 【主要な経営指標等の推移】

回次

第2期

第3期

第4期

第5期

第6期

決算年月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

売上高

(千円)

140,794

568,333

1,631,907

2,470,266

4,320,169

経常利益又は経常損失(△)

(千円)

58,415

2,126

224,787

54,399

378,685

当期純利益又は当期純損失(△)

(千円)

58,705

32,026

149,640

68,449

225,032

持分法を適用した場合の投資利益

(千円)

資本金

(千円)

51,845

100,000

100,000

100,000

198,532

発行済株式総数

 

 

 

 

 

 

普通株式

(株)

11,050

13,165

13,165

13,165

1,565,700

A種優先株式

(株)

1,642

1,642

1,642

1,642

純資産額

(千円)

13,230

145,241

298,974

230,524

684,467

総資産額

(千円)

83,256

245,496

843,481

1,341,605

1,903,977

1株当たり純資産額

(円)

5,102.77

4,541.53

49.74

34.33

138.88

1株当たり配当額

(円)

(うち1株当たり中間配当額)

(-)

(-)

(-)

(-)

-)

1株当たり当期純利益又は当期純損失(△)

(円)

4,625.38

2,289.25

33.68

15.41

49.91

潜在株式調整後

1株当たり当期純利益

(円)

47.77

自己資本比率

(%)

15.9

59.2

35.4

17.2

34.3

自己資本利益率

(%)

40.4

67.4

51.0

株価収益率

(倍)

56.6

配当性向

(%)

営業活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

110,734

291,610

521,195

投資活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

2,254

227,913

332,081

財務活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

286,434

253,718

179,288

現金及び現金同等物の期末残高

(千円)

510,494

244,688

613,090

従業員数

(人)

7

15

29

47

70

(外、平均臨時雇用者数)

(21)

(22)

(13)

(23)

(72)

株主総利回り

(%)

(比較指標:-)

(%)

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

最高株価

(円)

3,260

最低株価

(円)

731

 

 (注)1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。

 

2.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第4期の期首から適用しており、第4期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

3.持分法を適用した場合の投資利益については、当社は関連会社を有していないため記載しておりません。

4.第2期の1株当たり純資産額については、A種優先株式に優先して配分される残余財産額を純資産の部の合計額から控除して算定しており、計算結果はマイナスとなっております。

5.1株当たり配当額及び配当性向については、配当を実施していないため記載しておりません。

6.第2期及び第3期については、キャッシュ・フロー計算書を作成しておりませんので、キャッシュ・フローに係る各項目については記載しておりません。

7.第2期は、ブランド開発、強化のための人件費の増加等に伴い、経常損失、当期純損失となりました。

8.サプライチェーンの管理体制の強化や人員体制の強化等の投資や円安による原価率の上昇、及び、事業譲受により取得したF-LAGSTUF-Fブランドにおいて当初想定していた収益が見込めなくなったことから、事業譲受時に発生したのれんについて、全額を減損損失として計上した結果、第5期の当期純損失は68,449千円となりました。

9.第2期、第5期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であるため期中平均株価が把握できませんので、また、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。第6期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、当社株式が2023年12月27日に東京証券取引所グロース市場に上場したため、新規上場日から第6期末までの平均株価を期中平均株価とみなして算定しております。

10.第3期、第4期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であるため期中平均株価が把握できませんので、記載しておりません。

11.第2期から第5期までの株価収益率については、当社株式は非上場であるため、記載しておりません。

12.第2期及び第5期の自己資本利益率は、当期純損失であるため記載しておりません。

13.第4期、第5期及び第6期の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(昭和38年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193 条の2第1項の規定に基づき、有限責任監査法人トーマツの監査を受けております。

なお、第2期及び第3期については、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しております。また、当該各数値については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく有限責任監査法人トーマツの監査を受けておりません。

14.従業員数は就業人員であり、平均臨時雇用者数(契約社員、アルバイト)は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。

15.当社は、2023年8月7日付でA種優先株式1,642株を自己株式として取得し、対価として当該優先株主に当該優先株式1株につき、それぞれ普通株式1株を交付しております。また、当社が取得したA種優先株式について、2023年8月10日開催の取締役会決議により、2023年8月30日付で会社法第178条に基づきすべて消却しております。

16.株主総利回り及び比較指標については、当社株式が2023年12月27日に東京証券取引所グロース市場に上場したため、記載しておりません。

17.当社は、2023年8月31日開催の取締役会決議に基づき、2023年9月1日付で普通株式1株につき100株の割合で株式分割を行っておりますが、第4期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△)及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益を算定しております。

18.当社は、2024年3月8日開催の取締役会決議に基づき、2024年4月1日付で普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行っておりますが、第4期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△)及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益を算定しております。

19.最高株価及び最低株価は、東京証券取引所グロース市場におけるものであります。ただし、当社株式は、2023年12月27日から東京証券取引所グロース市場に上場されており、それ以前の株価については該当事項がありません。

 

 

2 【沿革】

年月

概要

2018年4月

東京都世田谷区に、アパレル販売を主な事業目的として当社設立

2018年12月

東京都世田谷区北沢へ本社移転

2020年7月

東京都渋谷区円山町へ本社移転

 

株式会社ZOZOと資本業務提携契約を締結

2022年4月

事業譲受により株式会社KANDORが運営するファッションブランド「F-LAGSTUF-F」を取得

2022年8月

「Younger Song」をはじめとした複数のブランドを展開する株式会社A.Z.Rの株式を100%取得し完全子会社化

 

東京都世田谷区北沢へ本社移転

2022年10月

完全子会社の株式会社A.Z.Rを吸収合併

2022年11月

複数の自社ブランド商品を取り扱う統合ECサイト「YZ Store」の運営を開始

2023年12月

東京証券取引所グロース市場に株式を上場

 

 

3 【事業の内容】

1.事業の概要

当社は、主に衣料品及び雑貨等の企画並びにそれらの小売・卸売事業を行っております。なお、当社の事業は、衣料品及び雑貨等の企画及び販売に係る事業(以下「アパレル事業」)の単一セグメントであるため、セグメント別の記載をしておりません。

 

① ブランド運営

当社の事業は、Z世代(1997年から2009年に生まれた世代)を対象としたストリートファッションブランドを発端として、その後はストリートブランドに限らないファッションカテゴリーにおいて、アパレル商材の企画及び販売により規模を拡大してまいりました。新規ブランドの立ち上げのほか、第5期には、M&Aにより「F-LAGSTUF-F(フラグスタフ)」、「Younger Song(ヤンガーソング)」、「Wudge Boy(ワッジボーイ)」などのブランドを取得し、ブランド展開戦略の多様化を図っております。

また、当社のブランドは以下の4分類にすることができ、多様性に富んだブランドにより、多種多様なユーザーに対し、ファッションの提案をしています。これによりブランドのポートフォリオを構築し、会社全体として特定のブランドに左右されない安定的な売上の構築に努めております。

1.ティーンカルチャー

過去のトレンドアイテムをリバイバルし、現代カルチャーのエッセンスを取り入れながらブランドを展開するブランドカテゴリーです。

2.トレンド

株式会社ZOZOの運営する「ZOZOTOWN」での販売をメインに、流行をいち早く取り入れた手に取りやすいアイテムを展開するブランドカテゴリーです。

3.デザイナーズ

アパレル業界で著名なデザイナーやスタイリストのもと、コアなファンを獲得するブランドを展開するブランドカテゴリーです。

4.インフルエンサー

インフルエンサーがブランドディレクターを務め、個人の発信力も併せてブランドを運営しているブランドカテゴリーです。

 

主なブランド及びそのコンセプト等は以下のとおりであります。

ブランドロゴ

ブランド名

カテゴリー

対象

コンセプト


9090

(ナインティナインティ)

ティーン
カルチャー

10〜20代

メンズ・レディース

(2018年8月販売開始)

主に90年代のユースカルチャーをリバイバルしたデザインやカラーアイテムを展開しています。

 

 

ブランドロゴ

ブランド名

カテゴリー

対象

コンセプト


centimeter

(センチメーター)

ティーンカルチャー

10〜20代

メンズ

(2020年3月販売開始)

スケート、HIPHOPカルチャーを踏襲したストリートブランドであり、ブランドキャラクターのルーラーくんがプリントされたカットソーを中心に展開しています。


My Sugar Babe

(マイシュガーベイブ)

ティーンカルチャー

10〜20代

メンズ・レディース

(2020年12月販売開始)

西海岸のサーフファッションをコンセプトとしている。18歳〜24歳の若者をメインターゲットとし、海辺から街まで着ることのできる海外ストリート系ファッションとして、ロゴアイテムを中心に男女問わず着用できるアイテムを幅広く展開しています。


Younger Song

(ヤンガーソング)

インフルエンサー

10〜20代

メンズ

(2022年10月販売開始)

ストリートブランドとして、ファッション感度の高い若者が今着たいトレンドアイテムとロゴアイテムを中心に幅広い商品を展開しています。


PAMM

(パム)

デザイナーズ

20〜30代

レディース

(2020年9月販売開始)

テキスタイルデザインを得意とするファッションブランド「spoken words project」と協業したホームウェアブランド。オリジナルテキスタイルを強みにし、パジャマ・ニット商品、肌着など幅広く展開しています。


Wudge Boy

(ワッジボーイ)

インフルエンサー

10〜20代

メンズ・レディース

(2022年10月販売開始)

ミリタリーとワークテイストを持ち合わせたカジュアルブランドであり、男女問わず、着用できるアイテムを多く展開しています。


genzai

(ゲンザイ)

デザイナーズ

10〜20代

メンズ

(2021年4月販売開始)

ブランド名が示す「現在」とそこから逃げる、すなわち前に進むこと「逃走」をコンセプトに掲げるブランド。HIPHOPカルチャーを背景にしたストリートキッズをターゲットに独特なグラフィックがプリントされたカットソーを中心に展開しています。


nemne

(ネンネ)

トレンド

10〜20代

レディース

(2019年12月販売開始)

ガーリーからボーイッシュまで幅広いテイストのトレンドアイテムを低廉に展開するレディースブランドであり、Z世代をターゲットに、今欲しいトレンドアイテムをいち早くキャッチし、スピーディーに企画し、TikTokを中心としたSNSマーケティングをもって、幅広いアイテムを展開しています。

 

 

 

ブランドロゴ

ブランド名

カテゴリー

対象

コンセプト


HTH

(エイチティーエイチ)

インフルエンサー

10〜20代

メンズ・レディース

(2022年10月販売開始)

カジュアルなアイテムをベースに海外ストリートをミックスさせたスタイルで、ブランドのアイコンでもあり、男女問わず幅広く支持されているHTHオリジナルのインパクトのあるハートロゴのアイテムを中心に展開しています。


STUDENT APATHY

(スチューデントアパシー)

インフルエンサー

10〜20代

メンズ

(2022年10月販売開始)

「student apathy」とは、学生無気力症候群を指し、ディレクター本人の悩みからインスピレーションを受け、他にはない先駆的なアイテムやシルエットに拘ったアイテムを展開しています。


BADWAY

(バッドウェイ)

インフルエンサー

10〜20代

メンズ

(2022年10月販売開始)

アメカジを軸とした90年代ファッションと、モダンファッションが融合したジャンルレスなグランジストリートなアイテムを展開しています。

 


NG

(エヌジー)

ティーンカルチャー

10〜20代

レディース

(2021年10月販売開始)

他人より自分ウケをコンセプトに、レディース向けのストリートウェアを展開するブランド。平成ギャルをリバイバルした新しい「令和ギャル」のスタイルを展開しています。


BALLSY

(ボールジー)

インフルエンサー

10〜20代

メンズ

(2022年10月販売開始)

ミリタリー、ワーク、街並み、自然の配色様々なところからインスピレーションを得たブランド。生地、シルエット、ディテールにこだわった商品を展開しています。

 


Broken Base(ブロークンベース)

トレンド

10〜20代

メンズ・レディース

(2022年9月販売開始)

「city, outdoor, normcore」をコンセプトに、雑誌から切り出したようなシティボーイ、シティガールの世界観を発信し、トレンドに左右されないライフスタイルを提案し、都会とアウトドアを融合させたユニセックスアイテムを展開しています。


shesame

(シーセム)

インフルエンサー

10〜20代

メンズ・レディース

(2022年10月販売開始)

韓国ストリートを、ディレクターのフィルターを通し着回ししやすいよう提案しています。ユニセックスでも着ることのできるアイテムを中心に展開しています。

 

 

 

ブランドロゴ

ブランド名

カテゴリー

対象

コンセプト


BLESS U

(ブレスユー)

インフルエンサー

10〜20代

メンズ・レディース

(2022年10月販売開始)

トレンドのストリートとテックを掛け合わせたテックストリート商品を感度の高い若年層に展開しています。

 

 

 


camphor wood

(カンファーウッド)

インフルエンサー

10〜20代

メンズ・レディース

(2023年3月販売開始)

リラックスムード漂うアイテムを中心に展開しています。身頃に花の刺繍が大きく入ったシャツがブランドを象徴する商品を展開しています。

 

 


MIOOK

(ミック)

インフルエンサー

10〜20代

メンズ・レディース

(2023年6月販売開始)

男女で楽しめるフェスコーデを軸に、ミュージックシーンとのつながりを感じられるようなアイテムを展開しています。

 

 


THE INNER PEACE

(インナーピース)

ティーンカルチャー

10〜20代

メンズ・レディース

(2023年7月販売開始)

アメカジ×プレッピーをコンセプトにして、「内なる平和」を意味するINNER PEACEのロゴをメインに、カットソーやデニムなどのアイテムを展開しています。

 

 


F-LAGSTUF-F(フラグスタフ)

デザイナーズ

20〜30代

メンズ・レディース

(2022年4月販売開始)

デザイナーである村山靖行のもと、何にもとらわれないボーダレスな物づくり(Impartial to Everything)をコンセプトに、ミリタリーやアウトドアなどの要素を含んだ、プリントアイテムを豊富に展開しています。

 


LAVOILE(ラボワール)

デザイナーズ

10〜20代

メンズ・レディース

(2023年11月販売開始)

70~80年代のニュートラ・ハマトラを現代風にリバイバルしたトラディショナルな雰囲気で港町の空気感のある商品を展開しています。


GOAT ESSENCE(ゴートエッセンス)

デザイナーズ

10〜20代

メンズ・レディース

 

(2024年3月販売開始)

"Translating Our Desires to Yours" 「私たちの欲望をあなたのものへ」

私たちの欲望に満ちた服が、第三者の欲求や希望と共鳴し、あなたの欲望を満たすことを目指して、ボトムスを中心とした都会的モダンテックモードなアイテムを展開しています。

 

 

ブランドロゴ

ブランド名

カテゴリー

対象

コンセプト


GULL

(ガル)

 

ティーンカルチャー

10〜20代

メンズ・レディース

 

(2024年3月販売開始)

『Products with urban colors』をコンセプトにシンプルな“いなたさ”と都会テイストを軸に、シティガール、シティボーイがワードローブに加えたくなる都会的な彩りを纏うユニセックスアイテムを展開しています。


HIROKI TSUZUKI

(ヒロキ ツヅキ)

 

インフルエンサー

20〜30代

メンズ・レディース

 

(2023年11月販売開始)

お笑いトリオ「四千頭身」 都築拓紀が、まさにその時"着たい"と考えるアイテムを展開しています。

 


seeksole

(シークソール)

 

インフルエンサー

10〜20代

メンズ・レディース

 

(2024年1月販売開始)

seek :探し求める。sole:唯一

その人にとって唯一を探し求めることができ、日常のシチュエーションやその人自身のライフスタイルに落とし込んでほしいという願いを込めたブランドです。

シルエットにこだわったベーシックなアイテムを展開しています。


TACSS

(タックス)

 

インフルエンサー

10〜20代

レディース

 

(2024年3月販売開始)

“A Timeless Classic、Sophisticated Simplicity”(時代を超えたクラシック、洗練されたシンプルさ)

ベーシック且つシンプルさをベースとしながらライフスタイルに寄り添うアイテムを展開しています。


codegraphy

(コードグラフィー)

 

ティーンカルチャー

10〜20代

メンズ・レディース

 

(2024年3月販売開始)

Coding Our Dreams, Expressing our essence.

コードグラフィーは、多様な文化に溶け込んでいる革新的なコード(code)を再解釈し、視覚化(graphy)するブランドです。

時代の感覚を取り入れた独創的なストリートアイテムを展開しています。


minum

(ミニュム)

その他

10〜20代

レディース

 

(2024年3月販売開始)

「品質 × かわいい × 価格 すべてよくばりたい」をコンセプトに、新ミニサイズコスメアイテムを展開しています。

 

 

 

② 販売チャネル

当社の販売チャネルは、主に当社の複数のブランドを取り扱うプラットフォーム型の自社ECサイトである「YZ Store」での販売、株式会社ZOZOの運営する「ZOZOTOWN」での販売、POPUPや実店舗での販売、及び、国内外のセレクトショップへの卸販売が中心となっております。なお、それぞれの全体の売上に対する構成比は、自社EC39.5%、ZOZOTOWN32.3%、実店舗25.9%、卸販売2.1%(第6期、その他の売上が0.2%(注1))となっております。

YZ Storeでは複数ブランドを取り扱っており、YZ Store内の複数ブランドのセット購入を提案しております。またYZ Storeのアプリも展開し、顧客のエンゲージメントを高めています。さらに、YZ MEMBERS(会員プログラム)として、年間購入金額に応じたランクにより、会員先行セールやシークレットイベント招待、送料無料クーポンなどの特典を受けることができるプログラムも展開しております。

ZOZOTOWNでは、流行をいち早く取り入れた手に取りやすいアイテムを展開しています。当社商品のZOZOTOWNでのランキング入りを目指して、スピーディーな商品企画を意識しております。

実店舗では、SNSフォロワー数の多いインフルエンサーを店舗スタッフとして配置し、初期投資を抑えた30~40㎡ほどの小型の店舗で、当社の商品を展開しております。SNS集客の優位性を活かし、収益率の高い店舗を増やすことを目指しております。2024年3月末時点での店舗数は23店舗であります。

卸販売では、国内及び海外を問わず、より多くの感度の高い顧客にリーチするためにセレクトショップに当社商品を展開しております。

(注1)その他の売上には、自社EC、ZOZOTOWN、実店舗、卸販売に該当しない広告協賛売上等が含まれます。

 

2.事業の特徴

① SNSマーケティング

当社は、広告宣伝としてInstagramやTikTok等のSNSを利用したマーケティング活動に注力しております。当社商品のPRのため、ブランド公式アカウント(店舗公式アカウントを含む)、社内運用個人アカウント、外部のインフルエンサーアカウントをそれぞれ使い分け、SNSユーザーに訴求しています。ブランド公式アカウントでは、新商品の紹介等の投稿を行い、ブランドの世界観を伝えています。社内運用個人アカウントでは、当社のSNS担当者がその個人の視点から商品紹介及び商品の着用画像、動画を投稿し、よりSNSユーザーと密接なコミュニケーションを図っております。外部のインフルエンサーアカウントでは、特にZ世代に強い影響力を有するインフルエンサーに対して当社の視認性の高い商品を支給し、着用画像、動画を投稿していただくことにより、当社ブランド及び商品の認知度の向上、新規顧客の流入を図っております。なお、Instagram、TikTok、X(旧Twitter)におけるブランド公式アカウント及び社内運用個人アカウント(以下、総称して「社内運用アカウント」という)をそれぞれのSNSの特徴に最適化した運用をしております。

SNSにおけるフォロワー数は経営上の重要指標としており、フォロワー数の獲得拡大を目標にしております。2024年3月末日時点で、Instagramの社内運用アカウントのフォロワー数の合計は179.4万人であり、増加傾向が続いております。その他、TikTok、LINE公式アカウント、Xがあり、複数のSNSチャネルでファンの形成を図っております。

また、フォロワー以外のユーザーの認知拡大も重要と考えており、広告投資(ペイド広告)により、SNSユーザー全体へのリーチ数(SNSコンテンツがユーザーに表示された回数)をコントロールしております。SNSコンテンツの訴求効果については、プロフィールアクセス数を重要視しております。実際にSNSユーザーがそのブランド、商品に興味を持つと、まずSNSアカウントのプロフィールにアクセスして、ECサイトにアクセスするため、プロフィールアクセス数は重要な指標の一つと考えております。

上記のフォロワー数、リーチ数、プロフィールアクセス数を効果的に増加させるため、特にInstagramにおける投稿に力を入れており、社内運用アカウントにおける動画の制作に注力しており、広告宣伝効果及び投資効率の高い広告宣伝を行うことに努めています。

上記のとおり、当社はSNSを起点とした購買体験の設計することにより、最終的には自社ECサイトへアクセスいただき、気に入った商品を円滑に購買いただくことを目標にしており、ECサイトへの訪問者数の増加こそが購買者数の増加につながるものと考えております。

 

SNSによるマーケティング活動を行うことにより、販売開始前の需要予測、認知拡大が可能になることから、商品企画力の強化にもつながると考えております。SNSや展示会、過去のヒット商品をもとに今後の需要予測を行い、戦略的にSNSでプロモーションを行い、十分に認知拡散を行った後、販売開始をして売上を伸ばしていくことができます。その他のSNSマーケティング活動による効果として、社内運用アカウントからの発信により、認知拡散が生じ、ブランドのファンによるUGC(注1)としてのコミュニティの形成も認められます。企業による広告投稿ではなく、一般ユーザーによって、UGCとして制作、生成されたコンテンツの投稿が増え、それにより更に認知度及び人気も向上する好循環が生まれます。

(注1)UGC:User Generated Contentsの略。企業による広告投稿ではなく、一般ユーザーによって制作、生成されたコンテンツの投稿として、当社のブランド及び商品に係る感想、コメントの投稿を意味しています。

 

② NICOモデル

当社は、Z世代の熱狂を獲得する競争力の源泉として「NICOモデル」によるブランド企画、商品企画及び開発を行っております。それぞれ以下の頭文字を取り「NICOモデル」としています。

N:Niche

ニッチだが熱量のある領域を選定しております。

I:Item

そのブランド領域におけるアイコニックな商品として認知されるよう商品企画を図っております。

C:Collabo

インフルエンサーとのコラボレーションやデザイナー等と協業して、社内にはない新しいデザインを提案しています。

O:Offline

実店舗やPOPUPの展開により販路拡大とブランドのファンとの交流によるファンの固定化を図っております。

 

③ 自律分散型ブランド運営

当社は、各ブランドが自走して自ら利益を獲得できるようにするため「Yリーグ(注1)」という制度を導入して、ブランドごとの採算を管理しております。ブランドの成長ストーリーを全社的に定量的に示すことで、各ブランドの担当者にとって分かりやすい目標となり、かつ、撤退基準を明確にすることで迅速で合理的な意思決定ができるようにしており、定量的な判断のもと損失を最小限に止める体制を目指しております。また、各ブランドにおける投資はブランドごとの自主的な意思決定を尊重しており、ブランドの個性を活かして機動的に行っております。一方で、ブランドごとの売上等の進捗状況や企画・販売戦略を全社で共有する会議を週次で開催しており、特定のブランドで効果を発揮した施策を他ブランドでも展開可能か検討しております。

そして、各ブランドで商品企画を担当するブランドディレクターには、消費者目線を持つことができるようにするため、そのブランドのターゲット層(主にZ世代)と年齢的に近いスタッフを配置しております。また、新規ブランドや新商品を企画したスタッフがそのまま、ブランドの立ち上げ、商品開発にも携わるため、ブランド運営の経験は浅くとも当事者意識を高く持ち、取り組むことができます。その結果、流行が移り変わりやすいアパレル業界においても、適時に需要に応じた商品を企画することができます。

 

当社の従業員(臨時雇用者を除く)の平均年齢は25.7歳(2024年3月末時点)であり20代の若手従業員が半数以上を占めていること、及び、本社勤務の従業員のうち50%がクリエイティブ(ブランドディレクター)を担当しており、クリエイティブ業務に携わるメンバーが豊富に集まっていることも当社の特長の一つと言えます。

(注1)Yリーグ:ブランドごとの月間平均売上金額に応じて、Y5からY1の5段階で各ブランドを以下のフェーズに応じてランク付けする社内の制度であります。ブランドを立ち上げて1年で損益分岐点であるY4に到達しない場合は、原則として撤退するものとしています。
Y5:立ち上げ期(700万円未満)
Y4:確立期(700万円以上1,500万円未満)
Y3:グロース期(1,500万円以上2,500万円未満)
Y2:ハイグロース期(2,500万円以上4,000万円未満)
Y1:定着期(4,000万円以上)

 

[事業系統図]

当社の事業を事業系統図によって示すと以下のとおりとなります。

 


 

 

4 【関係会社の状況】

 

名称

住所

資本金

(百万円)

主要な事業

の内容

議決権の所有(又は被所有)

割合(%)

関係内容

(その他の関係会社)

株式会社ZOZO

(注)1、2

千葉県千葉市

稲毛区

1,359

ファッションECサイトの運営等

19.2

役員の兼任、当社へのサービス提供

ソフトバンクグループ株式会社(注)1、2

東京都港区

238,772

持株会社

19.2

(19.2)

ソフトバンクグループジャパン株式会社(注)2

東京都港区

188,798

持株会社

19.2

(19.2)

ソフトバンク株式会社(注)1、2

東京都港区

214,393

通信業

19.2

(19.2)

当社へのサービス提供

Aホールディングス株式会社(注)2

東京都新宿区

100

持株会社

19.2

(19.2)

LINEヤフー株式会社(注)1、2

東京都千代田区

248,144

グループ会社の経営管理、並びにそれに付随する業務

19.2

(19.2)

当社へのサービス提供

Zホールディングス中間株式会社(注)2

東京都千代田区

持株会社

19.2

(19.2)

 

(注)1.有価証券報告書の提出会社であります。

2.「議決権の所有割合」は、各社が直接所有する議決権の比率及び間接所有する議決権の比率の合計となっており、( )内は、間接所有する比率を内数で記載しております。

 

 

5 【従業員の状況】

(1)提出会社の状況

2024年3月31日現在

 

 

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

70

(72)

25.7

111カ月

4,690

 

 

当社はアパレル事業の単一セグメントであるため、事業部門別に記載しております。

事業部門の名称

従業員数(人)

ブランド事業本部

19

(6)

事業推進本部

43

(66)

コーポレート本部

(0)

合計

70

(72)

 

 (注)1.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数(契約社員、アルバイト)は、最近1年間の平均人員を( )外数で記載しております。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3.前事業年度末に比べ従業員数が27名増加しております。主な理由は、店舗の拡大に伴い期中採用が増加したことによるものであります。

 

(2)労働組合の状況

 当社の労働組合は、結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。

 

(3)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

 当社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。