第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

① 企業理念

 当社グループは、工学的手法をビジネスや社会の現場に適用することにより、顧客組織の情報戦略策定と効率的情報化投資を支援し、産業界を含む社会全体の高度情報化に基づく価値の創出に寄与することを目指しております。

 

② 経営方針

 当社グループは、より高い成長を実現すべく、既存事業の成長と新規事業の探索を推進する両利き経営を心掛けます。具体的には、卓越した誰よりも高い先端技術力を持って、顧客企業の成熟度に応じたデジタルシフトを支えていきます。そして、働き方改革が遅れている若しくはロボット活用難易度が高い等、DX化が遅れている特定業界向けに工学的手法(AIソフトウェア工学、ロボット工学等)を駆使したプラットフォームを提供することで、ニーズを捉えた問題解決を図り、企業価値・社会価値の永続的向上への貢献を果たしていきます。

 

ミッション:

CREATE THE FUTURE TOGETHER ~AIソフトウェア工学のチカラで、共にデジタル世界を創造する~

 

ビジョン:

デジタルシフト・サービスカンパニー

 

ステートメント:

あらゆる企業が「デジタル競争力」を手に入れることのできる世界を、私たちはAIソフトウェア工学のチカラで実現します。

 

コアバリュー:「豆蔵 Way」

当社グループではビジネスがエンジニアに属人化される労働集約型ではなく、知見が企業に根差す知識集約型モデルを目指しております。当社グループでは以下の6つの核心的なコンセプトに基づいた独自のビジネスモデル「豆蔵 Way」を確立しております。

① 直接取引の重視: 顧客との直接的な関係を通じて、その成果に深くコミットすることで、社員エンジニアの成長を加速

② 技術ノウハウの伝授:プロジェクトの成功に加え、技術的な知識と数理的理論の伝授により顧客の内製化を支援

③ 超上流からの参画:プロジェクトの成功を確実なものにするため、初期段階から深く関与し、目的と基本要件を的確に把握

④ 社員成長の最優先:社員の成長を企業の最大の目的とし、技術的に挑戦的なプロジェクトに参画

⑤ 採用促進と離職率低下: 強力なブランディングと効果的な採用・人材育成メソッドにより、社員の採用促進と離職率低下を実現

⑥ 知見の形式知化:プロジェクトで得られた知見を体系化し、一握りの優秀な社員に依存せず、全社員がプロジェクトを推進

 

 上記の通り当社独自の「豆蔵Way」は、デジタルビジネスに不可欠なAIソフトウェアエンジニアリングとAIロボティクス技術を活用した経験の蓄積による技術ナレッジが中核となっております。加えて、経営層とのリレーション構築や案件実績に裏打ちされた営業メソッド、自動車業界、金融業界など多種多様な業界でのトラックレコードを基に獲得した高い知名度や技術ブランドを有することで顧客からの信頼を勝ち取っているものと認識しております。また、優秀な人材を獲得できる採用ノウハウや案件を通じて得た知見を体系化することで、ソフトウェア人材のみならず多種多様な高度人材を引き寄せることができると考えております。これらを総合的に活用することで、当社グループは顧客の経営層と上流から議論するポジションに位置し、専門性の高いエンジニア集団として、顧客のデジタルビジネスを推進する中長期的なパートナーとして顧客との関係を構築しております。

 

(2)経営環境及び中長期的な経営戦略

(経営環境)

近年、デジタル技術の進展・普及に伴い、国内企業においてAIやビッグデータ、IoT等の最先端技術に関連する先進ITへの支出が大きく伸びており、今後も持続的に高い成長が見込まれております(出所 経済産業省 IT人材需給に関する調査(概要))。当社グループは、IT市場の中で急速に変化が起きている要因として、従来のIT投資がオンプレのシステム導入やレガシーシステムの保守・運用などに挙げられるトラディショナルITに対して行われ、コスト削減・業務効率化の目的に留まっていたのに対し、近年ではデジタルサービスの提供やデジタルを活用した新規事業の創出を目的としたデジタルビジネス領域の投資にシフトしてきていることが主因であると考えております。そのような新たなIT投資によるデジタルビジネスの実現にはデータ蓄積・活用が前提となり、その推進には企業のオペレーション自体がデジタル化されていることが必要であると考えております。一方、日本ではデジタルビジネス実現の前段階である、既存システムのクラウド化や技術リソースの内製化などのデジタル化の準備(顧客社内におけるDX推進)が欧米より遅れているため、当面はデジタル化の準備を進めていく企業が増加していくものと考えております。当社グループはデジタル化の準備及びその後のデジタルビジネスの実現の領域に特化したサービスを提供しており、デジタル化の準備を進める段階からクライアントとパートナー関係になることで、その先のデジタルビジネス獲得へと繋げてまいります。

 

(中長期的な経営戦略)

当社グループは、上記経営環境の変化を捉え、コアバリューとして位置付けている「豆蔵Way」を活用し、且つ進化させていくことによって顧客企業と共創し、最先端の領域であるデジタル化の準備及びその後のデジタルビジネスの実現に向けたデジタルシフトを強力に推進していくことを目指しております。そのための当社グループの基本方針として以下4点を定めております。

① 顧客企業のシステム内製化パートナーシップ

上記経営環境に記載の通り、日本企業のDXの需要は今後拡大するものと当社は考えており、今後当社の顧客企業は生命線であるデータやデジタル技術を従来実施してきたようにSIerなどの外部業者に委託するのではなく、信頼できるデジタル企業と共に内製化する需要が高まるものと考えられます。当社グループは創業以来、当社が有する豊富なデジタル技術力の提供に加えて、内製化を推進するために必要な要素である顧客社内でのIT・エンジニア人材の育成を支援する内製化推進コンサルティングを通じて、顧客企業のデジタルビジネス実現のサポートに取り組んでまいりました。今後も日本企業のDX内製化に不可欠なクラウド、AI、ロボティクス、教育、モビリティ・オートメーションに関する技術を更に磨き、顧客企業の価値創造に貢献するシステム内製化を共創していくパートナーとして努めてまいります。

 

② 対象ビジネスの上流化

企画、設計、システム構築、保守・運用等、様々な場面でIT投資が行われており、システム開発サービスにおいては、より上流工程での問題解決に参画することで、高付加価値なサービスを提供できるものと考えております。そのため、当社グループでは、より上流工程において更に技術力を活用し、顧客企業のビジネスを進化させる高付加価値なソリューションを提供することで顧客企業への貢献に努めてまいります。

 

③ 技術的特徴を持つビジネスの育成

AIやDXの深化により、ハードウェアの業界においても、ソフトウェアの重要性は高まっております。当社グループは、最先端のIT技術に加えて、自動車や産業ロボット、レーザー溶接、工場自動化、食品など、多岐にわたる業界の知識、経験、技術を保有しています。これらの特徴を活かし、モノづくりとITの融合を積極的に推進し、当社グループ内での技術的なシナジー効果を最大限に引き出し、新たな価値創造を実現する新しいビジネスの育成に努めております。また、AIやRPA、自動生成などの新しい技術にも積極的に取り組み、日々研鑚を積んで新しい事業の構築を目指しております。

 

④ 規模の拡大と高利益体質への転換

当社グループは、勇気と創意工夫をもって新しい技術を実践し、顧客企業の成功をサポートするために挑戦し続ける企業集団です。今後も顧客企業と共に成功を収めるために、有益な技術を積極的に蓄積し、応用できるように研鑚を積んでまいります。技術の蓄積・応用により、高品質化、短納期化を図り、更なる高利益体質を目指してまいります。また、M&Aなどにより、企業規模を拡大してまいりたいと考えております。

上記を踏まえ、当社グループは、「豆蔵Way」を活用・進化させていくことで前記「第1 企業の概況 3 事業の内容」にて記載の通り「クラウドコンサルティング」、「AIコンサルティング」、「AIロボティクス・エンジニアリング」、「モビリティ・オートメーション」といった多様なソリューションを提供しております。また自社内IT人材の採用ならびに育成を通じ、専門家集団の形成を進めることで着実にエンジニア数を増やし、これらのソリューション提供を可能としております。

 

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

エンジニア数(人)

708

717

731

737

離職率(%)

9.8

7.9

7.3

7.3

また、当社グループは、今後予想される市場環境や顧客ニーズの変化に適切に対応し、更なる成長を実現するための施策の一環として、中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)を策定しております。中期経営計画では、主に社員数の増加を伴った利益成長である量的利益成長、サービスミックス変革・プライム受注案件比率・既存プロジェクトの単価アップを伴った利益成長である質的利益成長のテーマを設定し、持続的な成長と高い収益性の実現を目指してまいります。

量的利益成長では、「豆蔵Way」の採用ノウハウ・メソッドをより進化・洗練させることで、採用の質・量を強化し、各分野で即戦力となる高度な能力を持つ人材の獲得を更に推進してまいります。また「豆蔵Way」の人材育成ノウハウ・メソッドを活用し、今後も新卒・若手人材の早期戦力化を継続してまいります。

質的利益成長では、「豆蔵Way」の技術メソッドを活用して高付加価値サービスを提供し、案件を通じて獲得したノウハウ・知見を更に反映・蓄積することで当社グループのサービスミックス変革及び既存プロジェクトの単価向上の促進を目指してまいります。加えて、顧客企業との直接取引(プライム受注)比率を全社的に高めることで、更なる収益性の向上を図ってまいります。

 

(競争優位性)

DX化の需要拡大により、企業活動の情報をデータ化する段階を超えると、顧客企業においては生命線であるデータの利活用が次の重要なテーマとなると当社では分析しております。そして、データ利活用の場面においては、短時間かつフレキシブルにデータを利活用する必要があるため、顧客企業においては、時間がかかる外注ではなく、自社内でデータを利活用する内製化を選択する動きが加速していると当社は考えております。このような状況の中で、当社グループでは、顧客企業のDXの内製化のサポートに従前より取り組んでおり、多くのノウハウを有していること、および当社グループはAIソフトウェア工学に基づいた技術力をもって顧客企業の内製化を推進していることを、当社グループの競争の優位性と認識しております。

なお、株式会社豆蔵は内製化支援推進AWSパートナー(※)の認定を受けており、顧客企業のDXの内製化の実績およびAIソフトウェア工学に基づく高い技術力が評価されています。

また、当社グループでは、ロボット開発も手掛けております。当社グループは、ロボット工学の技術を有しているだけでなく、AIソフトウェア工学の技術も有していることから、ロボットとAIソフトウェアの両方の技術で顧客の要望に応えられる点も、当社グループの競争の優位性と認識しております。

※内製化支援推進AWSパートナー:AWSに対する深い知見と多くの経験を持ちユーザー企業の内製化を支援するためのソリューションを持ったAWSパートナー

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 既存ビジネスの取捨選択と拡大・強化

 当社グループの属する情報サービス業界は、日進月歩であることから、新規参入すべきサービスの開拓を常に模索するとともに、片や撤退をすべきサービスが出てくることも想定されます。拡大・強化すべき事業と、撤退すべき事業とを適時適切に判断する必要があると認識しております。

 

② 新規事業の開発・育成

 情報サービス関連事業は、技術の移り変わりが激しく、新しい技術を吸収し既存事業に反映し、あるいは、新しいビジネスを構築していくことが重要であり、当社グループの経営層が、新しい技術を的確に理解したうえで、適切な投資を行う必要があると考えます。現状の強みを活かしたうえで、新たな技術を貪欲に取り入れ、新たなビジネスへの挑戦を志し、さらに競争力を高めてまいります。

 

③ 人材の確保・育成

 高度な技術力に基づいたITソリューションとサービスの提供を行っていくためには、優秀な技術者の確保、育成並びに定着を図ることが重要であると認識しており、当社グループでは、優秀な技術者の積極的な採用を行っております。また、新卒採用にも力を入れ、ゼロからの技術者育成にも注力しております。新卒採用であっても、時を経て、初級、中級、上級とステップアップできる無理のない教育制度のノウハウをグループ内において横展開し、さらなる改善を図ってまいります。中途採用の技術者のレベルアップについても、社内研修制度の強化や熟練技術者のノウハウの共有化を図ることで、上級ITコンサルタントへとステップアップできるよう技術レベルの向上に努めてまいります。

 

④ 景気動向に影響されない高付加価値分野へのシフト

 当社グループが属する情報サービス業は、技術レベルが日進月歩で発展しており、付加価値の高い新たなサービスに応用できる技術が次々と生まれています。当社グループは、今後ともそのような技術を吸収し、新たな高付加価値サービスの提供に結び付けられるよう、研鑽に努めてまいります。付加価値の高い分野へのシフトにより、景気動向に左右されにくい体質へとさらなる改善を目指します。それには、高付加価値サービスの開発とともに、前述の人材育成も重要であり、総合的なレベルアップを図ってまいります。

 

⑤ グループ会社間の連携

 当社グループ各社は、各々の得意とする事業領域が異なることから、グループ会社間の連携が重要であると考えます。そのため、グループ各社間の協力体制の仕組みを構築し、グループ内での情報を活発にやり取りして、相互の強みを補完しあっております。今後もグループ各社間の協力をより密にし、案件の拡充、営業上の連携の継続に努めてまいるとともに、技術交流も深め、より高度なシナジーの発揮を目指します。

 

⑥ 戦略的投資

 戦略的投資については、グループとしての資本力を活かすため各社の特長を生かしつつ、グループとして集中的に行います。特に技術力による差別化を重視し、特長を活かす技術蓄積を推進します。また、グループに加えるべき新たな事業や技術については、M&Aによる取得について、積極的に検討してまいります。検討に際しては、いち早く十分なリサーチを的確に行い、投資すべき技術かどうかを見極めることが重要な課題であると認識しております。

 

⑦ グループとしての効率化、全体最適化

 IT関連企業群であることから、バックオフィス機能は各会社において類似の業務も多く、各所で共通化が可能な部分があります。すでに、共通化を推し進めており、作業を効率化し、一定の経費削減を図っております。更なる改善に取り組むとともに、共通化・標準化を推進してまいります。

 

⑧ 内部統制、業務管理体制の強化

 当社グループでは、適時適切に内部統制の見直しを行ってまいります。また、業務管理の強化を図り、品質管理・業務運営管理をより一層緻密化する努力を行ってまいります。さらに、社会の信頼にお応えする透明性の高い経営、顧客企業に信頼される業務運営を履行してまいります。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、既存事業の成長×新規事業の探索による両利きの経営による企業価値の向上、持続的な成長のため、営業利益成長率、営業利益率を重要な指標と位置づけ、各経営課題に取り組んでまいります。また、売上成長率について当社グループの成長を測る指標として重視しており、当該指標の向上を目指してまいります。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)ガバナンス

 当社グループは、全てのステークホルダーに配慮した経営を行い、持続可能性の観点に基づき企業価値の向上を図るためには、迅速かつ適切な意思決定と、当該意思決定を実現するための執行体制の構築が必要であると考えています。

 また、迅速かつ適切な意思決定及び執行は、法令・定款を遵守し、社会から信用されなければならないことから、社会から信用される意思決定・執行を担保するコーポレート・ガバナンスは、当社の経営の基礎であり、持続的成長、中長期的な企業価値の向上にとって不可欠な事項であると認識しています。

 なお、当社のガバナンスの体制の概要につきましては、「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。

 

(2)戦略

 当社グループは、サステナビリティを巡る課題はリスクの削減のみに留まらず企業価値の向上にも資するものであると考えております。以下のような重要な課題について経営課題として経営陣の中で議論することで、当社の持続的成長、ひいては社会の持続可能性に繋がるものであると考えます。

・ダイバーシティとインクルージョン

ダイバーシティ(多様性)とインクルージョン(包括性)を重んじる経営を心掛けたいと考えます。性別、国籍を問わず、多様なバックグラウンド、視点、経験を持つ人材を組織に組み入れることで、創造性やイノベーションが促進されることを目指します。その為には、企業内すべての従業員が仕事に参画する機会を持ち、それぞれの経験や能力、考え方が認められ活かされている状態が必要です。また、管理職に多様性のある人材を意識的に登用することを心がけており、企業のビジネス成果や競争力の向上にもつながると考えます。多様性のある人材の視点や能力を活かすことで、製品・サービスの開発や顧客のニーズに対する理解が深まり、企業の成長に貢献することができます。また、ダイバーシティとインクルージョンを重視することを意識的に内外に情報発信することで、社内にダイバーシティを許容するような文化を醸成してまいります。

・従業員の健康とワークライフバランス

従業員の健康を重視することは、従業員の幸福感や生産性の向上につながり、企業の持続的な成長に大きく貢献します。また、従業員のワークライフバランスをかなえることで、充実した職場生活とプライベート生活を送ることができ、長期的な従業員の満足度と生産性の向上に繋がります。ワークライフバランスをサポートすることは、従業員の定着率向上や、優秀な人材の確保にも寄与する重要な要素となります。

 

(3)リスク管理

 当社グループは、持続可能性の観点に基づき構築したコーポレート・ガバナンスに基づき、経営の透明性の向上とコンプライアンス遵守の経営を徹底するため、経営環境の変化に迅速に対応できる組織体制を構築しております。

 具体的には、「MZDHDグループリスク・コンプライアンス管理規程」に基づき、リスク・コンプライアンス委員会を中心としたリスク管理体制を構築し、定期的に子会社から所定の項目について状況をヒアリングし情報を共有する体制を構築することにより、問題点の早期発見に努めております。問題点が発見された場合は、同規程に基づき対応いたします。

 なお、本書提出日現在において想定されるリスクと対処等の詳細については「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

(4)指標・目標

 当社グループは、上記「(2)戦略」の記載に基づき、以下の具体的な施策の中で指標を定め、その進捗を定期的に確認する体制を構築してまいります。

・多様性確保を重視するための人材採用・登用・育成

 当社は、人々の人権を尊重し、性別、年齢、人種、障害の有無にこだわらない、人物本位での採用を行っており、女性、高齢者、外国人、障害者比率は徐々に高まっております。また、特に新卒や第二新卒、別業界やIT業界の別分野からの採用者には、時間をかけた新人教育やリスキリング教育を行っており、第一線で働くことが出来るようになるまでの十分な助走期間を提供することが出来ています。

・従業員の健康やワークライフバランスを維持するための社内環境の整備

 当社は、従業員の健康やワークライフバランスを維持するため、各種の社内環境整備を行っております。リモートワークやフレックスタイム・裁量労働制の導入によるフレキシブルな労働環境の提供、有給休暇を積極的に取得するような文化の醸成、ストレスやプレッシャーに対してのメンタルヘルスサポートの充実化、出産や子育てに関するより踏み込んだサポート策(男性の育児休業推奨など)、などを挙げることが出来ます。

 なお、人的資本・多様性に関する指標の当事業年度末の実績につきましては、「第1 企業の概況 5 従業員の状況 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金差異」をご参照ください。

 

3【事業等のリスク】

 以下には、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資家の投資判断上重要と考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、その発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ですが、本株式に関する投資判断は、以下の記載及び本項以外の記載を、慎重に検討した上で行われる必要があると考えられます。

 また、以下の記載は、本株式への投資に関するリスクをすべて網羅するものではありませんので、この点ご留意ください。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) マクロ経済環境に関するリスク

(顕在化可能性:低/ 影響度:中/ 発生時期:中期)

当社グループは、国内において事業を展開しておりますが、当社グループの顧客においては海外事業を展開している企業も多いことから、当社グループの業績は海外の経済動向、社会情勢、地政学的リスク等に間接的に影響されます。

当社グループでは、マクロ経済環境について注視しながら事業展開を進めておりますが、世界的な景気の低迷、社会情勢の混乱、地域紛争等により、顧客のIT投資への意欲が急速かつ大きく変化することも考えられ、この場合は当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(2) グループ企業間のコミュニケーション体制について

(顕在化可能性:低/ 影響度:中/ 発生時期:中期)

当社グループは、当社を持株会社として3社の事業会社で構成されているため、グループ企業間のコミュニケーションが不十分であった場合には、同一顧客に対し当社グループで技術的な協力があれば獲得可能な案件を断念するような事象が発生することも想定されます。

そのため、グループ企業間のコミュニケーションの場として、「中期構想発表会」及び「アカウントプランニングセッション」をそれぞれ原則として年1回実施し、グループ内部の連携を深め、高度なシナジー効果を生み出す体制を設けております。中期構想発表会には、当社の役員、管理本部役職者、グループ各社の取締役、事業部長、営業部長が出席し、グループ企業各社の経営構想を共有しております。また、アカウントプランニングセッションには、当社の役員、管理本部役職者、発表するグループ各社の取締役、事業部長、営業部長、及び必要に応じてその他グループ会社の取締役、事業部長、営業部長等が出席し、グループ各社の営業状況を共有しております。

 

(3) 事業環境について

(顕在化可能性:中/ 影響度:中/ 発生時期:中期)

当社は顧客組織の情報戦略策定と効率的情報化投資の支援を経営理念の一つとして掲げておりますが、情報化投資については、情報システムの大型化・複雑化を背景として需要サイド、供給サイド双方とも以下の点がリスクであると捉えております。

① 情報システムの需要サイドにおける問題

多くの企業は情報システムを利用して売上を上げ、業務を管理する仕組みを構築しています。また、近年では、DX化により業務効率化や事業の再構築、新しい価値創造などを図ることで競争力を高めるために、企業は更なる情報化投資を行う方向にあります。しかしながら、情報化戦略の策定についての標準的な方法が確立していない企業も存在し、顧客側にて、請負契約においてシステム開発の完成基準を明確に定められないままシステム開発を発注するケースも想定されます。このような場合、顧客との完成基準の認識に相違が生じた結果、完成基準が未達であることを理由とした顧客の代金の支払遅延等により、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

そのため、当社グループにおいて過去に請負契約が多かった企業では、一定の条件に該当する案件についてレビュー制度を導入しております。また、請負契約が稀である当社グループ企業では、管理部門の管理者により受注稟議の段階で、完成基準となる計数及び契約内容の適切性を確認する体制としております。

 

② 情報システムの供給サイドにおける問題

情報システムの供給サイドでは、請負契約において、大規模かつ複雑なシステムを限られた期間と予算内で開発する責務を果たすため、工業生産のような体系だった生産方式や論理的なプロセスを導入する必要性が高まっております。しかしながら、システムの開発業務は、特定の技術者の技量に依存することも想定されます。

そのため、請負契約の受注が多い当社グループ会社との勉強会を開催することはもとより、当社グループ会社各社社内で部署を問わず技術的な質問ができる体制にしております。また、請負契約の多い技術力のある当社グループ会社が他の当社グループ会社の案件に関わることで、当社グループ内で技術の共有を行っておりますが、顧客の求める水準のサービスを供給できず当該顧客からの請負契約が減少する等営業活動に影響が出た場合には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(4) 今後の事業展開について

① 情報サービス関連事業全般について

(顕在化可能性:中/ 影響度:中/ 発生時期:中期)

当社グループが属する情報サービス業界では、技術革新が激しく、顧客のニーズも急速に変化し、顧客企業のニーズと乖離が生じた場合には、失注につながることも想定されます。

そのため、高度な技術力が必要とされるケースが多い請負契約を多く手がける当社グループ会社において、勉強会を開催することはもとより、社内で部署を問わず技術的な質問ができる体制を構築しております。また、当該グループ会社が他の当社グループ会社の案件に関わることで、当社グループ内での技術の共有を図り、最新技術の習得に努めております。

② クラウドコンサルティング及びAIコンサルティング領域について

(顕在化可能性:中/ 影響度:中/ 発生時期:中期)

当社グループは、工学技術を用いたシステムの開発技術体系をコア・コンピタンスとして事業拡大を図っておりますが、案件の大型化や複雑化が進み、エンジニアとしての提案内容が高度化し、ますますスキルの高い人材が求められています。エンジニアの採用が計画通りに進行しない場合には、当社グループの事業拡大が制約される可能性があります。

そのため、 採用活動に注力することはもとより、テレワーク、残業管理体制の拡充等、応募者・従業員に対して魅力的な労働環境を整備するほか、技術力を高めるための研修や各種研修を拡充し、能力の向上、ひいては従業員のやりがいの向上に努めてまいります。

また、当社グループでは、実践に使える教育を旨として情報サービス事業者の新卒教育を事業展開しており、多くのリピートの顧客を有しておりますが、新卒者向けのIT技術者に対する教育投資は、景気動向によっては受注に影響が生じることが想定され、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、景気動向を比較的受けにくい継続的な顧客社内技術者への教育、他社ソフトウェア製品に関する教育も行うことで、教育ソリューション領域の受注の安定化を図っております。

③ AIロボティクス・エンジニアリング領域について

(顕在化可能性:中/ 影響度:中/ 発生時期:中期)

AIロボティクス・エンジニアリング領域の主要顧客は、日本の製造業です。当社グループは、メカニカル、電子、ソフトウェアの幅広い知識と経験、ロボット工学、システム工学に加えて、最新のAIやクラウド技術など、多岐にわたる技術を持っています。しかしながら、世界的な半導体不足等が発生した場合、生産を制約する要因となり、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、部品の調達期間を見越した納期を顧客と協議することで、納期遅延を回避しております。

また、AIロボティクス・エンジニアリング領域は、当社グループ企業が製造者となることがあるため、製品の欠陥や品質不良等により、リコール、苦情又はクレーム等が発生した場合は、当社グループに対する顧客の信頼の低下による受注の減少等により、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

AIロボティクス・エンジニアリング領域に該当する当社グループ企業は、製造物責任による損害賠償に備える損害保険に加入しておりますが、同保険が賠償額を十分にカバーできるという保証はなく、製造物責任による多額の損害賠償が発生した場合には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

なお、現在では量産する製品が存在しないため、特に上記に関する問題は発生しておりません。

④ モビリティ・オートメーション領域について

(顕在化可能性:中/ 影響度:中/ 発生時期:中期)

自動車やデジタル家電など電子機器市場では、組込みソフトウェアの重要性が従来よりも増しており、技術者の採用が計画通りに進行しない場合には、当社グループの事業拡大が制約される可能性があります。

そのため、 採用活動に注力することはもとより、テレワーク、残業管理体制の拡充等、応募者・従業員に対して魅力的な労働環境を整備するほか、技術力を高めるための研修や各種研修を拡充し、能力の向上、ひいては従業員のやりがいの向上に努めてまいります。

 

(5) 一定の顧客への依存と継続的な契約

(顕在化可能性:中/ 影響度:中/ 発生時期:中期)

当社グループは、デンソーテクノ株式会社に対して、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ④生産、受注及び販売の実績 c 販売実績」に記載のとおり、一定規模の売上が計上されております。

当社グループとしては、デンソーテクノ株式会社を含む重要な取引先との関係を維持しつつ、新規取引先の獲得等で依存度を下げる取組みを行っておりますが、特定顧客における投資行動の変化や経営環境の変化、制度変更等によって、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(6) 事業体制について

・技術者や外注先の確保及び育成

(顕在化可能性:低/ 影響度:中/ 発生時期:中期)

当社グループでは、様々な工学技術(AIソフトウェア工学、情報工学、経営工学)を実践的に適用できる技術者や外注先の採用、確保及び育成に努めておりますが、当社グループが期待するスキルを持つ技術者や外注先は限られている状況にあります。そこで、当社グループは、コンサルティング能力のある上級技術者の採用・育成が事業拡大にとって特に重要な経営課題であると認識しており、これらを実現するための取り組みを継続しております。

そのため、採用活動に注力することはもとより、テレワーク、残業管理体制の拡充等、応募者・従業員に対して魅力的な労働環境を整備するほか、技術力を高めるための研修や各種研修を拡充し、能力の向上、ひいては従業員のやりがいの向上に努めてまいります。外注先については、営業を中心に全社一丸となって技術的に魅力のある案件を確保することで、社内の技術力の向上を図ることはもとより、外注先も技術向上に資する案件をご提示できるよう努めております。

しかしながら、技術者や外注先の確保及び育成が何らかの理由により、計画通りに進まなかった場合は、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 知的財産権等について

① 第三者が保有する知的財産権侵害の可能性について

(顕在化可能性:低/ 影響度:小/ 発生時期:長期)

当社グループは、必要な特許等の知的財産権に関しては積極的に申請・取得を行う方針であり、また当社グループの技術・サービス等が第三者の保有する特許権・商標権等の知的財産権を侵害しないよう細心の注意を払っており、過去においてそのような訴訟を提起された事実はありません。しかしながら、当社グループの事業に関連する知的財産権が第三者に成立した場合、または、当社グループの認識していない当社グループの事業に関連する知的財産権が既に存在した場合においては、第三者の知的財産権を当社グループが侵害したとの主張に基づく訴訟を提起される可能性があります。

そのため、特許、商標等の出願にあたっては、顧問弁理士事務所と緊密に連携し、入念にクリアランスを行っておりますが、当社グループのサービスまたは技術について、他社の知的財産権を侵害しているとされ、当該サービスまたは技術が利用できない、もしくは使用料の支払い等が発生した場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

② ノウハウの劣化について

(顕在化可能性:低/ 影響度:中/ 発生時期:中期)

当社グループでは、AIソフトウェア開発技術の実践的ノウハウが集積されております。しかし、他社の技術力が向上し、相対的に技術力が劣化した場合、当社グループの事業が制約される可能性があります。

そのため、当社グループ会社各社にて勉強会を開催することはもとより、特に高度な技術を必要とする請負開発やコンサルティングを主体的に行っている当社グループ会社においては、社内で部署を問わず技術的な質問ができる体制にしております。また、当社グループ会社が他の当社グループ会社の案件に関わることで、当社グループ内での技術の共有を図り、グループ全体で技術力の底上げを図っております。

しかしながら、技術革新等により予期せぬ業界の急激な変化が発生し、当社グループの対応が遅れた場合には、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 業績変動要因について

① 受託開発案件の工数増加及び納期遅延

(顕在化可能性:低/ 影響度:中/ 発生時期:中期)

受託開発においては、当初の見積りと実際に発生した工数との間に乖離が生じることにより、収益性に影響が生じる可能性があります。

そのため、当社グループでは、利益率が大きく変動した場合は、変更受注稟議を起案し承認を得る仕組みを導入し、不採算リスクをいち早く捕捉し、対応するようにしております。

② 人件費負担及び部品仕入価格の増加

(顕在化可能性:低/ 影響度:中/ 発生時期:中期)

当社グループでは、事業拡大にとって技術者や営業要員の増員が不可欠と考えておりますが、増大する人件費負担が今後の収益に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、当社グループでは、従来よりコンサルティングや上流工程から発注者側として顧客と当初から関わる案件に注力することで、高付加価値の案件の獲得に努めております。また、ハードウェアの販売を行なう一部事業においては、国際的な需給動向、為替の変動、地政学的リスク、エネルギーコスト、感染症の拡大等により、部品の仕入価格が変動または調達量確保が困難となる場合があります。当社グループは、複数企業からの購買や、計画的な購買によって部品等の安定的な調達に努めております。

 

(9) 法的規制・ライセンスの更新について

(顕在化可能性:低/ 影響度:大/ 発生時期:中期)

当社グループは、労働者派遣事業許可、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)等の許認可を受けております。これらの許認可の更新を失念する場合や、法改正等が行われ、認可・承認、免許の取得が遅れた場合、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼすことが想定されます。

そのため、許認可については、当社グループの全ての事業会社が参加するリスク・コンプライアンス委員会において、定期的に許認可の更新状況等を確認するようにしております。

 

(10) 情報セキュリティの管理について

(顕在化可能性:低/ 影響度:大/ 発生時期:中期)

当社グループは、顧客企業から受託した業務を遂行する過程において、顧客のビジネス上・技術上の重要機密に接しております。当社グループでは、顧客情報の取扱いに細心の注意を払っておりますが、万一情報漏えいが発生した場合には、顧客からクレームを受け、契約の解除や損害賠償債務の発生、当社グループの事業に対する信用が低下すること等により、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

そのため、事業会社各社においては、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)を取得し、情報漏えいを防止する体制を整備しております。

 

(11) 新規事業、投融資等について

(顕在化可能性:低/ 影響度:小/ 発生時期:中期)

当社グループは業容の拡大を図るため新規事業の立ち上げを行っていくほか、M&A、業務・資本提携、投融資、試験研究等を積極的に行うことにより、既存事業との相乗効果を高めながら更なる成長の確立を目指していく方針であり、投資委員会を設置し、管理をしております。

しかしながら、これらの新規事業、投融資等に関する取り組みが適切に実施できない場合、予期せぬ損失を被る可能性があります。

 

(12) その他

① 無形固定資産(ソフトウェア)の償却について

(顕在化可能性:低/ 影響度:小/ 発生時期:短期)

市場販売目的のソフトウェアの減価償却については、販売収益が当初の計画を下回った場合には減損損失が発生する可能性があります。

そのため、見込販売収益は実現可能性のある販売計画に基づき作成するよう努めております。

② 貸倒損失について

(顕在化可能性:低/ 影響度:中/ 発生時期:短期)

近時の経済状況においては、不測の事態から倒産企業もあり、貸倒損失が発生することがあります。

そのため、取引にあたっては、帝国データバンク等の外部機関のスコアを参考に、社内で与信を慎重に検討しております。

③ 震災関連

(顕在化可能性:低/ 影響度:大/ 発生時期:長期)

当社グループには、一定の災害が関東または東海周辺に発生した場合には、当社グループに据え付けているサーバー等への被害が想定されるほか、交通手段の断絶により役務の提供ができなくなることが想定され、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、当社企業グループでは、システムのクラウド化、テレワーク体制の充実等を図り、顧客への役務の提供に対する影響を最小限に抑えるよう努めております。

④ 大株主との関係について

(顕在化可能性:中/ 影響度:中/ 発生時期:中期)

当社グループは、国内の独立系の投資会社インテグラル株式会社の支援の下、株式会社豆蔵ホールディングスのマネジメント・バイアウト(MBO)を目的として設立された株式会社K2TOPホールディングス(現株式会社豆蔵K2TOPホールディングス)から、純投資を目的とした出資を受けており、本書提出日現在では当社発行済株式の71.8%を所有しております。一般的にファンドによる未公開企業の株式所有目的は、株式公開時若しくは株式公開後に売却を行い、キャピタルゲインを得ることであります。

また、現時点において、インテグラルグループに所属する野村宗広が現株式会社豆蔵K2TOPホールディングスから派遣され、当社社外取締役に就任をしております。

株式会社豆蔵K2TOPホールディングスは、所有する当社株式を一部売却する方針です。株式会社豆蔵K2TOPホールディングスは2024年6月27日の当社上場(売買開始)日から起算して180日目の2024年12月23日までの期間(以下「ロックアップ期間という。)のロックアップに関し合意しておりますが、ロックアップ期間後の保有・処分方針によっては、当社株式の流動性及び株価形成等に影響を及ぼす可能性があります。なお、株式会社豆蔵K2TOPホールディングスは旧株式会社豆蔵ホールディングスのMBOを実施した際に外部からの借入を行っており、その返済のために当社株式を含む保有資産の売却を行う可能性があるものと聞いております。また、仮に株式会社豆蔵K2TOPホールディングスが上場後も相当数の当社株式を保有する場合、当社の役員の選解任、他社との合併等の組織再編、減資、定款の変更等の当社の株主総会決議の結果に重要な影響を及ぼす可能性があり、結果として当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

株式会社豆蔵K2TOPホールディングスは大株主として上記株主権を保有するものの、当社の事業運営において、当社は株式会社豆蔵K2TOPホールディングスから完全に独立しており、今後も、株式会社豆蔵K2TOPホールディングスとの適切な意見交換を実施し、健全な関係を維持しつつも一般株主の利益に配慮した運営にも努めてまいります。加えて、株式会社豆蔵K2TOPホールディングスから派遣されている役員については、将来的に退任を想定しております。

また、現株式会社豆蔵K2TOPホールディングスの株主構成及び役員構成は下記の通りであり、議決権の過半数、取締役会の過半数は投資会社であるインテグラルグループにより占められております。

(株主構成)

株式会社豆蔵K2TOPホールディングスの株主は、旧株式会社豆蔵ホールディングスの創業者である荻原氏が出資する法人、フィナンシャル・スポンサーであるインテグラルグループが関与するファンド及びインテグラル株式会社であります。なお、荻原氏が出資する法人の株式保有比率は10%未満であり、主要株主には該当せず、その他株式の大半はフィナンシャル・スポンサーであるインテグラルグループが関与するファンドが保有しております。

(役員構成)

株式会社豆蔵K2TOPホールディングスの取締役会を構成する取締役は計5名であり、うち過半数である3名がインテグラルグループより派遣されております。また、代表取締役は旧株式会社豆蔵ホールディングスの創業者である荻原氏が務めております。

なお、現時点において荻原氏は当社グループの役員に就任しておらず、当社の大株主の代表取締役であることを除き、当社への関与はございません。

⑤ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

(顕在化可能性:高/ 影響度:低/ 発生時期:短期)

当社グループは、役員並びに従業員に対するインセンティブを目的とし、新株予約権を付与しております。新株予約権に関する潜在株式数は本書提出日現在において538,500株であり、発行済株式総数の約3.4%に相当しております。発行済みの新株予約権については数年にわたり徐々に行使が可能となる条項が定められており、発行済みの新株予約権の全てが即時に行使され、即時に当社株式価値が希薄化する見込みはありません。

将来的に新株予約権が行使された場合、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性がありますが、自己株式の取得を含めた適切な資本政策を検討してまいります。

なお、発行済みの新株予約権の詳細は、「第4提出会社の状況 1株式等の状況 (2)新株予約権等の状況」をご参照ください。

⑥ 当社株式の流動性について

(顕在化可能性:中/ 影響度:中/ 発生時期:短期)

当社の上場時における流通株式比率は、28.2%となる見込みであります(オーバーアロットメントによる売出しの影響を考慮しない場合)。今後は、大株主への一部売出しの要請、ストック・オプションの行使による流通株式数の増加等を勘案し、これらの組み合わせにより、流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により上場時よりも流動性が低下する場合には、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国経済は、ウィズコロナの下での内需やインバウンド需要の回復などが見られ、景気の緩やかな回復が期待されつつある状況にあります。物価の上昇や物流業界の2024年問題に象徴される各業界での人手不足により、賃金と物価の好循環の実現の可能性が生じており、日銀もマイナス金利の解除などを行い、異次元緩和からの脱却を模索しつつある状況にあります。その一方で、国内経済では直近の2024年1~3月期四半期GDPのマイナス成長、世界経済はウクライナ情勢に加えイスラエル・パレスチナ情勢の深刻化などの地政学リスクなどによる不安定な状況に加え、欧米各国の中央銀行による金融引き締めや、中国の不動産不況など景気の下振れ要素の多い状況が続いており、わが国の景気を下押しするリスクとなっています。

 当社グループが属する情報サービス業界においては、第200回全国企業短期経済観測調査(日銀短観)による、2023年度、2024年度のソフトウェア投資計画(全規模合計)は、それぞれ11.0%増、6.6%増と、いずれも前年度を上回るものであり、投資意欲は引き続き旺盛な状況にあります。経済産業省の特定サービス産業動態統計(2024年3月分)によると、2023年度の「受注ソフトウェア」の売上高実績は10,430,033百万円であり、前年対比プラス8.4%と大幅な伸長度合いを見せています。また、月別でも2023年度は常に前年同月比プラスを維持しており、売上実績が継続的に伸長している傾向にあります。各企業のDXへの投資意欲はなお堅調に続いており、業種別では製造業、金融業の投資額が大きく、投資の目的としては、DXを活用したビジネスモデルの変革や事業領域の拡大などを目指すバリューアップ投資のウェイトが高まると予想されております。

 このような環境の中で、当社グループは「CREATE THE FUTURE TOGETHER~AIソフトウェア工学のチカラで、共にデジタル世界を創造する~」をミッションに掲げ、技術力という武器を十分に活用しつつ、グループ各社の資産や組織能力を深化させ、最新のコンピュータ技術を駆使し、情報サービス関連事業を通じてお客様企業の業務を変革するサービスの提供を行ってまいりました。また、既存の資産を十分に生かして収益源を深化させることに加え、未来の市場に備えるために、新規事業を探索することで新たな価値の創造を常に模索しております。いわば既存事業の成長化と新規事業の探索の両利きの経営を行うことで、持続的な成長を遂げていくことができております。

 以上の結果、当連結会計年度の売上高は9,586,457千円(前連結会計年度比8.2%増)、営業利益は1,799,161千円(同15.1%増)、経常利益は1,820,074千円(同14.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,159,719千円(同5.1%増)となりました。

 

② 財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末における資産総額は3,543,232千円となり、前連結会計年度末に比べ1,071,104千円減少いたしました。流動資産は1,110,840千円減少し、固定資産は39,735千円増加しております。主な要因はCMS(キャッシュマネジメントサービス)契約終了及び臨時配当金支払により短期貸付金が2,271,395千円減少し、現金及び預金が788,980千円増加、未収還付法人税等が145,566千円増加、食品業界向けロボット開発等により建設仮勘定が112,512千円増加、減損損失等によりソフトウエアが40,465千円減少及びソフトウエア仮勘定が50,609千円減少したことによるものです。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債総額は1,281,370千円となり、前連結会計年度末に比べ57,175千円増加いたしました。これは主に未払費用が51,201千円増加、未払法人税等が中間納付支払等により66,354千円減少、流動負債その他に含まれる預り金等が59,900千円増加したことによるものです。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は2,261,862千円となり、前連結会計年度末に比べ1,128,280千円減少いたしました。これは親会社株主に帰属する当期純利益1,159,719千円による増加、配当金支払2,288,000千円による減少によるものです。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は前連結会計年度末に比べ788,980千円増加し、当連結会計年度末には828,367千円となりました。また、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、1,154,582千円の収入(前年同期は1,241,388千円の収入)となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益1,672,042千円を計上したことによるものです。主な減少要因は、法人税等の支払額770,765千円によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、1,922,398千円の収入(前年同期は1,544,645千円の支出)となりました。これは主に、CMS契約終了による短期貸付金の純減少額2,271,395千円、有形固定資産の取得による支出221,432千円及び無形固定資産の取得による支出113,922千円によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、2,288,000千円の支出(前年同期は126,317千円の支出)となりました。これは、配当金の支払額2,288,000千円によるものです。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

 当社の事業は、情報サービス関連事業の単一セグメントでありますが、受注及び販売の状況につきましては、サービス区分別に記載しております。

 

a.生産実績

 当社グループは各種システムの提案、構築、保守及び運用に係るサービスの提供を行っており、生産実績を定義することは困難であるため記載しておりません。

 

b.受注実績

 当連結会計年度の受注実績をサービス区分ごとに示すと、次のとおりであります。

サービス区分

当連結会計年度

(自2023年4月1日  至2024年3月31日)

受注高

(千円)

前年同期比(%)

受注残高

(千円)

前年同期比(%)

クラウドコンサルティング

3,588,073

105.2

945,103

112.8

AIコンサルティング

762,728

115.9

139,487

124.5

AIロボティクス・エンジニアリング

1,508,174

112.5

298,536

122.8

モビリティ・オートメーション

4,063,077

108.1

722,368

125.3

合計

9,922,053

108.2

2,105,496

119.0

(注)金額は販売価格によっており、サービス区分間の取引については相殺消去しております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をサービスごとに示すと、次のとおりであります。

サービス区分

当連結会計年度

(自2023年4月1日  至2024年3月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

クラウドコンサルティング

3,481,059

107.6

AIコンサルティング

735,260

113.5

AIロボティクス・エンジニアリング

1,452,739

108.5

モビリティ・オートメーション

3,917,398

107.7

合計

9,586,457

108.2

  (注)1.サービス区分間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自2022年4月1日

至2023年3月31日)

当連結会計年度

(自2023年4月1日

至2024年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

デンソーテクノ株式会社

2,097,945

23.7

2,137,761

22.3

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上高、売上総利益)

 サービス別の状況は次のとおりであります。

a. クラウドコンサルティング

クラウドコンサルティングに関しては、まず一般事業法人向け基幹システム刷新にかかる基盤構築案件につき、クラウドネイティブを中心とした技術的な難度が高い支援を中心に、アーキテクチャ設計支援及びアジャイル開発を含めたコンサルティング業務の受注が継続しております。また、マイクロサービスやDevOpsといった先進的な開発手法をベースにDX内製化を支援するコンサルティングも引き続き行っております。

ERP業界では、SAP社の「SAP ERP6.0」の標準保守期限が2027年末で終了する「2027年の崖」と呼ばれる問題があり、各企業でその問題に対応するためにERPの刷新プロジェクトを打ち出す企業が相次いでおり、ERP市場は活況を呈しております。当社グループではERPの一つであるMicrosoft社のDynamics365F&O (Dynamics 365 for Finance and Operations)の導入支援サービスを行っており、当該年度も好調に推移しています。

また、教育に関連する案件も堅調に推移しています。顧客のソフトウェアファースト(ソフトウェア(IT)活用を中心に事業を構築すること)を実現するには、顧客によるITの内製化が欠かせません。IT内製化の実現には、コンサルティングだけでなく、教育も合わせて必要となってきます。当社はコンサルティング・教育の双方をサービスとして提供することで、顧客のIT内製化に貢献しています。さらに、ERP分野も同様に、堅調に教育案件を獲得しています。Microsoft Dynamics 365の前身であるMicrosoft Dynamics AXの時代から続けているERPのトレーニングコースは、コンサルティング会社が行う実践的なカリキュラムによる教育コースということで評価を得ており、ERP市場の活況とともに想定以上に案件を獲得しています。

その結果、当連結会計年度におけるクラウドコンサルティングの売上高は3,481,059千円(前連結会計年度比7.6%増)、売上総利益は1,208,413千円(前連結会計年度比7.5%増)となりました。

 

b. AIコンサルティング

AIコンサルティングに関連する案件は、AI戦略の立案、AI導入やRPAといった領域につき、コンサルティングを主軸として、堅調に推移しています。

その結果、当連結会計年度におけるAIコンサルティングの売上高は735,260千円(前連結会計年度比13.5%増)、売上総利益は299,450千円(前連結会計年度比17.1%増)となりました。

 

c. AIロボティクス・エンジニアリング

AIロボティクス・エンジニアリングに関連する案件については、主に産業ロボットの開発支援サービス及び自動車分野における上流工程のコンサル業務、研究開発支援が好調に推移しています。生産性向上や品質向上、そして少子高齢化といった課題解決のために、ものづくり分野やサービス分野で急速にロボットの活用範囲が拡がっています。メカ、エレキ、ソフトの総合的な知見、ロボット工学、システム工学に加えて最新のAIやクラウド技術など多方面の技術が必要になる分野で、当社グループのこれまでのロボット開発、AIソフトウェア開発の経験・技術を駆使して顧客のサポートを行っています。

その結果、当連結会計年度におけるAIロボティクス・エンジニアリングの売上高は1,452,739千円(前連結会計年度比8.5%増)、売上総利益は498,527千円(前連結会計年度比1.5%減)となりました。

 

 

d. モビリティ・オートメーション

車載システムの設計・開発に関連する案件として、自動車業界、船舶業界などの製造業向けの製品開発支援は順調に推移しています。

自動車業界における製造開発支援は、メカ、エレキ、ソフトの総合的な技術知見を熟知したエンジニアが様々な開発支援をおこなってきております。CASEに代表されるサスティナブルな次世代自動車の開発支援も行っており、当該分野に関連する様々な受注を獲得しています。CASEのうちConnected分野では、IoTデバイスの開発、カーナビや操作パネルなどのコックピット全体のデザイン設計等を行っています。Autonomous分野は、より安全な運転を可能にするADASが注目されており、車両の状態や道路情報などをリアルタイムに分析し、最適な制御を判定して自動運転を実現するための製品開発の支援など、ADAS関連の案件も多く受注しています。Electric分野では、MBSEを用いたモーター制御開発、コンサルティングなどを行っています。

船舶業界における製造開発支援については、現在船舶業界で行われている、自動車業界における「CASE領域」に類似した取組みのうち、船舶の自動運転や電動化に関する製造開発支援を主に行っております。

ファクトリーオートメーションに関連する案件として、工場内の様々な機器がネットワークに繋がり、各種センサからの情報が自動で収集・蓄積され、可視化された情報の共有が工場内、各事業所などの遠隔地でも可能となる、スマートファクトリーのソリューションを手掛けています。設計/製造現場のアナログ情報を、カメラやIoT技術を活用しデジタル化することにより可視化をすることで、設計/製造現場、オフィスや自宅などどこにいてもリアルタイムデータの閲覧や情報の共有が可能となります。

その結果、当連結会計年度におけるモビリティ・オートメーションの売上高は、3,917,398千円(前連結会計年度比7.7%増)、売上総利益は1,174,252千円(前連結会計年度比18.3%増)となりました。

(単位:千円)

サービス区分

 

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年

同期比(%)

クラウドコンサルティング

売上高

3,235,883

3,481,059

107.6

売上総利益

1,124,597

1,208,413

107.5

AIコンサルティング

売上高

647,529

735,260

113.5

売上総利益

255,798

299,450

117.1

AIロボティクス・エンジニアリング

売上高

1,339,411

1,452,739

108.5

売上総利益

505,997

498,527

98.5

モビリティ・オートメーション

売上高

3,636,424

3,917,398

107.7

売上総利益

992,333

1,174,252

118.3

合計

売上高

8,859,249

9,586,457

108.2

売上総利益

2,878,726

3,180,644

110.5

(注)各サービスの売上高及び売上総利益は、それぞれのサービスに帰属するプロジェクトの対象金額を集計したものです。

 

以上の結果、当連結会計年度の売上高は9,586,457千円(前連結会計年度比8.2%増)、売上総利益は3,180,644千円(同10.5%増)となりました。

 

(営業利益)

 販売費及び一般管理費は1,381,482千円(前連結会計年度比5.0%増)となりました。これは、主に給与手当502,004千円(前連結会計年度比6.2%増)、支払手数料157,781千円(前連結会計年度比18.8%増)等から構成されております。

 その結果、当連結会計年度における営業利益は1,799,161千円(前連結会計年度比15.1%増)となりました。

 

(経常利益)

 営業外収益は24,545千円となりました。これは、主に受取利息等から構成されています。

 営業外費用は3,632千円となりました。

 その結果、当連結会計年度における経常利益は1,820,074千円(前連結会計年度比14.5%増)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 特別損失は減損損失等により148,032千円となりました。また、法人税等合計は512,323千円となりました。

 その結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は1,159,719千円(前連結会計年度比5.1%増)となりました。

 

② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されてお

ります。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える見積りを用いて

おります。これらの見積りについては、連結財務諸表作成時に入手可能な情報及び合理的な基準に基づき判断し

ておりますが、見積りには不確実性を伴うため、実際の結果はこれらと異なることがあります。

 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについ

ては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に

記載のとおりであります。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

 資本の財源につきましては、財務の健全性や資本の効率性など当社グループにとって最適な資本構成を追求しながら、将来の成長のための内部留保の充実と株主の皆様への利益還元との最適なバランスを考え、安定した財源を維持することを基本としております。

 また、当社グループは、短期の運転資金や設備投資につきましては原則自己資金で賄うこととしております。また、大規模な設備投資や今後のM&Aなどを見据えた資金需要に関しては、金融機関からの長期借入で賄うこととします。なお、当連結会計年度末における金融機関からの借入金残高はありません。

 

④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、売上成長率、営業利益成長率、営業利益率を重視しております。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

(コミットメントライン契約の締結)

当社は、バイラテラル方式によるコミットメントラインを、2023年9月22日付で契約いたしました。

1 コミットメントライン設定の目的

機動的な運転資金の調達及び財務基盤の安定性向上を図るものであります。

2 コミットメントライン契約の概要

(1)契約締結先  株式会社三菱UFJ銀行

(2)借入極度額  5億円

(3)契約締結日  2023年9月22日

(4)契約期間   2023年9月22日~2026年9月18日

(5)契約形態   バイラテラル方式コミットメントライン

(6)使用用途   運転資金

(7)借入金利   変動金利

(8)担保の有無  無

(9)純資産維持、利益維持に関する財務制限条項が付されております。

 

(連帯保証及び連帯保証に伴う担保提供の解除)

当社及び連結子会社3社は、株式会社豆蔵K2TOPホールディングスの金融機関等からの借入金に対する連帯保証及び担保提供に関しては、同社より2023年6月20日付及び同年6月22日付で、当社の株式上場申請を条件に保証・担保解除等に関する承諾依頼がなされており、2023年7月10日付でメザニン・ソリューション3号投資事業有限責任組合及び同年7月11日付で株式会社三菱UFJ銀行をエージェントとする全貸付人7行の承諾が得られたため、2023年8月9日付で保証・担保が解除されました。

 

(キャッシュマネジメントサービス契約の終了)

当社及び連結子会社3社は、運転資金の確保を目的として当社の主要株主である株式会社豆蔵K2TOPホールディングスが運用するキャッシュマネジメントサービスに参加しておりましたが、株式会社三菱UFJ銀行とのコミットメントライン契約を締結したことにより、2023年9月28日付でキャッシュマネジメントサービス契約を終了いたしました。

 

 

6【研究開発活動】

当社グループの研究開発は、主に当社子会社の株式会社豆蔵が中心となりAIロボティクスエンジニアリングにおけるクラウドサービスの開発を推進しております。この開発活動の結果、当連結会計年度における研究開発費の総額は5,270千円となりました。なお、当社は情報サービス関連事業の単一セグメントであるためセグメント別の記載は省略しております。