当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において、当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)が判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、売上高、営業利益の最大化を通じて、すべてのステークホルダーに大きな価値を還元していきます。そのためにも、常に時代とユーザーに合わせて変化し続け、事業の拡大を目指します。
(2)目標とする経営指標
当社グループが重要と考える経営指標は、売上高(取扱高)及び営業利益であります。主軸事業はEC事業であり、その中でも『SHOPLIST.com by CROOZ』(以下、SHOPLIST事業)が主力となります。SHOPLIST事業は、低価格で良質なファストファッション商材の取扱いに特化し、また会員属性も20-30代を中心とした女性という特異なポジショニングを確立しており、今までは広告プロモーション投資の効率化、探しやすさや購入前と後のギャップをゼロにするべくサイトのユーザビリティ向上、配送効率の徹底的な見直しを含めた物流インフラの強化等のコスト改善や業務効率の改善及び組織体制の整備に注力してきましたが、今後は更なる拡大を目指し、取扱高を再度成長軌道に乗せていくための施策に注力していきます。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社は、「20XX年までに時価総額1兆円以上」という超長期的目標を掲げ、2018年5月10日をもって全ての事業を子会社化し、純粋持株会社となりグループ経営へと移行しております。この超長期的目標を最速で実現するべく、次世代の事業と経営者の誕生と成長、永遠のベンチャースピードを手に入れるための仕組み「CROOZ永久進化構想」を活用し、より多くの起業家を育成し、SHOPLIST事業を軸に、ショッピングやゲームなどのエンターテイメント領域を中心に、常に時代の変化に合わせて幅広くインターネットサービスを展開してまいります。
主軸事業であるSHOPLIST事業の中長期的な重要指標としては、年間ユニーク購入者数500万人、一人あたり年間購入金額20,000円、この2つの重要指標をシンプルに追求してまいります。
また、今後は既存事業のメディア事業と新規事業であるGameFi分野にも注力してまいりますが、特にGameFi分野 のブロックチェーンゲームについては、国内だけでなくグローバルな市場であり、将来的に大きな利益をもたらす 可能性があるため、当社が今までゲーム開発で培ってきたノウハウ等を総動員して、その成功確度を高めていきた いと考えております。
当社グループとして、今後の第二・第三の事業の柱となる事業を生み出すべく、既存事業への投資及び新規事業のチャレンジを継続してまいります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、インターネット業界における、ハードウェア、ソフトウエアの進化、ユーザーの嗜好の変化、他業界からの新規参入等の様々な急速な変化に対応するために、以下の課題を認識しており、対応していく方針であります。
① 次世代の事業と経営者の誕生と成長
当社グループは、ユーザーに受け入れられるサービスの移り変わりが激しいインターネット業界において、絶えず新たな収益源を模索していくことが重要と考えております。
SHOPLIST事業は、引き続き競合他社との差別化が激化することが予想され、今まで以上に商品ジャンルやブランド、品揃えの拡充による更なる差別化、事業拡大・サービスの向上を図りつつ、インターネットコマース事業で得られた知見を活かした新規事業にも挑戦してまいります。
また、SHOPLIST事業に続く第二・第三の柱の創出を目指し、新規事業の開発や、M&Aを通じた新たな事業への参入などを検討してまいります。
同時に、これら次世代の事業を担う優秀な経営人材の内部育成、外部招聘によって当社の資金、ノウハウと若い起業家の柔軟な発想が融合し、新しい収益と価値を生み出していくことに繋げてまいります。
② 事業スピードの最大化
変化の激しいインターネット業界においては、事業スピードを最大化することが重要であり、いかに多くのチャレンジをし、早期にその成否を見極められるかという仕組化が事業の成長には不可欠であると考えております。
当社グループは、すべての事業を子会社化し、コンパクトな組織にすることにより、開発手法や採用などあらゆる意思決定をそれぞれが迅速に行い、永遠のベンチャースピードを維持しながら事業を推進してまいります。
③ 内部統制、コーポレート・ガバナンス体制の充実
企業が持続的に成長していくためには、内部統制の実効性を高め、日々充実させることが重要であると考えております。当社グループでは、金融商品取引法に基づく財務報告に係る内部統制を整備して運用するのみならず、事業面・技術面・管理面の全てにおいて、当社グループ独自に策定したチェック項目を四半期ごとに経営幹部が確認するとともに、チェック項目のブラッシュアップを日々行うことによって、内部管理体制及びコーポレート・ガバナンス体制を充実させております。
当社グループの事業は、人的資本の寄与度が高いことから、人的資本を最優先すべき資本と位置付けており、当社グループの競争優位性の強化に資する各種制度の整備に努めております。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)ガバナンス
国際情勢や社会環境が大きく変化し、これまでにも増して当社グループを取り巻く環境も変化しております。このような急速に変化し続ける事業環境に即応し、安定的な成長を実現するため、取締役会を中心に体制を構築しております。経営基盤を強化し、事業機会の拡大と課題の解決を図ってまいります。
長期的な社会・環境の変化に伴うサステナビリティに関する取り組みについても、課題を考慮した経営を行うため、取締役会や定期的に開催される取締役及び代表取締役社長の指名を受けた者をメンバーとする経営会議の中で適宜、各管轄の担当より活動内容の報告を行い、活動の推進を行っております。
(2)戦略
当社グループは、時短勤務やリモートワークだけに限らず、個々の従業員が高いモチベーションを持ちながらより能力を発揮して活躍できるように、また新たに発生する業務や人員が不足した場合でも業務を遂行できるように、連結グループを横断できるようなフラットな組織体制と人材抜擢、オンボーディングの仕組みを取り入れております。今後も引き続き、多様な人材が能力を発揮できる活力ある組織風土の中で失敗を恐れることなく、自己変革と新たな価値の創造に挑戦していけるように多様性の確保に向けた施策を推進してまいります。
また、グループ全体でDX化を進めることで業務を効率化し、開発や生産性の向上につなげてまいります。
(3)リスク管理
当社グループは、多様性におけるリスクや機会について、取締役及び代表取締役社長の指名を受けた者をメンバーとする経営会議において、全社的にリスク管理を行っております。
特に多様性に関しては、人権の尊重、従業員の健康・労働環境への配慮や公正・適切な処遇といった点については性別・年齢・国籍等によって優遇することなく、求められる能力・知識・経験等に基づいて公正に取り扱っており、かつ報告・相談体制である「内部通報制度」を設けており、コンプライアンス遵守の実効性向上に努めております。
(4)指標及び目標
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生時の対応に努める方針ではありますが、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響については、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。
当社グループの株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容も併せて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。なお、本書及び本項は当社グループの株式への投資に関する全てのリスクを網羅しているものではありませんのでご留意ください。また、文中における将来に関する事項につきましては、当社グループが当連結会計年度末現在において判断しております。
[特に重要なリスク]
① 業界の動向について
当社グループが事業を展開するインターネット業界は、新技術及び新サービスが、日々開発、投入されており、他業界に比べて変化のスピードが早い業界であります。同業界においては、事業スピードを最大化することが重要であり、いかに多くのチャレンジをし、早期にその成否を見極められるかという仕組化が事業の成長には不可欠であると考えております。
当社グループは、すべての事業を子会社化し、コンパクトな組織にすることにより、開発手法や採用などあらゆる意思決定をそれぞれが創業時並みのスピードで行い事業を推進してまいりますが、こうした活動にも関わらず、市場の変化への対応が適切に行えなかった場合、競争力が低下し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
② 競合について
インターネット業界は、数多くの競合企業が存在しており、多くのユーザーに選ばれるサービスを提供し続けることは容易ではありません。
当社グループが運営しているファストファッション通販「SHOPLIST.com by CROOZ」において、サービス開始以来順調にユーザー数、ブランド数・商品数を拡大することで急成長を遂げてまいりましたが、競合企業が類似のサービスを展開することで成長に影響を与え、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。今後数年は今まで以上に商品ジャンルやブランド、品揃えの拡充によりさらなる差別化が必要になってくると考えております。
③ 優秀な人材の確保について
当社グループの持続的な成長には、優秀な人材の確保や育成促進が必要です。特に、刻々と進化するインターネット業界において次世代の事業を誕生させ成長させるためには、優秀な経営人材の確保が当社グループにとって重要な課題であると認識しております。したがって、優秀な経営人材の確保と育成、抜擢については最大限の努力を払っておりますが、人材獲得競争の激化や人材マーケットの需給バランスその他何らかの要因により、必要な人材の確保や育成ができなかった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
[重要なリスク]
(1)事業環境について
① 広告出稿について
当社グループが提供するサービスにおいてユーザーが求めるものを提供できなかった場合、多額なプロモーション投資を行っても想定を下回るユーザー獲得数に留まる場合があります。また、競合企業も多額のプロモーション投資を行っており、限りある広告枠の獲得競争により、広告出稿単価の上昇も懸念されます。
その結果、費用対効果が低下する恐れがあり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
② 特定事業者への依存について
当社グループは、EC事業におけるSHOPLIST事業を主力事業としており、インターネットの利用に関する新たな法的規制の導入、技術革新の遅れ、又は利用料金の改定を含む通信事業者の動向などの要因により、ブロードバンド環境や携帯端末を使ったインターネットヘの接続環境の発展が阻害される場合、又はECサイト運営の遂行が困難になった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
③ システムトラブルについて
当社グループの事業は、自社のシステムのみならず、通信キャリア、通信インフラ企業及びプラットフォーム企業のシステムにも依存しており、その通信ネットワークやハードウェアの不具合によって、当社グループが提供するサービスに影響が及ぶ可能性があります。当社グループは、安全性・可用性を重視したシステム及びネットワーク構成の構築及び定点チェックを行い万全を期しておりますが、何らかの理由による急激なサーバーへのアクセス集中で、当社グループのサーバーが動作不能に陥る場合や、火災・地震・停電など予期せぬ事態により、通信キャリア、通信インフラ企業及び当社グループのシステムに影響が及んだ場合には、機会損失が発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
④ 情報セキュリティについて
当社グループでは事業を運営するにあたり、業務上に必要となる各種情報について情報システム上で管理を行っております。これらの情報システムの管理にあたっては、セキュリティ対策に力を入れ、外部からの不正アクセスの防止、及び内部者による漏えいの防止の徹底を図るとともに、定期的にセキュリティ診断を行い、セキュリティへの対策が十分かを確認しております。しかしながら、当社グループ外からの不正侵入や故意又は過失により、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下、損害賠償責任を負う可能性等が生じ、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(2)法的規制について
① 知的財産保護について
当社グループは、自社で提供しているサービスに第三者が保有する知的財産権を利用する場合には、第三者の使用許諾を得ております。当社グループが運営するサービスにおいては、第三者の知的財産権を侵害しないように監視・管理を行っており、当社グループが運営するファストファッション通販「SHOPLIST.com by CROOZ」等で販売している商品については、第三者の知的財産権を侵害していないことを取引先より契約書において表明保証して頂いておりますが、当社グループの認識外で、第三者の知的財産を侵害している場合には、損害賠償請求や使用差止請求を受け、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
② 個人情報保護について
当社グループは事業を運営するにあたり、住所・氏名・メールアドレスといったユーザーの個人情報を取得する場合があります。これら個人情報は高度なセキュリティ体制のもとで管理しております。また、個人情報保護規程を整備し、定期的に個人情報の管理状況を確認するだけでなく、当社グループで業務に従事するもの全てに対して周知徹底することで、個人情報保護の意識レベルの維持・向上に努めております。しかし、当社グループ外からの不正侵入や故意又は過失により、個人情報が漏洩した場合、ユーザーからの損害賠償請求等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
③ ゲームに関する法的規制について
当社グループは子会社を通じてGameFi事業を営んでおり、不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)や資金決済に関する法律をはじめとする様々な法的規制が存在いたしますが、当社グループはそれぞれの法的規制を遵守し事業を運営しております。
当社グループは各種規制に対し誠実に対応しておりますが、今後、社会情勢の変化により既存の法令等の解釈の変更や新たな法令等の制定等が行われた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(3)その他
ストック・オプションの付与について
当社グループは、役員及び従業員のモチベーション向上を目的として、ストック・オプションを付与しております。当社グループといたしましては、今後におきましても、優秀な役員及び従業員を確保するために、ストック・オプションを付与する可能性があります。なお、これらストック・オプションが行使された場合、保有株式の株式価値を希薄化させる可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績等の状況の概要
(経営成績の分析)
当社は「20XX年までに時価総額1兆円以上」という超長期的目標を掲げ、2018年5月10日をもって全ての事業を子会社化し、純粋持株会社となりグループ経営へと移行しております。この超長期的目標を最速で実現するべく、次世代の事業と経営者の誕生と成長、永遠のベンチャースピードを手に入れるための仕組み「CROOZ永久進化構想」を活用し、より多くの起業家を育成し、『SHOPLIST.com by CROOZ』(以下、SHOPLIST事業)を軸に、ショッピングやゲームなどのエンターテイメント領域を中心に、常に時代の変化に合わせて幅広くインターネットサービスを展開してまいります。
SHOPLIST事業のおかれるアパレルEC(BtoC)市場は、2022年に約2.5兆円に到達しており、前年から約1,220億円拡大しております(注1)。
一方で、当該成長市場においてSHOPLIST事業は、前年同期と比較して取扱高及び売上高が減少しておりますが、その主な要因は引き続き訪問者数の減少が挙げられます。訪問者数の減少の主な要因は、SEOや広告経由での訪問者数が減少していることもありますが、アパレルEC市場における競合が増えたことで、集客の難易度が以前にも増して高まっている点が否めません。現状の延長線上でSHOPLIST事業の訪問者数や取扱高及び売上高を完全に回復するには、抜本的な集客方法の見直しが必要であると考えており、取扱高及び売上高を再度成長軌道に乗せていくための施策に注力してまいります。
また、今後は新規事業であるGameFi分野に注力してまいりますが、GameFi事業における第一弾ゲームプロジェクトとして、当社グループのCROOZ Blockchain Lab株式会社が参画する『PROJECT XENO』が2023年5月10日にリリースされました。競合が多い状況でもあるため、現時点では『PROJECT XENO』単体の収益等は非開示とさせていただいておりますが、CROOZ Blockchain Lab株式会社の当連結会計年度の通期売上高は1,864,444千円、営業損失120,807千円となりました。当該事業の売上を構成している要素は、当社HPのFAQにも記載しておりますが、主として①ゲーム・マーケットプレイスでの課金及びセール売上、②マーケットプレイス取引手数料、③トークン価格変動による影響額、④新作ゲームの受託開発売上になります。そして、当連結会計年度で営業損失となっている主な要因は、2023年10月に実施した大規模プロモーションの費用計上、及び2024年1月15日にリリースした『エレメンタルストーリーワールド』と現在開発中である第三弾のブロックチェーンゲーム『エルゴスム』の開発費負担によるものになります。
個別のゲームの状況についてですが、まず、『PROJECT XENO』については10月にTVCMを始めとした大規模プロモーション、及びそれに合わせたゲーム内施策を行いましたが、正直に申し上げまして期待していた効果が出ませんでした。しかしながら、この結果を受けてすぐに改善を行ったことにより、12月の新クラス「ネクロマンサー」のセールなどにより売上を伸ばすことができ、『PROJECT XENO』については売上及び利益ともに堅調に推移しております。また、2024年5月にはリリース後1周年を迎えましたが、ユーザーの皆様のご期待に応えるべく、ユーザー様にとってより遊びやすく、より面白いゲームにするよう、今後も注力してまいります。
第二弾のブロックチェーンゲームである『エレメンタルストーリーワールド』につきましては、2024年1月15日にリリースいたしました。正直売上は伸び悩んでおり、機能追加やキャラクター追加により巻き返しを図っておりますが、『PROJECT XENO』のような売上・利益貢献となるにはもう少し時間がかかりそうです。また、第三弾の『エルゴスム』につきましては鋭意開発中です。今後の予定については適宜プレスリリースなどで発表していく予定です。
GameFi事業はグローバルな市場でもあり、より大きな成功を狙っているため、現時点では足元の利益には重点を置いておらず、積極的に投資をしていくフェーズにあります。当連結会計年度では結果的に大規模プロモーションを成功させることはできず、開発費の負担もありマイナスとなりましたが、今回の経験を活かし、短期的な利益ではなく中長期的に大きな利益獲得のために今後も積極的に投資していきたいと考えております。
メディア事業については、事業の核となる『ランク王』は当連結会計年度の売上高は917,761千円(前年同期比109.1%)、営業利益が205,492千円(前年同期比128.8%)となりました。利益は『ランク王』の取扱高拡大のための投資に回す方針であり、さらに事業を伸ばすために、必要に応じて積極的に投資していきたいと思っております。なお、「メディア事業」セグメント全体の売上高、営業利益が前年同期比で減少しているのは、2023年2月に発表したとおり、広告代理店事業の大口の取引先との受託業務契約が終了したためであります。従来からメディア事業における注力事業は『ランク王』と位置付けており、当該事業全体としては、中長期的に見て大きく成長していけると考えております。
今後の主軸として注力する事業はGameFi分野で、特にブロックチェーンゲームについては国内だけでなくグローバルな市場において将来的に大きな利益をもたらす可能性があるため、当社が今までゲーム開発で培ってきたノウハウ等を総動員して、その成功確度を高めていきたいと考えております。また、GameFi分野とは別に、全く新しい新規事業領域でも新たな収益源を育成してまいります。
以上の結果として、経営上の目標を判断するための客観的な指標等である連結取扱高は25,485,718千円(前連結会計年度比11.8%減)となりました。
当連結会計年度の経営成績は、売上高14,270,363千円(前連結会計年度比1.9%増)、営業利益161,188千円(前連結会計年度比75.0%減)、経常利益1,226,105千円(前連結会計年度比95.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,008,235千円(前連結会計年度比295.6%増)となりました。
(注1)2023年8月31日経済産業省「令和4年度電子商取引に関する市場調査報告書」を基に記載しております。
セグメントごとの経営成績の状況を示すと次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前連結会計年度比較については、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
① EC事業
当連結会計年度の売上高は6,999,127千円(前連結会計年度比8.0%減)、セグメント利益は209,721千円(前連結会計年度はセグメント損失30,007千円)となりました。
② GameFi事業
当連結会計年度の売上高は3,193,543千円(前連結会計年度比21.9%増)、セグメント利益は56,809千円(前連結会計年度はセグメント損失61,275千円)となりました。
③ メディア事業
当連結会計年度の売上高は917,761千円(前連結会計年度比47.6%減)、セグメント利益は204,497千円(前連結会計年度比72.6%減)となりました。
④ その他事業
当連結会計年度の売上高は3,159,930千円(前連結会計年度比56.1%増)、セグメント損失は309,839千円(前連結会計年度はセグメント損失11,057千円)となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
なお、販売高及び仕入高と連結損益計算書の差異につきましては、主にEC事業及びその他事業において「販売高」より「仕入高」をネットした金額を「売上高」として開示しているためであります。
① 仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
仕入高(千円) |
前年同期比(%) |
EC事業 |
10,936,547 |
86.8% |
GameFi事業 |
330,693 |
257.6% |
メディア事業 |
- |
- |
その他 |
537,270 |
142.3% |
合計 |
11,804,511 |
82.5% |
(注)金額は、仕入価格によっております。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
EC事業 |
17,559,128 |
84.0 |
231,955 |
129.0 |
GameFi事業 |
2,837,303 |
95.3 |
- |
- |
メディア事業 |
917,911 |
33.3 |
150 |
- |
その他 |
4,241,040 |
161.1 |
445,872 |
616.5 |
合計 |
25,555,384 |
87.3 |
677,978 |
111.5 |
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
EC事業 |
17,506,925 |
83.6 |
GameFi事業 |
3,193,543 |
121.9 |
メディア事業 |
917,761 |
33.3 |
その他 |
3,867,487 |
150.4 |
合計 |
25,485,718 |
88.2 |
(財政状態の分析)
(資産)
当連結会計年度における総資産は、現金及び預金の減少1,450,259千円、繰延税金資産の減少224,192千円及び投資有価証券の減少222,850千円などがあった一方で、投資不動産の増加3,013,281千円などにより、27,084,085千円(前連結会計年度比1,675,174千円の増加)となりました。
(負債)
当連結会計年度における負債は、社債の減少2,000,000千円などがあった一方で、長期借入金の増加2,191,606千円、1年内償還予定の社債の増加1,000,000千円などにより、16,275,345千円(前連結会計年度比835,401千円の増加)となりました。
(純資産)
当連結会計年度における純資産は、自己株式の増加586,542千円などがあった一方で、親会社株主に帰属する当期純利益1,008,235千円の計上及びその他有価証券評価差額金の増加438,037千円などにより、10,808,740千円(前連結会計年度比839,773千円の増加)となりました。
(キャッシュ・フローの状況の分析)
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は12,156,247千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、385,884千円の支出(前連結会計年度は1,592,037千円の収入)となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益が1,596,154千円、未払金の増加額250,889千円及び減価償却費が232,152千円などであり、主な減少要因は、投資事業組合運用益1,033,508千円、売上債権の増加額731,351千円及び関係会社株式売却益708,835千円などであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、1,640,289千円の支出(前連結会計年度は708,655千円の支出)となりました。主な増加要因は、連結範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入754,528千円及び投資事業組合からの分配による収入608,703千円などであり、主な減少要因は、投資不動産の取得による支出3,030,101千円などであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、572,015千円の収入(前連結会計年度は345,604千円の支出)となりました。主な増加要因は、長期借入れによる収入2,448,000千円などであり、主な減少要因は、社債の償還による支出1,000,000千円、自己株式の取得による支出588,302千円及び長期借入金の返済による支出298,999千円などであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、連結会計年度末日における資産、負債及び報告期間における収益、費用の計上並びに開示において、種々の見積り及び仮定を前提としております。そのため、実際の結果は、それらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の概況に関する分析・検討内容
当連結会計年度の売上高が14,270,363千円(前年同期比101.9%)となりました。当連結会計年度は営業利益161,188千円となり、前連結会計年度は営業利益644,851千円だったことから営業利益の減少となりました。営業利益が減少した主な理由は、2023年2月に発表したメディア事業で行っていた広告代理事業で、大口の取引先との受託業務契約が終了したことによるものです(営業利益への影響約607,944千円)。なお、従来からメディア事業における主力事業はランク王と位置付けており、広告代理事業については既に撤退しております。
SHOPLIST事業は前連結会計年度と比較して取扱高及び売上高が減少しておりますが、当初想定していたよりコストが低く収まったことで当連結会計年度の営業利益は196,707千円(前連結会計年度は営業損失98,762千円)となりました。GameFi事業は、第一弾のブロックチェーンゲームである当社グループのCROOZ Blockchain Lab株式会社が参画する『PROJECT XENO』が2023年5月10日にリリースされたことにより売上高が3,193,543千円(前年同期比121.9%)と増加しておりますが、一方で、第二弾のブロックチェーンゲームである2024年1月15日にリリースされた『エレメンタルストーリーワールド』や第三弾の『エルゴスム』の開発費の負担がかかったことと、『PROJECT XENO』における大規模プロモーションによるコスト負担などにより、営業利益は56,809千円(前連結会計年度は61,275千円の営業損失)となりました。
SHOPLIST事業の売上高が前年を下回る結果となった主な理由は、引き続き訪問者数の減少が挙げられます。訪問者数減少の主な要因は、SEOや広告経由での訪問者数が減少していることもありますが、アパレルEC市場における競合が増えたことで、集客の難易度が以前にも増して高まっている点が否めません。現状の延長線上でSHOPLIST事業の訪問者数や取扱高を完全に回復させるには、抜本的な集客方法の見直しが必要であるのと同時に、当社グループとしてSHOPLIST事業だけに依存するのではなく、根本的なビジネスモデルの変革が必要だと考えています。ビジネスモデル変革の一環として、新規事業にも積極的にチャレンジしていく予定で、具体的にまずはGameFi分野への事業展開を進めています。
GameFi事業はグローバルな市場でもあり、より大きな成功を目指しているため、現時点では足元の利益には重点を置いておらず、積極的に投資を進めるフェーズにあります。GameFi事業については短期的な利益ではなく、中長期的に大きな利益獲得のために今後も積極的に投資していきたいと思います。
また、メディア事業については、メディア事業で出た利益はランク王株式会社の取扱高拡大のための投資に回す方針であり、さらに伸ばすために必要に応じて積極的に投資していきたいと思っております。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 (キャッシュ・フローの状況の分析)」に記載のとおりであります。
また、当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金及び新規事業立ち上げにかかる設備投資等であり、必要資金の調達については、自己資金だけでなく社債及び借入金によって外部調達しております。
資金の流動性については、適正な水準の現預金を保持した上で、不測の事態に対応するため、取引金融機関と当座貸越契約等を締結することで流動性を確保しております。
当社は、2023年8月10日、会社法第370条による決議(取締役会の決議にかわる書面決議)により、当社の連結子会社であるCROOZ EC Partners株式会社について、当社が保有する全株式を、ヴェスタホールディングス株式会社へ譲渡することを決議し、同日付で株式譲渡契約を締結し、2023年10月1日に譲渡が完了いたしました。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。