第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ビジョン

 「世の中にない新たなサービスを創り出し、社会の役に立つ」

 

(2)事業コンセプト

 「From the Stations~駅から始めよう~」

 事業コンセプトにあります「Stations」とは、鉄道の駅だけではなく、バスの停留所、MaaS(Mobility as a Service)基地など、今後MaaS領域で展開されるマルチモーダルの「起点・中継点・終点」を指し示しています。「Stations」を基点に、高齢化、過疎化、都市への人口集中などの社会問題や、新型コロナウイルス感染症により生じたライフスタイルの変化を捉えて、人々の健康で活き活きした生活を支え、社会の役に立つサービスを創り出していきます。

 

(3)経営環境

 新型コロナウイルス感染症による度重なる感染拡大により、人の移動や経済活動が制限され、当社グループにおいても事業に大きな影響をもたらしましたが、その状況は終息傾向に向かっており、状況は改善していることから、当社グループを取り巻く環境も回復傾向にあります。

 また、当社の主要事業である乗換案内事業は、日常生活での人々の移動をサポートする、利用頻度の高いサービスとして世の中に広く定着しておりますが、コモディティ化やwithコロナ、afterコロナによるニューノーマルへの生活者の意識・行動の変化によって、乗換案内の有料会員サービスの収益が継続的に減少しており、新たな柱となる事業創出が急務となっております。

 

(4)経営戦略

 このような事業環境下において、中期経営計画に従い、当社グループの事業資産を最大活用し、「地域の生活者のニーズ」と「地域の事業者の提供サービス」を結びつけ、新たな収益の柱を創出する、各事業セグメントを包括する取り組みである「地域マーケティングプラットフォーム(以下、「RMP(Regional Marketing Platform)」という。)」構想を掲げ、この実現に向けて、以下の事業戦略を推進してまいります。

 

①RMP戦略

 当社の事業資産である乗換案内サイトの「駅探ドットコム」、乗換案内アプリの「駅探アプリ」のRMP化を推進してまいります。具体的には、地域コンテンツと移動サポートコンテンツを追加、強化を行い、ユーザーが目的地への行き方を調べ、目的地でのアクティビティをより有意義なものにすることで、日本ナンバーワンの地域メディアを目指します。

 地域コンテンツの強化としては、2024年5月13日に公表しましたとおり、「観光・おでかけスポット、ホテル、飲食施設、不動産」の生活情報約98万件を追加いたしました。今後もスポット、リリース情報の追加を予定し、更なる情報の充実化を図ってまいります。

 また、乗換案内関連の既存サービスに、RMPに関する新たなサービス、ソリューションを加え、自治体、地域事業者に提供を行ってまいります。

 新サービスとしては、2023年11月13日に公表しましたとおり、LINEを活用した販売促進ツール「LIneON(ラインオン)」のサービス提供を開始いたしました。今後も、自治体、地域事業者に有益なサービス、ソリューションの拡大を図ってまいります。

 

②M&A・アライアンス戦略

 「RMP構想実現に貢献し、新たな柱となる事業体」「収益拡大に貢献する新たなスキル・事業資産を持った事業体」「安定的な収益でグループのキャッシュカウとなる事業体」を対象とし、事業戦略の加速化、ポートフォリオの強化を推進してまいります。

 

(5)目標とする経営指標

 当社グループは、営業利益、EBITDAを重要な経営指標と考えており、中期経営計画の数値達成に向け、「RMP」構想の実現を目指してまいります。

 

(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 中期経営計画達成のためには、以下の事項を重要課題と捉え、その対応に引き続き取り組んでまいります。

 

①RMP構想の実現

 当社事業資産である乗換案内メディア及びその基盤となる技術や顧客資産を活用したRMP構想具体化による新たな収益源創出に取り組んでおります。地域コンテンツと移動サポートコンテンツを追加・強化しうる駅探メディアのRMP化や、自治体や地域事業者を主なターゲットとして法人向けのRMPソリューション提供等の取り組みを行ってまいります。

 

②M&A・各種提携による事業ポートフォリオ強化

 RMP構想実現のための技術・人材リソースの獲得、RMP収益の拡大及びグループとしての安定収益確保の観点から、M&A、各種提携の更なる推進を行い、事業ポートフォリオの強化を行ってまいります。

 

③人材の確保と育成

 RMP構想を実現し、中期経営計画を達成するために、豊かな経験と高いスキルを持つ人材や、潜在能力の高い人材の獲得に向けて採用活動を行うとともに、社員の役割に見合ったスキルの獲得のための育成施策の実施、評価制度の改善を通じ、社員の総合的な能力を高めてまいります。あわせて、テレワークの環境整備や各種制度の改善により、社員がその能力を十分に発揮でき、モチベーションを高められる環境整備に取り組んでまいります。

 

④グループガバナンス体制の強化

 当社グループの業容拡大に伴う業務の増大に対応して、内部統制の仕組みを改善し、連結子会社を含む当社グループ全体のコーポレート・ガバナンス体制を強化してまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 当社グループは、環境、社会、経済の視点に立ち、持続的な企業価値向上を目指す、サステナビリティ経営を実践してまいります。

 当社グループ戦略の中核を占める、中期事業構想「RMP」構想は、地域軸でユーザーとサービスを繋げることをコンセプトとしております。正確なモビリティ情報提供による移動の効率化と移動資源削減、地域経済発展への寄与による地域貢献、MaaS(Mobility as a Service)サービスによる交通弱者対策等の事業活動を通して、当社グループは環境、社会、経済の発展へ寄与してまいります。

 

(1)ガバナンス及びリスク管理

 企業を取り巻く環境が大きく変化している中で、当社グループは、サステナビリティをめぐる課題への対応が経営の重要課題であると認識し、それらを経営に取り込むことにより、持続的な社会の実現と企業価値の向上を目指しております。当社は、当社グループにおけるサステナビリティへの取り組みを一層強化し、当社グループの持続的成長を実現するため、「サステナビリティ委員会」を取締役会の決議により、2023年9月1日付で設置しております。

 サステナビリティ委員会は、代表取締役社長を委員長とし、委員は取締役会が選任したメンバー(常勤取締役、社外取締役、社外監査役及び部門長)により構成されております。サステナビリティ委員会は、当社グループのサステナビリティに関する基本方針や重要課題(マテリアリティ)の特定、リスクと機会の検討を行い、概要となる施策を定め、担当する部門が実施した施策に対して、進捗状況の管理を行っております。当事業年度においてサステナビリティ委員会は5回開催されております。

 

(2)人的資本にかかる戦略、指標及び目標

当社グループは、持続的な成長を実現するためには、社員一人一人が、それぞれのバックグラウンドやライフステージの違いを越え、ワークライフバランスを充実し、能力を発揮することが重要と考え、リモートワーク等の多様な働き方を実現する制度やそれを下支えする情報システムの導入や改善をすすめております。当該施策に対する指標並びにその目標及び実績は次のとおりです。

指標

目標

実績(当連結会計年度)

リモートワーク実施率

80

65

育児休暇取得率

女性100%

男性 50%

女性100%

男性0%

※概ね週に1回以上の頻度でリモートワークを実施した社員の割合

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書において記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

①乗換案内有料課金サービスのコモディティ化

 当社主要サービスである乗換案内サービスは、その収益の多くを有料課金に依存しておりますが、近年、Google社をはじめとしたメガプレイヤーが無料で乗換案内関連情報を提供するなど、サービスのコモディティ化が急速に進んでおります。当社グループでは、有料課金サービス中心のビジネスモデルから、当社事業資産である乗換案内メディア及びその基盤となる技術や顧客資産を活用したRMP構想具体化による新たなビジネスモデルへの転換をすすめておりますが、コモディティ化が当社の予測を超えて進行した場合、当社グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループではビジネスモデル転換と並行しグループ全体としてのポートフォリオ強化や安定的な収益確保にむけた施策を実施してまいります。

 

②発信情報の誤謬

 当社乗換案内やMaaS、出張予約等のサービスは、提携先から受領したデータを当社独自のロジックで加工、外部システムと連携するなどし、消費者や企業へサービスを提供しております。受領データの誤謬、ロジックの誤りによる消費者や企業へ提供するサービス精度の低下、データ形式の変更や外部システムの仕様変更へ対応した当社システム改修費用増が、当社グループの事業業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは情報の品質・精度を管理し、向上させるための体制や運用ルールを構築するとともに、オフショア開発を含めた開発体制の見直しによるシステム開発費の低減等の施策を進めております。

 

③人材の確保

 当社グループがRMP構想を実現し、持続的成長を実現していくためには、技術者をはじめとする事業人材、マネジメントや経営人材等幅広い領域におけるプロフェッショナルな人材が必要です。当社グループでは人材紹介会社やM&Aの活用などを通じた人材獲得や社内登用を図ってまいりますが、適切な人材が十分に確保、育成できない場合は、中期経営計画の達成伸度の鈍化など、当社グループの事業運営や業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、広く採用活動を行っているほか、技術等の習得のための勉強会の開催、働き方改革を通した勤務環境の向上等、様々な施策を通じて人材の確保・育成に努めております。

 

④M&Aや新事業への投資

 当社グループは、中期経営計画を達成し、グループの成長を実現するために、M&Aや新事業への投資を行ってまいります。事前にリスクを把握・回避するために、対象となる企業のデューデリジェンスを実施しリスク回避に努めておりますが、買収後に偶発債務等の発生が判明した場合、対象会社の当初想定した収益計画を達成できない場合などには、当社グループの業績及び財務状況に影響をおよぼす可能性があります。

 当社グループでは、M&Aや投資を実施するにあたり、中期事業戦略との整合性や買収プロセスの透明性の確保をすることで、リスクが生じる可能性の低減に努めております。

 

⑤グループガバナンス

 当社グループは、グループの成長を実現するために、M&Aや新事業への投資を行ってまいりますが、投資先企業には十分なガバナンス体制が準備されていない小規模企業が含まれる可能性があります。当社グループにおけるグループガバナンスが不十分であった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響をおよぼす可能性があります。当社グループでは、グループガバナンス強化を主要課題と位置付け、グループ会社の業務遂行及び内部管理の支援等の施策を実施してまいります。

 

⑥法規制

 当社グループでは、RMP構想の一環として、広告関連サービスの拡大に注力しております。広告配信時には配信内容の審査をしておりますが、「不当景品類及び不当表示防止法」(景品表示法)、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(薬機法)等へ抵触する、消費者に誤解を与えるまたは社会的に不正とみなされる広告の配信がされた場合、当社グループの広告商材の信頼性が低下し、当社グループの業績及び財務状況に影響をおよぼす可能性があります。広告関連サービスにおいては、関連法規に専門性のある弁護士と協議のもと法令等に則った広告掲載基準を設定し、適正な広告配信を行ってまいります。

 

⑦情報セキュリティ

 当社グループは乗換案内におけるユーザー情報や顧客から委託された個人情報等、様々な個人情報を有しております。これらの個人情報が漏洩した場合、信用の失墜や損害賠償請求等により当社グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、情報セキュリティに関する各種規程を整備・運用し、役職員への教育研修等を通じて、情報及び情報機器の適正な取扱いを浸透させています。また、当社グループでは、ネットワークセキュリティ等を強化することで、当社グループ情報システムのデータ損失や漏洩への対策を進めています。

 

⑧自然災害・事故

 当社グループは、各種サービスを運営するためコンピュータシステムを使用しており、取引先やデータセンターのシステムとネットワークで接続されています。ネットワーク障害や、地震、台風等の不慮の災害、大規模停電、テロ、戦争等によりデータセンターを含むコンピュータシステムの停止、誤作動等が発生した場合、業務遂行に支障が生じる可能性があります。また、財務システムの停止により、財務報告が正常に行えなくリスクがあります。当社グループは、日頃よりシステムの安定稼動の維持に努めるとともに、情報システム基盤改善を検討・実施しております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

[経営成績等の概要]

(1)経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症が5類に移行するなど、感染拡大防止のための行動制限緩和によって経済社会活動の正常化が進展したものの、不安定な国際情勢の中、原材料価格やエネルギー価格の高止まり、円安を背景とした物価上昇など、経済動向は引き続き先行き不透明な状況にあります。

 このような状況の中、当連結会計年度においては、当社グループの柱であります乗換案内等の有料会員サービスは、コモディティ化等の市場環境の影響による有料会員の減少傾向に伴い、当サービスにおける収益は継続的に減少しており、新たな柱となる事業創出、ポートフォリオ強化が急務となっております。その一環として、2022年11月にプラウドエンジン株式会社、2023年4月に株式会社駅探I&Iを連結子会社にしたことにより、売上高は大幅に増加しました。

 一方、利益面では、第2四半期連結累計期間までは、有料会員サービス収益の減少、株式会社サークアの取り巻く環境の厳しさが増したことが影響し、低調な業績となりました。しかし、第3四半期連結会計期間において、株式会社サークアにおける体制見直しや経費圧縮によるコスト削減の実施、また、新たなジャンルの商材による収益貢献もあり、株式会社サークア単体における業績は黒字化を実現いたしました。更に、チケットレス出張手配サービス「BTOnline」の改修作業の収束、のれん等の無形固定資産の減損による減価償却費の圧縮があり、第3四半期連結会計期間以降におけるグループ全体の営業利益は97,741千円、経常利益は99,034千円と大幅に改善いたしました。

 親会社株主に帰属する当期純利益については、当連結会計年度において、乗換案内サービス、株式会社サークア及び新規サービスであります「駅探PICKS」の将来キャッシュ・フローの見積りを行った結果、のれん等の無形固定資産の回収は困難であると判断し、855,627千円の減損損失を特別損失に計上したため、大幅な赤字計上となりました。

 この結果、当連結会計年度における売上高は4,038,300千円(前年同期比26.0%増)、EBITDAは184,667千円(前年同期比37.8%減)、営業利益は23,623千円(前年同期比77.5%減)、経常利益は27,457千円(前年同期比73.7%減)、親会社株主に帰属する当期純損失は736,292千円(前年同期は89,827千円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 なお、株式会社駅探I&Iを設立したことに伴い、当連結会計年度より、M&A・インキュベーション事業セグメントを追加しております。

①モビリティサポート事業

 当連結会計年度における当セグメント利益は、乗換案内サービスのコモディティ化による継続的な有料会員の減少に伴い、減益となりました。

 当連結会計年度では、前述した継続的な有料会員の減少に加え、前連結会計年度で対応しておりましたチケットレス出張手配サービス「BTOnline」の改修作業の追加コストが生じたため、減収減益となりました。

 この結果、売上高は1,485,549千円(前年同期比6.9%減)、EBITDAは380,042千円(前年同期比26.3%減)、セグメント利益は323,554千円(前年同期比29.3%減)となりました。

②広告配信プラットフォーム事業

 当連結会計年度における当セグメント利益は、株式会社サークアにおいて、体制見直しや経費圧縮によるコスト削減の実施、また、新たなジャンルの商材による収益貢献もあり、単体における業績は黒字化したことにより、大幅に改善いたしました。

 当連結会計年度では、前第3四半期連結会計期間からプラウドエンジン株式会社を当セグメントに追加した一方で、株式会社サークアにおいては、改善の傾向は見られるものの、薬機法の改正やその取り巻く環境が厳しくなった影響が大きく、減収となりました。利益面では、前述したとおり、第3四半期連結会計期間において、株式会社サークアによるコスト削減、新ジャンルの商材による収益貢献もありましたが、第2四半期連結累計期間で発生しましたのれん等の償却費をカバーするまでには至らず、セグメント損失となりました。

 この結果、売上高は1,486,001千円(前年同期比7.7%減)、EBITDAは22,530千円(前年同期比66.3%減)、セグメント損失は55,545千円(前年同期は61,499千円のセグメント損失)となりました。

③M&A・インキュベーション事業

 当連結会計年度における当セグメントの業績は、売上高1,071,286千円、EBITDA73,951千円、セグメント利益51,998千円となりました。なお、当セグメントは、2023年4月25日付で株式会社駅探I&Iを設立したことに伴い、新たに追加したものであり、比較すべき前連結会計年度の金額が存在しないため、当連結会計年度に発生した金額のみ記載しております。

 

(2)財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末における流動資産は2,109,795千円となり、前連結会計年度末に比べ241,220千円増加しました。固定資産は625,373千円となり、前連結会計年度末に比べ658,999千円減少しました。この結果、総資産は2,735,168千円となり、前連結会計年度末に比べ417,779千円減少しました。

 

(負債)

 当連結会計年度末における流動負債は666,983千円となり、前連結会計年度末に比べ228,843千円増加しました。固定負債は368,147千円となり、前連結会計年度末に比べ141,313千円増加しました。この結果、負債合計は1,035,130千円となり、前連結会計年度末に比べ370,157千円増加しました。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は1,700,038千円となり、前連結会計年度末に比べ787,936千円減少しました。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ100,405千円減少し、1,324,577千円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、141,944千円の収入(前年同期は63,211千円の収入)となりました。これは主に、減損損失855,627千円、税金等調整前当期純損失839,423千円及び減価償却費114,780千円があったことなどによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、161,303千円の支出(前年同期は265,555千円の支出)となりました。これは主に、短期貸付金の回収による収入112,500千円、新規連結子会社の取得による支出97,102千円、無形固定資産の取得による支出89,352千円及び短期貸付けによる支出67,500千円があったことなどによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、81,046千円の支出(前年同期は452,250千円の支出)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出68,421千円、配当金の支払額67,625千円及び長期借入れによる収入60,000千円があったことなどによるものです。

 

[生産、受注及び販売の実績]

(1)生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

  至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

モビリティサポート事業(千円)

51,021

87.9

広告配信プラットフォーム事業(千円)

M&A・インキュベーション事業(千円)

39,022

合計

90,043

155.1

(注)1.広告配信プラットフォーム事業においては、主に広告配信サービスの提供を行っており、生産実績を定義することが困難であるため、記載しておりません。

2.株式会社駅探I&Iを設立したことに伴い、当連結会計年度より、M&A・インキュベーション事業セグメントを追加しております。

 

(2)受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

モビリティサポート事業

72,498

101.6

4,410

32.3

広告配信プラットフォーム事業

M&A・インキュベーション事業

97,792

412

合計

170,291

238.7

4,822

35.3

(注)1.広告配信プラットフォーム事業においては、主に広告配信サービスの提供を行っており、受注実績を定義することが困難であるため、記載しておりません。

2.当連結会計年度において受注残高に著しい変動がありました。これは、モビリティサポート事業においてチケットレス出張手配サービス「BTOnline」関連の受託業務が減少したこと等によります。

3.株式会社駅探I&Iを設立したことに伴い、当連結会計年度より、M&A・インキュベーション事業セグメントを追加しております。

 

(3)販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

  至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

モビリティサポート事業(千円)

1,485,549

93.1

広告配信プラットフォーム事業(千円)

1,486,001

92.3

M&A・インキュベーション事業(千円)

1,071,286

調整額

△4,537

合計

4,038,300

126.0

(注)1.各セグメントの販売実績は、セグメント間の内部取引高を含んでおり、調整額でセグメント間取引の合計額を消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。なお、当連結会計年度における株式会社アップデイトに対する販売実績は、連結損益計算書の販売実績の10%未満であるため、記載を省略しております。

相手先

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

株式会社NTTドコモ

660,409

20.6

583,587

14.5

株式会社アップデイト

340,042

10.6

3.株式会社駅探I&Iを設立したことに伴い、当連結会計年度より、M&A・インキュベーション事業セグメントを追加しております。

 

[経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容]

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等の分析

イ.経営成績

 当連結会計年度の経営成績は、売上高4,038,300千円(前年同期比26.0%増)、営業利益23,623千円(前年同期比77.5%減)、経常利益27,457千円(前年同期比73.7%減)、親会社株主に帰属する当期純損失736,292千円(前年同期は89,827千円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。

(単位:千円)

 

 

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失(△)

2024年3月期

4,038,300

23,623

27,457

△736,292

2023年3月期

3,206,085

105,084

104,496

89,827

増減率(%)

26.0

△77.5

△73.7

 

(売上高)

 当社グループの柱であります乗換案内等の有料会員サービスは、コモディティ化等の市場環境の影響による有料会員の減少傾向に伴い、当サービスにおける収益は継続的に減少しており、新たな柱となる事業創出、ポートフォリオ強化が急務となっております。その一環として、2022年11月にプラウドエンジン株式会社、2023年4月に株式会社駅探I&Iを連結子会社にしたことにより、グループ全体の売上高は、前年同期比26.0%増となりました。

(単位:千円)

 

 

モビリティサポート

事業

広告配信プラット

フォーム事業

M&A・インキュベーション事業

2024年3月期

1,483,895

1,485,518

1,068,886

4,038,300

2023年3月期

1,595,863

1,610,222

3,206,085

増減率(%)

△7.0

△7.7

26.0

 

・モビリティサポート事業

 乗換案内等の有料会員サービスにおいて、コモディティ化等の市場環境の影響による当サービスの売上高が減少した結果、前年同期比で7.0%減となりました。

 

・広告配信プラットフォーム事業

 前第3四半期連結会計期間からプラウドエンジン株式会社を当セグメントに追加した一方で、株式会社サークアにおいて、薬機法の改正やその取り巻く環境が厳しくなった影響が大きく、前年同期比で7.7%減となりました。

 

・M&A・インキュベーション事業

 当連結会計年度における当セグメントの業績は、売上高1,068,886千円となりました。なお、当セグメントは、2023年4月25日付で株式会社駅探I&Iを設立したことに伴い、新たに追加したものであり、比較すべき前連結会計年度の金額が存在しないため、当連結会計年度に発生した金額のみ記載しております。

 

(営業利益、経常利益)

 ポートフォリオの強化として実施いたしましたプラウドエンジン株式会社及び株式会社駅探I&Iの子会社化により増益となりましたが、利益率の高い有料会員サービスの売上高減少分を補うには至らず、また、チケットレス出張手配サービス「BTOnline」における改修コストが増加したため、グループ全体では減益となりました。この結果、営業利益は前年同期比77.5%減、経常利益は前年同期比73.7%減となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失)

 乗換案内サービス、株式会社サークア及び新規サービスであります「駅探PICKS」の将来キャッシュ・フローの見積りを行った結果、のれん等の無形固定資産の回収は困難であると判断し、855,627千円の減損損失を特別損失に計上したこと等により、親会社株主に帰属する当期純損失は736,292千円(前期は89,827千円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。

 

ロ.財政状態

(資産)

 当連結会計年度末における流動資産は2,109,795千円となり、前連結会計年度末に比べ241,220千円増加しました。これは主に、受取手形、売掛金及び契約資産の増加193,544千円、流動資産「その他」の増加101,169千円及び、現金及び預金の減少56,093千円によるものであります。固定資産は625,373千円となり、前連結会計年度末に比べ658,999千円減少しました。これは主に、のれんの減少319,332千円、ソフトウエアの減少264,481千円によるものであります。この結果、総資産は2,735,168千円となり、前連結会計年度末に比べ417,779千円減少しました。

 

(負債)

 当連結会計年度末における流動負債は666,983千円となり、前連結会計年度末に比べ228,843千円増加しました。これは主に、流動負債「その他」の増加136,216千円、1年内返済予定の長期借入金の増加66,691千円によるものであります。固定負債は368,147千円となり、前連結会計年度末に比べ141,313千円増加しました。これは主に、長期借入金の増加201,250千円、繰延税金負債の減少110,272千円によるものであります。この結果、負債合計は1,035,130千円となり、前連結会計年度末に比べ370,157千円増加しました。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は1,700,038千円となり、前連結会計年度末に比べ787,936千円減少しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失736,292千円、剰余金の配当67,864千円によるものであります。この結果、自己資本比率は62.2%となり、前連結会計年度末に比べ16.8ポイント低下しました。

 

b.経営成績に重要な影響を与える要因

 「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

(2)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ100,405千円減少し、1,324,577千円となりました。当連結会計年度の区分ごとのキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フロー141,944千円、投資活動によるキャッシュ・フロー△161,303千円、財務活動によるキャッシュ・フロー△81,046千円であります。

 当社グループの主な資金需要は、人件費や外注費等の売上原価の支払、販売費及び一般管理費の支払、配当金の支払、借入金の返済及び法人税等の支払等であります。また、事業戦略として、M&Aによる事業拡大を推進しており、有望な案件があれば投資を実行してまいります。これらの必要な資金に関しては、自己資金により充当し、大型投資の資金は必要に応じて金融機関からの借入等により資金調達することを基本方針としております。

 当連結会計年度末現在、借入金の残高は367,941千円であります。また、当社は、取引銀行と当座貸越契約を締結しており、当連結会計年度末における当座貸越契約の極度額の総額は500,000千円であり、借入実行残高はありません。

 

(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

(1)時刻表データに関する契約

相手方の名称

契約名称

契約内容

契約期間

株式会社交通新聞社

時刻情報使用許諾契約書

JR各社の時刻表データをパソコン向けに使用することの許諾契約

2004年5月1日から2005年4月30日まで。特段の申し出がない限り、1年間の自動継続

時刻情報使用許諾追加契約書

JR各社の時刻表データを携帯電話等、パソコン以外で使用することの許諾契約

2004年5月1日から2005年4月30日まで。特段の申し出がない限り、1年間の自動継続

 

(2)携帯電話向けの情報提供に関する契約

相手方の名称

契約名称

契約内容

契約期間

株式会社NTTドコモ

iモード情報サービス提供者契約書

公式サイトとしてのコンテンツ提供

2000年1月31日から2000年3月31日まで。特段の申し出がない限り、1年間の自動継続

iモードサービスに関する料金収納代行回収契約書

公式サイト月額利用料の回収代行

2000年1月31日から2000年3月31日まで。特段の申し出がない限り、1年間の自動継続

スゴ得コンテンツに関する契約書

スゴ得コンテンツへのコンテンツ提供

2013年6月4日から2018年6月3日まで。特段の申し出がない限り、1年間の自動継続

KDDI株式会社

コンテンツ提供に関する契約書

公式サイトとしてのコンテンツ提供

2000年9月25日から2001年3月31日まで。特段の申し出がない限り、6ヶ月間の自動継続

情報料回収代行サービスに関する契約書

公式サイト月額利用料の代行回収

2000年11月1日から2001年3月31日まで。特段の申し出がない限り、6ヶ月間の自動継続

ソフトバンク株式会社

コンテンツ提供に関する基本契約書

公式サイトとしてのコンテンツ提供

2000年11月1日から2001年3月31日まで。特段の申し出がない限り、1年間の自動継続

債権譲渡契約書

公式サイト月額利用料の債権をソフトバンク株式会社に対して譲渡する契約書

2000年11月1日から2001年3月31日まで。特段の申し出がない限り、1年間の自動継続

 

(3)資本・業務提携に関する契約

相手方の名称

契約名称

契約内容

契約期間

株式会社

Bold Investment

提携合意書

1.株式会社Bold Investment及び当該企業グループと当社の連携・協業等を通じ、当社中期経営計画の実現に向けて、両社で協力を行う

2.株式会社Bold Investmentは、当社取締役会にて指名された取締役候補者の選任議案が株主総会に上程された場合原則として賛成の議決権行使を行い、当社の取締役会にて指名された者以外の取締役候補者の選任議案については、原則として賛成の議決権行使をしない

 

(4)合弁会社の設立及び合弁会社による株式取得に関する契約

 当社は、2023年4月20日開催の取締役会において、株式会社アイティエルホールディングス(以下、「ITLHD社」という。)との間で合弁会社設立に関する契約を締結するとともに、ITLHD社の完全子会社である、グロースアンドコミュニケーションズ株式会社、株式会社サイバネット及び株式会社アイティジェイの全株式を新設される合弁会社が取得する旨の基本合意書の締結を決議いたしました。なお、2023年4月25日付で株式会社駅探I&Iを設立し、株式会社駅探I&IがITLHD社との間で株式譲渡契約を締結し、2023年4月28日付で株式を取得しました。

 詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。